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財 団 法 人 機 械 シ ス テ ム 振 興 協 会

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(1)

シ ス テ ム 開 発 17-F-3

高効率省エネルギー有害藻類抑制システムの開発に関する フィージビリティスタディ

報 告 書

平成 18 年 3 月

財 団 法 人 機 械 シ ス テ ム 振 興 協 会

委 託 先 財 団 法 人 エンジニアリング振 興 協 会

(2)

こ の 事 業 は 、 競 輪 の 補 助 金 を 受 け て 実 施 し た も の で す 。

(3)

わ が 国 経 済 の 安 定 成 長 へ の 推 進 に あ た り 、 機 械 情 報 産 業 を め ぐ る 経 済 的 、 社 会 的 諸 条 件 は 急 速 な 変 化 を 見 せ て お り 、 社 会 生 活 に お け る 環 境 、 都 市 、 防 災 、 住 宅 、 福 祉 、 教 育 等 、 直 面 す る 問 題 の 解 決 を 図 る た め に は 技 術 開 発 力 の 強 化 に 加 え て 、 多 様 化 、 高 度 化 す る 社 会 的 ニ ー ズ に 適 応 す る 機 械 情 報 シ ス テ ム の 研 究 開 発 が 必 要 で あ り ま す 。

こ の よ う な 社 会 情 勢 の 変 化 に 対 応 す る た め 、 財 団 法 人 機 械 シ ス テ ム 振 興 協 会 で は 、 日 本 自 転 車 振 興 会 か ら 機 械 工 業 振 興 資 金 の 交 付 を 受 け て 、 シ ス テ ム 技 術 開 発 調 査 研 究 事 業 、 シ ス テ ム 開 発 事 業 、 新 機 械 シ ス テ ム 普 及 促 進 事 業 等 を 実 施 し て お り ま す 。

こ の う ち 、 シ ス テ ム 技 術 開 発 調 査 研 究 事 業 お よ び シ ス テ ム 開 発 事 業 に つ い て は 、 当 協 会 に 総 合 シ ス テ ム 調 査 開 発 委 員 会(委 員 長:政 策 研 究 院 リ サ ー チ フ ェ ロ ー 藤 正 巖 氏) を 設 置 し 、 同 委 員 会 の ご 指 導 の も と に 推 進 し て お り ま す 。

本 「 高 効 率 省 エ ネ ル ギ ー 有 害 藻 類 抑 制 シ ス テ ム の 開 発 に 関 す る フ ィ ー ジ ビ リ テ ィ ス タ デ ィ 」 は 、 上 記 事 業 の 一 環 と し て 、 当 協 会 が 財 団 法 人 エ ン ジ ニ ア リ ン グ 振 興 協 会 に 委 託 し 、 実 施 し た 成 果 を ま と め た も の で 、 関 係 諸 分 野 の 皆 様 方 の お 役 に 立 て れ ば 幸 い で あ り ま す 。

平 成 18 年 3 月

財 団 法 人 機 械 シ ス テ ム 振 興 協 会

(4)

は じ め に

全 国 各 地 に 多 数 点 在 す る 飲 料 用 貯 水 池 、 ダ ム 池 、 湖 沼 等 の 閉 鎖 性 水 域 に お い て 異 常 発 生 す る ア オ コ は 、 特 に 水 道 水 へ の 異 臭 ・ 悪 臭 あ る い は 景 観 上 か ら も 社 会 問 題 化 し て い る 。 ま た ア オ コ の 構 成 種 で あ る 藍 藻 類 の 一 部 は 毒 性 を 持 っ て お り 、 魚 介 類 の へ い 死 の 問 題 も 引 き 起 こ し 、 そ の 根 本 的 解 決 が 望 ま れ て い る 。

こ れ ま で 種 々 の 技 術 開 発 が 試 み ら れ て き た が 、 そ の 効 果 、 周 辺 環 境 へ の 影 響 、 多 大 な エ ネ ル ギ ー 消 費 な ど の 理 由 か ら 、 実 際 の 運 用 は 困 難 で あ っ た 。

本 フ ィ ー ジ ビ リ テ ィ ス タ デ ィ(FS)で は 、 ア オ コ を 構 成 す る プ ラ ン ク ト ン の 多 く が 、 細 胞 内 に ガ ス 胞 を 持 っ て 水 中 を 上 下 浮 遊 す る こ と に 注 目 し て 、 省 力 的 な 機 械 的 処 理 に よ る プ ラ ン ク ト ン の ガ ス 胞 破 壊 ・ 浮 沈 能 力 の 停 止 に よ っ て ア オ コ を 処 理(抑 制)す る シ ス テ ム を 開 発 の 上 、 水 域 環 境 の 改 善 を 図 る こ と を 目 的 と し て い る 。

平 成 16 年 度 に 国 内 外 の ア オ コ 処 理 技 術 に 関 す る 動 向 調 査 を 実 施 し な が ら 、 超 音 波 、 高 電 圧 パ ル ス 、キ ャ ビ テ ー シ ョ ン の 3方 式 に よ る ア オ コ 処 理 性 能 比 較 試 験(ラ ボ 試 験 お よ び 現 場 確 認 試 験)を 実 施 し た 結 果 、 効 率 的 な 方 式 と し て キ ャ ビ テ ー シ ョ ン 方 式 を 選 定 し た 。

平 成 17 年 度 は 、 キ ャ ビ テ ー シ ョ ン 方 式 の 投 入 エ ネ ル ギ ー の 削 減 を 目 指 し て 、 ア オ コ 濃 縮 方 式(一 次 濃 縮)お よ び キ ャ ビ テ ー シ ョ ン 処 理 の 効 率 化 に 関 す る 試 験 を 実 施 し た 上 で 、 さ ら に 沈 降 し た ア オ コ の 環 境 影 響 評 価(沈 降 速 度 お よ び 栄 養 塩 ・ 毒 素 の 溶 出 有 無)に つ い て の 試 験 を 実 施 し た 。

本 FSの 実 施 に あ た り 、元 茨 城 大 学 教 授 大 嶋 委 員 長 を は じ め と す る 委 員 各 位 、な ら び に 財 団 法 人 機 械 シ ス テ ム 振 興 協 会 殿 お よ び ご 指 導 と ご 協 力 を 戴 い た 関 係 各 位 に 厚 く 御 礼 申 し 上 げ ま す 。

平 成 18年 3月

財 団 法 人 エ ン ジ ニ ア リ ン グ 振 興 協 会

(5)

目 次

は じ め に

1 ス タ デ ィ の 目 的 --- 1

2 ス タ デ ィ の 実 施 体 制 --- 2

2.1 実 施 体 制(委 員 会 の 設 置 等)と 役 割 分 担 --- 2

2.2 総 合 シ ス テ ム 調 査 開 発 委 員 会 委 員 名 簿 --- 3

2.3 技 術 検 討 委 員 会 名 簿 --- 3

3 ア オ コ の 一 次 濃 縮 試 験 --- 4

3.1 試 験 日 ・ 場 所 --- 4

3.2 試 験 条 件 --- 5

3.3 試 験 装 置 --- 7

3.4 試 験 結 果 --- 9

3.5 試 験 結 果 の ま と め --- 11

4 キ ャ ビ テ ー シ ョ ン 試 験 --- 12

4.1 試 験 日 ・ 場 所 --- 12

4.2 試 験 条 件 --- 13

4.3 試 験 結 果 --- 15

4.4 試 験 結 果 の ま と め --- 20

5 溶 出 挙 動 評 価 試 験 --- 21

5.1 試 験 日 ・ 場 所 --- 21

5.2 試 験 装 置 --- 21

5.3 試 験 条 件 --- 22

5.4 試 験 結 果 と ま と め --- 23

5.5 溶 出 挙 動 の 評 価 --- 25

6 シ ス テ ム 概 念 設 計 --- 28

6.1 設 計 条 件 --- 28

6.2 シ ス テ ム 配 置 --- 28

6.3 一 次 濃 縮 装 置(加 圧 浮 上) --- 30

6.4 効 率 的 キ ャ ビ テ ー シ ョ ン 発 生 法 --- 31

6.5 主 要 機 器 の 仕 様 --- 34

6.6 設 置 オ プ シ ョ ン --- 34

6.7 設 備 ・ 運 転 費 用 の 概 算 --- 35

7 総 合 評 価 ・ 課 題 --- 36

8 添 付 資 料 --- 37

8.1 主 要 試 験 計 測 デ ー タ --- 37

8.2 溶 出 挙 動 評 価 試 験 に お け る 詳 細 観 察 --- 42

(6)

-1-

1 スタディの目的

全国各地に多数点在する飲料用貯水池、ダム池、湖沼等の閉鎖性水域において異常発 生するアオコは、特に水道水への異臭・悪臭あるいは景観上からも社会問題化している。

またアオコの構成種である藍藻類の一部は毒性を持っており、魚介類のへい死の問題も 引き起こし、その根本的解決が望まれている。

これまで種々の技術開発が試みられてきたが、その効果、周辺環境への影響、多大な エネルギー消費などの理由から、実際の運用は困難であった。

本フィージビリティスタディ(FS)では、アオコを構成するプランクトンの多くが、細 胞内にガス胞を持って水中を上下浮遊することに注目して、省力的な機械的処理による プランクトンのガス胞破壊・浮沈能力の停止によってアオコを処理(抑制)するシステムを 開発の上、水域環境の改善を図ることを目的としており、処理したアオコを水域外に排 出すると処理コストがかかることから、処理したアオコを水域に戻し、自然の浄化作用 を利用して分解処理するシステムについて検討を行っている。

平成16年度に国内外のアオコ処理技術に関する動向調査を実施しながら、超音波、高 電圧パルス、キャビテーションの3 方式によるアオコ処理性能比較試験(ラボ試験および 現場確認試験)を実施した結果、アオコを処理できる効率的な方式としてキャビテーショ ン方式を選定した。平成 17年度は、キャビテーション方式の投入エネルギーのより削減 を目指して、アオコ濃縮方法(一次濃縮)およびキャビテーション処理の効率化に関する試 験を実施した上で、さらに沈降したアオコの溶出挙動評価(栄養塩・ミクロシスチンの溶 出の有無)についての試験を行うとともに、システム全体の概念設計を実施した。

(7)

2 スタディの実施体制

2.1 実施体制(委員会の設置等)と役割分担 本スタディの実施体制を図2.1-1に示す。

財団法人機械システム振興協会内に「総合システム調査開発委員会」を、財団法人エ ンジニアリング振興協会の海洋開発室内に「技術検討委員会」を設置して事業を実施し た。

「試験計画、計測および解析」については、三菱重工業株式会社高砂研究所が担当し、

「システム検討および概念設計」については、エムエイチアイマリンエンジニアリング 株式会社が担当した。

図2.1-1 スタディの実施体制

財団法人 エンジニアリング振興協会

財 団 法 人 機 械 シ ス テ ム 振 興 協 会 総 合 シ ス テ ム 調 査 開 発 委 員 会

エムエイチアイマリンエンジニアリング株式会社 三 菱 重 工 業 株 式 会 社

海 洋 開 発 室 技 術 検 討 委 員 会

・試験計画、計測および解析

・システム検討および概念設計 再委託

(8)

-3-

2.2 総合システム調査開発委員会名簿(順不同・敬称略)

委員長 政策研究院 藤 正 巖 リサーチフェロー

委 員 独立行政法人産業技術総合研究所 太 田 公 廣 産学官連携部門

コーディネータ

委 員 独立行政法人産業技術総合研究所 志 村 洋 文 産学官連携部門

コーディネータ

委 員 東北大学 中 島 一 郎 未来科学技術共同研究センター

センター長

委 員 東京工業大学大学院 廣 田 薫 総合理工学研究科

教授

委 員 東京大学大学院 藤 岡 健 彦 工学系研究科

助教授

委 員 東京大学大学院 大 和 裕 幸 新領域創成科学研究科

教授

2.3 技術検討委員会名簿(順不同・敬称略)

委員長 茨城大学 元教授 大 嶋 和 雄 委 員 東京工業大学大学院 斎 藤 彬 夫

機械物理工学専攻 教授

委 員 茨城県内水面水産試験場 野 内 孝 則 増殖部長

(9)

3 アオコの一次濃縮試験

キャビテーション処理の前段階に、一次濃縮装置を追設して、池水の一部を加圧する ことで過剰の空気を溶解し、元の池水と混合することで微細気泡を発生させ、アオコを 浮上濃縮する。アオコ濃縮のための最適浮上分離条件を見出すために試験を行った。

3.1 試験日・場所

平成17年8月22日~23日、高島町為石浄水場貯水池(長崎市為石町)

回収したアオコ

風により吹き寄せられている (クロロフィル a濃度30,000μg/L)

アオコの浮上挙動を実験室で再現することは困難であり、今回の試験目的である浮上 アオコの処理を評価するためには、自然界で実際に増殖しているアオコを用いて試験を 行う必要がある。また、実際のアオコを採取して実験場所に運搬することも考えたが、

夏場の輸送であり輸送中のアオコの変質等が懸念されるため、平成 16年度と同様、現地 に試験装置を持ち込み集中的に実験を行った。

(10)

-5-

3.2 試験条件

① アオコ濃度 :貯水池の吹き寄せ場所に集積したアオコ水を採取の上、これを適宜希 釈して試験に使用した。クロロフィル a 濃度は、SS 濃度から下表の とおり換算した(換算に用いたグラフを図3.2-1に示す)。

SS 濃度 (mg/L)

クロロフィルa濃度 換算値(μg/L) 採取アオコ水 2,500 30,000 高濃度アオコ水 540 6,500 低濃度アオコ水 88 1,060

図3.2-1 クロロフィル a検量線

② 温度 : 30℃(現地貯水池の水温)

③ 濃縮方式 :加圧水方式およびエゼクター方式についての比較試験を実施

④ 投入比 : 処理する水量に対する気泡水の投入割合を示す。

加圧水方式 :0.04、0.07、0.1、0.2

エゼクター方式 :0.1、0.3、1.0、∞(全量処理)

y = 12.003x

0 1000 2000 3000 4000 5000

0 50 100 150 200 250 300 350 400

ss[mg/L]

ag/L]

(11)

⑤ 測定項目と測定方法:

原水流量 :原水流量計の指示値を読み取る。

投入水流量 : 気泡水流量計の指示値を読み取る。

SS : 所定量のサンプル液をメンブレンフィルタでろ過し、

回収した固形物を乾燥させた後、重量を測定する。

浮上状況 : デジカメにて動画撮影する。

⑥ 試験条件 : 詳細は、8 添付資料 8.1 (1)に記載する。

⑦ 評価項目 :除去率、濃縮率

各評価項目は次式により算出した。

処理水中のアオコ濃度(SS)

除去率(%)= 1- ×100 原水中のアオコ濃度(SS)

濃縮水中のアオコ濃度(SS) 濃縮率(%)=

原水中のアオコ濃度(SS)

⑧ 操作手順(概要)

・原水タンクに濃度を調整したアオコ水を投入しておく。原水ポンプを運転し原水を通水 しながら原水流量計(原水ポンプの下流に設置した流量計)を見ながら原水流量を調整し た。

・加圧水方式の気泡水発生装置では加圧タンクに池水を加圧ポンプにて通水する。コンプ レッサを運転し、加圧タンク内の圧力を所定の圧力に調整するとともに、池水中に空気 を溶解させた。(飽和状態になるまで 5分以上運転)

・加圧タンク下流のバルブを開き気泡水の浮上槽への通水を開始する。気泡水流量計を見 ながら、気放水の流量を調整した。

・原水と気泡水が混合し、浮上槽へ流入するのを確認した段階で、一次濃縮試験のスター トとした。

・エゼクター方式の気泡水発生装置では、装置を運転(送液ポンプが稼動する)後、空気吸 い込み用のバルブ開度を調整し、気泡水を作り(このとき流入する空気量が多いと、気泡 が大型化するので注意が必要である)、気泡水流量計を見ながら、乳白色の水(微細気泡 が大量に懸濁して乳白色に見える)になるよう調整した。

・浮上分離槽内で気泡水がアオコに付着してアオコが浮上する状況を動画撮影しておく。

・処理が進むに従って、アオコが分離される。アオコが分離されたことを確認後(10 分以 上運転)、処理水と濃縮水をサンプリングした。

・サンプル中のSS濃度を測定し、除去率、濃縮率を算出した。

(12)

-7-

3.3 試験装置

一次濃縮試験装置全体を図3.3-1に、気泡発生装置および機器リストを図3.3-2に示す。

原水流量計

加圧タンク

気泡水

加圧ポンプ

図3.3-1 アオコの一次濃縮装置

浮上分離槽

キャビテーション 処理装置

原水ポンプ

高圧ポンプ

原水タンク

気泡発生装置 流量計

流量計

空気 濃縮アオコ水

処理水

池水

過飽和の空気が微細気泡と なって懸濁しているため、

濁って見え

気泡水 流量計

浮上分離槽

(13)

機器リスト

品 名 仕 様 備 考

原水ポンプ ~50L/min 平成16年度製作品を流用

濃縮槽

100L

処理水返送配管、濃縮アオコ水抜き 出し機構、プラスチック製

気泡発生装置 1 加圧水方式(~0.5MPa) 三菱重工業㈱備品使用

コンプレッサ ~0.7MPa 同 上

気泡発生装置 2 エゼクター方式 同 上

濃縮アオコ水タンク 50L、ポリタンク 平成16年度製作品を流用

図3.3-2 気泡発生装置

コンプレッサ

PI

5L/min 圧力計

加圧ポンプ

気泡発生装置(加圧水方式) 気泡発生装置

(エゼクター方式)

(14)

-9-

3.4 試験結果

(1) 浮上分離状況の写真

① アオコ水に微細気泡を導入した場合のアオコの浮上状況

② 浮上・濃縮したアオコが流出する状況

③ 一次濃縮試験前後のアオコ水

エゼクター方式 加圧水方式

原水 処理水 濃縮水 原水 処理水 濃縮水

処理水量に対する浮上分離槽の 長手方向のサイズが小さく、浮 上したアオコが水流によって循 環している。

試 験 場 所(浮 き 桟 橋)の 揺 れ に よ り濃縮水の排出量が変動した。

水が大量に濃縮水側に流入する ため、濃縮液が希釈される。

(15)

(2) 除去率

一次濃縮処理後の処理水のアオコ除去率を図3.4-1に示す。

図3.4-1 試験結果(除去率)

① 加圧水方式の除去率は最大60%であったが、浮上分離槽の形状等を見直して滞留時 間を補正すると、90%程度の除去率が得られると考える。

(クロロフィルa 1,000μg/L→100μg/L)。

② エゼクター方式の除去率は全量処理した場合に80%に達したが、全量処理はエネル ギー的に不利であり実現性に乏しい。

③ 加圧水方式は、エゼクター方式に比較して、少ない気泡水投入比で処理が可能であ る。

④ 浮上分離槽の長手方向の長さを見直し、浮上したアオコが循環しないように改良す ることで除去率を向上させることができる。

原水流量(L/min) 1.00

0.80

0.60

0.40

0.20

0.00

0 5 10 15

加圧水方式 エゼクター方式

20

気泡水投入比 1.00

0.80

0.60

0.40

0.20

0.00

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

加圧水方式 エゼクター方式

(16)

-11-

(3) 濃縮率

一次濃縮処理後の濃縮水のアオコ濃縮率を図3.4-2に示す。

図3.4-2 試験結果(濃縮率)

① 加圧水方式の濃縮率は約 3 倍であったが、浮上分離槽の形状等を見直すと、10 倍 程度の濃縮率が得られると考える(クロロフィルa 1,000μg/L → 10,000μg/L)。

② エゼクター方式は加圧水方式よりも低い濃縮率であった。

③ 加圧水方式は、エゼクター方式に比較して、少ない気泡水投入比で濃縮が可能であ る。

④ 実機の一次濃縮装置は、濃縮水をスキマーによって掻き取る方式の採用を計画して おり、さらに高濃度のアオコ水が得られると考えられる。

3.5 試験結果のまとめ

1) 加圧水方式の除去率は最大60%、濃縮率は 3倍で、当初の目標値には達しなかった。

目標除去率:90% (クロロフィルa 1,000μg/L→100μg/L) 目標濃縮率:10倍 (クロロフィルa 1,000μg/L→10,000μg/L)

2) 加圧水方式がエゼクター方式に比べて少ない気泡水投入比で処理が可能である。

3) 除去率および濃縮率向上対策として次の対策を講じることで、目標を達成する見込み を得た。

① 浮上分離槽の長手方向の長さを見直し、浮上したアオコが循環しないようにする(加 圧浮上分離装置の寸法および滞留時間を再検討の上、最適形状を設定する)。

② 濃縮水の排出比率を一定とするための排出機構を付与する(スキマーによる掻き取 り方式、等)。

原水流量(L/min)

5 10 15 20

4.0

3.0

2.0

1.0

0.0

加圧水方式 エゼクター方式

気泡水投入比

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

4.0

3.0

2.0

1.0

0.0

加圧水方式 エゼクター方式

(17)

4 キャビテーション試験

アオコのガス胞を効率的に破壊できるキャビテーション方式について、効率的・省力 的な条件を見出すために試験を実施した。

キャビテーションの効率化を検討するために、キャビテーション発生部分の形状とし てオリフィス、ベンチュリを製作して試験した。

ベンチュリはオリフィスの下流側に傾斜をつけたもので、投入エネルギーに影響する 永久損失(圧力損失)を低減することができ、相対的にキャビテーション効率を高められる 可能性がある。

4.1 試験日・場所

平成17年8月31日~9月2日、高島町為石浄水場貯水池(長崎市為石町) キャビテーション試験装置を図4.1-1に示す。

装置全体 局所圧力測定部

キャビテーション発生機構 (オリフィス、ベンチュリ)

局所圧力測定機構

キャビテーション発生部

図4.1-1 キャビテーション試験装置

(18)

-13-

4.2 試験条件

① アオコ濃度:高濃度 :クロロフィルa6,500μg/L

(クロロフィルaはSS濃度から換算)

低濃度 : クロロフィルa 1,060μg/L

(クロロフィルaはSS濃度から換算)

② 温度 :30℃(貯水池水温)

③ キャビテーション発生機構:オリフィス、ベンチュリ

④ 上流圧力 :0.25、0.40、0.55MPa

⑤ キャビテーション係数:0.4~1.2

⑥ 測定項目と測定方法:

上流圧力 :装置一番右(上流側)の圧力計の指示値を読み取る。

下流圧力 :装置一番左(下流側)の圧力計の指示値を読み取る。

局所圧力(確認) :装置中央の圧力計の指示値を読み取る。

SS 濃度 :所定量のサンプル液をメンブレンフィルタでろ過し、

回収した固形物を乾燥させた後、重量を測定する。

⑥ 評価項目 :沈降率で評価した。

下記⑨に評価手順を記載した。

上層のアオコ濃度(SS)

沈降率(%)= ×100

上層+下層のアオコ濃度(SS)

⑦ 試験条件 :詳細は、8 添付資料 8.1(2)に結果とともに記載した。

⑧ 操作手順(概要)

本試験の操作の概要は次のとおりである。

・原水タンクに所定濃度に調整したアオコ水を充填しておく。

・バイパスバルブを開いた状態で、原水ポンプを運転した。

・バイパスバルブの開度を調整しながら上流圧力が所定圧力になるようにした。

・次に下流圧力計の圧力を見ながら、最下流のバルブ開度を操作し、所定の圧力にな るよう調整した。最下流バルブのみで調整不可の場合は、バイパスバルブの開度も 調整した。

・上流圧力、下流圧力が所定値になった後、局所圧力計の指示値を読み取り、所定値 になっていることを確認した段階で、試験開始とする。

・十分量の処理液を通水後(1 分程度)、処理水を1L サンプリング、静置して処理ア オコを沈降させた。

・翌日、沈降状況を写真撮影し、上層、下層に分離してSS分析を行った。

(19)

⑨ 沈降率測定手順

平成16年度実施手順よりキャビテーション処理の効果が正当に評価できるよう静置 時間を変更した。また、クロロフィルa濃度分析の替わりにSS濃度を分析することに より簡便に沈降率を評価できるよう手順を変更した。

上下500mLずつに分け SS濃度を分析

24時間静置

(20)

-15-

4.3 試験結果

(1) キャビテーション処理後の写真(一晩静置後)

① 高濃度アオコ

高濃度アオコ水をキャビテーション処理して、一晩静置した処理水の写真を図4.3-1 に示す。

オリフィス

上流圧力:0.55MPa 上流圧力:0.40MPa 上流圧力:0.25MPa

ベンチュリ

上流圧力:0.40MPa 上流圧力:0.25MPa

図4.3-1 キャビテーション処理後 (高濃度アオコ)

キャビテーション処理を行わないサンプルではアオコが浮上している(各写真の一番 左のサンプル)。一方、キャビテーション処理を行うと、アオコが沈降している状況が 観察された。

キャビ大 キャビ大

キャビ大 キャビ大

(21)

② 低濃度アオコ

低濃度アオコ水をキャビテーション処理して、一晩静置した処理水の写真を図4.3-2 に示す。

オリフィス

上流圧力:0.55MPa 上流圧力:0.40MPa 上流圧力:0.25MPa

ベンチュリ

上流圧力:0.40MPa 上流圧力:0.25MPa

図4.3-2 キャビテーション処理後 (低濃度アオコ)

低濃度アオコにおいても、高濃度時と同様に未処理サンプルのアオコは浮上してい るのに対して、キャビテーション処理を行ったサンプルのアオコは沈降している様子 が観察される。

キャビ大 キャビ大 キャビ大

キャビ大 キャビ大

(22)

-17-

(2) オリフィスの沈降率

オリフィスを用いたときのキャビテーション係数と沈降率の関係を図 4.3-3 に、上流 圧力と沈降率の関係を図 4.3-4に示す。

図4.3-3 絞り機構の効果(オリフィス)

図4.3-4 絞り機構の効果(オリフィス)

上流圧0.4MPa以上の時、90%以上、同0.25MPaの時でも80%の沈降率を達成可能。

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 50

60 70 80 90 100

キャビテーション係数

(%)

上流圧 0.55MPa 上流圧 0.40MPa 上流圧 0.25MPa

キャビテーション係数を変え ても沈降率に変化なし

50 60 70 80 90 100

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

上流圧力(Mpa)

(%)

キャビ係数 0.4 キャビ係数 1.2 上流圧力が高い時、沈降率向上

(23)

(3) ベンチュリの沈降率

ベンチュリを用いたときのキャビテーション係数と沈降率の関係を図 4.3-5 に、上流 圧力と沈降率の関係を図 4.3-6に示す。

図4.3-5 絞り機構の効果(ベンチュリ)

図4.3-6 絞り機構の効果(ベンチュリ)

上流圧0.4MPaの時、90%以上、同0.25MPaの時でも80%以上の沈降率を達成可能。

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 50

60 70 80 90 100

キャビテーション係数

(%)

上流圧 0.40MPa 上流圧 0.25MPa

キャビテ ー シ ョン 係 数 によ り、

沈降率が変動する(ばらつき)

50 60 70 80 90 100

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

上流圧力(Mpa)

(%)

キャビ係数 0.4 キャビ係数 1.2 オリフィスと 同 様 に 上 流 圧 力 が

高い時、沈降率が向上。

(24)

-19-

(4) 効果比較

各絞り機構の効果を比較するために、局所圧力が等しいオリフィスとベンチュリの沈 降率をプロットした結果を図 4.3-7に、アオコ濃度と沈降率の関係を図4.3-8に示す。

図4.3-7 オリフィスとベンチュリの効果比較

図4.3-8 アオコ濃度と沈降率の関係

100

80

60

40

20

0

0 20 40 60 80 100

オリフィス沈降率(%)

(%)

上流圧 0.40MPa 上流圧 0.25MPa

局所圧力が等しいオリフィスとベンチュリの沈降率をプロットした結果:

局所圧力が同じ時、オリフィスとベンチュリの殺藻効果は同等。

ベンチュリの永久損失はオリフィスの1/3であり、エネルギー面を考慮す

るとベンチュリ採用が有利となる。

キャビテーション処理ではアオコ濃度に関係なく、80%以上の沈降率が得られた。

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4

キャビテーション係数 0

20 40 60 80 100

(%)

高濃度水の沈降率(%) 低濃度水の沈降率(%)

(25)

4.4 試験結果のまとめ

① オリフィスでは、上流圧0.4MPa以上で90%以上、同0.25MPaで80%の沈降率を達 成可能である。

② ベンチュリでも、上流圧0.4MPaで90%以上、同 0.25MPaで80%以上の沈降率を達 成可能である。

③ 局所圧力が同じ時、オリフィスとベンチュリの殺藻効果は同等であること、ベンチュ リの永久損失はオリフィスの1/3であることから、エネルギー面を考慮するとベンチ ュリ採用が有利となる。

④ アオコの再浮上

試験容器内において、沈降したアオコの再浮上は見られていない。

⇒ キャビテーション処理で沈降したアオコは、底質上の分解を期待する。

(26)

-21-

5 溶出挙動評価試験

キャビテーション処理したアオコから栄養塩や毒素(ミクロシスチン)が溶出することで、

対象水域の 2 次汚染を引き起こさないことを検証するために、アオコからの栄養塩およ びミクロシスチンの溶出有無を試験によって確認した。

5.1 試験日・場所

平成17年8月31日~9月20日、三菱重工業㈱長崎研究所

5.2 試験装置

10Lガラス瓶にキャビテーション処理後のアオコ水を投入して、計測した。

試験装置外観を図 5.2-1に示す。

水槽

10L ガラス瓶

流量計

循環冷却装置 エアコンプレッサー

図5.2-1 溶出挙動試験装置

(27)

5.3 試験条件

① 処理アオコ濃度: 高濃度:クロロフィルa 6,500μg/L

(クロロフィルaはSS濃度から換算)

低濃度:クロロフィルa 1,060μg/L

(クロロフィルaはSS濃度から換算)

② 溶存酸素 :好気条件:5mg/L以上(空気の連続通気) 嫌気条件:1mg/L以下(窒素の連続通気)

③ 試験期間 :20日間

④ 測定項目 :水温、DO、pH、硝酸N+亜硝酸N、アンモニアN、リン酸P、ミクロ シスチン

⑤ 試験条件 :条件1:高濃度アオコ水、好気条件

条件 2:低濃度アオコ水、好気条件

条件 3:高濃度アオコ水、嫌気条件

条件 4:低濃度アオコ水、嫌気条件

⑥ 試験方法 :・キャビテーション処理した高濃度アオコ水と低濃度アオコ水を 10Lネ ジ口ガラス瓶に入れ、27℃の水槽へ設置して一晩静置したものを 0 日 目とした。

・沈殿したアオコを極力巻き上げないように散気管を挿入し、バブリン グを開始した。

・0、1、5、7、10、14、20 日目にサンプリングおよび計測を行った。

栄養塩分析用のサンプルは上澄み液を採水し、メンブレンフィルタで ろ過後、分析までろ液を凍結保存した。

・保存したサンプルについて栄養塩分析を行い、さらにミクロシスチン 分析用に 0 日目の高濃度サンプル、10、20 日目の高濃度サンプル(好 気、嫌気)を各 1L採水し、ガラスファイバーフィルタでろ過したろ液 中のミクロシスチン濃度を分析した。

・なお、高濃度アオコサンプル中にはミクロシスチンが含まれているこ とを事前分析にて確認した。

(28)

-23-

5.4 試験結果とまとめ

(1) pHと溶存酸素

溶出試験期間における各サンプルのpHおよび溶存酸素に関する水質計測結果(挙動)

を図 5.4-1に示す。

図5.4-1 試験結果(pHと溶存酸素)

① 水質は、アオコ濃度に関係なく、同様な挙動を示している。

② pH : 好気条件下の方が嫌気条件下よりも低い。

③ DO : 好気条件 5~6mg/L 嫌気条件 0~1mg/L

0 5 10 15 20 25

経過日数[日]

11

10

9

8

7

pH

7 6 5 4 3 2 1 0

0 5 10 15 20 25

経過日数[日]

DO[mg/L]

高濃度 好気 低濃度 好気 高濃度 嫌気 低濃度 嫌気

(29)

(2) 栄養塩

溶出試験期間における各サンプルのpHおよび溶存酸素に関する水質計測結果(挙動)

を図 5.4-2に示す。

図5.4-2 試験結果(栄養塩)

① 嫌気条件と好気条件下で、水質中の窒素の溶出形態が異なる。

(好気条件:アンモニア→亜硝酸、硝酸 嫌気条件:アンモニア)

② リン酸態リンは、高濃度・好気条件以外は、ほとんど増加していない。

NH4 NO2 NO3 PO4

0 5 10 15 20 25

経 過 日 数 [日 ] 4.5

4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0

NH4NO2NO3-N [mg/l]

0.45 0.40 0.35 0.30 0.25 0.20 0.15 0.10 0.05 0.00 条件 5 (好気、低濃度)

PO4 [mg/l]

条件 3 (嫌気、高濃度)

0 5 10 15 20 25

経 過 日 数 [日 ] 4.5

4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0

NH4NO2NO3-N [mg/l]

0.45 0.40 0.35 0.30 0.25 0.20 0.15 0.10 0.05 0.00

PO4 [mg/l]

条件 1 (好気、高濃度)

0 5 10 15 20 25

経 過 日 数 [日 ] 4.5

4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0

NH4NO2NO3-N [mg/l]

0.45 0.40 0.35 0.30 0.25 0.20 0.15 0.10 0.05 0.00

PO4 [mg/l]

条件 4 (嫌気、低濃度)

0 5 10 15 20 25

経 過 日 数 [日 ] 4.5

4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0

NH4NO2NO3-N [mg/l]

0.45 0.40 0.35 0.30 0.25 0.20 0.15 0.10 0.05 0.00

PO4-[mg/l]

(30)

-25-

(3) ミクロシスチン

溶出試験期間におけるミクロシスチン濃度の変化を図5.4-3に示す。

① キャビテーション処理直後のろ液中の ミクロシスチン濃度は 6.6μg/L であ ったが、好気的条件下では速やかに、

嫌気的条件下でも 20 日以内に分解さ れた。

② 過去(平成 13 年度)、社内試験で測定 した池水ろ液中のミクロシスチン濃度

は 3~30μg/L(クロロフィル a 濃度

300μg/L)であり、処理液中のミクロ

シスチン濃度はアオコ発生時の池水中 のミクロシスチン濃度の範囲内であっ た。

5.5 溶出挙動の評価 (1) 窒素溶出速度試算

① 試算条件:堆積アオコ量(高濃度) 92g-SS/m2

② 試算結果:窒素溶出速度(嫌気条件) 51mg-N/m2/d

③ 考察:

表5.5-1 底泥からの溶出速度の報告例(mg/m2・d)

(環境庁水質保全局 1985) 対象湖沼 窒素溶出速度 リン溶出速度

166~238 19~199

104 61~84 156~183

57 182

92 89~91

0 2.3~10.5

10.6~15.2

0 36.6

6.3 19.6 3.9~7.7

好 気 嫌 気 好 気 嫌 気 好 気 嫌 気 好 気 嫌 気 好 気 嫌 気

17.1~17.2 (℃) 21.0~22.2

(℃) 20.2 (℃) 19.5 (℃) 10.2 (℃)

6 8 9 10 11

31 0.5 1 30

5

(T-N 700mg/L)

(T-N> 2000mg/L DO 2mg/L未満24℃

DO 2mg/L以上20℃

0.0~1.0

0.0~1.84

0.0~0.54 0.0~0.75

夏季 冬季

6.0~23.1 0.1~2.1

292 72

97 11

上流(ケルダールN) 下流(ケルダールN)

代 表 的 な 湖 沼 に お け る 底 泥 から の 栄 養塩 の 溶 出速 度の 報

告例を表5.5-1に示す。

・ 手 賀 沼 な ど の 富 栄 養 化 湖 沼 の 底 泥 か ら の 溶 出 速 度 よ り 低い。

・ 処理したアオコからの回帰栄 養 塩 が 環 境 に 与 え る 影 響 は 自 然 湖 沼 の 底 泥 か ら の 栄 養 塩溶出速度の範囲内

・ 環 境 負 荷 は 低 い と 考 え ら れ

る。 千 鳥 ヶ 淵 55~90 8

日数[日]

[μg/L]

10

8

6

4

2

0

好気 嫌気

0 5 10 15 20 25

図5.4-3 試験結果 (ろ液中のミクロシスチン)

(31)

④ 条件3での窒素溶出速度算出方法(補足説明)

栄養塩溶出速度の算出については、図5.5-1に示すサンプル水中の窒素濃度データか ら傾きを計算して窒素の溶出速度とした。次に、表 5.5-2に示す試験装置の仕様を用い て、単位底面積当りの窒素の溶出速度を算出した。

図5.5-1 条件3における窒素濃度の経時変化

表5.5-2 溶出試験のデータおよび装置仕様

項目 数値 単位

10 日目 0.83 g/m3 窒素濃度

20 日目 4.22 g/m3

試験容器底面積 0.05 m2

試験液量 0.007 m3

溶出速度 51 g-N/m2

(2) 栄養塩の溶出

① キャビテーション処理後の池水水質は、アオコ濃度に関係なく同様な挙動を示したが、

pHは好気条件下の方が低い値を示した。

② 窒素は、嫌気条件ではアンモニア態、好気条件では(亜)硝酸態で溶出する。この理由 は好気条件ではアオコが分解して生成したアンモニアが硝化菌によって酸化されるた めである。

③ 今回、溶出試験に使用したアオコの量は、クロロフィルa濃度で100μg/Lのアオコ を、200m×100m×2m の範囲から回収し、200m×10m の底泥上(処理面積の 1/10) に均一に堆積させた場合に相当する。今回の窒素溶出速度(51mg-N/m2/d)は、自然湖 沼での溶出速度の範囲内であり、また、アオコを堆積させていない他区域からの栄養 塩溶出も考慮すると沈降させたアオコからの溶出栄養塩による環境負荷は少ないと考

条件 3 (嫌気、高濃度) 4.5

4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5

0.00 5 10 15 20 25

経過日数[日]

NH4,NO2,NO3-N [mg/l] PO4-P[mg/l]

溶出速度算出に使用し た窒素濃度の近似線

0.45 0.40 0.35 0.30 0.25 0.20 0.15 0.10 0.05 0.00

(32)

-27-

えられた。

④ リン酸態リンは、高濃度・好気条件以外は、ほとんど増加していない。

(3) ミクロシスチンの収支計算

キャビテーション処理前のろ液中のミクロシスチン濃度は測定していないので、処理

直後の6.6μg/Lは処理前からろ液中に存在していた可能性があり、キャビテーション処

理により溶出したものとは言い切れない。

ここで、処理前のろ液中のミクロシスチンを 3μg/Lと仮定して考察してみる。このと き、キャビテーション処理によって溶出したミクロシスチンは 6.6-3=3.6μg/Lとなる が、アオコ中に含まれるミクロシスチン濃度は 101μg/Lであったので、溶出率は3.6%

となる。これは、キャビテーション処理で溶出すると考えられる最大値である。

一方、キャビテーション処理では、池水中のアオコを 10倍に濃縮して処理を行い、池 水に戻す(希釈)ことから、ろ液中のミクロシスチン濃度は実際には 10 倍に希釈される。

従って、池水へのミクロシスチンの上乗せ濃度は 3.6÷10=0.36μg/Lであり、飲料水の ガイドラインである 1μg/L以下となる(図5.5-1)。

以上のことから、キャビテーション処理を行うことによる池水ミクロシスチンの増加 は環境に悪影響を及ぼさない範囲であると考えられる。

図5.5-1 キャビテーション処理前後のミクロシスチン

(4) 栄養塩を溶出させないための対策案

① アオコの制限因子と考えられているリンは底泥を好気条件に維持することにより溶出 を抑制することができるので、底泥からの栄養塩等の溶出を抑制するためには、底泥 近傍に酸素供給を行う必要がある。

② 本システムでは、キャビテーション処理後の空気飽和の処理水を貯水池に戻すことが できるため、排出口を適切な方向・位置に設置することによって底層・底泥への酸素 供給も行うことができる。

濃縮槽 (10倍濃縮)

キャビテーション 処理装置 水 :10

アオコ :90 ミクロシスチン:3μg/L

混 合

水 :100 アオコ :100 ミクロシスチン :3.36μg/L 水 :100

アオコ :100 ミクロシスチン :g/L

水 :90 アオコ :10 ミクロシスチン :3μg/L

水 :10 アオコ :90 ミクロシスチン :6.6μg/L

(33)

6 システム概念設計

試験結果を解析・評価の上、一定規模の閉鎖水域を対象として概念設計を実施した。

6.1 設計条件

全体システム概念設計に関して、下記の設計条件を設定した。

① 高島町為石浄水場貯水池(長崎市為石町)を想定した。

(面積:約20,000m2、処理対象水深:2m)

② 貯水池の対象水量を7日間で1回処理する。

③ 一次濃縮率は10倍、アオコ沈降率は 90%とする。

④ キャビテーション処理したアオコは貯水池へ戻す。

⑤ アオコの滞留する場所(2箇所)に分散配置する。

6.2 システム配置

省スペース化を図るため、浮上分離槽の上部に全ての機器を配置した。

処理容量 3,000m3/d に相当する設備の機器配置図を図 6.2-1 に示す。作業エリアを含

めた設置面積は約 26m2となる。

一次濃縮槽が不要と考えられる水域においては、赤枠内の設備のみの構成となる。

また、システムのフロー図を図6.2-2に示す。

・ 本貯水池の場合、風向きによって、ほぼ 2 箇所にアオコが吹き寄せられると 考えられるので、処理装置は 2箇所(2基)設置する。

・ 1基当たりの対象水量は 20,000m3として、7 日間での処理と設定したので、

処理能力を3,000m3/dとする。

(34)

-29-

図6.2-1 システム配置図

図6.2-2 システムフロー図

貯水池の水 加圧水 濃縮アオコ水 圧縮空気

20001000

2,000 加圧タンク

加圧ポンプ キャビ ポンプ

濃縮水槽 (浮上分離槽)

A-A断面図 3,000m3/d処理装置

設置面積:約26m2

浮上分離槽 18m3

濃縮水槽 2.4m3 池へ

池より

2000 200

6000600

加圧ポンプ 0.18m3/min 原水ポンプ

1.8m3/min

加圧タンク 1.5m3 処 理 水

コンプレッサ

キャビテーション 処理部

キャビポンプ 0.18m3/min

A A

加圧タンク 浮上分離槽

原水ポンプ

キャビテーション処理部

加圧ポンプ

キャビテーションポンプ

コンプレッサ

貯水池より 貯水池へ

C

(35)

6.3 一次濃縮装置(加圧浮上)

今回の現地試験では、浮上分離槽内の整流不足(図6.3-1)により滞留時間が不足、その 結果、濃縮率が低下した。

濃縮率10倍(除去率90%)を得るためには、図 6.3-2に示すとおり、12分の滞留時間が 必要であることが判明した。

図6.3-1 浮上槽内での流れの状況

図6.3-2 滞留時間とアオコ除去率の関係

平面図

流入水

上面図 流入水

約 40cm 約 80cm

この部分には液が流れ にくい(淀み部分)

100

80

60

40

20

0

(%)

0 5 10 12 15

滞留時間(min) 今回の試験装置

(36)

-31-

6.4 効率的キャビテーション発生法 (1) 絞り機構の圧力低下

一般的に、オリフィスのような絞り機構では絞り部で急激な圧力低下が見られ、下流 へ進行するに従って一部圧力回復が成される。

駆動動力の節約という観点からは、圧力回復後の圧力と上流圧力の差圧 Pl(永久損失 と呼ばれる)がこれに対応する。

一方、流量計測では精度をあげるため最大差圧(絞り機構直後の局所的圧力低下部と上 流の差圧)を用いており、流路ではこの最大差圧△Pに相当する箇所が最もキャビテーシ ョン条件が厳しく、藻類(アオコ)抑制に影響を与えると考えられる。

一般的に、絞り機構の永久損失Pl (m)は、

で求めることができ、配管流速 V の 2 乗で上昇する。また、ζ は損失係数と呼ばれる もので、絞り構造で異なるものである。従ってベンチュリのように絞り部の上流と下流 に緩やかな勾配を付けることによりζ は少なくなりPlも小さな値となる。下表に今回製 作した開口面積比=0.1の時のオリフィスとベンチュリのζとPl /△Pを比較して示す。

オリフィス ベンチュリ

ζ 159 32.6

Pl /△P 0.87 0.30

上記を基に△P=40m(0.4MPa)とする場合の永久損失および流速は下表のとおりとなり、

高流量、低い圧損を実現することができる。

オリフィス ベンチュリ

Pl 34.8m 12m

V 2.1m/s 2.8m/s

△P

Pl

管内圧

g Pl V

2

2

ς

=

(37)

(2) キャビテーション係数

藻類(アオコ)抑制へ影響する因子として考えられるものに絞り部で発生するキャビテー ション現象がある。その強さはキャビテーション係数 Kで表現することができ、キャビ テーション係数が小さいほど強いキャビテーションが発生する。

(3) キャビテーション発生装置の考え方

下記の考え方に従って装置設計を行い、性能確認あるいは効率的・省略的な条件を見 出すために試験を実施した。

① 沈降率影響因子の明確化

試験では、まず表6.4-1のオリフィスにて上流圧力55mと25mの試験を実施し、ア オコ沈降率が変化するのはキャビテーション影響なのか、圧力影響なのかを明確にす る。圧力影響であれば図 6.4-1の①のようなカーブが、キャビテーション影響であれば

図6.4-1の②のようなカーブが得られると考える。

② オリフィスとベンチュリの比較

表6.4-2にベンチュリの計算結果を記す。この計算結果より、ベンチュリにすること

によって永久損失 1/3 程度で同程度の局所圧力低下が得られると考えられる。局所圧 力が沈降率を支配しているのであれば、図 6.4-2の結果が得られると考えられる。

表6.4-1 オリフィスのキャビテーション係数/圧力

上流圧 P1 流速 V 下流圧 P2

飽和蒸気圧 PV

2 1 2

P P

P

K P V

= −

オリフィス オリフィスオリフィス オリフィス

オリフィス径 d0(mm) 開口面積比m

損失係数ζ 上流圧力

H1(m) キャビテーション係数

α

下流圧 H2(m)

永久損失 Pl(m)

局所圧力 局所圧力局所圧力 局所圧力

△P(m)

△P(m)

△P(m)

△P(m)

管内流速 V(m/s)

流量 Q(l/min)

下流圧 H2(m)

永久損失 Pl(m)

局所圧力 局所圧力 局所圧力 局所圧力

△P(m)

△P(m)

△P(m)

△P(m)

管内流速 V(m/s)

流量 Q(l/min) 0.4 8.5 46.5 53.453.453.453.4 2.4 7.2 -0.1 25.1 28.828.828.828.8 1.8 5.3 0.5 11.6 43.4 49.949.949.949.9 2.3 7.0 1.6 23.4 26.926.926.926.9 1.7 5.1 0.6 14.3 40.7 46.846.846.846.8 2.2 6.8 3.1 21.9 25.225.225.225.2 1.6 5.0 0.7 16.7 38.3 44.044.044.044.0 2.2 6.6 4.4 20.6 23.723.723.723.7 1.6 4.8 0.8 18.8 36.2 41.641.641.641.6 2.1 6.4 5.5 19.5 22.422.422.422.4 1.6 4.7 0.9 20.7 34.3 39.439.439.439.4 2.1 6.2 6.5 18.5 21.221.221.221.2 1.5 4.6 1 22.5 32.5 37.437.437.437.4 2.0 6.0 7.5 17.5 20.220.220.220.2 1.5 4.4 1.1 24.0 31.0 35.635.635.635.6 2.0 5.9 8.3 16.7 19.219.219.219.2 1.4 4.3

55 25

2.52.52.5 2.5 0.10 159.00 159.00159.00 159.00

図 8.2-2    キャビテーション処理有無での顕微鏡観察結果

参照

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