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富山県昆虫同好会が所蔵する故坂井憲三氏収集の富 山県産トンボ類

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(1)

富山県昆虫同好会が所蔵する故坂井憲三氏収集の富 山県産トンボ類

著者 鈴木 邦雄, 根来 尚

雑誌名 富山市科学文化センター研究報告

7

ページ 23‑33

発行年 1985‑03‑20

URL http://repo.tsm.toyama.toyama.jp/?action=repos itory̲uri&item̲id=511

(2)

徳山市科学文化センター研究報告第7‑f,pp.23‑33(1985)

富山県昆虫同好会が所蔵する故坂井憲三氏収集の富山県産トンボ類*,*率

鈴 木 邦 雄 富山大学敬養部生物学教室';

根 来 尚 富山市科学文化センター2;

TheOdonateSpecimenscollectedinToyamaPrefecture,Honshu, Japan,bytheLateMr.KenzoSakai(1878‑1943)preserved

intheToyamaEntomologicalSociety

KunioSuzuki

DepartmentofBiology,CollegeofLiberalArts,ToyamaUniversity^

IlisashiNegoro

4.Z

TovamaScienceMuseum

The24odonatespecimens,whichwerecollectedinToyamaPrefecture,Honshu,Japan,

bythelatePvlrKenzoSakai(18781943)about80yearsagoandpreservedintheToyama EntomologicalSociety,wereexamined.Theywerecomposedofthefollowing17species belongingto7families:CoenagrionidaeC27iolierogc""r(Brauer)1^,Ceriagion 腕9m""ノ?"〃Selys1$;Platycnemididae‑Cofie>〃α""""to(Selys)1*;Caloptervgidae‑

a/ たγMxαか面雌Selys1$,h'lnak)iaivaiYamamoto(f.)mwm)2'SS;Gomphidae‑Trigomp/"fs

》"e血沈かIS(Selys)1$,Asiago"ゆ/"岱沈elaenops(Selys)1$1^,〃加昭0"ゆ/"《Sc"ノα//^(Fabricius) l早;Aeshnidae‑A" ノ'"lenobejuliiisBrauer1S1^;Corduliidae‑助"/z α加α壇"ノαな (Selys)2総;Libellulidae‑Lwγ0"l""バクα(、ノノygastra(Selys)1^,O℃"z""庵sgγ"lia(Drury》

1$1早.oノ'"letn"〃αノ6応八;/"脚speciosum(Uhler)1$,Ryothe抑階加惣加osaSelys11,Nannophya ')唇加αeflR.AMBURl^,Sym〆"""7伽ノ'z(!〃〃""ノ〃(Selys)2$$,Sympe""伽だ""c舵〃(Selys)2麓 Thecorrespondencybetweenthesespecimensandthe"species"listedinMr.Sakai's"Acatalog ofinsectsfromTovamaPrefecture"(1908)werestudied.Ofthe28"species"listedin Mr.Sakai's℃atalog"Libe"""α"geliノnaSelys(Libellulidae)wasconsideredtoIseoneby probablemisidentification.

まった目録(『富山県産昆虫分類目録』。以下

『目録』と呼ぶ)を作成した人物として知られ ている。坂井氏の略歴並びに富山県の昆虫相 は じ め に

砺波市出身の故坂井憲三氏(1878‑1943)

は,1908年に富山県産昆虫類の初めてのまと

*富山大学教養部生物学教室研究業繊第108号**富山市科学文化センター研究業績第44号.

1)〒930富山市五福3'Gofuku,Toyama‑shi,930Japan

2)〒930‑11富山市西中野町*'Nishinakano‑machi,Toyama‑shi,930‑11Japan

(3)

鈴 木 州 雄 ・ 根 来 尚

の解明に果した役割などについては,山中浩 氏が富山県昆虫同好会々誌「Amicaj27号に紹介 しておられる(山中,1982a,b)。坂井氏が『目 録』作成の基礎にしたと推定される標本類は:

最近御遺族から富山県昆虫同好会に寄贈され,

現在山中氏によって保管されている。坂井氏 の『目録』には,富山県産として1,115柿の昆 虫類が挙げられているが,これは当時の日本 の昆虫学の水準を考えるならば,極めて充実 したものとしてその功績は高く評価されるべ きである。県昆虫同好会に寄贈された標本頬 のうち,鱗迩目(72種)および鞘遡目(17種〉

に つ い て は , 既 に 山 中 氏 か 報 告 し て お ら れ る (山中,1984)。

筆者らは,富山県産トンボ相についての報 文(鈴木邦雄・根来尚・板倉範枝:富山県の トンボ相.富山市科学文化センター研究報告.

第8号発表予定)をまとめる過程で,水野透氏 より坂井氏の標本の存在についての情報を得、

山中氏が保管しておられる標本類のうち,ト ンボ類の全てを借用し,詳細に研究する機会 を持つことができた。坂井氏の『目録』には.

後述のように計28ぃ種〃のトンボ類が挙げら れている。その中には,1937年に中村誠喜氏 によって二度目の報告がなされたものの,そ の後富山県下からは絶えて確実な採集記録の ない「ベッコウトンボ」と「ハラビロトンボ も含まれている。従って,坂井氏の『目録』

の基礎となった標本類が現存しているという 事実は,単に歴史的な関心を引くばかりでな く,富山県のトンボ相を論じる上でも見過す こ と の で き な い 重 要 な 意 義 を 持 っ て い る と 言 わねばならない。筆者らは,幸いにして,借 覧した24個体の標本の全てを同定することか でき,『目録』中に挙げられた富山県産トンボ 類の実体をほぼ明らかにすることができた。

この小文では,筆者らの研究結果を報告する。

本文に入るに先立ち,これら貴重な標本類 の研究を快諾された富山県昆虫同好会(田中

2

忠次会長)並びに文献等についても全面的に 御 協 力 い た だ い た 同 会 の 山 中 浩 ・ 水 野 透 両氏に深謝の意を表する。

故坂井憲三氏収集の富山県産トンボ類 現存する坂井憲三氏収集のトンボ類の標本 は,計24個体あり(図1,図版I‑iv).虫ピンの腐 蝕が甚だしいが80年以上前の標本としては極 めて保存状態が良い。24個体中21個体は,和 名の記されたラベルが付されているのみで,

産地名.採集年月日・採集者名なと傘の具体的 な採集データは全く不明である。残りの3個 体には何のラベルも付されてはいない。なお,

筆者らの研究が一旦終了し,本稿脱稿後,新 たに三角紙包みの標本が1個体発見された。

それは,ハラビロトンボ早であり,その発見 は本稿の内容に重大な影響を与え,多くの個 所を改訂さぜるをえなかった。しかし,他の 全ての標本類とラベル類には既に整理番号も 付し,それに従って論稿を進めたこと,さら に標本類は保管上極めて悪い状態にあったた め,今後なお長期の保管に1mえるよう個体ご とに特別の容器に密封したこと,などから,

このハラビロトンボ¥の標本は整理番号〔32〕

を付して扱うこととした。この点読者の了解 を請いたい。

ラベルには大小2種類があり,いずれも印 刷されたものにほとんどは毛筆で和名のみが 認められている。大形ラベルは,計27枚あり,印 刷面が45inin×12iiiiiiの横堀長方形で,上方左端 に「品名」,同じく右方より約路の位置に「NOj, 上から約%の位置に点線の横線があ'),その 下欄左端に「産地」,同じくほぼ'二│」央に「採集」

の文字がそれぞれ印冊IJされている。このラベ ルは,その書式からも明治39年(1906年)8 月1−5日に富山市で開催された富山県教育 大会の参考作品として出品展示された昆虫標 本用に特別に作成されたものではないかと推 定される。この大形ラベルには,「品名」欄に

(4)

篇山リ「{昆虫│前1好会が所蔵する故坂井窓三氏収喋の富山県産トンボ類

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図|坂井憲三氏収集の富山県産トンボ類の標本

(ここには,本稿脱稿後発見されたハラビロトンボ¥は含まれていない)

毛筆で和名のみが記されている。それには平われる名和昆虫研究所あたりから購入したも 仮名で書かれたものと片‑仮名で書かれたもののではないかと推定される。なお,ラベルに とがあるが,その使い分けには特別の理由は記された*11名には「トンボ」と「トンボ」の なさそうである。虫体が失われ,ラベルのみ2椛顛の用法が見られるが,筆者らの知')得 が残っているものの中に,「むぎわらとんぼ(シた限')リ富山県地方にはトンボ類を「トンポ」

ホヤトンボ¥)」と記されたものがあ'),それと文字通')に呼ぶ方言は存在しないので,筆 らの書体からも,現存するラベルは全て同一癖によるものとみなして良いと考えられる。

人,おそらく坂井氏自身,によって認められ しかし,本報においては,一貫して坂井氏の たものと判断されるのである。一方,′l、形ラ記した通りに引用することにした。

ベルは,わずか2枚しかなく,この2枚のうほぼ間違いなくセスジイトトンボ¥(図版 ベルのみ和名がペン字で認められている。1I‑la)と同定される標本が糊付けされてい 枚はハッチョウトンボ¥に,他はナツアカネた台紙袈面にペン字で「36.6.16○○○近傍$」

8に付されたもので,これら2標本にはいずの走│)書きが認められる(図版I‑lb)。標本 れも大形ラベルは付されていない。この小形は¥であるから,そもそもこの走り書きがこ

うベルは,印刷面が縦19iiim×横12i川''の縦型で,の標本に対して成されたものかどうかについ 両面に印刷され.一方には右から「I患名」,「雌ても疑問の余地があるが,その「34」の数字 雄別」および「採集人」の文字が,その裏面は明冷34年(1901年)を指すと解釈するのが には同じく右から「明論舟年月日」,「採自然であ│)、しかも『目録』が前述の明論39 集地名」および「採集場所」の文字がそれぞ年(1906年)8月に富山市で開催された県教 れ印刷されている。これは,大形ラベルのよ育大会に出品展示された昆虫標本に基づいて うに展示会用に特別に印l[1IJされたものではな作成されたものであるという推定とも矛盾し

〈,坂井氏が緊密な連絡をはかっていたと思ない。|」̲│中氏(1984)によって報告された鱗

25

(5)

鈴 木 邦 雄 ・ 根 米 尚

遡目や鞘迩目の標本類も,ほとんどの採集デ ータが不明であi),しかもデータが明記され ているものの中に県外の地名が含まれている ことから,テ鴨一タ不明の収集品が全て県内産 かどうか疑問であるという。トンボ類に関し ては,後述のように,現存する標本類と『目 録』中に挙げられた種とが極めてよく対応す る。従って,これらは基本的に坂井氏によっ て収集された富山県内産の標本類であるとみ なして差支えないであろう。セスジイトトン ボ¥の標本台紙裏面に記された産地を示すと 思われる三文字は,残念ながら完全には判読 できず,特定することができない。一応,第 一文字は「三」または「元」,第二文字は「金」

または「里」,第三文字は「渡」のようにそれ ぞれ読めるが,いずれも│断定しえない。産地 名であれば,氏の出身地である砺波市周辺で ある可能性が最も高いと考え,砺波市郵便局 にも間合せたが,それらしい地名は見当らな いとの回答を得た。また,セスジイトトンボ

¥と同様,厚手の台紙に糊付けされたモノサ シトンボ早(図版1‑3)とキイトトンボ$

(図版1‑2)の台紙裏面には全く何の記載も 見当らない。この他,産地名や採集年月日な どを示すと思われるような記述は全く存在し ないので,現存する標本の全てがセスジイト

トンボギと同一産地において同一年月日に採集

されたものであるかどうかも全く判断の手か かりがない。『目録』中に採集データが全く記 されていない事情については,坂井氏自身か 冒頭の序文中に「参考部の調査出品に関して は尚継続拡張して調査研究する方針なるを以 て其調査完了の暁を侯ち綱を分ちて記録をも のせんことを期す殊更本回の記録をば省略す ることとなしぬ要は本部を重視したるに基く のみ読者之を諒せよ唯一部本県特有産博物標 本目録を登載せり」と記していることから,

いずれ採集記録を付したより完全な目録とし て発表する意図があったことを窺い知ること

26

ができる。坂井氏は,『目録』作成に当っての 事情を更に要約次のように述べている:1調 査を委嘱されてから教育大会開催迄の期間が 短かかった為,分布や発生期を明らかにする

ことができず,学名などの記入の時間がなか った;2.種名は同定しえないが所属科名の明 らかなものは『目録』中に加えたが,所属科 名の不明な100余種は除外した;3.その他科目 は明らかだが新種と思われる37枕は,後日名 和昆虫研究所・の名和梅吉氏によって発表され ることを期待する;4.普通種だが標本作成の 時間がない為『目録』から除外したものが数 十種ある;5.秋季に発生する昆虫類,特にコ

オロギ科の数種は〔教育大会が8月上旬に開 催される為一鈴木・根来〕標本が得られず,

止むをえず除外した;6.江尻豊太郎氏より、変

'18人たろう

種〃100,種〃を提供された。〔江尻豊太郎氏 は,富山県射水郡の人で,名和昆虫研究所毒の 主催した第1回全国昆虫展覧会(1901年)の 昆虫標本の出品者中にその名が見える(名和 昆虫研究所編輯部編,1902年)]・

以下,筆者らの検した現存する241IA1体のト ンボ類の標本およびそれらに付されていたラ ベル類を挙げる。標本およびラベル類には,

〔〕内に整理番号を付した。ラベルの付され た標本が多いので,標本とラベルとはセットに

して同一整理番号を付し,前者をa.後者をb とした。また,本稿ては必要に応じて大形ラ ベルをA,小形ラベルをBと呼ぶことにする。

坂井氏が記した和名を「」内に示した。ラベ ルのみのものには,24‑31の整理番号をC) 内に示した。本稿脱稿後新たに発見されたハ ラビロトンボ¥の標本には〔32〕の整理番号を 付し,標本類の末尾に追加して扱った。

故坂井憲三氏収集のトンボ類標本目録 1.セスジイトトンボα?でio〃〃eroglyphicum

(Brauer)^‑[la],ラベルA[lb]:「いと とんぼ」(図版1‑la)。

(6)

富山県昆虫同好会が所蔵する故坂井悲三氏収集の富山県産トンボ類

縦38iiiiii×横35iiiiiiの厚手の台紙に糊付けされ,

台紙裏面に「34.6.16○○○近傍8」との 走)書きがある(図版I‑lb)。虫体はほぼ 完全。台紙裏には3とあるが,本標本は早 である。○○○の三字は既述のように完全 には判読できない。

2.キイトトンボα agrio泥加g血"" "刀Selys

$2alラベルar2b):「きいととんぼ

$¥」(図版1‑2)。

約45iiim角の厚手台紙に糊付けされており,

虫体はほぼ完全。ラベル下柵に「$早」

とあることから、早の標本も存在したもの と推定される。

3.モノサシトンボCope畑αnnulata(Selys) 早C3a,ラベルarab]:「ものさしとん ぼ$平」(図版1‑3)。

縦62mm×横52mmの厚手の台紙に糊付けされ ており,虫体はほぼ完全である。〔2〕と同 様 , ラ ベ ル 下 側 に 「 $ 早 」 と 記 さ れ て い るので,3の標本も存在したものと推定さ れる。

4.ハグロトンボCalopteryxatrataSelyst 4a],ラベルAr4b]:「ハグロトンポ」

(図版1‑4)。

右前脚が欠けている程度で,ほぼ完全な展 迩標本。テネラルな個体である。

5.オオカワトンボM"αisnaiuaiYamamoto {i.na加ai)t[Sa],ラベルA[Sb]:「カ ワトンポ」(図版1‑5)。

かなり破損した展迩標本であるが,虫体各 部はよく残っている。典型的な燈色遡型$

である。

6.オオカワトンボMmた〃αivaiYamamoto f.ノmwai)t[6a],ラベルA[6b]:「ヤ ナギトンポ」(図版1‑6)。

破損が甚し〈,右前・後迩が失われている。

〔5〕同様,典型的な構色趨咽3°テネラル な個体で、ある。

7.コサナエTrigomphnsme敗畑pus(Selys》

2

$[7a],ラベルA[7b]:「サナヘトンボ言

(図版II‑1)。

破損が甚し〈,右前通は失われている。し かし,胸側部の斑紋パタンや尾端付属器の 形状は明瞭に本種のものと認識できる。

8.ヤマサナエAsiagomp〃幡加gねenops (Selys)$[8a],ラベルA[8b]:「ヒメヤマ

トンポ」(図版11‑2)。

虫体はほぼ完全。展趨標本。

9.ヤマサナエAsiagomphusmelaenops (Selys)早[9a],ラベルA[9b]:「ヒメヤン マ」(図版II‑3I

左前遡が失われているが,他はほぼ完全。

展迩標本。

10.ウチワヤンマ此""ogo加,hlisclavatus (Fabricius)早[10a],ラベルA[10b]:

「ウチワトンポ」(図版II‑4=

ほぼ完全品。横差し標本。

11.ギンヤンマAnaxpatイカenopeノ""z s BrauerJ[11a],ラベルA[lib]:「ギ ンヤンマ」(図版II‑5)。

ほぼ完全な展遡標本。

12.ギンヤンマAnaxpa〃んenopeノ""zzs Brauer^[12],ラベルなし。

(図版II‑6)。

ほぼ完全な展迩標本。

13.トラフトンボ邸j勉eaz〃 増加α/(Selys)

$[13a],ラベルA[13b]:「サナヘトン ポ」(図版Ⅱ1‑1)。

1m部がやや破損している横差し標本。やや テネラルな個体である。

14.トラフトンボ動"〃 α加α増加α〃(Selys》

$[Ma],ラベルA[14b]:「トラフトン ポ」(図版Ill‑2K

胸部がやや破損している横差し標本。やや テネラルな個体である。

15.ショウジョウトンボCrocothemisseγ""わ

(Drury)$[15a],ラベルA[15b]:「セ ウゼウトンボ」(図版Ill‑3:。

(7)

鈴 木 } ¥ > 雄 ・ 根 来 尚

胸 部 が や や 破 恨 し て い る が , ほ ぼ 完 全 な 展 迩標本。

16.ショウジョウトンボo℃ 的endsservi"α (Drury)早[16],ラベルなし。

(図版Ill‑4)。

ほぼ完全な展遡標本。

17.シオカラトンボOγ的 抑畑αあぶvγ況沈 speciosum(Uhler)$[17a],ラベルA[17 b]:「シホヤトンボ」(図版Ill‑5)。

や や胸 部が破 損 してい る が ,ほぼ完全な展 遡標本。

18.チョウトンボRyotルemisful垣加osaSelys t[18a],ラベルA[18b]:「テフトンボ」

(図版IⅡ−6)。

かな0破損しているが,虫体各部はよく残 っている。展遡標本。

19.ハッチョウトンボNa""ophyapvgmaea Rambur*[19a],ラベルB[19b]:「テ ウトンポ」(図版Ⅳ−la,lb)。

右 前 遡 が 失 わ れ て い る が , 他 は よ く 残 っ て いる。展遡標本。

20.ナツアカネSympe""獅血γ加加j"""畑 (Selys)$[20a],ラベルB[20b]:「ナツ

アカ子」(図版Ⅳ−2)。

ほぼ完全な展迩標本。

21.ナツアカネSympeか""z伽γ加加な""柳 (Selys)$[21a].ラベルA[21b]:「ナツ アカ子」(図版Ⅳ−3)。

胸部の破損が甚しいが他はよく残っている。

検差し標本。テネラルなtisi体である。

22.マイコアカネSym"""柳h""c舵〃(Selys)

$[22a].ラベルA[22b]:「コウスバト ンボ」(図版Ⅳ−4)。

胸 部 は か な り 破 描 し て い る が , 他 は ほ ぼ 完 全に残っている。横差し標本。

23.マイコアカネSvmpetγ" ルunckeli(Selys》

J[23a],ラベルA[23b]:rうすいろな つあかね8¥」(図版Ⅳ−5)。

右 前 遡 が 失 わ れ て い る が , 他 は 比 較 的 よ く

2§

残っている。ラベルに「8¥」とあるの で,早の標本も存在したものと推定される。

24.ハラビロトンボLynothe沈む"chygasか〃

(Selys)*[32],ラベルなし.

(図版Ⅳ−6)。

三角紙包の標本として、本稿脱稿後発見さ れた。虫体はほぼ完全である。

以 下 は , 残 念 な が ら 虫 体 が 完 全 に 失 わ れ て お'八ラベルのみが残っているものである(図 版Ⅳ−7)。

イ.ラベルA[24]:「オニヤンマ」

ロ.ラベルA[25]:「ヤブトンポ」

ハ.ラベルA[26]:「コヤマトンポ」

二.ラベルA[27]:「べつこうとんぼ$早」

ホ.ラベルA[28]:「むぎわらとんぼ(シホヤ トンボギ)」

へ.ラベルA[29]:「コシアキトンポ」

卜.ラベルA[30]:「ノシメトンボ」

チ.ラベルA[3l]:「みやまなつあかね」

『富山県産昆虫分類目録』中のトンボ類 表 1 は , 坂 井 憲 三 氏 の 『 富 山 県 産 昆 虫 分 類 目録』中のトンボ類と現存する標本類並びに ラベル知との対応関係を検討した結果であI),

筆者らの結論を示している。『目録』中には,

(イトトンポ)

「蛸始科」としてはじめの22峨枕",「豆娘科」

として続く6,、極〃の計28い枕〃が挙げられ ている。枕名の前の数字は,筆者らが『目録』

I'の枕にそのままの順に付した通し番号であ る。「対応する現存標本類並びにラベル類」の 州には,筆者らの│司定した枕名と性別および 悠 埋 番 号 , 坂 井 氏 の ラ ベ ル 上 に 記 さ れ た 和 名 お よ び 嫉 埋 番 号 を そ れ ぞ れ 記 し た 。 推 理 番 号 は前項と│司様〔〕内に示し,ラベルの付さ れている場合は同一番号を用いて標本をa.

ラベルをbとした。ラベルに記されている和 名 は 「 」 内 に 示 し た 。 現 在 用 い ら れ て い な いfD名については,現在普通に流通している 和 名 を 末 尾 に ( ) で 示 し た 。 な お , 坂 井 氏

(8)

富 山 県 昆 虫 同 好 会 が 所 蔵 す る 故 坂 井 憲 三 氏 収 集 の 富 山 県 産 ト ン ボ 頬

表1.坂井憲三氏の『富山県産昆虫分類目録』中のトンボ類と現存する標本類並びにラベル類との対応関係

を ● に や ん ま

A"o/ s花γ心〕旅加血 s〃"

雌YSeIys

も の 考 立

( 注 ) 引 用 は , 全 て 原 文 通 0 と し た

ロム

r目録」中の職砿"4 1 . ヒ メ ヤ マ ト ン ボ

2 . コ ヤ マ ト ン ボ

3 . ヤ ブ P ト ン 異

4 . コ オ ニ ヤ ン ‑ つ

5 . オ ー ニ ヤ ン マ

6 . ギ ン ー ヤ ン マ

7 . カ ト リ ト ン ボ

8 . ウ チ ハ ト ン ボ

9 . オ ホ シ ホ カ ラ ト 〆5龍

1 0 . シ ホ カ ラ ト ン ボ

1 1 . ハ ラ ビ ロ ト ン ボ

12.サ・ナヘトンボ

1 3 . コ シ ア キ ト ン オ

1 4 . ト ラ フ ト ン オ

1 5 . シ ホ ヤ ト ン オ

1 6 . コ ウ ス ベ キ ト ン

17.ミヤーマーナヅアブ ネ . セ ラ セ ラ 18.ノシメトン』

1 9 . テ ウ ト ン j

2 0 . ベ ッ コ ウ ト ン ボ

2 1 , ナ ツ ア カ ネ

2 2 . ウ ス イ ロ ナ ・ ソ ア 2 3 . カ ハ ト ン ボ

2 4 . ヤ ナ ギ ト ン ポ

2 5 . ハ グ ロ ト ン ボ

2 6 . モ ノ サ シ ト ン ボ

2 7 . イ ト ト ン 毎

2 8 . キ イ ト ト ン ボ

対 応 す る 現 存 標 本 噸 並 び に ラ ベ ル 印 ヤ マ サ ナ エ 8 〔 8 a 〕 . I ヒ メ ヤ マ ト ン ボ」〔8b〕

'コヤマトンポ」〔26〕

ヤ プ ト ン ポ 」 〔 2 5 〕 ( = ヤ ブ ヤ ン で

7ヤーマサナエ早〔9a〕,「ヒメヤンマ

9b

オニヤンマ」〔24̲‐

ギンヤンーマ$〔lla〕.「ギンヤンマ」

〔1lb〕,7ギンヤンマ早〔12 :

? ギ ン ヤ ン マ ¥ 〔 1 2 〕 ( = カ ト リ ヤ ン

マ』

ウチワヤンマ¥〔IOa〕,「ウチワ}・一 ポ」〔lOb〕

?ショウジョウトンボ8〔I5a〕.「セ ウゼウトンボ」〔15b〕;?ショウジ ョウトンボギ〔16〕

シオカラトンポ3〔I7a〕.「シホヤヰ ンボ」〔17b〕

ハラビロトンボ早〔32〕

コサナエ$〔7a〕.「サナヘトンボ,

〔7bI

コシアキI、ンポ」〔29

トラフトンボ3〔14a〕,「トラーフトン ポ」〔14b〕.?トラーフトンボ8〔13a〕≦

「サナヘトンポ」〔l3b官

「むぎわらとんぱ(ンホヤトンポ早)」

28

マ イ コ ア カ ネ 3 〔 2 2 a 〕 . 「 コ ウ ス バ ンボ」(22b〕

「みやまなつあかね」〔31〕(=ミーヤマ アカネミ

ノ シ メ ト ン ボ 」 〔 3 0

チョウトンボ8〔l8a〕.Iテーフトンボ」

l8b

べ っ こ う と 人 ぼ き 早 」 ( 2 7 .

サツアカネ321問体〔20a,21a〕.「

ソアカ子」〔20b,21廷 アカネ3〔23a〕,「うすいろな ね舌早」〔231〕〕

オオカワトンボ3(樋色遡哩f、〃α24'α鹿

〔5a〕,「カハトンボ」〔5t オオカワトンボ3(樋色選型f〃 《収溢

〔6a〕.「ヤナギトンポ」〔6b>

ハグロトンボ8〔4a〕.「ハグロト ポ」〔4b〕

モノサシトンボ¥〔3a〕,「ものさし と ん ぼ 3 早 」 〔 3 b 〕

セスジイトトンボ早〔la〕.「いとと んぽ」〔lb〕

キ イ ト ト ン ボ ギ 〔 2 a 〕 . I き い と と ん ぼ3早」〔2b .

ハッチョウトンボ早〔19a〕. テウ ンボ」〔19b」

名 和 昆 虫 研 究 所 編 韓 部 編 (1902 ひめ●やまとんばう(ヒメヤマトンポ G『""〃"イs〃2c〃"(》メリs,Selv§

こぐ>まとんばう(コャマトンポ Eソ)"〃" ""j〃 "'力憩eJ Scly

こオとにやんま

/"gE刀"鱈̲ノ ・加α4s,SeIvl オとに●やんま

CO'が2《姥、芯/〃sjE加〃

Sel

ぎんいるやんま,ギンャンーマ A"f¥"γノル毎〃0樺,Selvs かとI)とんぱうイカトリトンポ Gv"α 〃〃Jαル 〃"α,Selv う ち は と ん ば う ( ウ チ ワ ト ン ボ

〃〃Ⅳ"Sc,〃 /"s,Fa上 オ と ほ 玄 ほ か ら と ん ば

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(9)

鈴 木 邦 雄 ・ 根 来 尚

の昆虫関係の旧蔵書が適族より富山県昆虫同 好会に寄贈されている。本稿では,坂井氏の 標本類に付されていた和名ラベルの正体を特 定するために,氏が『目録』作成時に参照し たと思われるトンボ類に関する3冊の書物〔名 和昆虫研究所編紺部編(1902)『第登回全国昆 虫展覧会出品目録(全)』,松村松年(1904)『日 本千虫図解』(第1巻),松村松年(1907)『昆虫 分類学』(上巻)〕中で用いられている和名並び に学名との対・応関係を調べ,それらも対比で きるよう表1に掲げておいた。

さて,1枚の和名ラベルに,和名と共に「、

早」と両性の記号が併記されているものが計 4枚ある。これらが,それぞれ2個体の標本 に 対 し て 付 け ら れ た も の で あ る と す る と 坂 井 氏の収集した標本類は,現存標本数24,ラベ ルのみのもの8,「$早」と両性が併記され たラベル数4で.計36仙体が存在したと推定 されるのである。以下,『目録』との対応関係 を検討する上で.これら以外の標本の存在し た可能性は一切考慮しないこととする。現存 標 本 類 中 , 和 名 ラ ベ ル の 付 さ れ て い な い も の が3個体(ギンヤンマ¥〔12〕,ショウジョウ トンボ¥〔16〕,ハラビロトンボ鼎〔32〕)あるが,

それらについては後で考察する。

『目録』中に挙げられている゙種〃の中で,

現存標本知やラベル獅巾にIリ1らかな対応関係 の認められないものは次の5職枕〃である。

4 . コ オ ニ ヤ ン マ , 7 . カ ト リ ト ン ボ , 9.オホシホカラトンボ,12.サナヘトン ボ,19.テウトンポ。

次に現存標本類中,『目録』中にIリ」らかな対 応関係の認められないものは次の8化│体であ

[7a]コサナエ$,[9a]ヤマサナエ早,[12]

ギンヤンマ¥,[13a]トラフトンボ,[15a]

ショウジョウトンボ9,〔16〕ショウジョウ トンボ子,[18a]チョウトンボJ,[19a]ハ ッチヨウトンボギ。

3

以上のうち,『目録』中の12.サナヘトンボ と'9.テウトンポは,同名の和名ラベルの付 された標本がそれぞれ2種ずつ存在するため,

直ちには特定できないのである。すなわち,

[7a]コサナエ8および[13a]トラフトンボ$の 両者に「サナヘトンボ」の和名ラベル[7b, 13b]が,また[18a]チョウトンボ$と[19a]ハ

ッチョウトンボ¥の両者に「テフトンボ」[18b]

または「テウトンポ」[19b]の和名ラベルか それぞれ付されているからである。断定はで きないが,『目録』中の,2.サナヘトンボは同 名の和名ラベルの付された[7a]コサナエ$の 方を,同じく19.テウトンボは同名の和名ラ ベルの付された[18a]チョウトンボ3の方をそ れぞれ指すと考えるのが自然であろう。チョ ウ│、ンボは,坂井氏が当時同定の際参照され たと推定される氏の蔵書中の3種の書物〔前 掲〕の全てに解説があ,),しかも特徴的な種 であるので他種と混同する可能性はまず考え られない。[19a]ハッチョウトンボ早は,I司じ く氏の''1蔵書中の松村松年著『日本千虫図解』

(巻之一)中に図示されており,氏は当然この 書を参照されたはずなので「テウトンポ」[19b]

のラベルは,誤って付されたのではないかと 想像される。そして,本極が坂井氏の『目録 中に挙げられていないのは,『目録』作成後に なって追力││収納されたためとも考えられるの である。「サナヘトンボ」の和名ラベルの付さ れた[13a]ドラフトンボ$は他に「トラフトン ポ」と正しく和名ラベルの付された標本[14a]

があ*),また極めて特徴のある極であること から,ラベルの付け間違いである可能性が高 い。

その他,直接対応のつかない種について,

筆者らは次のように推定したい。

1.『目録』中の4●コオニヤンマは,「ヒメヤ ンマ」の和名ラベル[9b]の付せられた[9a]ヤ マサナエ早を指すのではないだろうか。「ヒメ ヤンマ」の和名は,『目録』中にはない。

(10)

富 山 県 昆 虫 同 好 会 が 所 蔵 す る 故 坂 井 憲 三 氏 収 集 の 富 山 県 産 ト ン ボ 噸

2.『目録』中の7.カトリトンポ(=カトリ ヤンマ)は,和名の付されていない〔12〕ギン ヤンマ早であった可能性もある。

3.『目録』中の9.オホシホカラトンボは,

[15a]ショウジョウトンボ9に該当する可能 性が高い。この標本には,正しく「セウゼウ トンボ」の和名ラベル[15b]が付されているに もかかわらず,『目録』中にはショウジョウト ンボの名は挙がっていない。[16]ショウジョ ウトンボギには祁名ラベルが付されてはいな いが,もしも『目録』中の9.オホシホカラト ンボが[15a]ショウジョウトンボ3を指すと すれば,この〔16〕ショウジョウトンボ¥をも 指 し て い る 可 能 性 が あ る 。 な お , ハ ラ ビ ロ ト ンボは,「極めて少ない」とのコメント付で,

中村氏(1937)の報告中に見られるが,それ 以後の報告は全くなかった。ところが,筆者

らの一人根来(1983)は,1982年7月に上市 町大岩で一小学生によって採集された標本に つ い て 報 告 し て い る 。 し か し , 後 に ア オ ハ ダ トンボについて触れる際に述べるように,こ の 記 録 は 全 く 信 畑 す る こ と の で き な い も の で

÷ つ

④。

次 に , ラ ベ ル の み が 残 っ て い る も の に つ い ても一応検討しておく。

1.「コヤマトンポ」〔26〕本種は,富山県下 では比鮫的少ない。『目録』中には現在でも比 較 的 個 体 数 の 多 い オ オ ヤ マ ト ン ボ が 含 ま れ て いないので,その可能性もある。

2.「ヤブトンポ」〔25〕断定はできないが,

現在でも県下に広く分布するヤブヤンマを指 すことはまず間違いないと思われる。

3.「ノシメトンボ」[30]富山県下には,本 極 の 他 に コ ノ シ メ ト ン ボ , リ ス ア カ ネ , マ ユ タ テ ア カ ネ な ど の 類 似 仰 も 多 い の で , そ れ ら のいずれかであった可能性もある。

4.「みやまなつあかね」[31]まず間違いな くミヤマアカネを指すと思われる。

5.「むぎわらとんぼ(シホヤトンボ)‑」〔28〕

31

坂 井 氏 は , シ オ カ ラ ト ン ボ 早 を 指 し て こ う 呼 んでいた可能性がある。『目録』には,正しく シ オ カ ラ ト ン ボ の 名 が 見 え る が , 現 存 す る シ オカラトンボ$の標本[17a]にはやはり「シホ ヤトンボ」の和名ラベル[17b]が付されている からである。坂井氏の『目録』と現存する標 本に付されたラベルから判断する限り,坂井 氏 は シ オ カ ラ ト ン ボ と シ オ ヤ ト ン ボ と を 明 瞭 に は 区 別 し て は お ら れ な か っ た よ う に 思 わ れ るのである。

6.「べつこうとんぼ$早」〔27〕本種は,

か つ て は 富 山 県 下 に 生 息 し て い た 可 能 性 が あ るので完全には否定できない。しかし,『目録典 には県下に広く分布するヨツボシトンボの名 が 挙 が っ て い な い の で , そ れ の 誤 同 定 の 可 能 性がある。名和昆虫研究所編輯部荊(1902)の

『第登回全国昆虫展覧会出品目録(全)』中に ベ ッ コ ウ ト ン ボ に 続 い て ゙ ベ ッ コ ウ ト ン ボ の 1 種 〃 が 挙 げ ら れ て お , ) , そ れ が ヨ ツ ボ シトンボを指す可能性は高い。さらに,トラ フトンボ平とも考えられなくはないが,和名 ラベルには「べつこうとんぼ$早」とあり。

ト ラ フ ト ン ボ 3 は 別 個 に 認 識 さ れ て い る の で 、 その可能性はほとんどないであろう。ついで ながら'本種も中村氏(1937)の「目録」中に挙 が っ て い る が , そ れ に は 全 く 何 の コ メ ン ト も 付されてはいない。中村氏は,坂井氏の『目 録』を引用してお,),氏自身が確認していな いものについては※印を付する旨明記している が , ハ ラ ビ ロ ト ン ボ と 共 に 本 種 に も ※ 印 は 付 されておらず,一応中村氏自身の採集経験に 基づくものであると判断せざるをえない。

最後に,坂井氏の『目録』に続いて掲戦さ れ て い る 井 波 拾 作 氏 の 「 富 山 県 産 害 益 虫 及 有 用虫目録」について触れておかねばならない 井波氏は,この目録中に,益虫として149い種零 を挙げている(さらに有用虫を8.種,,,害虫 を294,種〃挙げている)。益虫として挙げら れているトンボ類は,次の通')である。

(11)

鈴 木 邦 雄 ・ 根 来 尚

鯖 峠 科 : シ ホ カ ラ ト ン ボ , シ ホ カ ラ ト ン ホ

(ムギワラトンボ),ベッカフトン ボ , オ ホ シ ホ カ ラ ト ン ボ , ミ ヤ マ アカネ,マユタテアカネ。

(ヤンマ)

蛸蝿科:オニヤンマ,コオニヤンマ,カト リトンボ。

(イトトンポ)

豆娘科:アヲハダトンボ,カハトンボ,ア ヲイトトンボ,キイトトンボ,モ ノサシトンボ。

習性の概略として,「蛸峠科蛸艇科及豆娘科 に属するものの幼虫は水中にあ')て他の昆虫 を 捕 食 し 就 中 き と ん ぼ , な つ あ か ね の 如 き は 稲の害虫を捕食すること最も大な')農業に稗 益あること剛る大なり」との記述があり,益 虫の神名リスト中に挙げられていないキトン ボ と ナ ツ ア カ ネ が こ こ に 取 り 上 げ ら れ て い る のである。坂井氏の『目録』中にないものは.

マ ュ タ テ ア カ ネ , ア ヲ ハ ダ ト ン ボ , ア ヲ イ ト トンボ,キトンボの4種である。井波氏の'ノ スト中の他の10種は坂井氏の『目録』中の種 と 共 通 で あ る が , そ こ に も ベ ッ コ ウ ト ン ボ か 挙げられていることは見過せない。マユタテ ア カ ネ は , 県 下 で 現 在 お そ ら く ア キ ア カ ネ に 次いで広域に分布しているので,同定も正し かった可能性が高いが,坂井氏収集の現存標 本中にナツアカネとマイコアカネが各2個体 含まれているので,$であればマイコアカネ かヒメアカネ,¥であればノシメトンボ,コノ シメトンボ,リスアカネあたりであった可能 性もある。そのほか坂井氏がおそらくはミヤ マアカネを「ミヤマナツアカネ」としているの に対して,井波氏は正しく「ミヤマアカネ」を用 いているなどの点で,井波氏の「目録」は,坂井 氏とは全然別個の標本に基づいて独自に作成 されたものであることはまず間違いない。井波 氏の「目録」にも具体的なデータの記されてい ないことが惜しまれる。ベッコウトンボについ ては,やは')ヨツボシトンボであった可能性が 高い。坂井氏の『目録』にはハグロトンボが挙げ

32

られているがアオハダトンボはない。逆に,井 波氏の「目録」にはアオハダトンボが挙げら れていてハグロトンボの名は見えないという のもiiiに落ちないことである。結局,井波氏 の場合は,「目録」の基礎となった標本が現存 するかどうかも不明であるので,これ以上穿 難することは不可能である。ついでながら,

富山県の│、ンボ頬に関する文献中にはアオハ ダトンボの名はほとんど見られない。最近,

根来(1983)は,本純を富山県初記録として,

1982年7月に上市町大岩において一小学生に よって採集された1¥の標本について報告し た。しかし,筆者らは,この記録の信憩性に 疑問を抱き,追跡調査した結果,前述のハラ ビロトンボl司様,明らかに他府県産の標本に 基づくものであるとの結論を得るに至った。

従って,極めて遺憾であるが,根来(1983)に よ っ て 紹 介 さ れ た ハ ラ ビ ロ ト ン ボ と ア オ ハ ダ トンボの記録は,いずれも抹消されるべきも のとなる。

要 約

1.富山県昆虫│司好会所蔵の故坂井憲三氏(砺 波市出身.1878‑1943)収集の富山県産ト ンボ類24仙体を研究した。その結果,それ らは以下の通り7科17種から成ることが判 明した。

イトトンボ科Coenagrionidae:セスジイトトン ボα7℃われん海>vg妙〃c況獅(Brauer)l*

(図版I‑la).キイト│、ンボαriagrion 沈吻"z"況加Selys1$(図版1‑2)。

モノサシ│、ンボ料Platycnemididae:モノ サシトンボCoperaα邦""〃j"(Selys)1*

(図版1‑3)。

カワトンボ科Calopterygidae:ハグロトン itsCalopteryxatrataSelys1$(図版

I‑4),オオカワトンボAdnaお〃α抑az Yamamoto(楕色迩岬』f.IIα〃αo2n

(図版I‑5,6)。

(12)

富山県雌虫同好会か所蔵する枚坂井悲三氏収集の高山U「↓雌トンボ篤

サナエトンボ科Gomphidae:コサナエ Tノigo"ゆ〃"smetα加加s(Selys)1t(図 版Ⅱ−1),ヤマサナエAsiago畑"h"s melaenops(SELYS)lf[%{図版II‑2,3), ウチワヤンマ此""OgO"ゆん"sclavα加s (Fabricius)1早(図IKII‑4)。

ヤンマ科Aeshnidae:ギンヤンマA"

ノγル 2ノ"""sBrauer1$1早(図 版II‑5,6。

エゾトンボ科Corduliidae:トラフトンボ 動"んg 班α増加αto(Selys)2M(図版 IⅡ−1.2)。

トンボ科Libellulidae:ハラビロトンボ Lyriothemispach増nstra(Selys)1早(図 版Ⅳ−6),ショウジョウトンボCrocotルcinis SGγひ"わ(Drury)1$1*(図版111‑3,

4),シオカラトンボOγ"彫か"加α/"stw'""ノ specios"加(Uhler)1J(図版IⅡ−5),チ ョウトンボRvoオルemisfidiginosaSelys 1$(図版IⅡ−6),ハッチョウトンボ Na""ophyapvgmaeaRambur1早(図 版Ⅳ−la),ナツアカネSympetn"〃

γ加加ianum(Selys)2tt(図版Ⅳ−2, 3),マイコアカネSy脚力c""加伽"ickeli (Selys)2$$(図版Ⅳ−4,5)

2.坂井氏の著した『富山県産昆虫分類目録』

中に挙げられている種と,現存する上記標 本類並びにラベル類との対応関係を調べた

(表1)。『目録』中の28,種〃のうち23剛種'′

は.現存する標本類またはラベル類中に該 当するものがあ'),ほぼ確実に特定するこ

とができた。残る5、、種〃については対応 関 係 を 推 定 し た 。 そ の 結 果 、 坂 井 氏 の 『 目 録』以後は中村氏(1937)による報告以外 信 憩 性 の 高 い 記 録 の 見 当 ら な い 「 ベ ッ コ ウ ト ン ボ 」 に つ い て は , 断 定 は で き な い も の の,誤同定であった可能性が高いとの結論に

33

達した。その他の柿については,富山県下 における現イtのトンボイⅡの実態からみて,

特に問迦となるものは含まれていないと半I!

断された。

文 献

井波摘作,1908.富山県産害益虫及有用虫目 録.教育大会参考部(富山県教育会編)

:114−122.

松村松年,1904.『日本千虫図解』(第一巻), 2+213+2+4pp.,17pls.警醒社書店

(東京).〔坂仲憲三氏旧蔵書〕

松村松年,1907.『昆虫分顛学』(上巻),2+

336+8pp.iltl書店(束京).[坂井 憲三氏IllI瀧書)

水 野 透 ・ 富 沢 章 , 1 9 7 9 . 富 山 県 の 昆 虫 に 関する文献I」録.笛山県昆虫研究会柵『富 山県の昆虫』(富山県),:517‑545.

名和昆虫研究所榊耐部糊.1902.『第言回全国 昆虫展覧会出品目録』(全).8+208pp、

4pis.名和昆虫研究所(岐阜).[坂井 憲三氏旧蔵書〕

根来尚,1983.標本同定会で見られた昆虫.

とやまと自然(富山市科学文化センター),

20:io.

坂井憲三,1908.富山県産昆虫分類目録・教 育大会記録参考部(富山県教育会編):

104‑114.

山中浩,1982a.富山県の昆虫調査のあゆみ と今後の課題.Arnica(富山県昆虫同好 会),27:1‑n.

山中浩、1982b.富山県における昆虫研究の 草分け坂井憲三氏の紹介.Arnica(富山 県昆虫同好会),27:12.

山中浩,1984.故坂井悲三氏採集の昆虫類 1).Amica通信(窟山県昆虫同好会)、

4:9−10.

(13)

版胞肋23456

セスジイトトンボ早標本Clal及びラベルAClb]

同牒本台紙典而

キイl、トンボ$標本C2a)及びラベルArab;

モノサシトンボ平標本C3a)及びラベルACSb) ハグロトンボ8標本(4a)及びラベルA[4b]

オオカワトンボ$(樋色迦IWJ)標本C5a)及びラベルAfSb]

オオカワトンボ3(燈色遡叩)標本[6a)ノ文びラベルA(6b)

34

(14)

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(15)

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コサナエ3標本C7a)及びラベルAC7b]

ヤマサナエ$標本(8al及びラベルArab;

ヤマサナエ早標本(9a)及びラベルA(9b;

ウチワヤンマ¥標本10a]及びラベルAdob:

ギンヤンマ$標本Clla]及びラベルAlllb]

ギンヤンマ¥標本〔12〕

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