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デジタルコンテンツの知的財産権に関する調査研究

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(1)

平 成 17 年 度 日 本 自 転 車 振 興 会 補 助 事 業 デ ジ タ ル コ ン テ ン ツ に 関 す る 調 査 研 究

デジタルコンテンツの知的財産権に関する調査研究

-日 ・米 ・ 独 ・ 仏 ・ 中の著作権制度とコンテンツの法的保護-

平成 18 年 3 月

財団法人デジタルコンテンツ協会

(2)

調

18

(3)
(4)

財 団 法 人 デ ジ タ ル コ ン テ ン ツ 協 会 は 平 成 1 7 年 度 、 日 本 自 転 車 振 興 会 の 補 助 金 を 受 け て

「 デ ジ タ ル コ ン テ ン ツ の 知 的 財 産 権 に 関 す る 調 査 研 究 」 ( 以 下 、 本 調 査 研 究 と い う 。 ) を 実 施 し 、 日 本 ・ ア メ リ カ ・ ド イ ツ ・ フ ラ ン ス ・ 中 国 の 著 作 権 制 度 の 概 要 等 を 調 査 い た し ま し た 。

現 在 、 全 て の 国 務 大 臣 が 参 加 す る 知 的 財 産 戦 略 本 部 は 、 わ が 国 の 経 済 を 再 生 す る た め に は あ ら ゆ る 産 業 分 野 に お け る 知 的 財 産 の 創 造 、 保 護 及 び 活 用 が 必 須 で あ る と し て 、 集 中 的 な 施 策 を 矢 継 ぎ 早 に 打 ち 出 し て お り ま す 。 と り わ け 、 ゲ ー ム ソ フ ト 、 音 楽 、 ア ニ メ ー シ ョ ン 等 、 国 内 の み な ら ず ア ジ ア や 欧 米 各 国 に も 評 価 が 高 く 市 場 競 争 力 の あ る コ ン テ ン ツ 産 業 に つ き ま し て は 、 国 内 外 に 向 け た 流 通 拡 大 を 目 標 に 掲 げ 、 官 民 を あ げ た 取 組 み を 立 案 実 行 中 で あ り ま す 。

と こ ろ で 、 国 内 市 場 で あ る か 海 外 市 場 で あ る か を 問 わ ず 、 わ が 国 の 文 化 に 根 ざ し た コ ン テ ン ツ を 流 通 さ せ る に あ た っ て は 、 そ の 前 提 と し て 、 こ れ を 流 通 さ せ よ う と す る 国 や 地 域

( わ が 国 を 含 む ) に 対 す る 汎 用 的 な 市 場 に 関 す る 情 報 、 作 品 適 合 性 に 関 す る 情 報 、 ビ ジ ネ ス 円 滑 化 に 資 す る 情 報 を 獲 得 し て お く 必 要 が あ る も の と 思 わ れ ま す 。

汎 用 的 な 市 場 調 査 と は 、コ ン テ ン ツ を 流 通 に 供 す る 国 や 地 域 の 人 口 、経 済 状 況 、諸 物 価 、 技 術 環 境 等 を 調 べ る こ と で あ り 、 こ れ に よ り 、 流 通 手 段 ( テ レ ビ 、 劇 場 、 モ バ イ ル 、 ブ ロ ー ド バ ン ド ネ ッ ト ワ ー ク 、 パ ッ ケ ー ジ 、 あ る い は そ れ ら の 組 合 せ 等 ) や コ ン テ ン ツ の 価 格 付 け と い っ た ビ ジ ネ ス モ デ ル を 決 定 す る こ と が で き ま す 。 作 品 適 合 性 の 調 査 と は 、 宗 教 上 の 表 現 制 約 や 政 府 に よ る 表 現 規 制 、表 現 に 対 す る 自 主 規 制( レ イ テ ィ ン グ 等 )、ま た 、逆 に 好 ま れ る 言 語 表 現 や 映 像 表 現 な ど を 明 ら か に す る も の で あ り 、 こ れ に よ り 製 作 さ れ る 作 品 の 表 現 内 容 そ の も の が 決 ま っ て く る も の と 思 わ れ ま す 。 ビ ジ ネ ス 円 滑 化 の 調 査 と は 、 著 作 権 制 度 や 商 慣 習 、 保 護 の 実 態 、 契 約 上 の 留 意 点 、 法 的 ト ラ ブ ル の 解 決 手 段 な ど を 調 べ る こ と で あ り 、 こ れ に よ り ビ ジ ネ ス の 安 全 性 を 確 保 す る こ と が で き ま す 。

こ れ ら 三 つ の 要 素 は い ず れ 劣 ら ず 重 要 で あ り ま す が 、 本 調 査 研 究 は 、 そ の 目 的 上 、 わ が 国 コ ン テ ン ツ の 国 内 外 に 向 け た 流 通 拡 大 の た め に 必 須 の ビ ジ ネ ス 基 盤 で あ る 各 国 著 作 権 制 度 に 焦 点 を 当 て 、 調 査 研 究 を 実 施 い た し ま し た 。 調 査 研 究 そ の も の は 、 当 協 会 に 新 た に 設 置 し た 「 デ ジ タ ル コ ン テ ン ツ の 知 的 財 産 権 に 関 す る 調 査 研 究 委 員 会 」 を 母 体 と し 、 当 委 員 会 に 各 国 著 作 権 制 度 の 研 究 者 を 講 師 と し て お 招 き す る 形 と い た し ま し た 。 本 報 告 書 は 、 委 員 会 に お け る 一 年 間 の 活 動 の 成 果 で あ り ま す 。 ご 一 読 い た だ く と も に 、 皆 様 の 基 礎 資 料 と し て ご 活 用 い た だ け れ ば ま こ と に 幸 甚 で あ り ま す 。

最 後 に な り ま す が 、 委 員 会 発 足 年 度 か ら 熱 心 に ご 討 議 い た だ き 、 本 報 告 書 を お ま と め い た だ い た 北 村 行 夫 委 員 長 を は じ め と す る 委 員 の 皆 様 、 ご 講 義 を い た だ い た 山 本 隆 司 先 生 、 渡 邉 修 先 生 、 井 奈 波 朋 子 先 生 、 遠 藤 誠 先 生 に 心 よ り 謝 意 を 表 し ま す 。

平 成 18年 (2006 年 )3月

(5)

調 査 研 究 の 経 過

1 . 目 的

日 本 、 ア メ リ カ 、 ド イ ツ 、 フ ラ ン ス 、 中 国 の 著 作 権 制 度 お よ び コ ン テ ン ツ の 法 的 保 護 に 関 す る 基 礎 知 識 を 取 得 醸 成 す る こ と を 目 的 と し た 。

2 . 経 過

コ ン テ ン ツ 関 連 の 知 的 財 産 法 務 に 詳 し い 法 律 専 門 家( 弁 護 士 )、主 要 コ ン テ ン ツ 産 業 分 野 の 知 的 財 産 法 務 担 当 者 に よ り 構 成 さ れ る 調 査 研 究 委 員 会 を 設 置 し 、 計 8 回 の 研 究 会 を 開 催 し た 。 こ の う ち 5 回 は 、 日 本 、 ア メ リ カ 、 ド イ ツ 、 フ ラ ン ス 、 中 国 の 著 作 権 制 度 に 詳 し い 講 師 を 当 委 員 会 に 招 聘 し 、 委 員 会 内 セ ミ ナ ー を 実 施 し た 。

委 員 会 日 時 ( 場 所 ) 調 査 事 項

第 1 回 2005 年 9 月 2 日 14時 ―16 時

( 於 :DCAJ 会 議 室 )

実 施 計 画 に 関 す る 検 討

第 2 回 2005 年 10 月 13日 14時 ―18時

( 於 : 弘 済 会 館 )

日 本 著 作 権 法 の 概 要( 権 利 の 内 容 、客 体 、 保 護 範 囲 、 権 利 制 限 等 )

第 3 回 2005 年 10 月 27日 14時 ―18時

( 於 : 弘 済 会 館 )

ド イ ツ 著 作 権 法 の 概 要( 一 元 論 、権 利 の 内 容 、 客 体 、 保 護 範 囲 、 権 利 制 限 等 ) 第 4 回 2005 年 11 月 10日 14時 ―18時

( 於 : 弘 済 会 館 )

ア メ リ カ 著 作 権 法 の 概 要 ( 権 利 の 内 容 、 客 体 、保 護 範 囲 、権 利 制 限( フェアユース)等 ) 第 5 回 2005 年 11 月 24日 14時 ―18時

( 於 : 弘 済 会 館 )

フ ラ ン ス 著 作 権 法 の 概 要 ( 権 利 の 内 容 、 客 体 、 保 護 範 囲 、 等 )

第 6 回 2005 年 12 月 8日 14時 ―18時

( 於 : 弘 済 会 館 )

中 国 著 作 権 法 の 概 要( 侵 害 の 実 態 、救 済 手 段 、 権 利 の 内 容 、 客 体 、 保 護 範 囲 等 ) 第 7 回 2006 年 2 月 20日 14時 ―16時

( 於 :DCAJ 会 議 室 )

日・米・独・仏・中 の 著 作 権 制 度 の 比 較 研 究

第 8 回 2006 年 3 月 16日 11時 ―14 時

( 於 :DCAJ 会 議 室 )

報 告 書 案 に 関 す る 審 議

3 . 成 果 報 告 書 の ま と め 及 び 公 表 方 法

日 本 、 ア メ リ カ 、 ド イ ツ 、 フ ラ ン ス 、 中 国 の 著 作 権 制 度 に 関 す る セ ミ ナ ー の 成 果 を 、 そ れ ぞ れ の 講 師 と 担 当 委 員 が 校 正 し 、 こ れ ら を 束 ね て 年 度 報 告 書 と し た 。 な お 、 校 正 に あ た っ て は 、 セ ミ ナ ー 当 日 の 講 義 を 再 現 す る た め 、 あ え て 口 語 体 と し た 。

本 報 告 書 は 、 関 係 省 庁 、 関 連 産 業 の 有 識 者 等 に 広 く 配 布 す る 。 ま た 、 当 協 会 の ホ ー ム ペ ー ジ (http://www.dcaj.or.jp) に お い て 一 般 に 公 表 す る 。

(6)

委 員 会 名 簿

委 員 長

北 村 行 夫 虎 ノ 門 総 合 法 律 事 務 所 弁 護 士

副 委 員 長

高 野 れ い 子 株 式 会 社 東 北 新 社 エ ン タ テ イ ン メ ン ト 事 業 部 版 権 営 業 部 長

委 員

上 野 宏 一 株 式 会 社 ナ ム コ 知 的 財 産 グ ル ー プ 法 務・著 作 権 チ ー ム マ ネ ー ジ ャ ー 岡 田 昌 士 株 式 会 社 ハ ド ソ ン 管 理 本 部 管 理 部 法 務 知 財 課 マ ネ ー ジ ャ ー

勝 木 亮 太 株 式 会 社 ソ ニ ー ・ ミ ュ ー ジ ッ ク エ ン タ テ イ ン メ ン ト 契 約 グ ル ー プ 契 約 部 1 課

橋 谷 俊 日 本 放 送 協 会 マ ル チ メ デ ィ ア 局 著 作 権 セ ン タ ー 三 輪 洋 幸 株 式 会 社 ア ニ プ レ ッ ク ス 業 務 グ ル ー プ 業 務 部 雪 丸 真 吾 虎 ノ 門 総 合 法 律 事 務 所 弁 護 士

薬 師 寺 文 佳 株 式 会 社 U S E N コ ン テ ン ツ 事 業 企 画 室 マ ネ ジ ャ ー

オ ブ ザ ー バ

太 田 茂 雄 経 済 産 業 省 商 務 情 報 政 策 局 文 化 情 報 関 連 産 業 課 課 長 補 佐 川 口 和 宏 株 式 会 社 電 通 法 務 室 M A2

事 務 局

田 中 誠 一 財 団 法 人 デ ジ タ ル コ ン テ ン ツ 協 会 常 務 理 事 山 本 純 財 団 法 人 デ ジ タ ル コ ン テ ン ツ 協 会 企 画 推 進 本 部 南 本 恭 子 財 団 法 人 デ ジ タ ル コ ン テ ン ツ 協 会 事 業 開 発 本 部

(7)

目 次

Ⅰ . 日 本 著 作 権 制 度 の 概 要 と コ ン テ ン ツ の 法 的 保 護 ··· 1

1 . 日 本 の 著 作 権 法 と 外 国 著 作 権 法 ··· 1

1 . 1 著 作 権 法 の 国 際 的 保 護 の 必 要 性 と ハ ー モ ナ イ ゼ ー シ ョ ン ··· 1

1 . 2 日 本 国 内 に お け る 適 用 法 の 原 則··· 3

1 . 3 外 国 法 の 知 識 は 不 要 か ··· 4

1 . 4 外 国 の 著 作 物 と 国 内 法 ··· 5

2 . 著 作 権 法 の 基 本 構 造··· 6

2 . 1 著 作 権 法 の 三 要 素··· 6

2 . 2 三 要 素 と 著 作 権 法··· 6

3 . 著 作 物··· 8

3 . 1 概 念 ··· 8

( 1 )「 思 想 又 は 感 情 を 創 作 的 に 表 現 」し た も の で「 文 芸・学 術・美 術 又 は 音 楽 の 範 囲 に 属 す る も の 」 ··· 8

( 2 )「 思 想 又 は 感 情 」 ··· 8

( 3 )「 創 作 」··· 9

( 4 )「 創 作 的 表 現 」 ··· 9

3 . 2 著 作 物 の 種 類···11

( 1 ) 学 術 的 な 性 質 を 有 す る 著 作 物 と 美 術 の 著 作 物··· 12

( 2 ) 建 築 の 著 作 物 と 設 計 図 ··· 12

( 3 ) 地 図 の 著 作 物··· 12

( 4 ) 映 画 の 著 作 物··· 13

( 5 ) 共 同 著 作 物 と 共 有 著 作 権 ··· 17

( 6 ) 二 次 的 著 作 物··· 17

( 7 ) 編 集 著 作 物··· 18

( 8 ) デ ー タ ベ ー ス の 著 作 物 ··· 18

( 9 ) 舞 踏 の 著 作 物··· 18

( 1 0 ) 非 著 作 物··· 18

3 . 3 権 利 処 理 の 要 否 と 著 作 物 ··· 18

3 . 4 著 作 物 類 型 と 権 利··· 19

4 . 著 作 者 「 著 作 物 を 創 作 し た 者 」 ··· 19

4 . 1 「 創 作 行 為 」 と 「 創 作 へ の 関 与 」··· 19

4 . 2 複 数 人 の 関 与 の 態 様 ··· 20

4 . 3 著 作 者 不 明 と 著 作 物 の 利 用··· 20

5 . 著 作 者 の 権 利 ··· 21

5 . 1 無 方 式 主 義 と 登 録 制 度 ··· 21

5 . 2 著 作 者 人 格 権··· 21

5 . 3 著 作 権(財 産 権) ··· 22

5 . 4 メ デ ィ ア 技 術 と 著 作 権 の 種 類 の 拡 大 ··· 22

(8)

5 . 5 権 利 の 行 使··· 23

5 . 6 一 身 専 属 性 と 譲 渡 可 能 性 ··· 24

5 . 7 消 滅 ··· 24

6 . 著 作 権 の 制 限 ··· 24

7 . 著 作 権 の 保 護 期 間··· 25

8 . 隣 接 権··· 26

9 . 著 作 権 の 考 え 方 ··· 26

Ⅱ . ア メ リ カ 著 作 権 制 度 の 概 要 と コ ン テ ン ツ の 法 的 保 護··· 39

1 . 連 邦 制 度··· 39

1 . 1 著 作 権 法 の 法 源··· 40

1 . 2 裁 判 管 轄 権··· 42

2 . 保 護 の 客 体 ··· 42

2 . 1 実 演 、 レ コ ー ド 、 放 送 は 、 著 作 権 で 保 護 さ れ 、 著 作 隣 接 権 制 度 は な い ···· 42

2 . 2 著 作 権 の 対 象··· 43

( 1 ) 著 作 物 (works) の 概 念 ··· 43

( 2 ) 創 作 性 (originality) の 概 念··· 43

( 3 ) 固 定 性 (fixation) の 概 念··· 44

2 . 3 著 作 物 の 保 護 要 素··· 45

( 1 ) 表 現 と ア イ デ ア の 二 分 法 理··· 45

( 2 ) マ ー ジ 理 論 ・ あ り ふ れ た 情 景 の 理 論 ··· 46

( 3 ) 非 文 字 的 な い し 抽 象 的 表 現 要 素··· 46

2 . 4 形 式 的 要 件··· 47

( 1 ) 著 作 権 表 示 (copyright notice)··· 47

( 2 ) 著 作 権 登 録 (copyright registration)··· 47

( 3 ) 著 作 権 譲 渡 証 書 の 登 録 (recordation of copyright transfer documents) 49 3 . 著 作 権 の 主 体 ··· 49

3 . 1 著 作 権 の 帰 属··· 49

3 . 2 職 務 著 作 の 法 理 (Works Made for Hire Doctrine) ··· 49

3 . 3 著 作 者 の 概 念··· 50

3 . 4 共 同 著 作 物 の 概 念··· 50

4 . 著 作 権 の 内 容 ··· 52

4 . 1 権 利 の 束 ··· 52

4 . 2 著 作 者 人 格 権 の 保 護 ··· 53

( 1 ) 氏 名 表 示 権 の 保 護··· 53

( 2 ) 同 一 性 保 持 権 の 保 護 ··· 53

( 3 ) 視 覚 芸 術 著 作 物 に 対 す る 人 格 権··· 54

4 . 3 著 作 権 の 譲 渡··· 54

(9)

5 . フ ェ ア ・ ユ ー ス ··· 55

5 . 1 著 作 権 法 1 0 7 条··· 55

5 . 2 ト ラ ン ス フ ォ ー マ テ ィ ブ ・ ユ ー ス··· 56

5 . 3 そ の 他 ··· 58

6 . 著 作 権 の 保 護 期 間··· 59

6 . 1 1976 年 法(1978 年 1月 1日 施 行)に よ る 区 分··· 59

6 . 2 終 了 権 の 制 度··· 59

7 . 著 作 権 侵 害 の 認 定 方 法··· 60

7 . 1 著 作 権 侵 害 の 要 件 事 実 ··· 60

7 . 2 3 ス テ ッ プ ・ テ ス ト と 2 ス テ ッ プ ・ テ ス ト··· 60

7 . 3 抽 象 化 テ ス ト / 排 除 テ ス ト / 比 較 テ ス ト ··· 60

8 . 著 作 権 侵 害 に 対 す る 救 済 措 置 ··· 61

8 . 1 民 事 的 救 済··· 61

8 . 2 刑 事 制 裁 ··· 62

8 . 3 輸 入 差 止 ··· 62

9 . 著 作 権 侵 害 の 主 体··· 62

9 . 1 原 告 適 格 ··· 62

9 . 2 被 告 適 格 ··· 62

9 . 3 寄 与 侵 害 責 任··· 63

9 . 4 代 位 侵 害 責 任··· 63

Ⅲ . ド イ ツ 著 作 権 制 度 の 概 要 と コ ン テ ン ツ の 法 的 保 護 ··· 65

1 . は じ め に··· 65

2 . 基 本 概 念 の 考 察 ··· 66

2 . 1 著 作 物 ··· 66

( 1 ) 映 画 の 著 作 物··· 67

( 2 ) 表 現 と 内 容 の 二 分 法 ··· 67

( 3 ) 不 正 競 争 防 止 法 違 反 に つ い て··· 70

2 . 2 著 作 者 ··· 72

2 . 3 著 作 権 ··· 74

( 1 ) 著 作 権 一 元 論··· 74

( 2 ) 著 作 財 産 権 の 内 容··· 74

2 . 4 著 作 権 の 制 限··· 77

( 1 ) 著 作 権 の 制 限 に つ い て ··· 77

( 2 ) 私 的 使 用 の た め の 複 製 ··· 78

2 . 5 権 利 の 存 続 期 間··· 81

2 . 6 権 利 の 承 継 ・ 利 用··· 82

( 1 ) 一 元 論 の 帰 結 と し て 譲 渡 は で き な い ··· 82

( 2 ) 権 利 は 原 則 と し て 制 限 的 に し か 処 分 さ れ な い··· 83

( 3 ) 譲 渡 目 的 論 の 具 体 的 内 容 ・ 適 用 範 囲 ··· 84

(10)

( 4 ) 譲 渡 目 的 論 の 理 論 的 特 徴 ··· 86

2 . 7 隣 接 権 ··· 86

( 1 ) 創 作 性 の な い デ ー タ ベ ー ス 保 護 の 法 律 構 成 と し て の sui generis 権 構 成··· 86

( 2 ) ド イ ツ に お け る sui generis 権 の 法 構 造··· 88

( 3 ) ド イ ツ 判 例··· 89

( 4 ) 分 析 ··· 90

( 5 ) ド イ ツ 法 の 示 唆··· 91

Ⅳ . フ ラ ン ス 著 作 権 制 度 の 概 要 と コ ン テ ン ツ の 法 的 保 護··· 93

1 . 総 論··· 93

1 . 1 フ ラ ン ス 知 的 財 産 法 の 構 造··· 93

1 . 2 フ ラ ン ス 著 作 権 法 の 歴 史 ··· 94

( 1 ) 古 法 時 代 ··· 94

( 2 ) 中 間 法 時 代··· 94

( 3 ) 法 典 編 纂 後 の 改 正··· 94

1 . 3 著 作 権 法 の 基 礎 理 論 - 著 作 権 の 性 質 ··· 95

( 1 ) 排 他 的 権 利··· 95

( 2 ) 排 他 性 の 根 拠··· 95

( 3 ) 著 作 者 人 格 権 と 著 作 財 産 権 の 関 係··· 95

( 4 ) 所 有 権 論 ··· 95

( 5 ) 著 作 権 と 媒 体 の 所 有 権 と の 関 係··· 95

( 6 ) 所 有 者 の イ メ ー ジ に 対 す る 権 利··· 96

2 . 著 作 物 保 護 の 要 件··· 96

2 . 1 積 極 的 要 件··· 96

( 1 ) 精 神 の 著 作 物 で あ る こ と ··· 96

( 2 ) 創 作 性 ··· 97

2 . 2 著 作 物 の 著 作 権 に よ る 保 護 を 考 え る に あ た っ て 考 慮 さ れ な い 要 素··· 98

( 1 ) 種 類 、 表 現 形 式 、 価 値 、 目 的··· 98

( 2 ) そ の 他 の 消 極 的 要 素 ··· 99

3 . 著 作 物··· 99

3 . 1 文 学 の 著 作 物··· 99

3 . 2 音 楽 の 著 作 物··· 100

3 . 3 美 術 の 著 作 物··· 100

3 . 4 映 画(視 聴 覚)の 著 作 物 ··· 100

( 1 ) 定 義 ··· 100

( 2 ) 著 作 者 に つ い て··· 100

( 3 ) 権 利 の 行 使 に 関 す る 特 則 ··· 101

3 . 5 ソ フ ト ウ ェ ア··· 101

(11)

3 . 8 題 名 の 保 護··· 102

4 . 著 作 者··· 102

4 . 1 単 独 の 著 作 権 者··· 103

( 1 ) 著 作 者 の 推 定··· 103

( 2 ) 著 作 者 が 従 業 員 で あ る 場 合··· 103

4 . 2 複 数 の 創 作 者 が 関 与 す る 場 合··· 104

( 1 ) 共 同 著 作 物··· 104

( 2 ) 集 合 著 作 物··· 105

( 3 ) 混 合 著 作 物··· 106

5 . 著 作 者 人 格 権 ··· 107

5 . 1 総 論 ··· 107

5 . 2 各 論 ··· 108

( 1 ) 公 表 権 ··· 108

( 2 ) 氏 名 表 示 権··· 108

( 3 ) 著 作 物 の 尊 重 を 要 求 す る 権 利··· 109

( 4 ) 修 正 ・ 撤 回 権··· 110

6 . 著 作 財 産 権 ··· 110

6 . 1 総 論 ··· 110

6 . 2 演 奏 ・ 上 演 権··· 111

6 . 3 複 製 権 ··· 111

6 . 4 追 及 権 ··· 112

6 . 5 複 写 複 製 権··· 113

6 . 6 EU 法 と フ ラ ン ス 法 の 比 較 ··· 113

( 1 ) 複 製 権 と 公 衆 へ の 伝 達 権 ··· 113

( 2 ) 頒 布 権 と 用 途 指 定 権 ··· 114

( 3 ) 貸 与 権 ··· 114

6 . 7 権 利 制 限 ··· 115

( 1 ) 演 奏 ・ 上 演 権 私 的 か つ 無 償 の 上 演··· 115

( 2 ) 私 的 複 製 ··· 115

( 3 ) 短 い 引 用 等··· 115

( 4 ) パ ロ デ ィ 、 模 作 お よ び 風 刺 画··· 115

( 5 ) 電 子 デ ー タ ベ ー ス の 内 容 に ア ク セ ス す る た め に 必 要 な 行 為··· 116

( 6 ) そ の 他 の 例 外··· 116

( 7 ) 情 報 社 会 指 令 の 国 内 法 化 ( 審 議 中 ) ··· 117

6 . 8 保 護 期 間 ··· 117

7 . 権 利 の 救 済 ··· 117

7 . 1 フ ラ ン ス に お け る 知 的 財 産 権 侵 害 訴 訟 ··· 117

7 . 2 知 的 財 産 権 侵 害 を 理 由 と す る 差 押··· 118

7 . 3 急 速 審 理 ··· 118

7 . 4 制 裁 ··· 118

(12)

Ⅴ . 中 国 著 作 権 制 度 の 概 要 と コ ン テ ン ツ の 法 的 保 護 ··· 119

1 . 中 国 著 作 権 制 度 総 説··· 123

1 . 1 関 連 法 令 等··· 126

1 . 2 主 管 部 門 ··· 127

1 . 3 著 作 権 法 の 目 的··· 127

2 . 著 作 物··· 127

3 . 著 作 権··· 128

4 . 著 作 権 の 帰 属 ··· 128

5 . 著 作 権 の 保 護 期 間··· 129

6 . 著 作 権 の 制 限 ··· 129

7 . 著 作 権 の 利 用 許 諾 、 譲 渡 お よ び 質 権 設 定··· 130

8 . 出 版 、 実 演 、 録 音 ・ 録 画 、 放 送 ··· 131

9 . 法 律 責 任··· 132

1 0 . 紛 争 処 理 ··· 134

1 1 . イ ン タ ー ネ ッ ト 著 作 権··· 135

1 2 . 著 作 権 集 団 管 理 制 度··· 136

1 3 . コ ン ピ ュ ー タ ・ ソ フ ト ウ ェ ア 保 護 条 例··· 136

1 4 . コ ン テ ン ツ の 法 的 保 護··· 137

1 4 . 1 総 説 ··· 137

1 4 . 2 戦 略 の 策 定··· 137

1 4 . 3 準 備 段 階··· 139

1 4 . 4 行 政 的 手 段··· 140

1 4 . 5 民 事 的 手 段··· 140

1 4 . 6 刑 事 的 手 段··· 141

1 4 . 7 そ の 他 の 手 段··· 142

1 4 . 8 法 的 手 段 の 選 択 方 法 ··· 142

Ⅵ . 日 ・ 米 ・ 独 ・ 仏 ・ 中 の 著 作 権 制 度 の 比 較··· 145

1 . 著 作 権 法 に よ る 保 護 の 要 件 ··· 145

2 . 著 作 財 産 権 の 種 類··· 146

3 . 著 作 者 人 格 権 の 種 類··· 147

4 . 著 作 物 の 保 護 期 間 ( 終 期 の 起 算 点 と 期 間 ) ··· 147

5 . 職 務 著 作··· 148

6 . 制 限 規 定··· 149

(13)

Ⅰ . 日 本 著 作 権 制 度 の 概 要 と コ ン テ ン ツ の 法 的 保 護

1

北 村 行 夫

2

日 本 で は 1980 年 代 半 ば に コ ン ピ ュ ー タ ・ プ ロ グ ラ ム が 著 作 物 で あ る こ と を 明 記 す る 著 作 権 法 の 改 正 が あ り ま し て 、以 後 、た び た び 、制 度 の 見 直 し が 行 わ れ て い ま す 。こ こ 数 年 、 ほ と ん ど 毎 年 の よ う に 著 作 権 法 が 変 わ っ て き た こ と は 、 皆 様 も ご 承 知 の と お り で す け れ ど も 、 今 後 と も そ う い う 傾 向 は 続 く だ ろ う と 思 い ま す 。 そ れ も 、 ち ょ っ と し た 手 直 し と か 何 か を 付 け 加 え て い く と い う こ と よ り も 、 か な り 根 本 的 な 議 論 を 経 な け れ ば 結 論 が 出 せ な い も の も た く さ ん 出 て く る と 思 い ま す 。

と こ ろ で 、 従 来 の 著 作 権 法 の 改 正 作 業 は 、 大 半 は 役 所 で 、 学 者 ・ 著 作 権 法 専 門 家 と 役 所 と の 間 で 調 査 ・ 研 究 型 の 協 議 を し て 決 め て い く と い う 流 れ に な っ て お り ま し た 。 し か し 、 こ れ か ら は お そ ら く 著 作 権 ビ ジ ネ ス に か か わ る 権 利 者 側 の 団 体 ・ 個 人 、 あ る い は そ れ を 利 用 す る 方 、 利 用 者 団 体 等 が そ れ ぞ れ の 利 害 を 踏 ま え な が ら 発 言 し 、 発 言 し た も の を ぶ つ け 合 っ て 、 そ こ か ら 適 切 な ル ー ル を 導 き 出 し て い く 、 衝 突 型 と で も い い ま す が 、 そ う い う 協 議 が 必 要 な 時 代 に な る だ ろ う と 思 い ま す 。 そ う い う 意 味 で 、 法 律 制 度 を あ ら た め て き ち ん と 把 握 し て お く こ と は 極 め て 重 要 な 時 だ と い う こ と か ら 、 こ の よ う な 連 続 講 座 の 企 画 に な っ た わ け で ご ざ い ま す 。

お 手 元 の レ ジ ュ メ に 沿 っ て お 話 を さ せ て い た だ き た い と 思 い ま す 。 い か ん せ ん 、 2 時 間 で 日 本 著 作 権 制 度 の 概 要 を 全 部 し ゃ べ る と い う 、 非 常 に 革 命 的 な 企 画 で ご ざ い ま す の で 、 か な り 端 折 っ て し ま う と こ ろ も あ る か と 思 い ま し て 、 そ れ で 資 料 を た っ ぷ り と つ け て お き ま し た 。 今 日 十 分 細 か い と こ ろ ま で 入 っ て ご 説 明 で き な い 部 分 に つ き ま し て は 、 そ の レ ジ ュ メ を 見 な が ら ど う 深 め て い た だ け れ ば よ い か 、 と い う 示 唆 を す る に と ど め る と こ ろ も ご ざ い ま す の で 、 そ の 点 を あ ら か じ め お 断 り し て お き た い と 思 い ま す 。

1 . 日 本 の 著 作 権 法 と 外 国 著 作 権 法

1 . 1 著 作 権 法 の 国 際 的 保 護 の 必 要 性 と ハ ー モ ナ イ ゼ ー シ ョ ン

日 本 の 著 作 権 法 が ど う な っ て い る か と い う 話 に 入 る イ ン ト ロ と し て 、 日 本 の 著 作 権 制 度 と 外 国 著 作 権 法 と の 関 係 に つ い て 見 て お き た い と 思 い ま す 。 著 作 権 が 法 的 制 度 と し て 成 立 し て き た の は 19 世 紀 で す 。 イ ギ リ ス で 確 立 さ れ 、 フ ラ ン ス で 確 立 さ れ 、 イ タ リ ア 等 で も 確 立 さ れ と い う 流 れ に な っ て 、ヨ ー ロ ッ パ を 中 心 に し て 著 作 権 制 度 が 確 立 さ れ て き ま し た 。 そ れ ぞ れ の 国 で そ れ ぞ れ の 制 度 が 確 立 さ れ て い っ た わ け で す け れ ど も 、 ほ と ん ど 同 じ 時 期

1 本 稿 は 、 2005 年 10 月 13 日 に 開 催 さ れ た DCAJ 著 作 権 セ ミ ナ ー 「 日 本 著 作 権 制 度 の 概 要 と コ ン テ ン ツ の 法 的 保 護 」の 講 義 録 で あ る 。本 報 告 書 の 発 行 に あ た り 、あ ら た め て 講 師 ・ 北 村 行 夫 先 生 に 加 筆 等 を お 願 い し た 。

な お 、 セ ミ ナ ー 開 催 に あ た り 、 社 団 法 人 著 作 権 情 報 セ ン タ ー の 許 諾 を 得 て 、「 日 本 著 作 権 法 」 を 配 布 さ せ て い た だ い た 。 こ の 場 を 借 り て 謝 意 を 表 し ま す 。

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に 、 著 作 権 制 度 は 国 際 的 な 保 護 を し な い 限 り は 、 実 際 的 な 意 味 が 少 な い と い う 声 が 上 が っ て き ま す 。

こ れ は 、 著 作 権 制 度 が 確 立 さ れ て き た 国 が 、 ヨ ー ロ ッ パ 大 陸 の 一 角 で あ っ た と い う こ と が 、 大 き な 要 因 と な っ て お り ま す 。 当 時 は フ ラ ン ス 語 が 国 際 語 で し た の で 、 フ ラ ン ス で 出 た 著 作 物 が 、 3 日 も 経 て ば イ タ リ ア 、 ス ペ イ ン で そ の ま ま フ ラ ン ス 語 で 出 た り 、 も う 少 し 読 者 の 層 が 広 が っ て ま い り ま す と 、 そ の 国 の 言 葉 に 翻 訳 さ れ て す ぐ に 出 版 出 さ れ て し ま う と い う こ と が あ り ま た 。 し た が い ま し て 、 著 作 権 制 度 の 確 立 と い っ て も 、 そ れ ぞ れ の 国 が 著 作 権 を 保 護 す る だ け で は 全 然 足 り な い 、 自 国 の 著 作 権 の 保 護 を 他 国 に も 制 度 で 支 え て も ら わ な い 限 り は 、 本 当 の 保 護 に は な り 得 な い と い う 問 題 が 浮 上 し て き た わ け で す 。

そ こ か ら 、 後 に ベ ル ヌ 条 約 と い う 形 で 表 現 さ れ る 国 際 的 な 取 り 決 め が 行 わ れ る よ う に な り ま す 。 ベ ル ヌ 条 約 と い う の は 、 そ れ ま で の 条 約 同 様 に 国 と 国 と の 約 束 事 だ と 思 わ れ が ち で す 。 現 に 条 約 と し て 国 と 国 と の 約 束 事 に な っ て 今 日 に 至 り ま し た 。 し か し 、 発 端 に な っ た の は 、 各 国 の 著 作 権 の 権 利 者 た ち が 「 ベ ル ヌ 同 盟 」 と い う 権 利 者 の 国 際 的 な 団 体 を 作 り ま し て 、 そ こ で 保 護 の 仕 組 み を つ く り 、 そ れ を 各 国 政 府 に 認 め さ せ 、 各 国 政 府 が 条 約 と い う 形 で そ れ を 実 現 す る よ う に 仕 向 け て い っ た と い う 経 緯 が あ り ま す 。 こ の よ う に 、 著 作 権 の 保 護 と い う の は 、 国 際 的 な 保 護 ル ー ル を 持 た な い と 実 際 的 な 意 味 の 多 く を 失 う と い う 性 質 の 法 的 制 度 で あ り 、 し か も そ れ は 各 国 に お け る 権 利 者 自 身 の 強 い 働 き か け の 結 果 だ と い う こ と に ご 注 目 い た だ き た い と 思 い ま す 。

も ち ろ ん 、 そ う い う 意 味 で い え ば 、 ど ん な 制 度 だ っ て 1 国 だ け で 完 全 に 保 護 す る こ と は 難 し い わ け で す 。 何 も そ れ は 著 作 権 法 に 限 っ た こ と で は あ り ま せ ん 。 そ れ で も 著 作 権 制 度 の 場 合 に は 、 特 許 権 な ど 他 の 知 的 財 産 権 と 比 較 し ま し て も 、 最 初 か ら で き る だ け 保 護 の 内 容 に つ い て 各 国 が 共 通 ル ー ル を 持 つ よ う に し て い く こ と を 核 に し て お り ま す 。 共 通 ル ー ル を 持 た せ る の は 、 な か な か 難 し い こ と で す 。 特 許 制 度 は 各 国 で 相 当 違 い ま す 。 他 の 法 律 ジ ャ ン ル で す と 、 い わ ゆ る 民 法 と 言 わ れ る よ う な も の は 似 て い る と こ ろ が 非 常 に 多 い 。 と は い え 、 家 族 の 関 係 、 結 婚 制 度 、 相 続 の 関 係 と な り ま す と 、 や は り 古 く か ら あ る 慣 習 、 あ る い は 世 俗 的 な ル ー ル 、そ う い う も の を 踏 ま え た 形 で 立 法 に 反 映 さ れ る と い う こ と も あ っ て 、 国 際 的 な 共 通 基 盤 を つ く る の は な か な か 難 し い わ け で す 。 典 型 的 な 例 で 言 う と 、 日 本 の 場 合 に は 、 自 筆 遺 言 証 書 の 場 合 に は 、 ハ ン コ を 押 さ な け れ ば な ら な い 。 実 印 で な く て も ハ ン コ を 押 し な さ い と 法 律 上 書 い て あ り ま す 。 し か し 、 外 国 人 は そ う い う と こ ろ に 気 が つ か な く て 、 し ば し ば サ イ ン だ け で 済 ま せ て し ま う 。 も ち ろ ん 、 そ れ を 救 済 す る よ う な 判 例 が た く さ ん 出 て お り ま す け れ ど も 、 法 律 制 度 と し て は 、 そ の 点 一 つ を 取 り 出 し て も 随 分 違 っ た も の に な っ て い る と い う こ と で あ り ま す 。

と こ ろ が 、 著 作 権 制 度 の 場 合 は 、 最 初 か ら 共 通 ル ー ル を 作 っ て い こ う と 、 つ ま り 国 際 的 な 保 護 を し な い と 保 護 が 不 完 全 に な る 、特 に 翻 訳 物 を 考 え れ ば そ れ は 歴 然 と し て い ま し て 、 翻 訳 権 と い う 形 で 早 く か ら 国 際 的 な 保 護 シ ス テ ム に 取 り 入 れ て ス タ ー ト し て い ま す 。 実 際 に は 、 各 国 の 法 制 度 の 中 身 を 完 全 に 一 致 さ せ る の は 非 常 に 難 し い の で 、 条 約 加 盟 国 が 最 低 限 守 ら な け れ ば な ら な い 条 項 や 基 準 を 提 示 す る と い う 方 法 を と っ て い ま す 。 例 え ば 権 利 を 5 種 類 と 定 め ま す と 、 少 な く と も そ の 5 種 類 に つ い て は 各 国 が 国 内 法 を ち ゃ ん と 整

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ま た 、 ベ ル ヌ 条 約 は で き る だ け 入 り や す く 、 し か し 、 入 る 以 上 は 共 通 の ル ー ル を 持 つ よ う に と い う 仕 組 み を と っ て い ま す 。 最 低 限 の 条 件 を 一 致 さ せ る だ け で は な く て 、 同 時 に そ れ を 相 互 に 守 り 合 う 関 係 を 作 っ て い ま す 。

そ れ を 逆 に 言 い ま す と 、 こ の 同 盟 の 中 に 入 ら な い 国 の 著 作 物 は 、 保 護 さ れ な く て も 仕 方 が な い と い う 仕 組 み に な る は ず で す 。 し か し 、 創 設 に 参 加 し た 権 利 者 達 は 、 著 作 権 制 度 は 他 国 に も 拡 が る べ き で あ り 、 ま た 確 実 に 拡 が る で あ ろ う と い う 確 信 と 理 想 も 持 っ て い ま し た の で 、 こ の 同 盟 に 入 ら な い 国 が あ っ た と し て も 、 原 則 と し て そ の よ う な 非 加 盟 国 の 国 民 で あ る 著 作 者 の 権 利 も い ろ ん な 形 で 守 ら れ る よ う に 、 つ ま り 著 作 権 法 制 が 不 完 全 ・ 不 整 備 の 国 の 著 作 物 で あ っ て も 著 作 権 を 保 護 し て い こ う と い う 、 い わ ば 他 国 に 対 す る 寛 容 な シ ス テ ム を と り ま し た 。 こ れ は 後 程 お 話 し ま す 。

そ う い う 方 法 を も と り 入 れ ま し て 、 国 際 的 な 協 調 、 ハ ー モ ナ イ ゼ ー シ ョ ン を と る た め の 基 礎 と い う の が 、 ス タ ー ト 時 か ら か な り 意 識 的 に 追 求 さ れ て い る と い う の が 、 著 作 権 の 国 際 的 保 護 シ ス テ ム の 根 幹 で す 。

日 本 も 100年 ほ ど 余 り 前 に 、著 作 権 の ベ ル ヌ 条 約 に 入 り ま し た 。戦 後 は 新 た に 作 ら れ た 著 作 権 の 国 際 条 約 で あ る 万 国 著 作 権 条 約( ユ ネ ス コ 条 約 と も 呼 ば れ る 。)に も 加 盟 し て お り ま し た 。こ の 二 つ の 条 約 の 並 存 状 態 が 長 く 続 い て き ま し た け れ ど も 、現 時 点 で は WIPO( 世 界 知 的 所 有 権 機 関 ) の 条 約 で 世 界 が 足 並 み を そ ろ え て 最 終 的 に 落 ち 着 い て お り ま す 。 従 来 あ っ た ベ ル ヌ と ユ ネ ス コ の 関 係 が ど う だ と い う 問 題 は 、 実 質 上 は も う あ ま り 意 味 を 持 た な く な っ て 、 過 去 の 件 に つ い て 多 少 影 響 が 出 て く る 場 合 が あ る と い う 程 度 に な っ て い ま す 。 WTO の TRIPs 協 定 の 中 で 、 ベ ル ヌ と ユ ネ ス コ と の ギ ャ ッ プ を ど う や っ て 埋 め る か と い う こ と で 、 い ろ い ろ な 取 り 決 め が な さ れ て 、 ベ ル ヌ 条 約 の 思 想 に の っ と っ て 世 界 の 著 作 権 秩 序 を 統 一 す る こ と と な り 、 最 終 的 に 日 本 は 2000 年 に WIPO の 条 約 を 締 結 し て 落 ち 着 い て い る と い う の が 流 れ で す 。 そ こ で は 、 ベ ル ヌ の 思 想 を 基 盤 と し て 世 界 の 著 作 権 法 が で き る だ け 統 一 的 な ル ー ル に な る よ う に 、 つ ま り 最 低 限 の 基 盤 を 作 る と こ ろ か ら 、 今 や も う 少 し 進 ん だ 形 で 、 最 低 限 が 一 致 す る だ け で は な く 、 一 歩 進 ん だ 共 通 ル ー ル に 深 め て い こ う と い う 傾 向 に な っ て い ま し て 、 今 後 と も そ の 傾 向 は 強 ま る だ ろ う と 思 い ま す 。

1 . 2 日 本 国 内 に お け る 適 用 法 の 原 則

私 た ち に と っ て 直 接 的 に 意 味 を 持 つ こ と に な る の は 、 い う ま で も な く 多 く の 場 合 、 日 本 の 著 作 権 法 で す 。 日 本 の 著 作 権 法 は 日 本 国 内 に お い て 適 用 さ れ て お り ま す か ら 、 日 本 国 内 に あ る 著 作 物 、著 作 者 、著 作 権 に 関 し て は 、全 部 こ れ が 適 用 さ れ る の が 通 常 で す 。た だ し 、 国 際 間 の 契 約 で 、 日 本 法 の 適 用 を 排 除 し て 、 準 拠 法 を ア メ リ カ 法 に す る 、 フ ラ ン ス 法 に す る と い う 取 り 決 め を す れ ば 、 そ れ は そ れ で 当 事 者 間 で 効 力 を 持 つ と す る こ と は も ち ろ ん 可 能 で す 。 そ の 点 で は 他 の 国 際 的 な 契 約 と 何 ら 変 わ る と こ ろ は な い わ け で す か ら 、 日 本 国 内 で 国 内 法 規 が 適 用 さ れ な い 場 合 も 、 も ち ろ ん あ る わ け で す 。 し か し 、 そ れ は 契 約 し た 当 事 者 間 に お い て そ う だ と い う だ け で あ っ て 、 本 来 の 権 利 者 に と っ て は 、 日 本 国 内 に お い て 、 契 約 外 の 第 三 者 に 対 し て 日 本 法 を 利 用 し て 権 利 を 主 張 す る こ と は も ち ろ ん 可 能 で す し 、 日 本 法 の 規 定 を 根 拠 と し な け れ ば な り ま せ ん 。

例 え ば 、 現 に あ っ た 裁 判 例 で い い ま す と 、 フ ラ ン ス に 在 住 し て い る 著 作 権 者 が い た 。 日 本 人 だ っ た 人 で す け れ ど も 、 フ ラ ン ス 国 籍 を 持 っ て い た 。 そ の 美 術 家 の 作 品 を 美 術 全 集 の

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中 に 取 り 入 れ た い け れ ど も 、 本 人 が ど う し て も イ エ ス ( ウ ィ で す が ) と 言 わ な い の で 出 版 で き な い 。 と こ ろ が 、 フ ラ ン ス の 著 作 権 法 の 中 に 、 本 人 が ノ ー と 言 っ て も 、 非 常 に 美 術 的 価 値 が 高 く て 公 共 性 の あ る も の に つ い て は 、 本 人 の 意 向 に か か わ り な く 、 日 本 で い え ば 高 等 裁 判 所 の よ う な と こ ろ が 許 可 を す れ ば 、 許 諾 に 代 え る こ と が で き る と い う 法 的 シ ス テ ム が あ り ま す 。 こ れ に よ っ て 、 フ ラ ン ス で そ の 美 術 全 集 が 発 行 さ れ ま し た 。 フ ラ ン ス 法 に 則 っ て 、 フ ラ ン ス で 適 法 な 行 為 と し て そ の 美 術 書 の 出 版 が 行 わ れ た わ け で す 。

さ て 、 こ の 画 家 は も と も と 日 本 人 で し て 、 日 本 で も 美 術 全 集 に 入 れ た い と 出 版 社 が い く ら 頼 ん で も オ ー ケ ー を 出 し て も ら え な い と い う 有 名 な 画 家 で し た か ら 、 日 本 の あ る 会 社 が そ こ に 目 を 付 け 、 出 版 で は な く フ ラ ン ス か ら そ の 本 を 輸 入 し て 、 売 る こ と を 考 え ま し た 。 し か し 、 日 本 法 の 場 合 に は 、 た と え 、 フ ラ ン ス の 出 版 物 の 輸 入 に 過 ぎ な い と は い え フ ラ ン ス と 同 じ よ う に 合 法 と は な り ま せ ん 。 な ぜ な ら 、 日 本 法 で は 本 人 の 許 諾 が な い 場 合 に 、 日 本 で 複 製 す る こ と は 、 も ち ろ ん 違 法 行 為 と な り ま す 。 そ し て 、 日 本 が そ の よ う な 制 度 を 採 っ て い る 以 上 、「 輸 入 の と き に お い て 日 本 で 作 成 し た と し た な ら ば 」そ の 意 味 で 目 の 前 の フ ラ ン ス 製 出 版 物 は 、 日 本 に お い て は 違 法 に 作 成 さ れ た と み な さ れ る 、 と い う こ と に な り ま す(113条 )。出 版 済 み の も の だ か ら 良 い 、と い う わ け に は い か な い の で す 。し た が っ て 、 発 行 は 差 止 め ら れ ま し た 。

1 . 3 外 国 法 の 知 識 は 不 要 か

こ の よ う に 、 日 本 に い る 限 り は 、 日 本 法 、 日 本 の 著 作 権 法 を 正 し く 理 解 し 、 認 識 し 、 解 釈 で き る こ と が 事 実 上 重 要 と い う こ と に な り ま す 。

し か し 、 そ う は い い ま し て も 、 外 国 法 の 幾 つ か の 規 定 に つ い て は 、 関 心 を 持 っ て 調 べ て お か な け れ ば な ら な い と 思 う こ と が し ば し ば あ り ま す 。 ど う い う こ と か と い い ま す と 、 外 国 の 著 作 権 者 の 著 作 物 を 利 用 し よ う と す る と き に 、 そ の 外 国 人 は そ の 国 の 著 作 権 法 に 照 ら し て 、 我 々 の オ フ ァ ー を ど う い う ふ う に 受 け 取 る か を 知 っ て お い た ほ う が 便 利 と 思 う こ と が と き ど き あ る わ け で す 。

最 近 の ケ ー ス で い い ま す と 、 こ れ は 契 約 で は な い の で す が 、 ネ ッ ト オ ー ク シ ョ ン に 或 る 絵 を 出 品 し よ う と し て い る 人 が い ま し た 。 ネ ッ ト オ ー ク シ ョ ン に 出 す わ け で す か ら 、 そ の 絵 画 の 画 像 、 画 面 を ネ ッ ト 上 に 載 せ な け れ ば 売 り 物 に な り ま せ ん 。 は た し て 、 そ れ が 権 利 者 に 無 断 で で き る か と い う こ と で す 。 外 国 の 著 作 権 者 が オ ー ケ ー と 言 っ て く れ れ ば 問 題 が あ り ま せ ん が 、 そ の 外 国 の 著 作 権 者 が ど こ に い る か も あ ま り よ く 分 か ら な い し 、 ひ ょ っ と す る と 、 ノ ー と い う 可 能 性 も あ る 。 そ の 場 合 に 、 ど う や っ て そ の 送 信 可 能 か 状 態 を 通 報 に す る か 。

ま ず こ れ を 日 本 法 で い う と で き ま せ ん 。 後 で 見 ま す け れ ど も 、 著 作 権 者 は 、 著 作 権 を 行 使 し て 、 そ れ を 使 わ せ な い 、 複 製 さ せ な い 、 送 信 可 能 状 態 に さ せ な い と い う 権 利 を 持 っ て い ま す 。 た だ 、 権 利 者 と い え ど も 例 外 的 に そ う い う 権 利 を 行 使 す る こ と が で き な い 場 合 が 幾 つ か あ り ま し て 、 日 本 法 の 中 に は 、 著 作 権 法 の 30 条 以 下 の と こ ろ に そ う い う 規 定 が あ り ま す 。 し か し 、 そ れ を 一 つ ず つ 調 べ て い き ま す と 、 本 件 の よ う な 場 合 に 権 利 者 が ノ ー と 言 う の を 制 限 す る よ う な 規 定 が な い た め に 、 残 念 な が ら 日 本 法 で 考 え て い き ま す と 、 ネ ッ

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と こ ろ が 、 そ の 作 家 が ア メ リ カ 人 だ と い う こ と が 分 か っ た と し り ま す と 、 こ ん な と き に ア メ リ カ 人 だ っ た ら ど う 考 え る か を も 考 え ま す 。 そ う す る と 、 ア メ リ カ の 場 合 に は 日 本 法 と 違 い ま し て 、 著 作 権 者 の 著 作 権 行 使 を 制 限 す る こ と が 抽 象 的 に 規 定 さ れ て い ま す 。 フ ェ ア ユ ー ス と 言 わ れ ま す け れ ど も 、 公 正 な 使 用 で あ る と い う こ と が 認 め ら れ れ ば 、 著 作 権 者 は 権 利 行 使 で き な い と い う 規 定 が ア メ リ カ 法 の 中 に は あ る わ け で す 。 そ こ に 書 い て あ る 要 件 を 見 ま す と 、 お そ ら く ネ ッ ト オ ー ク シ ョ ン に そ の 画 面 を 提 供 す る の は 、 ア メ リ カ 法 的 な 感 覚 か ら す る と こ こ に 該 当 す る と い え そ う で す 。 ア メ リ カ の 著 作 権 法 を 知 っ て い る 権 利 者 は 、 そ れ く ら い は し ょ う が な い ん じ ゃ な い か 、 と 思 う で あ ろ う と 、 少 な く と も 私 は そ う 解 釈 で き る わ け で す 。 そ の 推 測 が 間 違 っ て い な い 限 り は 、 ア メ リ カ 人 の 美 術 家 の 著 作 物 で あ れ ば ネ ッ ト オ ー ク シ ョ ン に か け る た め に 画 像 を 送 信 可 能 状 態 に し て も 、 ク レ ー ム が つ く こ と は ほ と ん ど な い で あ ろ う と 判 断 す る こ と が で き る 。 し か し 、 日 本 法 に 照 ら す と ク レ ー ム の つ く リ ス ク は こ れ よ り は る か に 大 き い 。 大 き い け れ ど も 、 踏 み 切 っ て も 実 際 的 な ト ラ ブ ル は 起 こ り に く い か 否 か 、 賠 償 額 は ど う な る か な ど と い う 判 断 を し て 、 踏 み 切 る か ど う か を 最 後 に 決 断 す る と い う 場 合 面 も あ り う る わ け で す 。

つ ま り 、 適 用 さ れ る の は 日 本 法 だ か ら と い っ て 、 場 合 に よ っ て は 日 本 法 だ け を 知 っ て お け ば い い と い う も の で は な い わ け で す 。 か と い っ て 外 国 法 を 知 ら な い と 、 日 本 で の 著 作 権 に 関 す る 活 動 が で き な い と い う わ け で も は な い 。 場 面 に よ っ て 、 知 っ て お い た ほ う が い い と い う こ と も あ る こ と を 頭 の す み に お い て お か れ る の が よ い と 思 い ま す 。

1 . 4 外 国 の 著 作 物 と 国 内 法

外 国 の 著 作 物 が 日 本 の 著 作 権 法 で ど う 守 ら れ る か に つ い て は 、 著 作 権 法 の 中 に 規 定 が ご ざ い ま す 。

著 作 権 法 の 第 6 条 、「 著 作 物 は 次 の 各 号 の い ず れ か に 該 当 す る も の に 限 り 、こ の 法 律 に よ る 保 護 を 受 け る 」と 規 定 さ れ て い ま す 。そ の 第 1 号 で 、「 日 本 国 民 の 著 作 物 」は 保 護 さ れ る と 。こ れ は 著 作 権 制 度 が 日 本 に 確 立 さ れ て い る 以 上 、当 た り 前 の 話 と い う こ と に な り ま す 。 次 に 、「 最 初 に 国 内 に お い て 発 行 さ れ た 著 作 物 」 が 保 護 さ れ る 。

こ れ は 、 日 本 国 民 の 著 作 物 で あ れ ば 1 号 で 保 護 さ れ る わ け で す か ら 、 2 号 の 意 味 は 、 外 国 人 が 著 作 者 で あ る よ う な 著 作 物 で あ っ て も 保 護 さ れ る と い う 言 葉 が 隠 れ て い る と 読 む わ け で す 。 そ う い う も の で あ っ て も 、 最 初 に 日 本 国 内 で 発 行 さ れ た 著 作 物 で あ れ ば 保 護 さ れ る 。 つ ま り そ の 著 作 物 の 最 初 の 発 行 地 が 日 本 で あ っ た 場 合 と い う 限 定 が 付 い て お り ま す け れ ど も 、 日 本 国 領 土 内 で 、 最 初 に 発 行 さ れ た 著 作 物 で あ れ ば 、 保 護 が 及 ぶ 。 先 ほ ど 申 し 上 げ ま し た よ う に 、 外 国 の 著 作 物 に 対 し て 寛 容 な 制 度 を と る と い う の は 、 こ の 規 定 で す 。 こ れ を 内 国 民 待 遇 と 言 い ま す 。 つ ま り 、 こ の 規 定 が あ る が ゆ え に 、 そ の 著 作 物 が ベ ル ヌ 条 約 加 盟 国 の 国 民 の 著 作 物 か 否 か を 問 わ ず 、 わ が 国 で 最 初 に 発 行 さ れ れ ば 著 作 物 は 保 護 さ れ る と い う 寛 容 な 態 度 を と っ て い る わ け で す 。

そ れ か ら 、「 前 二 号 に 掲 げ る も の の ほ か 、条 約 に よ り わ が 国 が 保 護 の 義 務 を 負 う 著 作 物 」。

こ れ が 先 ほ ど 言 い ま し た よ う に 、 著 作 権 に 関 す る 条 約 で 保 護 す る こ と が 定 め て あ れ ば 、 そ の 条 約 に 従 っ て 保 護 す る 結 果 に な る と い う こ と で す 。 そ れ は 先 ほ ど も 言 い ま し た よ う に 、 こ こ に い う 条 約 に は W I P O の 条 約 が 該 当 し ま す が 、そ れ 以 外 に も 様 々 な 条 約 が あ り ま す 。 い ず れ に せ よ 、 そ の 辺 で 我 国 国 民 の 著 作 物 が 守 ら れ る 仕 組 み に な っ て い れ ば そ れ ら の 著 作

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物 は 、 た と え 最 初 の 発 行 地 が 日 本 領 土 外 で あ っ て も 守 る こ と に な っ て い る わ け で す 。 こ の よ う に 相 手 が 守 っ て く れ る 限 度 で 、 こ ち ら も 守 る こ と を 相 互 主 義 と い い ま す け れ ど も 、 お 互 い に 守 り 合 う 関 係 に 立 っ て い ま す 。

と い う こ と で 、 外 国 の 著 作 物 で あ っ て も 日 本 で 保 護 し な け れ ば な ら な い 場 面 が あ り 、 日 本 の 著 作 物 に つ い て も 、 外 国 へ 行 く と 、 外 国 に 同 じ よ う な 規 定 が あ る た め に そ れ に よ っ て 守 ら れ ま す 。

2 . 著 作 権 法 の 基 本 構 造

2 . 1 著 作 権 法 の 三 要 素

著 作 権 法 の 基 本 構 造 の 説 明 に 入 り た い と 思 い ま す 。 著 作 権 制 度 は 非 常 に 難 し い と 言 わ れ ま す け れ ど も 、 私 は 著 作 権 制 度 ほ ど 簡 単 な 法 律 は な い と 思 い ま す 。 著 作 権 法 と い う の は 結 局 の と こ ろ 、 著 作 物 、 著 作 者 、 著 作 権 と い う 三 つ の 要 素 か ら 成 り 立 っ て い ま す 。 三 つ が 基 本 要 素 だ と い う こ と を 正 確 に 把 握 す る こ と が す べ て の 出 発 点 で あ り ま す 。 こ の こ と を 本 当 の 意 味 で 理 解 す れ ば 、 あ と は 知 識 が 増 え て い く の を 待 て ば 、 つ ま り 時 間 が 経 て ば い い だ け と い う こ と に な り ま す 。

中 で も 著 作 権 法 の 根 本 的 な 要 素 は 著 作 物 で す 。

人 に よ っ て 創 り 作 り 出 さ れ る 精 神 的 産 物 の 一 つ と し て 、 著 作 物 が あ る わ け で す 。 後 で 、 著 作 物 と は 何 ぞ や と い う の を 見 ま す け れ ど も 、 そ の 著 作 物 に 該 当 し な け れ ば 、 著 作 権 法 の 問 題 に は 全 く 入 り ま せ ん 。 し た が っ て 、 著 作 権 問 題 と 言 わ れ る も の を 考 え る と き に 一 番 最 初 に 判 断 し な け れ ば な ら な い こ と は 、当 該 作 品 が 著 作 物 と し て の 性 質 を 持 っ て い る か で す 。 こ れ を 飛 ば し て 、 あ る い は 、 あ い ま い な ま ま 著 作 物 で あ ろ う と い う 前 提 に 立 っ て 議 論 す る と 、 全 く 無 駄 な 議 論 を し な け れ ば な ら な い と い う こ と が に も な り か ね ま せ ん 。

2 . 2 三 要 素 と 著 作 権 法

著 作 権 法 は 簡 単 だ と 今 、 申 し 上 げ ま し た 。 著 作 権 法 の 仕 組 み を 理 解 す る の は 非 常 に 簡 単 で あ る と い う こ と で す 。

し か し 、 こ れ が 著 作 物 か ど う か と い う 判 断 は 、 9 割 方 は 簡 単 で す が 、 あ と の 1 割 は か な り 難 し い も の が あ る 、 と 最 初 に 覚 悟 す る 必 要 が あ り ま す 。 ど ん な 法 律 で も 、 あ る 基 本 的 な 概 念 を 理 解 す る の に 非 常 に 苦 労 す る こ と は あ る わ け で す 。 例 え ば 商 標 法 で あ れ ば 、 商 標 の

「 顕 著 性 」と は ど う い う も の な の か を 理 解 す る の に は 、非 常 に 苦 労 が あ り ま す 。特 許 の「 進 歩 性 」 を 現 実 問 題 で 判 断 す る た め に は 非 常 に 難 し い 場 面 が し ば し ば 出 て き ま す 。 定 義 や 概 念 を 覚 え る こ と は 簡 単 で す が 、 そ れ は 必 ず し も 理 解 で は あ り ま せ ん 。 理 解 と い う の は 、 定 義 や 概 念 あ る い は 要 件 が 、 現 実 の 中 で ど う 働 く か と い う 、 い わ ば 生 命 を 持 っ た 姿 を 描 け る よ う に な る と い う こ と で す 。 理 解 に 至 る 苦 難 は 絶 対 に 避 け ら れ ま せ ん 。 法 解 釈 論 で あ る 以 上 は 、 そ の 解 釈 が 現 実 に 適 用 さ れ た 場 合 に 、 正 し い 結 果 を も た ら す か ど う か と い う 判 断 は 難 し い の で す 。

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次 に 著 作 物 が 分 か れ ば 、 著 作 者 概 念 は 簡 単 で す 。 法 は 、 そ の 著 作 物 を 生 み 出 し た 人 を 著 作 者 と 呼 ん で い る か ら で す 。 で す か ら 、 著 作 者 を 理 解 す る と い う の は 、 著 作 物 を が 生 み 出 さ れ る 際 に 創 作 的 表 現 行 為 を し た 人 は 誰 な の か を 見 つ け る 作 業 の こ と で す 。

最 後 に 著 作 者 の 権 利 と い う の は 、 著 作 物 と 著 作 者 と の 間 に 生 ず る 「 関 係 」 の こ と で す 。 近 代 法 で 権 利 と か 義 務 と い い ま す け れ ど も 、普 通 の 言 葉 で い う「 関 係( 性 )」を 、法 律 的 に 表 現 す る と「 権 利( 義 務 )」と な る の で す 。人 と 人 と の 間 、人 と 物 と の 間 に 生 ず る 関 係 性 の こ と を 近 代 法 で は 権 利 義 務 と 言 っ て い て 、 著 作 権 制 度 の 中 で は 、 著 作 物 と 著 作 物 を 生 み 出 し た 人 と の 間 に 発 生 す る 関 係 性 を 、「 著 作 者 の 権 利 」 と 呼 ん で い る わ け で す 。

著 作 権 法 制 度 を 簡 単 に 要 約 し ろ と い っ た ら 、 も う こ こ ま で で す べ て を 説 明 し て し ま っ た と い っ て も 過 言 で は な い と 思 っ て い え ま す 。 し か し 、 本 当 に 著 作 権 法 が そ ん な に 簡 単 な 構 造 に な っ て い る の か 疑 う 方 も い ら っ し ゃ る の で 、具 体 的 に 条 文 と の 関 係 で 見 ま す 。別 紙 13 の よ う に な り ま す 。

タ イ ト ル の 下 に 「 目 的 1 」 と 書 い て あ り ま す 。 こ れ は 、 第 1条 に 目 的 と い う 条 項 が あ る と い う こ と で す 。 数 字 は 全 部 で 法 律 の 条 文 の 条 数 で す 。 そ の 目 的 は 、 法 律 全 体 を 覆 っ て お り ま す の で 一 番 上 に 書 い て あ り ま す 。

次 の 段 階 の と こ ろ に 、「 著 作 物 」と「 著 作 者 」が あ り ま す 。そ し て「 著 作 権 」と 書 い て あ り ま す が 、正 確 に は「 著 作 者 の 権 利 」の こ と で す 。著 作 物 と 著 作 者 と を 結 ぶ 関 係 性 と し て 、 著 作 者 の 権 利 が こ こ に 成 立 し て い ま す 。 大 ま か に 言 う と 、 こ の 三 つ の 要 素 に 著 作 権 法 の す べ て の 条 文 が 振 り 分 け ら れ る と い う こ と が で き ま す 。

大 ま か に 言 う と と い う の は 、 そ の 中 に 振 り 分 け 切 れ な い も の が 幾 つ か あ る か ら で す 。 そ の 一 つ は 一 番 左 下 に あ る 著 作 隣 接 権 で す 。 ご 承 知 だ と 思 い ま す が 、 著 作 権 法 と い う 法 律 は タ イ ト ル は 著 作 権 法 で す が 、 権 利 で い い ま す と 著 作 権 と 隣 接 権 と い う 二 つ の 権 利 を 規 定 し て い ま す 。 で す か ら 、 著 作 権 の 構 造 と は 別 な 形 で 隣 接 権 の シ ス テ ム が 規 定 さ れ て い る と い う こ と で 左 下 に 孤 立 し て 書 い て あ り ま す 。

も う 一 つ は 、 下 段 の 右 の ほ う 、 罰 則 の さ ら に 右 に 書 い て あ る 私 的 録 音 ・ 録 画 補 償 金 制 度 で す 。 こ れ は い わ ゆ る 著 作 権 シ ス テ ム そ の も の で は な く て 、 そ こ か ら 派 生 し た シ ス テ ム で す 。 で す か ら 無 理 や り 先 ほ ど の 三 要 素 に く っ 付 け よ う と す る と 、 そ の 線 を 上 に 延 ば し た 、

「 リ 」の 著 作 権 の 制 限 と い う と こ ろ に 関 係 し て ま い り ま す け ど も 、ち ょ っ と 特 殊 な も の で 、 い わ ゆ る 著 作 権 そ の も の で は あ り ま せ ん 。 そ れ 以 外 は 全 部 こ の 三 要 素 に 結 び つ い て ま い り ま す 。

ま ず 、 著 作 物 の と こ ろ で す け れ ど も 、 こ れ を 「 イ 」、「 ロ 」、「 ハ 」 と 三 つ に 分 け て あ り ま す 。著 作 者 の と こ ろ も「 ニ 」、「 ホ 」、「 ヘ 」と 分 け て あ り ま し て 、著 作 者 の 権 利 も「 チ 」、「 リ 」、

「 ヌ 」 と 分 け て あ り ま す 。 こ う い う ふ う に 著 作 権 法 の 条 文 は 、 隣 接 権 な ど の 孤 立 し た も の を 除 き ま す と 、 究 極 的 に は 著 作 権 法 を 構 成 す る 三 要 素 の 中 に 関 連 づ け ら れ て 、 整 理 さ れ る と い う 構 造 を そ の 図 は 示 し て お り ま す 。

3

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3 . 著 作 物 3 . 1 概 念

( 1 )「 思 想 又 は 感 情 を 創 作 的 に 表 現 」し た も の で「 文 芸・学 術・美 術 又 は 音 楽 の 範 囲 に 属 す る も の 」

そ こ で 、 今 度 は そ の 三 要 素 を も う 少 し 詳 し く 見 る た め に 、 著 作 物 と い う と こ ろ に 入 っ て い き た い と 思 い ま す 。

著 作 物 の と こ ろ で は 、 先 ほ ど 申 し 上 げ ま し た よ う に 、 著 作 物 と い う 概 念 、 定 義 が 一 番 重 要 に な っ て ま い り ま す 。 著 作 権 法 は 、 同 法 の 中 で 使 っ て い る 言 葉 に つ い て 、 定 義 規 定 を た く さ ん 置 い て お り ま し て 、 そ の 中 の 筆 頭 に 上 が っ て く る の が こ の 著 作 物 の 概 念 で す 。 こ れ は 、 先 ほ ど の 条 文 の 見 取 図 で 見 ま す と 、 イ ロ ハ の 「 イ 」 の と こ ろ の 、 一 番 上 の 「 2 」 の 2 条 1 項 1 号 の と こ ろ に 規 定 が ご ざ い ま す 。 そ こ に は 「 思 想 又 は 感 情 を 創 作 的 に 表 現 し た も の で あ っ て 、文 芸 、学 術 、美 術 又 は 音 楽 の 範 囲 に 属 す る も の( を い う )」で あ る と 書 い て あ り ま す 。

い ろ い ろ な 解 説 書 に 既 に 書 い て あ る こ と で す け れ ど も 、 こ の 定 義 規 定 の 中 で 「 文 芸 、 学 術 、 美 術 又 は 音 楽 の 範 囲 に 属 す る も の 」 と い う の は 、 そ ん な に 神 経 質 に 考 え な く て も よ ろ し い と 言 わ れ て い ま す 。 文 芸 に 入 る の か 、 学 術 に 入 る の か 、 美 術 に 入 る の か 、 音 楽 の 範 囲 に 属 す る の か と い う こ と を 、 そ う 深 刻 に 考 え る 必 要 は な い と い う こ と で す 。

昭 和 30 年 代 の 判 例 を 見 ま す と 、 必 死 に な っ て こ の 中 の ど れ に 該 当 す る ん だ ろ う か と 裁 判 所 が 頭 を 悩 ま せ て 、 あ れ こ れ と 説 明 し て い る 判 決 も あ り ま す 。 プ ロ グ ラ ム の 著 作 権 の 初 期 の 判 例 な ど に も 、 プ ロ グ ラ ム の 著 作 物 は 学 術 の 著 作 物 だ と 明 言 し て い る 判 決 も ご ざ い ま す 。 今 は プ ロ グ ラ ム の 著 作 物 と い う の は 、 言 語 の 著 作 物 の 一 つ だ と 。 こ こ の 表 現 で い い ま す と 、 文 芸 の 範 囲 に 属 す る 著 作 物 と 言 わ れ て い ま す 。 実 は 文 芸 と い う の は 訳 が 悪 か っ た の で 、 本 当 は 言 語 、 リ テ ラ チ ャ ー で す 。 プ ロ グ ラ ム の 著 作 物 は 、 現 在 は 、 言 語 の 範 囲 に 属 す る 著 作 物 だ と 理 解 さ れ る よ う に な っ て い ま す 。 い ず れ に せ よ そ の 後 半 部 分 は 、 さ ほ ど 重 き を 置 か な い で 考 え て い い と 思 い ま す 。

( 2 )「 思 想 又 は 感 情 」

「 思 想 又 は 感 情 を 創 作 的 に 表 現 し た も の 」 と い う と こ ろ が 実 は 一 番 分 か り に く い と こ ろ で す 。「 思 想 又 は 感 情 を 創 作 的 に 表 現 し た も の 」に つ い て 、文 字 ど お り 思 想 又 は 感 情 を 創 作 的 に 表 現 し た も の だ か ら 、 思 想 又 は 感 情 で な い も の は 著 作 物 に な り 得 な い と 解 説 を す る 方 が い ら っ し ゃ い ま す け れ ど も 、そ う 言 っ て し ま う の は 必 ず し も 正 し く な い と 私 は 思 い ま す 。

「 思 想 又 は 感 情 を 創 作 的 に 表 現 し た も の 」の 思 想・感 情 と い う の は 、た し か に 法 文 上 は「・・・

を 」 と な っ て い ま す が 、 単 な る 目 的 語 と し て 「 を 」 を 使 っ て い る わ け で は な い の で す 。 思 想 又 は 感 情 に よ っ て と 、「 よ っ て 」 な の で す 。「 思 想 又 は 感 情 に よ っ て 創 作 的 に 表 現 し た も の 」 な ん で す 。 そ の 結 果 と し て 、 表 現 さ れ た も の は 思 想 ・ 感 情 を 創 作 的 に 表 現 し た こ と に な る と い う 意 味 で 、 こ の よ う に 「 を 」 を 用 い て 規 定 し て い る の で す 。

(21)

ぜ か 。 棒 グ ラ フ に 表 現 さ れ て い る も の は 数 値 デ ー タ で あ っ て 、 思 想 や 感 情 で は な い 、 と 。 よ っ て 思 想・感 情 を 創 作 的 に 表 現 し た も の で は な い と 説 明 す る 方 も い ら っ し ゃ る わ け で す 。 そ う す る と 、 数 値 デ ー タ で あ る 限 り は 、 ど の よ う な 表 現 方 法 を と っ た と こ ろ で 決 し て 著 作 物 に は な ら な い と い う の が 、そ う い う 考 え 方 の 論 理 的 な 帰 結 で な け れ ば な ら な い は ず で す 。

こ れ に 対 し て 私 の よ う な 考 え 方 に 立 つ と 、 棒 グ ラ フ と い う 表 現 が 決 し て 創 作 的 な 表 現 で は な い か ら で あ る と い う 理 由 に な る 。 こ れ は 教 科 書 な ど に は っ き り 書 い て あ り ま す け れ ど も 、 た と え グ ラ フ で あ っ て も 、 そ の グ ラ フ の 表 現 方 式 が あ り ふ れ た も の で は な く て 創 作 的 な 工 夫 が さ れ て い る 場 合 に は 、 そ れ は 著 作 物 た り 得 る 、 と 。 そ し て 、 こ れ は 多 く の 学 者 が 認 め て い る と こ ろ で す 。 そ こ を ち ゃ ん と つ な げ て 考 え ま す と 、 思 想 又 は 表 現 に よ っ て 創 作 的 表 現 と い う 結 果 を も た ら せ ば 、 そ れ は 著 作 物 に な る と 理 解 し な け れ ば な ら な い の で す 。 い き な り 細 か い 話 を し て し ま い ま し た が 、 こ こ は 非 常 に 重 要 な こ と で し て 、 先 ほ ど 来 申 し 上 げ て い ま す よ う に 、 そ の 作 品 が 著 作 物 か 否 か を 正 し く 判 定 し な い と 、 後 の 作 業 が 全 く 無 駄 に な っ て し ま う の で す 。 後 の 作 業 で 著 作 権 侵 害 に 簡 単 に 入 り 込 ん で し ま っ て も 無 駄 に な っ て し ま い ま す の で 、 や や 細 か い 話 を さ せ て い た だ い て い る わ け で す 。

( 3 )「 創 作 」

第 2 番 目 の 要 素 は 、 創 作 的 な 表 現 、 創 作 的 に 表 現 し た も の で す 。 省 略 し て 、 創 作 的 表 現 と い わ れ る と き の 「 創 作 」 い う の が 第 2 の 要 素 で す 。

一 般 に は 、 こ の 第 2 の 要 素 の 創 作 的 表 現 を 創 作 と 表 現 に 分 け て 説 明 さ れ て お り ま す が 、 実 は こ の こ と が 非 常 に こ こ の 要 件 を 分 か り に く く し て い る と 私 は 思 っ て い ま す 。確 か に「 創 作 的 に 表 現 」 と い う 言 葉 で す か ら 、 創 作 と 表 現 に 一 旦 分 け て 理 解 す る の は 、 可 能 で す 。 た だ し 、 そ う い う ふ う に 分 け て 考 え る の で あ れ ば 、 ま ず 最 初 に 、 創 作 と い う の は ど う い う こ と か を 問 う 上 で 重 要 だ と い う こ と で す 。 ゼ ロ か ら 何 か を 生 み 出 す 、 無 か ら 有 を 生 み 出 す こ と を 創 作 と い う 世 界 も あ る わ け で す 。 神 学 の 世 界 で す 。 し か し 、 著 作 権 法 の 世 界 で は そ れ は な い の で す 。 有 か ら 有 な の で す 。

著 作 権 法 に い う 創 作 そ れ 自 体 を 取 り 出 し て 言 う と す れ ば 、 自 分 の 身 の 回 り に あ る も の に 対 し て 、 自 分 自 身 が 持 っ て い る 主 体 的 な 何 も の か を 放 り 込 む こ と に よ っ て 、 あ る い は 付 け 加 え る こ と に よ っ て 、 混 合 す る こ と に よ っ て 、 ぐ ち ゃ ぐ ち ゃ に 粉 砕 す る こ と に よ っ て 、 そ し て そ の う え で そ れ ら を 新 し く 再 構 成 す る こ と に よ っ て 、 元 の も の と は 違 う も の を 作 り 出 す と い う 意 味 と し て 、 創 作 と い う 言 葉 が 使 わ れ て い る の で あ っ て 、 手 品 の よ う に 空 中 か ら 何 か を 取 り 出 し た と き だ け を 創 作 と い う の で は あ り ま せ ん 。 そ う こ と を 、 創 作 概 念 を 切 り 分 け た と こ ろ で 把 握 し て お か な け れ ば な ら な い わ け で す 。

( 4 )「 創 作 的 表 現 」

し た が っ て 、 創 作 と い う の は 、 今 ま で あ っ た も の と そ の 後 で で き た も の が 、 ど う い う 点 で 違 っ て い る か と い う こ と が 問 題 に な り ま す 。

そ の 前 に 創 作 と は 別 に 、 表 現 と い う も の だ け を 取 り 出 し て み た と き に ど う な る で し ょ う か 。 よ く あ る 間 違 っ た 解 説 に 、 頭 の 中 に あ る こ と を 外 に 出 す こ と だ と く ど く ど と 書 い て あ る も の が あ り ま す が 、 こ れ は 大 間 違 い で す 。 も と も と 頭 の 中 に あ る も の な ど 、 そ う 簡 単 に 法 律 で 保 護 す る こ と は で き な い で す 。 内 心 の 自 由 と い う の は 憲 法 で 保 障 さ れ て い ま す け れ

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