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赤谷の森・計画文書作成について

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Academic year: 2021

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赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト 赤 谷 の 森 ・ 基 本 構 想 ― ― 生 物 多 様 性 と 社 会 の 持 続 性 の た め に 、 森 の あ る べ き 姿 を と り も ど す ― ― ( 2 0 1 0 年 3 月 )

は じ め に .

「 赤 谷 の 森 ・ 基 本 構 想 」 は 、 三 国 山 地 / 赤 谷 川 ・ 生 物 多 様 性 復 元 計 画 ( 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト ) の 目 的 で あ る 、 生 物 多 様 性 復 元 と 持 続 的 な 地 域 づ く り を 実 現 す る た め に 、「 赤 谷 の 森 」を 将 来 に わ た っ て 、ど の よ う な 森 林 と し て い く か の 基 本 的 考 え 方 を 構 想 と し て と り ま と め た も の で す 。 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト で こ れ ま で に 得 ら れ た 知 見 を も と に し て 、 地 域 関 係 者 と 意 見 交 換 を し な が ら 作 成 し た も の で す 。 2 0 1 0 年 度 に 、「 赤 谷 の 森 」を 含 む 利 根 上 流 森 林 計 画 区 の 国 有 林 の 、新 た な 地 域 管 理 経 営 計 画 ・ 施 業 実 施 計 画 が 策 定 さ れ ま す 。 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト ・ エ リ ア に お け る 計 画 策 定 に 当 た っ て は 、 こ の 基 本 構 想 を 踏 ま え ま す 。 ・地域の意向 ・サポーターとの  意見交換 赤谷プロジェクトで 得られた知見 統合的評価 赤谷の森・基本構想の策定 (マスタープラン) 国有林野の地域管理経営計画・  施業実施計画 今後策定される事業計画(治山事業など) プロジェクトの自主的な活動 反 映 図 1 「 赤 谷 の 森 ・ 基 本 構 想 」 と 他 の 事 業 計 画 と の 関 係 ( 策 定 の 経 過 ) ・2008 年 3 月 企 画 運 営 会 議 に て 、 国 有 林 の 次 期 地 域 管 理 経 営 計 画 等 に 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト の 成 果 を 反 映 さ せ る た め の 取 り 組 み を 実 施 す る こ と を 決 定 。 ・2009 年 2 月 「 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト 成 果 報 告 会 」 を 地 域 協 議 会 お よ び サ ポ ー タ ー を 対 象 に 実 施 。 各 WG の 活 動 成 果 を 発表 。 ・2009 年 3 月 「 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト 推 進 事 業 平 成 20 年 度 報 告 書」 で 、 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト に お け る 森 林 管 理 計 画 の あ り 方 を 整 理 。 ・2009 年 7 月 ~ 10 月 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト 地 域 協 議 会 、「 赤 谷 の 日 」 等 で 赤 谷 の 森 ・ 基 本 構 想 の あ り 方 に つ い て 意 見 交 換 を 実 施 。 ・2009 年 12 月 地 域住 民 を 対 象と し た 「 赤谷 の 森 を 語る 会 」 を 開催 。

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1 . 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト の 理 念 、 大 局 的 な ビ ジ ョ ン

[ プ ロ ジ ェ ク ト の 目 的 ] 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト は 、 群 馬 県 利 根 郡 み な か み 町 新 治 地 区 の 国 有 林 「 赤 谷 の 森 」 ( 約 1 万 ヘ ク タ ー ル ) に お い て 、 生 物 多 様 性 保 全 と 持 続 的 な 地 域 づ く り の 観 点 か ら 、 土 地 本 来 の 生 物 群 集 に よ っ て 構 成 さ れ る 環 境 を 生 み 出 す 自 然 の プ ロ セ ス を 重 視 し 、 自 然 再 生 や 希 少 野 生 生 物 の 生 息 ・ 生 育 環 境 保 全 、 自 然 資 源 の 持 続 的 な 利 用 な ど を 含 め た 、 き め 細 か な 森 林 生 態 系 管 理 を 行 う も の で す 。 [ プ ロ ジ ェ ク ト の 基 盤 ] プ ロ ジ ェ ク ト の 目 的 を 達 成 す る に は 、 人 と 自 然 と の 関 係 を 再 構 築 す る よ う な 取 り 組 み が 必 要 で あ り 、 そ れ ら は 長 期 の 視 野 に 立 っ た 体 制 が 必 要 で す 。 こ の た め 、 プ ロ ジ ェ ク ト の 運 営 は 、 地 域 住 民 で 組 織 さ れ た 「 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト 地 域 協 議 会 」、 林 野 庁 関 東 森 林 管 理 局 、 財 団 法 人 日 本 自 然 保 護 協 会 が 協 働 し て 行 い 、 国 有 林 に お け る 森 林 生 態 系 管 理 の 新 た な 方 式 と 、21 世 紀 型 の 地域 づ く り、自 然 保 護 のあ り 方 を 模 索 す る 一 環 と し て 位 置 づ け ら れ て い ま す 。 3 者 は 、 そ れ ぞ れ 地 域 社 会 、 行 政 機 関 、N G O/N P O と い うセ ク タ ー を代 表 し 、赤 谷プ ロ ジ ェク ト の 中 核団 体 を 担 っ て い ま す 。 ま た プ ロ ジ ェ ク ト は 、 多 分 野 の 専 門 家 、 関 東 一 円 か ら 集 ま る ボ ラ ン テ ィ ア ・ サ ポ ー タ ー な ど 、 多 様 な 人 材 に よ っ て 支 え ら れ て い ま す 。 [ 日 本 社 会 に お け る 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト の 位 置 づ け ] 2 1 世 紀 の 日 本 社 会 は 、 地 域 社 会 や 自 然 環 境 を 取 り ま く 状 況 が 、 2 0 世 紀 と は 異 な る 方 向 で 大 き く 変 化 す る と 言 わ れ て い ま す 。 こ の た め 、 自 然 環 境 の 保 全 や 自 然 資 源 の 持 続 的 な 活 用 、 地 域 づ く り に 際 し て 、 多 様 な 人 々 や 団 体 が 協 働 し て 目 標 を 達 成 し て い く 必 要 が あ り ま す 。「 赤 谷 の 森 」を 生 物 多 様 性 保 全 と 持 続 的 な 地 域 社 会 づ く り の 拠 点 と す る こ と で 、 全 国 の 国 有 林 管 理 、 地 域 社 会 の 運 営 に 対 し て モ デ ル と な る こ と を め ざ し ま す 。 [ よ り 広 域 に み た 赤 谷 の 森 の 位 置 づ け ] 「 赤 谷 の 森 」 を 含 む 三 国 山 地 は 、 東 北 地 方 か ら 日 本 ア ル プ ス へ 続 く 本 州 の 脊 梁 山 脈 の 一 角 を 成 し 、関 東 甲 信 越 地 方 の 生 物 多 様 性 の 核 と な る 地 域 で す 。「 赤 谷 の 森 」 か ら 湧 き 出 る 水 は 、 給 水 人 口 1,200 万 人 に の ぼ る利 根 川 の 支流 、 赤 谷 川と な り 、 地 域 の 重 要 な 水 源 に な る と 共 に 、 関 東 地 方 を 潤 し ま す 。

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[ 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト の エ リ ア 区 分 ] 谷 川 連 峰 か ら 連 な る 「 赤 谷 の 森 」 は 、 森 林 生 態 系 の 流 域 毎 の ま と ま り と 人 の 利 用 の 歴 史 に 合 わ せ て 、 大 き く 6 つ の エ リ ア に 区 分 さ れ て い ま す 。 6 つ の エ リ ア に そ れ ぞ れ 名 称 を つ け 、 森 林 生 態 系 管 理 の 主 要 テ ー マ を 設 定 し て い ま す 。 図 2 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト ・ エ リ ア 図 ① 赤 谷 源 流 エ リ ア 巨 木 の 自 然 林 の 復 元 と イ ヌ ワ シ の 営 巣 環 境 保 全 ② 小 出 俣お い ず ま たエ リ ア 植 生 管 理 と 環 境 教 育 の た め の 研 究 や 教 材 開 発 と 実 践 ③ 法 師 ・ ム タ コ 沢 エ リ ア 水 源 の 森 の 機 能 回 復 ④ 旧 三 国 街 道 エ リ ア 旧 街 道 を 理 想 的 な 自 然 観 察 路 と す る た め の 森 づ く り と 茂 倉 沢 で の 渓 流 環 境 復 元 ⑤ 仏 岩 エ リ ア 伝 統 的 な 木 の 文 化 と 生 活 に か か わ る 森 林 利 用 の 研 究 と 技 術 継 承 ⑥ 合か っ瀬せ 谷 エ リ ア 実 験 的 な 、 新 時 代 の 人 工 林 管 理 の 研 究 と 実 践

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2 .「 赤 谷 の 森 」 の 現 状

2 - 1 .「 赤 谷 の 森 」 の 歴 史

( 1 ) 明 治 ・ 大 正 時 代 ま で の 新 治 地 区 と 人 々 の 生 活 み な か み 町 新 治 地 区 は 、 古 く か ら 関 東 地 方 と 新 潟 県 を 結 ぶ 三 国 街 道 に 沿 っ た 村 と し て 発 展 し て き ま し た 。 三 国 街 道 は 、 奈 良 時 代 か ら 平 安 時 代 に か け て 開 か れ た と い わ れ 、 戦 国 時 代 に 上 杉 謙 信 が 三 国 峠 越 え の 整 備 を 進 め 、 街 道 沿 い に 集 落 が 形 成 さ れ て き ま し た 。 江 戸 時 代 に は 五 街 道 に 次 ぐ 街 道 と し て 整 備 さ れ 、 大 名 の 参 勤 交 代 に 使 わ れ る 道 と な り 、 永 井 宿 が 越 後 米 の 問 屋 場 に 指 定 さ れ る な ど 、 政 治 ・ 経 済・文 化 の 重 要 な 交 流 点 と な り ま し た 。地 元 の 人 々 は 、農 林 業 に 携 わ る と と も に 、 人 馬 の 継 立 や 温 泉 の 湯 役 、 猿 ヶ 京 関 所 の 役 務 な ど に 従 事 し ま し た 。 新 治 地 区 は 森 林 率 が 8 5 % と 山 深 い 地 域 で あ り 、 森 林 と 人 と の か か わ り も 密 接 で す 。『 新 治 村 誌 』( 2 0 0 9 年 発 行 ) で は 、 江 戸 時 代 に 、 周 辺 集 落 の 人 々 が 大 峰 山 ( 仏 岩 エ リ ア ) を 採 草 の た め の 秣 場ま ぐ さ ば と し て 利 用 し 、 そ の 奥 に 位 置 す る 「 赤 谷 山 」 を 、 薪 山 と し て 利 用 し て い た 記 録 が 示 さ れ て い ま す( 図 3 )。林 業 も 行 わ れ て お り 、元 禄・宝 永 年 間 に は 、猿 ヶ 京 地 区 や 吹ふ く路ろ 地 区 の 山 か ら 黒 部 板 を 製 材 し 、江 戸 へ 販 売 し た と い う 記 録 が 残 っ て い ま す 。 そ の 後 、 明 治 ・ 大 正 時 代 に な る と 、 農 業 、 養 蚕 業 に 加 え て 製 炭 業 が 盛 ん に な り 、 冬 の 農 閑 期 に は 男 は 国 有 林 へ 入 っ て 泊 ま り が け で 炭 を 焼 き 、 女 は 炭 俵 を 編 む 仕 事 を 行 っ て い ま し た 。 大 正 1 3 年 の 調 査 で は 、 現 在 の 新 治 地 区 全 体 で の 蚕 業 収 入 が 3 3 万 5 千 円 に 対 し て 、 木 炭 収 入 が 2 2 万 9 千 円 で す の で 、 そ の 規 模 の 大 き さ が わ か り ま す 。 図3 秣場求めてを (出典:『新治村誌』262ページ) 人 々 は 、 森 を 利 用 し て い た だ け で は な く 、 大 切 に 守 り 育 て て も い ま し た 。 延 宝 2 年 、合 瀬 村( 当 時 )の 地 侍 で あ る 高 橋 四 郎 兵 衛 が 出 し た 法 度 書 に は 、「 合 瀬 山 の 草 木 を 伐 り 取 ら な い こ と 、 毎 月 山 を め ぐ る 。 親 兄 弟 で あ っ て も み の が し 伐 り 取 っ た 場 合 は 処 罰 す る 」 と い う 記 述 が 残 さ れ て い る こ と が 、 そ の 証 で す 。 ( 2 ) 大 正 ・ 昭 和 初 期 の 産 業 的 利 用 大 正 5 年 に 、 広 河 原 地 区 ( 赤 谷 源 流 エ リ ア 南 端 ) に 、 日 本 酢 酸 製 造 株 式 会 社 の 赤 谷 工 場 が 発 足 し 、 昭 和 7 年 ま で の 間 、 赤 谷 川 、 小 出 俣 沢 、 茂 倉 沢 の 各 流 域 で 大 規 模 に 自 然 林 を 伐 採 し 、 窯 で 焼 き 、 木 酢 液 を 採 取 し ま し た 。 当 時 と し て は 規 模 の 大 き な 工 場 で 、 工 場 周 辺 に は 3 0 0 人 も が 住 ん で い ま し た 。

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ま た 昭 和 初 期 に は 、 永 井 地 区 の 自 然 林 を 伐 採 し 、 木 材 加 工 を 行 う 「 法 師 官 行 製 材 所 」 が 開 か れ 、 昭 和 1 7 年 ま で 操 業 し ま し た 。 赤 谷 川 、 小 出 俣 沢 、 茂 倉 沢 、 ム タ コ 沢 で は 、 こ の 時 期 に 自 然 林 が 大 規 模 に 伐 採 さ れ 、 現 在 で は 、 二 次 林 や 人 工 林 が 主 と な っ て い ま す 。 ( 3 ) 高 度 経 済 成 長 に と も な う 開 発 日 本 経 済 が 戦 後 復 興 か ら 高 度 成 長 を 遂 げ る に つ れ 、 新 治 地 区 で も 開 発 が 進 ん で い き ま す 。 昭 和 3 2 年 に 三 国 ト ン ネ ル が 開 通 し 国 道 1 7 号 線 が 群 馬 ・ 新 潟 県 境 を 越 え る よ う に な る と 、昭 和 3 4 年 に 赤 谷 川 と 西 川 の 水 を 貯 め る 相 俣 ダ ム( 赤 谷 湖 ) が 完 成 、 昭 和 3 5 ~ 3 6 年 に は 赤 谷 川 第 二 発 電 所 、 第 三 発 電 所 が 相 次 い で 完 成 し ま し た 。 高 度 経 済 成 長 に と も な っ て 、 人 々 の く ら し も 大 き く 変 化 し ま す 。 燃 料 は 薪 炭 か ら 石 油 な ど の 化 石 燃 料 へ 、 農 業 で は 耕 耘 機 や 化 学 肥 料 が 普 及 し て 牛 馬 や 堆 肥 の た め の 採 草 慣 行 が 徐 々 に な く な っ て い き ま し た 。 猿 ヶ 京 地 区 の 採 草 地 で あ っ た 「 治 部 」 で も 、 昭 和 4 7 年 に ヒ ノ キ が 植 林 さ れ て い ま す 。 こ の 頃 、山 で は い わ ゆ る 拡 大 造 林 が 進 み 、「 赤 谷 の 森 」で も ス ギ や カ ラ マ ツ の 人 工 林 が 積 極 的 に 植 林 さ れ る よ う に な り 、 昭 和 5 0 年 頃 ま で に は 、 現 在 の 人 工 林 面 積 と ほ ぼ 同 じ 面 積 の 約 3 , 0 0 0 ヘ ク タ ー ル に 達 し ま し た 。 ( 4 ) 昭 和 ~ 平 成 の 山 村 振 興 昭 和 5 0 年 代 か ら は 、山 村 振 興 の た め に 、千 葉 市 高 原 千 葉 村( 昭 和 5 0 年 )、町 営 赤 沢 ス キ ー 場 ( 昭 和 5 5 年 ) が 相 次 い で 「 赤 谷 の 森 」 に 隣 接 し て オ ー プ ン し ま し た 。 そ の 後 、 昭 和 の 終 わ り か ら 平 成 に か け て 「 赤 谷 の 森 」 に は 、「( 仮 称 ) 猿 ヶ 京 ス キ ー 場 」 と 「 川 古か わ ふ るダ ム 」 の 建 設 が 計 画 さ れ ま し た が 、 中 止 と な り ま し た 。 ( 5 )「 赤 谷 の 森 」 に 適 用 さ れ て い る 自 然 保 護 制 度 「 赤 谷 の 森 」 の ほ ぼ 全 域 は 、 昭 和 2 4 年 か ら 上 信 越 高 原 国 立 公 園 に 指 定 さ れ 、 谷 川 岳 か ら 西 に 延 び る 8 k m ほ ど の 北 部 稜 線 一 帯 は 、 特 別 保 護 地 区 に 指 定 さ れ て い ま す 。 赤 谷 源 流 エ リ ア の 北 部 は 仙 ノ 倉 鳥 獣 保 護 区 、 法 師 ・ ム タ コ 沢 エ リ ア の 西 部 は 法 師 鳥 獣 保 護 区 に 指 定 さ れ て い ま す 。 ま た 、 谷 川 岳 か ら 続 く 北 部 の 稜 線 か ら 三 国 山 、 稲 包 山 に 至 る 自 然 林 は 、 平 成 1 3 年 か ら 、 野 生 動 植 物 の 生 息 地 を 連 結 す る 「 緑 の 回 廊 ・ 三 国 線 」 に 指 定 さ れ 、 利 根 川 源 流 部・燧 ケ 岳ひ う ち が た け周 辺 森 林 生 態 系 保 護 地 域 と 、佐 武 流 山さ ぶ り ゅ う や ま周 辺 森 林 生 態 系 保 護 地 域 を つ な い で い ま す 。

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2 - 2 . 植 生 の 現 状

( 1 ) 赤 谷 の 森 の 現 在 の 植 生 「 赤 谷 の 森 」 に は 、 大 き く 分 け て 2 つ の タ イ プ の 森 林 が あ り ま す 。 自 然 林 、 人 工 林 の 2 つ で す 。 自 然 林 は 、 ほ と ん ど 人 の 手 が 加 え ら れ て い な い 森 林 の こ と で あ り 、 天 然 林 と も い わ れ ま す 。 過 去 に 人 の 手 が 加 え ら れ て い て も 、 そ の 後 、 長 い 年 月 に わ た っ て 自 然 の ま ま に さ れ て き た 森 林 も 含 め ま す 。「 赤 谷 の 森 」で は ブ ナ や ミ ズ ナ ラ の 林 が 典 型 的 で 、旧 三 国 街 道 に 沿 っ て 樹 齢 1 0 0 年 以 上 と い わ れ る ブ ナ 林 が 見 ら れ ま す が 、 こ れ ら は 代 表 的 な 自 然 林 で す 。 自 然 林 に は 、 人 の 手 が 加 え ら れ 、 自 然 林 に 戻 り つ つ あ る も の の 、 未 だ に そ の 形 跡 が 自 然 林 と の 構 成 樹 種 の 違 い な ど に 色 濃 く 残 る 二 次 林 も 含 ま れ ま す 。赤 谷 で は 、 か つ て 多 く の 森 林 が 薪 や 炭 焼 き に 利 用 さ れ て き ま し た が 、 そ の た め に 繰 り 返 し 伐 採 さ れ た ミ ズ ナ ラ や コ ナ ラ 、 ク リ な ど の 二 次 林 が 広 が り ま す 。 人 工 林 は 、木 材 を 生 産 す る た め に 人 の 手 で 苗 木 を 植 え 、育 て た 林 で す 。「 赤 谷 の 森 」 で は 、 標 高 の 低 い と こ ろ に ス ギ 、 高 い と こ ろ で は カ ラ マ ツ が 多 く 植 え ら れ て い ま す 。「 赤 谷 の 森 」は 雪 が 深 い た め 、ヒ ノ キ は あ ま り 植 え ら れ て い ま せ ん 。こ れ ら の 人 工 林 で は 、 良 質 な 木 材 を 生 産 す る た め 、 成 長 の 途 中 で 間 伐 ( 間 引 き ) な ど の 手 入 れ を 行 い ま す 。 現 在 の こ れ ら 植 生 ( 現 存 植 生 ) の 分 布 状 況 は 次 ペ ー ジ の 図 4 の と お り で す 。 標 高 の 低 い 、 人 里 に 近 い と こ ろ に は 、 人 工 林 と 二 次 林 が 多 く 分 布 し 、 標 高 の 高 い と こ ろ に は 、 自 然 林 が 多 く 分 布 し て い ま す が 、 沢 に 沿 っ て 通 し た 林 道 の 近 く で は 、 奥 山 ま で 人 工 林 が 造 成 さ れ て い ま す 。 ま た 、「 赤 谷 の 森 」の 植 生 の 特 徴 の ひ と つ に 、谷 川 岳 か ら 続 く 稜 線 付 近 に 形 成 さ れ た 自 然 草 地 が あ り ま す 。「 赤 谷 の 森 」で は 、森 林 が 成 立 す る 限 界 線 の 標 高 は 、日 本 ア ル プ ス な ど 本 州 の 同 緯 度 の 山 々 に 比 べ て 豪 雪 の た め に 低 く 、 か つ 他 地 域 で は 亜 高 山 帯 に で き る 針 葉 樹 の 自 然 林 が ほ と ん ど 存 在 し ま せ ん 。 こ の た め 、 2 , 0 0 0 m 程 度 の 標 高 に も か か わ ら ず 、 あ た か も 高 山 帯 の よ う な 植 物 の ま と ま り が 成 り 立 っ て い ま す 。 こ れ は 「 赤 谷 の 森 」 の 特 色 で あ り 、 こ の よ う な 自 然 草 地 は 、 イ ヌ ワ シ の 貴 重 な 狩 り 場 に な っ て い ま す 。

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平標山 三国山 猿ヶ京 仏岩 図 4 「 赤 谷 の 森 」 の 現 存 植 生 図 ( 2 ) 赤 谷 の 森 に 本 来 あ る 自 然 林 森 林 と 人 と の 長 い か か わ り の 歴 史 を 反 映 し て 、「 赤 谷 の 森 」に は 自 然 林 か ら 人 工 林 ま で 、 多 様 な 森 林 が 成 立 し て い ま す が 、 こ う し た か か わ り を 止 め た 時 、 気 候 や 地 質 ・ 地 形 ・ 土 壌 な ど の 条 件 か ら 、 ど の よ う な 森 林 が 成 立 す る か 、 そ の 可 能 性 を 予 測 し た 潜 在 自 然 植 生 が 、次 ペ ー ジ の 図 5 で す 。こ の 図 か ら は 、「 赤 谷 の 森 」に 本 来 あ る 自 然 林 は 、 多 く が ブ ナ や ミ ズ ナ ラ を 主 と す る 林 で 、 他 に ヒ メ ア オ キ 、 マ ル バ マ ン サ ク 、 オ オ バ ク ロ モ ジ 、 ア カ イ タ ヤ 、 ホ オ ノ キ な ど で 構 成 さ れ て お り 、 標 高 の 低 い と こ ろ に は ク リ や コ ナ ラ な ど を 主 と す る 林 で 、 他 に イ ヌ ブ ナ 、 モ ミ 、 ア カ シ デ 、 イ ヌ シ デ な ど で 構 成 さ れ て い ま す 。 沢 沿 い に は サ ワ グ ル ミ や ト チ ノ キ な ど か ら な る 渓 畔 林 で 、 他 に カ ツ ラ 、 ハ ル ニ レ な ど で 構 成 さ れ る 林 が 形 成 さ れ る こ と が 予 想 さ れ ま す 。 図 5 で は 、 ブ ナ ・ ミ ズ ナ ラ 林 を 濃 い 緑 色 で 、 ク リ ・ コ ナ ラ 林 を 黄 緑 色 で 、 渓 畔 林 を 青 色 で そ れ ぞ れ 示 し て い ま す 。

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平標山 仏岩 猿ヶ京 三国山 図 5 「 赤 谷 の 森 」 の 潜 在 自 然 植 生 図 現 在 、人 工 林 に な っ て い る 区 域 が 、 本 来 は ど の よ う な 自 然 林 で 構 成 さ れ て い る か を 示 し た の が 図 6 で す 。 ほ と ん ど の 人 工 林 で は 、 ブ ナ ・ ミ ズ ナ ラ 林 、 ク リ ・ コ ナ ラ 林 、 渓 畔 林 が 、 本 来 の 森 林 で あ る こ と が わ か り ま す 。 64% 4% 30% 2% 図6 人工林面積に占める潜在自然植生の割合 ( 3 ) 赤 谷 の 森 の 人 工 林 の 現 状 「 赤 谷 の 森 」 の 人 工 林 は 、 1 9 5 0 年 代 か ら 1 9 7 0 年 代 に か け て 植 え ら れ た も の が 多 く 、林 齢 で 3 0 年 ~ 5 0 年 の も の が 多 く 見 ら れ ま す 。人 工 林 の 総 面 積 は 、 約 3 , 0 0 0 ヘ ク タ ー ル に 及 び ま す 。 人 工 林 は 、 ス ギ や カ ラ マ ツ を 育 て 、 木 材 な ど を 生 産 す る た め に 作 ら れ た も の で す が 、 そ の 現 状 は 、 様 々 で あ る こ と が わ か っ て い ま す 。 ま ず 、 林 の 中 に 自 然 の 樹 木 が 入 り 込 ん で い る 人 工 林 が 存 在 し ま す 。 自 然 の 樹 木 の 多 く は 広 葉 樹 で す 。 2 0 0 8 ~ 2 0 0 9 年 度 に 調 査 し た 結 果 で は 、 ス ギ 林 の 中

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に 自 然 の 樹 木 が ま っ た く 入 り 込 ん で い な い 場 所 ( 図 7 で 混 交 率 0 % と 示 さ れ る ) は 、 調 査 し た 2 0 2 ヶ 所 の う ち 6 1 ヶ 所 ( 約 3 0 % ) で し た 。 つ ま り 、 約 7 0 % の ス ギ 林 に は 、 何 ら か の 形 で 自 然 の 樹 木 が 入 り 込 ん で い ま す 。 図 7 ス ギ 人 工 林 調 査 区 に お け る 広 葉 樹 混 交 率 ( 注 ) 広 葉 樹 混 交 率 : 調 査 区 内 の 広 葉 樹 の 本 数 / 調 査 区 全 体 の 本 数 ま た 、 ・ 自 然 林 と 隣 り 合 っ て い る な ど 、 自 然 の 樹 木 の 種 子 が 広 が り や す い 条 件 に あ る と こ ろ で は 、 自 然 の 樹 木 が 多 く 入 り 込 ん で い る 。 ・ ス ギ や ヒ ノ キ を 収 穫 し た 後 に 再 び ス ギ を 植 林 し た と こ ろ ( 2 代 目 ス ギ 林 ) に 比 べ て 、 自 然 林 ・ 二 次 林 を 伐 採 し て ス ギ を 植 林 し た と こ ろ ( 1 代 目 ス ギ 林 ) の ほ う が 、 自 然 の 樹 木 が 多 く 入 り 込 ん で い る 。 ・2 代 目 ス ギ 林 に 比 べ て 、1 代 目 ス ギ 林 に 入 り 込 ん で い る 自 然 の 樹 木 は 、「 赤 谷 の 森 」 に 本 来 あ る 自 然 林 が 発 達 し た 際 に 現 れ る 種 類 が 多 く 、 2 代 目 ス ギ 林 に 多 く 現 れ る の は 、 自 然 林 が 再 生 す る 初 期 に 現 れ る 種 類 が 多 い 。 と い う こ と が わ か り ま し た 。 ( 4 )「 赤 谷 の 森 」 で 人 工 林 の 生 育 に 適 し た 場 所 人 工 林 は 、 再 生 が 可 能 な 資 源 で あ る 木 材 の 生 産 の 場 で あ り 、 林 業 が 継 続 的 に 行 わ れ る こ と は 、 新 治 地 区 の よ う な 山 村 地 域 の 活 性 化 に と っ て 重 要 で す 。 で は 、「 赤 谷 の 森 」で は 、ど の よ う な 条 件 に あ る 場 所 が 、木 材 生 産 の 役 割 を 十 分 に 果 た す 土 地 の 力 を も っ て い る と 考 え ら れ る の で し ょ う か 。「 赤 谷 の 森 」の 自 然 条 件 か ら み て 、 ス ギ ・ ヒ ノ キ は お お む ね 標 高 8 0 0 m ま で 、 カ ラ マ ツ で は 1 2 0 0

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m ま で が 限 界 で あ る と 思 わ れ ま す 。 ま た 、 局 所 的 な 地 形 や 土 壌 条 件 も 重 要 で す 。 今 後 も 、人 工 林 の 生 育 に 適 し た 土 地 で は 人 工 林 の 利 用 を 進 め ま す が 、現 在 の「 赤 谷 の 森 」に は 、人 工 林 の 生 育 に 適 し た 場 所 以 外 に も 、人 工 林 が 植 え ら れ て い ま す 。 標 高 、 積 雪 量 、 土 壌 、 傾 斜 な ど か ら 判 断 さ れ る 、 人 工 林 の 生 育 に 適 さ な い 土 地 で は 、 本 来 あ る べ き 自 然 林 に 取 り も ど し て い く こ と が 必 要 で す 。 ( 5 ) 希 少 な 植 物 「 赤 谷 の 森 」 に は 、 8 2 2 種 の 高 等 植 物 が 生 育 し 、 こ れ ら の 種 の う ち 、 ノ カ ラ マ ツ 、 ヤ シ ャ ビ シ ャ ク 、 イ ヌ ノ フ グ リ な ど 2 5 種 が 絶 滅 の お そ れ の あ る 野 生 動 植 物 と し て 、 全 国 版 、 群 馬 県 版 の レ ッ ド リ ス ト に 掲 載 さ れ て い ま す 。 赤 谷 地 域 の 植 物 相 は 、 太 平 洋 側 の 種 が 主 体 と な る 一 方 で 、 日 本 海 側 要 素 が 多 数 含 ま れ 、 ま た 、 谷 川 連 峰 付 近 に 分 布 す る 蛇 紋 岩 系 の 要 素 が 含 ま れ る こ と が 特 徴 で す 。 こ れ ら 植 物 種 に は 個 体 数 が 極 め て 少 な い も の が あ り 、 地 域 の 特 色 あ る 生 態 系 を 保 全 す る 観 点 か ら 、 希 少 な 種 の 絶 滅 に つ な が る 採 集 や 盗 掘 は 防 が れ な け れ ば な り ま せ ん 。

2 - 3 . 野 生 動 物 の 現 状

( 1 ) 猛 禽 類 「 赤 谷 の 森 」 に は 、 さ ま ざ ま な 生 物 が 生 息 し て い る た め 、 こ れ ら の 生 物 を 獲 物 と す る 猛 禽 類 の 種 類 も 多 く 、こ れ ま で イ ヌ ワ シ 、ク マ タ カ 、オ オ タ カ 、ハ イ タ カ 、 ツ ミ 、 ノ ス リ 、 ハ チ ク マ 、 サ シ バ 、 ト ビ 、 オ ジ ロ ワ シ ( 冬 に 1 回 の み ) の 1 0 種 が 記 録 さ れ て い ま す 。こ れ ら 猛 禽 類 は 、山 地 性 の 大 型 猛 禽 類 か ら 、里 に 暮 ら す 種 、 ま た 繁 殖 の た め 東 南 ア ジ ア か ら 日 本 に 渡 来 す る ハ チ ク マ や サ シ バ ま で 、 さ ま ざ ま な 種 が 「 赤 谷 の 森 」 を 利 用 し て い ま す 。 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト で は 、 こ の う ち 、 森 林 生 態 系 の 食 物 連 鎖 の 上 位 に 位 置 す る 大 型 猛 禽 類 で あ り 、 絶 滅 危 惧 種 で あ る イ ヌ ワ シ と ク マ タ カ に 着 目 し て 、 両 種 の 生 活 を モ ニ タ リ ン グ し て い ま す 。 「 赤 谷 の 森 」 は 、 北 方 系 の イ ヌ ワ シ と 南 方 系 の ク マ タ カ の 両 種 が 生 息 す る こ と の で き る 、 貴 重 な 地 域 の ひ と つ で あ り 、 こ れ ま で の 調 査 で も 、 イ ヌ ワ シ が 1 ペ ア ( オ ス と メ ス の つ が い )、ク マ タ カ が 5 ペ ア( 隣 接 す る ペ ア を 含 む )生 息 し て い る こ と が 確 認 さ れ て い ま す 。 こ こ で は 、 両 種 の 生 息 環 境 の う ち 、 獲 物 と な る 動 物 が 生 息 す る 環 境 、 営 巣 環 境 、 狩 り ( ハ ン テ ィ ン グ ) 環 境 に 着 目 し て 、 こ れ ま で の モ ニ タ リ ン グ の 成 果 を ま と め ま す 。

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① イ ヌ ワ シ 「 赤 谷 の 森 」 に は 、 イ ヌ ワ シ が 1 ペ ア 生 息 し て い ま す 。 赤 谷 ペ ア と 呼 び ま す 。 イ ヌ ワ シ の 行 動 範 囲 は 広 い の で 、 ま だ 充 分 な デ ー タ は 得 ら れ て い ま せ ん が 、 1 9 9 3 ~ 2 0 0 9 年 に 行 わ れ た 調 査 で 次 の よ う な こ と が わ か っ て い ま す 。 ・ 赤 谷 ペ ア は 、 過 去 5 年 間 に お い て 3 回 、 繁 殖 に 成 功 し て い る こ と か ら 、 生 息 お よ び 繁 殖 に 必 要 な 最 低 限 の 生 息 場 所 ( ハ ビ タ ッ ト ) は 確 保 さ れ て い る も の と 考 え ら れ る 。 ・ 日 本 に お け る イ ヌ ワ シ の 主 要 な 獲 物 は ノ ウ サ ギ 、 ヤ マ ド リ 、 ヘ ビ 類 で あ り 、 赤 谷 ペ ア も ノ ウ サ ギ 、 ヘ ビ 類 を 捕 食 し て い る こ と が 確 認 さ れ た 。 ・ 狩 り 場 は 、 夏 緑 広 葉 樹 の 展 葉 期 に は 高 標 高 の 自 然 草 地 や 岩 地 が 主 体 で あ り 、 落 葉 期 に は 壮 齢 な 夏 緑 広 葉 樹 林 を 利 用 し て い る 傾 向 が 見 ら れ た 。 し か し 、 赤 谷 ペ ア の 行 動 圏 は 、「 赤 谷 の 森 」 の 外 に も 広 が っ て い る た め 、「 赤 谷 の 森 」 で 十 分 な 狩 り 場 が 確 保 で き て い る の か ど う か を 評 価 す る に は 、 更 な る 調 査 が 必 要 で あ る 。 ・ 赤 谷 ペ ア の 行 動 圏 で あ る 赤 谷 源 流 エ リ ア 、 小 出 俣 エ リ ア 、 法 師 ・ ム タ コ 沢 エ リ ア に お い て 、 1 9 9 0 年 以 降 、 イ ヌ ワ シ が 狩 り 場 と し て 利 用 で き る 伐 採 跡 地 や 若 齢 の 人 工 林 の 分 布 は 限 ら れ て は い た も の の 、 利 用 さ れ て い た 可 能 性 が あ る 。 し か し 、 現 時 点 で 赤 谷 ペ ア が 狩 り 場 と し て 利 用 で き る 伐 採 地 や 若 齢 の 人 工 林 は 存 在 し て い な い 。 ・ 赤 谷 ペ ア の 営 巣 場 所 は 、 上 昇 気 流 の 発 生 し や す い 切 り 立 っ た 断 崖 の 岩 場 で 、 赤 谷 川 本 流 上 流 域 に 限 ら れ て い る 。 こ の 場 所 は 他 に 代 替 の 場 所 が な い 、 重 要 な 場 所 で あ る 。 ② ク マ タ カ 「 赤 谷 の 森 」 に は 、 ク マ タ カ が 5 ペ ア ( 隣 接 す る ペ ア を 含 む ) 確 認 さ れ 、 人 里 に 近 く 人 工 林 面 積 の 多 い エ リ ア に も 適 応 し て 生 息 し て い ま す 。 す べ て の ペ ア の 詳 細 な デ ー タ は 得 ら れ て い ま せ ん が 、 2 0 0 4 ~ 2 0 0 9 年 に 行 わ れ た 調 査 で 次 の よ う な こ と が わ か っ て い ま す 。 ・ ク マ タ カ 5 ペ ア は 、 概 ね 2 年 に 1 回 の 割 合 で 繁 殖 に 成 功 し て い る こ と か ら 、 生 息 お よ び 繁 殖 に 必 要 な 最 低 限 の 生 息 場 所 ( ハ ビ タ ッ ト ) は 確 保 さ れ て い る も の と 考 え ら れ る 。 ・「 赤 谷 の 森 」に 生 息 す る ク マ タ カ は 、森 林 に 生 息 す る 様 々 な 中 小 動 物 を 捕 食 し て い る こ と が 明 ら か と な っ た ( 表 1 )。

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表 1 5 ペ ア の ク マ タ カ に つ い て 確 認 さ れ た 餌 動 物 ヘ ビ 類 ( ア オ ダ イ シ ョ ウ 、 シ マ ヘ ビ ) 鳥 類 ( キ ジ 、 ヤ マ ド リ 、 ド バ ト 、 ク ロ ツ グ ミ 、 カ ケ ス 、 カ ラ ス sp.) 哺 乳 類 ( モ グ ラ 類 、 ネ ズ ミ 類 、 モ モ ン ガ 、 ム サ サ ビ 、 ホ ン ド リ ス 、 ノ ウ サ ギ 、 ニ ホ ン ザ ル 、 イ タ チ の 仲 間 ) ・ ク マ タ カ は 広 い 林 内 空 間 が あ る 森 林 ( 主 に 老 齢 林 ) や 林 縁 な ど を 狩 り 場 と し て 利 用 す る 傾 向 が あ り 、「 赤 谷 の 森 」に お い て も 、調 査 地 点 数 が 少 な い も の の 同 様 の 傾 向 が 確 認 さ れ た 。 ・「 赤 谷 の 森 」に 生 息 す る ク マ タ カ 5 ペ ア の う ち 4 ペ ア は 、土 砂 流 出 防 備 保 安 林 に 営 巣 木 が 存 在 し 、 い ず れ も モ ミ や 広 葉 樹 の 大 径 木 ( 樹 高 2 0 ~ 3 0 m 、 胸 高 直 径 1 m 前 後 ) に 営 巣 し て い る 。 ( 2 ) ほ 乳 類 こ れ ま で の 調 査 で 、「 赤 谷 の 森 」に 生 息 す る ほ 乳 類 は 、4 8 種 が 確 認 さ れ て い ま す ( 次 ペ ー ジ の 表 3 参 照 )。 4 8 種 の 中 に は 、 外 来 種 で あ る ハ ク ビ シ ン 、 ノ イ ヌ 、 ノ ネ コ も 含 ま れ ま す が 、 本 州 に 生 息 す る 在 来 ほ 乳 類 の 多 く が 確 認 さ れ ま し た 。 近 隣 地 域 と 比 べ 、 欠 落 し て い る 種 は 見 受 け ら れ な い こ と か ら 、 ほ 乳 類 の 生 息 環 境 と し て 、 比 較 的 良 好 な 状 態 で 保 た れ て い る と 考 え ら れ ま す 。 一 方 で 、 群 馬 県 で は ニ ホ ン ジ カ や イ ノ シ シ の 分 布 拡 大 が 見 ら れ 、 新 治 地 区 に お い て は ニ ホ ン ザ ル が 集 落 の 畑 地 へ 出 没 し 、 農 作 物 被 害 が 生 じ て い る 実 態 が あ り ま す 。「 赤 谷 の 森 」に お い て は 、ニ ホ ン ジ カ の 分 布 域 は 限 ら れ 、森 林 の 摂 食 状 況 か ら 、 進 入 の ご く 初 期 段 階 と 考 え ら れ ま す 。 今 後 の 森 林 管 理 に 当 た っ て は 、 こ れ ら の こ と に も 注 意 し て 経 過 を 観 察 す る と と も に 、 こ れ ら ほ 乳 類 の 適 切 な 保 護 管 理 を 進 め る こ と が 求 め ら れ て い ま す 。 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト で は 、こ れ ら の ほ 乳 類 の う ち 、「 赤 谷 の 森 」に 広 く 分 布 す る 中 型 ほ 乳 類 の ホ ン ド テ ン と 、大 型 ほ 乳 類 で 地 域 の 関 心 も 高 い ニ ホ ン ザ ル に 着 目 し て 、 両 種 の 生 活 を モ ニ タ リ ン グ し て い ま す 。

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表2  「赤谷の森」 ほ乳類目録(2010年3月現在)

科 種名 全国(2007年) 群馬県(2000年) モグラ科 ヒメヒミズ ホンシュウヒミズ ミズラモグラ 準絶滅危惧 コモグラ トガリネズミ科 ホンシュウトガリネズミ 準絶滅危惧 アズマトガリネズミ 準絶滅危惧 準絶滅危惧 ニホンカワネズミ 準絶滅危惧 ジネズミ オナガザル科 ホンドザル ウサギ科 ノウサギ リス科 リス モモンガ 準絶滅危惧 ムササビ 注目 ヤマネ科 ヤマネ 準絶滅危惧 ネズミ科 ハタネズミ ホンドアカネズミ ホンドヒメネズミ ニイガタヤチネズミ 注目 カゲネズミ スミスネズミ 準絶滅危惧 ウシ科 ニホンカモシカ 注目 クマ科 ニホンツキノワグマ 注目 イヌ科 ホンドタヌキ ホンドギツネ ノイヌ(外来種) イタチ科 ホンドテン 準絶滅危惧 ホンドイタチ 注目 ホンドオコジョ 準絶滅危惧 アナグマ 注目 ジャコウネコ科 ハクビシン(外来種) ネコ科 ノネコ(外来種) イノシシ科 イノシシ シカ科 ニホンジカ キクガシラコウモリ科 キクガシラコウモリ コキクガシラコウモリ ヒナコウモリ科 モモジロコウモリ カグヤコウモリ 絶滅危惧Ⅱ類 注目 ヒメホオヒゲコウモリ ヒナコウモリ 絶滅危惧Ⅱ類 注目 ユビナガコウモリ ニホンウサギコウモリ 絶滅危惧Ⅱ類 注目 テングコウモリ 絶滅危惧Ⅱ類 注目 コテングコウモリ 絶滅危惧Ⅱ類 注目 レッドリスト      注:赤谷プロジェクト調査の他、以下の文献を参照しました。      ①群馬県高等学校教育研究会生物部会編,『群馬県動物誌』,1985年.      ②群馬県,『赤谷川源流地域学術調査報告書Ⅱ』,1989年. (参考) レッドリスト:絶滅のおそれのある野生動植物種を掲載した一覧      絶滅危惧Ⅱ類:絶滅の危険性が増大している種      準絶滅危惧:生息条件の変化によっては、絶滅危惧に移行する可能性のある種      注目:今後も生息状況や環境の変化に十分注目する必要がある種

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① ホ ン ド テ ン の 食 性 を 通 じ た 森 林 環 境 の モ ニ タ リ ン グ ホ ン ド テ ン は 、「 赤 谷 の 森 」に 広 く 分 布 す る 中 型 ほ 乳 類 で 、動 物 や 植 物( 主 と し て 液 果 ) を 幅 広 く 食 し ま す 。 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト で は 、 2 0 0 5 年 か ら 、 ホ ン ド テ ン の 糞 の 内 容 物 を 分 析 し 、 以 下 の 事 柄 を 明 ら か に し て い ま す 。 ・「 赤 谷 の 森 」に 生 息 す る ホ ン ド テ ン は 、春 先 か ら 夏 に か け て ネ ズ ミ 類 、昆 虫 類 な ど 動 物 食 に 、 秋 か ら 初 冬 に か け て は 植 物 食 に そ れ ぞ れ 偏 る 傾 向 が あ る 。 ・ 植 物 食 は 、 サ ル ナ シ 、 ウ ラ ジ ロ ノ キ 、 オ オ ウ ラ ジ ロ ノ キ 、 ツ ル ウ メ モ ド キ な ど を 集 中 し て 食 し て い る 。こ れ ら 餌 植 物 は 年 に よ っ て 豊 作・不 作 が あ る た め 、 ホ ン ド テ ン の 糞 の 分 析 か ら 、 餌 植 物 の 豊 凶 の 傾 向 が 示 唆 さ れ る 。 ・ 将 来 の 森 林 の 変 化 に よ っ て 、 ホ ン ド テ ン の 採 餌 環 境 が ど の よ う に 変 化 を 見 せ る か 、 そ の 比 較 の 基 と な る デ ー タ が 得 ら れ て い る 。 ② ニ ホ ン ザ ル の 遊 動 域 の モ ニ タ リ ン グ ニ ホ ン ザ ル は 、「 赤 谷 の 森 」に 広 く 分 布 す る 大 型 ほ 乳 類 で 、多 く は 群 れ で 生 活 す る 性 質 が あ り ま す 。 雑 食 性 で 、「 赤 谷 の 森 」 に お い て も ブ ナ な ど 広 葉 樹 の 芽 や 実 、 樹 皮 、 ヤ マ ブ ド ウ 、 サ ル ナ シ な ど 多 様 な 食 物 を 食 し て い ま す 。 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト で は 、2 0 0 4 ~ 2 0 0 9 年 に 行 っ た 調 査 で 、以 下 の 事 柄 を 明 ら か に し て い ま す 。 ・「 ナ ガ イ 群 」は 、春 か ら 夏 に か け て 行 動 範 囲( 遊 動 域 )を 三 国 峠 周 辺 ま で 広 げ る 一 方 、 秋 か ら 冬 に か け て は 行 動 範 囲 を 永 井 、 吹 路 の 集 落 周 辺 に 極 端 に 狭 め て い る 。 ・「 ナ ガ イ 群 」 は 、 2 0 0 8 年 以 降 、 集 落 へ の 依 存 度 が 増 え て い る 傾 向 が あ る 。 ( 3 ) 特 異 な 生 物 相 を 有 す る 場 仏 岩 エ リ ア に 位 置 す る 「 南 ヶ 谷 湿 地 」 は 、 周 辺 を ス ギ 林 に 囲 ま れ て い ま す が 、 1 , 0 0 0 m を 超 え る 標 高 に あ り 、 き わ め て 貧 栄 養 な 湧 水 を 水 源 と し 、 他 に 代 替 で き な い 特 異 な 環 境 を 構 成 し て い る 約 2 ヘ ク タ ー ル の 湿 地 で す 。 こ の 湿 地 に は 、 周 辺 を 含 め て 1 7 種 類 の 絶 滅 危 惧 種 ( 動 植 物 ) が 生 息 ・ 生 育 し て い る こ と が 確 認 さ れ て い ま す 。 し か し 、 過 去 の 人 為 や 周 辺 の 森 林 施 業 に よ り 、 短 期 間 の う ち に 土 砂 が 流 入 し た 形 跡 が あ り 、 近 年 、 ヨ シ が 増 加 し 、 湿 地 に 特 有 の 絶 滅 危 惧 種 の 生 育 環 境 が 縮 小 を 余 儀 な く さ れ て い ま す 。 周 辺 の 環 境 を 含 め て 、 本 来 の 環 境 を と り も ど す 必 要 が あ る と 考 え ら れ ま す 。 ( 4 ) 人 工 物 の 現 状 と 生 物 多 様 性 「 赤 谷 の 森 」 に は 、 山 地 の 崩 壊 に よ る 災 害 を 防 ぐ た め 、 昭 和 2 0 年 代 か ら 治 山 ダ ム ( 堰 堤 ) な ど の 人 工 物 が 設 置 さ れ て き ま し た 。 こ れ ら は 森 林 の 保 全 と と も に 下 流 域 に あ る 民 家 や 公 共 施 設 を 土 砂 災 害 か ら 守 る 効 果 を 果 た し て き ま し た が 、 一

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方 で イ ワ ナ や カ ワ ネ ズ ミ な ど が 生 息 す る 渓 流 の 連 続 性 を 分 断 し て き た こ と も 事 実 で す 。 ま た 、 道 路 や 林 道 は 、 人 間 の 生 活 や 産 業 に 欠 か せ な い も の で す が 、 森 林 の 生 態 系 を 分 断 し 、 外 来 の 生 物 の 侵 入 経 路 と な る な ど 、 環 境 へ の 影 響 も 大 き い も の に な っ て い ま す 。 下 の 図 8 は 、「 赤 谷 の 森 」に 設 置 さ れ て い る 治 山 ダ ム や 道 路 な ど 、人 工 物 の 状 況 を ま と め た も の で す 。 図 8 「 赤 谷 の 森 」 に 設 置 さ れ た 人 工 物 ( ダ ム 、 道 路 ) の 現 状

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2 - 4 . 地 域 と 森 林 と の か か わ り

( 1 ) 地 域 の 精 神 性 を 支 え る 森 林 「 赤 谷 の 森 」 に は 十 二 社 ノ 峰 と 名 づ け ら れ た 山 が あ り 、 赤 谷 地 区 、 永 井 地 区 に あ る 十 二 神 社 は 、 そ れ ぞ れ 地 域 の 山 神 と し て 祀 ら れ て い ま す 。 小 出 俣 山 の 7 合 目 あ た り に は 、 小 瀬 宮 と 呼 ば れ る 石 宮 が あ り 、 古 く は 雨 乞 い の た め に 登 っ て 祈 願 を 行 っ た と い う こ と で す 。こ の よ う に 、「 赤 谷 の 森 」の 山 々 は 、地 域 の 精 神 性 を 支 え る 信 仰 の 対 象 と さ れ て い ま し た 。 ( 2 ) 旧 三 国 街 道 を 中 心 と し た エ コ ツ ー リ ズ ム 「 赤 谷 の 森 」の 南 西 部 を 通 る「 旧 三 国 街 道 」( 旧 三 国 街 道 エ リ ア )は 、1 ,0 0 0 年 以 上 の 歴 史 を 持 ち 、 江 戸 時 代 に は 幹 線 道 路 と し て 活 用 さ れ 、 多 く の 著 名 な 文 人 に よ り 、 歌 や 句 に 詠 ま れ て い ま す 。 現 在 は 、 一 部 が 中 部 北 陸 自 然 歩 道 に 指 定 さ れ 、 み な か み 町 観 光 ま ち づ く り 協 会 を 中 心 と し た 地 元 観 光 関 係 者 に よ っ て 歴 史 街 道 の 観 点 を 中 心 に 広 報 さ れ 、 四 季 折 々 の 自 然 で 観 光 客 を 楽 し ま せ て い ま す 。 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト で は 、 2 0 0 7 年 か ら 、 旧 三 国 街 道 と か つ て の 採 草 地 へ の 道 等 を 「 フ ッ ト パ ス ( 散 策 路 )」 網 と し て 活 用 す る た め の と り く み を 始 め て い ま す 。 2 0 0 8 年 に 現 地 調 査 を 行 っ た 結 果 、 旧 三 国 街 道 は 「 赤 谷 の 森 」 の 多 様 な 森 林 生 態 系 を 身 近 に 感 じ る こ と の で き る 環 境 が 整 っ て い る も の の 、 公 共 交 通 機 関 に よ る

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ア ク セ ス が 困 難 、 自 然 情 報 を も と に し た 情 報 発 信 物 や プ ロ グ ラ ム が 整 備 さ れ て い な い 、 一 部 に 手 入 れ 不 足 の 人 工 林 ( カ ラ マ ツ 、 ス ギ ) や 藪 に 覆 わ れ た 広 葉 樹 二 次 林 も 見 ら れ 、 景 観 向 上 に 資 す る 何 ら か の 取 組 み が 必 要 、 な ど の 課 題 が あ る こ と が わ か り ま し た 。 な お 、み な か み 町 が 平 成 2 0 年 3 月 に ま と め た 、「 水 と 森 を 育 む エ コ タ ウ ン み な か み( ふ る さ と の 資 源 を 活 か し た 地 域 振 興 構 想 )」で は 、そ の 施 策 指 針 の 中 で 、赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト に お い て 自 然 保 護 型 ツ ー リ ズ ム の ノ ウ ハ ウ を 蓄 積 し 、 み な か み 町 全 域 で エ コ ツ ー リ ズ ム の 展 開 を 図 る こ と が 記 述 さ れ て い ま す 。 ( 3 ) 水 源 ・ 温 泉 源 法 師 ・ ム タ コ 沢 エ リ ア に 位 置 す る ム タ コ 沢 流 域 は 、 猿 ヶ 京 地 区 を 中 心 と す る 地 域 の 上 水 道 の 水 源 に な っ て い ま す 。 ま た 、 赤 谷 地 区 、 猿 ヶ 京 地 区 の 一 部 等 は 赤 谷 川 支 流 の 小 沢 を 簡 易 水 道 と し て 利 用 し て い ま す 。 ま た 「 赤 谷 の 森 」 は 、 猿 ヶ 京 温 泉 、 川 古 温 泉 、 法 師 温 泉 な ど 温 泉 資 源 の 源 と な る 森 で 、 特 に 法 師 温 泉 で は 、 源 泉 を 分 析 し た と こ ろ 、 5 0 年 ほ ど 前 に 降 っ た 雨 が 徐 々 に し み こ み 、 地 中 で 温 め ら れ 、 自 噴 し て い る こ と が わ か っ て い ま す 。 保 水 力 の あ る 森 や 土 壌 が 、 地 域 の 水 源 ・ 温 泉 源 を 支 え て い ま す 。 ( 4 ) 学 校 教 育 ・ 社 会 教 育 の 場 と し て の 「 赤 谷 の 森 」 み な か み 町 立 新 治 小 学 校 で は 、 5 年 生 、 6 年 生 の 遠 足 を 、 大 峰 山 と 旧 三 国 街 道 で 実 施 し て い ま す 。 事 前 学 習 、 当 日 の 学 習 に は 、 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト 関 係 者 が 協 力 し て い ま す 。み な か み 町 立 新 治 中 学 校 で は 、1 年 生 の 総 合 的 な 学 習 の 中 で 、「 赤 谷 の 森 」 の 生 物 多 様 性 に つ い て 学 ぶ 機 会 を 設 け て い ま す 。 群 馬 県 立 利 根 実 業 高 等 学 校 で は 、 1 年 生 が 進 路 選 択 す る 際 の 参 考 と な る よ う 、 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト の 活 動 か ら 森 林 ・ 林 業 や 生 物 多 様 性 に つ い て 学 ぶ と と も に 、 猛 禽 類 の 観 察 実 習 な ど を 行 っ て い ま す 。放 送 大 学 群 馬 学 習 セ ン タ ー で は 、赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト の 活 動 や 意 義 、「 赤 谷 の 森 」 の 豊 か な 自 然 に つ い て 学 ぶ 面 接 授 業 や 現 地 解 説 を 実 施 し て い ま す 。 2 0 0 8 年 1 1 月 に は 、「 多 様 な 自 然 の 気 づ き 方 、伝 え 方 、エ コ ツ ー リ ズ ム へ の つ な げ 方 」 を テ ー マ に 「 環 境 教 育 ・ 関 東 ミ ー テ ィ ン グ 2008AKAYA」 を 開催 し 、 関 東 圏 で 環 境 教 育 に 取 り 組 む 幅 広 い 関 係 者 が 交 流 を 深 め ま し た 。 ま た 、「 赤 谷 の 森 」の 玄 関 口 に 位 置 す る「 い き も の 村 」を 拠 点 に 、赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト の 理 念 に 共 感 し 活 動 に 協 力 す る サ ポ ー タ ー が 、 プ ロ ジ ェ ク ト 関 係 者 と と も に 相 互 研 修 を 行 う 「 赤 谷 の 日 」 が 、 新 治 地 区 の 水 源 で あ る ム タ コ 沢 流 域 で は 、 地 域 住 民 が 水 源 林 の 役 割 に つ い て 学 び 、 そ の 保 全 を 実 践 す る 「 ム タ コ の 日 」 が 、 そ れ ぞ れ 開 催 さ れ て い ま す 。

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こ の よ う に 、 地 域 住 民 は 、 水 源 、 観 光 資 源 、 教 育 の 場 に 加 え 、 集 落 の 裏 山 と し て 「 赤 谷 の 森 」 の 日 常 的 な 利 用 を 行 っ て い ま す が 、 住 民 意 見 聴 取 の 機 会 や 、 森 の 歴 史 に 関 す る 聞 き 取 り 調 査 で は 、 地 域 住 民 の 日 常 生 活 と 森 林 と の か か わ り が 希 薄 に な っ て い る こ と が 指 摘 さ れ て い ま す 。

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3 . 取 り 組 む べ き 課 題

以 上 で み た よ う に 、 「 赤 谷 の 森 」 は 、 多 様 な 自 然 環 境 を 形 成 し 、 猛 禽 類 を は じ め と す る 様 々 な 野 生 動 物 の 生 息 の 場 と な っ て い る 一 方 で 、 薪 炭 利 用 や 人 工 林 な ど 人 々 に 利 用 さ れ 、 地 域 住 民 の 生 活 と 密 接 に 関 わ っ て き た 森 林 も 存 在 し て い ま す 。 こ れ ら の こ と を 踏 ま え て 、 生 物 多 様 性 の 復 元 と 持 続 的 な 地 域 づ く り を 通 じ て 、 人 と 自 然 の 関 係 の 見 直 し と 新 た な 共 生 の 姿 の 構 築 と い う 目 的 を 達 成 す る た め に 、 次 の よ う な 課 題 に 取 り 組 む 必 要 が あ り ま す 。

3 - 1 . 課 題 を 抽 出 す る 際 の 前 提 と な る 目 標

( 1 ) 生 物 多 様 性 と 生 態 系 機 能 の 向 上 ・ 修 復 戦 前 か ら の 産 業 的 活 用 の 後 、 拡 大 造 林 に よ っ て 1 万 ヘ ク タ ー ル の 「 赤 谷 の 森 」 の う ち 約 3 割 の 面 積 が 人 工 林 と な り 、 治 山 ダ ム 等 に よ っ て 渓 流 の 上 下 の 連 続 性 が 損 な わ れ て い る よ う に 、 生 物 多 様 性 を 育 む 森 と 渓 流 の 生 態 系 機 能 が 劣 化 し て い る こ と が 懸 念 さ れ る こ と か ら 、 こ の 機 能 を 向 上 ・ 修 復 す る 必 要 が あ り ま す 。 ( 2 ) 地 域 自 然 環 境 の 確 実 か つ 科 学 的 な 保 全 の 実 現 こ の よ う に 生 物 多 様 性 の 劣 化 が 危 惧 さ れ る 「 赤 谷 の 森 」 は 、 希 少 種 で あ る と 共 に 地 域 自 然 の 豊 か さ の 指 標 で あ る 、 ツ キ ノ ワ グ マ 、 イ ヌ ワ シ 、 ク マ タ カ な ど の 重 要 な 生 息 地 に な っ て い ま す 。 こ れ ら の 種 が 生 息 す る よ り よ い 自 然 環 境 を 保 全 す る た め に 、 総 合 的 に 把 握 し 、 森 林 生 態 系 管 理 を 進 め て い く 必 要 が あ り ま す 。 ( 3 ) 自 然 資 源 の 管 理 ・ 活 用 を 通 じ た 持 続 的 な 地 域 づ く り へ の 貢 献 「 赤 谷 の 森 」は 、木 材 や 地 域 の 水 源・温 泉 源 な ど 自 然 資 源 を 供 給 す る と と も に 、 地 域 住 民 の 原 風 景 を 形 成 し 、 自 然 体 験 や 環 境 教 育 の 場 を 提 供 し て い ま す 。 こ れ ら は 生 態 系 サ ー ビ ス と 呼 ば れ 、 安 全 、 豊 か さ 、 健 康 、 社 会 の 絆 の 基 礎 と な る も の で す 。「 赤 谷 の 森 」を 自 然 環 境 の 持 続 的 利 用 の た め の 基 本 と し て 維 持 し つ つ 、効 果 的 に 活 用 し 、 持 続 的 な 地 域 づ く り を 進 め て い く 必 要 が あ り ま す 。

3 - 2 . 個 別 の 課 題

( 1 )生 物 多 様 性 の 高 い 森 林 へ の 誘 導 生 物 多 様 性 保 全 の 観 点 か ら 、 「 赤 谷 の 森 」 に お い て は 、 気 象 、 地 形 、 地 質 等 の 自 然 的 条 件 に よ り 本 来 生 育 し て い た と 考 え ら れ る 、 多 様 な 樹 種 ・ 年 齢 の 樹 木 や 下 層 植 生 か ら な り 、 そ の 環 境 に 適 し た 動 物 が 本 来 の 生 息 状 態 を 維 持 で き る 森 林 ( 潜

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在 自 然 植 生 )を 目 標 と す る こ と が 望 ま し い と 考 え ら れ ま す 。こ の た め 、現 在 、「 赤 谷 の 森 」 の 一 部 を 占 め る 針 葉 樹 単 一 樹 種 ・ 同 一 年 齢 の 森 林 ( 人 工 林 ) の う ち 相 当 程 度 を 、 科 学 的 ・ 技 術 的 合 理 性 に 基 づ い て そ の よ う な 本 来 の 植 生 に 誘 導 し て い く こ と が 課 題 で す 。 ( 2 ) 生 物 多 様 性 保 全 と 資 源 の 循 環 的 な 利 用 と の 両 立 資 源 の 有 効 な 利 用 の 観 点 か ら 、 人 工 林 を 自 然 林 へ と 誘 導 し て い く 際 、 木 材 の 資 源 と し て の 利 用 を 考 慮 す る こ と が 必 要 で す 。 ま た 、 立 地 条 件 に 恵 ま れ る 一 部 の 人 工 林 で は 、 当 面 、 生 物 多 様 性 に 配 慮 し つ つ 木 材 生 産 を 継 続 的 に 行 い 、 生 物 多 様 性 保 全 と 資 源 の 循 環 的 な 利 用 と の 両 立 を 図 っ て い く た め の 知 見 を 確 立 す る こ と も 重 要 な 課 題 で す 。 ( 3 ) 水 源 か ん 養 機 能 の 向 上 赤 谷 川 の 集 水 域 で あ る 「 赤 谷 の 森 」 は 、 新 治 地 区 の か け が え の な い 水 源 で あ る と と も に 、 首 都 圏 の 水 源 と な っ て い る 利 根 川 上 流 に 位 置 す る こ と か ら 、 水 源 林 と し て 重 要 な 役 割 を 担 っ て お り 、 水 源 か ん 養 機 能 の 向 上 を 目 指 し た 森 林 管 理 を 実 施 し て い く 必 要 が あ り ま す 。 ( 4 ) 森 林 文 化 ・ 景 観 を 構 成 す る 場 と し て の 価 値 の 共 有 地 域 固 有 の 信 仰 、 郷 土 の 原 風 景 を 構 成 す る 場 と し て 、 森 林 は そ の 自 然 的 機 能 だ け で な く 、 文 化 的 な 価 値 を 有 し て い ま す 。 地 域 社 会 の 絆 や 住 民 の 精 神 性 を 支 え る 存 在 と し て の 森 林 の 価 値 を 向 上 さ せ て い く と と も に 、旧 三 国 街 道 エ リ ア な ど で は 、 教 材 や 観 光 ・ レ ク リ エ ー シ ョ ン 資 源 と し て の 期 待 に 応 え 、 森 林 と 人 と の ふ れ あ い を 充 実 さ せ て い く こ と が 課 題 で す 。 ( 5 ) 野 生 動 物 と の 共 存 以 前 は 山 奥 で し か 見 か け る こ と の な か っ た ニ ホ ン ザ ル や ツ キ ノ ワ グ マ 等 が 森 に 隣 接 し た 耕 作 地 で 農 作 物 被 害 を 発 生 さ せ た り 、 ヤ マ ビ ル の 分 布 が 拡 大 す る な ど 、 自 然 環 境 と 人 間 の 関 係 に ゆ が み が 生 じ て お り 、 民 有 地 を 含 ん だ 里 山 の 管 理 と と も に 、 奥 山 に 相 当 す る 「 赤 谷 の 森 」 に つ い て も 、 人 の 生 活 と の か か わ り を 考 え る 必 要 が あ り ま す 。 ( 6 ) 治 山 の あ り 方 生 物 多 様 性 の 保 全 ・ 復 元 を 図 り つ つ 管 理 し て い く 「 赤 谷 の 森 」 に お い て は 、 治 山 施 設 に つ い て 、 防 災 上 の 必 要 性 の み な ら ず 、 施 設 が 森 林 生 態 系 に 与 え る 影 響 を 考 慮 し 、 施 設 の あ り 方 を 検 討 す る 必 要 が あ り ま す 。 2 0 0 9 年 1 1 月 に は 、 防 災

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機 能 と 渓 流 の 連 続 性 の 確 保 の 両 立 を 図 り つ つ 、 茂 倉 沢 に お い て 治 山 ダ ム の 中 央 部 を 実 験 的 に 撤 去 し た と こ ろ で あ り 、 そ の 応 答 と 効 果 の 科 学 的 な 検 証 を 進 め て い く 必 要 が あ り ま す 。 図 1 0 2 0 0 9 年 1 1 月 に 中 央 部 を 撤 去 し た 茂 倉 沢 2 号 治 山 ダ ム ( 7 ) 周 辺 地 域 と 一 体 と な っ た 地 域 生 態 系 の 管 理 赤 谷 地 域 の 森 林 生 態 系 は 、 国 有 林 で あ る 「 赤 谷 の 森 」 ( 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト ・ エ リ ア ) の 範 囲 の み で 完 結 す る も の で は な く 、 教 育 ・ 観 光 ・ レ ク リ エ ー シ ョ ン 資 源 と し て の 向 上 や 野 生 動 物 と の 共 存 等 に つ い て は 、 隣 接 す る 民 有 林 や 民 有 地 と の 連 携 し た 管 理 が 求 め ら れ ま す 。 こ の た め の 協 議 の 場 づ く り や 連 携 し た 実 験 的 取 り 組 み を 進 め る 必 要 が あ り ま す 。 ( 8 ) モ デ ル 地 域 に ふ さ わ し い 管 理 の 枠 組 み と 知 見 の 集 積 人 工 林 の 自 然 林 へ の 誘 導 や 、 渓 流 の 連 続 性 を 確 保 し た 治 山 の あ り 方 な ど 、 望 ま し い 状 況 を 達 成 す る た め の 知 見 は 十 分 で は な く 、 体 系 的 な 技 術 と し て い く た め に は 長 期 間 を 要 し ま す 。 こ の た め 、 体 系 的 な 調 査 と 実 験 を 行 い 、 技 術 の 確 立 に 向 け て 知 見 を 集 積 し て い く 必 要 が あ り ま す 。

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4 . 順 応 的 管 理 の 考 え 方

「 赤 谷 の 森 」 に お い て 行 わ れ る 植 生 管 理 ・ 森 林 施 業 、 治 山 事 業 等 は 、 地 域 の 生 態 系 の 構 成・構 造・機 能 を 維 持 す る と 同 時 に 持 続 的 な 地 域 づ く り に 資 す る た め に 、 生 物 間 の 相 互 作 用 や 生 態 系 の プ ロ セ ス に 関 す る 最 善 の 知 識 に 基 づ く モ ニ タ リ ン グ と 科 学 的 な 評 価 と 検 証 に 基 づ き 、 順 応 的 に 実 施 さ れ る こ と を 原 則 と し ま す 。 こ の た め 、 赤 谷 プ ロ ジ ェ ク ト で 行 わ れ る 複 数 の モ ニ タ リ ン グ の 成 果 を 常 に 参 照 し 、 途 中 段 階 で の 結 果 を 評 価 ・ 検 証 し な が ら 、 よ り よ い 結 果 が 得 ら れ る よ う に 、 順 応 的 管 理 の 考 え 方 に 基 づ い て 事 業 計 画 を 柔 軟 に 見 直 し て い き ま す 。 ま た 、 森 林 が も つ 防 災 や 水 源 か ん 養 機 能 を 維 持 す る た め 、 現 在 の 森 林 環 境 を 大 規 模 か つ 急 激 に 変 化 さ せ る こ と は 回 避 す る よ う 、 そ の 手 法 を 的 確 に 選 択 し ま す 。 図 1 1 順 応 的 管 理 の イ メ ー ジ

5 .「 赤 谷 の 森 」 の 管 理 の あ り 方

5 - 1 . 望 ま し い 森 林 の 姿

森 林 は 本 来 、 気 象 、 地 形 、 地 質 な ど の 自 然 的 条 件 に よ り 多 様 な 姿 を な し 、 そ の 各 々 の 姿 が 存 在 す る こ と に よ っ て 、 そ れ ぞ れ に 適 し た 野 生 生 物 の 生 息 ・ 生 育 環 境 と な り 、 人 間 が 持 続 的 に 自 然 資 源 を 活 用 す る な ど 、 さ ま ざ ま な 価 値 を 生 み 出 し ま す 。「 赤 谷 の 森 」で は 、生 態 系 の プ ロ セ ス が 作 り 出 す 本 来 あ る べ き 自 然 林( 潜 在 自 然 植 生 ) を 中 心 と し た 森 の 姿 を 、 達 成 す る こ と と し ま す 。 こ の た め 、 残 さ れ た 良 好 な 自 然 林 を 保 全 し つ つ 、 人 工 林 に つ い て は 自 然 林 へ の 誘 導 を 行 い ま す 。 一 方 、 木 材 生 産 機 能 は 持 続 的 な 自 然 資 源 利 用 の 代 表 的 な も の で あ り 、 立 地 条 件 が 適 し て い る 場 所 で は 、 当 面 、 生 物 多 様 性 保 全 に 配 慮 し つ つ 、 そ の 機 能 を 維 持 し て い く こ と と し ま す 。 ま た 、 自 然 資 源 利 用 に は 薪 や 炭 な ど の エ ネ ル ギ ー 源 、 し い た け 原 木 な ど の 利 用 も 考 え ら れ 、 生 物 多 様 性 保 全 に 配 慮 し つ つ 、 必 要 に 応 じ て 検 討 し ま す 。

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( 1 ) 自 然 林 と し て 維 持 す べ き 森 林 現 状 が 自 然 林 で あ る 森 林 に つ い て は 、 当 面 は 、 原 則 と し て 自 然 の 推 移 に 委 ね る も の と し ま す 。 ( 2 ) 人 工 林 か ら 自 然 林 へ と 誘 導 す べ き 森 林 単 一 の 樹 種 ・ 年 齢 の 樹 木 が 広 が る 人 工 林 に 比 べ て 、 自 然 林 は 、 多 様 な 種 や 年 齢 の 樹 木 が 生 育 す る こ と に よ り 、 野 生 動 物 が 暮 ら す た め に 必 要 な 食 物 や ね ぐ ら を 豊 富 に 提 供 す る こ と が で き 、 生 育 す る 植 物 や 菌 類 ( き の こ な ど ) の 種 数 も 人 工 林 に 比 べ て 豊 か で あ る と い わ れ て い ま す 。「 赤 谷 の 森 」で 生 物 多 様 性 の 復 元 を 図 っ て い く た め に は 、 人 工 林 を 、 こ う し た 本 来 あ る 自 然 林 に 誘 導 し て い く こ と が 望 ま し い と 考 え ら れ ま す 。こ の た め 、潜 在 自 然 植 生 へ の 誘 導 を 基 本 と し 、そ れ を 将 来 の 望 ま し い 森 林 の 姿 と し ま す 。 ( 3 ) 木 材 生 産 機 能 を 維 持 す べ き 人 工 林 生 物 多 様 性 を 高 め る た め 、 人 工 林 を 自 然 林 へ 誘 導 す る こ と は 重 要 で あ る 一 方 、 自 然 林 ほ ど 生 物 多 様 性 保 全 機 能 が 発 揮 で き な い も の の 、 木 材 の 継 続 的 な 生 産 を 第 1 に 考 え 、 木 材 生 産 機 能 と 生 物 多 様 性 の 保 全 を 両 立 す る モ デ ル を つ く る こ と も 、 持 続 的 な 地 域 振 興 を 図 る 観 点 か ら 重 要 と 考 え ら れ ま す 。 当 面 、 木 材 生 産 機 能 を 維 持 す べ き 人 工 林 と し て は 、 仏 岩 エ リ ア 及 び 合 瀬 谷 エ リ ア を 中 心 に 、 地 力 が あ り 成 長 が 旺 盛 で 、 既 に 路 網 が 整 備 さ れ て い る と こ ろ が 望 ま し い と 考 え ら れ ま す 。 そ の 際 、 人 工 林 が ま と ま る エ リ ア で は 、 様 々 な 樹 種 か ら な る 自 然 林 と 様 々 な 林 齢 の 人 工 林 が 適 宜 配 置 さ れ る こ と で 、 森 林 の 多 様 化 を め ざ し 、 野 生 生 物 の 生 息 環 境 と し て の 機 能 も 維 持 す る こ と と し ま す 。 特 に 、 沢 ・ 尾 根 沿 い は 自 然 林 へ 誘 導 し 、 山 腹 の 人 工 林 の 内 部 に は 、 潜 在 自 然 植 生 を 構 成 す る 樹 木 が 一 部 に 入 っ て い る よ う な 管 理 を め ざ し ま す 。

5 - 2 . 人 工 林 か ら 自 然 林 へ と 誘 導 す べ き 森 林 の 当 面 の 取 扱 い

積 極 的 に 自 然 林 へ 誘 導 し て い く た め の 知 見 を 集 積 す る た め 、 試 験 地 を 体 系 的 に 設 定 し 、 そ れ ぞ れ の 試 験 目 的 に 応 じ た 伐 採 を 行 い ま す 。 た だ し 、 現 在 、 人 工 林 の う ち 間 伐 の 適 期 で あ る 2 5 ~ 6 0 年 生 の 森 林 が 全 体 の 約 9 0 % を 占 め て い る こ と か ら 、 当 面 は 自 然 林 へ の 誘 導 を 念 頭 に お き つ つ 、 主 と し て 間 伐 を 実 施 し ま す 。 な お 、 分 収 林 に つ い て は 、 契 約 に 基 づ き 伐 採 を 行 い ま す 。 ( 1 ) 人 工 林 か ら 自 然 林 へ と 誘 導 す る 試 験 地 の 設 定 以 下 の 考 え 方 に 基 づ い て 、 天 然 更 新 に よ っ て 人 工 林 を 自 然 林 へ 効 果 的 に 誘 導 す

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る た め の 知 見 を 得 る た め 。 試 験 地 を 体 系 的 に 設 定 し ま す 。 ① 対 象 樹 種 人 工 林 の う ち 、 面 積 が 多 く 、 そ れ ぞ れ 性 質 の 異 な る ス ギ 林 、 カ ラ マ ツ 林 を 対 象 と し ま す 。 な お 、 下 層 植 生 に サ サ 類 が 生 育 し て い る と こ ろ は 、 サ サ 類 の 拡 大 が 懸 念 さ れ る た め 、 当 面 は 大 規 模 に 伐 開 す る こ と は 避 け る こ と と し ま す 。 ② 伐 採 方 法 人 工 林 を 群 状 、 帯 状 ( 概 ね 2 0 m 幅 か ら 1 0 0 m 幅 ま で 段 階 的 に 設 定 ) に 伐 採 し 、 自 然 林 の ま と ま り が 形 成 さ れ る こ と を 促 進 し ま す 。 現 地 で 予 測 さ れ る 潜 在 自 然 植 生 タ イ プ ( ブ ナ ・ ミ ズ ナ ラ 林 、 ク リ ・ コ ナ ラ 林 ) に 応 じ て 伐 採 区 の 形 状 ・ 面 積 を 設 定 し ま す 。 な お 、 本 来 は 渓 畔 林 が 構 成 さ れ る よ う な 沢 沿 い で は 、 伐 採 に よ っ て 森 林 が 一 時 的 に な く な る こ と で 、 大 雨 時 に は 土 砂 流 出 な ど が 懸 念 さ れ る こ と か ら 、 林 分 の 状 況 に 応 じ て 個 別 に 伐 採 の 進 め 方 を 検 討 し ま す 。 ③ 条 件 設 定 こ れ ま で の 知 見 に よ れ ば 、 現 時 点 で 人 工 林 に 進 入 し た 自 然 林 の 混 交 率 や 潜 在 自 然 植 生 と の 類 似 度 は 、 1 代 目 人 工 林 と 2 代 目 人 工 林 で 違 い が 見 ら れ る こ と か ら 、 人 工 林 の 施 業 履 歴 を 踏 ま え て 試 験 箇 所 を 設 定 し ま す 。 ④ 検 証 項 目 主 と し て 、 伐 採 区 の 形 状 ・ 規 模 、 周 辺 の 自 然 林 と の 距 離 、 伐 採 前 の 自 然 林 の 混 交 率 、 傾 斜 ・ 方 位 な ど 立 地 環 境 に 応 じ た 、 天 然 更 新 の 可 能 性 を 把 握 す る こ と と し ま す 。 ⑤ 調 査 方 法 伐 採 区 と 対 照 区 の 中 に 、 主 と し て 1 0 m ×1 0 m の 調 査 区 を 条 件 に 応 じ て 複 数 設 け 、 天 然 更 新 し た 樹 種 の 毎 木 調 査 な ど を 実 施 し ま す 。 ま た 生 物 多 様 性 復 元 の 観 点 か ら 、 野 生 動 物 の 生 息 環 境 の 変 化 等 を 追 跡 す る デ ー タ を 収 集 し ま す 。 ⑥ 成 果 の 反 映 試 験 地 で 得 ら れ た 知 見 は 、 次 期 計 画 に 反 映 さ せ る こ と と し ま す 。 ⑦ 考 慮 事 項 伐 採 木 の 搬 出 可 能 性 の 観 点 か ら 、 林 道 ・ 作 業 道 か ら の 距 離 が で き る だ け 近 い と こ ろ を 考 慮 し ま す 。 ( 2 ) そ の 他 の 森 林 の 当 面 の 取 扱 い 自 然 林 へ の 誘 導 を 念 頭 に お き つ つ 、 主 と し て 間 伐 を 実 施 し ま す 。 こ の 場 合 の 伐 採 率 は 、 3 5 % ( 材 積 比 ) 以 内 と し ま す 。 間 伐 の 方 法 は 、 立 地 条 件 や 水 土 保 全 機 能 の 維 持 に 配 慮 し 、 人 工 林 に お け る 生 物 多 様 性 の 向 上 が 期 待 で き る 、 下 層 植 生 の 発 達 し や す い 光 環 境 を 形 成 す る た め 、 列 状 間 伐 を 積 極 的 に 採 用 し ま す 。 伐 採 率 は 、 風 害 等 を 受 け る お そ れ の あ る 場 合 を 除

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き 、 で き る 限 り 高 め に 設 定 し ま す ( た だ し 法 令 等 の 制 限 内 と し ま す ) 。 伐 採 の 際 に は 、 林 内 に 入 り 込 ん で い る 高 木 性 の 自 然 木 は 、 伐 採 作 業 の 支 障 と な ら な い 範 囲 で 、 積 極 的 に 保 残 し ま す 。

5 - 3 . 木 材 生 産 機 能 を 維 持 す べ き 人 工 林

生 物 多 様 性 の 保 全 と 木 材 の 継 続 的 な 生 産 の 両 立 を 図 る 人 工 林 に つ い て は 、 当 面 、 仏 岩 エ リ ア 及 び 合 瀬 谷 エ リ ア を 中 心 に 次 の よ う な 施 業 を 行 い ま す 。 ( 1 ) 間 伐 人 工 林 の 密 度 管 理 を 目 的 と し て 実 施 し ま す 。 木 材 の 効 率 的 な 搬 出 や 猛 禽 類 の 探 餌 環 境 を 考 慮 し て 、 残 存 木 の 配 置 や 樹 冠 の 閉 鎖 に 支 障 の な い 範 囲 で 出 来 る 限 り 列 状 間 伐 を 行 い ま す 。伐 採 の 際 に は 、人 工 林 内 に 入 り 込 ん で い る 高 木 性 の 自 然 木 は 、 伐 採 作 業 の 支 障 と な ら な い 範 囲 で 、 積 極 的 に 保 残 し ま す 。 ( 2 ) 主 伐 原 則 と し て 8 0 年 生 を 下 限 と す る 長 伐 期 施 業 を 行 い ま す 。 現 在 は 2 5 ~ 6 0 年 生 の 人 工 林 が 多 く を 占 め る た め 、 当 面 は 、 生 物 多 様 性 保 全 と 資 源 の 循 環 的 な 利 用 と の 両 立 を 志 向 し た 施 業 体 系 の 検 討 を 深 め る こ と と し ま す 。

5 - 4 . 特 別 の 取 扱 い が 必 要 な 対 象 と そ の 取 扱 い の 考 え 方

次 に 掲 げ る 森 林 及 び 地 域 に つ い て は 、 上 記 に 加 え て 、 次 の 方 針 に 従 っ て 取 り 扱 う も の と し ま す 。 ( 1 ) 法 師 ネ ズ コ 植 物 群 落 保 護 林 古 く か ら 学 術 参 考 保 護 林 と し て 保 護 措 置 が と ら れ 、 現 在 は 植 物 群 落 保 護 林 と な っ て い る ネ ズ コ 林 を 維 持 す る た め 、 定 期 的 に モ ニ タ リ ン グ を 実 施 し 、 必 要 に 応 じ 植 生 保 護 等 の 措 置 を 講 ず る こ と と し ま す 。 ( 2 ) 湿 地 周 辺 の 人 工 林 保 全 す べ き 湿 地 に つ い て は 、 現 状 保 全 を 第 一 に 考 慮 し 、 湿 地 へ の 土 砂 流 入 を 押 さ え 乾 燥 化 を 抑 制 す る こ と を 基 本 と し つ つ 、 集 水 域 に あ る 人 工 林 に つ い て 、 将 来 的 に は 本 来 の 自 然 林 へ 誘 導 す る た め の 伐 採 を 検 討 し ま す 。 そ の 際 、 伐 採 に よ っ て 湿 地 を 涵 養 し て い る 水 環 境 に 変 化 を 及 ぼ さ な い 対 策 が 必 要 で あ り 、 地 質 の 観 点 か ら 、 湿 地 に 影 響 を 与 え る 周 辺 域 に 関 す る 知 見 を 収 集 し た 上

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で 、 そ の 取 扱 い の 詳 細 を 検 討 す る こ と と し ま す 。 ( 3 ) 富 士 新 田 の ス ギ の 高 齢 級 人 工 林 仏 岩 エ リ ア の 富 士 新 田 集 落 近 く に あ る ス ギ の 巨 木 は 、 日 光 杉 並 木 の 普 請 の 際 、 富 士 新 田 集 落 の 住 民 が 働 き に 出 た 見 返 り に 持 ち 帰 り 、 植 え ら れ た と い わ れ て い ま す 。 こ の ス ギ 高 齢 級 人 工 林 の 生 育 環 境 保 全 の た め 、 周 辺 森 林 の 環 境 を 含 め 取 扱 い を 慎 重 に 行 う こ と と し ま す 。 ( 4 ) ム タ コ 沢 流 域 新 治 地 区 北 部 の 上 水 道 の 水 源 と な っ て い る ム タ コ 沢 流 域 の 、 水 源 か ん 養 機 能 を 維 持 ・ 向 上 さ せ る 取 り 組 み を 実 施 し ま す が 、 森 林 と 水 源 か ん 養 機 能 の 関 係 に つ い て は 未 解 明 な こ と が 多 く 、 管 理 に つ い て の 知 見 を 深 め る 必 要 が あ り ま す 。当 面 は 、下 層 植 生 の 発 達 し や す い 光 環 境 を 形 成 す る た め の 間 伐 を 実 施 す る と と も に 、 住 民 参 加 に よ る 水 源 林 の 保 全 活 動 を 進 め ま す 。 ( 5 ) 旧 三 国 街 道 周 辺 旧 三 国 街 道 は 、 散 策 路 と し て 観 光 資 源 ・ 教 材 と な っ て い る た め 、 街 道 沿 い の 景 観 形 成 に 資 す る 管 理 を 進 め る 必 要 が あ り ま す 。 ま た 歩 道 の 整 備 や 教 育 ・ レ ク リ エ ー シ ョ ン 利 用 の 促 進 の た め 、 関 係 す る ワ ー キ ン グ グ ル ー プ で ソ フ ト 対 策 を 含 め て 検 討 を 行 い ま す 。 ● 富士新田のスギ ● 法師ネズコ 保護林 ムタコ沢 流域 旧三国街道周辺 図 1 2 特 別 の 取 扱 い が 必 要 な 対 象

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5 - 5 . 林 道 等 の 整 備

今 後 、 人 工 林 を 自 然 林 へ 誘 導 す る 場 合 に お い て も 、 人 工 林 を 維 持 し て い く 場 合 に お い て も 、 森 林 施 業 を 行 い 伐 採 し た 樹 木 を 搬 出 す る 上 で は 、 林 道 等 の 維 持 管 理 や 新 設 が 必 要 と な り ま す 。 一 方 で 、 林 道 の 開 設 は 森 林 を 分 断 し 、 自 然 環 境 へ の 負 荷 も 大 き い た め 、 費 用 便 益 に 加 え て 生 物 多 様 性 へ の 影 響 を 予 測 し つ つ 、 と り う る 手 段 の 最 適 性 を 十 分 に 検 討 し て い く こ と と し ま す 。

5 - 6 . 渓 流 環 境 の 保 全

本 来 の 渓 流 環 境 を 保 全 ・ 復 元 す る た め 、 渓 流 の 連 続 性 の 確 保 を 図 り 、 茂 倉 沢 治 山 事 業 か ら 得 ら れ る 渓 流 独 特 の 生 物 の 生 態 や 土 砂 流 出 の 状 況 な ど の モ ニ タ リ ン グ 結 果 を 活 用 し て い く こ と に よ り 、 防 災 と 流 域 の 生 物 多 様 性 の 保 全 と の 両 立 を 目 指 し ま す 。

表 1   5 ペ ア の ク マ タ カ に つ い て 確 認 さ れ た 餌 動 物   ヘ ビ 類 ( ア オ ダ イ シ ョ ウ 、 シ マ ヘ ビ ) 鳥 類   ( キ ジ 、 ヤ マ ド リ 、 ド バ ト 、 ク ロ ツ グ ミ 、 カ ケ ス 、 カ ラ ス sp.) 哺 乳 類 ( モ グ ラ 類 、 ネ ズ ミ 類 、 モ モ ン ガ 、 ム サ サ ビ 、 ホ ン ド リ ス 、 ノ ウ サ ギ 、 ニ ホ ン ザ ル 、 イ タ チ の 仲 間 )   ・ ク マ タ カ は 広

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