教師の労働負担(7) : 教師の労働時間調査から
著者 千田 忠男
雑誌名 評論・社会科学
号 76
ページ 1‑41
発行年 2005‑03‑20
権利 同志社大学人文学会
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000011858
︹論文︺
教 師 の 労 働 負 担 ︵ 7 ︶
│ │ 教 師 の 労 働 時 間 調 査 か ら │ │
千 田 忠 男
1はじめに
2予備調査の結果
A教師の勤務基準
B仕事の分類基準
C昼休み・中間休み
3﹁みんなで調査﹂の結果
A課題と方法
B調査の結果
C労働生活時間の分布
D﹁みんなで調査﹂に対する意見
4﹁くわしく調査﹂の結果
A課題と方法
B仕事の状況
C生活時間はきゅうくつである
D調査対象者の代表性について
5教師の働き方を吟味して
― 1 ―
A適切な分類基準を探求して
B過密で長時間といえるかどうか
C働き方の改善にむけて
D今後の調査にむけた指針
6結論
1 は じ め に
教師はストレスや進行性疲労に悩むことが多い︑その原因の一つは過密・長時間労働である︑魅力ある教育実践をす
すめる条件をつくるために過密・長時間労働対策をすすめることが必要であると︑これまでに私は指摘してきた︵拙著
﹃現代の労働負担﹄文理閣二〇〇三年︶︒この指摘を生活と労働の時間調査を通じて検証したいと考えた︒すなわち︑
︵1︶実際の仕事の時間的長さと内容を明らかにする︒そのために︑学校で行う仕事の内容と仕事の時間を明らかに
する︒
︵2︶持ち帰り仕事の発生頻度とその時間的長さや内容を明らかにして︑持ち帰り仕事がルチンの課題を遂行するた
めに必要な仕事であるかどうかを検討する︒
︵3︶学校で仕事をしている間に休憩をしているかどうかを明らかにする︒
︵4︶現状の働き方に対する感じ方と態度を明らかにする︒
︵5︶これらにもとづいて︑教師が過密長時間労働になっているかどうかを判断する︒もしそうであるならば︑規制
の必要性︑可能性および重要性について考察する︒
︵6︶さらなる大規模調査の指針を得る︒ 教師の労働負担︵7︶
― 2 ―
こうした課題で一連の労働生活時間調査を企画し︑﹁予備調査﹂と﹁みんなで調査﹂︑﹁くわしく調査﹂の三種を立案
し実施した︒すなわち︑勤務の基準と実態の概要︑仕事内容を分類する基準︑教育労働における過密性のあらわれ方な
どについて聴き取る予備調査を実施し︑つぎに三〇〇名の小学校教師を対象に仕事と生活時間の概要を調査票によって
調べる︒これを便宜的に﹁みんなで調査﹂と呼ぶ︒最後に︑一〇名の教師を対象に︑一〇分刻みの生活時間調査票を用
いて仕事内容ごとの発生理由などをくわしく調べる︒これを﹁くわしく調査﹂と呼ぶことにする︒
調査にあたり宇治久世教職員組合の協力を得た︒
2 予 備 調 査 の 結 果
予備調査協力員から二〇〇三年七月以降四回にわたり聞き取り調査を実施した︒協力員は宇治久世教職員組合内部に
結成した﹁教師の働き方調査プロジェクトチーム﹂の九名である︒また聞き取り内容はつぎの通りである︒すなわち︑
︵1︶勤務基準と実態︑
︵2︶教師の仕事を分類する基準︑
︵3︶その他として︑子どもの昼休みや授業の中間休みにおける教師の活動とその内容︑子どもが学校から帰ったの
ちに教師がおこなう仕事の内容︑持ち帰り仕事の必要性や重要性︑
などである︒
A教師の勤務基準
聞き取り調査から得られた教師の勤務基準と実態の概要を整理すると︑図表1のとおりである︒まず︑一般的な例を
― 3 ―
教師の労働負担︵7︶
想定して図表を説明すれば︑最上段の例のとおりに︑出勤後に午前中の
仕事をする︵勤務A︶︒このとき中間に休息時間を設定する場合もあ
る︒昼には食事を含む休憩時間が設定される︒午後にはまた仕事をする
︵勤務C︶︒休息を設定する場合もある︒そして通常ならば退勤となる︒
時間外労働を行う場合もまれではないが︑その場合には短時間の休憩を
とってのちに行うのがふつうである︒
これに対して︑教師の勤務基準は相当にちがっている︒なおここで教
師の勤務基準とは︑当該の教育委員会が労働組合に提案して︑現に実施
している基準である︒労働組合が了承している部分もあれば︑了承して
いない部分もある︒特徴として第一に︑出勤してのち︑子どもが学校に
いる間は休憩・休息をとらない︒一般的に昼食休憩である時間帯に子ど
もたちの給食指導などを行う︵図で勤務B︶のである︒第二は︑休憩時
間を︑子どもが下校したのちの時間帯に振り替えている︒第三は︑時間
外労働の扱い方が独特である︒すなわち︑︵
衢︶時間外労働はまれにし
か発生しない︑︵
衫働欠を件要う扱てしと労︶外間時は事仕り帰ち持い
ている︑︵
袁てるす当相に働労外間時もし︶生発が働労外間時に際実賃
金を支払わない場合がある︑としている︒
そして︑﹁一番多くみられる実際例﹂が図の﹁実例﹂である︒その最
大の特徴は休憩をとっていないことであり︑第2に︑持ち帰り仕事が非
図表1 勤務基準と実例
教師の労働負担︵7︶
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常に多いということである︒実例に示したようなことがどうして生じるのか︑その理由について予備調査協力員の言明
を要約するとつぎの通りである︒
︵1︶子どもが登校してから下校するまで︑子どもの生活時間に合わせて教育実践をすすめている︒それは勤務基準
通りである︒そのため︑長時間にわたって休憩や休息が取れない︒
︵2︶子どもの生活時間帯以外にすすめる仕事を︑子どもの下校時間以後に設定している休憩時間に行う︒どうして
かというと︑早く帰らなければならないからだ︒
︵3︶それでも︑退勤時までに仕事を終えることができない︒残った仕事は自宅に持ち帰って処理する︒
︵4︶実感として長時間労働であり︑時間外労働が不払い処理になっていることは残念に思っている︒お金がほしい
というのではなく︑仕事をしているということを認めてほしい︒
この﹁実例﹂に対して私は︑実際に発生している時間外労働を無視するという点でリアリティに欠くとともに︑時間
外労働手当を支払わないという点で社会正義に反しているのではないか︑という疑問を持った︒
B仕事の分類基準
教育実践の内容︵仕事に関連する活動内容︶を適切に分類することが︑本調査を成功させるかどうかの分岐点をなし
ていると考えた︒そこで︑教育目標と教育実践︑生活時間との関連︑授業や実践課題などを区分軸にしながら︑個々の
活動を分類する試みをくり返した︒
その結果︑表に示した分類基準を考案した︒
︵1︶生活行動の種類を﹁仕事に関する活動﹂と﹁仕事に関連しない活動﹂の二つに大別する︒
︵2︶﹁仕事に関連する活動﹂を︑教育目標を実現するために直接的に必要な活動と︑休憩休息︑および教育能力向
― 5 ―
教師の労働負担︵7︶
上に向けた自発的自主的な活動の三
つに区分する︒
︵3︶﹁教育目標を実現するために直接
的に必要な活動﹂を︑子どもが登校
してから下校するまでの生活時間に
直接的に合わせてすすめる活動と︑
在校中の子どもの生活時間以外にす
すめる活動とに分ける︒
︵4︶﹁在校中の子どもの生活時間に直
接的に合わせてすすめる活動﹂を︑
さらに三つに分ける︒すなわち︑
﹁︵a︶授業など受持時間中の活動﹂
として︑授業やクラブ・委員会︑出
張授業などを想定する︒﹁︵b︶受持
時間以外の生活指導﹂としておわり
の会や昼休みのこども指導などを想
定する︒﹁︵c︶子どもの生活確保活
動﹂として下校指導や昼食指導を想
定する︒
図表2 教師の仕事と生活を分類する基準
D 授業など
(a)授業など受持時間中の 活動
(b)上記時間以外の生活指 導
(c)子どもの生活確保活動
(d)授業準備と後処理
(e)学級経営と保護者の関 係つくり
(f)子どもの生活確保活動
(g)学校経営と校務分掌
(h)通勤
(i)子どもと同僚、上司の目線から離れて
(j)教育能力向上の自発的自主的活動
注1:AからDまでに示した区分軸以外に、活動場所によっても分類できる。すな わち学校、自宅、出張先などである。
C 子どもの生活時間 在校中の子どもの生活 時間に直接的に合わせ てすすめる活動
子どもの生活時間以外 にすすめる活動 B 目標との関係
教育目標を実現 するために直接 的に必要な活動
休憩、休息する
(k)生命生活の 活動
(l)家族の活動
(m)地域社会の 活動
(n)自由な活動 A 活動の性質
仕事に 関連する活動
仕事に関連 しない活動
教師の労働負担︵7︶
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︵5︶﹁子どもの生活時間以外にすすめる活動﹂をつぎの五つに分ける︒﹁︵d︶授業準備と後処理﹂として︑ノート
点検や採点などを想定する︑﹁︵e︶学級経営と保護者の関係つくり﹂として学級通信つくりや保護者との連絡相
談︑﹁︵f︶子どもの生活確保活動﹂として安全対策の諸活動を想定する︑﹁︵g︶学校経営と校務分掌﹂として校
務分掌の仕事を想定する︑最後に﹁︵h︶通勤﹂である︒
C昼休み・中間休み
教師の勤務基準を明らかにする際に︑子どもの昼休みや授業の中間休みに教師は忙しく仕事をするという実態も示さ
れた︒そこで︑昼休みや中間休みの仕事内容を区分してみるとつぎのように整理できた︒すなわち︑
︵1︶子どもへの対応︑
︵2︶事故・傷病・問題行動対応︑
︵3︶ノート点検・採点など︑
︵4︶教材研究・授業準備︑
︵5︶打ち合わせ・会議︑
︵6︶子どもとの会議︑
︵7︶その他の仕事︑
︵8︶休息︑
である︒
この分類の中で﹁休息﹂とは︑﹁︵1︶子どもの視線からはなれて︑︵2︶仕事をしている同僚の視線からはなれて︑
︵3︶上司の視線からはなれて︑という三つの条件を満たす場所で5分以上︑自由な時間を過ごすことです﹂と定め
― 7 ―
教師の労働負担︵7︶
た︒教育実践の特性として︑教師は子どもの視線の前では﹁教師としてふるまう﹂からである︒
3 ﹁ み ん な で 調 査 ﹂ の 結 果
A課題と方法
対象者は宇治久世教組に所属する小学校教師組合員︑または教組からの依頼に応じて調査に協力を約束してくれた小
学校教師であり︑総計三〇〇名である︒職種は教諭または担任をもつ養護教諭である︒
つぎの課題を明らかにしようとした︒すなわち︑
︵1︶持ち帰り仕事の頻度とその時間数の分布︑
︵2︶中間休みと昼休みの教師の仕事内容の分布︑
︵3︶学校に在校して仕事をする時間数の分布︑
︵4︶夕食︑就寝時刻の分布︑
︵5︶就寝時間数の分布︑
などである︒
二〇〇三年一〇月二五日土曜日から一週間にわたって︑あらかじめ作成配布した調査票に生活時間を記録するように
求めた︒生活時間記録票には︑平日分として起床時刻︑出勤︵学校に着いた時刻︶︑教室へ︵子どもとの活動始め︶︑中
間休みと昼休みの過ごし方︵選択肢から︶︑子どもとの活動終わり時刻︑退勤︵学校を出た時刻︶︑夕食時刻︑持ち帰り
仕事の始めと終わりの時刻︑就寝時刻などが記載できる︒休日分として︑起床時刻︑仕事をした場合の始まりと終わり
の時刻︑就寝時刻などが記載できる︵別紙参照︶︒ 教師の労働負担︵7︶
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これら以外に︑対象者の属性として︑性別︑年齢︑学校名︑職種︑経験年数︑いまの学校の経験年数︑担任の有無︑
担任学級の学年︑授業などの受持時間数︑校務分掌︑休日の仕事をした場合の内容︑習慣的な持ち帰り仕事の有無など
の設問をもうけた︒
調査の一週間の状態として︑起床時の気分︑一週間の仕事をする中途における仕事への態度︑持ち帰り仕事の内容と
理由などの設問をもうけた︒
B調査の結果
盧
属性
回収された調査票は二一九名であり︑このすべてを集計対象にした︒教諭職二一八名︑養護教諭一名分である︒
性別︑年齢分布は左表の通りである︒女性が一六四名である︒年齢の平均値は四八・一歳であり︑四五︱四九歳の年
齢層が最も多かった︒
教師の経験年数は︑平均値でみると二四・八年︵最大値三三・五年︑最小値二・〇年︶である︒いまの学校における
経験年数は︑平均値で一一・六年︵最大値二六・三年︑最小値〇・五年︶である︒
担任をもっている例は二一五名である︒一年生三四名︑二年
生二六名︑三年生三八名︑四年生三七名︑五年生二〇名︑六年
生二五名︑障害児学級二七名︑その他八名である︒
授業の受持時間とクラブ・委員会︑出張授業をふくめて﹁受
持持ち時間をもっている﹂と回答したケースは一九九名で︑そ
の平均値は二六・三時間︵最大値三〇時間︑最小値二三時間︶
図表3 「みんなで調査」
の対象者の属性 219名
164 55
年齢の概要(211名)
48.1歳 57歳 26歳 年齢の分布
2 0 5 33 90 63 18 集計数
女 男
平均値 最大 最小 29歳以下
30−34歳 35−39歳 40−44歳 45−49歳 50−54歳 55−59歳
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教師の労働負担︵7︶
である︒受持ち時間数別に人数分布をみると︑最も多いのは二七時
間の七三名であり︵一九九名中三六・七%︶で︑以下二六時間が四
五名︵二二・六%︶︑二五時間三七名︵一八・六%︶︑二八時間二三
名︵一一・六%︶である︒
盪
持ち帰り仕事について
﹁普段から︑持ち帰り仕事をする方ですか?﹂の問いに対して︑
﹁よくする方﹂が一〇四名︵二一九名中四七・五%︶︑﹁ふつう﹂が
五九名︵二六・九%︶︑﹁あまりしない方﹂四一名︵一八・七%︶︑
﹁ほとんどしない﹂一一名︵五・〇%︶であった︒
調査期間の﹁休日に仕事をした﹂とするケースは一六六名あっ
た︒その理由を求めると︵複数回答︶︑﹁平日に消化できなかった仕
事﹂としたケースが一三九名︵八三・七%︶︑﹁社会体育や地域・P
TAの仕事﹂三八名︵二二・九%︶︑﹁その他﹂四四名︵二六・五
%︶である︒
持ち帰り仕事の内容について見ると一八五名が回答し︑その詳細
︵複数回答︶をみると﹁教材研究︑授業の準備﹂一五一名︵八一・
六%︶︑﹁採点や添削など授業の後処理﹂一二九名︵六九・七%︶︑
﹁学級事務︑書類作成﹂九三名︵五〇・三%︶︑﹁校務分掌の仕事﹂
図表4 仕事の感じ方
「この1週間、どのような感じで仕事をしたか」の「その他」の自由記入欄の内容。
足が痛くて、歩きにくかった 頭痛がひどく薬をのみながら お茶を飲む間もなく忙しかった いつも仕事に追われている
朝、疲れていても、子どもと出会うとそのペースで仕事をする。
仕事をこなす時間がほしい
週の初めから体調が悪く、1日中休息が取れず、ストレス疲労がつづいた。
週の途中でやすんだ 週末疲れが出た
疲れているが、「こんなものか」とある程度納得している 仕事が終わらない・・、いつも追いかけられている 家に帰るとどっと疲れが出て、ゆっくりと寝たいと思った
教師の労働負担︵7︶
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四〇名︵二一・六%︶である︒
また︑その日に持ち帰り仕事をしなければならなかった理由について回答したケース︵一八三名︶をみると︑﹁次の
日学校でやる時間がないから﹂一四四名︵七八・七%︶︑﹁次の日授業があるから﹂一〇八名︵五九・〇%︶︑﹁仕事をた
めたくないから﹂五五名︵三〇・一%︶であり︑﹁ヒマな時間があったから﹂一名︑﹁その他﹂一二名であった︒
蘯
生活感︑仕事感について
﹁この一週間︑朝起きたときどうでしたか﹂の問いに対して一九七名が回答し︑﹁だいたい︑スッキリと起きられた﹂
とする例が二五名︵一二・七%︶であり︑それに対して﹁いつも︑寝たりないと感じた﹂一〇三名︵五二・三%︶︑﹁と
きどき︑寝たりないと感じた﹂六九名︵三五・〇%︶であった︒
﹁その他﹂︵二名︶の記載分をみると︑﹁夜疲れて︑こたつで朝まで寝ることが多かった﹂﹁よく︑子どもを指導してい
る夢を見る﹂であった︒
また︑﹁この一週間︑どのような感じで仕事をしましたか﹂の問いに対して一九二名が回答し︑﹁だいたい︑軽やかに
働けた﹂とするケースが二九名︵一五・一%︶である︒これに対して︑﹁週の途中で疲れがでたり︑やすみたくなった
りした﹂八一名︵四二・二%︶︑﹁週の初めから疲れていて︑早く休日になればいいと思い続けた﹂七一名︵三七・〇
%︶であった︒
つぎに︑その他﹁その他﹂として記述した内容を紹介すると︑前頁図表4の通りである︒
C労働生活時間の分布
得られた資料は︑平日五日分の二一九名︵一〇九五件︶︑休日二日分の二一九名︵四三八件︶である︒部分的に記載
― 11 ―
教師の労働負担︵7︶
がないケースや誤記載が含まれているが︑以下の集計で
はその部分だけを除外する︒
盧
平日の生活
まず︑平日の起床時刻の分布︵一〇六六件︶をみる
と︑六時台が六五・五%ともっとも多い︒もっとも遅い
例は八時︑もっとも早い例は二時三〇分である︒
就寝時刻の分布︵一〇一九件︶をみると︑もっとも早
い例は一八時台であり︑もっとも遅い例は翌朝四時三〇
分である︒ここから︑就寝・起床の一般的な傾向を示せば︑深夜一二時頃に就寝し︑翌朝六時すぎに起床する︒
平日の夕食時刻の分布︵一〇四八件︶をみると︑一九時三〇分︱一九時五九分の例が二六六例︵二五・四%︶で︑一
九時から二〇時二九分までに七割の例が夕食を済ませる︒しかし九時以降の例も一一一例と一割を超えている︒
就寝時間の分布︵一〇〇〇件︶をみると︑平均値は六時間二六分であり︑最大値一六時間︵カゼのため︶︑最小値二
時間である︒また︑六︱六時間五九分が三七・六%ともっとも多く︑ついで七︱七時間五九分が二五・八%︑五︱五時
間五九分が一九・六%の順である︒
盪
平日の仕事
通常は八時半ころまでに出勤し︑遅くとも八時四五分までに教室に向かって子どもに対面する︒
子どもとの活動をはじめてその活動が終わるまでの時間を﹁子ども活動時間﹂としたとき︑その分布︵一〇一六件︶
は︑平均値六時間四〇分︑最大値一〇時間三〇分︑最小値五一分であった︒また︑六︱六時間二九分が二三五件︵二三
図表5 起床就寝時刻の分布 起床時刻
0.4%
0.7%
3.8%
20.3%
65.5%
9.2%
0.3%
就寝時刻 0.2%
0.0%
0.2%
3.8%
13.0%
33.7%
32.4%
13.0%
3.0%
0.4%
0.4%
時刻 18時台 19時台 20時台 21時台 22時台 23時台 0時台 1時台 2時台 3時台 4時台 5時台 6時台 7時台 8時台
教師の労働負担︵7︶
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0.0%
子どもへの対応 ノート点検、採点など 教材研究・授業準備 打ち合わせ・会議 子どもとの会議 事故・傷病・問題行動対応 その他の仕事 休息 教師の行動内容
5.0% 10.0% 15.0% 20.0%
比率(%)
25.0% 30.0% 35.0% 40.0%
中間休み(1317件)
昼休み(1240件)
・一%︶でもっとも多く︑七時間︱七時間二九分が二〇・七%︑六時間
三〇分︱六時間五九分が二〇・五%である︒
退勤する時刻の分布︵一〇五七件︶をみると︑最も早い例が一三時で
あり︑もっとも遅い例が二三時一〇分である︒さらに︑一八時︱一八時
五九分の例が四一三例︵三九・一%︶︑一七時︱一七時五九分の例が三
五七例︵三三・八%︶である︒
出勤して学校に到着した時刻から退勤する際に学校を出た時刻までを
﹁在校時間﹂とするときの分布︵一〇四七件︶は平均値九時間五〇分︑
最大値一四時間五〇分︑最小値五時間一〇分である︒九時間︱九時間五
九分の例が四二七例︵四〇・八%︶︑一〇時間︱一〇時間五九分の例が
二九八例︵二八・五%︶である︒一一時間を超える例も少なくない︵一
四五例一三・九%︶︒
授業休み時間や子どもの昼休み時間の活動をみると︑下図のような特
徴がみられる︒すなわち︑子どもへの対応をする例がもっとも多く︵中
間休み三六・八%︑昼休み三六・〇%︶︑ついでノート点検・採点など
︵同三六・二%︑三五・三%︶︑教材研究・授業準備︵同一三・〇%︑一
〇・七%︶などを行う︒教師が休憩をとれた例はきわめて少ない︵同一
・二%︑一・四%︶︒
なおここで︑﹁休息﹂とは﹁子どもの視線からはなれて︑仕事をして
図表6 子どもの休み時間における教師行動
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教師の労働負担︵7︶
いる同僚の視線からはなれて︑上司の視線からはなれて︑という三つの条件をみたす場所で︑五分以上自由な時間をす
ごすこと﹂と例示している︒
蘯
平日の持ち帰り仕事
持ち帰り仕事を開始した時刻を記載する例は六八四件みられたが︑これは︑検討対象数︵一〇九五件︶に対して六二
・五%に相当する︒
持ち帰り仕事をした時間数の分布︵六七八件︶をみると︑最大値一二時間三〇分︑最小値三〇分である︒また︑一時
間︱一時間二九分の例が二五八件︵三七・九%︶と最も多く︑ついで一時間三〇分︱一時間五九分の例が一二三件︵一
八・一%︶︑二時間︱二時間二九分の例が一一二件︵一六・四%︶である︒
なお︑遂行中途で何度か中断するばあいには︑それらすべてを合算して集計に用いた︒
盻
休日の生活時間
休日の就寝時間は︑金︱土︑土︱日の四三八件の機会に対して集計できた四〇〇件で見ると︑平均値は七時間一六
分︑最大値は一六時間〇〇分︑最小値は一時間五〇分である︒
休日に登校したり出張したりして仕事をした例は九二例見られ平均値は三時間一七分︑最大値一三時間︑最小値は三
〇分である︒自宅で持ち帰り仕事をした例は九二件あり︑平均値は三時間一七分︑最大値は一三時間︑最小値は三〇分
である︒そこで︑登校や出張あるいは自宅での持ち帰り仕事を合わせて︑休日に仕事をした場合を見ると二三七件見ら
れ︑五四・一%になる︒その平均値は二時間五八分︑最大値は一三時間︑最小値は三〇分である︒ 教師の労働負担︵7︶
― 14 ―
眈
持ち帰り仕事軽減の意
見
﹁どうしたらもち帰り
仕事を減らすことができ
ると思いますか︒あなた
の考えをお聞かせくださ
い﹂と設問し︑自由記述
の回答を求めたところ︑
一四五名から回答がよせ
られた︒その内容をでき
るだけ細分して二五四件
に整理し︑KJ法によっ
て分類した︒その結果︑
大項目として︑﹁対策の
提案﹂︵一七八件︶︑﹁現
状への態度・感想﹂︵七
一件︶︑﹁対策案を求める
ことへの疑問﹂︵五件︶
の三つに分けることがで
図表7 持ち帰り仕事を減らすための提案、対策の構造
件数 43件 16件 7件 19件 3件 4件 4件 22件 7件 9件 4件 3件 11件 3件 11件 10件 1件 1件 35件 17件 14件 5件 5件 小 項 目
持ち時間数を減らす
……をして、持ち時間数を減らす 持ち時間を減らして、……を学校でやれば 持ち帰り仕事を減らせる
学級定数を減らす
……をして、学級定数を減らす
学級定数を減らして、……の仕事を減らす
……だから、学級定数削減が重要
専科の導入
……のために、専科制度が必要 学級事務を減らす
校務分掌事務を減らす 仕事を合理的に減らす 行事、研修などを簡素化する 個別的対策を組み合わせる(11件)
個別的対策(7) 教員をふやす(10件)
個別的対策(6) 完全週休二日制の廃止(1件)
カリキュラムを見直す(1件)
……のために、忙しい(35件)
できれば、……のようになってほしい(17件)
現在、こんな工夫をしている(14件)
難しいことだ(5件)
対策案の疑問(5件)
中 項 目 個別的な対策(1)
持ち時間を減らす(66 件)
個別的な対策(2)
少人数学級にする(30 件)
個別的な対策(3)
会議を減らす(22件)
個別的な対策(4)
専科制の導入(16件)
個別的対策(5)
事務的な仕事を、合理 的 に 工 夫 し て 減 ら す
(21件)
大項目
対策
(178件)
現状につ いて(71 件)
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教師の労働負担︵7︶
きた︒
﹁対策の提案﹂︵一七八件︶の構造をくわ
しく見ると︑受持の時間数を減らす六六
件︑学級の定数を減らす三〇件︑会議を減
らす二二件︑事務的な仕事を合理的に工夫
して減らす二一件︑専科制度を導入する一
六件︑個別的な対策を組み合わせて実施す
る一一件︑教員をふやす一〇件︑完全週休
二日制をなくす一件︑カリキュラムを見直
す一件︑などがみられた︒これらの構造は
前ページ図表7に示したとおりである︒
この中で︑指摘のとくに多かった﹁受持
の時間数を減らす﹂︵六六件︶という提案
の詳細をみると︵図表8︶︑専科制や教師
を増員して受持時間数を減らして︑その空
いた時間にノート点検や採点︑教材研究を
するというイメージが提案されている︒
﹁持ち時間数をへらし学校にいる間︑あき
時間中に︑ノートやプリントの丸つけ教材
図表8 「持ち時間数を減らす」提案の詳細 意 見 の 例 学級での持ち時間数を減らす。
持ち時間数を減らさなければどうしようもない。
1人あたりの持ち時間数を減らす。
授業時数を減らし空き時間を作る。
持ち時間数を減らすなど、放課後、個人の仕事をやる時 間が保障されたら、できると思う。
持ち授業時数を減らす。6年生は特に行事が多く雑務も 多いので授業研究以外に時間をとられることが多い 教師の定員を増やすことにより、持ち時間数を減らす 子どものつかれ等も考え午前中だけの授業にして午後会 議や教材研究にするか定員を増やし空き時間を多く作 る。
専科制を採用し、あき時間をふやす(持ち時数をへらす)
持ち時数を軽減して、学校で採点や教材研究をする時間 を作る。
担任の持ち時間数を減らし学級事務、教材準備等の時間 を確保できれば、持ち帰り仕事を減らすことができる。
持ち時間数をへらし学校にいる間、あき時間中に、ノー トやプリントの丸つけ教材研究をしたい。1日に1時間
(45分)空き時間があったらと夢のような気分になる。
(音楽と図工に専科教員が入ればすぐ実現できる!)
省 略
小項目
持ち時間 数を減ら す
(43件)
……をし て、持ち 時間数を 減らす
(16件)
持ち時間 を減らし て、……
を学校で やれば持 ち帰り仕 事を減ら せる
(7件)
中項目
個別的な 対策(1)
持ち時間 数を減ら す
(66件)
大項目
対策の提 案
(178件)
教師の労働負担︵7︶
― 16 ―
研究をしたい︒一日に一時間︵四五分︶空き時間があったらと夢のような気分になる︒︵音楽と図工に専科教員が入れ
ばすぐ実現できる!︶﹂という意見が典型である︒
対策として提案された受持時間数︑学級定員数︑専科制などは教育条件の根本的構造を変更するように求める意見で
ある︒会議の削減︑事務仕事の合理化などは学校運営の課題である︒これらの提案は︑持ち帰り仕事が教育条件をめぐ
る構造的な問題と︑日常的な学校運営の仕方という二つの側面に起因している事態を反映していると推測できる︒
現状についての意見をみると︑﹁⁝⁝のために忙しい﹂と忙しさの原因を指摘する例が三五件︑﹁できれば⁝⁝のよう
になってほしい﹂と願望を表現する例が一七件︑現在の工夫を紹介する例が一四件︑対策を考案することが難しいとす
る例が五件であった︒
対策の意見を求める設問にたいして疑問を示す例も五件みられた︒
なお︑少数ではあるがつぎの意見を紹介したい︒すなわち﹁土曜日︵完全週五日制︶廃止︑ゆとりを持った授業計
画﹂﹁しなければならないことカリキュラムが多すぎるもっと少なくしてゆっくり教えられるようにする﹂などで
ある︒
D﹁みんなで調査﹂に対する意見
この調査に対する意見を求めたところ︑八〇名の回答を得た︒その内容をできるだけ細分して九六件に整理し︑その
結果をKJ法により分類した︵図表9︶︒
これにより︑大項目として︑生活を振り返り︑あらためて大変だと理解できた︵四五件︶︑調査結果を生かしてほし
い︵二四件︶︑ストレスや精神的負担も調べてほしい︵一六件︶︑記入方法について︵六件︶︑調査の時期にについて
︵四件︶︑その他︵一件︶であった︒﹁あらためて大変だと理解できた﹂︵四五件︶とする例を見ると︑あらためてオーバ
― 17 ―
教師の労働負担︵7︶
ーワークを実感したと
いう趣旨の指摘が三八
件ときわめて多くみら
れた︒また単に生活を
振り返ることができた
とする例が七件であっ
た︒
また︑調査を生かし
てほしい︵二四件︶の
うち︑過密長時間労働
の改善に役立つことを
期待したいという趣旨
の意見が一九件と多く
みられた︒
このほかに︑ストレ
スや精神的負担にも注
目してほしいという趣
旨の意見が一六件みら
れた︒労働時間問題に
図表9 調査に対する意見、これからに期待する 代表的な意見 やっぱりオーバーワークだなと感じます。
自分で記入してつくづく朝の勤務から子どもを帰すま で全く休むときがないことを実感しました。ストレス がたまって当然かと思います。
改めて自分の仕事時間を見直せてよかった。
毎日の忙しさが解消できるようにこの調査が役立つと よい。
教師の実態が実際の時間数で明らかになればこれから の労働条件の改善に役立てられたらうれしいです。
調査されたことが学校現場に生かされるようになって ほしいです。
この調査票にあらわれない時間でも、子どものこと、
授業のことなど、気がついたら考えていることが多 い。
時間数でかけない子どもの様子にかかわって精神的負 担が年々増しているように見える。
(持ち帰り仕事など)それだけでなく、日々の気のや すまらない、仕事の密度の高い仕事内容にも注目して ほしいと思います。子どもが帰るまで、トイレに行か ない時もあるのですよ。
実際に記入してみると、持ち帰り仕事の時間帯は、ま とめて( )時間というのではないから実際は( )
〜( )時、( )〜( )時と分けてやっているため記 入しにくかった。
調査の週は、大きな仕事(教育実習生の指導・参観 日)が終了したすぐ後で、持ち帰り仕事が、極端にへ ったのでいつもより少ないです。学校にはだいたい7 時半までいたし、参観日の 前 日 は、2時(午 前)ま で、教材研究していた。
今年異動し、職場の雰囲気が良いので改めて、有り難 さを実感した。
中項目 あらためて、オ ーバーワークを 実 感 し た (38 件)
生活を振り返る
(7件)
過密長時間労働 の改善に役立た つ よ う に (19 件)
調査結果を生か して(5件)
ストレスや精神 的 な 負 担 に も
(14件)
過 密 労 働 に も
(2件)
記入方法について(6件)
調査の時期について(4件)
その他(1)
大項目 生 活 を 振 り 返 り、あらためて 大変だと理解で きた(45件)
調査を生かして ほしい(24件)
ストレスや密度 なども調べてほ しい(16件)
教師の労働負担︵7︶
― 18 ―
収束しにくい実態を反映しているものと推測した︒
4 ﹁ く わ し く 調 査 ﹂ の 結 果
A課題と方法
盧
課題
もし︑教師に過密長時間労働がみられるなら︑労働時間の構造に即した対策が考案されなければならないであろう︒
こうした問題意識によって︑以下の課題を検討したい︒すなわち︑
︵1︶労働時間の内的な構造を明らかにする︑
︵2︶教師の働き方が時間的にみて過密であるかどうか︑また︑勤務基準に比較して長時間労働であるかどうかを明
らかにする︑
︵3︶労働時間の内的な構造に即して過密長時間労働を規制する方策が︑有効であるための﹁資格﹂を吟味する︑
などである︒
なお︑ここで︑﹁時間的にみて過密であるかどうか﹂にかんして︑私の判断基準を述べればつぎの通りである︒一般
的に仕事が過密というのは︑空間的にいって注意を集中しなければならない範囲が広いときや識別しなければならない
対象の種類が多いときと︑時間的にいって作業課題をつぎつぎとこなしていかなければならないときを指す︒学校にお
ける教育実践では︑空間的にはクラスの生徒数が関連し︑時間的には課題の間に挿入される休憩休息が関連する︒労働
時間を中心とする今回の調査では︑休憩休息がとられずに課題がつぎつぎと詰め込まれるときに過密化がすすむという
文脈で取りあげることにし︑空間的な過密性についてはふれない︒
― 19 ―
教師の労働負担︵7︶
宇治久世教職員組合より推薦を得た一〇名︵男三名女七名の属性は図表
10はと員力協記るけおに査調備予︑照参別
人︶に︑二〇〇三年一〇月二五日から一週間の生活時間を一〇分刻みの記入用紙に五分間隔で記入するように求めた︒
生活時間の例示に睡眠︑起床︑朝食︑家事︑私用︑昼食︑夕食︑テレビなどの娯楽︑入浴︑就寝などを示した︒学校に
いる時間の例示に通勤︑職朝︵朝の職員会議︶︑朝の会︑授業科目︑給食指導︑そうじ指導︑こども指導︑帰りの会︑
プリント印刷︑学年会︑ノートマルつけなどを示した︒また︑中間休みと昼休みの実態について詳細な記録を求めた
︵別紙参照︶︒
生活への感情・態度として︑朝起きたときの気分と︑平日に仕事から離れたくなったことがあるかどうかをたずねる
設問をもうけた︒
さらに︑持ち帰り仕事削減対策の意見と調査への感想を求めた︒
図表10 「くわしく調査」の対 象者属性
48.1 55 43 4 5 1
4 24.75 32 19.5 3.1 6.5 0.5 1 2 1 2 2 2 31.8 38 24 27 24 3 6
1 年齢 平均値
最大値 最小値 定時帰宅理由あり 健康状態 1
2 3 4 学校教師の 平均値 経験年数 最大値 最小値 いまの学校の 平均値 経験年数 最大値 最小値 担任の学年 1年生
2年生 3年生 4年生 5年生 6年生 クラス人数 平均値
最大値 最小値 持ち時間数 最大値 最小値 ふだん持ち帰り 1
2 3 4 5
教師の労働負担︵7︶
― 20 ―
盪
活動の分類コード
活動の詳細を吟味するために︑
個々の活動に図表
11に示すコード
を付与した︒
また︑持ち帰り仕事ついてはさ
らに︑対象者とおなじ学校に勤務
する調査員を選定して︑翌日に︑
その成果物を確認した︒これによ
って成果物を確認できる場合と確
認できない場合との比率を算出し
た︒
B仕事の状況
平日の仕事について記入する機
会は︑一〇人の五日分すなわち五
〇件発生する︒
盧
学校でも自宅でも仕事をする
出勤から退勤までの時間︵休憩
休息時間を含む時間︶の平均値は
図表11 仕事に関連する活動の分類とコード
平日の自宅や休日の 活動例とコード
14)持 ち 帰 り 仕 事 で、教 材 研 究、週案作成、プリント印刷、
ノート丸つけ、採点、授業準備 15)持ち帰り仕事で、学級通信 つくり、家庭訪問、学年会、保 護者対応
16)持ち帰り仕事で、問題行動 や事故への対応
17)持 ち 帰 り 仕 事 で、重 点 研 究、特 活、生 徒 指 導、人 権 教 育、職員会議
18)休日出勤の通勤
19)早帰り
10)発達心理学の 専 門 書 を 読 む、子どもをめぐる問題の解説 書を読む、パソコ ン 教 室 に 通 う、教研活動に参加する 平日の学校における
活動例とコード 1)国語、算数などの授業、委 員会指導、朝学習指導 2)朝の会、帰りの会、昼休み ゲーム指導、中間昼休み子ども 対応、
3)子ども登校前巡視、安全指 導、給食指導、そうじ指導、下 校指導
4)学校で、教材研究、週案作 成、プリント印刷、ノート丸つ け、採点、授業準備
5)学校で、学級通信つくり、
家庭訪問、学年会、保護者応対 6)学校で、問題行動や事故へ の対応
7)重 点 研 究、特 活、生 徒 指 導、人権教育、職員会議、朝の 職員会
8)通勤
9)午 前 中 の 休 憩、昼 休 み 休 息、帰りの会後の休憩、振替休 憩休息
目標、子ども、
授業などによる区分 a)授業など受持時間 中の活動
b)受持時間以外の生 活指導
c)子どもの生活確保
d)授業準備と後処理
e)学級経営と保護者 の関係つくり f)子どもの生活確保
g)学校経営と校務分 掌
h)通勤
i)子ども の 目 線 か ら 離れて休憩休息 j)教育能 力 向 上 に む けて自発的自己研鑽に 務める活動
― 21 ―
教師の労働負担︵7︶
一〇時間四分であり︑最大値は一五時間三〇分︑最小値六時間四〇分である︒休憩休息を取得した回数は二四回で︑そ
の平均値は一六分︑最大値は一時間︑最小値は五分である︒在校して仕事をする正味時間︵平均値︶は九時間五六分で
あり︑最大値は一五時間三〇分︑最小値は六時間三〇分である︒
持ち帰り仕事は四五回発生し︑その平均値は一時間三〇分︵Min0:30−Max3:30︶である︒
在校して仕事をする正味時間と持ち帰り仕事時間から一日の仕事時間をもとめると︑その平均値は一一時間一八分
︵Max16:30︶である︒なお︑持ち帰り仕事の成果物を確認したところ︵翌朝おなじ勤務校の同僚が確認︶︑時間比率か
らみて八〇・五%の作業において成果物を確認することができた︒
休日︵一〇人×二日=二〇回︶の仕事は一三回発生し︑その時間の平均値は三時間一五分である︵Min1:00−Max 5:00 ︶︒在校して仕事をする時間︑持ち帰り仕事時間︑休日の仕事時間を合計して週労働時間を算出すると︑一人あた りの週労働時間︵一〇人︶の平均値は六〇時間四五分である︵Min52:05−Max72:00︶︒これは長時間労働の例証と考
えられた︒
時刻別の分布をみると︑平日には八時頃に出勤し一七時︱一八時頃に退勤する︒さらに二一︱二三時か翌朝五︱六時
に自宅で仕事をする例が多い︒
盪
子どもの休み時間にも働く
教師の労働時間のコアは︑﹁在校中の子どもの生活時間に直接的に合わせてすすめる活動﹂である︒そのはじめは出
勤して教室へ指導に出かけるときまたは朝の職員会議を終えて教室で授業を始めるときであり︑終点は帰りの会や下校
指導の終了時刻である︒この時間の平均値は六時間四二分︵Min5:25−Max8:25︶である︒
過密労働を構成するときの重要な指標となる労働時間中の休憩休息について明らかにするため︑この時間中の休憩休 教師の労働負担︵7︶
― 22 ―
息の事情に注目した︒すなわち︑二限目と三限目の間に設定されている一五分の中間休みと︑給食指導終了後の昼休み
における教師の休憩状況である︒
中間休みに仕事をした回数は四八回︵機会は五〇回︶であり︑仕事内容︵複数回答︶をみると︑ノート点検・採点な
ど︵三五・一%︶︑教材研究・授業準備︵一九・三%︶︑子どもへの対応︵一五・八%︶︑その他の仕事││印刷などを
ふくめて︵一四・〇%︶であった︒子どもの昼休みに仕事をした回数は四九回であり︑仕事内容はノート点検・採点な
ど︵二九・七%︶︑子どもへの対応︵二三・四%︶︑子どもとの会議︵一七・二%︶︑その他の仕事││学外で授業を継
続するなどをふくめて︵一七・二%︶であった︒
中間休みには︑授業進行にかかわる仕事をあわただしくすすめている様子がうかがえる︒昼休みには︑授業後処理と
ともに︑子どもとふれあう活動を忙しくすすめている事情が知られる︒
この事情に対する教師側の態度をみるために︑﹁仕事中に︑子どもから離れてホッとひと息つきたいと感じたことは
ありましたか﹂の設問をもうけた︒これに対して四七件の回答がみられ︵機会は一〇人×五日=五〇回︶︑﹁ときどきあ
った﹂二〇件︵四二・六%︶︑﹁なかった﹂一四件︵二九・八%︶︑﹁しばしばあった﹂一〇件︵二一・三%︶︑その他三
件であった︒
これらはいずれも過密労働の例証と考えられた︒過密労働を効果的に規制するためには︑この事情に切りこむことが
必要であると考えられた︒
蘯
授業進行にかかわる仕事が多い
平日と休日のそれぞれで︑生活行動の分類項目ごとに時間構成比率をもとめ︑次ページ図表
12に示した通りに仕事の
内容を区分して吟味した︒すなわち︑﹁教育目標を実現するために直接的に必要な活動﹂︵通勤時間をのぞく︶を︑授業
― 23 ―
教師の労働負担︵7︶
に関連する仕事︑担任学級経営に関連する仕事︑子ども生活確保に関連する仕事︑学校
経営校務分掌に関連する活動の四つに分割してみた︒すると︑図表
12の通りに︑授業や
委員会など授業など受持時間に関連する仕事が平日で六割を占め︑休日持ち帰り仕事の
八割弱を占める︒ついで︑担任学級経営に関連する仕事が平日で二割︑休日で一割強で
ある︒これらを一週間に展開して比率を求めると︑授業関連の時間が六割を超える︒
さらに︑授業関連の仕事︵平日で六時間四九分︶の内容を区分して集計すると︑授業
など受持の活動時間はほぼ四時間︵三時間五八分︶であり︑授業の準備と後処理に要し
た時間はほぼ三時間︵二時間五〇分︶である︒一週間に展開して両者の比率を算出する
と︑受持授業と準備後処理の比は一対〇・九にある︒すなわち四五分︵これを一時限の
授業と称する︶の受持授業に対して九割の時間すなわち約四〇分を準備・後処理の時間
にあてている︒
結局︑授業などの受持時間とその準備と後処理に仕事に関連する時間の大半をさいて
いる︒長時間労働を規制する対策が有効性をもつためには︑この事情に切りこむことが
必要であると考えられた︒
C生活時間はきゅうくつである
就寝時間︵就寝時刻から起床時刻まで︶について平均値︵一〇人×六日︶をみると六
時間二〇分である︒これを平日︑休日に分けてみると︑平日︵五〇回︶の平均値は五時
間五八分︵Max8:30−Min4:30︶であり︑休日︵日曜日夜から月曜日朝︶︵一〇回︶の
図表12 仕事の内容構成(%)
1週間 構成比率
62.1%
20.9%
8.8%
8.2%
100.0%
休 日 構成比率
78.5%
15.0%
0.0%
6.5%
100.0%
時間構成 1:43 0:19 0:00 0:08 2:11 平 日
構成比率 60.8%
21.2%
9.6%
8.3%
100.0%
時間構成 6:49 2:22 1:04 0:56 11:13 項 目
授 業 関 連 担 任 学 級 経 営 子どもの生活確保 学校経営校務分掌
合 計
教師の労働負担︵7︶
― 24 ―
平均値は六時間二九分︵Max8:30−Min5:00︶である︒なお︑三名が七回にわたり午後から夕方にかけて一回平均一
時間三一分の仮眠をとっている︒
﹁朝起きたときどうでしたか﹂という問いに対して六四件の回答があり︵機会は七〇回︶︑﹁少し寝たりないと感じた﹂
三五件︵回答全体に対して五四・七%︶︑﹁寝たりないと強く感じた﹂一八件︵二八・一%︶︑﹁スッキリと起きられた﹂
八件︵一二・五%︶︑その他三件であった︒寝不足感を訴える例が多かった︒
D調査対象者の代表性について
﹁くわしく調査﹂の対象者は一〇名であり︑そこから得られた調査結果の代表性については別途に吟味しなければな
らないと考えられた︒そこで︑﹁みんなで調査﹂とおなじ調査項目を用いて代表性を吟味すると︑つぎの通りである︒
盧
授業持ち時間の分布
授業持ち時間の分布を
くらべると︑図表
13の通
りである︒﹁みんなで調
査﹂結果︵二一八名︶で
は︑最も多い例は二七︱
二七・九時間であり︑つ
いで二六︱二六・九時間
である︒これに対して
﹁くわしく調査﹂︵一〇
図表13 受持時間の分布を比較する くわしく 調査の結果
1人 5 1 3
10人 みんなで
調査の結果 19人
7 10 37 45 73 23 3 1 218人 時間区分
なし 23−23.9時間 24−24.9時間 25−25.9時間 26−26.9時間 27−27.9時間 28−28.9時間 29−29.9時間 30−30.9時間 集計人数
図表14 在校時間の分布を比較する くわしく調査
0 1 1 6 25 8 6 1 0 2 50 みんなで調査
11 16 16 134 427 298 102 24 12 7 1047 時間区分
6時間未満 6−6:59 7−7:59 8−8:59 9−9:59 10−10:59 11−11:59 12−12:59 13−13:59 14時間以上 集計人数
― 25 ―
教師の労働負担︵7︶
40.0%
35.0%
30.0%
25.0%
20.0%
15.0%
10.0%
5.0%
0.0%
頻度(%)
30分未満 2時間30分未満
時間数
4時間30分未満 6時間以上 みんなで調査
くわしく調査
名︶で最も多い例は二五︱二五・九時間であり︑ついで二七︱二七・九時間で
ある︒﹁くわしく調査﹂の一〇名が︑﹁みんなで調査﹂の傾向から大きなズレが
あるとはいえないだろうと判断した︒
盪
在校時間の分布
在校時間を集計できた範囲でその分布を比較すると︑前ページ図表
14の通り
である︒
在校時間の最も多い例は︑﹁みんなで調査﹂﹁くわしく調査﹂ともに九時間か
ら九時間五九分である︒ついで一〇︱一〇:五九︵時間︶が︑それぞれで二九
八例および八例である︒﹁くわしく調査﹂の一〇名が︑﹁みんなで調査﹂の傾向
から大きなズレがあるとはいえないだろうと判断した︒
蘯
持ち帰り仕事の頻度と時間の分布
持ち帰り仕事の頻度とその時間分布を比較するとつぎの通りである︒
まず︑持ち帰り仕事の発生回数を比較する︒﹁みんなで調査﹂において平日
には六八四回発生し調査機会に対して六二・五%の発生率である︒﹁くわしく
調査﹂では四五回発生し九〇・〇%である︒同じく発生した持ち帰り仕事の継続時間の分布を比較すると︑右図の通り
である︒平日に発生した持ち帰り仕事を比較するかぎりでは︑両者の傾向はよく似ていると判断した︒
これらを総合して判断すれば︑﹁くわしく調査﹂と﹁みんなで調査﹂の対象集団は︑受持時間数や在校時間数の分布
図表15 持ち帰り仕事の度数分布
教師の労働負担︵7︶
― 26 ―
においては大きな違いは見られない︒ただ︑﹁くわしく調査﹂の対象者は持ち帰り仕事を高率で行う傾向が見られた︒
にもかかわらず︑実際に行った時間数ではよく似た傾向を示した︒
したがって︑持ち帰り仕事の発生頻度をみるときには﹁みんなで調査﹂の結果を重視する︒そのうえで︑持ち帰り仕
事をふくめて仕事の内容構成を検討するときには﹁くわしく調査﹂のデータを検討しても大きな間違いにはならないと
判断した︒
5 教 師 の 働 き 方 を 吟 味 し て
A適切な分類基準を探求して
教師個々人の生活活動を分類して吟味するとき︑その基準は現実性と合理性を備えていなければならない︒すなわ
ち︑
︵1︶教師の生活行動の実態に合致して︑その行動の背景にある理由を十分に説明する現実性を有している︑
︵2︶個々の行動の内的な関連を的確に表現する合理性を有している︑
︵3︶これらにより︑労働時間問題の解決策に容易に結びつけることができる︑
という要件をみなさなければならないであろう︒
しかし実際には︑得られたデータを整理しながら試行錯誤を重ねるほかない︒その過程を詳述することは困難である
が︑本調査ではつぎのような順序で試行した︒
― 27 ―
教師の労働負担︵7︶
盧
生活活動の基本構造を構想する
現代における生活活動の基本構造を構想し︑本人と
家族の衣食住その他における現在の水準を維持向上さ
せる活動︵以下︑生命生活活動︶︑家族︵子ども︶を
育て自分自身の未来を体現するように家族︵親︶を介
護する活動︵家族活動︶︑家族ともども地域社会と関
係する活動︵地域活動︶︑それ以外に自由な趣味的な
活動︵自由活動︶という四本柱を想定した︒こうして
仕事に関連しない生活時間を︑生命生活活動︑家族活
動︑地域活動︑自由な活動に区分する分類基準を得
た︒
仕事に関連する活動のうちで教育能力を向上させる
自己研鑽の活動と︑教育目標を実現するために直接的
に必要な活動︑仕事から離れて休憩休息する時間とを
区別した︒後二者が過密長時間労働の実態をより純粋
に反映する︒
盪
教育目標を実現するために直接的に必要な活動
教育目標を実現するために直接的に必要な活動を詳
図表16 労働時間の調整可能性(1)
−場所や時間を個人的に調整できる自由度の違い−
在校中の子どもの生活時間以外にすすめる活動 自宅で 14)持ち帰り仕事で、教 材研究、週案作成、プリ ン ト 印 刷、ノ ー ト 丸 つ け、採点、授業準備 15)持ち帰り仕事で、学 級 通 信 つ く り、家 庭 訪 問、学年会、保護者対応 16)持ち帰り仕事で、問 題行動・事故の後処理
17)持ち帰り仕事で、重 点 研 究、特 活、生 徒 指 導、人権教育、職員会議 の準備と後処理 個人的に調整できる余地 が比較的大きい 在校して
4)学校で、教材 研 究、
週 案 作 成、プ リ ン ト 印 刷、ノ ー ト 丸 つ け、採 点、授業準備
5)学校で、学級通信つ く り、家 庭 訪 問、学 年 会、保護者応対 6)学校で、問題 行 動・
事故の後処理
7)学校で、重点 研 究、
特活、生徒指導、人権教 育、職員会議,朝の職員 会
共同的に行う場合に、個 人的に調整できる余地は 少ない
在校中の子どもの 生活時間に直接的に 合わせてすすめる活動 1)国語、算数な ど の 授業、委員会指導、朝 学習指導
2) 朝 の 会 、 帰 り の 会、昼 休 み ゲ ー ム 指 導、中間昼休み子ども 対応、
3)子ども登校前の教 室巡視、安全指導、給 食指導、そうじ指導、
下校指導
個人的に調整できる余 地はきわめて少ない 授業に関連
する仕事
担任学級に 関連する仕 事 子どもの生 活確保に関 連する仕事 学校経営に 関連する仕 事 自由度のち がい
教師の労働負担︵7︶
― 28 ―
細に吟味して︑授業などの受持時間を中心とする活
動︑担任学級を中心とする活動︑こどもたちの生活確
保の活動︑学校経営と校務分掌の活動という四つの共
通軸を設定した︒
さらに子どもと関係する仕方によっても分類した︒
すなわち︑在校中の子どもの生活時間に直接に合わせ
てすすめる活動と︑子どもの生活時間以外にすすめる
活動である︒前者の︵在校中の子どもの時間に直接に
合わせてすすめる︶活動は︑授業などの受持時間中の
活動︑担任学級を中心とする生活指導︑子どもの生活
確保と安全衛生の活動である︒後者の︵子どもの生活
時間以外にすすめる︶活動は︑授業準備と後処理︑担
任学級の経営と保護者との関係つくり︑子どもの生活
確保と安全衛生の活動︵事故対応など︶︑学校経営と
校務分掌などに区分できる︒
蘯
労働時間の調整可能性について
こうした分類項目に応じて︑それぞれの調整可能性
について考案してみると︑図表
16・ 17のように整理す
図表17 労働時間の調整可能性(2)
−仕事量の増減を左右する要因の違い−
仕事量増減の要因 授業など持ち時間数に関連 して分量が変化する。持ち 時間数が減ると、作業量が 減る。
子どもたちへの対応、学級 運営など、子どもの人数に 応じて分量が変化する。担 任クラスの人数が減れば作 業量が減る。
給食指導、そうじ指導など を他の者に依頼すれば昼休 み休息が可能になる。
学校運営や校務分掌などに 関連して分量が変化する。
校務分掌をもつ者の授業時 間数を軽減すれば、負荷が 平準化する。
子どもの生活時間以外にすすめる活動 自宅で 14)持ち帰り仕事 で、教材研究、週 案作成、プリント 印刷、ノート丸つ け、採点、授業準備 15)持ち帰り仕事 で、学級通信つく り、家庭訪問、学 年会、保護者対応 16)持ち帰り仕事 で、問題行動・事 故の後処理 17)持ち帰り仕事 で、重点研究、特 活、生徒指導、人 権教育、職員会議 の準備と後処理 在校して
4)学 校 で、教 材 研究、週案作成、
プリント印刷、ノ ー ト 丸 つ け、採 点、授業準備 5)学 校 で、学 級 通信つくり、家庭 訪問、学年会、保 護者応対 6)学 校 で、問 題 行動・事故の後処 理
7)学 校 で、重 点 研究、特活、生徒 指導、人権教育、
職員会議,朝の職 員会
子どもの生活時間に 合わせてすすめる活動 1)国 語、算 数 な ど の 授 業、委 員 会 指 導、朝学習指導 2)朝 の 会、帰 り の 会、昼休みゲーム指 導、中間昼休み子ど も対応、
3)子ども登校前の 教 室 巡 視、安 全 指 導、給食指導、そう じ指導、下校指導 授業に関
連する仕 事
担任学級 に関連す る仕事 子どもの 生活確保 に関連す る仕事 学校経営 に関連す る仕事
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教師の労働負担︵7︶
ることができる︒
これでみると持ち帰り仕事の意味が明らかになる︒すなわち︑第一に﹁教育目標を実現するために直接的に必要な活
動﹂であり︑﹁在校中の子どもの生活時間以外にすすめる活動﹂のうち﹁場所や時間を個人的に調整でできる自由度が
大きい﹂部分を︑それを理由にして自宅で遂行している︒第二に仕事内容によって仕事量の増減する要因がちがう︒授
業に関連する仕事なら︑受持時間の多少に規定される︒また担任学級の経営に関する仕事なら担任するクラスの生徒数
が影響する︒学校経営に関する仕事なら校務分掌の種類が重要になる︒
第三に︑持ち帰り仕事を縮減する規制方策を考案するときには︑持ち帰り仕事の内容として﹁授業に関連する仕事﹂
として︑たとえば﹁
眷な採点︑授業準備﹂どけが多い場合には︑︑つ教︑材研究︑週案作成プ丸リント印刷︑ノートこ
うした仕事を効果的に減らすための方策が期待される︒
また︑長時間労働がみられ︑その対策を考案しなければならないとするならば︑主たる構造成分を対象にした方策も
考案しなければならない︒そこで受持授業そのものを縮減する方策が重要な意味をもつ対策案として取りあげることに
もなる︒
B過密で長時間といえるかどうか
これまでの結果をもとに︑教師が過密で長時間の働き方になっているといえるかどうかについて考案してみよう︒
盧
長時間性の検証
何をもって長時間というか︒
これま
での経験
か らつぎ
の条件
があ て はま る とき に長時間
という
こ とに し たい︒す
な わち︑
︵1︶一日労働時間が八時間を大きく超える︒一〇時間を超えるときも少なくない︒あるいは週労働時間が四〇時間
を大きく超える︒五〇時間を超えるときも少なくない︒ 教師の労働負担︵7︶
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︵2︶休日労働が少なくない︒週休二日制を前提にして月四回を超えるときもある︒
︵3︶一日の生活時間のうちで︑睡眠時間が不足したり︑食事時刻が不規則になったりする︒
︵4︶週の中途で疲労の回復がきわめて不十分であると自覚するような状態である︒
つぎに︑教師の労働時間をどのように規定するかが重要である︒これまでに提案した内容でいえば︑教育目標を実現
するために直接的に必要な活動であり︑在校中の子どもの生活時間に直接的に合わせてすすめる活動と︑子どもの生活
時間に合わせずにすすめる活動とからなっている︒︵﹁図表2教師の仕事と生活を分類する基準﹂﹁図表
11
仕事に関
連する活動の分類とコード﹂︑﹁図表
16︑ 17
労働時間の調整可能性﹂参照︒︶
この意味は︑持ち帰り仕事が︑教育目標を実現するために直接的に必要な活動であり︑在校中の子どもの生活時間以
外にすすめる活動である場合には労働時間に繰り入れる︒しかし同時に︑教育能力向上の自発的自主的な活動の場合に
は労働時間として計算しないということをも含んでいる︒
こうした条件で調査結果を検討すると以下の通りである︒
まず︑長時間在校する傾向が見られることは明らかである︒在校時間中には休憩休息をとることは少ない︒また子ど
もたちが在校する時間中はほとんど休憩が取れない︒さらに︑持ち帰りで追加的に仕事をする場合が少なくない︒さら
に︑休日労働を行う場合も少なくない︒これらをあわせてみるならば︑長時間労働の傾向は明らかである︒
こうした長時間労働によって睡眠時間が短縮したり︑夕食時刻が不規則になったりする︒これらのことから対象者の
睡眠不足感が高じている︒週の中途で疲れがはげしくなったり︑週の初めから疲れていたりする状態が推測された︒
家族関係のための時間や地域社会関係のための時間を︑当然のことながら相当に短縮している︒
以上にみたように︑仕事に従事する時間分布︑生活時間分布︑心身の不調感などを証拠に︑長時間労働がみられると
判断し︑何らかの打開策を期待したいと考えた︒
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教師の労働負担︵7︶
盪
過密性の検証
過密性には︑空間的な過密性と時間的な過密性がある︒このうち時間的な過密性は︑休憩を取らずに仕事を続けるこ
とであり︑﹁仕事に追いかけられる﹂という心情にとらわれやすい事態である︒これを︑調査結果に即して検討すると
つぎの通りである︒
まず第一に︑休憩が始業時からずいぶんと遅い時刻に設定されていて一連続作業時間が極端に長くなっている︒子ど
もが学校にいる間には︑制度上の勤務基準としても︑実態としても休憩を取ることがきわめて困難である︒第二に︑授
業の中間休みや子どもの昼休みは教師の仕事がとても忙しくなる時間帯である︒第三に﹁仕事中に︑子どもから離れて
ほっとひと息つきたいと感じたことはありましたか﹂という設問に対して﹁ほっとひと息つきたい﹂とする欲求が強く
発生している状況が示された︒これは過密労働に対する反応の一つである︒
以上から教師は過密労働であり︑それに悩まされていると判断した︒
C働き方の改善にむけて
盧
過密性を打開する方策
過密性は︑今回の調査では︑労働時間中の適切な時刻に休憩休息が取れるかとれないかで判断するように設計した︒
そこで﹁休息﹂の定義として子ども︑同僚︑上司の視線からはなれることを重要な条件にした︒予備調査を通じて得ら
れた考え方であるが︑実際には休憩室がほとんど設置されていないときには﹁休息が取れない﹂という結論に誘導する
指標という指摘も受けそうである︒しかし︑教師が子どもの視線の中で休息するということが︑理論的に実際にもあり
得ないことは明らかである︒それよりも︑休憩室もないという実態︑授業の中間休みや子どもの昼休みにこそ教師が忙
しくなる実態を明らかにするには有効な指標であると考えた︒ 教師の労働負担︵7︶
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