• 検索結果がありません。

牟婁病剖検脳での神経細胞特異的

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "牟婁病剖検脳での神経細胞特異的"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

        厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患等克服研究事業(難治性疾患克服研究事業))

三重県南部に多発する家族性認知症-パーキンソン症候群 発症因子の探索と治療介入研究班  (分担)研究報告書

牟婁病剖検脳での神経細胞特異的 DNA メチル化解析

岩田  淳 1)東京大学大学院医学系研究科 分子脳病態科学

間野  達雄 2)東京大学大学院医学系研究科神経内科

A.研究目的

  牟婁病はその地域集積性から家族性もしく は風土病であることが想定されながら現在ま で明らかな原因は特定されていない.また,近 年臨床病型はALSに比してPDCが多くなって おり,何らかの環境要因の関与も考えられる.

本研究では,病因,環境因双方を反映する因子 として,1. エピゲノムのうちゲノムCpGメチ ル化の変化を測定する事で牟婁病特異的な変 化を同定すること,及び 2.臨床病型の違いが DNA のメチル化変化によって切り分けること ができるかを明らかにすることにより,これら 病態の分子基盤を解明することを目的とする.

B.研究方法

  年齢を適合させた牟婁病患者 10 名,健常者 コントロール群 10 名の剖検脳を用いた.側頭 葉から抗 NeuN 抗体を用いたフローサイトメ トリーを行い,神経細胞核のみを選択的に抽出,

そこから DNA 抽出を行った.抽出した DNA

は Bisulfite 変 換 を 行 い ,Illumina 社 製 HumanMethylation450 BeadChipを用いてゲ ノム上の各 CpG についてメチル化の定量を行 った.

(倫理面への配慮)

  検体はすべて文書による同意取得済みであ り,匿名化されている.当該課題は東京大学ヒ トゲノム・遺伝子解析研究倫理委員会にて審査 の上承認されている(2186-(7)).

C.研究結果

  牟婁病患者10名の平均年齢は70.9歳であった.

臨床病型としては,ALS型5名,PDC型5名であ り各平均年齢は68.6歳(63-73歳),73.2歳(70-79 歳)であった.健常者コントロール群について平 均年齢は71.5歳であった. Student t検定p値

<0.01, β値の牟婁病と正常コントロール群間差 0.1以上をカットオフとし,25922プローブが検 出された.個々のデータのばらつきが大きいこ 研究要旨

  牟婁病の分子病態を明らかにするためには脳内,それも神経細胞内でどのような遺伝子発現変化が 生じているかを検討する必要性がある.このためには神経細胞特異的な遺伝子発現変化を捉える技術 が必要となるが,我々は神経細胞核を特異的に分離する事で特異的なエピゲノム変化を捉える方法を 採用し,特にゲノムメチル化に注目して検討を行った.これにより471と非常に多数の遺伝子のメチ ル化が正常対照と比べて変化していることを明らかにした.また,ALS, PDCの病型間で比較したと ころ,3つの遺伝子のメチル化が有意に変化している事を明らかにした.

(2)

       

と考慮するとともに,メチル化による遺伝子発 現制御のためには連続した一定領域のメチル 化変化が起きているということを仮定して,抽 出したプローブ群のなかで3カ所以上連続し ているプローブを選択し,1380プローブまでの 絞り込みを行った.これらのプローブのうちで,

遺伝子に関連したプローブは909カ所で471遺 伝子と関連しており,特に発現調整に最も重要 と考えられるTSS200またはTSS1500に含まれ たプローブは254カ所,これらは123遺伝子に関 連しているものであった.これらの遺伝子群の 機能的内訳としては,シナプス伝達,細胞骨格,

転写抑制などに関与する物が多く見られ,牟婁 病の特異的病態を表しているものと考えられ た.

一方で,臨床病型によって分け,同様の基準(p

値<0.01,ALS/PDC群間差0.10,連続3プローブ 以上)でプローブを選定したところ,29プローブ が選定され,ZIC1, ZIC4, LOC145845の3遺伝子 が残った.ZIC1,4は双方とも3q24に存在し,

Dandy Walker syndrome(先天性小脳形成異常)の 原因遺伝子の一つである.

  正常コントロールとの比較で抽出された遺 伝子の数はアルツハイマー病/正常で抽出され た遺伝子(下図)の数よりも遙かに多く,その原 因としては1.牟婁病に特異的な現象,もしくは 2.サンプル数が少ないためのアーチファクト,

が考えられた.しかしながら牟婁病内での比較 では抽出された遺伝子の数は3つであり,サン プル数の少ない事が原因とは考えにくいと結 論した.

D.考察

  ALSPDCと健常者の比較,ALSとPDCの比 較により抽出されてきたプローブには全く重 複を認めず,疾患の発症に関する病態の分子基 盤とは別に,臨床病型に関する分子基盤が存在 している可能性が示唆された.

E.結論

  今回の結果は疾患発症,および臨床病型の病

(3)

       

態機序解明に重要な端緒となる可能性がある.

今後さらに発展させ,特異的な遺伝子調節系の 解析を行いたい.

F.健康危険情報 なし

G.研究発表

(発表雑誌名巻号・頁・発行年なども記入)

1. 論文発表 なし

2.学会発表

なし

H.知的所有権の取得状況(予定を含む)

1.特許取得 なし

2.実用新案登録 なし

3.その他 なし

参照

関連したドキュメント

しかしながら生細胞内ではDNAがたえず慢然と合成

第四章では、APNP による OATP2B1 発現抑制における、高分子の関与を示す事を目 的とした。APNP による OATP2B1 発現抑制は OATP2B1 遺伝子の 3’UTR

式目おいて「清十即ついぜん」は伝統的な流れの中にあり、その ㈲

マーカーによる遺伝子型の矛盾については、プライマーによる特定遺伝子型の選択によって説明す

これらの定義でも分かるように, Impairment に関しては解剖学的または生理学的な異常 としてほぼ続一されているが, disability と

不能なⅢB 期 / Ⅳ期又は再発の非小細胞肺癌患 者( EGFR 遺伝子変異又は ALK 融合遺伝子陽性 の患者ではそれぞれ EGFR チロシンキナーゼ

私たちは、私たちの先人たちにより幾世代 にわたって、受け継ぎ、伝え残されてきた伝

都調査において、稲わら等のバイオ燃焼については、検出された元素数が少なか