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スマートフォンを用いた交通実態調査と紙媒体調査の比較分析

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Academic year: 2022

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スマートフォンを用いた交通実態調査と紙媒体調査の比較分析

熊本大学 学生会員 ○井村祥太朗 熊本大学 学生会員 野原浩大朗

熊本大学 学生会員 松田佳祐 熊本大学 正会員 円山琢也

1. はじめに

現在の交通実態調査の主となる調査手法として パーソントリップ調査(以下PT調査)がある。現 在この手法は主に郵送型の調査であり、1日の行動 を思い出しつつ詳細に行動記録を記入しなければ ならず手間がかかる。また数万世帯に郵送するので 印刷と郵送には多額のコストがかかる。

近年スマートフォン(以下スマホ)が若い年代を 中心に急速に普及し始めている。従来の携帯端末に 比べて情報の取得などの性能が格段に向上してお り、GPS機能、加速度センサー等の機能を利用する ことにより、個々の機器でも多様なデータを取得で きるようになった。スマホのアプリ作成には知識さ えあれば、作成に多少の時間は取られてしまうが、

コストはほとんどかからない。紙調査とスマホ調査 の比較を図1に示す。

表1 紙調査とスマホ調査の違い

紙調査 スマホ調査 調査主体のコスト 高い 低い 調査被験者の負担 大 小 OD地点情報 取得可能 取得可能 経路情報 取得不可 取得可能 加速度情報 取得不可 取得可能 調査期間の設定 短期間 長期間も可能

表1で示したようにスマホ調査にはメリットと なる部分が多くあり、今後スマホ調査が紙調査に取 って代わる手法として注目されることが考えられ る。本研究ではスマホ調査に関してのアンケートを 行い、どのような人が調査に協力してくれるのか、調 査に関する抵抗感などを調べることを目的とする。そ れにより今後のスマホ型交通調査の協力者を増やす ためにはどうすればいいのかを検討するための基礎 資料とする。

2. スマホ型交通調査

本章では、位置情報を取得するアプリケーションを 使い、スマホ型のプローブパーソン調査(以下PP 調

査)を実施した。

(1) 熊本都市圏PT調査と連動したPP調査

熊本都市圏 PT調査時に、郵送依頼封筒の本体調査 の一部に同封したチラシによりアプリを用いて PP調 査の協力を依頼するものである。どれくらいの方が興 味を持たれて自主的に調査に協力したかを調査する ことも目的の一つとして挙げられる。

(2) 熊本市役所職員によるPT調査とPP調査 PTの本調査の一環として、市役所職員の方にPT調 査と PP調査の協力を依頼。20代から50代までの職 員の方48名が参加。PT 調査とPP調査のデータを比 べて何ができるのかを検討することを目的に実施。

3. アンケート調査 3.1 調査概要

本研究で行うアンケート調査は、スマホ型交通調査 についてどう思うか、紙調査と比較してどちらが答え やすかったかを、実際にアプリを使ってもらった人に 意見を聞くという目的で行われた。

3.2 アンケート内容 (1) 熊本都市圏PT調査

スマホ型交通調査に関して、実査に調査に参加した 人に任意で答えてもらうアンケートを行った。スマホ 型調査に対する抵抗感や紙調査と比較してどちらの 調査が良いと思ったかなどを web アンケートによっ て答えてもらう。

(2) 市役所職員の方にヒアリング

調査に協力していただいた熊本市役所の職員の方 に直接面会して、ヒアリング形式のアンケートを行っ た。質問内容としては大きく分けて、①スマホの使用 状況、②スマホ型調査と紙調査との比較、③調査時に 感じた抵抗感、という3つ項目である。実際にアプリ を使用してもらった方の感想を直接評価してもらう 目的で行った。

土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月)

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3.3 仮説

スマホ型の調査協力者には様々な傾向があると考 えられる。本稿では、スマホを長く使用している人の 方がスマホの扱いに慣れているため、抵抗感をあまり 感じず調査に協力してくれるのではないかという点 で仮説を立てた。したがってスマホの所持年数が長く なればなる程、紙調査よりもスマホ調査の方が協力し やすいと答えると考えたからである。

4. 分析

4.1 熊本都市圏PT調査時のアンケート結果 調査協力者のwebアンケートをクロス集計し、スマ ホ所持期間と紙調査と比較してどちらが答えやすか ったかを分析する。図1にグラフを示す。所持年数が 1年以上の人はスマホ調査、またはどちらも変わらな いと回答している。逆に半年以上もしくは未満の人は 紙の調査の方がいいと答えた人数がスマホ調査と同 数であることが読み取れる。

ここで所持年数と協力しやすい調査について関連 性があるかどうか統計的に検定を行う。スマホ所持期 間 1 年・2 年・3 年以上と半年以上・半年未満を 2 つのグループに分け、スマホ調査の方が参加しやすい か同課について有意な差があるかどうかを検定する。

有意水準は 5%とする。その結果 1 年以上所持してい るグループは 1 年未満のグループに対して T 値が -3.952<-1.96となり有意水準 5%を満たしているので、

2グループ間で有意な差があると判断できた。

0% 20% 40% 60% 80% 100%

半年未満 半年以上 1年以上 2年以上 3年以上

スマホ調査のアンケート 紙のアンケート どちらも変わらない

図1 スマホ所持年数と協力しやすい調査

調査時の抵抗については電池消耗が激しかったこ とや、プライバシーの問題が気になるといったような 回答が多数あった。

4.2 市役所職員のヒアリング結果

3.2 (2)における項目について質問した結果を示す。

①スマホの使用状況の項目については、1年以上所

持されている方がほとんどであった。またスマホのア プリに関してはほとんどの方が最初に必要なアプリ だけをインストールし、その後はほとんどインストー ルするためのwebサイトも見ないことが分かった。

②スマホ型の調査と紙調査の比較についての項目 については、協力のしやすさについては若干スマホ調 査の方がしやすいと答えた方が多かった。紙調査の方 が良いと思った方の意見として、調査に対して違和感 がなくできること、最低限の情報しか書かないので安 心できる、スマホに慣れてないので操作が難しい等が 聞かれた。対してスマホ調査が良いという意見につい ては、スマホでタッチするだけで記録ができ思い出し て書かずに済み楽であること、自分の所持している端 末での調査なので扱いに慣れていること等であった。

③調査時に感じた抵抗感の項目では、行動軌跡が取 られるので、どこに行ったのかなどを知られることに 抵抗がある、バッテリーの消費が普段より早かったの で充電できない外出先だと困る、出発と到着といった 操作を常に意識していないと調査を忘れてしまう等 の意見だった。また一般の企業ではなく公的機関の調 査でないと協力しにくい、目的がはっきりした調査で あるなら抵抗は少なくなるという意見も出た。

50%

16%

17%

17%

位置情報 バッテリー 行動制限 特になし

図2 抵抗に感じるものの割合

5. おわりに

本稿ではスマホの所持年数から見た協力のしやす い調査及び、実際の被験者の意見をヒアリングし得ら れた回答を示した。今回のアンケート結果では仮説が 正しいと判断できた。今後の課題として、スマホ調査 への協力をしやすくするための要因について他のア ンケート項目やヒアリング結果を参考にしながら考 察を進めていきたい。

[参考文献]

円山琢也: スマホ・アプリ配布型大規模交通調査の可能性, 交通工学, Vol.48, No.1, pp.4-7,2013.

土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月)

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