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Microsoft Word - 05第3章_整備構想 160418

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1.整備構想の位置付け

 沖縄県には、独自の琉球文化があり、グスクなどの史跡観光を楽しむ観光客が多くいる。  特に 2000 年に複数のグスクがユネスコの世界遺産に登録されたことをきっかけとして注目が高まり、 それ以降多くの来訪者が訪れている。  近年は、観光客から世界遺産以外の歴史文化も見学したいというニーズが高まっており、東あがり御廻う ま ー い いなどの聖域観光も徐々に注目を集めている。  ジョン万次郎がたどったコースは、これらと同じように琉球の歴史・文化を体感できる周遊観光コー スとして魅力が高いと考えられ、これを提唱し活用を図る。 ※整備構想とは、事業における基本概念のことで、事業の理念や目標像を示し、計画や設計など各段階における指針となる ものである。

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2.琉球回廊(宿

す く

みち

)構想の概要

(1)琉球回廊(宿

す く

みち

) ジョン万次郎コースの全体像

 ジョン万次郎コースは、彼のたどった道を追体験することで、当時の沖縄の生活・文化を知ること ができ、当時の宿道(すくみち)に沿ってコースが設定される。  しかし、このコース設定は厳密なものではなく、ジョン万次郎がたどった道を基本としつつも、周遊 観光を楽しむ観光客の好みに合わせて、周辺の史跡や観光地にも派生しうる自由度の高いコー ス設定と位置付ける。  活用にあたっては、「(仮称)糸満市文化・平和・観光振興センター」を拠点施設と位置付け、最初 のガイダンスや詳細な情報提供などでの活用を検討する。 (仮称)糸満市文化・平和 ・観光振興センター 図 ジョン万次郎コース計画対象地 大度海岸(小渡浜)

ジョン万次郎コース(メインコース)

摩文仁番所跡 古道跡 米須グスク 古墓群 馬場跡(大里) 真壁番所跡 まき橋(米須) 真壁グスク跡 真壁集落・古民家・ウフガー 嘉手志ガー 南山城跡 高嶺番所跡 報得橋 照屋ガー 兼城番所跡 賀数ガー 賀数集落石積み ジョン万次郎記念碑 馬場跡 高安家 武富土帝君・拝所・御嶽 北波平石畳・石積み 兼城番所跡・兼城樋川 兼城城跡・集落景観 潮平ガー 具志川城跡 サブコース 上里グスク跡 サブコース サブコース 波平ガー 波平玉ガー ビービルの拝所

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(2)整備内容(例)

 各計画対象地の活用を図るためには、アクセス動線や便益、情報提供など最低限確保すべき機 能がある。  これらの機能は、利用者の利便性を高めるだけではなく、その周辺で暮らす住民に対しても迷惑 を及ぼさないために必要な機能である。  以下に計画地の利用の方向性を検討するとともに、その利用に必要な施設の概要を示す。 表 計画対象地整備内容(例)検討一覧 対象地名 活用の方向性 整備内容 大度海岸 (小渡浜)  ジョン万次郎の上陸地として、ジョン万次郎コースの起点 となるべき重要度の高い歴史資源であり、サインなどによ り情報を提供する。  また、海浜利用者に対しても駐車場、トイレ、シャワー施 設などを提供し、利便性の向上を図る。 記 念 碑 、 誘 導 サ イ ン 、 解 説 サ イ ン 、 駐 車場、トイレ、シャワ ー室、展望台など。 古道跡・古墳群  アクセス動線の確保のためには大掛かりな施設整備が 必要であり、活用は現実的ではない。 - 摩文仁番所跡  現在は、民間事業者が利用しており、現状のまま、バス 内からその場所を紹介することに留める。 - 米須グスク跡  糸満市内のグスク巡りコースの1カ所として活用する。  整備内容によっては、長時間の利用プログラムを設定で きる可能性がある。 誘導・解説サイン、駐 車場、便益施設 森林の一部伐開。 まき橋  道路下にあり、往時の状況を偲ばせる状況にないことか ら、活用は困難である。 - 真壁番所跡  ジョン万次郎も訪れたと考えられ、また、当時の重要な番 所であった。  復元整備を行って、歴史観光などの活用を図る。 真壁番所復元、園地 整備、駐車場、便益 施設、サインなど。 真壁グスク跡  真壁間切の象徴として、復元整備を図り、歴史散策など の活用を図る。  駐車場、便益施設などは現況施設の活用を図る。 森林の一部伐開によ る城郭の公開、サイ ンなど。 真壁集落 ・古民家  集落景観の保全を図るとともに、集落全体で古民家など の歴史資源を活用した地域活性化に取り組む。  石畳の復元や緑化などの公共整備と一緒に、住宅など 民間施設の景観向上に努め歴史的な景観の形成を図 る。 駐車場、便益施設、 サ イ ン 、 電 線 地 中 化、遊歩道・園地整 備、民間施設のデザ イン誘導など。 ウフガー  真壁集落の景観を構成する要素の一つとして活用を図 る。 コンクリート撤去によ る景観復元、除草管 理、駐車場整備。 高嶺番所跡  芝生が主体であり、その中に小規模な展示施設も整備さ れる。  周囲の嘉手志ガー、南山城跡などと一体となって活用す る可能性がある。 -

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-70- 表 計画対象地整備内容(例)検討一覧 対象地名 活用の方向性 整備内容 嘉手志ガー  すでに利用されており、歴史資源自体の魅力は高い。  駐車場、誘導サインなどを整備し、アクセスの改善を図 る。 誘 導 サ イ ン 、 駐 車 場、便益施設。 南山城跡  大規模な城郭は魅力が高く、観光利用が可能である。  小学校との分離を図るとともに駐車場などの交通アクセ スの整備を図る。 駐車場、便益施設、 サイン、柵などによる 学校との分離。 大里馬場跡  馬場であったことをサインなどによって情報提供する。  イベントの開催など、場所性を踏まえた活用を図る。 サイン整備。 報得橋  当時の宿道の景観を残す貴重な史料として、見学・学習 などの活用を図る。  駐車場の整備が必要である。 駐車場。 照屋ガー  当時の生活を知る上で貴重な資源である。  簡易水道の水源となっていることから、慎重に対応する。 誘導サイン、駐車場 など。 兼城番所跡 (賀数)  当時の痕跡は残されておらず、活用は困難である。  バスなどでその場所を紹介する程度の利用にとどめる。 解説サイン。 賀数ガー  当時の生活を学習する上で、重要な資源である。 サイン、駐車場。 土帝君・御嶽 ・拝所(武富)  信仰と一体となった歴史資源が集落一帯に残されてお り、魅力も高い。  景観の復元も含めて、集落全体の活用を図る。 誘 導 サ イ ン 、 駐 車 場 、 石 畳 の 復 元 な ど、集落全体の景観 形成。 石畳・石積み (北波平)  当時の様子を想起する上で有効であり、短時間立ち寄り 型の利用を検討する。 サイン、駐車場。 兼城番所跡 (兼城)  番所の復元を検討する。 番 所 復 元 、 サ イ ン 、 駐車場。 兼城樋川  上記と一体となった活用を検討する。 上記の一部として整 備する。 兼城グスク跡 ・集落景観  集落景観の保全を図るとともに、集落全体で古民家など の歴史資源を活用した地域活性化に取り組む。  石畳の復元や緑化などの公共的な整備とともに、住宅な ど民間施設のデザインを誘導し、歴史的景観を形成す る。 駐車場、便益施設、 サ イ ン 、 電 線 地 中 化、遊歩道・園地整 備、民間施設のデザ イン誘導など。 潮平ガー  現状を生かして、歴史文化の学習などに活用する。 柵の改良など。 波平ガー  史跡自体は、現状で価値のある歴史資源である。  駐車場やサインなど、アクセスの向上を図る。 駐車場、サインなど。 波平玉ガー  公開にあたってコンクリートの撤去などが必要である。  駐車場やサインなど、アクセスの向上を図る。 駐車場、サインなど。 上里グスク  大規模な城郭であり、大規模な復元整備を図ることで、 歴史観光の中核を担うことができる。 城郭復元、駐車場、 サイン、園路など 具志川城跡  すでに整備公開されており、今後とも現状どおりの活用 を図る。 -

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-71- (3)整備手法の考え方 1)公共空間の整備について  グスクや番所跡などについては、園地整備など公共の整備手法を採用することができる。  この場合、対象地を所管する公共団体が予算を計上して整備するほか、沖縄振興特別推進交付 金、都市公園事業費補助(国土交通省)、緑地環境整備総合支援事業(国土交通省)、自然公園 等施設整備補助事業(環境省・園地・駐車場・自然遊歩道) などの活用も考えられる。  整備にあたっては、集落内などそこで生活する人の生活環境に近いことから、地域の理解を得な がら事業を進めることが必要である。 2)民間施設の整備について  真壁地区や兼城地区など、集落全体の景観形成を進めることで、魅力向上を図る地域について は、米須地区のように、風景づくりに関する行動計画を策定するなど、民間活力の誘導を図りなが ら、官民が協力した景観づくりが望まれる。  また、これらの歴史資源は集落内など、そこで生活する人の生活環境に近いことから、地域の理 解を得ながら活用のあり方を検討する必要がある。  事業手法としては、道路や広場などの公共空間は公共事業として整備し、それ以外の民間施設 については、「整備指針」や「デザインコードの作成」「景観協定」「景観条例」および「景観形成の ための助成金」など、いくつかの誘導方法を比較検討し、最適な手法を模索していくことが望まれ る。 おかげ横町の取り組み  三重県伊勢市のおかげ横丁では、地元の菓子店が中心的な役割を担って、中核となる範囲 の整備を実施し、その周辺は、伊勢市の「伊勢市まちなみ保全条例」の制定や「伊勢市ま ちなみ保全事業基金」の設立によって、景観形成に取り組んだ。  基金は補助金を拠出するものではなく、融資の位置付けであるものの、地元の熱い思いが 実り、約 10 年で江戸時代の街並みを形成するなど、一定の成果を上げている。  電線地中化や路面の石畳化など、公共空間の整備は伊勢市が通常の公共事業として実施し ている。

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3.ジョン万次郎上陸地整備構想

(1)整備優先個所の選定

 琉球回廊(宿す く道みち)構想でのジョン万次郎コースの魅力を高めるためには、いくつかの拠点を用意す ることが重要であり、この中でジョン万次郎が最初に上陸した大度海岸(小渡浜)は歴史的な背景 を鑑みて、整備の優先度が高いと判断され、以下に整備構想を策定する。

(2)整備の基本方針

1)地域の歴史資源の活用  計画地は、ジョン万次郎が最初に日本に帰国した地であり、ジョン万次郎の人生を語る上で、特に 重要な場所である。  幕末期に海外で活躍したジョン万次郎の人生は、これまで沖縄観光の中で大きく注目されること はなかったものの、国際的な視野に立った人材育成に寄与するなど、地域の活性化に寄与する 可能性がある。 2)学習教材として活用できる拠点整備  ジョン万次郎の生涯は、これから世界を舞台に活躍していく子どもたちにとって、大きな刺激になり、 苦難を乗り越えて成し遂げた彼の成功は、将来に向けた大きな夢を与える出来事である。  本事業においては、こうしたジョン万次郎や斎藤用之助など、地域に所縁のある偉人の人生や考 え方、苦難に立ち向かう過程を分かりやすく伝えることによって、次世代を担う有望な人材の育成 に寄与する。  また、このような学習効果の高い歴史は、これまで主に平和学習であった本島南部の修学旅行に 新しい魅力を提供する可能性があり、これまでにない明るい未来志向のテーマとなる可能性を有 している。 3)新しい観光資源の創出  糸満市は新たに整備される「(仮称)糸満市文化・平和・観光振興センター」を観光の中核を担う施 設と位置付け、糸満市の見所など必要な情報を提供し、その後、現地に誘導してすることを検討 している。  近年は、沖縄に訪れる観光客のリピーター率が高まっており、著名な観光地よりも、自分の好みに 合った多様な観光地へとニーズが推移し、「世界遺産観光」や「 東あがり御廻う ま ーいい」などの歴史観光が人 気を集めている。  このような観光客に対して、幕末期に海外で活躍したジョン万次郎の歴史は、新しいコンテンツと なり得る可能性を有しており、ジョン万次郎が最初に踏み締めたこの地を拠点化することで、新し い観光資源の創出が期待されている。

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-73- 4)貴重な環境・景観への配慮  大度海岸(小渡浜)は、イノー(池礁)などの貴重な自然が残り、また、その砂浜は、本島でも少なく なったウミガメの産卵地として貴重な存在である。  本地域に残された貴重な自然を十分に調査し、これらに対する影響を最小限に抑えた利用が望 まれる。  また、ウミガメなどの産卵地となっていることは、世間に知られることで乱獲を招くことが懸念される ことから、有効な保護策も検討しながら活用を検討することが必要である。 5)地域活動との連携  大度海岸(小渡浜)に近接する米須地域は、伝統行事であるエイサーやウシデーク、綱引きなどが 盛んであり、地域に潜在する歴史資源を住民自らが掘り起こし、自立的な地域の再生を目指して いる「米須村丸ごと生活博物館」の活動が取り組まれている。  「米須村丸ごと生活博物館」は、米須全体を一つの博物館とみなし、ありのままの生活の中に地域 の良さを見出し、米須を訪れる人に紹介する目的であり、多様なプログラムが開催されている。  ジョン万次郎が上陸した後、最初に出会ったのは地元の人たちであり、その伝統文化に触れるこ とは当時の生活を垣間見ることにもつながると考えられる。  すでに活動している「米須村丸ごと生活博物館」との連携は、両者にとって相乗効果でメリットが得 られることから、地域活動との連携を考慮することが必要である。

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(3)導入機能

1)歴史学習機能  計画地周辺には「ジョン万次郎の上陸地」のほか、斎藤用之助が工事し地域の砂糖産業の発展 に寄与した「用之助港」、沖縄貝塚時代後期の遺跡である「大度貝塚」、「米須貝塚」など、多くの 歴史資源がある。  特にジョン万次郎上陸の地は、幕末期の日本の開国に多大な貢献をしたジョン万次郎の帰国の 際に最初に踏み締めた地であり、歴史的に重要である。  また、国外での生活に適応し、活躍した彼の人生は、将来社会に出て活躍する児童・生徒にとっ て多大な影響を与えるものと考えられる。  この地がジョン万次郎の国内最初の上陸地であることを示すとともに、上陸のエピソードやその後 の活躍を解説したサインなどの整備が必要である。  このような歴史学習機能を提供するためには、地域の歴史を熟知し、利用者に伝えることのできる 人材の確保が必要であり、施設整備と合わせた人材育成が望まれる。 《施設イメージ》 ジョン万次郎上陸記念碑、ジョン万次郎の功績など歴史解説サイン、用之助港解説サイ ン、大度貝塚・米須貝塚解説サインおよび歴史の道など 2)自然体験機能  大度海岸(小渡浜)は、沖縄本島の中でも有名なダイビングスポットであり、ダイビングや海水浴、サ ーフィンを楽しむため多くの人が訪れている。  このような優れた自然環境を活用し、今後もマリン活動が実施できる自然体験機能の整備が望ま れる。  大度海岸(小渡浜)のイノーは、多くの生き物の宝庫であり自然観察地としての魅力も高いことから、 自然体験に対応できる各種施設の整備が望まれる。  さらに大度海岸(小渡浜)は、本島内で希少なウミガメの産卵地であり、市民や観光客に自然の尊 さを伝えることができ、自然の大切さを訴えるシンボルと位置付ける。 《施設イメージ》 休憩舎および自然解説サインなど 3)休憩機能  大度海岸(小渡浜)は、県内有数の景勝地として沖縄戦跡国定公園にも指定され、その景観は多く の人から称賛されてきた。  こうした良好な景観を楽しむため、海への眺望を確保するとともにゆっくりと休息できる休憩機能の 整備が望まれる。  また、マリン活動や自然体験など計画地およびその周辺で展開される各種活動のため、日陰や座 って休める空間が必要であり、休憩機能の整備が望まれる。

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-75- 《施設イメージ》 休憩舎(海への眺望の確保、日陰の提供およびテーブル・ベンチの設置) 4)観光振興機能  沖縄本島南部の観光は、太平洋戦争をテーマとした平和学習や慰霊などのイメージが強いが、 近年は戦跡観光が減少傾向にある。  このようなイメージを払拭するため、大度海岸(小渡浜)の雄大な景観やジョン万次郎が最初に上 陸し、日本を開国に導いた歴史を活用し、未来志向の明るいイメージを誘導し、観光振興に寄与 する施設の整備が必要である。 《施設イメージ》 ジョン万次郎上陸記念碑、ジョン万次郎の功績など歴史解説サイン、展望施設および休憩 舎など 5)便益機能  本計画地が整備されることによって、多くの観光客が訪れるようになると考えられ、想定されるキャ パシティに対応した便益機能が必要である。  整備が必要な主な施設は以下のとおりである。 《施設イメージ》 トイレ、水飲み、手洗いおよび駐車場など 6)管理機能  施設の美観を保ち、機能を維持していくためには最低限の管理が必要不可欠であり、施設の維 持管理にも配慮した施設整備が望まれる。  設備の交換など大掛かりな補修が生じた場合、車両の進入が必要であり、管理動線やサービスヤ ードの確保など整備段階から、維持管理に配慮することが必要である。 《施設イメージ》 管理道路、サービスヤード、駐車場および防潮植栽など

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(4)ゾーニング

1)主要施設ゾーン  アクセス道路から計画地に入るエリアは、利便性が高く、また、自然環境への負荷も抑えられること から、主要施設ゾーンと位置付け、駐車場を中心に各施設の配置が必要である。  整備が必要な施設としては、トイレやシャワー、展望台、駐車場などが考えられる。  ジョン万次郎上陸記念碑や解説サインは、本ゾーンに整備する案と後述する上陸地ゾーンに整 備する案が考えられ、今後の検討課題とする。 2)海洋体験支援ゾーン  大度海岸(小渡浜)には海洋活動を目的とした多くの観光客が訪れており、海洋体験支援ゾーンと 位置付けて、活動の快適性を高めるための休憩舎など各種施設が望まれる。 3)保安林育成ゾーン  飛砂・塩害・潮害・風害の防止を目的とした保安林を育成するエリアである。  現状で苗木が植えられており、今後とも管理・育成を図り、健全な保安林の成長を促すことが望ま れる。  主要施設ゾーンと上陸地ゾーンを結ぶ位置にあり、誘導サインを整備するとともに上陸地に向かう までの期待感を高める効果が求められ、動線の修景に配慮することが望まれる。 4)上陸地ゾーン  ジョン万次郎が上陸した場所であると想定されている位置は、上陸地ゾーンと位置付け、ジョン万 次郎上陸に思いを馳せることのできる施設の整備が望まれる。  ジョン万次郎上陸記念碑や解説サインは、本ゾーンに配置する案と前記の主要施設ゾーンに配 置する案が考えられ、今後の検討課題とする。 5)歴史の道  旧版地図では、本エリアの背後地には古道があったことが示されており、ジョン万次郎もこの道を 通って摩文仁番所に向かったものと想定される。  旧版地図で示されたおおよその位置を“歴史の道”と位置付け、歴史景観に配慮した施設整備が 望まれる。

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-77- 図

ジョン万次郎上陸地ゾーニング

上陸地ゾーン 保安林育成 ゾーン 主要施設ゾーン 海洋体験支援ゾーン アクセス道路 歴史の道

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(5)主要施設イメージ

1)歴史解説サイン  本地域には、「ジョン万次郎の上陸地」のほか、 「用之助港」、「大度貝塚」、「米須貝塚」など多く の歴史資源があり、観光振興や地域の活性化に 活用することができる。  こうした歴史資源に関する情報を提供するため、 歴史解説サインの整備が必要である。  ジョン万次郎上陸の碑と一体的に整備すること で、碑の意味や意義を示すことが可能であり、近 接地に配置することが適当である。 2)ジョン万次郎上陸記念碑  ジョン万次郎上陸を記念して、そのことを示す碑 を建立し、彼の功績を称えるとともに観光振興な どへの活用が可能である。  デザインについては、実現化する際に公募など を実施することで、より優れたデザインを採用す ることが望まれる。  碑建立の意図を考慮すると、本人の銅像よりも抽 象的なデザイン、未来志向のデザインが適して いると考えられる。 3)誘導サイン  主要施設ゾーンから上陸地ゾーンまでの間は、 誘導サインを設置することで、利用者が迷わず に移動できる配慮が必要である。  ジョン万次郎上陸地は潮風の影響が強く、工作 物を設置するには過酷な環境である。このため、 立ち上がりの少ない形状にするとともに、堅牢な 素材を用いることが大切である。 解説サインのイメージ ジョン万次郎上陸記念碑のイメージ 石材を利用した誘導サインのイメージ

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-79- 4)トイレ・シャワー棟兼展望台  利用者などのためにトイレを整備し、同時に大度 海岸(小渡浜)でマリン活動を実施する利用者に対 してはシャワーを提供することが必要である。  計画地は海浜環境にあり、潮風の影響を強く受け ることから、堅牢な素材を用いた耐久性の高い施 設整備が適している。  デザインについては、今後の検討課題であるが、 屋上を展望台として活用するなどの可能性も検討 できる。 5)休憩舎  計画対象地は、県内有数の景勝地であり、この景 観を楽しむための休憩舎の整備が必要である。  また、大度海岸(小渡浜)は、マリン活動が盛んで あり、炎天下の中でも休憩できるようにすることで、 活動の快適性を高め、熱射病などのリスクを軽減 する効果も期待できる。  マリン活動など利用者は多いと想定され、適正な キャパシティを確保することが必要である。 6)駐車場  沖縄県内の移動手段は自動車が主体であり、大半の利用者が自動車を利用すると考えられる。こ のため、駐車場の整備は重要である。  特にマリン活動のシーズンには利用が集中する と考えられ、できる限りキャパシティを大きく確保 することが必要である。  安全で駐車しやすい駐車場が必要である。  本来であれば、沖縄の気象条件に配慮して、緑 陰駐車場を整備した方が使いやすいものの、植 物の生育にとって過酷な環境であるため、環境 圧に配慮した植物の利用が現実的である。 トイレ・シャワー棟のイメージ 駐車場のイメージ 休憩舎のイメージ

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4.施設整備に関する課題

(1)各計画対象地整備に関する課題

1)(仮称)糸満市文化・平和・観光振興センターを核とした体系的な観光の実現  糸満市では現在、観光振興を図るため、「(仮称)糸満市文化・平和・観光振興センター」の整備を 進めており、情報提供・発信や同施設を起点とする糸満市地域観光の拠点化を検討している。  このため、適切な各歴史資源の情報提供を行い体系的に周遊観光が実施できるよう、同センター を生かした活用を検討する。 2)公開に必要な施設の整備  対象となる歴史資源は、本来、地域の人の生活を支えるために築かれたものであり、公開を目的と したものではない。このため、集落の中心に位置することで幹線道路から奥まった場所にあること や、自動車が発達していない時代の町並みは、道幅が狭く、駐車も困難な立地にあることも珍しい ことではない。  このため、各歴史資源の公開にあたっては、駐車場を確保するほか、アクセス性を改善するため の誘導サインが必要である。  また、利用者が増えた場合や、特に団体客を受け入れる場合、さまざまな人々の利用が想定され ることから、便益施設などの整備が必要である。  さらに、歴史資源はその来歴などの説明があった方がより理解が深まり、また、往時の馬場跡など 実物に現地を見てもそれが何であるか理解できないものもあることから、解説サインなど情報提供 の手段を検討することが必要である。 3)地域の理解  歴史資源の多くは集落内に存在しており、周囲で暮らす人の生活環境と近い位置にあることから、 活用にあたって地域の理解は必要不可欠である。  このため、歴史資源を活用する意義やそのことによって得られる地域のメリットなどを丁寧に説明し、 地域の理解を進めることが重要である。

(2)ジョン万次郎上陸地整備に関する課題

1)関係機関などとの調整  計画対象地は、「沖縄戦跡国定公園 大度園地」が含まれ、現在土地所有および現在の施設管 理は糸満市が担い、施設整備および施設の所有者は沖縄県となっている。  このため、施設整備にあたっては、施設の所有者である沖縄県と調整を行いつつ、整備の可否や 事業手法などの調整を図った上で進める必要がある。  また、背後地には本島南部土地改良区地下ダムの管理道路が近接しており、周辺整備に対する 組合など関係者との調整が必要である。 2)施設内容の検討  本調査は、基本構想の策定を目的としており、事業の理念や目標像を示すなど今後、取り組まれ る計画や設計、工事などの各段階で念頭に置くべき指針を示すものであり、今後、詳細な機能や

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-81- 施設内容、デザインおよび仕様などは整備の各段階で定めるべき内容を検討していくことが必要 である。  本調査においては、糸満市に存在する歴史資源の概要を把握するとともに、その活用の可能性 を示すことにより、今後は整備の意義、必要性、需要見込みおよび運営コストなどを考慮して、施 設内容や看板など案内デザインを検討していくことが必要である。 3)管理・運営体制の検討  施設を整備した場合、施設の安全性を確保し、美観を保つためには管理が必要であり、施設内容 や規模によって必要な労力および費用はまったく異なってくる。  このため、施設内容を検討するためには、管理方針をある程度定め、現実的に維持管理が可能 な施設を整備することが必要であり、事前に管理・運営体制の構築を想定しておくことが必要であ る。  一般的に公共施設の管理運営は、主に自治体直営による運営または民間に管理を委ねる指定 管理者制度導入などを採用することが可能である。  施設の活用を図るためには、活動プログラムの充実が必要で、地域との連携が効果的であること から、近隣の「米須村丸ごと生活博物館」と協力しプログラムを充実させるなど、いくつかの事業実 施の可能性があると考えられる。  今後、施設整備を具体化する段階で、管理・運営体制についても検討を重ね、維持管理に無理 のない施設計画とすることが必要である。

参照

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