• 検索結果がありません。

理科 新学習指導要領において 理科で重視されていること 1 科学に関する基本的概念の一層の定着を図り 科学的な見方や考え方 総合的なものの見方を育成すること 2 科学的に探究する学習活動を一層重視し 科学的な思考力 表現力の育成を図ること 3 日常生活や社会との関連を重視し 科学を学ぶ意義や有用性を

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "理科 新学習指導要領において 理科で重視されていること 1 科学に関する基本的概念の一層の定着を図り 科学的な見方や考え方 総合的なものの見方を育成すること 2 科学的に探究する学習活動を一層重視し 科学的な思考力 表現力の育成を図ること 3 日常生活や社会との関連を重視し 科学を学ぶ意義や有用性を"

Copied!
11
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

理科

■新学習指導要領において、理科で重視されていること ①科学に関する基本的概念の一層の定着を図り、科学的な見方や考え方、総合的なものの見方を育成すること ②科学的に探究する学習活動を一層重視し、科学的な思考力、表現力の育成を図ること ③日常生活や社会との関連を重視し、科学を学ぶ意義や有用性を実感させ、科学への関心を高めること ④科学的な体験、自然体験の充実を図ること ■単元名 【第1学年】 ・身近な物理現象~力と圧力~(全10時) ■単元の目標 身近な事物・現象についての観察、実験を通して、力の性質について理解させるとともに、これらの事物・現象を日 常生活や社会と関連付けて科学的にみる見方や考え方を養う。 <「力と圧力」について> ・物体に力を働かせる実験を行い、物体に力が働くとその物体が変形したり動き始めたり、運動の様子が変わったり することを見いだすとともに、力は大きさと向きによって表されることを理解できる。 ・圧力についての実験を行い、圧力は力の大きさと面積に関係があることを見いだすことができる。また、水圧や大 気圧の実験を行い、その結果を水や空気の重さと関連付けてとらえることができる。 ■単元について 本単元は、中学校理科における物理的領域の導入として位置付いている。力の性質についての理解を深めたり、力の 働きや圧力などの日常生活に見られる現象と結び付けて考えたりして、力の性質を身の回りの現象と関連付けてとらえ ていく見方や考え方を養っていく学習内容である。新学習指導要領で強調されている科学に関する概念の理解や科学的 な思考力・表現力の育成を図る観点から、本単元の指導に当たって、以下の4点に留意して工夫改善を図る必要がある。 ・科学的な体験、自然体験が以前と比較し不足している生徒の実態がみられること。 ・目に見えない力にかかわる事物・現象を扱いながら規則性を探っていくという学習内容の特性があること。 ・日常生活でみられる事物・現象と科学的な言葉を関連付けて考える力に弱さがみられること(岐阜県における学習 状況調査より)。 ・力を表現したり実験データをグラフ化したりするなど今後の学習に活用される基礎的・基本的な知識・技能の定着 を図ること。 ■単元指導計画を作成する上で留意したいこと ○直接体験を大切にし、実感を伴った理解を図る指導の工夫 ・日常生活と関連した体験を通して、探究心を高めることをねらい、力に関わる直接体験を大切にした。 ・導入だけでなく、終末や家庭学習においても、学んだことを生活との関わりの中で振り返る活動を位置付けた。 ・学校、家庭で生徒が試行したり、学んだことを家庭学習で確かめたりすることができるよう、ものづくりや日常生 活で見られる事物・現象の例示をした。 ○科学的な思考力・表現力の育成を図る探究活動の推進 ・事象提示によって抱く生徒の意識を明確にし、自然の事物・現象に進んでかかわり、その中から問題を見いだす活 動を大切にした。 ・これまでに育んできている問題解決の能力を発揮した目的意識をもった科学的な探究活動を一層推進した。 ・力を表現する場を予想や考察の場面でできる限り位置付け、技能の定着を図るとともに、力の性質を日常生活と関 連付けてとらえる見方や考え方を鍛えることを意図した。 ○個に応じたきめ細かな指導の工夫 ・入学以来、理科での数理的な処理を必要とする学習は初めてであることから、事象をとらえ表現する力には個人差 が大きいことを考慮し、圧力の学習では、習熟の程度に応じたきめ細かい指導、援助の手立てを明確にした。

(2)

第1時「日常生活の中の力」 単元の導入 本時のねらい 物体に直接力を加えるとどのような変化が起こるのか調べ、力と力を加えた結果、起こる変化を関連付けて考え、身の回りの力が 働くことによって起こる事物・現象に興味・関心をもつことができる。 本時の展開 指導計画作成時のポイント ○エキスパンダーを伸ばすなど力を加える様子を提示する。 C:力を加えるとばねが伸びたり縮んだりする。 C:大きな力がないとばねは伸びない。 C:私たちは、力は目に見えないけれど力を感じたり、様子を判 断したりしている。 T:目に見えない力が働いていることがどうして分かりますか。 目に見えない力が働いていることはどのような事実から分か るのだろうか。 ○ボールに力を加えると、どのような変化が起こるのか調べる。 T:机上のボールの上、横、下から力を加えてみましょう。ボー ルにどんな変化が見られるでしょうか。(個別実験) C:力の加え方を変えるとボールが変形したり、動き出したりす る。 C:動いていたボールは力を加えると動く向きが変わる。止まる。 C:力を加えても動かないことがある。 ○力の3つの働きについての説明を聞く。 力には ①「物体を変形させる」②「物体の運動の様子を 変える」③「物体を支える」という3つの働きがある。 ○身の回りの現象を力の働きにあてはめて考える。 T:力の3つの働きを、ボールに力を加えたときや身の回りのも のに当てはめ、ノートにまとめましょう。 C:スポンジがつぶれるのは手がスポンジに力を加え変形したか らだ。 C:サッカーボールを蹴るとボールが跳ぶのは、足がボールに力 を加えて止まっていたボールが動いたからだ。 C:サブバックに手が力を加えて支えている。 T:力は必ず力を加える物体、力を加えられる物体と二つの物体 の間で接触して働いています。私たちは、力の働きを感じな がら生活しています。 C:目に見えないけど、働きに当てはめれば力について考え説明 できる。 C:力は目には見えないけど、私たちの生活でとても身近なもの だ。 C:身近な力の性質についてもっと追究していきたい。 ○単元を通しての課題を設定する。 力にはどのような性質があり、私たちの生活とどのように関 わっているのだろうか。 <出口の生徒の意識> 力の性質について追究するために着目する働きが分かった。 力にはどのような種類があるのだろうか。 単元導入のポイント □具体物を提示しながらこの単元で扱う事物・現象による活動が 日常生活や社会と関連があることを生徒に感じさせることが 単元を通して興味、関心を喚起するために大切である。ここで は、学習するエキスパンダー以外に日常生活の中で様々な力を 使っていることを具体例をあげて取り上げるとともに、目に見 えない力を感じ、生かしながら生活していることを実感させ る。 生徒の興味・関心・意欲を高めるために □日常生活の中で、「力」のつく言葉を見つけ、いろいろな物体 に働く力に目を向けさせる方法がある。 生徒が主体的に問題を見出すために □ここでは、どの生徒もボールに働く力という共通の事象につい て考える活動を行い、そこから3つの働きを見出し、それを様々 な現状にあてはめて、力に対する見方や考え方を広げ、深めよ うとしている。 見方や考え方を鍛えていくために □物体も力を出していること、運動の速さを変えていること、支 えていることは見出しにくい。力が働いたことが何に着目する ことで分かるのかを机間指導で問いかけながら考えを引き出 し、整理していく中で、力を量的にとらえる見方や考え方を鍛 えていく。 基礎的・基本的な知識・技能の定着のために □支える働きは物体によって変わってくる。重力につながる働き であるので、次時に生かしていく。 □伸びたゴムが元に戻ろうとする力については、小学校第3学年 での学習を想起させ、力の働きを「変形する」「運動の様子が 変わる」「支える」というキーワードを使って整理していく。 □運動している方向と逆向きに力を加えると減速することは摩 擦力を見出すことにつながるので位置付けていく。 □2物体が接触していないと力が働かないことを理解させるた めに、力学台車に指で一瞬力を加え、その後「力学台車に指が 加えた力は残っているか」と問うことで、一人一人に力が働く 要件について定着させていく方法もある。 実感を伴った理解を図るために □生徒が実際に実験したもの以外の事象についても教科書p1 82の問題4をもとにしながらまとめていく。 □教科書P161の写真を利用し、力が働いた瞬間、物体が変形 している様子や支えられて動かない様子等について力の働き を整理しながら確かめる。 【自然事象への関心・意欲・態度】 〈評価の観点〉

(3)

第2時「離れていても働く力」 本時のねらい 身の回りの現象について力を使って説明する活動を行い、いろいろな力の種類と、重力、磁力、静電気力のように離れていても働 く力について理解できる。 本時の展開 指導計画作成時のポイント ○物体が落下する事象、摩擦力が働き減速し、静止する事象を提示 し、力の働きについて考える。 T:これらの運動は「力」を使ってどのように説明できますか。 C:手を離すとボールやサブバックが下に落ち続けるのはどのよう に説明できるのか。何も触れていないのに… C:人が力を加えていないけど止まるのはなぜだろう。 C:重力という言葉を聞いたことがある。重力が働いているのでは ないか。 C:机がボールに力を加えたからボールが止まったのではないか。 C:摩擦力という言葉を聞いたことがある。摩擦力が働いているの ではないか 力にはどのような種類があるのだろうか。 ○身の回りの現象について力を使って考え、力の種類についての説 明を聞く。(説明後→個別体験) T【説明のポイント】 ・伸ばしたゴムはもとに戻ろうとする働きがある。この働きは弾 性力によるものである。 ・糸でぶら下げられたおもりが静止しているのは、糸が上向きに 張力でおもりを引っ張っているからである。 ・机の上にある教科書には、机から上向きに力を受けているから 静止している。この力を抗力、または垂直抗力という。 ・机の上を運動していた力学台車は減速し、そのうち静止する。 これは空気や机からの運動する方向と逆向きに摩擦力が力学 台車に働いたからである。 ・ボールが落下するのは重力によるものである。 C:力は2つの物体が接触していなければ働かないはずだ。変だ。 C:小学校で学習した磁石の力もそうだ。 ○物体が離れていても働く力についての説明を聞く。 T【説明のポイント】 ・地球が中心に向かって物体を引く力を重力という。 ・地球と物体は離れているのだけれど、重力は物体が離れていて も働く特殊な力である。 ・大きい重力が働く物体を、私たちは重いと感じる。 ・物体の重さは重力の大きさを示している。 ・離れていても働く力は、重力、磁力、静電気力の3つがある。 ・重さは、重力によって地球に引っ張られるから感じる。物体の 重さは重力の大きさによって表され、単位はN(ニュートン) が使われる。 ○離れていても働く力を実感できる実験を行う。 <出口の生徒の意識> 重さ以外の力の大きさはどのように測ることができるのだろ うか。 生徒の興味・関心・意欲を高めるために □ボール等が落ちることに疑問をもたない場合は、糸にボール をつるし糸を切ったときに糸がどうなるかについて考えさ せ、ボールが落ちる事象はどんな力が働いたからかと問い、 つなげていく。 生徒が主体的に問題を見出すために □二つの物体が接触していないと力が働かないという既習事 項を想起し、それぞれの事物・現象の物体名を確認し、その 物体同士が離れているのに力が働いていることに着目でき るようにする。 基礎的・基本的な知識・技能の定着のために □教師が教えることと、生徒に考えさせることを区別する。力 の種類の名称について説明するとき、教師がその力を実感で きる事象を実際にやってみせ、そのあとに生徒にやらせてみ ることを大切にする。 □張力や抗力のような支える働きの力については分かりにく い。例えば重さの差がある物体をそれぞれ糸でぶら下げ、糸 を切ったときに糸が上に跳ね上がる様子を観察させるなど、 張力や抗力を実感できる事象を用意する必要がある。 落下 見方や考え方を鍛えていくために □力の種類の名称を整理することにとどまらず、ここでは、力 の表し方について学習していないことを考慮し、「何が」「何 に」力を働かせているのかをノートに記録させる。常に確認 しながら体験を行うようにする。そうすることで、力を表す 技能を定着させることへとつながるとともに力を量的にと らえる見方や考え方を鍛えられる。 実感を伴った理解を図るために □「電気クラゲ」「水道水の曲折」「静電気モーター」等の離れ ていても働く力を実感できる体験を複数用意する。磁力につ いては、小学校時の学習を振り返りながら行う。力の働きを 印象深くするため、磁力の大きい磁石を用意する。 【自然事象についての知識・理解】 〈評価の観点〉 重い物体の 方が勢いよ く糸が跳ね 上がる。

(4)

第3・4時「力の大きさとばねの伸び」 本時(第3時)のねらい 力の大きさをどのように表せばよいのか考え、ばねの伸びを使うことができることに気付き、力の大きさとばねの伸びの関係を調 べ、結果を表で表すことができる。 本時の展開 指導計画作成時のポイント <第3時> ○力の大きさを測る方法について考える。 T:力の大きさはどのようにしてはかることができるのでしょうか。 C:力は直接見えないから、道具が必要だ。握力計、体重計など身 の回りにもある。 C:大きな力が働くと物体が大きく変形するから、変形の様子を比 べればよいのではないか。 C:重さを測る道具にばねがついていたりする。ばねの伸びを利用 すればいいのではないか。 ○ニュートンはかりを手で引き、力の単位の説明をする。 1N(ニュートン)≒100gの物体に働く重力 C:力と重さの単位は同じだ。 C:ニュートンはかりは、ばねはかりと同じつくりだ。ばねの伸び と力の大きさはどんな関係があるのか。 ばねを引く力の大きさとばねの伸びの間にはどのような関係が あるのだろうか。 ○ばねにおもりをつるした時のばねの伸びを調べ、結果を表に表す。 教科書p165実験5「力の大きさとばねののびの関係」 生徒の興味・関心・意欲を高めるために □日常生活との関わりのある事象を導入時に意図的にとりあげる。 握力計、体重計など力を測定できる道具をできるだけ準備し、身 の回りに力を測定する道具がたくさんあり、どれもバネが関わっ ていることに気付くことができるようにする。 見方や考え方を鍛えていくために □力の働きと関連付けて力の大きさを考える生徒の発言を位 置付ける。 問題解決の能力や態度を育成するために □ニュートンはかりを利用して力を測定する時、目盛りの読み 取り方を指導する。(見る位置、ゼロ点、測定範囲)その際、 実験誤差についても指導する。 □ばねの長さではなく、ばねの伸びに視点をもち実験するよう に指導する。 生徒が見通しをもって観察、実験するために □教科書p165の「ステップ①②」を利用して、表に結果を 表すところまでを実物を示しながら説明する。何もつるして いないときの伸びは0cmという測定値として扱うことな どをおさえる。 【観察・実験の技能】 〈評価の観点〉 観察実験を通して結果をつかむまでの段階で大切にしたいこと ■課題をつかむ段階でのポイント☞問題意識を醸成し、本時の学習に必然をもたせる □本時に活用できる既習内容を確認(復習、掲示物)する場を設定する。⇒定着が不十分な児童生徒をつかみ、個人追究時に確実に指導する。 □具体物を提示し、全員が視覚的にとらえやすい提示の仕方に配慮する。(感動や驚きのある事象、これまでの経験や学習の中にある事象) □事物・現象の着目点を明確にする。(何をどこまで見せるか)⇒条件整備、比較(共通点、相違点)、関係付け(現象と要因) □事実を全員で共有し、事実から疑問や調べたいことを引き出す。 ■見通しをもつ段階でのポイント☞探究活動の見通しをもたせる □予想をつくる視点を明確に示し、生活経験や既習経験をつなぐための手立てをもつ。(考える時間を確保する) □その子なりの素朴概念を大切にして、その根拠(見方や考え方)を明確に位置付け、評価する。(板書で整理する) (例)「これまでの学習(または日常体験)をもとにして考えたんだね。(例)「どういうところからそう考えたの?」など □児童生徒が見通しをもって観察、実験ができるために観察、実験の意図と方法を明確にする。(教えること、考えさせることを明確にする) □モデル図等を活用して思考を促し、観察、実験の視点を明確にする。 ■観察、実験中のポイント☞科学的な探究活動で確かな事実を得させる □個の追究状況に応じた机間指導(個々の学習状況を把握する・個のもつ見方や考え方を把握し、ものの見方を育てる)で、確実に事実をつ かめるように指導する。 ⇒事実をとらえる視点「どこを」「どこから」「どの順に」「本当か」「それだけでいいか」「まだないか」…をもたせる。 ⇒児童生徒が何を見て、何をしているかとらえる。なぜ?で問わず、事実が見えるものを示しながら、「何」「どのように」と事実を問うよう にする)(例)「今、何について調べているの?」(例)「条件で統一しているのは何?」 ⇒より確かな事実をつかむために繰り返すことを促す。(例)「もう一度(他の方法で)やってみるとどうなるかな?」 ⇒事実と事実をかさね、考えられることを問う。(例)「どんな結果(事実)になった?」「この事実からどんなことがいえそうかな?」 ⇒既習経験やと生活経験をもとにして考える学び方を指導する。 (例)「どういうところからそう考えたの?」「これまでの学習(生活経験)をもとにして考えたんだね。」 ⇒児童生徒の発見、驚き、疑問に共感し、自信につながる言葉かけや価値付け、見届けを行う。(例)「~ということがわかったんだね。」 ⇒課題を意識した活動に全員が安全に取り組めているか確認する。(机上の整頓、立って活動 等) ⇒抽象化が得意でない児童生徒に思考、表現、理解の手助けとなる図表、グラフ等の言語活動を充実させる。

(5)

本時(第4時)のねらい 力の大きさとばねの伸びの間にはどのような関係があるのかを調べた結果から、ばねの伸びを使うことができることに気付き、大 きさはNを単位として表されることを理解できる。 本時の展開 指導計画作成時のポイント <第4時> ○グラフの書き方の説明を聞き、結果をグラフで表す。 T:結果をグラフに表してどのようなことが言えそうですか。 C:ばねAもばねBもおもりの個数が大きくなれば、ばねの伸びは 大きくなる。 C:誤差を考えてグラフ化すると比例関係を表すグラフになった。 C:おもりの個数が増えると重くなるから、おもりの重さとばねの 伸びは比例している。 ○ばねの伸びを利用して、力の大きさは測定できることや、力の大 きさの表し方の説明を聞く。 ・ニュートンはかりはバネでできていて、2倍大きな力が働く と、2倍伸びるばねの性質を使ってつくられた道具である。 ・ばねの伸びは、ばねに加わる力の大きさに比例することをフ ックの法則という。 ・力の大きさはニュートンはかりを使って測定できる。 ○ニュートンはかりを実際使って力の大きさを測定する。 C:教科書に働く力や横に引っ張る力についても、ニュートンはか りを使って大きさを知ることができる。 C:力の大きさは重力を使って表すことで、力の大きさを比較する ことができる。 <出口の生徒の意識> 目に見えない力を図で書き表すことができないだろうか。 基礎的・基本的な知識・技能の定着のために □教科書p164「グラフのかき方2」で、実験結果をグラフ に表す順序、「変化させた量」「変化した量」といった用語や グラフの利点について説明する。 □誤差について説明し、グラフの意味を指導する。規則性を見 つけ出すための視点(測定値には誤差があることを考慮した うえで、曲線のような変化なのか、直線のような変化なのか、 変化の様子を大まかにとらえること)を確認する 見方や考え方を鍛えていくために □ばねの伸びが物体を変形させるという力の働きであるとい うことを実験結果から振り返り、変形の程度と力の大きさを関 連付ける見方や考え方を鍛えていく。 実感を伴った理解を図るために □教科書p163図4を利用し、ばねを手で引っ張っても、お もりをつるしても同じように伸びる事実から、力をはかる道 具としてばねが利用できることを理解させる。その後に、実 際に様々な物体の重さをばね量りを使ってはかり、その重さ の分だけ横向きに引っ張る活動等を行い、実感を伴った理解 を図る。 【科学的な思考・表現】 〈評価の観点〉 結果から考察の段階で大切にしたいポイント ■観察、実験後(考察)の段階でのポイント☞見方や考え方を構築し、広げ、深める □思考、表現の仕方を指導する。 ⇒「根拠を明確にする」 「結論→理由の順で整理する」 「比べる(仮説と、事実と、仲間の考えと)」 「関係付ける(複数の事実を、事実と考えを、考えと考えを)」 「実物を示す」 「図や表、モデルを用いて」 □再現性(何度やっても)、客観性(誰がみても)を重視した話合い活動を充実させる。 ⇒「仲間の意見に対してどう思うか」について議論させる。 ⇒同じ意見でも再現性、客観性から意義付け、授業に貢献できた喜びを価値付ける。 ⇒「よくわからない、もう一度聴きたい」などの立ち止まりを大切にする。 ■まとめの段階でのポイント☞実感を伴った理解を図る □具体物を使って、基礎学力の定着を図るまとめの学習を充実させる。 ⇒本時の学習で「わかったこと」について、教師が提示した科学用語を用いて文章等で書かせ、個に応じて見方や考え方を確認・ 補充・修正できるように見届ける。(どの児童生徒も書くことができるようまとめの時間を確保する) ⇒より事物・現象がつかみやすい具体物を使い、体感などをもとにして、理解できるように援助する。 □見出したきまりを使って導入事象を説明したり、日常とつないで一般化したりする。 ⇒「結論から生活につなぐ」 「事物・現象を見直す」 「興味・関心の深まりを大切にする」

(6)

第5時「力の表し方」 本時のねらい 目に見えない力の大きさを表すために、矢印を使うことを知り、力を作用点、大きさ、方向の3つの要素で正しく図に書き表すこ とができる。 本時の展開 指導計画作成時のポイント ○やじろべえのおもりに力を加えたときの様子から力を図で表すの に必要な要素について考える。(教科書p167 図1) T:やじろべえに力を加えたときの様子についてどのようなことに 気付きますか。 C:同じ大きさの力を加えても、力を加える点や向きによって、や じろべえの動きは変わってくる。 力を図で書き表すにはどのようにすればよいだろうか。 T:第3、4時で利用したばねにおもりがつるされたときに物体に はたらく力を図で表すときに、はっきりさせなければならない ことは何だろう。 C:力には働く点や方向をはっきりさせなければならない。 C:力の大きさを図で表すにはどうすればいいだろう。 ○ばねが物体を支える力について矢印で表す方法を聞く。 【説明のポイント】 ・「力の働く点」、「力の向き」、「力の大きさ」を矢印で表す。 力の働く点を作用点という。 ・作用点から力の向きに大きさに応じた長さで矢印を書く。 ・重力は、物体の全体にはたらいているが、矢印が書きづらい ので、物体の中心から下向きに書く。 ・1cmの矢印を1Nとすると、力の大きさは10Nの矢印は 10cmとなる。 ・ばねを引くと、ばねもまた物体を引いている(支えている)。 したがって、物体がばねを引く力の逆向きの力を書けばよ い。ばねと物体のつなぎ目から書く。 ・力は作用線上を移動させてもよい。物体に加わった重力は、 ばねと物体のつなぎ目まで移動させることができる。 ○力を図で実際に表す(教科書p167の問い)。 T:ア、イ、ウのO点に働く力を、「力の働く点」、「力の向き」、「力 の大きさ」の3つの要素に着目しながら矢印で表そう。 ○重さと質量について説明を聞く。(教科書p168の図) 【説明のポイント】 ・質量は物体そのものの量を表している。どの場所でも変化し ない量である。 ・重さは地球や月が物体を引く力の大きさであるから、場所に よってその量は変化する。 ・300gの物体を地球上で上皿天秤に乗せると、300gの 分銅とつりあう。 ・月でも、物体も分銅も同じように重力が小さくなるので 物 体と分銅はつりあう <出口の生徒の意識> 力の働きを力を図で書き表しながら明らかにしていきたい。 生徒が主体的に問題を見出すために □やじろべえの動きに合わせて、目に見えない力を自由に表現 させ、力を表現することへの関心を高めるようにする。 □同じ大きさの力が働いていても、やじろべえの動きが変わっ てしまうことは、次時の圧力の学習につながる。「同じ大き さの力」「力の働き」のキーワードとして意識されるように 板書や掲示などで位置付ける。 見方や考え方を鍛えていくために □はじめは、矢印を書くだけではなく、 何が何に及ぼす力なのか言葉で表現 させるようにし、力が2物体間で働 くという見方や考え方を養ってい く。 □作用・反作用についてはふれないが、 つりあいという言葉は使い、次時へ つなげていく。 □重力は2つの物体が離れていても働く例外の力であること を強調し、基本的には力は2つの物体が接触していないと働 かないことを説明する。 基礎的・基本的な知識・技能の定着のために □教科書p167の問いに全員取り組ませ、力の表し方の技能 がどの生徒にも定着するように見届ける。 □力の矢印を作図しながら考えることで、働く重力の大きさは 変化するが、物体そのものの量は変化しないことを理解しや すくする。 □重さと質量のちがいの理解については習熟の程度に差が生 じる。教科書p183の問題を紹介し、解いてみたり、家庭 でkg、gと表示している物体に働く重力の大きさを考えて みることを促したりすることで確かな定着を図る。 実感を伴った理解を図るために □教科書p168図1の宇宙飛行士の様子の写真から、無重力 状態で働く力の大きさについて着目するようにする。 □ニュートンはかりと上皿てんびんのはかりの仕組みを説明 し、物のつりあいによるものと、重力の違いによるものを区 別して考えられるようにする。 【観察・実験の技能】 【自然事象についての知識・理解】 〈評価の観点〉 〈評価の観点〉 地球がおもりを 下向きに引く力 (重力) ばねがおも りを上向き に引く力

(7)

第6・7時「圧力」 単元の中核となる時間 本時(第6時)のねらい 接触面積を変えて力の働く大きさを調べる実験を行い、同じ大きさの力でも接触面積によって力の働きが変わることに気付き、面 積と力の働きの関係(圧力)を見出すことができる。 本時の展開 指導計画作成時のポイント <第6時> ○大きな袋の上に面積の異なる板を置き、その上に人が乗ったとき の様子を見る。(事象提示) C:人が乗ったときのへこみ方が同じ人が乗っているのに違う。 C:同じ大きさの力が袋に働いていても、へこみ方が変わる。 C:同じ大きさの力なら、同じ力の働きでへこみ方が同じはずなの におかしい。 C:面積が小さいと力の働きは大きくなり袋は沈み、面積が大きい と力の働きは小さくなるから袋がへこまないのか。 C:力の働きは、面積に関係しているのだろうか。 同じ大きさの力でも力が働く面積によって力の働きが変わるだ ろうか? ○力の働く面積によって力の働きは変わるのかを追究する。(実験) T:同じ物体をスポンジに乗せ、力の働く面積を変えたときの変形 の程度を調べよう。 力の働く面積を変えて、力の働きを図で考えたり、計算によ って求めたりして調べる。 ○結果を交流し、考察する。 C:やっぱり板の面積を大きくしていくとスポンジのへこみは小さ くなっていった。 C:逆に板の面積を小さくしていくとスポンジのへこみは大きくな った。 C:板を使わないで、ビンの下とふたの部分で比較しても同じこと が言える。 T:力が働く面積と力の働きについてどのようなことが言えそうで すか。 ○実験の結果から分かったことを振り返り、圧力について説明する。 《生徒のまとめ》 力が働く面積によって、同じ大きさの力でも力の働きは変わっ てくる。1m 2 に働く力の大きさを「圧力」といい、1Nの力が1 m 2 の面積に働いたときの圧力を1Paという。面積が1m 2 で、 100gの大きな紙を床に置いたときの圧力が約1Paである。 単元の中核となる時間のポイント □これまで鍛えている力を量的にとらえる、力の働きと力の大 きさを関連付けてとらえる見方や考え方で、単位面積当たり に働く力(圧力)を考察できるようにする。体感を通して結 果を再認識できるようにしたり、既習の矢印を使って力の大 きさを表すことを促したり具体的な数値と単位を用いて記 録したりするように指導し、「力の大きさ」「力の働き」とい う科学的な用語を用いて事象を考えさせていく。 生徒が主体的に問題を見出すために □事象提示から生徒のつぶやきを取りあげ、課題化を図るよう にする。生徒の予想から発せられる「力の働き=袋のへこみ 方」という見方を価値付けるとともに、全体に紹介する。 □生徒自身が課題解決に至るための予想をもつことができる ように十分な時間を確保する。 □体育の授業などで使う厚めのマットの上に片足で立ったり、 板の上に立ったりする等教材教具を適切に用意して、体感で きる工夫をするとよい。 基礎的・基本的な知識・技能の定着のために □極端に面積を変えたり、そろえたりして、追究を進めて得た 結果をどの生徒にもつかませ、日常生活との関連を考えさせ ることで、実感を伴って理解が深められるよう配慮する。 □自分たちの実験結果からどんなことがはっきりしたのかを 交流会の時間を確保する。 □力の働く面積によってスポンジや粘土のへこみ方が変わっ た理由を問うことで、その変化の違いが力の働く面積による 力の働きの大きさであるととらえられるように援助する。 見方や考え方を鍛えていくために □力の働きを物のへこみ具合に置き換えて調べることができ ることについては個人差がある。導入の事象提示を想起させ ながら、いろいろな物(スポンジ、粘土等)の場合について、 どこを調べればよいのかをどの生徒にも理解できるように 丁寧に指導する。 □教科書を使った家庭学習のバリエーションとして、圧力の大 きさをどのようにすれば求められるのかについて教科書p 170以降に説明があることを伝え、家庭学習で事前に学習 を進められることを伝える。

参 「学びのひとり立ち」を求めてVOL.4 【観察・実験の技能】 〈評価の観点〉 C:触れ合う面積によって力の働きが変わってくる。 C:この矢印で表した力の大きさがスポンジのへこんだ深さに関係 している。面積が規則正しく大きくすると力の働きが小さくな るということがはっきりする。 C:計算して考えてみると、 きまりがありそうだと考 えた。面積を2倍、3倍 と変えて調べてみたら、 スポンジのへこみ方は予 想通り、1/2、1/3 と変わっていった。 C:矢印を使うと、考えやす い。同じ大きさの力が、 狭い面積だと少なく長 い矢印で表すことにな るし、広い面積だと多く の短い矢印で表すこと ができると考えられる。

(8)

本時(第7時)のねらい 面を垂直に圧す単位面積あたりの力の大きさが圧力であることを理解し、圧力の大きさを圧力を求める式を使って計算で求めること ができる。 本時の展開 指導計画作成時のポイント <第7時> ○大きめのビニール袋の上に、1m 2 の板をのせてその上に座り、 ホースで息を吹き込むと、人が持ち上がる事象を見る。(事象提示) ・人が息で持ち上がるなんてすごい。 ・力の働く面積が大きいから、力が分散して持ち上げることができ るんだ。 ・分散した力の圧力はどれくらい小さくなっているんだろう。 圧力の大きさはどのように求められるのか。 ○圧力の大きさの求め方について説明する。 面を垂直に圧す力[N] 圧力[Pa]= 力の働く面積[m 2 ] ・面積が1m 2 で、100gの大きな紙を床に置いたとき の圧力が約1Paである。 ・100Paが1hPa(ヘクトパスカル)である。 ○圧力の大きさを求める計算に取り組む。 <例題>(教科書p170) 500[N]÷0.02[m 2 ]=25000[Pa] <問い>(教科書 p171) 5.5[N]÷0.05[m 2 ]=110[Pa] T:人が持ち上がったビニール袋の実験を思い出そう。圧力はどれ くらいの大きさでしょうか。面積と力の大きさに着目して計算し ましょう。 C:体重50kgの人が1m 2 の板の上に乗っていて持ち上がった事 実から考えると 500[N]÷1[m 2 ]=500[Pa](500[N/m 2 ]) C:1cm 2 あたりに働く力を求めると 500[N]÷10000[cm 2 ]=0.05[N/cm 2 ] で、1cm 2 あたり0.05[N]で、5gの物体に働く重力の大 きさで持ち上げるだけなので、息の力でも人が持ち上がったこと が分かった。 C:計算で求めたように決まった面積あたりに働く力の大きさを表 していることになるといえる。 C:板を同じ大きさに仕切ったときに働いている力の大きさだと考 えることができる。 ○同じ力でも圧力が違う例を考える。 T:身の回りに同じ大きさの力でも圧力の大きさが変わる事象はあ りませんか。 (例)鉛筆を指で挟み力を加えると、芯の方の指が痛い。 (例)スキー板をはいていると雪の中で沈まないけれど靴だと沈む。 (例)極端に面積を小さくするとすごく大きな力が働くことになっ て危険だ。針が刺さると痛いことがよく分かる。 <出口の生徒の意識> 水圧という言葉を聞いたことがあるが、圧力の仲間だろうか。 生徒の興味・関心・意欲を高めるために □人が持ち上がるのは、力が働く面積が大きく、圧力が小さく なるからであることに着目させるために、力が分散されてい る様子を力の矢印で表現させたものをみながら課題化を図 る。 基礎的・基本的な知識・技能の定着のために □力の働いている面積や圧力に目を向けた発言を位置付ける。 □面を圧す方向、「垂直」を強調する。 □圧力の単位にはPa以外にも、N/m 2 やN/cm 2 があるこ とに触れる。 □教科書p170の例題により計算のポイントを示した後、p 171の問いに生徒全員取り組ませ、机間指導で理解の程度 に応じて指導、援助する。 ◆力の働きと力が働く面積の関係について理解が弱い生徒 →前時の矢印を使って力の働きについて考えたことと変形 の大きさが、力の働きの大きさであることを想起させる。 ◆小数が含まれる計算に苦手意識をもつ生徒 →教科書p171の計算方法を確認する。

参 「『習熟度別少人数指導』実施の手引き(H23.3 月 岐阜県教 育委員会)p10 参照」 実感を伴った理解を図るために □1cm 2 あたりの力の大きさを求めさせることで、分散された 結果小さくなった圧力の大きさをより実感できるようにす る。 □身の回りの圧力に関わる事象を出させる中で、圧力を計算す ることをできる限り行わせる。実際に足を方眼紙の上に乗せ、 面積を出し、自分が床に及ぼしている圧力を計算させる方法 もある。 生徒の興味・関心・意欲を高めるために □気圧についても身の回りの事象としてあげる生徒もいると考 えられる。圧力の種類として位置付け、次時の学習へつなげ ていく。 【自然事象についての知識・理解】 〈評価の観点〉 <矢印で書き表した例>

(9)

第8時「水圧」 単元の終末 本時のねらい 水中で働く力の大きさを、水深と水圧の関係に着目して調べ、水深が深くなるほど水圧が大きくなることを理解できる。 本時の展開 指導計画作成時のポイント ○ポリエチレン袋に手を入れて、水中で手を握ったり開いたり、左 右に動かしたりする体験をし、水圧について説明を聞く。(個別実 験による体験) C:指先の方が、締めつけられている気がする。 C:下からも左右からも力が加わっているようだ。 T:水中で働く圧力のことを水圧という。 水圧の大きさや働く向きには、どのような特徴があるのだろうか。 ○水圧の大きさと向きを調べる実験をする。 T:水の深さとゴム膜の凹みに着目して、ゴム膜をはった筒を水中 に入れたときに水圧の大きさはどうなるのか実験しよう。 C:ゴム膜をはった筒を水中に沈めるとゴム膜が凹んだ。 C:同じ水深だと同じ凹みになった。 C:筒を色々な向きに向けると、どの向きでもゴム膜は凹む。 C:水深に着目しゴム膜の凹みを見ると、水圧は深くなるほど大き くなることが言える。 C:どの向きでも凹むことから水圧は水の中であらゆる方向から働 いていることが分かる。 ○水圧が水に働く重力の大きさによって生じている説明を聞く。 C:深さ1mの面の水圧は、それより上にある水の重さによって生 じている。水1m 3 の質量は1000000gだから水深1mで働く水 圧は1000N/m 2 となる。 C:深くに沈められた発泡ポリスチレンの容器がそのままの形で縮 むことから、水圧があらゆる方向から働くことがよく分かる。 ○水圧の特徴を実感する事象として、穴の空いたペットボトルから 飛び出す水が、下の穴ほど勢いよく飛び出す現象を提示する。 T:穴のあいたペットボトルから水が飛び出します。穴によってど のような飛び出し方の違いがありますか。 T:飛び出し方の違いは今日学んだことでどのように説明できます か。 C:水深が深くなればなるほど水の穴から飛び出す勢いが大きいこ とから、水深が深い方が水圧が大きくなることがよく分かる。 <出口の生徒の意識> 水の中で浮いたりする現象も水圧で説明できるのだろうか。 単元の終末となる時間のポイント □これまで育み、鍛えている見方や考え方を発揮できるように する。水中ではたらく力について考えることははじめてであ る。力が働く物体に着目させた上で、力を実際に表現させ、 力の働きと力の大きさを関連付けてとらえる見方や考え方 を発揮できるようにする。 生徒が見通しをもって観察、実験するために □全員が体感できるように容器と袋を準備し、体感を通して 「深さ」と「向き」について表出した生徒のつぶやきをとら え、全体に広めながら活動を進める。ここで「深さ」と「向 き」について意図的に取り上げることにより、この後の追究 に見通しをもたせることにつなげていく。 問題解決の能力や態度を育成するために □筒を沈める向きと深さを統一させて、水深とゴム膜の凹み方 を関連付けて追究を進める。その後、筒の方向を変化させる ことによって、四方八方から水圧が働いていることに気付く ようにする。(表の活用) 見方や考え方を鍛えていくために □教科書p.174 の立体図を拡大した図を用意し、水に働く重 力により水圧が生じていることを具体的な数値をもとに理 解できるようにする。 □「働いている力を矢印で書き表すとどうなるか。」「ゴム膜が 変形しているということは、力が働いているということだか ら、どんな力が働いているのか矢印で書いてみよう。」など と、机間指導で働きかける。 実感を伴った理解を図るために □水圧の特徴について実感できる事象として、水深の深いとこ ろに沈められた発泡ポリスチレンの容器がそのままの形で 縮んでいる様子の映像などの資料が利用できる。 【観察、実験の技能】 〈評価の観点〉 (見通しをもたせるノート例 ※実験前) 水中に手を入れた時に気付いたこと ・深く手を入れると締め付けられる感じがした。 ⇒水圧の大きさは深さに関係するのか? ・手にまきつくように締め付けられた。 ⇒水圧はどんな向きにも働くのか? 課題 水圧の大きさや働く向きには、どのような特徴があるのだろうか。 実験結果 水の深さ 5㎝ 10㎝ 15㎝ ゴム膜のへこみ方 (ゴム膜の向きを変えた時のようす) 水中で働く圧力 を水圧という

(10)

第9時「浮力」 単元の終末 本時のねらい 空気中の物体と水中の物体の重さを量る実験を行い、水中に沈んだ物体と体積が大きいほど働く浮力が大きいことが理解できる。 本時の展開 指導計画作成時のポイント ○水中に色々な体積、質量の物体を入れた事象を提示し、浮力につ いて説明をする。 C:ゴルフボールは沈んでいるけど、ボウリングのボールは浮かん でいる。 C:浮力が働いているのに物体が浮かんだり、沈んだりするのはな ぜだろう。 C:質量が大きいものが必ず沈むわけではなさそうだ。 C:水圧の大きさが関係ありそうだ。 浮力の大きさは物体の何に関係があるのだろうか。 ○水に沈む体積の違いによる浮力の大きさを調べる実験をする。 T:容積の異なる容器におもりを少しずつ入れ、沈む直前のおもり の重さを調べ、実験結果から何が言えるのかを考えよう。 C:容積が大きい方が、多くのおもりを入れても沈まない。 C:容積が大きい方が物体に働く浮力が大きいことが分かる。 C:沈む直前の水に沈んでいる部分の体積と容器の容積がほぼ等し いと考えられることから、物体の水に沈んでいる部分の体積が 大きいほど、働く浮力が大きいと言える。 T:ばねはかりにフィルムケースにおもりを入れたものをつるし、 空気中での重さ、水中に半分沈めたときの重さ、全て水に入れ たときの重さを測定し浮力の大きさを調べよう。 C:空気中での重さと水中での重さの差が浮力の大きさになる。 C:全て沈めるとどの深さでも浮力の大きさは変わらない。 C:浮力の大きさは、物体の体積に関係し、深さに無関係である。 ○教科書p189「確かめと応用」6の問題に取り組む。 <出口の生徒の意識> 天気予報でPaという言葉を聞くことがあるけど、天気と圧力は どう関わっているのだろうか。 生徒の興味・関心・意欲を高めるために □空気中では大きな重さを感じるのに、水中では浮いたように 軽く感じてしまうことと関連付けて興味関心をもつように、 体積、質量の違いがよく分かる物体を用意し、事象提示する。 単元の終末となる時間のポイント □これまで育み、鍛えている見方や考え方を発揮できるように する。力を量的にとらえる見方や考え方、日常生活と関連付 けたりする見方や考え方を発揮して、上向きに働く力を矢印 で表現させ、上向きの力が生じる理由を考えさせる。 基礎的・基本的な知識・技能の定着のために □空気中の物体の重さと、水中に物体があるときのニュートン はかりの差や同じ深さでは重さが変わらないことに着目す るように援助する。 実感を伴った理解を図るために □浮力の大きさを実際に、物体が空気中にあるときと水中にあ るときのニュートンはかりの測定値の差で求めさせ、上向き に働く浮力の大きさと、体積が大きいほど浮力が大きくなる ことを実感できるようにする。 □フィルムケースの他に小型の試験管等を利用して、体積が同 じで質量が違う物体を調整して製作してもよい。 □家庭で浮力を利用したおもちゃづくりを行い、具体的なもの を形づくることにより理解を図りたい。

参 「学びのひとり立ち」を求めてVOL.4 参照】 【科学的な思考・表現】 〈評価の観点〉

浮沈子づくりにチャレンジ!!

※家庭でものづくりに取り組めるためのプリント例 ○浮沈子とは? あなたは浮くもの,沈むものといったら何を思いうかべますか?手でさわっていないのに水の中で浮いたり,沈んだりするもの … それが浮沈子(ふちんし)です。今日は身のまわりのもので浮沈子をつくってみようと思います。 ○つくり方 ①カップめんや弁当の容器に使われている発泡スチロールをペットボトルの中に入れられるような適当な大きさに切ります。 ②発砲スチロールにクリップ2~3個つなげ,コップの中に浮かせ,水から出た部分を切りとります。 ③このクリップをつなげた発砲スチロールを水のいっぱい入ったペットボトルの中に入れふたをします。 ペットボトルを手でぐっとにぎったり、手を離したりしてみましょう。中の浮沈子が浮いたり沈んだりしますよ。 Q.どうして浮いたり沈んだりするの? 発砲スチロールの中には,小さな気泡(空気のあわ)がたくさん含まれています。手でぐっとにぎると,水に圧力が加わり,こ の気泡がちぢんで浮く力が小さくなり沈むのです。これは,『容器の中にとじこめられた水の一部に圧力を加えると,その圧力は水 の各部分に伝わり,どの面にも同じ大きさで働く』という『パスカルの原理』を使ったおもちゃです。 ◎こんなものも使えるよ… ⇒浮沈子を入れる容器は他にもマヨネーズの容器やプラスチックのしょうゆ容器が使えます。 ⇒浮沈子は発砲スチロールの他にストローや折り詰め用のしょう油容器が使えます。 ※水にやっと浮く状態にするのがポイントです。

(11)

第10時「大気圧」 単元の終末 本時のねらい 大気圧の大きさを調べる実験を行い、空気の重さによる圧力の大きさを実感し、身の回りの大気圧の大きさと関わって起こる現象 を関連付けて大気圧についてまとめることができる。 本時の展開 指導計画作成時のポイント ○水を入れたコップにはがきを乗せ、逆さまにしたとき、はがき と水が落ちない現象を提示する。 T:はがきも水が落ちないことをどのように説明できますか。 C:水でくっついているのか。 C:はがきが落ちないように力が働いているはずだ。 C:水が落ちようとする力より、空気が上に押し上げる力の方が 大きいのではないかないか。 C:空気が上向きに力を加えているのか。 空気によってどのような力が働いているのだろうか。 C:空気が力を加えているのだろうか。空気は軽いので力がある なんて信じられない。 ○空気に重さがあることを確かめ、空気に重力が働くことによっ て生じる圧力が大気圧であることを説明する。 C:どれだけ空気が入ったかはわからないけれど、やっぱり空気 を入れたら重くなった。空気にも重さがあるんだ。 C:大気圧とは空気の重さによる圧力なんだ。どれくらいの大き さがあるのだろう。 ○大気圧の大きさを体感する実験を行う。 C:空き缶の空気を水蒸気で追いだしふた をしたら、すごい勢いで空き缶がつぶ れた。大気圧は空き缶を簡単につぶし てしまうほど大きい。 C:注射器の中に発泡ポリスチレンの立方体を入れてピストン を押すと、立方体が小さくなった。気圧は四方八方からか かる。 ○大気圧の大きさについての説明をする。 海面で約100000Paの大きさがある。これを1気圧という。 T:身の回りで大気圧によって起こる現象を体験しましょう。 (例)新聞紙の下に割り箸を置き、割り箸に力を加えると折れる。 (例)ゴム版で机を持ち上げることができる。 (例)山へ登るとお菓子の袋が膨らむ。 ○教科書p189「確かめと応用」7の問題に取り組む。 <出口の生徒の意識> 目に見えない力がどのように働いているのかは、力を図で 表すことでよく分かった。私たちが知らないところでも、身 の回りには力の働きによっていろいろな現象が起こっている と実感した。水や空気にも重さがあるから水圧や大気圧が生 じていて、その大きさは予想よりはるかに大きく驚いた。 単元の終末となる時間のポイント □これまで鍛えている見方や考え方を発揮できるようにする。力 を量的にとらえる見方や考え方、日常生活と関連付けたりする 見方や考え方を発揮して、事象について考えさせ、空気が働か せている力について興味、関心を高め、問題意識を醸成する。 基礎的・基本的な知識・技能の定着のために □スプレー缶の中身が真空と考える生徒もいるので、中に空気を 入れて計ることを説明する。 見方や考え方を鍛えていくために □「アルミ缶がつぶれる事象を見て、水をかけて冷えたから縮ん だとアルミ缶の中の気圧が減少するととらえられない生徒も いると考えられる。空気中で物体に働く力を矢印で書き表した らどうなるか」「アルミ缶が変形したことから力が働いたこと が分かるから、どんな力が働いたのか矢印で書いてみよう」な どと働きかけ、空気の重さと大気圧を関連付けて考えられるよ うにする。 実感を伴った理解を図るために □四方八方から大気圧が働くことは、なかなかイメージがわきづ らい、何度も演示したり、図示したりするなど、生徒がイメー ジできる工夫をする。 □教科書P.179のマシュマロや発泡ポリスチレンの事象を提 示したり、布団圧縮袋や吸盤の実物を用意したりして、日常生 活と関連付けて理解できるようにする。 □山頂でお菓子の袋がふくらんだことや、耳がいたくなった経験 など、生徒たちから出させ、大気圧を用いて事象を考えさせて いく中で、理解をより確かにしていく。 □ドラム缶など大きめの缶をつぶすダイナミックな実験を行う とよい(火傷には十分注意する)。 【自然事象への関心・意欲・態度】 【自然事象についての知識・理解】 〈評価の観点〉 〈評価の観点〉 【家庭学習で学んだことを確かめるために…】 ※

参 「学びのひとり立ち」を求めてVOL.4 参照 ○教科書p183問い…吸盤が面にはりつくことを力のはたらきを使って考える。 【第10時の導入の場や家庭で行うことができる大気圧の大きさを体感できる実験 例】 ○ビニル管で水を吸う…10mほどの長さの透明のビニル管を使う。2階、3階からも同じことをやってみる。 ○ゴム板で机を持ち上げる…ゴム板に取っ手を取り付け、机上に乗せ、水平に動かしたり、上に持ち上げたりする。 ○新聞紙の中の割り箸折り…新聞紙を机上に広げ、割り箸を机と新聞紙の間に挟み、霧吹きで水をかけた後、割り箸 を強く真下にたたく。(※手に怪我をしないように注意する)

参照

関連したドキュメント

C. 

人間は科学技術を発達させ、より大きな力を獲得してきました。しかし、現代の科学技術によっても、自然の世界は人間にとって未知なことが

を育成することを使命としており、その実現に向けて、すべての学生が卒業時に学部の区別なく共通に

を育成することを使命としており、その実現に向けて、すべての学生が卒業時に学部の区別なく共通に

具体的な取組の 状況とその効果 に対する評価.

具体的な取組の 状況とその効果 に対する評価.

本研究科は、本学の基本理念のもとに高度な言語コミュニケーション能力を備え、建学

本研究科は、本学の基本理念のもとに高度な言語コミュニケーション能力を備え、建学