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大 阪 湾 ・紀 伊 水道 に お いて観 られ る も う一 つ の密度 流 系

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Academic year: 2022

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(1)海 岸 工 学 論 文 集,第55巻(2008) 土 木 学 会,391‑395. 大 阪 湾 ・紀 伊 水道 に お いて観 られ る も う一 つ の密度 流 系 The Other Density 金. Current. System. in Osaka Bay and Kii Channel. 漢 九1・ 中 辻 啓 二2・ 前 田 瑛 美3・ 西 田 修 三4. H. G. KIM, Keiji NAKATSUJI, Emi MAEDA and Shuzo NISHIDA In order to clarify nutrient transport processes around the Kitan Strait, field surveys have been carried out every August from 1999 to 2004. The field surveys provided two very interesting results. The first is the development of stratification in the Kitan Strait. The upper residual current flows southward, while the lower does northward. As a result, there is a possibility that the lower nutrients in the Kii Channel intrude into Osaka Bay. The second is that such phenomena depend on the Kuroshio meandering. Although there are various conjectures about that matter, there are few researches. In the present study, the three dimensional baroclinic flow model with Lagrangian particles tracking method was used.. 1.. 分 布 が 黒 潮 の経 路 に よ って変 動 す る こ とを 示 した.. は じ め に. 著 者 らは1995年 に閉 鎖 性 海 域 の 大 阪 湾 を対 象 と して エ 瀬 戸 内 海 の 水 質 汚 濁 の 原 因 と な る栄 養 塩 の流 入 は 陸 域. ス チ ュ ア リー循 環 を と りあ げ,内 湾 の生 態 系 を 考 え る と. か らの み な らず,外 海 か ら も大 量 に供 給 され て い る こ と. き の 鉛 直 循 環 の 重 要 性 を現 地 観 測 と数 値 シ ミュ レー シ ョ. が 最 近 分 か って き た(武 岡,2006;藤. れ. ンに よ り指 摘 して き た.紀 伊 水 道 に観 られ る い くっ か の. が 事 実 とす れ ば,水 質 汚 濁 の 元 凶 が人 間 起 源 の栄 養 塩 に. 複 雑 で 特 異 な現 象 も密 度 差(重 力 差)に 誘 起 され る単 純 な. あ る こ とを 前 提 に 展 開 され て い るCODの. 現 象 の 複 合 で あ る.本 研 究 で は 密 度 流 を共 通 す る外 力 と. 原 ら,2003).こ. 削 減,窒. 素や. リ ンの水 質 総 量 規 制 な どの 富 栄 養 化 対 策 を も う一 度 根 本. して 認 識 し,大 阪 湾 な らび に紀 伊 水 道 の流 体 運 動,さ. 的 に検 討 し直 す 必 要 が あ る.. に そ れ らの流 れ に よ って 輸 送 さ れ る外 海 起 源 の 栄 養 塩 の. 藤 原 ら(1997)や 中辻 ら(2002)は そ れ ぞ れ 紀 伊 水 道 と紀 淡 海 峡 に お い て,栄 養 塩 フ ラ ック ス の 横 断 面 分 布 の現 地 観 測 を行 い,外 海 起 源 の栄 養 塩 で あ る 窒 素 や リ ン(以 下, N,Pと. 称 す る)が 大 阪 湾 に 流 入 す る こ と,ま た そ れ らの. 流 入 量 は陸 域 か ら大 阪 湾 へ放 流 さ れ る 汚濁 負 荷 量 に 匹 敵 す る量 で あ る こ と を示 した.さ. ら に,紀 淡 海 峡 は完 全 な. ら. 分 布 につ い て総 合 的 に検 討 す る. 2. 数 値 計 算 の 概 要 (1) 数 値 モ デ ル 採 用 した3次 元 バ ロ ク リニ ッ ク流 れ の モ デ ル コ ー ドは 大 阪 湾 の 流 動 解 析 の ため に 開 発 され たODEMで デ ル は連 続 方 程 式,運. が 海 峡 の底 層 か ら大 阪 湾 に流 入 して い る こ と,そ の流 入. 式,海. は黒 潮 の流 路 に よ って 大 き く異 な る こ とを 金 ら(2003)は. 成 さ れ る.大 阪 湾 ・紀 伊 水 道 の流 れ を 対 象 とす る こ とか. 明 らか に した.. ら,計 算 領 域 は,紀 伊 水 道 側 を北 緯33°40',播. 磨灘側 を. 東 経134°25'に 設 定 した(図‑2参 照).今. れぞれ を. 紀 伊 水 道 に お いて プ ラ ン ク トンや 魚 類 な どの 生 物 生 産. 動 方 程 式,水. あ る.モ. 強 混 合 で は な く,塩 分 成 層 が あ り,紀 伊 水 道 の 高 塩 分 水. 温 ・塩 分 の 拡 散 方 程. 水 面 で の熱 収 支 式 お よ び 密 度 の 状 態 方 程 式 か ら構. 後,そ. の 観 点 か ら興 味 の 持 た れ て い る流 動 構 造 に,外 海 の亜 表. 沖 合 境 界I,IIと. 層 水 が 紀 伊 水 道 の 下 層 に進 入 して 起 こる底 層 進 入 が あ る.. 地 点 と一致 して い る.水 平 方 向 の 格 子 間 隔 は1kmと. 竹 内 ら(1997)は33年 間 の定 線 観 測 デ ー タか ら,黒 潮 の離. 格 子 数 は南 北 ・東 西 に125×98と. 岸(潮 岬 か ら30海 里=56km以. m×5層,4m×22層. 遠 の と き を 指 す)時 に は,. 低 温 ・高 塩 分 の 水 塊 が 紀 伊 水 道 の 底 層 に進 入 して い る こ と,水 温 が 低 い ほ ど窒 素 や リ ンな ど の栄 養 塩 の 濃 度 が 高 い こ と を指 摘 した.ま. た,高 志 ら(2002)は4年 間 毎 月1回. の 観 測 か ら,外 海 か ら紀 伊 水 道 に流 入 す る 窒 素 や リ ンの. 会 員 ェロー 生 員 会 員. 博(工)(株)ア イ ・エヌ ・エー事業本部 工博 大阪大学大学院 教授 地球総合工 学専攻 修(工)大阪大学大学院 地球総合工学専攻 工博 大阪大学大学院 教授 地球総 合工 学専攻. した.鉛. し,. 直 方 向 に は2. の27層 位 と した.. (2) ラ グ ラ ン ジ ェ流 粒 子 追 跡 モ デ ル 放 流 さ れ た 粒 子 群 の3次 元 追 跡 は水 理 公 式 集 例 題 プ ロ グ ラ ム集. 例 題6‑9(土. 木 学 会 編,2002)を. ス テ ップ △t毎 の 粒 子 の移 動 量 は,流 に よ る移 流,そ. 1正 2フ 3学 4正. す る.後 者 は徳 島 県 の浅 海 定 線 調 査 の. 用 い た.時. 間. 速 と,そ の せ ん 断. して乱 れ が マ ル コ フ過 程 に した が っ た時. の乱 流 拡 散 で 表 さ れ る.計 算 ス テ ップ で 格 子 間 隔 を 超 え な い と い う制 約 か ら△t=5秒 に設 定 した.渦 拡 散 係 数 は SGSの 概 念 を 採 用 した(中 辻(1994)参 照). (3) 境 界 条 件.

(2) 392. 海. 岸. 工. 学. 論. 文. 集. 第55巻(2008). 境 界 条 件 は以 下 の よ うに与 え た. ・潮 位(沖 合 境 界);沖. 合 境 界 の 両 端I・IIで. 得 られ る変. 動 の6分 潮 の線 形 和 で 与 え,海 上 で の値 は計 算 ス テ ッ プ毎 に線 形 補 間 す る. ・水 温 ・塩 分 ・密度(沖 合 境 界);沖. 合 境 界I ,II上. にあ. る定 線 調 査 測 点 で の 観 測 値 を 内 挿 す る. ・河 川 流 量(河 口);一. 級 河 川 か ら流 入 す る河 川 流 量. ,水. 温 と塩 分 を与 え る. ・日射 量 ,気 温(海 面);8月. の典 型 的 な 日変 化 とす る.. (4) 黒 潮 の動 態 の 取 り扱 い 黒 潮 が 潮 岬 に接 近 す るか,あ. る い は遠 ざか る か に よ っ. (a). て,紀 伊 水 道 の縦 断 面 の 水 温 や塩 分 分 布 が 大 き く変 化 す. 黒潮接岸期. (b). (1999年8月10日). (2000年8月8日). る こ と,紀 伊 水 道 お よ び 紀 淡 海 峡 の成 層 化 と黒 潮 の 経 路 図‑1. に相 関 性 が あ る こと が最 近 に な って分 か って き た.し か. 黒潮離岸 期. 紀 伊水道 沖合 の水 温 ・塩分 ・密 度差 の鉛 直分布. しなが ら,数 値 シ ミュ レ ー シ ョ ンの精 度 に相 応 す る 黒 潮. 岸 傾 向 に な る と,表 層 か ら流 出 し た海 水 を 補 う よ うに,. の 力 学 的条 件 の 設 定 は難 し い.. 外 海 の 中 層 水 が上 昇 しな が ら紀 伊 水 道 内 の底 層 に進 入 し. 竹 内 ら(1997)の 定 義 に した が っ て,黒 潮 の 位 置 に よ っ て 接 岸 時(潮 岬 か らの 離 岸 距 離 が30海 里=56km以 離 岸 時(56km外)に. 内)と. 分 類 した と き の典 型 的 な水 温 ・塩 分 ・. た もの と推 測 さ れ る.沖 合 境 界Iお. た水 温 と塩 分 の観 測 値 を与 え る こ と に した.沖 合 境 界II. 密 度 の鉛 直分 布 を 図‑1に 示 す.旧 徳 島県 水 産 試 験 場 が 実. に 関 して も同 様 に,旧. 施 し た浅 海 定 線 調 査 の観 測 値 を 用 い て作 図 した.観 測 位. 水 産 試 験 場 の観 測 値 を 与 え た.. 置 は,紀 淡 海 峡 か ら南 へ 約68kmの 1999年8月10日. 調 査 地 点(E16)で. の黒 潮 は,潮 岬 か ら37kmの 位 置 に あ り,. 一 様 に混 合 し た水 塊(水 温28℃. ,塩 分34.0〜34.3psu)が 紀. 伊 水 道 の 陸 棚 部 を 占 め て い る.一 方,2000年8月8日 潮 離 岸 時 で は,黒. の黒. 潮 は 潮 岬 か ら65kmの 位 置 に あ り,表. 層 の 水 塊 は水 温27℃,塩 水 温22.0℃,塩. あ る.. 分31.9psuで あ る.水 深30mで. 分34psuと な る.50m以. は,. 深 は深 層 水 で あ り,. 両 者 の 分 布 は 同 じで あ る.竹 内 ら(1997)か ら,黒 潮 が 離. (a). 水 深1m. (b) 図‑2. け る境 界 条 件 は,旧. 徳 島 県 水 産 試 験 場 お よ び和 歌 山 県 水 産 試 験 場 が 観 測 し. 兵 庫 県 水 産 試 験 場 お よ び徳 島 県. (5) 数 値 実 験 の 内 容 と実 験 結 果 の 検 証 方 法 紀 淡 海 峡 に お け る流 動 構 造 の解 明 の ため に実 施 した現 地 調 査(金 ら,2003)の. う ち,1999年. を黒 潮 接 岸 期,2000年. と2002年 の夏 季 観 測 を 黒 潮 離 岸 期. と2002年 の夏 季 観 測. と して数 値 実 験 結 果 の 検 証 に利 用 した. 数 値 実 験 の 妥 当 性 は 既 往 の公 表 デ ー タ と の比 較 か ら検 証 した.そ. の 内 容 は,(1)8箇 所 の 検 潮 所 に お け る潮 位 変. 化,(2)26箇 所 の潮 流 楕 円,(3)残 差 流 系(沖 ノ瀬 環 流,西. 水 深20m. 夏季 の15日 間積 分 によ り得 られ た残 差流 の計 算結 果. (c). 水 深40m.

(3) 大 阪湾 ・紀 伊水 道 にお いて観 られ る も う一つ の密 度流 系 宮 沖 環 流,エ. ス チ ュ ア リー循 環)で あ る.. 393. 東 流 を示 して い る. 和 歌 山 側 の 水 深 の浅 い 海 域 で は,西 向 き の流 れ を 呈 し,. 3. 数 値 実 験 結 果 と そ の 考 察. 表 層 で の 流 速 は速 い が,水 深 と と もに 減 少 す る傾 向 が 見 (1) 黒 潮 離 岸 時 に お け る 残 差 流 系. られ る.水 深 が 大 き く,流 速 の速 い徳 島 側 で は上 層 で 南. 図‑2に15日 間 積 分 で 得 られ た 残 差 流 の水 平 方 向 成 分 を. 向 き,下 層 で 北 向 き の 流 れ を呈 して い る.流 れ の 向 きが. 表 層,中 層,底. 層 別 に ベ ク トル で 示 す.沖 合 境 界 に お け. る潮 位 変 動 を6分 潮 の 線 形 和 と して 与 え た こ と か ら,潮. 逆 転 す るの は水 面 下 約40mで あ る. 一 方 ,密 度 の 断 面 分 布 は観 測 ・数 値 実 験 と もに成 層 状. 汐 残 差 流 は15日 間 の積 分 した値 を 採 用 した.. 態 に あ り,σtの 値 は海 表 面 ・海 底 差 で2.5と な っ て い る.. 表 層 に 関 して は,紀 淡 海 峡 を 通 る流 れ は大 阪 湾 南 部 の. 両 者 に絶 対 値 で 約1,0程 度 の 違 い は あ るが,力. 学的には. 東 岸 恒 流 帯 や沖 ノ瀬 環 流 の影 響 を 受 け て南 下 す るが,北. 鉛 直方 向 勾 配 が 直 接 的 に関 与 す る こ とか ら,今 回 の 数 値. 緯34度 付 近 に存 在 す る時 計 廻 りの 渦 に よ り流 れ は西 に 曲. 計 算 は紀 淡 海 峡 で 得 られ た 観 測 結 果 を 良 好 に再 現 して い. げ られ,徳. る と判 断 で き る.. 島県 の 海 岸 に沿 って 太 平 洋 に 向 か うの が 明 瞭. に わ か る.ま. た,中 層(約20m水. 深)で も表 層 と同 じ傾 向. で あ るが,流 速 は相 対 的 に小 さい.興. 味 を 引 く流 動 は水. 深40mに お い て紀 淡 海 峡 か ら大 阪 湾,さ. らに 明 石 海 峡 に. つ ぎに,紀 伊 水 道 か ら大 阪 湾 湾 奥 に縦 走 す る 断面(図‑ 2(c)に 直 線 で 示 す)に お け る塩 分 と密 度(σt)分 布 を 示 す. 図‑4(a)と(b)は,そ. れ ぞ れ 黒 潮 の 接 岸 期 ・離 岸 期 の計 算. 向 か う流 れ で あ る.紀 淡 海 峡 を 越 え て大 阪 湾 に流 入 す る. 結 果 で あ る.両 分 布 の 空 間 変 化 は沖 合 境 界 条 件 に 依 存 す. 流 動 が 残 差 流 系 に認 め られ た.数 値 実 験 で 得 られ た紀 伊. る.両 者 を 比 較 す る と黒 潮 離 岸 期 で は強 い成 層 状 態 に あ. 水 道 に お け る流 動 お よ び残 差 流 系 特 性 は 藤 原 ら(1997)の. り,湧 昇 し た深 層 水 は紀 伊 水 道,紀. ADCP観. 沿 って 運 ば れ る と想 像 で き る.紀 伊 水 道 の 海 水 は 紀 淡 海. 測 な らび に診 断 モ デ ル を 用 い た 数 値 実 験 に よ っ. て も確 認 さ れ て い る.. 淡 海 峡 へ と海 底 面 に. 峡 の底 層 部 か ら大 阪 湾 へ 流 入 す る こ とが わ か る.. (2) 紀 淡 海 峡 横 断 面 に お け る 潮 汐 残 差 流 系 と‑潮 汐 間 積 分 した 密 度 分 布. (3) 粒 子 追 跡 に よ る 外 海 起 源 水 塊 の 輸 送 過 程 外 海 起 源 の水 塊 が 太 平 洋 か ら紀 伊 水 道 ・紀 淡 海 峡 を経. 黒 潮 の離 岸 時 に は,紀 淡海 峡 に お い て は上 層 が 南 流,. 由 して 大 阪 湾 に流 入 して くる の か,そ. の可 能 性 を 探 る た. 下 層 付 近 で は北 流 が 卓 越 す る傾 向 を示 し,密 度 成 層 の 影. め に粒 子 追 跡 に よ る数 値 実 験 を行 な っ た.実 験 内 容 は紀. 響 を受 け て上 下 層 で 流 動 が 反 転 す る.し か し,接 岸 時 に. 伊 水 道 沖 合 境 界Iに. は水 深 方 向 に ほぼ 一 様 な 流 動 構 造 を有 して お り,黒 潮 離. 向 に2m間 隔(但 し,水 深80m〜90mの. 接 岸 に よ って 流 動 構 造 が 大 き く異 な る とい う結 果 を得 て. 流 速 に比 例 させ て5分 毎 に放 流 し,そ の 軌 跡 を 追 い か け. い る(中 辻 ら,2002;金. ら,2003).こ. の特徴を確認 す る. る方 法 で あ る.し. お い て 横 断 方 向 に2km間 隔,鉛. た が って,粒. 直方. 間)か ら,粒 子 群 を. 子 群 は3次 元 で 時 間 変 動. た め に,夏 季 の 小 潮 時 に 観 測 した残 差 流 と一 潮 汐 積 分 し. す るが,表 現 は非 常 に難 しい の で,図‑5に. た 密 度 分 布 を 示 す と と もに,観 測 した潮 汐 時 に対 応 す る. 子 群 の 位 置 を海 表 面 と大 阪 湾 ・紀 伊 水 道 の縦 断面 に直 交. 残 差 流 な らび に密 度 の 断 面 内 分 布 の比 較 を 行 っ た.図‑3. 投 影 す る こ と に よ り表 現 す る こ と と した.黒 潮 離 岸 期 と. (a)は観 測 結 果,(b)は 計 算 結 果 で あ る.残 差 流 の ベ ク ト ル 表 示 は,上 下 方 向 は北 流 ・南 流 を,左 右 方 向 は西 流 ・. 接 岸 期 の 流 動 場 と拡 散 場 の計 算 は 予 め実 行 して お き,そ. (a). 観 測 結 果(2005年8月10日). 図‑3. 示 す よ う に粒. れ ぞ れ の 粒 子 位 置 を 割 り出 す こ とに よ り線 形 補 完 で 流 速. (b) 数値 実験結 果. 紀淡 海峡 横断 面 にお ける残差 流 と一潮 汐間 積分 した平 均密 度分 布(黒潮 離岸 期).

(4) 394. 海. (a). 工. 学. 論. 文. 集. 第55巻(2008). 黒潮接 岸期. 図‑4. (b) 黒潮 離岸 期 図‑5. (b). 黒潮 離岸 期. 紀 伊水 道縦 断面 にお け る1潮汐積分 塩分 と密度差 分布. (a) 黒 潮離 岸期. と拡 散 係 数 を 与 え て,つ. 岸. (c) 黒 潮離 岸期. (d) 黒 潮接 岸期. 黒 潮離岸 ・接 岸期 に おけ る外 海起 源 の水塊 の輸 送分 布特 性. ぎの 時 間 ス テ ップ の粒 子 位 置 を. 決 定 す る.. お り,粒 子 群 の散 らば り程 度 か ら,水 深10mの 低 温 ・高 塩 分 の 亜 表 層 水 塊 が 紀 伊 水 道 に 進 入 して い る もの と考 え. 黒 潮 離 岸 時 にお け る底 層 水 塊 の挙 動 は,計 算 の 開始 後. られ る.両. 図 と もに 水 塊 の 先 端 はdensity headを 形 成 し. 80時 間 で 浦 生 田 岬 と 日 ノ御 埼 を 東 西 に つ な ぐ紀 伊 水 道 入. て い る.図 中 の破 線 は紀 伊 水 道 な ら び に大 阪 湾 西 部 ・東. り 口 に 至 っ て い る.160時. 部 海 域 の 水 深 の概 観 を 与 え て い る もの で あ り,目 安 程 度. 間 後 に は 海 南 ま で 北 上 し,約. 200時 間 後 に紀 淡 海 峡 ま で 至 る.240時. 間 後 の 分 布 を見 る. に海 底 面 を示 して い る.. と,外 洋 か ら紀 伊 水 道 の 底 層 へ 進入 した 外 洋 起 源(低 温 ・. 図‑5(d)は 黒 潮 接 岸 期 の 計 算 結 果 で あ る.実. 験開始 後. 高 塩)の 水 塊 が 紀 淡 海 峡 を 通 じて大 阪 湾 南 海 部 海 域 へ 流. 240時 間 後 の 粒 子 群 の 分 布 を示 して い るが,黒. 潮離 岸期. 入 す る こ と が 見 て とれ る.紀 伊 水 道 を輸 送 され る粒 子 群. に比 して 進 入 速 度 は小 さ い.. の 形 状 は ま さ に密 度 流(density current)の 様 相 を 呈 して.

(5) 大 阪湾 ・紀 伊水 道 にお いて観 られ る も う一つ の密 度流 系. 395. を 指 摘 す る こ とが で き た.そ. 4. 結 果 と そ の 考 察. れ は3次 元 数 値 実 験 の結 果. を 粒 子 追 跡 とい う視 覚 に訴 え て 初 め て確 信 で き た事 実 で 瀬 戸 内海 の各 灘 や 各 湾 の リ ンや 窒 素 等 の起 源 を 調 べ る. あ る.. とそ の 多 くが 外 洋 起 源 で あ り,陸 域 か らの栄 養 塩 の 汚 濁. 沖 合 境 界 に お いて 黒 潮 の動 態 を 適 正 に表 現 しえ て な い. 負 荷 を 大 き く上 廻 る こ と を示 唆 す る研 究 報 告 が 多 くな っ. 弱 点 も承 知 して い るが,大. て きた.こ. の指 摘 は,現 在 施 行 さ れ て い る総 量 規 制 の理. 議 論 す る上 で,紀 淡 海 峡 で の 海 水 交 換 の可 能 性 は大 い に. 念 を 根 本 的 に否 定 す る もの で あ り,瀬 戸 内 海 研 究 にお い. あ る.表 題 に も う一 つ の密 度 流 と い う言 葉 を 用 い た の は. て早 急 に検 討 し,結 論 が 求 め られ る課 題 で あ る.一 方,. そ の よ うな意 味 を 持 た せ た い か らで あ る.. 阪湾の物質輸送 や水質構造 を. 著 者 ら は1999年 以 来 現 地 観 測 を含 む 研 究 を実 施 し,紀 淡 海 峡 を 通 じた栄 養 塩 フ ラ ック ス に は黒 潮 蛇 行 が影 響 して. 謝 辞:本 研 究 はわ か や ま海 域 環 境 研 究 機構 の 研 究 活 動 で. い る こ とが 判 明 した が,力 学 的 に考 察 され た研 究 は な い.. 実 施 した現 地 観 測 に鼓 舞 さ れ,継 続 して い る研 究 成 果 の 一 部 で あ る.記 して 関 係 者 に謝 意 を 表 す る .. 本 研 究 で は,3次. 元 流 動 ・粒 子 追 跡 モ デ ル を 用 い て,. 密 度 流 的 ア プ ロ ー チ か ら現 象 の解 明 を 図 っ た.得. られ た. 結 果 は 以 下 の 通 りで あ る.. 参. 1)紀 伊 水 道 の潮 汐 残 差 流 は バ ロ ク リニ ッ ク流 れ で あ り, 水 深40m以 深 で は紀 淡 海 峡 を通 して 大 阪 湾 へ 流 入 す る 流 れ が あ る.そ の 流 れ は黒 潮 経 路 に依 存 して決 ま る. 2)紀 淡 海 峡 で 観 測 さ れ た 成 層 化 な ら び に 底 層 の 北 向 き 流 れ は,瀬 戸 内海 へ の 栄 養 塩 輸 送 を 担 う も の で あ る. 外 海 起 源 の 低 温 ・高 塩 分 の 水 塊 の 大 阪 湾 へ の移 流 を も た らす 力 学 機 構 で あ る. 3)粒 子 追 跡 に よ って 可 視 化 され た 現 象 は 上 述 の 諸 過 程 を 明確 に説 明 した.ま た,紀 伊 水 道 で 見 られ た の は密 度 の高 い 水 塊 が 海 底 面 に 沿 っ て流 動 す る密 度 流 で あ る. 中辻 ・藤 原(1995)は 大 阪 湾 や 東 京 湾,伊. 勢 湾 等,閉. 鎖. 性 の強 い成 層 内 湾 に お い て,地 衡 流 バ ラ ン ス に よ って 生 じる河 川 プ ル ー ム の偏 向 現 象 と,エ ス チ ュ ア リー循 環 に よ る時 計 回 りの 水 平 循 環 流 が 観 られ る こ とを 観 測 と数 値 実 験 に よ って 確 認 した.そ れ は重 力 効 果 に よ っ て表 層 水 塊 が ど の よ う に拡 が る か で あ っ た.本 論 文 で 扱 っ た の は, 太 平 洋 に起 源 を もっ 高 塩 分 ・低 水 温 の水 塊 が 陸 棚 海 底 に 沿 っ て紀 伊 水 道 お よ び大 阪 湾 海 底 に運 ば れ る重 力 密 度 流 で あ る.太 平 洋 か ら約65km隔. てた紀 淡海 峡で の成層構. 造 や 物 質 フ ラ ッ ク ス に黒 潮 の 経 路 の影 響 が 現 れ る可 能 性. 考. 文. 献. 金. 漢九 ・西 田修 三 ・中辻啓 二(2003): 紀 淡海 峡 にお ける流 動 構造 と物 質 輸送 に及 ぼ す黒 潮蛇 行 の影響, 第50回 海 岸 工 学論 文集, pp.926‑930. 高 志 利宣 ・藤 原建 紀 ・住 友寿 明 ・竹 内淳 一(2002): 海 洋 か ら 紀 伊水 道 へ の窒素 ・リンの輸 送, 第49回 海 岸工 学 論文 集, pp.1076‑1080. 竹 内 淳一 ・中地良 樹 ・小 久保 友義(1997): 紀伊 水 道 に進入 す る表層 暖水 と底 層冷 水, 第73巻 海 と空, pp.81‑92. 武 岡 秀隆(2006): 沿岸 域 にお け る外洋 起源 栄養 物 質量 の見 積 もり法 とそ の 問題 点, 沿 岸海 洋 研 究 、 第3巻, 第2号, pp.105‑111 中辻啓 二(1994): 大阪 湾 にお け る残差 流系 と物 質輸 送, 水 工 学 に関 す る夏期 研修会, 94‑A‑9., pp.1‑28 中辻啓 二 ・藤 原建 紀(1995): 大 阪 湾 にお け るエ スチ ュ ア リー 循 環機 構, 第42回 海岸 工学 論文 集, pp.396‑400. 中辻啓 二 ・西 田修 三 ・金 漢 九 ・山 中亮 一(2002): 紀 淡海 峡 にお け る残 差 流 と物質 輸送 の現 地 観測, 第49回 海 岸工 学 論 文集, pp.1071‑1075. 藤 原建 紀 ・宇野 奈 津子 ・多 田光 男 ・中辻啓 二 ・笠井 亮 秀 ・坂 本 亘(1997): 海 洋 か ら瀬戸 内海 に流入 す る窒素 ・リンの 負 荷量, 第44回 海 岸工 学論 文集, pp.1061‑1065. 藤 原建 紀 ・小林 志 保 ・高志 利 宣(2003): 瀬 戸 内海 の窒 素 ・リ ンの輸 送 と起 源 の現 地 観 測, 第50回 海 岸 工 学 論 文集, pp.951‑955. 藤 原正 幸 ・大橋 行 三 ・藤原 建紀(1997): 診 断 モ デル に よ る8 月 の紀 伊水 道 に おけ る残差 流 シ ミュ レー シ ョン, 第44回 海 岸工学 論文 集, pp.411‑415..

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