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富山湾の沿岸波浪の特性 (第2報)

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(1)

防災科学技術総合研究報告 筑28号 19?2年2月

551・466:551,468:551,556.8(521.42)

富山湾の沿岸波浪の特性

         (第2報)

  石幾崎一郎 気象庁気象研究所   太田芳夫

富山地方気象台

On廿e Characteristics of Coastal Waves on the       Coast of Toyama Bay

      {Report・1,

      By       lc■1iro Isozaki

       肋0701o邸.ωlR㈹〃c〃舳〃〃θ,τoりo       and

       Yos■1io011ta

      刀oγo〃o Zoω1〃αω701o♂ ω10わ∫θ〃〃07γ

Abstraα

  Climatological and synoptic chamcteristics of the coastal waves in Toyama Bay are investigated by ana1ysing the meteorological observations and weather ch別rtsrelating to the wave condition.

  Domimnt waves in the bay are c1assified into two types;waves of the first type are caused by strong winds田round the bay,and those of the second type are the swe11s which are c副used by northeasteHy strong winds over the northem part of the Japan Sea and propagate southwestward to Toyama Bay.The1atter is the so−ca1led yorimawari WaVeS.

  These two kinds of w副ves have respectively distinct natures,md it may be able to forecast the generation of these waves qualitative1y at least by the synoptic am1ysis of weather charts.

  A numerical wave prediction mode1was applied to the waves from Feb.22to24in 1966.The computed wave heights agree f田irly well with the observation.

  1. はしがき

  前回の報告(磯崎,!971)では昭和41年2 月22〜24日の波浪の性質をスペクトル解析に よって調べ,明らかに風波と見なされるものと,

うねり性のいわゆる}よりuり波 といわれるも のの存在を確認した.また富山湾沿岸は一見単一調 な海岸線を持ちながら沿岸波浪の特徴が局所的に かなり異ることが過去の波浪害の事例からうかが える.これは富山湾の海底に数多くの洋谷が存在 するため,外海から侵人する波が複雑に屈折して 波線が局所的に収れんする場所と発散する場所が

できるためであろう.このことを波浪,州折図をイ1.

成することによって明らかにした.

  引き続いて,富山湾の沿岸波浪の]般的性憤,を 明らかにすることと,さらに近年茗=しく北ふした 波浪数値計算枝術を川いて湾内波浪を数他的に再 現する試みがなされた.前 者は太田芳犬の指導の もとに富山地カ気象台に券いてなされ,その成果 は「富山湾の波浪の総観解析」(昭和46年3月)

として刊行された.その内谷は次の、1屯りで ある.

 第1章富山湾の波浪の統.計的調査(1)加膝進一  第2章富山湾の波浪の統計的調査(2)加藤逸一

一3一

(2)

當山湾海岸浸食に関する研究 (第2報) 防災科学技術総合研究報告

第28号 1972

 第3章伏木・新湊の風波について  日原達彦

 第4章富山湾の高波に関する

       Case Study 吉田忠孝  第5章富山湾の浪害とその予想について       舟田久之  第6章いわゆる一一より回り波 の天気図     パターンと波高計算について 佐藤正夫  第7章波浪と豚動の関係について  森田 茂  第8章富山湾の波浪と豚動について 権藤光宏   また波浪の数値計算の試行については磯崎一郎 と宇治豪が担当したが,そぴ)詳細は別途刊行の予 定である、この報告では以上にのぺた研究を概説 するが,詳細は原著を参照されたい.

 2.富山湾の波浪の統計的性質

 富山湾の沿岸では運輸省第一港湾建設局,建設 省北陸地方建設局,日本海石油株弍会祉などによ って波浪観測が実施されて拾り海老江,新湊,四 力,北窪,田中の5ケ所の海岸での波浪観測資料 が存在する.これらのうち比較的資科が充実して いるのは建設省北陸地力建設局が管理している田 中海岸,拾よび運輸省第・一港湾建、没局が管理して いる新湊海岸の波浪記録である.それで両建設局 の御厚意によって資料の提供を受け,これら2地 点の波浪の統計的調査を行なった.州い疋資料の 期問は昭和38年から昭和43年までの6年問で

ある.な拾,観測地点は図1に示すように,田中 海岸は宿山湾の外側の黒部川の河口付近にあり,

新湊は湾奥に位置している.

 2.1 波高の特性

 表1と表2はそれぞれ田中海岸倉よぴ新湊海岸 に紅ける波高の頻度分布を示す. また図2には両 海岸で波高がO.5m未満,⊥.1m以上拾よび3.1 m以上になる出現度を月別に示した.ここで波高

100

80 6

20 0

   !×〉!\

㌧!  \\入:

/   ≦0.5m

40

20

1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 月

・\.   ≧1.1m

 べ、

、・・1      /

1\  _■:レ

    2 /

 2  3  4  5  6  7  8    10 11 12月

図2 各月について波高が<O.5m,>1.1m,

  拾よぴ>3.1mになる日数の割合   一一一は田中 一一〇一甘一は新湊であo

●軸

?.

伏木 2いユ

汀洲23

  ■ 富山

日中

1.淘定江 2.四方 3.北珪

図⊥ 富山湾の海岸線と観測所位置

とは波浪記録紙上での見かけの波から読みとった 有義波高のことである.これらの図と表によると,

5〜7月の期問では全日数のうちほぼ90勿程度 が波高O.5m以下である.また12〜3月の冬期 間には全日数の20%以.上が波高1.1m以上とな

つている.

 富山湾の波浪は,冬期低気圧が適過後大陸から 吹き出す北西の季節風によって発達するものと,

本州の南岸を通過する低気圧や台風の北上などに 伴う北東の強風によって発達するものとに分けら れる.前者の場合は1月に最も多く,田中海岸で 高波が発達するが新湊ではあまり高くならない.

後考の場合は2,3月に多く,田中よりも新湊の 方で波が高くなる傾向がみられる.

 4.1m以上の高波はこの統計期問中に田中で6 同,新湊で2回起っている.湾内の新湊よりも外

(3)

富山湾の沿岸波浪の特性(第2報) 磯崎・太田

表1 田中海岸月別波高出現度数表

」茸

区分 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1O 11 12

O.5m以下

(34,2)  69 (45.8) 49 (62.5)  ?5 (?7.5) 93 (93.2)  83 (91.O) 81 (93.5) 29 (79.1)  72 (72.7) 40 (50.8) 62 (63,5) 94 (53.6) 97 (62.3)844

O.6〜1.O

(32.7)  66 (24.3) 26 (17,5) 21 (15.8) 19

︵2.2︶ 2 ︵4.5︶ 4 ︵6.5︶ 2

(13.2) 12 (20.O)  11 (33.6) 41 (20.3) 30 (22.7) 41 (203)275

1.1,1.5

(14,4)  29 (16.8) 18 (1O.8) 13

︵2.5︶ 3 ︵2.2︶  2 ︵1.1︶ 1 ︵5.5︶  5 ︵5.5︶ 3 ︵8.1︶1O

(10.8) 、16

︵8.8︶16 ︵86︶116

1.6〜2.O

︵8.9︶18 ︵4.7︶  5 ︵3.3︶ 4

(2.5)  3

︵1.1  1 1.11 ︵1.1︶  1

O

︵4.9︶  6 ︵2.7︶ 4 ︵50︶  9 ︵3.9︶52

2.1〜2,5

︵4.O︶ 8 ︵3.7︶ 4 ︵2.5︶ 3

(O.8)  1

0

︵2.2︶ 2 ︵1.1︶ 1 ︵1.8︶  1 ︵1.6︶ 2 ︵1︐4︶  2 ︵4.4︶  8 ︵2.4︶32

2.6〜3.O

︵20︶  4 ︵O.9︶  1 ︵1.7︶ 2

O

1.1 1

O O

︵2.8︶  5

 (1.O)・ 13

3.1〜3.5

2.0 4 O.9 1 ︵1.7︶ 2

O

︵O.8︶ 1 ︵O.7︶  1 ︵1.1︶ 2 ︵O.8︶11

3.6〜ω

︵1.O︶ 2 ︵1.9︶ 2

O

︵O.?︶  1 ︵O.6︶  1 ︵O.4︶  6

4.1〜4.5

︵O.5︶  1 ︵O.9︶  1

O O

︵O.1︶ 2

4.6〜5.O

︵05︶  1 ︵O.8︶ 1 ︵1.1︶  2 ︵O.3︶  4

5.1〜5.5 5.6以上

㌧1OO−2) 202 (99.9)107 (1OO.0) 120 (99.9)120 (99.8)  89 (99.9) 89 100.O) 31 (1OOO)  91 100.O)  55 (99.8)122 1OO.O)148 1∪0.1)181 1uO.1)1355

)内は百分率

表2 新湊港月別波高出現度表

耳三

区分 1 2 3 4 5 6 8

9

1O 11 I2

O.5m以下 (66.7) 40 (56.6) 43 (588) 35 (929) 26 (81I5) 44 (86.O) 43 (1O00)  31 (?8.O) 46 (72.4 63 (?2,3) (64B)

︵71.9︶ 

O.6〜1.u

(26.7) 16 (1ワ.1) 13 (15.O)  9

︵7.1︶ 2

(14.8)  8 (1O.O)  5 (16.9) 1O (16,1) 14 (17.O)  19 (21.7) 25 (16.5)  1

1.1〜1.5

︵5.O︶  3

(1蝸) 11 (11.7)  7

︵4︐O︶  2 ︵5.1︶ 3 ︵5︐7︶ 5

(3.6) (6.1)

O

(5.7)

1.6〜2.O

︵1.7︶ 1 ︵1.3︶  1 ︵3.3︶ 2 ︵3︐7︶ 2 ︵34︶ 3 ︵1.8︶ 2

(1,7) (1.8)

2.1〜2,5

︵2.6︶ 2 ︵6.7︶ 4 ︵2.3︶  2

(2、?)

︵17︶ 

(1.8)

2.6〜3.0

︵39︶ 3

O (O,9) (O.5)

3.1〜3.5

︵1.3︶ 1 ︵38︶ 2 ︵1.8︶ 2

(O.9) (O.8)

3.6〜4.O

︵2.6︶ 2

O

︵O︐9︶ 1 ︵1.7︶ 2 ︵O.7︶ 5

4.1〜4.5

︵1.?︶ 1 ︵OI9︶ 1 ︵O.3︶ 2

4.6〜5.O 5.1〜5.5

5.6以上

100.O) 60 (99,9) ?6 (ユOO.O)  60 (1OO.O)  28 1OO.O) 54 100,O)  50 (1OO.0)  31 (1OO.O)  59 (99.9) 87 (100.1) 112 (99.9)115 1OO.O)732

)内は百分尋

皿5一

(4)

富山湾海岸浸食に関する研究 (第2報) 防災科学技術総合研究報告 第28号 19?2 側の田中の力が波が高いことがうかがえる.なお

両海岸とも5.1m以上の高波は起っていない.両 海岸の波浪計の受感部はいずれも水深が10m前 後の所に、設置されているので,海底地形の効果を

著しく受け,外海からやってくる大波は砕けてし 重うからあまり大きな波が観測されないのであろ

う.

 2.2 周期の特性

 有義波高が1.1m以上,2.1m以上およぴ3.1 m以.上二の暢合の有義周期の出現頻度を図3に示す.

百%

分30

 20   0  0

■﹁

Hと(日{畠)1.1π以』=

      全回牧囲ψ235          鰍78

ヨ456789IO1112 3  5蛇c

      周期

る高波に伴うものであり,後者は外海で発連した 高波が湾内に侵入した場合に現われるものであろ

う.

 な含,周期の出現範囲は田中海岸では4〜15 秒,新湊では4〜12秒で, 般に日]中の方が長

い.

 2.3 風同と高波の関係

 観洞1」点における風の風向別に波高の出現u数を とったものを表3に示す.重た,図4には瓜向が

W SW〜NW,N NW〜E,E S E〜SWの象限

にある場合拾よぴ静穏の場合についての高波の出 舳]数を示してある、この図で波高区分3,4,

40

30 20

lo

o

H名(日^高〕2.一η以止

     全回教帥         ㌫岩30

345678910

I1  2  13  I4  I5S停C

一■■1 50 ■ 一 1 一  一  ・  ■ 一 一 一  一 ■ 一 一  一一  1     ■ 一 一 I 一

肌。o 1           ■  一    ■ ■   一    ■ ■ I一 一  一 ■ 一一  1  .  一  1  1 一        一 一  1

……縢一

ユ30 ■ ■ 1 一  1  一 一 ■ ■ 一 一  ■    一 一 一 一  一  1 − 1  一

2 一 ・ 一 ■ 1 ■ 1 ■  一一 一 ■ ■■ 一  ■ 一 1 一 ■ 1

10 ■ ■ 一   1  1   − 1 ■ ■ ■ ・ ■ 一 ・        一1 −  I ■ 一 ■ 一 ■ ■ 一  ■ 一 1  ■ 1 ■

オ恥 3 5 6 4   6 3 4 5 0 3 4 5 0 口向 WSW〜 W ■ W〜6 ESE〃SW C■lm

図4 風向別波高出現回数(昭和39〜43年)

30 20 10

0

H老(日^剖3.1〃以上

3456789I0

全回欲田中24

  柳則2

〃   2  3   4 I5Sεc

図3 波高別周期川現度

この図によると,L口中海岸では出現度教分布の形 が害■」合に単調で,最多出塊度の胸期のまわりでほ ほ正規分布をしている.最多出現度の}■榊」は波高 が高くなるほど長くなる触向がある.すなわち,

1.1m以上の波高の波についてみると8〜9秒の 周期の波が最も多く,2.1m以⊥の波ではl O〜

11秒,3.止m以.1二の波ては⊥1秒の波が蝦も多

い.

 一万,彩r湊の場合の分布は複維であって,最多 山理度教¢)胴期が5〜6秒であるような滞と,約

9秒であるような辞とが萩なっているかのように 見える.おそらく,前者は湾内の党1風によって起

波高区分3    4    5    6

: 1.0〔トー1.25m 1 1,215〜2.5um

: 2.5ユ〜4.OOm

: 4.O1m

5およぴ6はそれぞれ波高がL00〜1.25m,

L26〜250m,ム51〜4.OOm,右よひ生0!m≦

の範囲にあるものをあらわす.

 図4の中で,WSW〜NWの象限の風は冬期の

季節風が卓越する場合に多い.この場合には出中 では高波の発生同数はかなり多いが,新湊の場合 には発生回数が非常に少い.

 風向がN NW〜Eの象限にある時には田中,新 湊とも高波の発4三回数が最も多い.この象限の平

均風向は北東ないし北北東であって富川湾の波の 発達に対しては最も効果的攻風向である.

 風向がESE〜SWの象帳にある場合1)高波も,

r山j海岸ともにかなり多い.これは冬期の李節風の 末期に富山湾沿岸があい南吝りの風になった時に 起.る高岐で,その典仙的なものが}よりい」り波 てある.静ねび)場合の高肢もこの州二顯に械すると

」考えられる.したがってこの汽じ似の波はんj地の風 によって起るのでぱなくて,遮い外海で起ったも

(5)

富山湾の沿岸1波浪の特性(第2報)  磯崎1太田

    表3 舳^」別波浪出現度数表

       日日巾一旧中, ( )内新湊一新湊

Hl/3T1/

1.OO〜1.25m 1.26〜2.5m 2.51〜4m 4.O1m≦

Total

SeC<8

8.O 1oo〜119

皿oく L<8 8.O

9 .9

10,011.9

120く ■<8 8.O〜99 1O.O〜11.9 120…≡ 〈8

弓.O〜9.9

100〜119 120二 ■

〈5m 1 3 1 (5)

4 1 4 2 1;

NNW  5〜1ON

1 1 2

1 2 4 4 2 13

11≦ μ 1

3 3 5 11

<5 (4)

︵1 ︵2 ︵3

2 3 3 1

︵1O︶9

NNE  5〜10NE

2 1 2 2

3 1 4 1 3

︵7︶12

11≦ 1.1

、1 (2)

1 2 1 1 5

<5 2 (2

1 2 1 1 5

NE 5〜1OE 1 ︵2 ︵1

(4)

2 2 1 5

11≦ ■

︵1

1㌧1 2

1 1

<5

3) (3)

2 2 2 6

ESE  5〜1OSE

1 1 2

11≦

〈5

︵3

2 3 3 5 1

︵3︶15

SSE  5〜1OS

1 1 1 1 4

11く 1一

<5 (1)

︵5

(3)

3 2 1 1

︵44 ︵2︶3

2 1

︵15︶17

SSW  5〜10SW ︵13

(i)

1 2 3 4 2 1 1 1 1 19

11≦ 1 1 2

<5

︵1︶1

(1)

2 3

︵2︶3 ︵4︺9

WSW  5〜1OW

2 1 1 1 3 1 1 1O

11≦ 3 1 2 1 1 1 9

<5m

1 1 1 21

WNW  5〜1ONW

2 1 3 1 1 2 1O

11く ■

1 1 1 1 2 6

Calm

2 1 3

Total

︵12︶26 ︵13︶6 ︵5

8

︵1039

4 5 3 2

6 27 26 4 1 8 15 3 2 3

︵62︶﹈欄

注 資料   欠測

昭和39年〜昭和43年の日最大有義波高1.Om以.止

田中 43年1月〜6月

新湊 罧9一年3月〜8月,40年4月〜41年8月     11月〜43年3月

      一7

42年8月〜9月

(6)

富山湾海岸浸食に関する研究 (第2報) 防災科学技術総合研究報告

第28号 1972

のがうねりとして伝搬してくるのであろう.それ

で周期も1O秒以上のことが多い.

 3.富山湾の浪害とその予想

 富山湾の沿岸では高波によって海岸の浸食,護 岸防波堤の欠壊,田畑・家屋の流失や浸水,船舶 の遭難や破損,それらによる尊い人命の損失など 毎年のように浪害が発生している.この浪害の原 因である高波の一種に占くから 一より回り と名 付けられている波 があり,これの発生機構につい てはすでに北出(1952)がSvcrdrup and Munk(1947)の方法によって論じている.し かし当時はまだ器械による波浪観測が行なわれて いなかったので十分な検証がなされなかった.

 ここでは昭和38年から昭利45年までに発生 した富山湾の浪害を富山県気象月表や防災実施状 況報告より抜き出し,この時の波浪と気象との関 係を総観的に解析して,浪害の予想の口丁能性につ いて論ずる.

 3.1 富山県の浪害と気圧配置型

 上記の8年問に浪害は11回発生している.地 上大気図およひ県内の風資料を用いて波を原因別 に調べると,浪害は一一よりnり波 によるもの,

富山湾およびその近海の北東強風の風波によるも の,mより回り波 と北西強風の風波との合成に よるもの,の3つに分けられる これらの発生回 数はそれぞれ7回,3回,およぴ1uである.

 次に波の植類別に浪害の発生状況と天気凶の型 との関係について例を示す.

 (イ) より回り波(昭利38年1月7〜8日)

 7口夕刻から富山湾沿岸一帯に高波がおそい新 湊・侮老江・掘岡で家屋の倒半壊!9棟,浸水家 屋166戸,負傷者14名,また入善地区海岸で は護岸堤防が破損,その他の被害があった.図5 は1月6日21時の地上大気図で,低気〃1が三陸

沖と能登沖にあって二っ玉型を示していた.この 頃に北海道の剛貝■」海⊥では北東の強風が続き,そ こで発生した高波がうねりとなって約24時間か かって7日に富山湾まで伝搬し沿岸に被害を与え た.高波が起っている時富山湾沿岸一帯で風が弱 いのが特徴的である.

 (→ 北東強風の風波(舳利42年10月27〜

   28口)

 27口夜から28口靭・まで北東の暴風となり,

海岸の魚津・滑川・岩瀬・氷見の各地で風波によ

眺ε

140

I磐

42

日午

l020一

oo   一

巧638} □21オ 図5 昭和38年1月6日21時の天気図

る浪害や家屋の浸水が発生した.また28日2時 頃東部沿岸で漁民1人が転落して行力不明,新湊 でも波によって2人が行力不明となった.28口 9時の天気図を図6に示す.台風3斗号ぱ2?日

怜一け慌一

\        し1

凹 岬鮒

洞メ 灼

_〃 1.

■.

一畿

  べ

 1020

I020  

。■0,I,42 10I28808

図6 昭和42年10月28日09時の天気図 夜紀伊半島に上陸,その頃から富山湾で北東風が 次第に強まり台風接近とともに夜半すぎに暴風ト肩

、j=なった.最大風速は富山でNNE23.7m/s

(28日3時),伏木で17.8m/s (28日2

時40分).この北東の暴風によって風波が高ま り被害が発生した.

 い より]」り波と北西強風の合成(昭和45年

   1月31日〜2月3日)

 昭和45年1月低気圧により31日10時頃か

ら東部海岸で風波が高くなり14時頃から堤防や 護岸を乗り越えて被害が発生した.その最盛期は 2月1日3〜4時頃であった.人善町や滑川市で は高波が防波堤を乗り越えて民家をおそい亙傷41 名,軽傷14名,全壊1戸,半壊8戸,床上浸水

85,床下浸水126,非住家167その他海岸

(7)

富山湾の沿岸波浪の特性(第2報)

堤防,漁港,船舶な、ビに大被害があった.

 1月31日21時の天気図を図7に示す.発達

  ㎞         ■

一 給   、1凹心1、

          ㌔

    ζ一。   凧

/、.        ㎜

       . N・㎝,

    101

   診椚

帥45阜1m1口21}

図? 昭和45年1月31日21時の天気図 した二っ玉の低気圧が本州をはさんで西日本から 北東に進み,31日には低気圧の後面で季節風が 強まダこれによって湾の東部海岸で著しく風波 が高まった.一方,北海道の西側海⊥では北東風 が強く,ここで発生したうねりが富山湾に侵入し,

前記の北西の風波に引続いて 一より回り波 が起 主〕,長期問にわたって高波が続いた.

 3.2 浪害を起す波の予想について

 浪害の起った11例について有義波高のシーケ ンスを作り,また富山から北方で日本海側の海に 近い気象官署の観演 」から風向・風速のシーケンス を作って風と波を対応させた.これら11例の解 析によると,有義波高が2.5m位になると沢害が 発生しはじめ,4.0mを越えるようになると被害 が大きくなるようである.

 っぎに,これら11例の風と波のシーケンスか らPNJ法によって波浪の総観角峯析を行なったが,

その1例として昭和38年1月7日の場合を示す.

図8はこの場合のシーケンスであるが,7日17 時30分に新湊で波高4.18m,周期11.6秒の有 義波を観測している.より回り波は富山湾が北東 万向に開いているので口本海の北東部の海上で発 生した波が伝ぱんしてくるものと考えられる.新 湊で観測した波周期から波の伝ぱんを逆算すると,

凶8の風のシーケンスの中で波杉触で示したよう に6時問前には佐渡の相川付近,12時間前には 秋田沖・18時問前には深浦の沖,24時問前に は北海道巣尻島の凶側海⊥にあったことになる.

よ〃!け波が到達した約24時問前の1月6日 21時の入気凶(図5)でぱ,気圧酉雌二は二っ玉

磯崎・太田

低気圧型で北海道の西側海上から尚宮海峡ヵ匝」に かけて強い北東風が吹いている.この北東風にょ

・て起つたうねりが約24時問かかつて富山湾・ま で伝搬してきたものと考えられる.図8の中で留 萌の風が弱いのは地形の影響によるものと忠われ

る.券そらく海⊥では留萌の沖付近から北の水域 で北ないし北東の強風が吹いていたのであろう.

 その他の事例解析をも参照してみると,より1・1 り波は稚内・函館・寿都・深浦などに春ける北東 強風の強さと吹続時尚をは握することによりほほ 予報ができそうである.しかも強風の実況を観湖」

してから約24時問後に高波が起るのであるから 予報ぱきわめて有効である.

 富山湾およひその近海に呑ける北東強風によっ て起る波は強風の予報そのものがきわめて大切な 碧素となる・低気圧や台風の移動の予報に伴って,

定性的にぱ強風と高波の予報は可能であるが,イ、〒

鯛できる量的な予報については将来の閉発にまた

ねぱ ならない.

 4一より回リ波の代表的天気図型と波高計算1こ    ついて

 4.1 顕著なよリ回り波を起す天気図型  前節でのぺたようにいわゆる}よりL1」り波 は

冨山湾の浪害の大きな原因の1つとなっている.

その本賀は北海道西側海⊥から問宮海峡方面にか けての海域に圭・ける北ないし北東の強風によって 起った波がうねりとして伝搬するものであるらし いことはすでに示したとおりである.富山湾内で より回り波でかなりの被害が生じた際の約12時 問前の天気図を検討すると,いずれも顕著な冬型 気圧配置であって北海追あるいはその東刀洋」二に 非常に発達した低気圧が存在することである.し かも少くとも12時尚以⊥この型が継続していカ けれぱならない.とくに尚宮海峡から、化海道州員1」

海⊥にかけては北から北東の非常に急な気圧伽度 の場が形成されてし(る.

 上にのぺたような性質をもつ典型的な天気凶と

しては昭和30年1月10日21時,同年2月 20口21時,胎和38年1月7日9時,昭利 45年2月1日9時の4例があるが,これらを合

成して平均したものを凶9に示す.この凶から辛1」

断すると富山湾の高波に寄与する強風海域は我々 が考えていたよりかなり高緯度まで拡がっている ようである.また風場は北紺42度付近を境外と

一一q一

(8)

富山湾海岸浸食に関する研究 (嬉2報) 防災科学技術総合研究報告

第28号 1972

ぐ0 ・O

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00   一⑭O     ⑭O     寸〜ヨ    雲 ︒og望ミs〜㍗o

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(9)

富山湾の沿岸波浪の特性(第2報) 磯崎 太田

して風向風速ともはっきり変化するので,富山湾 に侵入してくる波を考える時にはこの境界より北 側に注目すれぱよい.

イゴ衷波高およひ有義周期の時問変化を凶11に示 す.これにょると波高が2m以上の期問は約3口 におよんでおり,またこの期問巾波周期は12〜

13秒であった.

o

伽 θ

7、、

 、

?801

   図9 より回り波が発生ナる代表的天気図

 4.2 富山湾の高波の周期と天気図型

 富山湾で高波が発生した場合の天気図型を波周 期を用いて分類すると,上にのぺたより回り波が 起る天気図型の場合と,本州南岸を低気正ピや台風 が通過することによって富山湾周辺で北東風が強 まるような天気図型の場合に分けられる.

 前者の天気図型の例として昭才]40年12月

31日の高波を示そう.図10には31口9時の

天気凶が示してあるが,これは図9のより回り波 の代表的天気図と非常によく似ている.この時の

5 4 3 2

I0

5

0 8 16 0 8 1  o 8 16 0 8 16 3 8     .目     28     38

o 8  6 0 8  6 0 8  6 0 8  6 引8    18     28     ヨ8

図11昭和40年12月31日〜41年

   1月30[」の海老江の波高と燭期

日回オ040早,2月318?叫

H

L

3121■

、ρ

一 一■  一_

o

図10 昭和40年12月31日09時の天気図

 後者の南岸低気圧の例として昭和38年3月 12日の場合を示す.12日9時σ)人気図がレj 12に示されているが,これによると日本海南部 で北東風が強く北部では弱い.この時の有義波高 およひ有義周期の時問変化を図13に示す.これ によると波高2m以.上の期問は約15時尚であり,

また波周期は5〜6秒で短かいフェッチで形成さ れた風波であることを示している.このように,

富山湾で発止する高波は波周期の立場からも明ら かに2種類に区別できる.

 4.3 簡便な波高推定法

 波高を数値的に見積るカ法は屯十計算微の使川 が比較的容易になったことから近年者しい逃歩を とげつつある.その一つの試みについては後節で のぺるが,ここでは現場で簡単に波高を推定する ことを考える.

 今まで述べてきたように,富山湾の高波は特異 な気圧配置のもとで起っており重た地形的なf行■」約

一11

(10)

富山湾海岸浸食に関する研究 (第2報) 防災科学技術総合研究報告 第28号 1972

H

胴和38午洲12日?崎

もはっきりしているので大雑把な波の推定のため にはかなり大胆な仮定がゆるされるであろう.こ こではまづ,今までの解析にもとずいて7エッチ を図14に示すようなA,B両区域に分け,それ ぞれの区域上で風が斉一であると仮定する.Aは

r 、μ

       σ

図12 昭和38年3月12日09時の天気図

4 3

2

.36o   .40●   ・44●

丁5・ト十・.r・

r48r一

一」46」一r

1

+4 r一一

    I■

    1

↓一42

I

一一40

1   A ,.

 、

.→.

 1  1  、

   . 一       、

     一ト  ー ↑

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・一一.一↑

、       、

        8  1

      ,■  1

一一38一         ・  ・「・・

      一

     1だム阻.タ1

5

10

5

21 3 ?  5

   138

21 3 ? 15

   14日

21 3 9 1521 3 9 15

   138      14ε 図13 昭和38年3月13日〜14日の新    湊の波高と周期

図14 A,Bフェヅチの区分拾よぴ各7エッチ    の平均気圧傾度を求めるための緯度3。

   幅(330km)(つ測定位置

より回り波を起すフェッチ,Bは北東の風波を起 す7エッチである.このように7エソチを固定し て,風速別,吹続時問別に波高・周期・伝搬時間 をあらかじめ求めて釦く.7エッチAについて計 算したのが表4である.

 7エッチ内の平均風は平均の気圧傾度から求め る.さて富山湾の高波は北の成分の風によって起 るとする.それで等圧線の走向と纏度線のなす角 をαとしたとき,求められた平均気圧傾度にCoS αを乗ずる.実際には等圧線の走向と風向とは或 る角愛をなしている.それでここではこれを20 として,平均気圧傾度にcos(α十20。)を掛ける

(11)

富山湾の沿岸波浪の特性(第2報) 磯崎・太田

表4 Aフェッチよりのうねり伝ぱん計算表

  ■予報時問を6時問とし,その時問に存在する周期範囲T l〜T2,T2〜

  T3,T3〜T4をそれぞれT l,T2,丁畠であらわす.

吹続

平均時問凪速 12時問 18時問 24時問 30時問

m ノヅト 周期■秒 至1」達時問 O.22△E 周期㈱ 至1」適渠澗 022△E 周期㈲ 到適都」 022△E 周其1

到1榊

022△E

1530 T1 8.3 24.O 1.5 Tl 112 18.O 4.O T1 16.8 1り.0 5.3 T1 16.8 12.O 5.3 16(32) Tl 7.7 26.O 2.2 T1 1O.O 19.O 4.6 T1 15ユ 13.O 6.4 Tl 17.4 11.5 7一?

T2 ユO.4 19.O 5.3 T2 11.6 17.5 5.5 17(34) 1 8.1 24.5 2.2 T1 10.O 19.6 4.8 Tl 13.7 15.O 9.9 T1 18.2 11.O 1O.6

T2 9.6 21.O 4.2 T2 11,8 17.O 8.1 18(36) 1 240 2.6 1 9.7 20.O 5.5 T1 12.5 16.O 11.O T1 16.8 12.O 1:3.2 T2 9.O 22.O 4.2 T2 11.り 18.O ?.7 1

8.

23.5 2.9 Tl 10.3 19.8 7.O T1 12.1 16,O 11.9 T1 15.1 13.O 15.4

19(38) T2 8.9 22.O 4.2 T2 1O.4 19.O 7.7

T3 7.9 25.O 2−6 Tl 8.5 23.3 3.3 T1 1O.0 19.6 ?.3 T1 11.9 16.5 12.5 T1 13.7 14.5 17.6

20L40) T2 8.4 25.6 2−2 T2 8.7 22.5 3.7 T2 9.6 20.5 6.6

T3 7.5 26.5 2.O I 8.? 23.O 4.2 T1 1O.5 19.u 7.5 Tl 11.6 17.O 13.2 T1 13.O 15.O 19.4

21(42) T2 8.0 25.O 2.6 T2 8.6 23.O 3.3 T2 9.3 21.O 5.3

T3 7.3 27.O 1.5 22(44) T1 9.1 22.O 4.4 T1 1O.5 19.O 7.? T1 11,8 17−O 15.4 T1 12.6 15.6 19.8

T1 8.O 25.O 2.2 T2 8.7 23.O 4.4 T2 9.2 り1.6 6.2

23(46) Tl 1O.O 20.0 6.6 Tl 1O.8 18.5 8.5 Tl 12.1 16.O 15−4 T1 13.2 15.O 25.3 T2 8.2 24.5 2.6 T2 8.9 24.O 6.6 T2 9.5 21.O 6.6 24(48) T1 10.3 19.3 8.8 T1 11.O 18.O 9.9 T1 11.9 16.6 19.8 Tl 13.5 1蝸 27.5

T2 8.0 25.3 2.2 T2 8.3 24.O 3.3 T2 8.7 22.6 5.5 T2 9.6 20,6 7.7 25(50) Tl 1O.8 18.5 11.O Tl 11.2 18.O 15.4 T1 11.9 16.6 19.8 T1 13、? 14.5 30.8

Tコ 8.2 24.5 3.3 T2 8.4 24.O 4.4 T2 8.7 22−6 5.5 T2 7,5 20.5 7.?

ことにした.ただし,フェッチAについては風向 が北ないし北東にたる場合だけを 考えて,その他 の風同のときは考えないからcos(α十20o)を掛 けることはしない.

 表4をみると吹続時問が18時問位 まではフェ ッチの平均風遜の差による波高のちがいはそれ程 大きくなし(.たとえば吹続時間が18時間の場合,

平均風速15叫/sに対する有義波高は1.8mであ って・平均風速20叩/sでも2.3mになるたけで ある.しかし吹続時尚が24時問以⊥になると,

とくに風速20m/s以上で,風速による波高の増 大がいちちるしくなる.

 フユッチAで起った波ぱ富山湾に全1」達するび)に 約24時問位かかるから風の実況を知ってから波 の■予報をして十分に間に合う.i方フェッチBの 場合には強風と高波がほぼ同時的に起り,したが って精度のよい波浪予報をするには7エッチ⊥の 風の予報が的確になされねばならない.

 5.波浪数値計算の試行

 最近の!0年問にアメリカ,イギリス,フラン スなどの各国で波浪蜘直予報モデルの開発が精力

的に行なわれ,かなりの坦の成果が報告されてい る.このモデルにはいろいろのものがあるが,現 在ではエネルギー平衡カ程式を数値的に解くヵ法 がほぼ確立されている.しかしこのヵ程式の中に は堆論的にも実際的にもまだよくわかっていない 項が多く含 まれているので,これらは紬験的に決 めざるを得ない.それにもかかわらず,実際的に

はこれらのモデルが有効であることが追算によっ て確かめられているので,ここでは基礎的な試み として富]』湾の波を計算した結果をのぺる.その 結果はかなり満足できるものであって風のデータ を与えることによって湾内の波が数値的に再現で きることが確かめられた.なお,富山湾の高波は 北東方向にのひた狭い水路状の海域での北東の強 風で起るので,ここでは簡単のために一次元モデ

ルを考えた.

 5.1 基本式

 風波の生長と減衰を支配するエネノしギ…ト衡方 栂式は次のように表わされる,

 ∂       ∂

 研(∫・い)十凧∫)η∫(プ;1・・)=

      (1)

       o−D,

1:{一一

(12)

富山湾海岸浸食に閑する研究 (第2報) 防災科学技術総合研究報告 第28号 19?2 ここで∫は成分波の周波数,むは時問,zは一次

元座標である.∫(尤亡,π)は成分波のエネルギー 密度,7g(∫)は成分波の群速度,0と刀はそれぞ れ成分波の生長春よび減衰を表わす関数である.

 成分波の生長を表わす関数0は次のように券い

た,

 0二{ノ十8∫(∫亡,π)}{1一μ}    (2)

ここでAとBは成分波の生長を規定する未矢口量で あって,前者は時間に関して線形的な生長を,後 者は指数関数的な生長を表わす.これは今のとこ ろ経験的に定めるより仕方がないのでInoue

(1968)の結果に従う,すなわちスペクトル密度 を(m2SeC)であらわすと1時問当りのこれらの 量は

       π

       す      一11

       3.54×1O  ×

ノ(〜一ノ

      、/士(号)2・(ん・i・θ)2〕/㍑)い

      2

5,2 5     2.2 5

ω   ×仇

        dθ,   (3)

十(ん…θ一号)2〕

      2

・(^。)一/・、一7000{(〉c)一α031}十      。。、。(讐)・、一α・…(・〈)2〕

        o

なくなった時に,波が進行しながら消粍するエネ ルギー量を表わす.この効果についてはまだよく わかっていないので,ここでは次のように仮定し

た.

   刀=肌∫4∫(∫亡,π),      (7)

ここで肌は常数であつて,約1時問程度で周期3 砂以下の;=皮が消えるように考えて 肌÷3 と置

いた.

 5.2 プログラミング

 Inouc(1968)は巧妙な方法で(1)式の近似的な 解析解を求めているが,ここでは(1)式を差分力程 式に直して逐次的に積分するカ法をとった.風波 のスペクトルは周波数によって次のように16戌 分に分割した.それぞれの成分の周、二皮数バンド幅      _1はO,01sec である、

×∫, (4)

惰蝉潭、男τ拶芦1{、卦

O.07 0,08 0,09 0.1O O.11 O.12 0,13 0.14

14.29 12.50 11.11 1O.O0 9,09 8,33

 7,69  7.14

〇一15

0,16 0,17 0,18 0,19 0,20 0,21 0.22

6,67 6,25 5,88 5,56 5,26 5.O0 4,76 4.55 ここでω=2π工ん=ω2/g,gは重力加速度,似は

風速,犯*は摩擦速度,cは波速である.

 (2)式の中のμは砕波左どによってエネルギーが 夫われるために生長が拾さえられることを表わす 項で,ここではInoue(1968)に従って

   ∫  2 μ=(一)

   ∫oo

(5)

と拾いた.ここで∫ooはその時の風速で波が完全 に発達して平衡状態になった時のスペクトル密慶1 である.ここではPierson−Moskowitz(1964)

のスペクトルを用いる,すなわち

   αg2一β(ω・/ω)4

∫。・= 。・

   ω

(6)

         _3

ここでα:8.10×1O ,β=O.74,ωo=9/ω

である.

 (1)式の右辺の第2項は風が止むかあるいは弱ま って,風から波えのエネルギーの輸送が行なわれ

 な春,ノ(尤仇)は周波数と風速の関数であるか ら,あらかじめ計算して作表したものを用いる.

B(ゴ仇*)は周波数と摩擦速度の関数であって,

これを計算するには寧擦速度を矢口らねぱならない.

一般に得られる観測要素から摩擦速度を矢口ること はむずかしいので・ここでは伽榊・ヅ1910)

の結果を用いて摩擦速度を風速に置きかえた.こ の両者の関係は図15に示すと拾りである.この ようにするとB(五犯*)も周波数と風速の関数と してあらかじめ計算して拾くことができる.

 5.3 富山湾えの応用

 富山湾の湾奥から北北東のプラ向に575kmの地 点を原点とし,これから南南西の方向に一次元座 標をとり,この座標軸.上で25km間隔の格子を 設ける.(1)式の数値計算を行なうさいの計算安定 の条件から積分の時間問隔は30分とした.

 計算を行なったのは昭和41年2月21〜24

日の4日間である.日本海の海岸線に沿って存在 する富山,輪島,直江津,相川,新潟,酒田,秋

(13)

富山湾の沿岸波浪の特一性(第2報) 磯崎・太山

伽〃o帥 100

5.0

2.0

.0

05

σ2     2641

0.

σ05

16

  21  α  〃5ア14

1 4

■7

6

1   2    5  〃  20 50σo〃κ飢.

図!5風速と摩擦速度の関係(〃・榊γ,・…)

田.深浦,春よひ江差の9ケ所の観測所の位置を 座標軸一上に投影寺る.そしてこれらの観測所で記 録された風が座標軸上の投影点における風である と仮定した.これらの風のうち風向が北東〜北北 西の象眼にあるものはすぺて座標軸に沿って波を 生長させるのに寄与すると考えたが,その他の象 限の風は富山湾の風波に対しては影響を及ぼさな いと考えて無視した. また,観測された風は陸上 の値であるから海上の風にな釦すために便宜的に 風速に係数1.2を掛けた.図16は横軸に座橡軸,

縦軸に観測時間をとって座擦軸上の風速分布の時 問的推移を示した.この図上で陰影をほどこした 部分が風向が北東〜北北西の象限にある強風域で あって・これだけが富山湾の波の発達に寄与して いると考えた.

 図17には富山湾の湾異の海老江における有義 波高の観測値と,今回の計算で得られた値とが対 比して示してある.観測波高では23日10時と

20時の2ケ所にピークが現れて紅り,前者が風 波・後者がうねりであることを前の報告で述ぺた が,計算波高ではピークは1つで風波からうねり えの変化が連続的である.首た観測i直では22日 22時から23日O時にかけて急速な波高の増大 がみられるが,計算値では23日6時頃から波高

が増大している、これは観洲」波高が富川湾・一・需の 局所的な強風によって発連を始めたものと考えら

れる.

 23日18時以降の波の減衰は,観1舳匝と計算 値の問で非常にいい・一致がみられる.このモデル

で仮定した減衰項はきわめて便宜的なものではあ るが,ここでの計算沽果をみると実州的にはほほ 満一足できるものであるかも矢口れない.

 図18には22日20時の波スベクトルの観湖1」

値と計算値が対比して示してある.計算スペクト ルは全俸的に低周波側にかたよっており,卒刈.『

期は約12秒となっているが,観測スペクトルで は卓越周期は約10.5秒である.このくいちがい の一一つの原因は,計算値が深海波であるのに対し て,観測値は水深約10mの沿}で得られたもの

であることによる.

 ここでは海瓦一」二の風を,海岸の1塾か9ケ所の観 測値で表現しているため風の場を十分に適切にあ

らわすことはできなかった.それにもかかわらず 大局灼に見ると波の計算値は観測値とかなりよく 合っており,ここで考えた簡単な数1直モデルは実 際的には十分に使えると思う.

lm1

6

4

2

Computation    ㌧1

、 Observation

8  12 16 20  0  4    12 16 20 0  4  8  12 16 20  0  4

22      23      24

図⊥7 昭和41年2月22〜24一の海

   老江に呑ける波の観測値と計算伍、

一15一一

(14)

富山湾海岸浸食に関する研究 (第2報) 防災科学一技術総合研究報告 貌28号 19ワ2

1 u.

○  忘   o

・ヒ  1   .9 1   何    、一

<  ω    Z

婁曇書匿

O  Φ  1一 ω

y 8  后 > ξ Z ;ξ

km

\.

一\

\◎

3 6 9 1221

15 18 21

3 6 9

1222

15 18

1

\O

3 6 9

1223

15 18

1

き1・8 6

3 6 9 1224

15

8

21

凶16 計算に用いた風の場.横.軸は距離,縦軸は観損1」時間である.

  等値線は等風速線、m/・OC)であって,陰影の部分のみが   富山湾の波の乍長に寄与する.

(15)

 60

聖50雲

o一

雪40

 30

20

10

図18

富山湾の沿岸波浪の特性(第2報)

       Period

1・1・1・1・11 1・… 。。。 。。Seg

7

、 卜\クutatiOn

Observation

8;reqヱncゾ213{1細

昭和41年2月23]20時の海老江における

波スペクトル.夫線は観測f.凸.,破線、二言協f直

  6.むすぴ

  この徽告では,既 存の波浪資料を用いて富山湾 の汲浪の気候学的およひ総観日勺特州1を明らかにし,

また簡卓なピと涙玖1む! 算モデルを川1(て富山湾、1)

波を数;一巨的に再呪することを試みた.波の性質を 十分によく理解するためには史に多くのf.丁棚でき

る観1刈;汽㍉を蓄績する必嬰があるし,咳た数値計 算モデルも改善を必袈とする.従って沿片波浪の

こ首かい性貰を丈j!るためには将来にまたねぱなら

磯崎・太田

ない点も多いが.この報竹で得られた糸.!1果が問姥 的にでも防災業務の資料として役.立てぱ辛である.

終わりに・この調査にあた州岨・箏千1を独 していたたいた弟一一一港湾建設局と北峠一地ヵ挫設ノ、j の関係機関に深く一感、劃の意を表し首す.

      参  考  文  献

1)磯崎一郎(1971)1.・;{山湾の沿岸波浪の特竹

   ( 茸専1 事艮 〕. β方災干十等≒手支休f総.そ†1研亨已幸艮ヂ千, 着㌻25

   り1, 3−15.

2) 1noue・T・(1967):0〃肋εo70w肋oグ肋ε8ρεα川〃oアσ肋ηd−

   0伽舳パθ〃㏄・〃〃19f・州・榊〃〃〃ε∫一肋〃ρ∫〃ε・肋〃∫。η    σ〃d〃∫■ρρ〃ω〃o〃fo〃〃θ^o㍑ω∫f加&New York University,

   July1967,74pP.

3)

4)

5)

6)

7⊃

一ヒ川1卜二沽」(1952):「雷=一廻り」1:皮の干幾〕二うと戸 矢]。 [{1央クて象プデ毎パー料ま廿1,2L4),419−445.

Kuznetsov,0.A一(1970)1Results of an experimental investi−

9・ti㎝・f・i・n・w・b…th・・・・…f….伽.〃〃.舳.σ∬R,

λf㎜o∫助ぴた〃d Ocεα〃ρP比ノ∫た∫,6(8〕,469_472.

Pierson, .J.,』r.and L.Moskowitz{1964)=A proposed spcc−

tral form for fu11y−deve1oped wind seas b齪scd on thc similarity theo工y of S.A.Kitaigorodskii.∫0θoρ〃γ∫.Rθ工,69(24),5181_

5190.

Sverdrup,H.U.andW.H.Munk{1947):舳〃d,8ω伽d8wθ〃

τ乃εoびoグRεわ〃o〃∫∫br戸o㍑cα∫〃〃8.U.S.Navy Dept.,Hydrogr.

0ff.Publ.No.60一.

宮山地ん気象台(1971)

観解析・55pP・

一=、{u』才ろの1皮子良の奇

参照

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