奈良信用金庫・奈良県立大学『やまといろプロジェクト』
奈良市観光調査プロジェクト研究報告書
-学生による質問紙調査と奈良市観光振興への政策提言-
平 侑子 編
奈良県立大学 地域交流センター COC/COC+推進室
平成 29 年 3 月
目次
第 1章
学 生 主 体 の 奈 良 市 観 光 調 査
- グ ル ー プ ワ ー ク で 探 る 観 光 客 の 意 識 と 動 向 -
平 侑 子 ・ ・ ・ ・1
第 2章
奈 良 市 に お け る 観 光 客 の 情 報 収 集 の 実 態
―SNS の 普 及 と 重 要 性 に つ い て ―
中 島 遥 香 中 野 早 也 香 長 谷 朱 子 ( 情 報 収 集 グ ル ー プ )・ ・ ・ ・10
第 3章
「 見 る 」 か ら 「 体 験 す る 」 へ
- 奈 良 市 の 体 験 型 観 光 の 可 能 性 -
金 美 那 ・ 山 崎 美 和 ・ 渡 邊 妃 奈 子 ( 観 光 目 的 グ ル ー プ )・ ・ ・ ・19
第 4章
訪 日 観 光 客 へ の ア ン ケ ー ト か ら 読 み 取 る 奈 良 の 滞 在 型 観 光 に つ い て
原 潮 実 ・ 大 川 陽 菜 乃 ・ 武 藤 恵 祐 ( 移 動 ・ ル ー ト グ ル ー プ )・ ・ ・ ・28
第 5章
奈 良 市 の 土 産 提 言
― 「 鹿 」 の 要 素 を 取 り 扱 う に あ た っ て ―
玉 山 祐 華 ・ 仮 屋 伶 衣 子 ・ 飯 野 文 菜 ( 土 産 物 グ ル ー プ )・ ・ ・ ・37
第 6章
奈 良 市 観 光 に お け る 新 し い 観 光 資 源 と し て の 食 事 の 可 能 性
長 谷 川 慎 ・ 樫 尾 圭 亮 ・ 四 方 遼 祐 ・ 明 後 亜 都 姫 ( 魅 力 ・ イ メ ー ジ グ ル ー プ )・ ・ ・ ・44
〈 巻 末 資 料 〉
質 問 紙 (4種 )
1
学生主体の奈良市観光調査
- グ ル ー プ ワ ー ク で 探 る 観 光 客 の 意 識 と 動 向 -
平 侑子 ( 奈 良 県 立 大 学 特 任 講 師 )
1 . は じ め に
本 報告 書 は 、 平 成
28
年度 に 行 わ れ た 「 奈良 市 観 光 調 査 プ ロ ジェ ク ト 」に お け る学 生 の 取 り 組 み を 記録 し た も の で あ る 。本 プ ロ ジ ェ ク ト は 、奈 良 信用 金 庫 と 本 学 に よ る 共 同 事 業 「 や ま と い ろ プ ロ ジ ェ ク ト 」1の 一 環 と し て 実 施 さ れ た 。奈 良市 は 多 く の 文 化 遺 産と 長 い 歴 史 を 有 す る国 際 文 化 観 光 都 市 で あ る 。し か し 、意外 に も 観 光 客 を 対象 と し た 調 査 デ ー タの 蓄 積 に は 乏 し い と言 わ れて い る 。確 か に 、奈 良 市(
2015)や 奈 良 県(2015)に よ る 調 査 報 告 書に は 、観
光 客 の総 数 は 示 さ れ て い る も の の 、観 光 客 の 行動 や 意 識 に 関 す る 詳細 は 十分 に 調 べら れ て い な い 。奈 良に 関 す る 研 究 を 概 観し て も 、た と え ば 堀野(2000)
に よ っ て 奈 良 の 観 光 資 源 が 他 府 県 ( 特 に 京 都 と 大 阪 ) と 比 較 さ れ て い た り 、 麻 生(2016)に よ っ て 季 節ご と の 行 事 や 県 内 地域 別 に 観 光 客 数 の 推 移 が 明ら か に され て い た り は す る が 、や は り 観 光 客 を 対象 と し た 旅 行 意 識 の 調 査 研究 と な ると そ の 数 は 少 な い 。こ の 状 況 を 受 け て 本プ ロ ジ ェ ク ト で は 、参 加 学生 の 関 心事 を も と に 、観 光 客が 何 を 目 的 に 奈 良 市を 訪 れ て い る の か 、市 内 でど の よ うに 過 ご し て い る の か な ど 、奈 良 市 の 観 光客 の 実 態 を 調 査 し た。本 報告 書 の 第 二 章 か ら は 、学 生 が シ ン ポ ジ ウ ム で 発 表し た 調 査 結 果 と 政 策提 言 を文 章 に まと め て い る 。
2 . プ ロ ジ ェ ク ト の 目 的
奈 良 市観 光 調 査 プ ロ ジ ェ クト の 目 的 は 、次 の
3
つ で ある 。一 つ め は「奈 良 市 の 観光 に 関 す る 新 た な デー タ を 収 集 す る こ とで 、奈 良 市 の 観 光 政策 に 資す る こ と」で あ る 。前 述 の 通り 、奈 良 市 の 観 光 に 関 す る デ ー タ は 、観光 客 の行 動 や 意識 に 関 し て は 特 に 蓄積 が 乏 し い こ と が 課題 に 挙 げ ら れ て い た 。今 回の 調 査 は、学 生 自 身 の 手 で 調査 を 行 い 、奈 良 市 の観 光 の 実 態 を 明 ら かに す るこ と を 第一 の 目 的 と し た 。二 つ めは「 奈 良 県 立 大 学 の 学 生 が 、観 光 と い う観 点 か ら 奈 良 市 に つい て知 見 を 深め る こ と 」で あ る 。調 査 の 実 施 者 で あ る 奈 良 県 立 大 学 の 学 生は 、実家
1 「 や ま と い ろ プ ロ ジ ェ ク ト 」 と は 、 奈 良 信 用 金 庫 と 本 学 が 2011 年 に 締 結 し た 地 域 連 携 協 定 に も と づ い て 発 足 し た プ ロ ジ ェ ク ト で あ る 。 平 成 28年 度 は 他 に 「 奈 良 市 ガ イ ド ブ ッ ク 制 作 プ ロ ジ ェ ク ト 」 と 「 砂 糖 傳 増 尾 商 店 商 品 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト 」 が 実 施 さ れ た 。
2
の あ る大 阪 や 京 都 か ら 通 う 者 が 多 い2。彼 ら が 地元 で ア ル バ イ ト 等 を す る と、
奈 良 に滞 在 す る 時 間 は 大 学の 授 業 と 部 活 の み とな り が ち で あ り 、卒 業ま で の
4
年 間 に 奈 良 に 関す る 知 識を 深 め る 機 会 は 限 られ る 。そ の よ う な 学生 が 、ま ず は 奈 良 市 の 観 光 を 通 し て 奈 良 へ の 知 識 や 見 識 を 深 め る こ と を 狙 い と し た 。そ し て、三 つ め に「 プ ロ ジェ ク ト を 通 し て 、今後 の 学 生 生 活・社 会人 生活 の 糧 とな る さ ま ざ ま な 能 力を 身 に つ け る こ と 」で ある 。本 プ ロ ジ ェ クト で は、
学 生 が率 先 し て グ ル ー プ で課 題 を 見 つ け 、解 決 に向 け て 自 主 的 に 取り 組 む 姿 勢 を 求め た 。こ の プ ロ ジ ェク ト を 通 し て 、今 後の 学 生 生 活 や 卒 業 後の 生 活へ と 有 意義 に つ な が る よ う 、課 題 発 見 能 力 や 文 書作 成 力 、グ ル ー プ ワー ク を円 滑 に 進め る 力 等 を 身 に つ け る こ と を 目 的 と し た。
3 . 実 施 体 制
本 プ ロ ジェ ク ト の 実 施 体制 は 図
1
の 通 り で ある 。参 加 学 生 は 、グル ー プ ご と に プ ロ ジ ェ ク ト を 進 め 、 奈 良 信 用 金 庫 と 、「 や ま と い ろ プ ロ ジ ェ ク ト 」 の ア ド バ イ ザ ー と し て 参 加 し て い る 日 本 総 合 研 究 所 と の 月 例 会 議 に 参 加 す る 。 会 議 では 、グ ル ー プ ご と に進 捗 状 況 を 発 表 し 、主 に 奈 良 信 用 金 庫 地域 創 生室 の 平 山豊 氏 と 日 本 総 合 研 究所 リ サ ー チ・コ ン サル テ ィ ン グ 部 門 の 山本 大 介 氏、本 学 の
COC/COC+推 進 室の 教 員 ら か ら 、 質 問や 助 言 、 指 摘 等 を 受け た 。本
プ ロ ジェ ク ト 担 当 教 員 で ある 筆 者 は 、プ ロ ジ ェク ト の ス ケ ジ ュ ー リン グ と各 グ ル ープ の 進 捗 状 況 の 調 整、調 査 の 準 備 、学 生と の デ ィ ス カ ッ シ ョン 、会議
2 『 奈 良 県 立 大 学 CANPUS GUIDE 2017』 に よ る と 、2016年 5 月 1日 現 在 、 大 阪 府 ・ 京 都 府 に 在 籍 し て い る 学 生 は 、 併 せ て 295名 (50.3% ) と 半 数 以 上 で あ る 。 一 方 、 奈 良 県 に 在 籍 し て い る 学 生 は 全 学 生 586名 中 94名 (16.0% ) で あ る 。
参 加 学 生
( 5 グ ル ー プ )
奈 良 信 用 金 庫 日 本 総 合 研 究 所
COC/C O C + 推 進 室 教 員
担 当 教 員 進 捗 状 況 の 報 告
質 問 ・ 指 摘 ・ 助 言
グ ル ー プ ワ ー ク 進 行 の 調 整 ・ 月 例 会 議 用 の 資 料 作 成 や 発 表 に 向 け た 指 導・会 議 内 容 の 理 解 促 進 等
月 例 会 議
図 1 . 奈 良 市 観 光 調 査 プ ロ ジ ェ ク ト の 実 施 体 制 ( 筆 者 作 成 )
3
資 料 準 備 や 最 終 発 表 に 向 けた 指 導 の ほ か 、会 議 にお い て 各 グ ル ー プ が 受 けた 助 言 や指 摘 に 対 す る 学 生 の 理 解 を 促 し 、今 後 の方 針 を 学 生 と 共 に 考え る 役割 を 担 った 。
4 . 実 施 ス ケ ジ ュ ー ル
プ ロ ジェ ク ト の 実 施 期 間 は 、 平 成
28
年7
月 から 平 成29
年2
月 まで の 約8
ヶ月 間 で あ り 、学 生 達 の 授 業 や ア ル バ イ ト 、部活 動 の 合 間 を 縫 って 行 われ た 。奈 良 信用 金 庫 と の 月 例会 議 は 月1
回 の 頻 度で 、前 述 の 通 り 各 グル ー プ の 進 捗 状況 を 定 期 的 に 報 告 しな が ら 進 め ら れ た 。そ の ほか 、具体 的 な ス ケ ジュ ー ル は 表
1
の 通 りで あ る。平 成28
年7
月 初 旬 に 参加 学 生 の 顔 合 わ せ をし 、自 己 紹 介 や 奈 良市 の 観 光 に 関 し て 興味 が ある こ と 、自 分 が 旅 行 を す る とき に こ だ わ る こ と など を 発 表 し あ っ た 。各 々 の興 味 を もと に 、担 当 教 員 で ある 筆 者 が グ ル ー プ 分け( 後 述 )を し 、すぐ に グル ー プ ご と に 奈 良 市 の 観 光 に 関 す る 既 存 の デ ー タ の 収 集 や 各 々 の 興 味 に 関 連 す る 文献 調 査 を 始 め た 。7
月27
日 に は 、 奈 良市 観 光 協 会 の 鷲 見 哲男 専 務理 事 の 講演( タ イ ト ル:「奈 良 の 観 光 の現 状 と 課題 に つ い て」)を 聴 講 し 、45
分 間 の 質疑 応 答 に よ っ て 近 年の 奈 良 市 の 観 光 に 関す る 理 解 を 深 め た 。表 1. 奈 良 市 観 光 調 査 プ ロ ジ ェ ク ト の ス ケ ジ ュ ー ル
日時 内容 詳細
6月15日 奈良信用金庫との会議① (学生は不参加)
7月6~7日 初回顔合わせ 自己紹介等
7月12日 奈良信用金庫との会議② (学生は不参加)
7月13日 グループ分け発表・テレビ取材
7月19日~8月10日 グループ会議(各グループ1~3回) 文献調査、質問設定 7月27日 観光協会鷲見専務理事による講演
8月8日 奈良信用金庫との会議③ 設問案発表
8月22~23日 調査前説明会 8月24~26日 調査実施 8月29~31日 調査実施
9月27日 奈良信用金庫との会議④ 調査の感想を発表 10月17~27日 グループ会議(各グループ1~2回) 簡易集計をもとに考察
11月8日 奈良信用金庫との会議⑤ 考察内容を発表
11月10日 テレビ取材
11月22日~12月26日 グループ会議(各グループ1~3回) 考察、追加調査の実施 12月14日 なら観光シンポジウム 情報収集グループが発表 1月19日 奈良信用金庫との会議⑥ 追加調査を含めた発表予定
案を報告
4
8
月 に入 り グ ル ー プ ご と に 設 問 を 考 え 、 調 査 前の 打 ち 合 わ せ を 経 て、8
月24~26
日 、29~ 31
日 の計6
日 間 に 渡 っ て 調 査を 実 施 し た( 後 述)。そ の 後 、 日 本 総 研 の 山 本 氏 に デ ー タ の 打 ち 込 み ・ 簡 易 集 計 を 依 頼 し 、10
月 中 旬 よ り 集 計 結果 を 元 に し た 考 察 や 、 提 言 に 向 け た 追 加調 査 が 開 始 さ れ た 。12
月14
日 に は一 足 早 く 、グ ル ー プ の 一 つ が 奈良 信 用 金 庫・奈 良 県立 大 学 主 催 「な ら 観 光 シ ン ポ ジ ウム 」 に て 発 表 を 行 い、 他 の グ ル ー プ は 平成29
年2
月11
日 に 開 催 さ れ た 「産 学 連 携 『 や ま と いろ プ ロ ジ ェ ク ト 』 成果 報 告シ ン ポ ジウ ム ~ 奈 良 の 活 性 化に 向 け た 学 生 の 取 り組 み ~ 」 に て 発 表 した 。5 . 参 加 学 生 の グ ル ー プ 分 け
学 生は 、1 年 次生 から
4
年 次 生ま で 計16
名 が 集 ま り、2~3 年 次 生 に 関 し て は すべ て の コ モ ン ズ の 学生 が 揃 っ た 。本 プ ロジ ェ ク ト は 、開 始 当初 の 顔合 わ せ に お け る 自 己 紹 介 と 、 奈 良 市 の 観 光 に 対 す る 各 々 の 関 心 ご と を も と に 、 筆 者 によ り 学 生 を5
つ の グル ー プ に 分 け た 。 表2
は 、 各 グル ー プ の名 前 と、そ れ ぞれ に 所 属 す る 学 生 であ る 。
6 . 調 査 の 実 施
6 - 1 . 質 問 紙 の 構 成
本 プロ ジ ェ ク ト に お け る 調 査 方 法 は 、日 本 人・外 国 人 観 光 客 を 対象 と した 質 問 紙調 査 で あ る 。調 査 で使 用 す る 質 問 紙 は 、こ れ か ら 奈 良 市 を 観光 す る 観 光 客 向け と 、すで に 観 光 を終 え た 観 光 客 向 け のも の を 、そ れ ぞ れ 日本 語 版・
英 語 版で 作 成 し た( 巻 末 資 料 参 照 )。質 問 紙 には 、回 答者 の 出 身 地・性 別・年 齢 ・ 同行 者 な ど の 基 本 情 報に 加 え て 、 各 グ ル ープ が
1~ 3
問 ず つ 用意 し た設 問 が 盛り 込 ま れ て い る 。予定 す る 分 析 方 法 や 考察 内 容 に よ っ て 、観光 前・観 光 後 の 質 問 紙 に 別 々 の 設 問を 用 意 し た グ ル ー プも あ れ ば 、共 通 し た設 問 を用 意 し たグ ル ー プ も あ る 。各 質問 紙( 合 計4
種 類 )にお け る グ ル ー プ の設 問 は、下 記 の対 応 表 の 通 り で あ る ( 表
3)。
表 2. プ ロ ジ ェ ク ト に お け る グ ル ー プ 分 け
※( )内 の数 字 は学 年 、名 前 は五 十 音 順
グループ名 参加学生の名前
情報収集 中島遥香(2)、中野早也佳(2)、長谷朱子(2)
観光目的 金美那(2)、山崎美和(2)、渡邊妃奈子(2)
移動・ルート 大川陽菜乃(2)、原潮実(2)、武藤恵祐(2)
土産物 飯野文菜(1)、仮屋伶衣子(4)、玉山祐華(3)、
魅力・イメージ 樫尾圭亮(3)、四方遼祐(1)、長谷川慎(2)、
明後亜都姫(1)
5
6 - 2 . 質 問 紙 の 回 収 方 法
奈 良 市(2015)お よ び 奈良 県(
2015)に よ る調 査 で は 、奈 良 を 訪れ た 観 光
客 の 総数 は 明 ら か に さ れ てい る も の の 、そ の 性別 、年 代 、国 籍 別 の割 合 等を 示 す デ ー タ は 見 当 た ら な い3。 プ ロ ジ ェ ク ト の 参 加 人 数 お よ び ス ケ ジ ュ ー ル 等 も 考 慮 し た 結 果 、 本 プ ロ ジ ェ ク ト で は 小 松 ・ 中 山 (2007)
4と 同 様 、 非 確 率 抽 出法 に よ り 、調 査 地 点に お い て 出 来 る だ け多 く の 集 団 に 回 答 の 記 入 を依 頼 す るこ と で デ ー タ を 収 集し た5。調 査 にあ た っ て は 、設 問 数 が 多 く 、各 グ ル ー プの 質 問 意 図 を あ ら かじ め全 員 が 把握 す る 必 要 が あ る ため 、調 査 前 の 説 明 会を 実 施 し た 。ま た 、調 査 時は 回 答 者に す べ て の 記 入 を 任せ る の で は な く 、な るべ く 学 生 自 身 が 寄り 添 って 一 緒 に回 答 を 進 め る こ と で 、 記 入 漏 れ や 回 答 ミス が な い よ う に 注 意し た 。
ま た 、回 収 方 法 が 無 作 為 抽 出 に よ る も の で は なく 、割 り 当 て 法 も 適用 でき な か った た め 、本 プ ロ ジ ェク ト に お け る 調 査 の回 答 者 が 、奈 良 市 を訪 れ る 観 光 客 全体 の 属 性 と は 異 な って い る 可 能 性 が あ る点 は 、あ ら か じ め 学生 に も確
3 た だ し 、 奈 良 市 に よ る 調 査 で は 、 奈 良 市 観 光 案 内 所 を 利 用 し た 外 国 人 の 国 籍 別 の 割 合 が 明 ら か に さ れ て い る 。
4 奈 良 女 子 大 学 大 学 院 の 小 松 ・ 中 山 の 調 査 で は 、 奈 良 市 を 訪 れ る 訪 日 外 国 人 旅 行 者 を 対 象 に 、 東 大 寺 中 門 前 に て で き る だ け 多 く の 集 団 に 回 答 記 入 を 依 頼 し 、 宿 泊 施 設 で の 回 収 を 含 め て 計679 票 ( 有 効 回 答 数 ) の 回 答 を 回 収 し て い る 。
5 な お 、 回 収 数 5 票 と 少 数 で は あ る が8 月 29日 か ら 9 月 2 日 に か け て 、 猿 沢 池 近 く に 拠 点 を 置 い て 活 動 を し て い る 「 奈 良 学 生 ガ イ ド 」 に も 協 力 を 依 頼 し 、 観 光 客 へ の ガ イ ド が 終 わ っ た 際 に 回 答 を 呼 び か け て も ら っ た 。
表 3. 各 グ ル ー プ の 設 問 対 応 表
日本語 英語 日本語 英語
問9-1、 問11-1、
問9-2 問11-2
移動・ 問5-1、 問5-1、 問5-1、 問5-1、
ルート 問5-2、 問5-2、 問5-2、 問5-2、
問6 問6 問6 問6
観光目的 問7 問7 問7 問7
問8-1、 問10-1、 問9-1、 問11-1、
問8-2、 問10-2、 問9-2、 問11-2、
問8-3 問10-3 問9-3 問11-3
魅力・ 問10-1、 問12-1、 問11-1、 問13-1、
イメージ 問10-2 問12-2 問11-2 問13-2 情報収集
観光前 観光後
土産物 問10-1 問10-2
6
認 を して い る 。
6 - 3 . 調 査 日 時 と 場 所
質 問 紙の 回 収 は 、8 月
24・25
・26・29・ 30・ 31
日 の6
日 間 、 各日10
時 か ら17
時 ま で 行 っ た 。 本プ ロ ジ ェ ク ト は 、 調査 以 外 の 過 程 で は グル ー プ ご と に 進め て い た が 、調 査 の6
日 間 の み は 個 人 単位 で 都 合 の よ い 時 間帯 に 自 由 に 参 加し た 。日 時 別 の 参 加人 数 は 表4
の 通 り で 、最終 的 に 本 プ ロ ジェ ク ト の 参 加 学生 全 員 が 質 問 紙 の 回収 を 経 験 し た 。 最 も参 加 の 少 な い 学 生で3
時 間、多 い 学生 で は
23
時 間 参 加 し た 。調 査 場所 は 、JR 奈 良 駅 の 奈 良 市 総 合 案 内 所 周辺 と 近 鉄 奈 良 駅 前 の行 基広 場 の
2
カ 所 と し た6。 調 査 に 付 き 添 え る 教 員 が 筆者1
名 の み だ っ た ため 、 当 初 は 午前 に 片 方 、午 後 に もう 片 方 と 参 加 で き る 学 生 全 員 で 二 箇 所 を 移 動 しな が ら 調査 を 行 う 予 定 だ っ た 。しか し 、行 基 広 場に7
名以 上 が 待 機 する の は 敷 地 面 積の 都 合 上 現 実 的 で はな か っ た こ と 、天 候 や気 温 に よ り 学 生 の体 調 を 慮 っ た 結果 、屋 内 に 待 機 所 のあ るJR
奈 良 駅 で の 実 施 に 振 り 替 え た こと 、途 中 か ら 調 査 に 慣 れ て 場 を 任 せ る こ と が で き る 学 生 が 複 数 人 出 て き た こ と な ど の 理 由に よ り 、 表4
の 通 り、 調 査 場 所 は 不 規 則 な 組 み 合 わ せ と な っ た 。
6 調 査 に あ た っ て は 、 奈 良 市 土 木 管 理 課 お よ び 奈 良 市 観 光 振 興 課 に 場 所 の 使 用 許 可 を い た だ い た 上 で 実 施 し て い る 。
表 4. 調 査 実 施 日 の 参 加 人 数
JR 近鉄 JR 近鉄
10:00~11:00 6 10:00~11:00 5 4
11:00~12:00 6 11:00~12:00 5 3.5
12:00~13:00 3.5 12:00~13:00 5 2
13:00~14:00 1 13:00~14:00 1 1
14:00~15:00 2 14:00~15:00 5 3
15:00~16:00 2 15:00~16:00 5 3
16:00~17:00 2 16:00~17:00 5 2.5
10:00~11:00 8 10:00~11:00 5 5
11:00~12:00 8 11:00~12:00 5 5
12:00~13:00 7 12:00~13:00 3 4
13:00~14:00 4 13:00~14:00 2 2
14:00~15:00 6.5 14:00~15:00 2 4
15:00~16:00 5 15:00~16:00 7 3.5
16:00~17:00 5 16:00~17:00 7 3
10:00~11:00 8 10:00~11:00 6
11:00~12:00 7.5 11:00~12:00 6
12:00~13:00 5.5 12:00~13:00 6
13:00~14:00 3 13:00~14:00 1
14:00~15:00 4 14:00~15:00 5
15:00~16:00 2 15:00~16:00 5
16:00~17:00 2 16:00~17:00 5
時間 参加人数
8月30日
(火)
8月31日
(水)
参加人数
8月26日
(金)
8月29日
(月)
日にち 時間 日にち
8月24日
(水)
8月25日
(木)
7
6 - 4 . 回 収 数 お よ び 回 答 者 の 基 本 的 な 属 性
6
日 間 で 合計546
の 回 答を 収 集 し た。内 訳 は、観 光 前 の 観 光 客 の回 答 数 が415
票( う ち 、日 本 語が111
票 、英 語 が304
票 )、観 光 後 の 回 答数 が131
票( う ち、 日 本 語が
36
票 、 英 語が95
票 ) で あ っ た ( 表5)。 ま た、 回 答 者 の
性 別 は男 性 が279
票(51.1% )、女 性が 266
票(48.7%)、記 入 漏 れに よ る 不
明 が1
票 で あっ た 。回 答 者の 年 代 は 、20
代 、30 代 で 併 せ て6
割 以 上 を占 め る 一 方で 、40 代・50 代 が そ れ ぞれ10% ず つ 、60
代 が7% と な り 、比 較的 若
い 年 代に 回 答 の 偏 り が 生 じ て い る(図2)。
ま た、外 国 人 回 答 者 計399
人を 出 身 国別 で 見 る と 、 中 国 (香 港 ・ マ カ オ を 含 む) か ら 奈 良 に 来 た 人が61
人(15.3 %)、ス ペ イ ン か ら 来た 人 が
45
人(11.3%)、フ ラ ン スが 42
人(10.5 %
) と 続 いて い る 。表 5. 質 問 紙 の タ イ プ と 回 収 数 の 内 訳
回収数 日本語 111
英語 304
日本語 36
英語 95
546 質問紙のタイプ
観光前
観光後
合計
図 3. 回 答 者 の 年 代 別 割 合
10代 5%
20代 42%
30代 24%
40代 10%
50代 10%
60代 7%
70代 2%
80代以上 0%
10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代以上
8
7 . 政 策 提 言 に 向 け た 準 備 と 成 果 発 表
調 査終 了 後 は 再 び グ ル ープ で 集 ま り 、集 計 結果 を も と に グ ル ー プ 会 議 を重 ね て 考察 を 行 っ た 。奈 良 市 の 観 光 に 対 す る 政 策 提 言 の た め に 、奈 良市 内 へ追 加 調 査を し に い く グ ル ー プも あ っ た 。た と え ば、情 報 収 集 グ ル ー プは 調 査結 果 を もと に
SNS
に 関 す る追 加 調 査 を 実 施 し た。 ま た 、 土 産 物 グ ルー プ は 東 向 き 商店 街 の 土 産 物 店 に 実際 に 出 向 い て み た り 、観 光 目 的 グ ル ー プは 調 査結 果 を もと に 、 実 際 に 奈 良 市の 体 験 型 観 光 を ま わっ て み た り し て い る。各 グル ー プ は 考 察 お よ び追 加 調 査 の 結 果 を 、文書 形 式 お よ び パ ワー ポ イン ト に よ る プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン 形 式 で 準 備 を し た 。 情 報 収 集 グ ル ー プ は 平 成
28
年12
月14
日 に 開 催 され た 「 な ら 観 光 シ ンポ ジ ウ ム 」 に て20
分 間の 発 表 を 行い 、 そ の ほ か の4
グ ル ープ は 平 成29
年2
月11
日 に 行 われ た 「 産 学 連 携『や ま と い ろ プ ロ ジ ェク ト 』成 果 報 告 シ ンポ ジ ウ ム ~ 奈 良 の 活性 化 に向 け た 学生 の 取 り 組 み ~ 」 にて10
分 間ず つ 発 表を し た 。8 . お わ り に
本 プ ロ ジ ェ ク ト を 始 め る 際 、 参 加 学 生 は 各 々 「 奈 良 市 の 観 光 に つ い て 興 味 が あ る こ と 」 を 発 表 し た が 、 ま だ 具 体 性 を 帯 び て い な い 内 容 も 多 か っ た 。 お そ らく 、参 加 学 生 に と って 本 プ ロ ジ ェ ク ト の最 初 の 関 門 は 、各 々の 興 味と グ ル ープ と し て の 方 向 性 の す り あ わ せ で あ っ た だ ろ う 。結 果 と し て、情 報収 集 グ ル ー プ は 、 奈 良 市 へ 観 光 に 来 る 前 に 利 用 さ れ る 情 報 媒 体 と し て の
SNS
の 可 能性 に つ い て( 第2
章 )、観 光 目的 グ ル ープ は10
年 前 と 比 較し た 奈 良 市 の 観 光目 的 の 変 化 に つ い て( 第3
章)、 移 動 ・ル ー ト グ ル ー プ は 、 奈 良 市来 訪 の 前 後 に 宿 泊 し て い る 都 市 に 着 目 し た 観 光 客 の 旅 行 行 動 に つ い て ( 第4
章 )、 土 産 物 グ ル ー プ は 、 奈 良 市 で 購 入 さ れ る 土 産 物 と 奈 良 の イ メ ー ジ の 関 係 性 につ い て (第5
章)、 魅 力 ・イ メ ー ジ グ ルー プ は 奈 良 市 観 光 への 期 待 と 実 際 に 満 足 し た こ と の 比 較に つ い て( 第6
章 )を 、そ れ ぞ れ 調 査 の テ ー マ と し て 考察 を し た 。い ず れ の グ ル ー プ も 、各 テ ーマ を「 グ ル ー プ の 誰か が 知り た い こと 」で は な く「 自 分た ち 全 員 の テ ー マ 」で あ る と 最 後 ま で 意識 を 共有 で き てい た こ と は 、 本 プ ロジ ェ ク ト の 成 功 点 の一 つ で あ っ た と い える 。本 プ ロ ジ ェ ク ト は 、 前 述 の 通 り 、「 奈 良 市 の 観 光 に 関 す る 新 た な デ ー タ を 収 集 する こ と で 、奈 良 市 の観 光 政 策 に 資 す る こと 」、「 観 光 の 観 点 から 、奈良 市 に つい て 知 見 を 深 め る こと 」、「 プロ ジ ェ ク トを 通 し て、今 後 の 学生 生 活・
社 会 人 生 活 の 糧 と な る 能 力 を 身 に つ け る こ と 」 を 目 的 と し て 実 施 さ れ た 。8 ヶ 月 間に 渡 る プ ロ ジ ェ ク トを ふ り 返 り 、特に
3
番 目 の目 的 に 関 し ては 、学 生 そ れ ぞれ が グ ル ー プ ワ ー ク に お け る メ ン バ ー との 協 力 の 仕 方 や 、作 業を 円滑 に 進 める た め の 役 割 分 担 の仕 方 、代 表 者 と し ての 振 る 舞 い 方 な ど を試 行 錯誤 の 中 で 学 ん だ よ う で あ る 。 一 方 で 、「 奈 良 市 の 観 光 政 策 に 資 す る 」 と い う 点9
に 関 して は 、シ ン ポ ジ ウ ムで の 発 表 の 機 会 の み に と ど ま り 、実 際 に 奈 良 市の 観 光 にか か わ る 商 店 や 組 織、業 者 に ま で 成 果 を 届 け る に は 至 ら な かっ た 。こ の 点 に 関 し て は、た と え ば 情 報 収 集 グ ル ー プ は「SNS の 活 用 」、観光 目 的 グ ル ー プは「 体 験 型観 光」、移 動・ル ー ト グ ル ープ は「 て ぶら 観 光 」、土産 物 グ ル ー プ は 「 観 光 体 験 と 土 産 物 購 入 の 関 係 」、 魅 力 ・ イ メ ー ジ グ ル ー プ は 「 奈 良 観 光に お け る 食 事 」と 、各グ ル ー プ が プ ロ ジェ ク ト を 通 し て 考 察を 深 める べ き キー ワ ー ド を 見 つ け た た め 、 今 後 の 活 動 にも 期 待 し た い 。
ま た、プ ロ ジ ェ ク ト 運 営に 関 し て の 課 題 は 数多 く 残 っ た 。授 業 時間 外 の空 き 時 間に お け る グ ル ー プ ワー ク と い う こ と も あり 、想 定 以 上 に プ ロジ ェ クト の 進 行は 困 難 を 極 め た 。スケ ジ ュ ー ル に 余 裕 を持 た せ 、先 行 研 究 の読 み 込み の 時 間の 確 保 や 、デ ー タ を 元 に し た 分 析 手 法 の講 習 等 が 出 来 れ ば 、よ り 考察 を 深 めた プ ロ ジ ェ ク ト と して 成 立 で き た で あ ろう 。
【 参 考 文 献 ・ 参 考 ウ ェ ブ サ イ ト 】
麻 生 憲 一, 2016, 「 観 光 統 計 か ら み た 奈 良 県 観 光 の 実 態 」『 地 域 創 造 学 研 究 』26 巻 3 号: pp.65-76.
小 松 牧 ・ 中 山 徹, 2007, 「 奈 良 市 に お け る 訪 日 外 国 人 旅 行 者 の 旅 行 背 景 ・ 意 識 ・ 行 動 の 実 態 」『 日 本 家 政 学 会 誌 』58 号: pp.343-355.
奈 良 県 観 光 局 な ら の 観 光 力 向 上 課, 2015, 「 奈 良 県 観 光 客 動 態 調 査 報 告 書 」 奈 良 県 ホ ー ム ペ ー ジ (2017年 3月 2日 取 得, http://www.pref.nara.jp/10071.htm)
奈 良 市 観 光 経 済 部, 2015, 「 奈 良 市 観 光 入 込 客 数 調 査 報 告 書 」 奈 良 市 ホ ー ム ペ ー ジ ,
(2017 年 3月 2日 取 得,
http://www.city.nara.lg.jp/www/contents/1347582712483/files/H27.pdf)
堀 野 正 人, 2000, 「 奈 良 県 の 観 光 資 源 に 関 す る 一 考 察 」『 奈 良 県 立 商 科 大 学 研 究 季 報 』11巻 1 号: pp.1-15.
【 謝 辞 】
本 プ ロ ジ ェ ク ト を 遂 行 す る た め に 多 大 な る ご 支 援 を く だ さ っ た 奈 良 信 用 金 庫 の 平 山 豊 様 、日 本 総 合 研 究 所 の 山 本 大 介 様 、参 加 学 生 の 募 集 や 質 問 紙 英 訳 の ご 協 力 を く だ さ っ た 奈 良 県 立 大 学 地 域 創 造 学 部 の 石 本 東 生 先 生 、折 り に 触 れ て 調 査 に 関 す る 有 意 義 な ア ド バ イ ス を 下 さ っ た 梅 田 直 美 先 生 、調 査 が 円 滑 に 進 む よ う 便 宜 を 図 っ て 下 さ っ た 奈 良 市 観 光 協 会 の 鷲 見 哲 男 専 務 理 事 、そ し て 貴 重 な 時 間 を 割 い て 常 に ご 支 援 下 さ っ た 奈 良 県 立 大 学 地 域 交 流 セ ン タ ーCOC/COC+推 進 室 の 須 川 ま り 先 生・増 本 貴 士 先 生・伊 藤 忠 通 学 長 に 厚 く 御 礼 申 し 上 げ ま す 。
10
奈良市における観光客の情報収集の実態
-
SNS
の 普 及 と 重 要 性 に つ い て -情 報 収集 グ ル ー プ 中 島 遥香 中 野 早 也 香 長谷 朱 子
1 . 背 景 と 目 的
近 年 、多 く の 人 々 が ス マー ト フ ォ ン や ノ ー トパ ソ コ ン を 持 ち 歩 きイ ン ター ネ ッ トに ア ク セ ス す る よ うに な り 、便 利 な 連 絡手 段 や 情 報 源 と し て大 い に役 立 て てい る 。そ の 事 実 は 、”Digital in 2016”(
we are social 2016)と い う 調
査 報 告の 中 で 明 ら か に さ れて い る 。こ の 報 告 によ る と 、日 常 的 に イン タ ーネ ッ ト を利 用 し て い る 人 は 世界 人 口 の46%
(34.2
億 人)を 占 め て い ると い う 。 そ し て、 そ の 割 合 は2015
年 か ら2016
年 にか け て の1
年 で約10%も 増 加 し
て い る。こ れ ほ ど の イ ン ター ネ ッ ト の 普 及 率 の高 さ を 考 え る と 、情報 収 集の 手 段 は 本 や 辞 書 か ら 電 子 的 な 方 法 へ と 移 り 変 わ り つ つ あ る の が 予 想 で き る 。 そ れ は人 々 が 観 光 を 行 う 際に も 同 じ で あ る 。では 、観 光 に 関 す る 情報 収 集の 手 段 は一 体 ど こ ま で 明 ら かに な っ て い る の か 。小 松・中 山 は 、奈 良 を 訪 れる 外 国 人 旅 行 者 の 実態 把 握 と 受 入 環 境 に対 する 意 識 調査 を 行 っ て い る ( 小松 ・ 中山
2007)。 こ の 報 告内 で は 、「 奈 良 観 光の
情 報 源」は「 ガ イ ド ブ ッ ク」(63.0%)、「 家 族/友 人」(30.9%)、「 ウ ェブ サ イ
ト」(20.9%)の 順 で 多 い と述 べ ら れ て い る。奈 良 市 に 特化 し た 貴 重な デ ー タ で は ある も の の 、ウ ェ ブ サイ ト の 割 合 が あ ま りに も 低 い こ と か ら わか る よう に 、2007 年 の デ ー タ で は 観 光 の 現 状 を 知 る こと は 難 し い 。次 に 、当 大 学 と 奈 良 信 用 金庫 の プ ロ ジ ェ ク ト のひ と つ で あ っ た『 奈良 市観 光 振 興プ ロ ジ ェ ク ト「 奈 良の 観 光 を 考 え る 」報告 書
-宿 泊 客 増 加 に向 け て -』
( 奈 良県 立 大 学 ・ 奈 良 信 用金 庫
2014)で は 、宿 泊 施 設 情 報 の 収 集先 に つい
て の 調査 項 目 が あ っ た 。そ こ では 代 理 店 が1
番 多 く 、次 にイ ン タ ーネ ッ ト が 続 い てい る 。当 報 告 書 内 では イ ン タ ー ネ ッ ト の発 信 活 動 が 不 十 分 だと 述 べら れ て いる 。2007 年 の デ ータ と 比 べ て イ ン タ ーネ ッ ト の 利 用 率 は 上 昇 し てい る も のの 、こ の 研 究 に お いて も イ ン タ ー ネ ッ トは ひ と く く り に し てお り 、ど の よ うな サ イ ト を 閲 覧 し たか と い う よ う な 内 訳は 明 ら か に さ れ て いな い 。「 平成
27
年 度 訪日 外 国 人消 費 動 向 調 査 」( 国 土 交 通省 観 光 庁2015)の 報
告 を み て み る と 、「 出 発 前 に 得 た 旅 行 情 報 源 で 役 に 立 っ た も の 」 と い う 質 問 に 対 して 、回 答 が「 個 人 の ブロ グ 」(27.2%)、
「 旅 行 会社 ホ ー ム ペ ー ジ」(18.1%
)、「 旅 行ガ イ ド ブ ッ ク 」(
17.6%)の 順 で 多 く な って い る 。前 述 し た 奈良 に 関 す
る2
つ の 報 告と 比 較 し て 、初 め てイ ン タ ー ネ ット が1
位 に 挙 が っ た 。ま た 回11
答 を 見て も わ か る よ う に 、この 報 告 で は イ ン ター ネ ッ ト を 予 約 サ イト や 公式 観 光 サイ ト な ど ウ ェ ブ サ イト を 種 類 別 に わ け て選 択 肢 に 組 み 込 ん でい る 。そ の 結 果会 社 や 政 府 が 運 営 して い る ウ ェ ブ サ イ トよ り も 、個 人 の ブ ログ が 最も 役 立 てら れ て い る こ と が 判明 し た 。
こ こ で 、ブロ グ に 並 ぶ 有 力な ツ ー ル と し て 、SNS( ソ ー シャ ル ネ ット ワ ー キ ン グサ ー ビ ス ) を 挙 げ る 。
”Digital in 2016”内 で 、 ソ ー シ ャ ル メデ ィ アを
ア ク ティ ブ に 利 用 す る 人 が世 界 人 口の31% ( 23.1
億 人 ) 存 在 す るこ と を 明 ら か にし て い る 。 ま た2015
年 か ら2016
年 の 1年 間 で10% 増 加し て い る。
ソ ー シ ャ ル メ デ ィ ア と は 、「 イ ン タ ー ネ ッ ト 上 で 展 開 さ れ る 情 報 メ デ ィ ア の あ り 方で 、個 人 に よ る 情 報発 信 や 個 人 間 の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン 、人の 結 びつ き を 利 用 し た 情 報 流 通 な ど と い っ た 社 会 的 な 要 素 を 含 ん だ メ デ ィ ア の こ と 」
(IT 用 語 辞 典 E-Words)で あ る 。 つ ま り
SNS
は ソ ー シ ャ ル メ ディ ア とい う 大 きな 複 合 体 の 構 成 要 素の 一 つ と 言 え る 。そ のた め23.1
億 人 全員 がSNS
を 行 って い る わ け で は な い。し かしSNS
を 代 表す る6
月30
日 時 点 で ユ ー ザ ー数 が 世 界 で17
億1000
万 人 に も 上 っ てお り(uniad 2017)、 SNS
とい う ツ ー ルが 世 界 に 与 え る 影 響は 軽 ん じ る こ と は 出来 な い。今 後も
SNS
の 利 用 者 は 増え 、 世 界 に 与 え る 影響 は ま す ま す 大 き くな る だろ う 。上 記 の先 行 研 究 か ら 、奈 良の 観 光 に 関 す る 近 年の 研 究 が 少 な く 、また イン タ ー ネッ ト 、 特 に 近 年 利 用率 が 急 増 し て いる
SNS
に 特 化 し た 研 究が ほ とん ど な いこ と が わ か っ た 。そし て 世 界 的 な イ ン ター ネ ッ ト 利 用 の 伸 び率 、訪日 観 光 に関 す る 情 報 収 集 手 段と し て の イ ン タ ー ネッ ト の 有 用 性 、そ の 中で も最 も 役 立つ ウ ェ ブ サ イ ト が 個人 発 信 の も の で あ るこ と も 明 ら か に な った 。これ ら を 踏 ま え る と 、 今 奈 良 の 観 光 に 必 要 な の は 、「 奈 良 に 特 化 し 、 イ ン タ ー ネ ッ ト 、と り わけSNS
を 介し た 情 報 収 集 手 段 を調 査 し た 研 究 」 で はな い だろ う か 。し かも そ れ が 、「個 人 が 発 信 可 能 なSNS
に つ いて 綿 密 な 研究 」で あ れ ば 、より 有 益 な も の と な るだ ろ う 。本 グ ル ー プは 、奈 良 の 観 光 に 関す る 情報 の 収 集手 段 を 調 査 す る こ とで 、奈 良 市 が こ れ から ど の よ う に 観 光 情報 を 発信 し て いく べ き な の か を 明 らか に す る こ と を 目 的に 、 研 究 を 行 っ た 。2 . 設 問
設 問 Ⅰ は 、「 平 成
27
年 度 訪 日 外 国 人 消 費 動 向 調 査 」( 国 土 交 通 省 観 光 庁2015)か ら抜 粋 し た も の であ る 。設 問の 形 式 を そ の ま ま 取 り 込 ん だこ と で 、
イ ン ター ネ ッ ト を 介 し た 情報 収 集 の 中 で 何が1
番 役 立っ て い る の かを 、全国 の 結 果と 奈 良 市 の 今 回 の 調査 に お け る 結 果 で 比較 す る こ と が で き る 。そ して 旅 行 者の 情 報 収 集 手 段 と して のSNS
の 位 置 づけ と 伸 び 率 も わ か る。 設 問Ⅱ で はSNS
に 特 化 し て 、 特に 有 力 で あ っ た も のを 尋 ね る 。 ど の サ イト が 実際12
に 情 報収 集 に 使 用 さ れ て いる か を 数 字 で 出 す こと に よ り 、奈 良 市 の観 光 に関 わ る 企 業 ・ 組 織 が ど こ か ら ア プ ロ ー チ を 仕 掛 け れ ば い い の か が 明 確 に な る 。
〈 観 光前 〉〈観 光 後 〉
設 問 Ⅰ 出 発 前 に 得 た 奈 良 市 の 旅 行 情 報 の 中 で 役 に 立 っ た と 感 じ た も の は 何 で すか 。( 複 数 回 答 可 )
☐SNS ☐ 日 本 政 府観 光 局 ホ ー ム ペ ー ジ
☐NHK ワー ル ド (イ ン タ ーネ ッ ト ) ☐ 旅 行 会 社ホ ー ム ペ ー ジ
☐ 宿 泊施 設 ホ ー ム ペ ー ジ ☐ 航 空 会 社ホ ー ム ペ ー ジ
☐ 地 方観 光 協 会 ホ ー ム ペ ージ ☐ 宿 泊 予 約サ イ ト
☐ 口 コミ サ イ ト ☐ 個 人 の ブロ グ
☐ 動 画サ イ ト ☐ そ の 他 イン タ ー ネ ッ ト
☐ 特 にな し
設 問 Ⅱ 設 問 Ⅰで SNS が 役 に 立 っ たと 感 じ た方 は 、実 際 に 利 用 した SNS を 選 ん で くだ さ い。( 複 数 回 答可 )
□Twitter □ Facebook □ Instagram □mixi
□weibo(微 博 ) □ 人 人 網 □ Qzone □kakaostory
□cyworld □ Naverblog
設 問 Ⅲ あ な たが SNS で 得 た 奈 良 市の 情 報 の中 で 、最 も 惹 か れ た情 報 は 何 で す か ?1 つ だ け 選 ん で く だ さ い 。
□ 写 真 □ 観 光 客 の 具 体 的な 体 験 談
□ 観 光地 側 の 公 式 な 情 報 □ 知 る 人 ぞ 知 る 珍し い 情 報
□ 交 通ア ク セ ス の 情 報 □ そ の 他
3 . 結 果 と 考 察
399
の回 答 か ら 不 完 全 な もの を 省 き 、396 の有 効 回 数 か ら結 果 を 示 す 。回 答 者 (有 効 回 答 数 ) を 年 代別 に 示 す と 、10
代 が15
人 、20
代 が195
人 、30 代 が109
人 、40 代 が35
人 、50 代が33
人 、60 代が8
人 、70 代が1
人 であ っ た 。設 問 Ⅰ は、「 平 成27
年 度 訪 日 外 国 人 消費 動 向 調 査」( 国 土交 通 省 観 光 庁 2015)の 「 出 発 前 に 得た 旅 行 情 報 源 で 役 に立 っ た も の 」 と い う設 問 の中 か ら 、イ ン タ ー ネ ッ ト に 属す る 選 択 肢 の み を 取り 出 し て い る 。そ の回 答 結果 を 図 に表 し た も の が 、図1
と 図2
であ る 。図1
で は 、観 光 庁 の 調 査に よ る 全 国 の 回答 結 果(2015)と本 グ ル ー プ の調 査 結 果(2016)を 比 較 し てお り 、全
国 と 奈良 に お け る 各 ウ ェ ブサ イ ト の 利 用 率 の 違い 、また1
年 で の 伸び 率 がわ か る 。結 果 は 、 情 報 収 集 をす る 際 にSNS
を 利 用 す る 人 が123
人 (31.0% )
13
で あ った 。単純 な 比 較 は でき な い が、
2015
年の 全 国 調 査 と 比 較 して2016
年 に 奈 良を 訪 れ た 観 光 客 の うち 、SNS
を 利 用 した 割 合 は19.1%高く ( 図 1)、
中 で も多 く の
20
代 が 回 答し て い る こ と が 分 かっ た(図2)。こ れ は、今 後 も SNS
が 多 く の人 々 に 利 用さ れ 続 け る 傾 向 に あり 、SNS
上 で の 情報 発 信 が 、図 1. 全 国 と 奈 良 市 に お け る 役 に 立 っ た ウ ェ ブ サ イ ト
図 2. 役 に 立 っ た ウ ェ ブ サ イ ト と そ の 年 齢
14
将 来 的 に も 有 力 な ア ピ ー ル 方 法 に な る こ と を 示 唆 す る 結 果 で あ る 。 さ ら に 、 今 回 の結 果 か らは
SNS
だ けで は な く 、 口 コ ミサ イ ト を 有 効 に 利 用す る 人々 が151
人(38.1%)お り 、27.1% 増加 と 急 激 に成 長 し て い た 。ま た口 コ ミ サ
イ ト とほ ぼ 同 じ 割 合 で 、個 人の ブ ロ グ を 活 用 する 人 が い る こ と が 新し く 明ら か に なっ た 。こ れ ら の 大 きな 違 い は 、利 用 す る年 齢 層 で あ る 。SNS
は 多 くの20
代 の若 者 (20
代 の 回 答者195
人 中83
人 )が 利 用 し て い た が 、個 人 のブ ロ グ では 、20 代 の 利 用 者数 はSNS
と ほ ぼ 同じ (20
代 の 回 答 者 数195
人 中84
人) で あ る もの の 、30
代 以 上 の利 用 者 数が 、SNS
利 用 者 数 (30
代 の回 答 者数109
人 中27
人 ) より も 多 く 存 在 す る (30 代 の 回 答 者数109
人中41
人 ) こと が 分 か る 。 口 コ ミサ イ ト も 同 じ 傾 向 で、30 代 の 回 答 者 数109
人中50
人が 利 用 し て い る 。設 問 Ⅱの 結 果 は 図
3
で あ る。90
人(40.1%)
と 、圧 倒 的 に 多 い こ と が 分か り 、こ れ は 、2 番 目 に 多い
Instagram( 53
人、23.6% ) の 約 2
倍 で あ る 。こ れ は ア プ リ が 創 設さ れ た 時 期 が 、2004
年 、Instagram が2010
年 と 、 大 き く 差が あ る た め と 考 え る。 一 方、2006
年 に 創 設 さ れ た に も 関 わ ら ず17
人 (7.5%
) で あ り 、3
割 ほ ど で ある 。この こ と か ら、外 国 人観 光 客 は 旅 行情 報 を 得17 90
53
0 20
0 2 0 0 6
24 12
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
図 3. 利 用 し た SNS
15
る 際 、 主 に
84
人 、52.8% )
が「 写真 」に 惹 か れ た と 回答 し て い る 。こ の こと か ら 人 に 何 か の 魅力 を 伝え る に あた っ て 、視 覚 か ら 伝え る 情 報 は 極 め て 重要 で あ る こ と が わ かる 。次い で 多 かっ た の は 「 観 光 客 の具 体 的 な 体 験 談 」 であ る (56 人 、35.2%)。4 . 結 論
以 上 のこ と か ら 、外 国 人 観光 客 向 け に 奈 良 市 を発 信 す る 際 に は 、
SNS
で あ れ ば 大 手 の 企業 か ら 個 人 経 営 の 飲 食 店 な ど 誰 で も 手 軽に ア カ ウ ン ト を作 り 、 宣 伝 が 可 能 であ る 。ま た
SNS
に 加 え て 、 口 コミ サ イ ト や 個 人 の ブロ グ も ま た 、 幅 広 い年 齢層 の 人 々に 利 用 し て も ら う こと が で き る こ と が 明ら か に な っ た 。今 後 の情 報発 信 の 方法 と し て は 、企 業 や各 店 舗 が 自 主 的 に 情報 発 信 し た い 場 合 やタ ー ゲッ ト を 若 者 に し た い 場 合 に お い て は 、SNS を 活 用 す る こ と で 効 果 が 見 込 ま れ る 。一方 、年 齢 関 係 な く 、幅 広 い 人 々 と 情 報 を共 有 し た い 場 合 や 第三 者 の意 見 を も取 り 入 れ た い 際 に は 、口 コ ミ サ イ ト や 個人 の ブ ロ グ を 利 用 する こ とが 良 い と考 え ら れ る 。成 功 例を 挙 げ る と 、北 海 道の ニ セ コ の ス キ ー 場は オ ー ス ト ラ リ ア 人が 口コ ミ サ イト に 投 稿 し た こ と で 、瞬 く 間 に オ ー ス トラ リ ア 人 に 人 気 の スポ ッ トと な っ た 。今 回 の 調 査 で は どこ の 国 の 人 の 体 験 談を 参 考 に し た の か まで は 明確
図 4. SNS で 得 た 情 報 の 中 で 最 も 役 に 立 っ た 情 報
16
に は でき な か っ た が 、こ の よう に 外 国 人 観 光 客か ら 自 国 の 人 々 に 情報 を 拡散 し て も ら う こ と も 有 力 な 手 段 で あ る 。 よ く 日 本 人 が 集 う 居 酒 屋 で は 、「
SNS
に 店 名を つ け て 写 真 を 投 稿す る と ○ ○ を 提 供 しま す 」と い っ た サ ービ ス を見 か け るが 、 そ れ を 外 国 人 観光 客 向 け に 行 う の も良 い だ ろ う 。5 . 提 言
5 - 1 . 追 加 調 査 の 方 法
こ こ ま で
SNS
が ど の く らい 普 及 し て い る の か、 ま た ど の よ う な 点で 効果 が あ るの か に つ い て 調 査 をし 、で は 実際 に ど の よ う な 投 稿が な さ れ て い る の か、
1
位 で あるNara」と
検 索 する と 中 東 の 人 名 が 表示 さ れ る こ と が 多 くあ っ た た め で あ る 。情報 量が 多 す ぎる が ゆ え に 、も う 少し 具 体 的 な ワ ー ド でな い と 検 索 が う ま く働 か なか っ た 。し かしSNS
の 中 で も 特 に 写 真 に 特 化 し た も の で あ る と 判断 し 、 追 加 調 査 には投 稿 の 対 象 は 、「Nara, Nara(奈 良 市 、 奈 良 県
)」 と い う 位 置 情 報 が つ い て
お り 、2016 年11
月2
日の18
時 ~20
時 半 の間 に 投 稿 さ れ た100
件で あ る。対 象 投 稿
100
件 の う ち 、過 半 数 の57
件 が 外国 人 に よ っ て 投 稿 され て お り、68
件 が 観 光 関 連 に 当 て は ま っ た 。 基 準 は 、 外 国 人 に と っ て 奈 良 市 観 光 の 動 機 と な り え る 投 稿 を 「 観 光 関 連 に 当 て は ま る 」、 奈 良 市 観 光 の 動 機 と な り 得 な い 投稿 を「 観 光 関 連 に 当て は ま ら な い 」と 振り 分 け て い る 。例 えば 、店名 が 写 りこ ん で い る 、ま た は明 記 さ れ て い れ ば 、閲 覧 者 は 検 索 に か けて お 店を 探 す こと が 出 来 る た め 、観光 関 連 に 当 て は ま る と し た 。一 方 、例 えば ス イー ツ の 写真 だ け で は そ の お 店に た ど り 着 く こ と は出 来 な い た め 、観 光 関連 に当 て は まら な い と し た 。東 大 寺や 鹿 を 背 景 に 撮 った 集 合 写 真 は 観 光 の動 機 にな り え るた め 観 光 関 連 に 当 ては ま る 、し か し 居 酒屋 な ど で の 集 合 写 真は 奈 良限 定 の も の で な く 身 内 に 向 け た 投 稿 と い う 方 向 性 が 強 い た め 観 光 関 連 に 当 て は ま らな い と 判 断 し て い る 。5 - 2 . 追 加 調 査 の 結 果
対 象 の投 稿
100
件の う ち、日 本 人 が 投稿 し た もの が43
件、外 国 人が 投 稿17
し た もの が
57
件で あ っ た。ま た観 光 関 連 に 当て は ま る 投 稿 が100
件 の う ち68
件、当 て は ま ら な い 投稿 が32
件で あ っ た。図5
を 見 る と 、や は り 奈 良 の 代 名 詞と も い え る 奈 良 公 園や 鹿 の 投 稿 が100
件 中28
件 と 、最 も 多 い こと が わ か った 。特 に 鹿 は 外 国 人観 光 客 が 投 稿 す る 確率 が 高 く 、鹿 と の ツー シ ョッ ト 写 真が 流 行 し て い る こ とか ら も 、そ の 人 気 が伺 え た 。近 鉄 奈 良 駅が 多 いよ う に 見え る が 、主 な 被 写 体 は 地 下 の 改 札 口 に ある「 せ ん と く ん 」と、駅 前の 交 差 点で あ っ た 。し か し 、待 ち 合 わ せ 場 所 の 定番 で も あ る「 行 基 像」の 写真 は な く 、そ う い っ た 奈 良 県民 な ら で は の 情 報 も外 国 人 観 光 客 に と って は 興味 の あ る対 象 で は な い だ ろ うか 。な ぜ な ら 、観 光に 結 び 付 く 投 稿 を 高い 確 率で 行 う のは 外 国 人 観 光 客 で ある も の の 、日 本 人 が切 り 取 る ふ と し た 瞬間 の 素朴 な 奈 良と い う の も 、や は り奈 良 の 良 さ を 伝 え る上 で 重 要 な 要 素 で ある と 考 え ら れ るか ら だ 。ま た 、シ ェフ ェ ス タ と い う 奈 良食 材 と シ ェ フ の 交 流を 目 的と し た「奈 良 グ ル メ 再 発 見 」に つ な が る イ ベ ン トが ち ょ う ど 開 催 時 期で あ った た め 、主 に 日 本 人 に よ る 英語 タ グ つ き の 投 稿 が見 ら れ た 。飲 食 店 はお し ゃれ な 喫 茶店 や 和 食 店 、高 速 餅つ き の 中 谷 堂 、フ クロ ウ カ フ ェ ま で 幅 広い 。お土 産 の 写真 は 大 仏 プ リ ン と 柿の 葉 寿 司 で あ る 。図 5. Instagram に お け る 奈 良 市 に 関 す る 投 稿 状 況
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18
人数
18
5 - 3 .SNS 利 用 に 向 け た 提 言
SNS
の 特 徴 であ る 情 報 の新 鮮 さ を 考 慮 す る と、SNS
の ア カ ウ ント を 作 る だ け では な く 、こ ま め に 記事 を 更 新 し 、日 々 新し い 情 報 を 発 信 し てい く 必要 性 が ある 。そ の 際 に は 、人々 の 目 に 訴 え か け るよ う な 、奇 麗 か つ 情報 が 明確 で あ る写 真 を 添 え て 投 稿 する こ と が 重 要 に な る。1
位 で あ るこ と が 示 さ れ た が 、1
枚 に「#Nara」と 添 え て 投 稿 する だ け で 、訪 問 し たこ と の な い 人 々の 興 味 を 刺 激 し 、訪 問し た 人 々 の 再 訪 度を 高 め る こ と が 出 来る の であ る 。 無料 か つ 手 軽 に 多 く の人 々 が 触 れ る こ と ので き るSNS
は 、 奈良 市 また 観 光 業界 に お い て と て も 強力 で あ り 、今 後 の 更な る 普 及 も 期 待 さ れる 有 能な ツ ー ルで あ る こ と が 、今 回の 調 査 に て 確 認 さ れた 。し た が っ て 、企業 や 各店 舗 は 、今 以 上 にSNS
に よ る国 際 的 な 広 報 活 動に 尽 力 す べ き で あ ろう 。【 参 考 文 献 ・ 参 考 ウ ェ ブ サ イ ト 】
加 藤 隆 司, 2014, 「 訪 日 イ ン バ ウ ン ド の 現 状 に つ い て 」 日 本 政 府 観 光 局 (JNTO),
(2017年 3月 2 日 取 得,http://www.soumu.go.jp/main_content/000324742.pdf) 株 式 会 社 イ ン セ プ ト,2011, 「 ソ ー シ ャ ル メ デ ィ ア 【social media】」IT 用 語 辞 典 e-
Words,(2017年 3 月 6 日 取 得,
http://e-words.jp/w/%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%
83%AB%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2.html)
国 土 交 通 省 観 光 庁, 2015,「 訪 日 外 国 人 の 消 費 動 向-訪 日 外 国 人 消 費 動 向 調 査 結 果 及 び 分 析 -平 成 27 年 年 次 報 告 書 」 (2017年 3月 2 日 取 得,
http://www.mlit.go.jp/common/001173130.pdf )
小 松 牧 ・ 中 山 徹, 2007,「 奈 良 市 に お け る 訪 日 外 国 人 旅 行 者 の 旅 行 背 景 ・ 意 識 ・ 行 動 の 実 態 」『 日 本 家 政 学 会 誌 』58 号: pp.343-355.
奈 良 県 立 大 学 ・ 奈 良 信 用 金 庫, 2014, 『 奈 良 市 観 光 振 興 プ ロ ジ ェ ク ト 「 奈 良 の 観 光 を 考 え る 」 報 告 書 -宿 泊 客 増 加 に 向 け て-』 奈 良 県 立 大 学 ・ 奈 良 信 用 金 庫.
uniad, 2017,「 主 要 ソ ー シ ャ ル メ デ ィ ア の ユ ー ザ ー 数 ま と め 」 (2017 年 3 月 2日 取 得, http://www.uniad.co.jp/260204)
WE ARE SOCIAL, 2016. ”Digital in 2016,” London: WE ARE SOCIAL,(2017年 3 月 2 日 取 得,http://wearesocial.com/uk/special-reports/digital-in-2016)
19
「見る」から「体験する」へ
- 奈 良 市 の 体 験 型 観 光 の 可 能 性 -
観 光 目的 グ ル ー プ 金 美 那 山 崎 美 和 渡 邊 妃奈 子
1 . 背 景
2012
年以 降 、 奈 良 市 の 訪日 イ ン バ ウ ン ド 観 光客 数 は 増 加 傾 向 に あり 、近 年 で は大 幅 な 増 加 が 見 ら れる 。奈 良 市 観 光 入 込客 数 調 査 報 告 書 に よる と 、平 成26
年で は630,000
人 で あ っ たの に 対 し 、 平 成27
年 で は975,000
人 と、54.76%増 加 した ( 奈 良 市観 光 経 済 部 2015)( 図 1)。 ま た 、 平成 27
年 中に 奈 良 市を 訪 れ た 外 国 人 観 光客 数 は 、全 体 と し て345,000
人 増 と 大 幅に 増 加 し た 。日 本 全体 の 外 国 人 観 光 客 の急 激 な 増 加 の 流 れ を受 け て 、奈 良 市 で も東 アジ ア・東南 ア ジ ア 諸 国 か ら の旅 行 者 の 増 加 が 見 られ る 。そ れ に よ っ て 、奈 良県 /奈 良 市 の 訪日 イ ン バ ウ ンド へ の 対 応 も 変 化 して い る 。例え ば 、
JR奈 良 駅 前
の 観 光案 内 所 が そ の 一 例 であ る 。観 光 案 内 所 は、伝 統 的 建 築 物 を 活用 し てお り 、さら に 多 言 語 に 対 応 でき る ス タ ッ フ が 駐 在し て い る 。加 え て 、荷 物 預か り 所 も設 け て お り 、JR奈良 駅 す ぐ 近 く と い う立 地 も あ り 、イ ン バウ ン ド 観光
客 に とっ て は 欠 か せ な い 場所 と な っ て い る 。この よ う に 、奈 良 市 にお い ても イ ン バウ ン ド 観 光 客 へ の 対応 は よ り 良 い も の へと 改 善 さ れ つ つ あ る 。一 方 で、図 1. 奈 良 市 の イ ン バ ウ ン ド 観 光 客 数 の 推 移 ( 単 位 : 千 人 )
( 奈 良 市 観 光 経 済 部 の デ ー タ よ り 筆 者 ら 作 成 )
352
492 518 407
629
174 267
435 630
975
0 200 400 600 800 1000 1200
2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
20
ま だ 対応 が 不 十 分 な 部 分 もし ば し ば 見 受 け ら れる 。そ こ で 、奈 良 市に お ける イ ン バ ウ ン ド 対 応 へ の 重 点 の 置 き 方 が こ こ 数 年 で ど の よ う に 変 化 し て き た の か 、奈 良 市 の 予 算 案 を 通し て 比 較 す る こ と にす る 。
平 成
27
年 度 の 予 算 項 目 を見 る と 、 観 光 を 中 心と し た 地 域 の 魅 力 ・ 経 済 の 向 上 を目 的 に 、奈 良 町 を 核と し た 観 光 振 興 、イン バ ウ ン ド 戦 略 、奈良 の 食ブ ラ ン ド化 、 そ し て 奈 良 の 魅力 拡 大 な ど の10
項目 の 予 算 計 画 案 が大 き く 打ち 出 さ れて い る ( 奈 良 市 2015)。奈 良 市に お け る 、 平 成
18
年度 一 般 会 計 歳 出 予算 案 を 見 る と 、 観 光費 での 予 算 は約7
億9900
万 円 であ っ た の に 対 し 、 平成28
年度 予 算 案 にお け る 観 光 費 での 予 算 は 、約9
億6500
万 円 で あ っ た 。こ の10
年間 で約1
億7000
万 円 も 多く 観 光 に 予 算 が 組 まれ て い た 。 ま た 、 平成18
年 度 に お い ては 上 記の10
項 目 の よ う な 観 光 に 関 す る 重 点 項 目 は 挙 げ ら れ て い な か っ た こ と か ら も 、 近 年 のイ ン バ ウ ン ド 観 光 客の 増 加 に 伴 い 、奈 良 市で も 観 光 政 策 が 積極 的 に行 わ れ て い る こ と が 考 え ら れ る 。 奈 良 市 の 観 光 を さ ら に 発 展 さ せ る た め に は 、 今 後 伸 び 続 け る イ ン バ ウ ン ド 観 光 客 へ の 対 応 を 無 視 す る こ と は で き な い だ ろ う 。し か し、奈 良 市 の イ ン バ ウン ド 観 光 客 は 増 加 して い る に も 関 わ ら ず、イン バ ウ ンド に 関 す る 調 査 自 体は あ ま り さ れ て い ない 。た だ し 、観 光 目的 に つい て 三菱
UFJ(2015
) や 小松 ・ 中 山 (2007) が 調査 を 行 っ て い た ため 、 こ れ ら の 調査 に 着 目 し た 。三 菱
UFJ( 2015) の 観 光目 的 に 関 す る レ ポ ート で は 、 近 畿 地 域 にお ける
イ ン バウ ン ド 消 費 の 現 状 と今 後 の 見 通 し に つ いて 述 べ ら れ て お り 、近畿 にお い て の観 光 客 数 の 増 加 の 要因 や 、訪 日 目 的 に つい て 記 載 さ れ て い た 。しか し、デ ー タ分 析 の 際 、外 国 人 観光 客 の 国 別 分 布 を「 近 畿地 域 を 訪 れ た 訪日 外 国 人」
と し て、近 畿 地 方 で の 国 別の 訪 日 外 国 人 観 光 客を 分 け て い た 。そ のた め 、近 畿 地 域の 中 で そ れ ぞ れ の 府や 県 別 に は 分 布 が なさ れ て お ら ず 、奈 良 市に 直接 関 わ るよ う な 有 益 な 情 報 が少 な か っ た 。今 後 の奈 良 市 観 光 に は 、奈良 市 のみ の 詳 しい デ ー タ が 必 要 と なる 。
一 方 、小 松・中山(
2007)で は 、奈 良 観 光 の 主要 目 的 は 歴 史 / 文 化財 の鑑
賞 ,日 本 の 歴 史 /文 化 の 学び 、風 景 や自 然 の 観賞 で あ り 、地 域・年 代・性 別 の 属 性に よ る 特 徴 的 な 目 的の 違 い も 見 ら れ た と述 べ て い る 。し か し、デ ータ が10
年前 の 調 査 結 果 で ある た め 、 最 新 の 観 光目 的 に 関 す る デ ー タを 収 集す る 必 要性 が あ る 。ま た 、欧米 観 光 客 と ア ジ ア 観光 客 で は 、観 光 の 目的 に 違い が あ るた め 、最 新 の デ ー タを 集 め る こ と で 、イン バ ウ ン ド 観 光 客 の動 向 やニ ー ズ を知 り 、そ の ニ ー ズ に合 わ せ た 最 も 効 果 的な 観 光 ア プ ロ ー チ がで き るの で は ない だ ろ う か 。以 上 から 、本 グ ル ー プ で は、最 新 の デ ー タ で 、か つ 、今 後 の 奈 良 市観 光に