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密教文化 Vol. 2005 No. 214 003伊東 秀一郎「証空の生仏不二論――「自筆鈔」類を中心として―― P37-60」

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全文

(1)

-﹁

-伊

は じ め に 西 山 義 の 祖 で あ る 証 空 ( 二 七 七 ー 一 二 四 七 ) は 、 法 然 門 下 の 中 で も 他 宗 の 僧 侶 と の 交 流 が 盛 ん で あ っ た 人 物 で あ る 。 証 空 と 交 流 が あ っ た 主 た る 人 物 と し て 、 願 蓮 (生 没 年 不 詳 ) 、 慈 円 ( 一 一 五 五 -一 二 二 五 ) 、 静 遍 ( 二 六 六 -一 二 二 四 ) 、 明 恵 ( 一 一 七 三 -一 二 三 二 ) 等 が あ げ ら れ る 。 こ れ ら の 聖 道 門 の 僧 侶 と の 交 流 が 証 空 の 思 想 . 教 学 の 形 成 に 多 大 な 影 響 を 与 え て い る で あ ろ う こ と は 、 容 易 に 考 え ら れ よ う 。 事 実 、 行 観 ( 一 二 四 一 -一 三 二 五 ) は 、 証 空 の 思 想 ・ 教 学 を ﹁ 諸 行 を (1) 生 け 取 り に す る ﹂ 教 義 と 評 し て お り 、 ま た 無 住 ( 一 二 二 六-一 三 一 二 ) の ﹃ 沙 石 集 ﹂ に は 、 ﹁ 西 山 ノ 浄 土 宗 ﹂ に 関 し て 、 念 仏 ・ 真 言 ハ 大 概 風 情 ア ヒ ワ タ リ 、 義 門 互 二 相 資 シ テ 、 信 ヲ マ ス ベ シ 。 ア ラ ソ ピ ア ル 事 、 返 々 詮 ナ ク コ ソ 。 当 世 ( 2) ハ 西 山 ノ 浄 土 宗 ノ 人 共 、 真 言 ヲ 習 ア ヘ ル ト 聞 ク 。 尤 然 ル ベ シ 。 と 記 さ れ て い る 。 こ の 内 容 か ら も 証 空 の 思 想 ・ 教 学 に お け る 真 言 ( 密 教 ) の 影 響 が 考 え ら れ よ う 。 し か し 、 古 来 よ り 証 空 の 思 想 ・ 教 学 に 対 す る 天 台 教 学 の 影 響 が 指 摘 さ れ つ つ も 、 真 言 密 教 と の 関 連 に 関 す る 研 究 は 、 決 し て 多 い と は 言 証 空 の 生 仏 不 二 論 ー﹁ 自 筆 紗 ﹂ 類 を 中 心 と し て ー

(2)

密 教 文 化 え な い 。 本 稿 で は 、 ﹃ 観 経 疏 定 善 義 自 筆 御 鋤 ﹄ ( 以 下 、 ﹃ 定 自 筆 鋤 ﹄ ) に 記 さ れ る ﹃ 即 身 成 仏 義 ﹄ ( 以 下 、 ﹃ 即 身 義 ﹄ ) の ﹁ 仏 日 加 持 ﹂ の 一 文 に 注 目 し て 、 証 空 の 念 仏 実 践 論 に お け る 弥 陀 と 衆 生 と の 関 係 す な わ ち 生 仏 不 二 論 に 検 討 を 加 え て み た い 。 一 、 理 性 の 弥 陀 と 事 相 の 弥 陀 -天 台 教 学 の 影 響 -証 空 の 生 仏 不 二 論 を 検 討 す る に あ た り 、 ま ず 証 空 の 衆 生 観 と 衆 生 が 具 足 す る 仏 性 と を 概 観 し て い き た い 。 証 空 は 、 衆 生 具 足 の 仏 性 に 関 し て 次 の よ う に 述 べ て い る 。 序 ノ 心 先 ヅ 一 経 ノ 本 意 ヲ 顕 ス ベ シ 。 其 ノ 本 意 ハ 、 一 切 衆 生 二 仏 性 ア リ 、 顕 ハ サ ぐ ル 故 二 流 転 ス 。 仏 是 ヲ 悲 シ ミ テ 世 二 出 デ 給 フ 。 出 世 ノ 本 意 、 凡 夫 ヲ 度 サ ン 為 ナ リ 。 凡 夫 ヲ 度 ス コ ト ハ 専 ラ 仏 ノ 徳 ナ リ 。 其 ノ 仏 二 凡 夫 逢 ヒ 難 ケ レ バ 、 先 ヅ 五 乗 ノ 用 二 課 セ テ 、 八 万 四 千 ノ 法 ヲ 説 キ テ 、 機 ヲ コ シ ラ へ 給 フ 。 縁 二 随 フ 者 ハ 皆 解 脱 ヲ 蒙 ル 。 衆 生 障 重 (3) ク シ テ 、 ナ ホ 悟 ラ ザ レ バ 、 章 提 請 ヲ 致 ス 。 此 ノ 経 二 至 リ テ 初 メ テ 要 門 ヲ 開 ク 。 此 ノ 要 門 ハ 即 チ 十 六 観 門 ナ リ 。 こ の 一 文 で は 、 一 切 衆 生 が 仏 性 を 具 足 す れ ど も 、 仏 性 を 顕 せ ず 生 死 流 転 し 、 そ れ ら 衆 生 の 為 に 仏 (釈 尊 ) が 大 悲 を 以 っ て 教 え を 説 き 、 衆 生 に 機 根 を 生 じ せ し め 、 縁 に 随 う 者 を 解 脱 せ し め る が 、 そ れ で も 悟 り 得 な い 章 提 ( 凡 夫 ) の 為 に 説 か れ た 教 が 十 六 観 門 す な わ ち ﹃ 観 無 量 寿 経 ﹂ で あ る と さ れ て い る 。 ( 4) ( 5) し た が っ て 証 空 は 、 如 来 蔵 思 想 に 基 づ く ﹁ 一 切 衆 生 悉 有 仏 性 ﹂ と 機 根 に よ る ﹁ 難 易 二 行 ﹂ と を 基 礎 と し て 浄 土 教 を 把 握 す る の で あ る 。

(3)

( 6 ) と こ ろ で 、 古 来 よ り 証 空 教 学 に 対 す る 天 台 教 学 の 影 響 が 諸 師 先 学 に よ っ て 指 摘 さ れ て い る が 、 そ れ は 次 の 衆 生 観 に お い て も 知 る こ と が で き る 。 法 界 ト イ ハ 、 衆 生 界 ナ リ 。 是 則 チ 真 如 ノ 理 ヲ 旦 ハ セ ル 衆 生 ト 云 フ ナ リ 。 初 地 獄 ヨ リ 終 仏 果 二 至 ル マ デ 十 界 ノ 衆 生 ナ ル ベ シ 。 凡 聖 斉 シ ク 円 二。 ト イ ハ 、 十 界 ノ 中 二 、 六 道 ハ 凡 夫 、 四 乗 ハ 聖 人 ナ リ 。 真 如 法 界 ノ 中 二 、 凡 聖 悉 ク 具 足 セ リ ト 云 フ ナ リ 。 両 垢 ノ 如 如 、 ト イ ハ 、 常 二 凡 、 聖 、 同 ジ ク 真 如 ノ 理 ヲ 備 ヘ タ リ 。 又 真 如 ノ 理 ノ 中 二 凡 聖 悉 ク ア リ ト 云 ハ ぐ 、 凡 、 聖 ノ 差 別 ア ル ベ カ ラ ザ ル 疑 ア レ バ 、 同 ジ 真 如 ナ レ ド モ 有 垢 、 無 垢 ノ 差 別 ア ル 事 ヲ 示 シ テ 、 サ キ ノ ( 7) 疑 ヲ 除 ク ナ リ 。 証 空 は 、 法 界 を 真 如 具 足 の 十 界 の 衆 生 と し 、 同 時 に そ れ ら 十 界 の 衆 生 は 真 如 に 収 あ ら れ 、 真 如 の 有 垢 無 垢 に よ っ て 凡 ・ 聖 の 差 別 が 生 じ る と し て い る 。 こ の 一 文 で は 、 ﹁ 真 如 ノ 理 ﹂ を 基 軸 と し て ﹁ 地 獄 ヨ リ 仏 果 二 至 ル マ デ ﹂ の 十 界 の 衆 生 に 関 し て 述 べ ら れ て お り 、 天 台 教 学 の ﹁ 十 界 互 具 ﹂ を 想 起 さ せ る 内 容 と な っ て い る 。 こ の 点 に 関 し て ﹃ 往 生 礼 讃 自 筆 御 紗 ﹂ に 次 の よ う な 覚 書 が 記 さ れ て い る 。 ( 8) 十 界 互 具 ハ寂 滅 ノ 証 ノ 上 二 論 ス ル也 十 界 不 同 各 果 ノ 不 同 也 因 果 理 性 ハ 互 同 ス ル 也 こ こ で は 、 ﹁ 十 界 互 具 ﹂ が ﹁ 因 果 理 性 ノ 互 同 ﹂ の 理 論 で あ る と い う 理 解 が 示 さ れ て い る 。 し た が っ て 、 先 の ﹁ 地 獄 ヨ リ 仏 果 二 至 ル マ デ ﹂ の 十 界 の 衆 生 が ﹁ 真 如 ノ 理 ﹂ を 具 足 し 、 ま た 悉 く ﹁ 真 如 ノ 理 ﹂ に 収 め ら れ る と い う 内 容 は 、 こ の 覚 書 よ り ﹁ 十 界 互 具 ﹂ を 基 礎 と す る こ と が 示 唆 さ れ よ う 。 次 に 凡 夫 具 足 の 仏 性 ( ﹁ 真 如 ノ 理 ﹂ ) と 弥 陀 と の 関 係 に 関 し て 概 観 し て お き た い 。 証 空 の 生 仏 不 二 論 ー﹁ 自 筆 鋤 ﹂ 類 を 中 心 と し て ー

(4)

密 教 文 化 法 性 真 如 海 ト 、 報 化 等 ノ 諸 仏 ト 、 ト イ ハ 、 (中 略 ) 海 、 ト イ ハ 讐 ナ リ 。 海 能 ク 衆 流 ヲ 入 ル 。 清 濁 ヲ エ ラ ブ 事 ナ シ 。 法 身 ノ 海 モ 亦 此 ク ノ 如 シ 。 此 ノ 法 身 能 ク 諸 法 ヲ 収 ム 。 凡 聖 等 シ ク 備 ヘ タ リ 。 弥 陀 ハ 既 二 顕 レ テ 法 身 ト ナ リ 、 我 等 ハ ( 9 ) マ ド ヒ テ 今 知 ル 。 此 ノ 故 二 帰 ス ト 云 フ ナ リ 。 こ こ で は 、 一 切 諸 法 を 収 め る 法 身 が 、 海 の 流 れ が 清 濁 を 選 ぶ こ と な く 支 流 に 流 れ る が 如 く 、 凡 聖 に 等 し く 備 わ る と さ れ て い る 。 ま た 弥 陀 は 一 切 衆 生 を 救 わ ん と す る 大 悲 に よ っ て 凡 夫 の 内 に 顕 れ て お り 、 凡 夫 は 弥 陀 の 大 悲 に よ っ て 、 そ れ を 知 り 得 る の で あ る 。 先 の ﹁ 真 如 ノ 理 ﹂ に 関 す る 内 容 よ り も 、 こ こ で の 法 身 弥 陀 が 先 の 一 切 衆 生 が 具 足 す る ﹁ 真 如 ノ 理 ﹂ と 同 義 で あ る こ と は 明 ら か で あ る 。 で は 、 真 如 を 用 い て 展 開 さ れ る 弥 陀 に 関 し て 検 討 を 進 め て い く 。 こ の 点 に 関 し て ﹃ 観 経 疏 大 意 ﹄ で は 、 次 の よ う に 述 べ ら れ て い る 。 答 へ て 日 く 、 此 の 如 き の 説 相 は 、 併 な が ら 観 門 の 説 相 な り 。 無 始 性 徳 の 理 の 中 に は 、 正 し く 凡 夫 を 度 す る 事 、 之 有 り 、 阿 弥 陀 と 名 つ く 。 然 る に 理 性 の 故 に 、 此 の 功 徳 は 凡 夫 ・ 聖 人 の 心 中 に 皆 遍 満 す 。 此 即 ち 、 仏 性 と 云 ふ は 是 な り 。 然 る に 此 れ 理 な る 時 に は 、 凡 夫 は 知 ら ざ る が 故 に 覚 ら ず 。 此 を 智 を 以 て 覚 り て 、 凡 夫 の 為 に 事 相 に 顕 は す 時 に は 阿 弥 陀 と 云 ひ て 、 指 方 立 相 し て 西 方 に 仏 有 る ぞ と 云 ふ な り 。 故 に 、 生 死 を 離 る る 事 は 事 に 依 ら ず ん ば 、 何 ぞ 然 ら ん や 。 然 る を 事 に 顕 す と は 、 願 に 依 り て 衆 生 を 摂 取 す る な り 。 故 に 、 願 を 発 す 仏 と 号 つ く る 故 に 、 必 ず 始 有 り と 云 ふ な り 。 此 の 如 く 、 始 成 正 覚 の 相 を 機 の 為 に 説 く 故 に 、 十 劫 と も 十 八 劫 と も 云 ふ な り 。 此 の 所 説 は 、 皆 、 観 門 の 相 な り 。 弘 願 の 方 よ り し て 即 ち 之 を 云 は ば 、 一 切 の 成 道 の 劫 数 は 幾 ば く と 云 ふ 事 、 定 む べ か ら ず か 。 願 を

(5)

発 し て 事 に 顕 は し て 、 凡 夫 、 分 を 得 る と 云 ふ は 即 ち 弘 願 の 体 な り 。 故 に 、 三 世 諸 仏 は 弥 陀 に 依 り て 覚 を 成 ず と 云 ( 10) ふ は 、 此 の 道 理 な り 。 こ の 一 文 は 、 証 空 の 一 切 諸 仏 の 成 仏 は 弥 陀 に 依 る と い う 主 張 に 対 す る ﹃ 阿 弥 陀 経 ﹄ の 弥 陀 の 十 劫 成 仏 と い う 内 容 と 矛 盾 す る の で は な か と い う 問 い に 対 す る 答 え で あ る 。 証 空 は 、 こ の 問 題 を 観 門 の 相 す な わ ち 異 方 便 と 規 定 し 解 決 す る 。 こ こ で 観 門 の 相 と し て 指 方 立 相 論 す な わ ち 法 界 身 に お け る 理 性 の 弥 陀 と 事 相 の 弥 陀 と の 関 係 が 述 べ ら れ て い る 点 に 注 目 し た い 。 証 空 は 、 衆 生 に 遍 満 す る 理 性 の 弥 陀 (真 如 ・ 法 身 ) が 、 智 に よ っ て 衆 生 を 摂 取 せ ん と す る 事 相 の 弥 陀 と し て 顕 示 さ れ る と す る 。 証 空 は 、 こ の 一 文 に 続 い て 一 切 応 身 、 一 切 菩 薩 、 一 切 縁 覚 声 聞 を 、 稼 土 に お け る 弥 陀 の 功 徳 の 顕 示 者 (聖 道 門 ) と (11) 規 定 し 、 次 の よ う に 続 け て い る 。 此 即 ち 観 門 の 説 相 な り 。 故 に 十 方 三 世 の 仏 、 万 行 万 善 の 修 因 、 併 し な が ら 、 弥 陀 一 仏 の 功 徳 を 種 種 に 顕 は し て 衆 生 を 教 化 す と 云 ふ な り 。 此 は 、 浄 土 宗 の 意 を 顕 は す 観 門 の 智 な り 。 亦 は 三 心 と 名 つ く 。 観 経 の 説 相 も 、 併 し な が ら 、 此 な り 。 天 台 所 説 の 随 縁 ・ 不 変 の 両 真 如 も 、 此 の 道 理 の 上 に て 意 得 る べ き な り 。 根 性 各 別 す る 時 を 名 づ け 、 か 万 法 ( に ) 通 じ て 不 動 な る を 不 変 と 号 す 。 実 相 中 道 の 理 は 万 法 に 通 ぜ ず と 云 ふ こ と 無 し 。 こ の 一 文 で は 、 一 切 応 身 、 一 切 菩 薩 等 が 弥 陀 一 仏 の 功 徳 を 以 っ て 衆 生 を 教 化 す る と い う 規 定 が 観 門 の 説 相 で あ る と さ れ て い る 。 し た が っ て 、 こ の ﹃ 観 経 疏 大 意 ﹄ で は 、 ① 無 始 性 徳 の 理 性 ( 理 性 の 弥 陀 ・ 弘 願 ) が 衆 生 を 摂 取 せ ん と す る 弥 陀 ( 事 相 の 弥 陀 . 観 門 ) と し て 顕 示 さ れ る 、 ② 行 門 を 方 便 と す る 視 座 よ り の 一 切 応 身 等 が 弥 陀 一 仏 の 功 徳 を 以 っ て 衆 生 を 教 証 空 の 生 仏 不 二 論 -﹁ 自 筆 紗 ﹂ 類 を 中 心 と し

(6)

て-密 教 文 化 化 す る 、 と い う 三 門 開 会 に 基 づ く 二 つ の 観 門 の 説 相 が 提 示 さ れ て い る 。 証 空 は 、 事 相 の 弥 陀 ・ 一 切 応 化 身 等 と 理 性 の 弥 陀 ・ 諸 仏 具 足 の 功 徳 (弥 陀 一 仏 ) と の 関 係 を 天 台 の 不 変 ・ 随 縁 の 両 真 如 観 の 関 係 と し て 把 握 し て い る 。 す な わ ち 理 性 の 弥 陀 と 事 相 の 弥 陀 と の 関 係 は 、 不 変 真 如 と 随 縁 真 如 と の 関 係 と し て 把 握 さ れ る の で あ る 。 こ の ﹁ 随 縁 真 如 ・ 不 変 真 如 は ﹃ 起 信 論 ﹄ お よ び 湛 然 の﹃ 金 剛 鉾 論 ﹂ に 出 て い る が 、 証 空 は 両 お 書 と も 引 用 し て い る の で 、 十 分 に 研 鎖 し て い た こ と は 明 白 ﹂ で あ り 、 こ の 証 空 の 理 性 の 弥 陀 と 事 相 の 弥 陀 と の 関 係 は 、 ( 14 ) 湛 然 (七 一 一-七 八 二 ) の ﹃ 金 剛 鉾 ﹄ の ﹁ 万 法 是 真 如 。 由 不 変 故 。 真 如 是 万 法 。 由 随 縁 故 。 ﹂ と い う 随 縁 ・ 不 変 の 両 真 如 (15) 観 基 礎 と し て 展 開 さ れ て い る の で あ る 。 以 上 か ら 、 証 空 は ﹁ 十 界 互 具 ﹂ に 基 づ く 衆 生 具 足 の 仏 性 を 法 身 弥 陀 ( ﹁ 理 性 の 弥 陀 ﹂ ) と し て 把 捉 し 、 そ の 上 で 湛 然 の 不 変 ・ 随 縁 の 両 真 如 観 の 援 用 に よ る 法 界 身 論 す な わ ち ﹁ 理 性 の 弥 陀 ﹂ が 衆 生 摂 取 の ﹁ 事 相 の 弥 陀 ﹂ と し て 顕 示 さ れ る と い う 法 界 身 論 を 展 開 す る こ と が 確 認 で き た 。 し た が っ て 、 証 空 教 学 に お け る 弥 陀 と 衆 生 と の 関 係 は 、 法 界 身 論 を 検 討 す る こ と に よ り 見 出 せ る と 考 え ら れ よ う 。 で は 、 証 空 の 法 界 身 論 を 概 観 し て い き た い 。 証 空 は 、 善 導 の 法 界 身 釈 の ﹁ 解 法 界 ﹂ を 次 の よ う に 解 釈 し て い る 。 三 ノ 、 解 法 界 、 ノ 義 至 要 ナ リ 。 言 コ ハ 法 界 一者 、 是 所 化 ノ 之 境 、 即 チ 衆 生 界 ナ リ 也 、 ト イ ハ 、 法 界 、 法 性 、 等 ハ 理 ノ 名 ナ リ 。 今 、 所 化 ノ 之 境 ト イ ハ 、 衆 生 即 チ 理 ナ リ ト 定 メ テ 、 此 ノ 理 性 ノ 衆 生 ヲ 所 化 ノ 境 界 ト ス ト 云 フ 心 ナ ル ベ シ 。 是 則 チ 、 序 題 ノ 中 二 、 真 如 .之 体 量 ト 、 量 性 ト ハ、 不 ・ 出 ﹂蚕 蚕 ノ 之 心 り 、 ト 云 フ 心 ナ リ 。 皆 成 仏 ノ 義 ヲ 兼 ネ タ ル ベ シ 。 言 螺 身 ト 者 、 是 能 化 ノ 之 身 、 即 チ 諸 仏 ノ 身 ナ リ 也 、 ト イ ハ 、 此 ノ 中 二 、 衆 生 界 ヲ 指 シ テ 、 其 ノ 身 、 ト イ ハ 、 能 化 、 所 化 、 冥 合 シ テ 、 其 ノ 体 ニ ナ キ 故 ナ リ 。 是 則 チ 、 諸 仏 ハ 衆 生 二 依 リ テ 住 シ 給 フ 。 衆 生 ハ 諸 仏 ノ 中 二 住 在 ス ル 故 ナ リ 。 此

(7)

ノ 中 二 、 諸 仏 、 ト イ ハ 、 言 通 ジ テ 、 心 別 ナ リ 。 別 シ テ 弥 陀 ヲ 指 ス ナ リ 。 言 コ ハ 入 衆 生 心 相 中 外 者 、 ト イ ハ 、 上 ノ 法 界 身 、 ノ 故 ヲ 釈 ス ル ナ リ 。 云 ク 、 衆 生 界 ヲ 指 シ テ 身 ト ス レ バ 、 又 其 ノ 心 ハ 、 衆 生 ノ 念 心 ノ 中 二 住 ス ル ニ ナ ル ナ リ 。 ( 中 略 ) 云 ク 、 衆 生 念 仏 ノ 心 ヲ 起 シ テ 、 異 ノ 方 便 二 依 リ テ 仏 ヲ 見 ン ト 思 ヘ バ 、 仏 心 ト 相 応 ス 。 此 ノ 時 無 障 磯 ノ 義 ( 16) 成 ジ テ 、 衆 生 ノ 念 心 ノ 中 二 入 テ 現 ジ 給 フ ナ リ 、 こ こ で は 衆 生 が 真 如 を 本 来 的 に 具 足 す る と い う 視 座 よ り ﹁ 法 界 ﹂ を 衆 生 の 理 性 と し 、 所 化 と し て い る 。 ま た ﹁ 身 ﹂ を 諸 仏 の 身 と し 、 能 化 と し て い る 。 こ の 衆 生 と 諸 仏 と の 関 係 は 、 互 い に 住 し 合 う 関 係 と し て 把 握 さ れ て い る 。 (17) こ こ で の 諸 仏 と は 弥 陀 を 指 し 、 ま た ﹁ 異 ノ 方 便 ﹂ ( 観 門 ) に よ る 衆 生 の 観 仏 が 仏 心 と の 相 応 と し て 把 握 さ れ 、 ﹁ 衆 生 ノ 念 心 ノ 中 二 入 テ 現 ﹂ ず る と い う 事 態 と 同 義 で あ る と さ れ て い る 。 こ れ ら の 定 義 よ り 証 空 は 、 ﹁ 法 界 身 ﹂ を ﹁ 衆 生 の 理 性 を 体 と し た 仏 身 ﹂ す な わ ち ﹁ 能 化 所 化 冥 合 の 弥 陀 ﹂ と し て 把 握 し 、 ﹁ 衆 生 ノ 念 心 ノ 中 二 入 テ 現 ﹂ ず る 根 拠 と し て い る の で あ る 。 ( 18) こ の よ う に ﹁ 自 筆 妙 ﹂ で は 衆 生 具 足 の 理 性 を 基 軸 と し た 法 界 身 論 が 展 開 さ れ る が 、 こ こ で 先 の 十 界 互 具 に 基 づ く 仏 性 論 を 基 礎 と し た 、 弥 陀 と 衆 生 と の 互 住 と い う 関 係 す な わ ち 生 仏 不 二 論 に 注 意 し た い 。 こ の 点 に 関 し て 五 十 嵐 氏 は 、 ﹁ (西 山 教 義 の ) 仏 と 衆 生 の 関 係 は 、 単 に 平 面 的 な も の で は な く 、 横 竪 の 深 い 関 係 を 示 (19) し て い る 。 こ こ に 天 台 の 十 界 互 圓 互 具 思 想 を 取 り 入 れ て そ の 教 義 を 形 成 し て い る と 考 え ら れ る の で は な い だ ろ う か 。 ﹂ と の 指 摘 を 行 っ て い る 。 こ の 五 十 嵐 氏 の 指 摘 は 極 め て 妥 当 な 見 解 で あ り 、 先 の ﹃ 往 生 礼 讃 自 筆 御 紗 ﹄ の 覚 書 が 五 十 嵐 氏 の 見 解 の 裏 づ け に も な ろ う 。 証 空 の 生 仏 不 二 論 -﹁ 自 筆 紗 ﹂ 類 を 中 心 と し て

(8)

-密 教 文 化 し か し な が ら 、 筆 者 は 、 証 空 教 学 に お け る 弥 陀 と 衆 生 と の 生 仏 不 二 の 関 係 が ﹁ 十 界 互 具 ﹂ 思 想 の 摂 取 の み に よ っ て 形 成 さ れ て い る と は 考 え な い 。 二 、 三 業 相 応 不 捨 離 と 三 密 相 応 、-密 教 の 影 響-こ れ ま で に 確 認 し た よ う に 、 証 空 の 生 仏 不 二 論 は 、 善 導 の 法 界 身 の 解 釈 上 で 論 じ ら れ て い た 。 そ こ で 善 導 の 法 界 身 釈 の 三 義 に 対 す る 証 空 の 解 釈 を 見 て い く 。 証 空 は 、 ﹁ 心 偏 ﹂ 、 ﹁ 身 偏 ﹂ の 二 義 を 次 の よ う に 解 釈 し て い る 。 (1) 初 二 、 心 偏 . ル ガ 故 二 解 コ 法 界 り 、 ト イ ハ 、 心 、 ト イ ハ 、 仏 心 ナ リ 。 仏 心 、 法 界 ノ 衆 生 ノ 、 依 、 正 、 二 報 ノ 上 二 於 テ 、 悉 ク 照 サ ズ ト 云 フ 事 ナ シ 。 故 二 、 法 界 ノ 機 二 臨 ミ 、 応 ジ テ 度 ス ベ シ ト 云 フ 事 ナ シ 。 故 二 、 法 界 ノ 機 二 臨 ミ 、 応 ジ テ 度 ス ベ シ ト 云 フ 事 ヲ 悟 リ テ 、 是 二 摂 シ 給 フ ナ リ 。 (2) ニ ニ ハ 、 身 偏 ス ル ガ 故 二 解 コ 法 界 り 、 ト イ ハ 、 既 二 悟 リ ヌ レ バ 、 三 業 、 刹 那 モ 相 応 セ ズ ト 云 フ 事 ナ シ 。 故 二 、 仏 心 既 二 ( 20) 法 界 二 偏 ス レ バ 、 仏 身 又 周 偏 シ テ 法 界 ノ 機 ヲ 見 テ 、 是 ヲ 悟 ル 。 摂 取 不 捨 ノ 益 至 ラ ズ ト 云 フ 事 ナ シ 、 こ こ で は 、 ﹁ 心 偏 故 解 法 界 ﹂ を 仏 心 が 遍 満 し 、 衆 生 を 度 さ ん と し て 念 仏 者 に 応 じ る 意 と し て 解 釈 さ れ 、 ﹁ 身 偏 故 解 法 界 ﹂ を 仏 の 三 業 相 応 に 基 づ く 仏 の 心 身 相 応 ( 三 業 相 応 ) に よ る 念 仏 衆 生 摂 取 不 捨 の 顕 示 の 意 と 解 釈 ざ れ て い る 。 で は 、 重 ね て ﹁ 無 障 擬 故 解 法 界 ﹂ に 対 す る 解 釈 を 見 て み た い 。 三 ニ ハ 無 劣 障 擬 一故 二解 ユ 法 界 り 、 ト イ ハ 、 既 二 一二 業 相 応 シ テ 機 ヲ 収 ム レ バ 、 衆 生 ノ 三 業 、 仏 ノ 三 業 ト 捨 離 セ ズ 、 コ 、

(9)

二 無 障 擬 ノ 義 顕 ル 。 仏 二 於 テ 障 擬 ナ シ ト 云 フ 事 ハ 、 衆 生 ヲ 隔 テ ズ 、 煩 悩 悪 性 二 障 ヘ ラ レ 給 ハ ヌ 事 顕 サ ン ト 、 立 テ タ ル 名 ナ リ 。 其 ノ 無 障 擬 ノ 徳 、 今 ノ 弥 陀 ノ 弘 願 二 顕 ル 。 此 ノ 義 ヲ 顕 サ ン ト シ テ 、 三 ニ ハ 無 誘 障 擬 一故 二 解 ス 法 界 り ト 云 フ ナ リ 。 正 シ ク 由 ユ ガ 心 到 り 二 故 二、 身 亦 随 ヒ テ 到 ル 、 ト ラ イ ハ 、 経 ニ ハ 、 法 界 身 ト 説 ケ リ 。 其 ノ 、 法 界 身 、 ノ 相 ハ 知 リ 易 シ 。 此 ノ 心 二 相 応 ス ル 身 ナ レ バ 、 身 モ 法 界 ナ リ ト 云 フ 事 ヲ 釈 成 ス ル ナ リ 。 然 ラ バ 、 身 心 ハ 、 三 業 相 応 ノ 故 二 、 法 (21) 界 ノ 衆 生 二 応 ジ ヌ 。 証 空 は 、 こ の ﹁ 無 障 擬 故 解 法 界 ﹂ の 解 釈 に お い て 、 衆 生 の 三 業 と 仏 の 三 業 と の 三 業 相 応 を 三 業 不 捨 離 と 定 義 し 、 仏 の 三 業 相 応 に 関 し て は ﹁ 身 偏 故 解 法 界 ﹂ の 解 釈 を 重 ね て 提 示 し て い る 。 こ の 三 業 相 応 は 、 ﹃ 観 経 疏 大 意 ﹄ に お い て 次 の よ う に 述 べ ら れ て い る 。 此 の 心 を 発 し て 、 憶 念 相 続 す る に 、 仏 の 三 業 と 相 応 す 。 故 に 、 ﹁ 彼 此 の 三 業 相 捨 離 せ ず ﹂ と 云 ふ な り 。 仏 の 三 業 (22) 無 間 な れ ば 、 衆 生 の 三 業 も 無 間 な り 。 此 を 無 間 修 と 云 ふ な り 。 証 空 は 、 三 心 に よ る 憶 念 相 続 を 仏 と 衆 生 と の 三 業 相 応 す な わ ち ﹁ 彼 此 の 三 業 相 捨 離 せ ず ﹂ と 規 定 し 、 仏 と 衆 生 と の そ れ ぞ れ の 三 業 が 各 々 に 無 間 で あ る の を ﹁ 無 間 修 ﹂ と 定 義 し て い る 。 ま た 、 ﹃ 般 舟 讃 自 筆 御 妙 ﹂ で も ﹃ 観 経 疏 大 意 ﹄ と 同 視 点 の ﹁ 三 業 無 間 ﹂ 解 釈 が 展 開 さ れ て い る 。 三 業 二専 フ修 を ア無 間 業 り 、 ト イ ハ 、 三 業 二、 ハ 五 念 門 ノ 行 ヲ 指 ス 。 五 念 門 ノ 行 三 業 ノ 所 作 ナ ル 故 ナ リ 。 専 一フ修 を ア 、 ト イ ハ 、 三 心 具 足 ノ 修 行 即 チ 三 心 ト 合 シ テ 五 念 等 ノ 行 ヲ 修 ス ル 、 是 即 チ 専 修 ナ ル 故 ナ リ 。 無 間 ノ 、 ト イ ハ 、 四 修 ナ リ 。 四 修 ノ 中 ノ 無 間 修 能 ク 四 修 ヲ 究 寛 ス 。 故 二 、 無 間 、 ヲ 挙 ゲ テ 四 修 ヲ 顕 ハ ス ナ リ 。 然 レ バ 則 チ 、 三 業 二 専 フ修 を ア 無 間 業 り、 ト イ ハ 、 四 修 、 三 心 、 五 念 門 ト 顕 ハ ス 心 ナ リ 。 是 即 チ 、 聖 道 成 仏 ノ 修 行 モ 、 其 ノ 源 ヲ 尋 ヌ レ バ 、 今 ノ 証 空 の 生 仏 不 二 論-﹁ 自 筆 紗 ﹂ 類 を 中 心 と し

(10)

て-密 教 文 化 (23) 浄 土 門 ノ 他 力 ノ 行 ヨ リ 起 リ テ 、 其 ノ 行 ノ 体 異 ナ ラ ザ ル 事 ヲ 思 ハ ヘ テ 釈 成 ス ル ナ リ 。 証 空 は 、 ﹁ 三 業 専 修 無 間 業 ﹂ に 五 念 門 、 三 心 、 四 修 ( 無 間 修 ) を 配 当 し 、 聖 道 門 の 行 も 浄 土 門 の 他 力 に よ っ て 成 立 す る と し て い る 。 ま た 、 証 空 は 無 間 修 を 四 修 の 究 寛 と 定 義 し て い る 。 す な わ ち 、 証 空 は ﹁ 無 間 修 ﹂ を 単 な る ﹁ 念 仏 の 相 続 ﹂ と せ ず 、 成 仏 乃 至 往 生 の 実 践 行 と し て 把 握 し て い る の で あ る 。 証 空 は 三 業 行 と ﹁ 無 間 ﹂ と に 関 し て 次 の よ う に 述 べ て い る 。 身 行 無 間 ナ ル、 ト ラ イ ハ 、 身 業 ノ 無 間 ヲ 挙 ゲ テ 心 、 ロ ノ 無 間 ヲ 顕 ハ ス ナ リ 。 是 即 チ 、 三 業 相 応 の 行 ナ ル ガ 故 ナ リ 。 故 二 、 結 シ テ 、 総 名 ナ リ 、 三 業 無 間 ナ リ 、 ト 云 フ 。 天 台 ノ 止 観 ノ 四 種 三 昧 の 中 ノ 常 行 三 昧 ノ 行 モ 、 九 十 日 常 二 行 ジ テ 身 儀 ヲ 本 ト ス レ ド モ 、 ロ ノ 説 、 黙 意 ノ 止 観 必 ズ 具 シ テ 明 カ セ バ 、 三 業 ノ 善 具 足 シ テ ア リ 。 況 ン ヤ 今 ノ 行 ハ 、 口 称 ヲ 本 ト シ 、 専 念 ヲ サ キ ト シ テ 、 身 業 ノ 行 ハ 顕 ハ セ リ 。 真 身 観 ノ 、 念 仏 衆 生 摂 取 不 捨 、 ヲ 釈 ス ル 親 縁 ノ 義 モ 三 乗 二 (24) 亘 ル 。 是 即 チ 、 三 業 暫 ク モ 捨 離 セ ズ 具 足 ス ル 故 ナ リ 。 証 空 は 、 身 行 無 間 が 三 業 の 無 間 の 意 で あ る と 規 定 し 、 天 台 の 常 行 三 昧 が 、 身 業 の 行 を 本 と し つ つ 三 業 を 具 足 す る が (25) 如 く 、 念 仏 も ま た 口 称 を 本 と し つ つ 、 三 業 を 具 足 す る と 定 義 し て い る 。 そ の 上 で 善 導 の ﹃ 観 経 疏 ﹄ の 内 容 を 受 け 、 ( 26 ) ﹁ 親 縁 ノ 義 ﹂ を 典 拠 と し て 念 仏 に お け る 仏 と 衆 生 と の 三 業 相 応 を 主 張 し て い る 。 (27) 証 空 は 、 こ の 三 業 無 間 の 行 に よ り 般 舟 三 昧 が 具 足 さ れ る と し 、 次 の よ う に 述 べ て い る 。 所 レ 感 ズ ル 、 即 チ 仏 境 現 前 ス 、 ト イ ハ 、 仏 、 ハ 即 チ 、 阿 弥 陀 仏 ナ リ 。 報 身 ハ 凡 夫 ノ 境 界 ニ ア ラ ズ ト 錐 モ 、 願 力 ヲ モ テ ( 28) 凡 夫 ヲ 隔 テ ザ ル 故 二 、 三 業 真 実 無 間 ノ 業 成 ズ レ バ 、 必 ズ 顕 ハ レ 給 フ 。 証 空 は 、 弥 陀 の 願 力 に よ っ て 報 身 弥 陀 の 衆 生 の 顕 現 す な わ ち 般 舟 三 昧 に お け る 見 仏 が 成 立 す る と し 、 ま た 三 業 無 間

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の 成 立 す な わ ち 弥 陀 願 力 に よ る 弥 陀 と 衆 生 と の 三 業 相 応 に よ っ て 見 仏 (法 界 身 の 顕 示 ) が 成 立 す る と 規 定 し て い る 。 し た が っ て 証 空 の ﹁ 無 間 修 ﹂ に は 、 善 導 の ﹁ 無 間 修 ﹂ の 規 定 に お け る 五 念 門 の 実 践 に 注 目 し た 結 果 と し て の 仏 と 衆 生 と の 三 業 相 応 の 重 視 と い う 特 徴 が 見 ら れ る の で あ る 。 日 本 浄 土 教 学 上 に お け る ﹁ 無 間 修 ﹂ の 解 釈 で は 、 憶 念 の 相 続 ( 29) を 重 視 す る 傾 向 が 強 く 、 証 空 が 三 業 行 の 実 践 ( 親 縁 ) を 重 視 す る 見 解 を 提 示 す る 点 は 、 極 め て 注 目 す べ き 点 で あ ろ う 。 以 上 の 内 容 か ら 、 証 空 の 三 業 相 応 を 根 底 と し た 生 仏 不 二 論 が 確 認 で き た 。 ま た 、 証 空 が ﹁ 無 間 修 ﹂ 解 釈 に お い て ﹁ 三 業 相 応 ﹂ の 重 視 と い う 極 め て 実 践 的 視 座 に 立 つ と い う 証 空 の 特 徴 的 な 態 度 が 確 認 で き た 。 し た が っ て 証 空 は 、 仏 と 衆 生 と の 三 業 相 応 、 仏 と 衆 生 と の 各 々 の 三 業 相 応 を 法 界 身 観 、 念 仏 実 践 の 両 側 面 よ り 独 自 の 生 仏 不 二 論 を 展 開 し て い る の で あ る 。 で は 、 次 に 法 界 身 と し て 顕 示 さ れ 、 観 仏 の 対 象 と な る 仏 ( 事 相 身 ) と 衆 生 と の 関 係 が ど の よ う に 把 握 さ れ る の か を 考 え て い き た い 。 仏 像 端 厳 ニ ト ラ イ ハ 、 観 門 ノ 説 虚 シ カ ラ ズ 、 弘 願 他 力 ノ 故 二 、 心 二 作 ス 所 ノ 観 解 顕 ル 、 事 ヲ 釈 成 ス ル ナ リ 。 凡 夫 ノ 念 及 バ ザ ル ニ ア ラ ズ 、 願 力 加 被 シ テ 必 ズ 成 ズ 。 己 心 ノ 理 仏 ヲ 観 ゼ ザ レ ド モ 、 自 心 既 二 仏 ヲ 成 ズ 。 故 二 、 是 心 即 (30) 是 、 三 十 二 相 、 ト 結 ス ル ナ リ 。 こ こ で は 、 弥 陀 願 力 の 加 被 に よ り 自 心 が 三 十 二 相 の 仏 ( 法 界 身 ・ 事 相 の 弥 陀 ) の 弥 陀 を 成 ず と さ れ て い る 。 と こ ろ で 、 先 に 確 認 し た よ う に 証 空 は 、 善 導 の 親 縁 を 典 拠 と し た 弥 陀 と 衆 生 の 三 業 相 応 を 主 張 し て い た 。 善 導 が れ ﹃ 観 経 疏 ﹂ で 述 べ る 三 業 相 応 と は 、 口 称 念 仏 を 行 う 行 者 と そ れ を 聞 く 弥 陀 と い う 相 対 的 な 関 係 を 指 す が 、 証 空 が 提 示 す る 弥 陀 と 衆 生 と の 関 係 も そ の よ う な 相 互 関 係 に あ る の か と い う 問 題 が 考 え ら れ よ う 。 証 空 の 生 仏 不 二 論 ー﹁ 自 筆 紗 ﹂ 類 を 中 心 と し て ー

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密 教 文 化 で は 、 こ の 問 題 に 関 し て 次 の 一 文 を 見 て み た い 。 定 ユ 所 観 ノ 境 り 、 ト イ ハ 、 形 像 、 是 其 ノ 境 ナ リ 。 仏 力 衆 生 二 加 シ テ 、 一 切 衆 生 ノ 心 想 二 入 リ 給 ヘ バ 、 像 ヲ 想 フ 心 二 ( 32) 応 ジ 給 フ ベ キ 故 ナ リ。 こ こ で は 、 仏 力 が 衆 生 に 加 え ら れ る と い う 事 態 が 、 衆 生 の 念 心 へ の 応 す な わ ち 像 ( 法 界 身 ・ 事 相 の 弥 陀 ) の 開 示 と し て 把 握 さ れ て い る 。 す な わ ち 、 先 の 弥 陀 願 力 の 加 被 に よ る 仏 の 顕 示 は 、 弥 陀 が 一 切 衆 生 の 心 想 に 入 る と い う 事 態 と し て 把 握 さ れ て い る の で あ る 。 し た が っ て 、 弥 陀 願 力 の 加 被 に お け る 弥 陀 と 衆 生 と の 関 係 は 、 弥 陀 が 衆 生 の 心 想 に 入 る と い う 生 仏 の 冥 合 と い う 関 係 に よ っ て 把 握 さ れ る の で あ る 。 こ の 内 容 は 、 先 の ﹁ 解 法 界 ﹂ の 解 釈 に お い て 証 空 が 提 示 し た ﹁ 弥 陀 と 衆 生 と が 互 住 す ﹂ る と い う 内 容 に 即 し た 見 解 で あ る 。 し た が っ て 先 の ﹁ 三 業 相 応 ﹂ に よ る 念 仏 衆 生 の 摂 取 不 捨 と の 内 容 を 踏 ま え る な ら ば 、 証 空 が 述 べ る 法 界 身 と 衆 生 と の 生 仏 不 二 と は 、 弥 陀 と 衆 生 と の 三 業 相 応 と 弥 陀 願 力 に よ る 加 被 を 契 機 と し て 成 立 し て い る と 言 え よ う 。 す な わ ち 証 空 は 、 善 導 が 相 即 の 関 係 と す る 弥 陀 と 衆 生 と の 関 係 を 、 ﹁ 三 業 相 応 ﹂ を 契 機 と し た 弥 陀 と 衆 生 と の 渉 入 と い う あ り 方 と し て 把 捉 す る に ほ か な ら な い の で あ る 。 こ の 内 容 は 、 冒 頭 で 述 べ た ﹃ 即 身 義 ﹄ の 加 持 を 想 起 さ せ よ う 。 で は 、 こ の 点 に 関 し て ﹃ 定 自 筆 鋤 ﹄ の 覚 書 に あ る ﹃ 即 身 義 ﹄ の 内 容 を 確 認 し た い 。 依 此 義 故 日 三 密 加 持 速 疾 顕 。 加 持 者 表 如 来 大 悲 与 衆 生 信 心 。 ︹即 身 成 仏 義 云 ︺ 仏 日 之 影 現 衆 生 心 水 日 加 。 行 者 心 水 能 感 仏 日 名 持 。 行 者 若 能 観 念 此 理 趣 三 密 相 応 故 。 現 身 速 疾 顕 現 証 得 本 有 三 身 故 名 速 疾 顕 。 如 常 即 時 即 日 。 即 身 (33) 義 亦 如 是 。 ︻傍 線 筆 者 付 ・ ︹ ︺ 傍 線 、 ﹃ 定 自 筆 妙 ﹄ 、 覚 書 ︼

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﹃ 即 身 義 ﹄ で は 、 ﹁ 加 持 ﹂ と は 如 来 の 大 悲 と 衆 生 の 信 心 と を 表 し 、 仏 日 の 影 が 衆 生 の 心 水 に 現 れ る を ﹁ 加 ﹂ と し 、 行 者 の 心 水 が 仏 日 の 影 を 感 ず る を ﹁ 持 ﹂ と 規 定 さ れ て い る 。 そ の 上 で 、 如 来 と 衆 生 と の 三 密 相 応 に よ っ て 衆 生 本 有 の 三 身 が 証 得 さ れ る と 規 定 さ れ て い る 。 す な わ ち ﹃ 即 身 義 ﹄ の ﹁ 加 持 ﹂ は 、 如 来 と 衆 生 と の 三 密 相 応 を 契 機 と し た 如 来 と 衆 生 と の 一 体 化 と い う 事 態 を 示 す の で あ る 。 こ の 三 密 相 応 に 関 し て ﹃ 即 身 義 ﹄ で は 、 次 の よ う に 述 べ ら れ て い る 。 初 句 義 云 無 等 。 次 云 三 等 。 後 句 云 三 平 等 。 仏 法 僧 是 三 。 身 語 意 亦 三 。 心 仏 及 衆 生 三 也 。 如 是 三 法 平 等 平 等 一 也 。 (34) 一 而 無 量 。 無 量 而 一 。 而 終 不 雑 乱 故 日 重 重 帝 網 名 即 身 。 こ こ で は 、 仏 法 僧 ・ 身 語 意 ・ 心 仏 衆 生 が 各 々 に 平 等 に し て 一 で あ り 、 こ れ ら も ま た 平 等 に し て 一 で あ る と 規 定 さ れ て い る 。 す な わ ち 三 密 は 身 語 意 に お い て 平 等 で あ る と 共 に 、 行 者 の 三 密 と 仏 の 三 密 と も ま た 平 等 に し て 一 で あ る と 規 定 さ れ て い る の で あ る 。 ﹃ 即 身 義 ﹄ で は 、 ﹁ 三 密 加 持 ﹂ に 関 し て 次 の よ う に も 述 べ ら れ て い る 。 三 密 加 持 速 疾 顕 者 。 謂 三 密 者 一 者 身 密 二 語 密 三 心 密 。 法 仏 三 密 甚 深 微 細 等 覚 十 地 不 能 見 聞 。 故 日 密 。 一 一 尊 等 具 ( 5) 刹 塵 三 密 互 相 加 入 彼 此 摂 持 、 衆 生 三 密 亦 復 如 是 、 故 三 密 加 持 、 こ の 一 文 で は 、 三 密 と は 一 切 の 諸 尊 、 衆 生 が 具 足 し 、 互 い に 加 入 し 摂 持 さ れ る と 規 定 さ れ て い る 。 こ の 一 切 の 諸 尊 、 (36) 衆 生 が 三 密 を 互 い に 加 入 し 摂 持 す る 関 係 が ﹁ 三 密 加 持 ﹂ で あ る と 定 義 さ れ て い る 。 証 空 の 生 仏 不 二 論-﹁ 自 筆 紗 ﹂ 類 を 中 心 と し て

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-密 教 文 化 ﹃ 即 身 義 ﹄ で は 、 こ の コ ニ 密 加 持 ﹂ を 根 拠 と し て 心 仏 衆 生 す な わ ち 仏 と 行 者 と 衆 生 と の ﹁ 平 等 に し て 一 ﹂ で あ る と い う 生 仏 不 二 論 が 展 開 さ れ る 。 以 上 の よ う な ﹃ 即 身 義 ﹄ に お け る 規 定 は 、 証 空 の ﹁ 衆 生 と 弥 陀 と の 三 業 相 応 ﹂ 、 ﹁ 弥 陀 願 力 の 加 被 に よ る 法 界 身 の 開 示 ﹂ 、 ﹁ 衆 生 と 諸 仏 ( 弥 陀 ) と の 互 住 に よ っ て 成 立 す る 法 界 身 ﹂ と い う 三 つ の 視 座 に よ っ て 展 開 さ れ る 生 仏 不 二 論 と 同 (37) 一 で あ る と 言 え よ う 。 と こ ろ で 、 ﹃ 即 身 義 ﹄ の 三 密 加 持 に よ る 成 仏 (本 有 三 身 の 証 得 ) は 、 衆 生 身 に お い て 証 得 さ れ る の で あ る が 、 こ の 点 に 関 し て 証 空 と の 相 違 が 次 の 一 文 よ り 知 ら れ る 。 故 に 念 仏 と 申 は す な は ち 南 無 阿 弥 陀 仏 の 六 字 な り 。 そ れ と 申 は ま さ し く 他 力 往 生 の 行 な り 。 念 仏 の 姿 を ば 観 経 に は 摂 取 不 捨 と 説 あ ら は し 候 な り 。 そ の 摂 取 不 捨 と 申 は 、 念 仏 の 行 者 を 仏 の 光 明 に を さ め と り て 捨 給 は ざ る 義 な り 。 そ の ゆ え は 、 仏 と 行 者 と 一 つ に し て 離 れ ざ る 所 を 摂 取 不 捨 と は 申 な り 。 し か れ ば 仏 の 三 業 を は な れ て 行 者 の 三 業 も な く 、 行 者 の 三 業 を は な れ て 仏 の 三 業 も ま し ま さ ざ る ゆ え な り 。 か く の ご と く 仏 を 念 ず る 念 の 中 に 、 阿 弥 陀 仏 の 覚 体 ま さ し く い り て 正 覚 を 取 た ま へ る な り 。 こて を も ち て 彼 此 三 業 不 相 捨 離 と は 申 な り 。 仏 と 行 者 と は な れ ざ ( 38) る 姿 を 南 無 阿 弥 陀 仏 の 六 字 の 名 号 と は 申 侍 る な り 。 証 空 は 、 来 迎 仏 ・ 弥 陀 の 光 明 が 衆 生 を 摂 取 し た 状 態 を 三 業 の 相 応 (﹁ 三 業 不 捨 離 ﹂ ) を 契 機 と し た 生 仏 不 二 と し て 把 捉 し 、 そ の 衆 生 摂 取 の 弥 陀 を ﹁ 南 無 阿 弥 陀 仏 ﹂ す な わ ち 六 字 の 名 号 と し て 把 握 し て い る 。 で は 、 こ の 三 業 の 相 応 を 契 機 と す る 点 に 関 し て 先 の ﹁ 無 障 擬 故 解 法 界 ﹂ の 内 容 を 再 度 確 認 し て み た い 。 既 二 一二 業 相 応 シ テ 機 ヲ 収 ム レ バ 、 衆 生 ノ 三 業 、 仏 ノ 三 業 ト 捨 離 セ ズ 、 コ 、 二 無 障 擬 ノ 義 顕 ル 。 仏 二 於 テ 障 擬 ナ シ

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ト 云 フ 事 ハ 、 衆 生 ヲ 隔 テ ズ 、 煩 悩 悪 性 二 障 ヘ ラ レ 給 ハ ヌ 事 顕 サ ン ト 、 立 テ タ ル 名 ナ リ 。 其 ノ 無 障 擬 ノ 徳 、 今 ノ 弥 ( 39) 陀 ノ 弘 願 二 顕 ル 。 こ こ で は 、 弥 陀 と 衆 生 と の 三 業 相 応 ( 無 障 礫 の 徳 ) が 弥 陀 の 弘 願 に お い て 顕 示 さ れ る と 規 定 さ れ て い る 。 す な わ ち 弥 陀 と 衆 生 と の 三 業 相 応 と は 、 弥 陀 の 弘 願 に お い て 成 立 す る と 規 定 さ れ る 。 し た が っ て 証 空 は 、 念 仏 行 者 が 観 仏 よ り 念 仏 す な わ ち 法 界 身 の 顕 示 ( 観 門 ) よ り 衆 生 摂 取 の 弥 陀 ( 弘 願 ) へ と 帰 入 す る と い う 独 自 の 教 学 体 系 よ り 弥 陀 と 衆 生 と の 三 業 相 応 を 展 開 し て い る と 考 え ら れ る 。 以 上 の 検 討 よ り 、 証 空 は ﹃ 即 身 義 ﹄ の ﹁ 三 密 相 応 ﹂ を ﹁ 三 業 相 応 ﹂ に 、 ﹁ 加 持 ﹂ を ﹁ 光 明 摂 取 ( 弥 陀 願 力 の 加 被 ) ﹂ へ と 転 化 し 、 生 仏 不 二 論 を 展 開 す る の で あ る 。 ま た 証 空 は 、 ﹃ 即 身 義 ﹄ の 衆 生 の 成 仏 す な わ ち 機 辺 に お い て 成 立 す る 生 仏 不 二 を 、 衆 生 摂 取 の 弥 陀 (名 号 ) す な わ ち 仏 辺 に お い て 把 捉 し 、 他 力 往 生 へ と 転 化 し て い る の で あ る 。 三 、 秘 密 念 仏 と の 相 似 点 こ れ ま で の 考 察 よ り 、 証 空 の 主 張 す る 三 業 相 応 を 契 機 と し た 生 仏 不 二 が ﹃ 即 身 義 ﹄ に お け る 三 密 加 持 の 構 造 に 即 し た 理 論 で あ る と い う 結 論 に 至 っ た 。 次 に 証 空 の 密 教 理 解 が 誰 の 影 響 で あ る の か が 問 題 と な ろ う 。 ま ず 想 定 さ れ 得 る 人 物 と し て 証 空 の 密 教 の 師 、 天 台 の 慈 円 が あ げ ら れ よ う 。 し か し な が ら 、 本 稿 で は 、 空 海 (七 七 四 -八 三 五 ) の ﹃ 即 身 義 ﹄ が 起 因 と なの て い る 点 か ら 、 真 言 宗 の 静 遍 と 道 範 ( 一 一 七 八-一 二 五 二 ) と に 焦 点 を 当 て て み た い 。 証 空 の 生 仏 不 二 論-﹁ 自 筆 鋤 ﹂ 類 を 中 心 と し

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て-密 教 文 化 静 遍 は 法 然 滅 後 の 帰 依 者 と も 伝 え ら れ 、 法 然 の ﹃ 選 択 本 願 念 仏 集 ﹄ に 対 す る 密 教 的 視 座 よ り 補 完 と も 言 う べ き ﹃ 続 ( 40 ) 選 択 文 義 要 鈎 ﹄ ( 以 下 、 ﹃ 続 選 択 ﹄ ) を 著 わ し た 人 物 で あ り 、 証 空 と 同 じ く ﹃ 般 舟 讃 ﹄ の 発 見 者 と し て も 知 ら れ る 。 ま (41) た 、 静 遍 か ら 証 空 へ の 禅 林 寺 の 附 属 な ど 両 者 の 交 流 が 多 く 伝 え ら れ て い る 。 で は 、 静 遍 の ﹃ 続 選 択 ﹂ を 簡 単 に 概 観 し て い き た い 。 証 空 は 事 相 身 を 来 迎 仏 と し て 捉 え 、 衆 生 と 仏 と の 三 業 相 応 を 基 軸 に し て 生 仏 不 二 論 を 展 開 し て い た 。 そ こ で ﹃ 続 選 択 ﹄ に お い て 来 迎 が ど の よ う に 捉 え ら れ て い る の か を 次 の 二 文 よ り 確 認 し た い 。 ( 42) (1) 自 来 迎 之 言 ハ 心 眼 開 ク 義 ナ ザ 。 (2) 弥 陀 ノ 六 大 ノ 々 々 弥 陀 従 レ体 起之 用 う是 ヲ 名之 来 迎之 六 界 ノ 七 夫 従 レ 因 向 レ 果 一是 ヲ 称之 往 生 づ 々 々 ハ 教 レ 迷 ヒ ヲ 来 迎 ハ 示 以 悟 ヲ 迷 悟 (43) 相 応 シ テ 生 コ 新 成 ノ 仏之 新 成 自 フ証 ス レ ハ久 成 ハ 帰 け ヌ 体 二同 同 ナ レ ト モ 是 レ 別 ナ リ 別 ナ レ ト モ 々 亦 同 ナ リ 不 以 行 ひ 力 仏 ノ 国 一へ 常 在 二 我 国 一 静 遍 は 来 迎 を 心 眼 が 開 け る こ と と し て 捉 え 、 六 大 法 身 で あ る 弥 陀 が そ の 体 よ り 用 を 起 こ す こ と を 来 迎 と 定 義 し て い る 。 ま た 往 生 を 従 因 向 果 の 法 門 す な わ ち 迷 い の 要 因 を 教 え る 法 門 と し 、 来 迎 は 悟 り を 示 す と し て い る 。 こ の 迷 悟 の 相 応 に よ り 行 者 は 成 仏 し 、 新 成 の 仏 と な る 。 こ の 新 成 の 仏 (行 者 ) が 自 証 に 至 れ ば 、 久 成 ( 弥 陀 ) が 本 体 (行 者 の 心 性 ) に 帰 入 す る 。 こ れ ら 新 成 の 仏 (行 者 ) と 久 成 の 仏 ( 弥 陀 ) と の 関 係 は 一 に し て 別 、 別 に し て 一 の 関 係 と し て 把 握 さ れ て い る 。 (44) し た が っ て 静 遍 は 、 ﹁ 自 証 の 境 は 他 に 存 す る の で は な く 、 自 ら の 心 中 に あ り 本 来 具 せ る も の ﹂ と い う 視 座 に お い て 来 迎 仏 ・ 弥 陀 と 行 者 と の 関 係 を 把 握 し て い る 。 で は 、 こ の 関 係 に ﹁ 三 業 ﹂ 乃 至 ﹁ 三 密 ﹂ が ど の よ う な 位 置 に あ る か を 考 え た い 。

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(45) (1) 三 業 専 修 無 間 業 , 者 令 声 不 絶 ・ 具 足 十 念 ナ リ ( 46) (2) 称 名 常 俄 悔 即 是 衆 生 増 上 縁 卜 釈 ス (中 略 ) 即 身 義 ニ ハ引 ﹂ 軌 う 以 身 三 密 う為 コ 増 上 縁 つ 此 等 釈 皆 以 二 功 徳 ノ 法 う 為 コ ル 増 上 縁 つ こ の 二 文 よ り 静 遍 が ﹁ 三 業 専 修 無 間 業 ﹂ を 相 続 の 十 念 す な わ ち 三 業 ( 三 密 ) 行 の 念 仏 の 相 続 と 解 釈 し 、 ﹁ 称 名 常 俄 悔 ﹂ と ﹃ 即 身 義 ﹄ の 三 密 と を 増 上 縁 と 解 釈 し て い る と い う 二 点 か ら 静 遍 は 称 名 行 を 三 密 行 と し て 把 握 し て い る と 考 え ら れ る 。 し か し な が ら 、 こ れ ら の 記 述 の み で は 、 弥 陀 と 行 者 と の 関 係 に お い て 、 ﹁ 加 持 ﹂ と い う 概 念 が ど の よ う な 位 置 に あ る か を 明 確 に 知 り 得 な い 。 そ こ で 静 遍 の 資 で あ り 、 秘 密 念 仏 の 大 成 者 で あ る 道 範 の ﹃ 秘 密 念 仏 砂 ﹄ を 見 て 行 く 。 前 節 で 証 空 の ﹁ 無 間 修 ﹂ 解 釈 に 関 し て 述 べ た が 、 道 範 も ﹃ 秘 密 念 仏 妙 ﹄ に お い て ﹁ 専 修 無 間 修 事 ﹂ と い う 一 節 を 立 て 解 釈 を 施 し て い る 。 ( 47) 道 範 は 、 善 導 の ﹃ 観 経 疏 ﹂ 、 永 観 ( 一 〇 三 一二 ー 一 一 一 一 ) ﹃ 往 生 拾 因 ﹄ 等 の ﹁ 無 間 修 ﹂ を 念 仏 の 相 続 と す る 見 解 を 批 判 ( 48) し 、 ﹁ 依 コ ハ 秘 密 念 仏 弓 有 コ 真 ノ 無 間 修 一﹂ と 述 べ 独 自 の 念 仏 観 を 展 開 し て い る 。 ( 49) 道 範 は 日 常 の 入 息 を 能 証 の 智 、 出 息 を 所 証 の 理 と 定 義 し 、 行 者 の 息 風 を 弥 陀 の 名 体 と 規 定 し て い る 。 し た が っ て 、 道 範 は 一 念 称 名 の 後 の 日 常 に お け る 入 出 息 を 理 智 冥 合 の 弥 陀 す な わ ち 心 外 の 事 匙 と し て 把 捉 し 、 日 常 の 入 出 息 を 無 間 の 念 仏 と し て 把 握 す る 。 道 範 は 、 こ の ﹁ 無 間 修 ﹂ 解 釈 を 提 示 し た 上 で 次 の よ う な 問 答 を 記 し て い る 。 問 。 一 念 称 名 . 後 。 永 ク 有 そ 無 間 修 之 徳 一者 。 不 励 可 形 運 コ 畢 命 功 う 歎 。 答 。 真 言 行 人 。 宿 善 淳 熟 シ 。 三 密 相 応 シ 弓二 念 二 開 つ 心 蓮 う 者 ハ。 是 レ 則 チ 初 発 心 ノ 時 便 チ 成 コ ル ナ リ 正 覚 う 。 従 の 此 レ 以 後 ノ 一 切 ノ 三 業 ハ 。 皆 是 レ 果 後 ノ方 便 究 寛 也 。 若 シ 真 言 証 空 の 生 仏 不 二 論 -﹁ 自 筆 紗 ﹂ 類 を 中 心 と し て

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-密 教 文 化 ( 50) 門 ノ 人 。 錐 二 此 ノ 教 ヲ 聞 う ト 。 尚 ホ 成二 宿 善 分二 。 不 晒 得 二 頓 証 う者 ハ 。 可 瞬 積 ユ 一 生 不 退 之 功 う 也 云 云 道 範 は 一 念 称 名 を 三 密 相 応 に よ る 心 蓮 の 開 花 と し 、 初 発 心 に お け る 成 正 覚 と し て 把 握 し て い る 。 し た が っ て 、 道 範 が 日 常 の 入 出 息 を 弥 陀 と し て 把 捉 し て い る 点 を 踏 ま え る な ら ば 、 ﹁ 無 間 修 ﹂ は 、 三 密 加 持 の 相 続 と し て 把 捉 さ れ て い る と 考 え ら れ る の で は な い で あ ろ う か 。 と こ ろ で 、 先 に 述 べ た よ う に 証 空 は ﹁ 無 間 修 ﹂ を 念 仏 の 相 続 で あ り 、 弥 陀 と 行 者 と の 三 業 相 応 と し て 把 握 す る 。 し た が っ て 、 証 空 の ﹁ 無 間 修 ﹂ は 、 弥 陀 と 行 者 と の 三 業 相 応 の 継 続 と 換 言 で き る の で は な い で あ ろ う か 。 無 論 、 こ の 両 者 の 念 仏 観 に お い て も 機 辺 と 仏 辺 と い う 相 違 は あ る が 、 非 常 に 近 し い 視 点 よ り 念 仏 論 を 展 開 し て い る と 考 え ら れ よ う 。 こ の 問 題 は 、 両 者 の 思 想 、 教 学 を 詳 細 に 検 討 し た 上 で 今 後 の 研 究 に お い て 明 ら か に し て い き た い 。 次 に ﹃ 秘 密 念 仏 鋤 ﹂ に お け る 来 迎 と 加 持 と の 関 係 に 関 し て 概 観 し て み た い 。 来 迎 ト 者 。 加 持 感 応 之 義 也 。 大 日 経 疏 二 云 ク 。 行 者 内 一一修云 般 舟 三 昧 う 。 外 二 蒙 ﹂諸 仏 ノ 護 持 う 。 逮 二 見 ス 無 尽 荘 厳 加 持 ノ 境 界 う 云 云 。 即 身 義 二 云 ク 。 加 持 ト 者 。 如 来 ノ 大 悲 ト 。 与 つ 衆 生 ノ 信 心 う 。 仏 日 之 影 現 読 ヲ 衆 生 ノ 心 水 弓二 。 日 比 加 ト 。 行 者 ノ 心 水 能 ク 感 コ ル ヲ 仏 日 り 名 砂 持 ト 文 。 行 者 ノ 心 垢 漸 ク 浄 キ 之 時 。 自 心 本 覚 ノ 影 。 已 成 法 身 ノ 影 。 和 合 シ テ 浮 コ 心 水二 。 是 ヲ 云本 影 向 ノ 仏 つ 。 今 ノ 来 迎 ノ 仏 つ 者 。 即 チ 此 レ 自 心 ノ 影 像 之 仏 也 。 臨 終 ノ 一 念 浄 心 ノ 時 。 逮 二 見 ス 此 ノ 無 尽 荘 厳 ノ 境 界 う 。 是 ヲ 云 コ 来 迎 つ 。 若 シ 常 途 顕 乗 ノ 行 者 ハ 。 未 汐 開 ユ 心 内 ノ 自 証 う 此 ノ 来 迎 ノ 蓮 台 猶 シ 心 外 ナ ル 。 故 二。 乗 陀 ア此 二生 つ テ 浄 弍二 。 華 開 ア 則 チ 見 ゆ 仏 云 云 若 シ 真 言 行 者 ハ。 此 ノ 蓮 台 ノ 詫 生 ハ 。 即 チ 自 証 , 蓮 台 ナ ル 。 故 二。 頓 二 開 、 仏 ノ 智 見 う 云 云 但 シ 常 途 ノ 念 仏 ト 者 。 若 シ 有 ユ 真 言 ノ 宿 善 開 発 擁 者 ハ 。 此 ノ 来 迎 ノ 仏 即 チ 授 物 ア徹 心 、 印 明 う 。 示 甑 自 心 、 蓮 台 洗 (51) 此 ノ 来 迎 ノ 仏 即 チ 授 ユ テ 徹 心 ノ 印 明 う 。 示 甑 自 心 ノ 蓮 台 う 。 こ こ で は 、 来 迎 を ﹁ 加 持 感 応 之 義 ﹂ と し 、 ﹃ 即 身 義 ﹄ と ﹃ 大 日 経 疏 ﹄ と を 引 証 と し て 提 示 し て い る 。

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道 範 は 、 ﹃ 即 身 義 ﹄ の ﹁ 仏 日 加 持 ﹂ の 一 文 を 自 心 本 覚 の 影 と 已 成 法 身 の 影 と が 和 合 し て 心 水 に 映 し 出 さ れ る 意 と し 、 そ の 自 心 の 影 像 を 来 迎 仏 と 規 定 し て い る 。 そ の 上 で 、 ﹃ 大 日 経 疏 ﹄ の 引 証 を 以 っ て 、 般 舟 三 昧 に お け る 諸 仏 の 護 持 (52) ( 加 持 ) に よ る 無 尽 荘 厳 の 境 界 の 逮 見 を 来 迎 と 規 定 し て い る 。 ま た 、 ﹁ 万 徳 を 含 む 名 号 が 真 言 で あ る と い う 前 提 か ら 、 道 範 は 、 称 名 行 を 三 密 行 の 一 つ と 位 置 づ け て い る 。 そ れ は あ く ま で も 極 楽 往 生 で は な く 衆 生 自 身 の 心 蓮 を 開 く た め の (53) 行 で ﹂ あ る と い う 視 点 よ り 顕 密 の 行 者 に お け る 来 迎 の 功 徳 が 述 べ ら れ て い る が 、 ﹁ 此 ノ 来 迎 ノ 蓮 台 猶 シ 心 外 ナ ル カ 故 二 。 ﹂ と い う 記 述 よ り 、 道 範 の 来 迎 仏 観 は 三 嵩 説 に お い て 成 立 し て い る こ と が 知 ら れ る 。 ま た 、 来 迎 を 加 持 感 応 の 義 と 規 定 し た 上 で 、 無 尽 荘 厳 の 境 界 の ﹁ 見 る ﹂ と い う 事 態 を 来 迎 と 定 義 す る 点 か ら 、 道 範 が 来 迎 を ﹁ 加 持 ﹂ と し て 把 握 し て い る と 考 え ら れ よ う 。 し た が っ て 、 証 空 と 道 範 と は 、 ﹁ 法 界 身 ﹂ と ﹁ 心 外 の 事 嵩 ﹂ と い う 相 違 は あ れ ど も ﹁ 来 迎 ( 観 仏 ) ﹂ を ﹁ 加 持 ﹂ と し て 把 握 す る と い う 共 通 点 が 指 摘 で き よ う 。 お わ り に 本 稿 で は 、 ﹁ 自 筆 紗 ﹂ 類 を 中 心 に 証 空 教 学 に お け 証 空 の 生 仏 不 二 論 に 関 し て 考 察 を 行 っ た 。 証 空 の 提 示 す る 凡 夫 と は 、 十 界 互 具 思 想 に 基 づ く 仏 性 内 在 の 凡 夫 で あ り 、 理 性 と 事 相 と の 弥 陀 を 湛 然 の 真 如 論 に よ っ て 把 握 さ れ て い た 。 証 空 の 生 仏 不 二 論 は 、 ﹃ 即 身 義 ﹄ の ﹁ 三 密 相 応 ﹂ を ﹁ 三 業 相 応 ﹂ に 、 ﹁ 加 持 ﹂ を ﹁ 弥 陀 願 力 の 加 被 ﹂ へ の 転 化 に よ り 証 空 の 生 仏 不 二 論 ー﹁ 自 筆 紗 ﹂ 類 を 中 心 と し て ー

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密 教 文 化 弥 陀 と 衆 生 と の 渉 入 の 関 係 と し て 成 立 し て い た 。 し た が っ て 、 証 空 は 湛 然 の 真 如 論 の 援 用 に 依 る ﹁ 弘 願 よ り 観 門 が 開 か れ る ﹂ と い う 視 座 と 、 空 海 の ﹁ 三 密 加 持 ﹂ の 援 用 に 依 る ﹁ 観 門 よ り 弘 願 に 帰 す ﹂ と い う 視 座 す な わ ち 独 自 の 三 門 開 会 に 基 づ く 法 界 身 論 を 展 開 し 、 自 ら の 念 仏 実 践 論 に お け る 生 仏 不 二 論 を 提 示 し て い た の で あ る 。 ま た 証 空 は 、 ﹃ 即 身 義 ﹄ の 衆 生 の 成 仏 す な わ ち 機 辺 に お い て 成 立 す る 生 仏 不 二 を 、 衆 生 摂 取 の 弥 陀 ( 名 号 ) す な わ ち 仏 辺 に お い て 把 捉 し 、 他 力 往 生 へ と 転 化 し て い た の で あ る 。 一 方 、 道 範 の ﹃ 秘 密 念 仏 妙 ﹄ に お い て も 弥 陀 の 来 迎 を ﹁ 加 持 ﹂ と し て 把 握 す る と い う 見 解 が 確 認 で き た 。 無 論 、 両 者 の 念 仏 論 の 結 果 と し て 、 機 辺 の 成 仏 と 仏 辺 の 往 生 と い う 相 違 は あ る が 、 弥 陀 と 衆 生 と の 関 係 に お い て ﹁ 加 持 ﹂ と い う 概 念 が 共 通 す る こ と が 確 認 で き た 。 と こ ろ で 、 天 台 仏 教 を 中 心 と し た 百 科 全 書 的 文 献 で あ る 光 宗 ( 一 二 七 六-一 三 五 〇 ) の ﹃ 渓 嵐 拾 葉 集 ﹂ に は 、 当 時 の ( 54) 諸 念 仏 説 と し て ﹁ 秘 密 念 仏 ﹂ 、 ﹁ 天 台 宗 の 念 仏 ﹂ 、 ﹁ 通 大 乗 の 念 仏 ﹂ 、 ﹁ 善 導 ( 浄 土 宗 ) の 念 仏 ﹂ が 伝 え ら れ て い る 。 し か (55) し な が ら 、 ﹃ 渓 嵐 拾 葉 集 ﹄ が ﹁ そ れ ま で 他 宗 に 認 知 さ れ て い な か っ た 密 教 系 の 浄 土 思 想 に つ い て 記 し て い る ﹂ と い う 点 か ら 、 こ の 両 者 の 相 似 が 伝 聞 に よ る と は 考 え に く い 。 と こ ろ で 道 範 の ﹃ 貞 応 抄 ﹄ 等 で は 、 三 嵩 説 を 基 軸 と し て 大 日 、 弥 陀 、 釈 迦 の 三 身 を 本 地 身 、 能 加 持 身 、 所 加 持 身 の 関 係 と し て 把 握 さ れ て お り 、 そ の よ う な ﹁ 道 範 の 教 学 的 特 徴 は 道 範 が 個 有 に 案 出 し た も の で は な く 、 道 範 そ の 人 に 決 定 的 な 思 想 上 の 影 響 を 与 え た と 考 え ら れ る 禅 林 寺 静 遍 、 並 び に 静 遍 教 学 の 基 調 と な り 得 て い る 醍 醐 寺 を 中 心 と す る 人 々 ( 56) と の 教 学 上 の 交 流 が 色 濃 く 認 め ら れ る ﹂ の で あ る が 、 証 空 の ﹃ 観 経 疏 散 善 義 自 筆 紗 ﹄ に は 、 本 地 身 加 持 身 を 中 心 と し

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( 57) た 覚 書 が 残 さ れ て お り 、 証 空 の 弥 陀 観 を 本 地 身 加 持 身 の 視 点 よ り も 考 え る 必 要 性 が 感 じ ら れ る 。 今 後 は 、 こ の よ う な 問 題 を 含 め て 証 空 の 思 想 ・ 教 学 に お け る 密 教 教 学 の 影 響 を 検 討 し て い き た い 。 註 ( 1 ) ﹃ 選 択 本 願 念 仏 集 秘 鋤 ﹄ 、 ﹃ 浄 土 宗 全 書 ﹄ ( 以 下 、 ﹃ 浄 全 ﹄ ) 八 、 三 五 九 頁 上 段 。 ( 2 ) ﹃ 沙 石 集 ﹄ 、 ﹃ 日 本 古 典 文 学 大 系 ﹄ 五 八 、 一 二 一二 頁 。 ( 3 ) ﹃ 観 経 疏 玄 義 分 自 筆 御 紗 ﹄ (以 下 、 ﹃ 玄 自 筆 紗 ﹄ ) 、 ﹃西 山 叢 書 ﹄ (以 下 、 ﹃ 西 叢 ﹂ ) ﹃ 西 叢 ﹂ 一 、 二 六 頁 上 段 。 な お 、 ﹁ 自 筆 御 妙 ﹂ 中 の ﹃ 観 経 疏 ﹄ 等 の 引 用 部 傍 線 は 、 ﹃ 西 叢 ﹄ に 従 っ た 。 ( 4 ) こ れ は 、 ﹃ 大 般 浬 葉 経 ﹂ や ﹃ 摂 大 乗 論 ﹄ な ど の 如 来 蔵 思 想 に 基 づ く 論 書 に 多 く 見 ら れ る 語 句 で あ る 。 ま た 、 ﹁ 自 筆 妙 ﹂ で は 、 そ れ ら の 経 論 が 多 く 引 用 さ れ て い る 。 ま た 、 ﹁ 真 如 広 大 二 シ テ、 五 乗 モ 不 レ 測 コ其 ノ 辺 う、 法 性 深 高 二シ テ 、 十 聖 モ 莫 け 窮 ユ ル コ ト 其 ノ際 う、 ト イ ハ 、 ソ レ 凡 夫 出 離 ノ 法 ヲ 受 ク ル 機 ナ ル 事 ハ 、 真 如 法 性 ノ 理 ヲ 備 ヘ テ 仏 ノ 種 姓 ナ ル 故 ナ リ ト 云 フ 事 ヲ 顕 サ ン ト シ テ 、 先 ヅ 其 ノ 理 ノ 功 徳 ヲ 讃 ム ル 中 二 、 横 竪 ノ 徳 ヲ 顕 ス ナ リ 。 ( ﹃ 玄 自 筆 砂 ﹄ 、 ﹃ 西 叢 一 ﹂ 、 二 七 頁 上 下 段 。 ) ﹂ の 一 文 よ り ﹃ 大 乗 起 信 論 ﹂ の 影 響 も 指 摘 さ れ て い る ( 五 十 嵐 隆 幸 ﹁ 西 山 教 義 に お け る ﹃ 起 信 論 ﹄ の 位 置 ﹂ [﹃ 印 度 学 仏 教 学 研 究 ﹄ ( 以 下 、 ﹃ 印 仏 ﹂ ) 八 ○。] ( 5 ) 証 空 が 難 行 に 配 さ れ る 聖 道 門 の 完 全 な 否 定 的 立 場 を 取 ら な い こ と は 、 行 門 の 取 り 扱 い に 依 っ て も 知 ら れ る と こ ろ で あ る 。 こ の 内 容 が 具 体 的 に 当 時 の 聖 道 門 を 示 す こ と は 、 ﹃ 般 舟 讃 自 筆 鋤 ﹂ の ﹁今 娑 婆 世 界 ノ 我 等 衆 生 、 釈 迦 ノ 教 ニ ア ラ ズ バ 法 身 ノ 理 体 ヲ 具 セ リ ト 知 ル ベ カ ラ ズ 。 正 シ ク 釈 尊 大 悲 ノ 師 教 二 依 リ テ 、 法 身 ノ 性 ヲ 具 セ リ ト 知 ル 、 偏 二 釈 尊 ノ 恩 徳 ナ リ 。 誰 ノ 人 ニ カ 此 ノ 恩 ヲ 戴 カ ザ ラ ン 。 以 け法 ヲ 為 レ 母 ト 、 ト ラ イ ハ 、 釈 迦 一 代 二 説 キ 給 フ 所 ノ 大 、 小 、 権 、 実 、 顕 、 密 ノ 教 法 ノ 謂 二 依 リ テ 、 出 離 解 脱 ノ 道 ヲ 知 リ 、 法 身 ノ 生 育 ス ル 義 ア リ 。 併 シ ナ ガ ラ 聴 法 ノ 功 二 依 ラ ズ ト 云 事 ナ シ 。 指 シ テ 何 レ ノ 法 二 依 リ テ 悟 ヲ 開 キ 、 道 ヲ 得 タ リ ト 云 フ 事 ナ ケ レ ド モ 、 委 シ ク 尋 ヌ レ バ 、 一 切 ノ 法 二 此 ノ 生 育 ノ 恩 ア リ 。 故 二 以 け 法 ヲ 為 レ 母 ト 、 ト 云 フ ナ リ 。 然 レ バ 則 チ 機 二 随 ヒ テ 各 有 縁 ノ 法 ヲ 修 行 セ バ 、 一 々 二 、 彼 二 随 ヒ テ 、 是 ヲ 助 ケ 、 是 ヲ 讃 メ ヨ ト 云 フ ナ リ 、 ト 示 ス ナ リ 。 (﹃ 般 舟 讃 自 筆 紗 ﹄ 、 ﹃ 西 叢 ﹄ 四 、 四 頁 下 段 。 ) ﹂ と の 内 容 よ り も 知 る こ と が 出 来 る 。 ( 6 ) 凝 然 ( 一 二 四 〇-一 三 二 一 ) ﹃ 浄 土 法 門 源 流 章 ﹄ [﹃ 浄 土 宗 全 書 ﹄ ( 以 下 、 ﹃浄 全 ﹄ ) 十 五 所 収 ] 、 行 観 ﹃ 選 択 本 願 念 仏 集 秘 証 空 の 生 仏 不 二 論 ー﹁ 自 筆 紗 ﹂ 類 を 中 心 と し て ー

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密 教 文 化 妙 ﹄ [﹃ 浄 全 ﹂ 八 所 収 ] 。 五 十 嵐 隆 幸 ﹁ 謹 空 教 学 に み ら れ る 湛 然 の 影 響 ﹂ [﹃ 印 仏 ﹂ 七 七 所 収 ] 等 。 ( 7 ) ﹃ 玄 自 筆 紗 ﹄ 、 ﹃ 西 叢 ﹄ 一 、 二 九 頁 上 段 。 ( 8 ) ﹃ 往 生 礼 讃 自 筆 御 紗 ﹂ 、 ﹃ 西 叢 ﹄ 三 、 八 頁 上 段 。 ( 9 ) ﹃ 玄 自 筆 鋤 ﹄ ﹃ 西 叢 ﹄ 一 、 十 五 頁 上 段 。 ( 10 ) ﹃ 観 経 疏 大 意 ﹄ 、 ﹃ 西 山 上 人 短 篇 妙 物 集 ﹄ ( 以 下 ﹃紗 物 集 ﹄ ) 、 二 六 頁 -二 七 頁 。 ( 11 ) ﹁ 所 謂 、 一 切 の 応 身 と 云 ふ は 、 此 の 弥 陀 の 願 を 、 凡 夫 の 為 に 稼 土 に 出 で て 説 き 顕 は す な り 。 今 の 釈 尊 即 ち 其 の 本 な り 。 十 方 の 応 身 も 皆 此 く の 如 し 。 一 切 の 菩 薩 ・ 一 切 の 縁 覚 ・ 一 切 の 声 聞 と 云 ふ は 、 弥 陀 の 自 覚 を 二 乗 と 名 づ け 、 覚 他 の 功 徳 を 菩 薩 と 号 つ く 。 皆 、 弥 陀 の 功 徳 を 顕 は し て 、 稼 土 に 出 で て 入 聖 得 果 の 相 を 現 は す 。 此 即 ち 、 正 し く 凡 夫 を 各 別 に 教 化 し て 、 根 性 の 不 同 に 随 ひ て 、 各 、 種 々 に 教 化 し て 、 終 に 弥 陀 国 に 帰 せ し め ら る る な り 。 此 の 種 々 の 相 を 各 別 に 説 く を 、 皆 、 聖 道 門 と 名 つ く る な り 。 ﹂ [﹃ 観 経 疏 大 意 ﹄ 、 ﹃妙 物 集 ﹄ 、 二 七 頁 。 ] ( 12 ) ﹃ 観 経 疏 大 意 ﹄ 、 ﹃ 妙 物 集 ﹄ 、 二 七 頁-二 八 頁 。 ( 13 ) 廣 川 尭 敏 ﹁ 証 空 浄 土 教 に お け る 天 台 典 籍 の 受 容 ﹂ 、 ﹃ 往 生 要 集 研 究 ﹄ 、 四 八 一 頁-四 八 二 頁 。 ( 14 ) ﹃ 金 剛 鉾 ﹄ 、 大 正 四 六 、 七 八 二 頁 下 段 。 ( 15 ) 廣 川 氏 は 、 こ れ ら 内 容 よ り ﹁ 証 空 の 重 要 な 教 学 用 語 で あ る 観 門 ・ 弘 願 は 天 台 の 随 縁 真 如 ・ 不 変 真 如 を 援 用 し て 創 造 さ れ た も の ﹂ と 指 摘 し て い る ( 廣 川 論 文 、 四 八 一 頁-四 八 三 頁 。 )。 (16 ) ﹃ 定 自 筆 妙 ﹄ 、 ﹃ 西 叢 ﹄ 二 、 八 七 頁 下 段-八 八 頁 上 段 。 (17 ) 証 空 が 諸 仏 を 弥 陀 と 解 釈 す る と い う 視 点 は ﹁ 此 ノ 中 二 、 諸 仏 、 ト イ ハ 、 言 通 ジ テ 、 心 別 ナ リ 。 別 シ テ 弥 陀 ヲ 指 ス ナ リ 。﹂ と い う 一 文 よ り も 明 ら か で あ る 。 ま た こ の 諸 仏 と 弥 陀 と の 関 係 に つ い て ﹁諸 仏 ノ 備 へ 給 ヘ ル ハ 、 弥 陀 一 仏 の 功 徳 ナ リ 。 ( ﹃ 定 自 筆 妙 ﹄ 、 ﹃西 叢 ﹄ 二 、 八 六 頁 上 段 。 ) ﹂ と も 述 べ ら れ て い る 。 先 に 証 空 が 衆 生 に 内 在 す る 法 身 を 弥 陀 と し て 把 握 し て い る こ と を 確 認 し た が 、 こ れ ら 点 よ り 証 空 は 三 門 の 関 係 を 通 し て 、 諸 仏 が 法 身 弥 陀 の 応 化 身 的 位 置 に て 把 握 し て い る と も 考 え ら れ る 。 (18 ) こ の よ う な ﹁自 筆 紗 ﹂ の 法 界 身 論 は 、 石 田 充 之 氏 に よ っ て ﹁ 弥 陀 理 性 遍 満 真 如 法 界 身 義 ﹂ と 評 さ れ て い る 。 [﹁ 法 然 ・ 親 鷺 ・ 証 空 に お け る 法 界 身 の 問 題 ﹂ ﹃ 印 仏 ﹄ 四 三 、 一 二 頁 。 ] (19 ) 五 十 嵐 論 文 、 一 二 四 頁 。 ( 20 ) ﹃ 定 自 筆 鋤 ﹄ 、 ﹃ 西 叢 ﹄ 二 、 八 七 頁 上 段 。 (21 ) ﹃ 定 自 筆 鋤 ﹄ 、 ﹃ 西 叢 ﹄ 二 、 八 七 頁 上 下 段 。 (22 ) ﹃ 観 経 疏 大 意 ﹂ 、 ﹃妙 物 集 ﹄ 、 二 二 頁 。 (23 ) ﹃ 般 舟 讃 自 筆 御 紗 ﹂ 、 ﹃ 西 叢 ﹄ 四 、 二 四 頁 上 下 段 。 (24 ) ﹃ 般 舟 讃 自 筆 御 紗 ﹂ 、 ﹃ 西 叢 ﹄ 四 、 九 頁 下 段 。 (25 ) ﹁ 一 者 一 心 専 念 弥 陀 名 号 行 住 坐 臥 不 問 時 節 久 近 念 念 不 捨 者 是 名 正 定 之 業 順 仏 願 故 若 依 礼 諦 等 即 名 為 助 業 除 此 正 助 二 行 已 外 自 余 諸 善 悉 名 雑 行 若 修 前 正 助 二 行 心 常 親 近 憶 念 不 断 名 為 無 間 也 ﹂ [﹃ 観 経 疏 ﹂ 、 ﹃浄 全 ﹂ 二 、 五 八 頁 下 段 ]

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( 26 )﹁ 問 日 備 修 衆 行 但 能 回 向 皆 得 往 生 何 以 仏 光 普 照 唯 摂 念 仏 行 者 有 何 意 也 答 日 此 有 三 義 一 明 親 縁 衆 生 起 行 口 常 称 仏 仏 即 聞 之 身 常 礼 敬 仏 仏 即 見 之 心 常 念 仏 仏 即 知 之 衆 生 憶 念 仏 者 仏 亦 憶 念 衆 生 彼 此 三 業 不 相 捨 離 故 名 親 縁 ﹂ [﹃ 観 経 疏 ﹄ 、 ﹃浄 全 ﹄ 二 、 四 九 頁 上 段 ] ( 27 ) ﹁ 又 言 コ ハ三 昧 つ 者 、 ト ラ イ ハ 、 般 舟 ノ 義 既 二 釈 シ 畢 リ テ 、 正 シ ク 三 昧 ノ 義 成 ズ ル 事 ヲ 釈 ス ル ナ リ 。 レ 定 ト、 ハ 広 ク 諸 定 二 亘 ル ト 錐 モ 、 今 ノ 、 定 、 ハ サ キ ノ 三 業 無 間 ノ 行 二 依 リ テ 具 足 ス ト 云 ハ ン ト ナ リ 。 ﹂ [ ﹃般 舟 讃 自 筆 御 妙 ﹄ 、 西 叢 四 、 九 頁 下 段 ] ( 28 ) ﹃ 般 舟 讃 自 筆 御 鋤 ﹂ 、 西 叢 四 、 十 頁 上 段 。 ( 29 )﹃ 選 択 本 願 念 仏 集 秘 砂 ﹄ [ ﹃浄 全 ﹄ 八 、 四 〇 〇 下 -四 〇 五 頁 上 段 ] 、 ﹃ 念 仏 名 義 集 ﹄ 下 [﹃ 浄 全 ﹄ 十 、 三 七 七 頁 上 下 段 ] 、 ﹃ 浄 土 大 意 抄 ﹄ [同 七 一 八 下 -七 一 九 頁 上 段 ] 等 参 照 。 ( 30 )﹃ 定 自 筆 紗 ﹂ 、 ﹃ 西 叢 ﹂ 二 、 八 九 頁 上 段 。 ( 31 )﹁ 問 日 備 修 衆 行 但 能 回 向 皆 得 往 生 何 以 仏 光 普 照 唯 摂 念 仏 行 者 有 何 意 也 答 日 此 有 三 義 一 明 親 縁 衆 生 起 行 口 常 称 仏 仏 即 聞 之 身 常 礼 敬 仏 仏 即 見 之 心 常 念 仏 仏 即 知 之 衆 生 憶 念 仏 者 仏 亦 憶 念 衆 生 彼 此 三 業 不 相 捨 離 故 名 親 縁 ﹂ [﹃ 観 経 疏 ﹄ 、 ﹃浄 全 ﹄ 二 、 四 九 頁 上 段 ] (32 )﹃ 定 自 筆 紗 ﹄ 、 ﹃ 西 叢 ﹄ 二 、 九 三 頁 上 下 段 。 (33)﹃ 即 身 義 ﹄ 、 ﹃ 定 本 弘 法 大 師 全 集 ﹄ ( 以 下 、 ﹃ 定 弘 全 ﹂ ) 三 、 二 八 頁 。/﹃ 定 自 筆 妙 ﹄ 、 ﹃ 西 叢 ﹄ 二 、 一 四 二 頁 上 段 。 (34 )﹃ 即 身 義 ﹄ 、 ﹃定 弘 全 ﹄ 三 、 二 九 頁 。 ( 35 )﹃ 即 身 義 ﹄ 、 ﹃ 定 弘 全 ﹄ 三 、 二 五 頁 。 ( 36 ) 空 海 の ﹁ 加 持 ﹂ と ﹁ 加 被 ﹂ に 関 し て は 、 ﹃ 大 日 経 開 題 (法 界 浄 心 ) ﹄ に ﹁又 云 加 被 。 然 未 得 委 悉 。 加 以 往 来 渉 入 為 名 。 持 以 摂 而 不 散 漏 立 義 。 即 入 我 我 入 是 也 。(﹃ 定 弘 全 ﹂ 四 、 八 頁 。 )﹂ と あ り 、 伝 空 海 ﹃秘 蔵 記 ﹂ に ﹁諸 仏 以 悲 願 力 放 光 加 被 衆 生 。 是 謂 諸 仏 護 念 。 衆 生 興 諸 仏 加 被 。 感 応 因 縁 之 故 。 ( ﹃定 弘 全 ﹄ 五 、 一 五 〇 頁 。 ) ﹂ と あ る 。 こ の ﹃秘 蔵 記 ﹄ で は 、 諸 仏 の 願 力 に よ る 光 が 加 持 (加 被 ) と し て 把 捉 さ れ て い る 。 筆 者 は 、 こ の 内 容 を 本 稿 に お け る 証 空 の 生 仏 不 二 論 と 最 も 近 し い 内 容 で あ る と 考 え て い る 。 ( 37 ) ﹃ 即 身 義 ﹄ で は 、 行 者 ( 心 ) と 仏 と 他 者 ( 衆 生 ) と の 平 等 が あ げ ら れ て い る 。 し た が っ て 、 空 海 は 、 行 者 の 成 仏 と 共 に 衆 生 の 成 仏 す な わ ち 他 者 へ の 利 益 も 共 に 展 開 し て い る の で あ る 。 し か し な が ら 、 こ れ ま で の 考 察 に お け る 証 空 の 三 業 相 応 に 関 し て 弥 陀 と 念 仏 行 者 と の 二 者 間 の 関 係 し か 見 出 し え な い 。 こ の 問 題 に 関 し て は 、 ﹃ 五 段 紗 ﹂ の ﹁ 三 つ に は 身 ・ 口 ・ 意 の 世 ・ 出 世 の 善 根 に 随 喜 す 。 之 に 就 き て 我 等 が 三 業 即 ち 父 母 の 三 業 な る 故 に 、 我 が 三 業 を 転 じ て 仏 体 と 隔 て 無 き 故 に 、 父 母 即 ち 転 ぜ ら れ て 往 生 を 得 。 之 に 依 り て 真 実 の 孝 養 と 成 る こ と を 随 喜 す べ し 。(﹃ 妙 物 集 ﹄ 、 一 六 五 頁 -一 六 六 頁 。 ) ﹂ の 一 文 に 注 目 し て 今 後 、 考 察 を 進 あ て い き た い 。 ( 38 ) ﹃ 女 院 御 書 ﹄ 下 巻 、 ﹃紗 物 集 ﹄ 、 二 二 ニ-二 二 三 頁 。 ( 39 ) ﹃ 定 自 筆 紗 ﹄ 、 ﹃ 西 叢 ﹄ 二 、 八 七 頁 上 下 段 。 証 空 の 生 仏 不 二 論-﹁ 自 筆 鋤 ﹂ 類 を 中 心 と し

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て-密 教 文 化 ( 40 )﹃ 般 舟 讃 ﹄ 発 見 に は 証 空 発 見 説 と 静 遍 発 見 説 の 二 説 あ る が 、 近 年 の 研 究 で は 、 静 遍 が 第 一 発 見 者 で は な い か と い う 見 解 が 提 示 さ れ て い る 。 [伊 藤 正 順 ﹁ ﹃ 西 山 上 人 縁 起 ﹂ の 撰 述 意 図 特 に ﹃般 舟 讃 ﹄ 発 見 を 伝 え る 記 述 を 中 心 と し て ﹂ ] ( 41 ) 禅 林 寺 の 附 属 は 、 ﹃ 禅 林 寺 誌 ﹄ ﹁第 十 二 世 静 遍 僧 都 ﹂ ( ﹃ 禅 林 寺 誌 ﹂ 、 二 七 頁 。 ) の 項 を 参 照 さ れ た い 。 ま た 、 ﹃ 円 光 大 師 行 状 書 図 翼 賛 ﹄ に は 、 静 遍 の ﹃ 選 択 集 ﹄ の 修 学 が 隆 寛 の 師 事 に よ る と 伝 え ら れ て い る [﹃ 浄 全 ﹂ 十 六 、 九 三 八 頁 下 段 。 ] 。 事 実 、 静 遍 は 、 承 和 二 年 三 月 二 十 三 日 に 藤 原 道 家 邸 で ﹃ 選 択 集 ﹂ の 講 義 を 行 っ て い る [﹃ 玉 蘂 ﹄ 二 四 七 頁 下 段 、 思 文 閣 出 版 ]。 隆 寛 は 、 浄 土 宗 学 の 修 学 に 関 係 し て 証 空 と 交 流 が 深 く 、 慈 円 と 証 空 と の 仲 介 役 で あ っ た と 考 え ら れ て い る [富 永 和 典 ﹁隆 寛 律 師 と 浄 土 宗 派 祖 西 山 に つ い て -九 条 兼 実 と 天 台 座 主 慈 円 と の 関 係 を 中 心 に -﹂ 、 ﹃ 天 台 学 報 ﹄ 四 一 、 一 五 五 頁 。 ] 。 ま た 、 証 空 は 、 道 家 に 戒 を 授 け て い る [﹃ 平 戸 記 ﹂ 、 ﹃ 史 料 大 成 ﹂ 三 二 、 二 一 二 頁 上 下 段 。 ] 。 こ れ ら 静 遍 、 隆 寛 、 証 空 、 道 家 等 の 関 係 に つ い て 、 歴 史 学 的 見 地 で の 考 察 の 必 要 性 が 多 分 に 感 じ ら れ よ う 。 ( 42 )﹃ 続 選 択 ﹂ 、 ﹃佛 教 古 典 叢 書 ﹄ 、 十 六 頁 -十 七 頁 。 ( 43 )﹃ 続 選 択 ﹄ 、 ﹃ 佛 教 古 典 叢 書 ﹄ 、 三 七 頁 。 ( 44 ) 中 村 本 然 ﹁ 道 範 の 浄 土 観 ﹂、﹃ 高 野 山 大 学 論 叢 ﹄ 二 九 、 一 四 六 頁 。 ( 45 )﹃ 続 選 択 ﹂ 、 ﹃ 佛 教 古 典 叢 書 ﹂ 、 十 九 頁 。 ( 46 )﹃ 続 選 択 ﹄ 、 ﹃佛 教 古 典 叢 書 ﹂ 、 頁 。 ( 47 )﹃ 観 経 疏 ﹄ 、 注 25 参 照 。 ﹃ 往 生 拾 因 ﹄ 、 ﹃ 浄 全 ﹄ 十 五 、 三 七 五 頁 上 下 段 、 三 八 四 頁 下 段 。 な お 、﹃ 秘 密 念 仏 妙 ﹄ 内 で の 語 句 の 挿 入 等 に 関 し て は 、 佐 藤 も な ﹁ 道 範 著 ﹃ 秘 密 念 仏 抄 ﹂ 引 用 文 献 出 典 注 記 ﹂ [﹃ 仏 教 文 化 研 究 論 集 ﹄ 四 所 収 。 ] を 参 照 さ れ た い 。 ( 48 )﹃ 秘 密 念 仏 砂 ﹄ 、 ﹃ 真 言 宗 安 心 全 書 ﹄ 下 、 二 五 四 頁 。 ( 49 )﹃ 秘 密 念 仏 紗 ﹂ 、 ﹃ 真 言 宗 安 心 全 書 ﹄ 下 、 二 五 四 頁 。 ( 50 )﹃ 秘 密 念 仏 紗 ﹄ 、 ﹃ 真 言 宗 安 心 全 書 ﹂ 下 、 二 五 四 -二 五 五 頁 。 ( 51 )﹃ 秘 密 念 仏 妙 ﹄ 、 ﹃ 真 言 宗 安 心 全 書 ﹄ 下 、 二 五 〇 頁 。 ( 52 )﹃ 大 日 経 疏 ﹄ に は 、 ﹁ 如 行 者 内 修 般 舟 三 昧 。 外 蒙 神 力 護 持 。﹂ [﹃ 大 正 ﹂ 三 九 五 八 三 頁 下 段 。 ] と 述 べ ら れ て お り 、 ﹁逮 二 見 ス 此 ノ無 尽 荘 厳 ノ境 界 う。 ﹂ は 、 道 範 の 付 加 と 考 え ら れ る 。 師 で あ る 静 遍 の ﹃ 続 選 択 ﹄ が ﹃ 般 舟 讃 ﹂ の 注 釈 書 的 性 格 を 持 つ こ と よ り 、 こ の 道 範 の 記 述 は 、 注 目 す べ き 点 の 一 つ で あ る が 、 こ の 点 に 関 し て は 今 後 の 課 題 と し た い 。 ( 53 ) 佐 藤 も な ﹁ 道 範 の 秘 密 念 仏 思 想 -名 号 観 を 中 心 と し て -﹂、﹃ 印 仏 ﹂ 九 八 、 一 一 〇 頁 。 ( 54 )﹃ 渓 嵐 拾 葉 集 ﹄ 、 ﹃ 大 正 ﹄ 七 六 、 五 五 一 頁 上 段 。 ( 55 ) 北 川 真 寛 ﹁ ﹃ 渓 嵐 拾 葉 集 ﹂ に お け る 浄 土 思 想 ﹂ 、 ﹃密 教 文 化 ﹂ 二 〇 七 、 二 八 頁 。 ( 56 ) 中 村 論 文 一 四 七 頁 。 ( 57 )﹃ 観 経 疏 散 善 義 自 筆 妙 ﹄ 、 ﹃ 西 叢 ﹂ 二 、 二 四 〇 頁 上 下 段 。

参照

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