リサイクルの制度化 :公共的ごみ処理から市場化への転換
9 0
年代日独容器包装リサイクルの実験をめぐってVe r pac ku ng s o r d nu ngu ndMa r kt wi r t s c ha f t
小 野 隆 弘
ONO.
TakahiroⅠ、は じめに :循環経済のプロ トタイプとしての 包装政令
Ⅱ
、9 0
年代の リサイクルは成功 したか ? (1)包装 リサイクルの仕組みとDSD ( 2 )包装 リサイクルの成果
Ⅲ、DSDに対する批判的論点
(1
)DSD
による包装材の抑制 ・軽減効果( 2 )集団的引き取 りシステムとしての問題 ( 3 )DSDの社会的費用 :縁マークの効率性 と運
営費用の高 さ
( 4 )
市場競争秩序の維持 と促進( 5 )
リサイクル方法の再考Ⅳ、むすぴに リサイクルと市場秩序 との両立 に 向けて
Ⅰ、は じめに :循環経済のプロ トタイプとしての 包装政令
1 9 9 1
年 に ドイツで制定 された包装政令 は、1 9 8 6
年 「廃棄物の発生回避及び処理に関する法律」第1 4
条にもとづき、従来の焼却 ・埋立 という 「処分」中心の廃棄物対策か らリサイクル型への具体的転 換を図るはじめての政令であり、循環経済モデル のプロ トタイプといわれる。本誌に邦訳掲載 した
St audt
論文がいう 「廃棄物政策 な らびに経済 と 社会に関わる大実験」のはじまりであり、現在 ま での品目ごとに多様化する リサイクルシステムの 構成内容に決定的な影響を与え、全体の議論 を左 右 してきた。9 0
年代前半までは、先行 した包装政令に倣 って、その他の品目において も一連の引き取 り義務政令 の具体化を通 して リサイクルの制度化が実現す る 予定であった。 しか しなが ら、包装 リサイ クルの
経験‑の反省が
9
0年代の後半か ら政令に依拠 しな いで、経済界の自主的な取 り組みである自己責任 手法を積極的に活用するような方向への政策転換 をもたらし、 ドイツ型循環経済の具体化 は品 目ご との事情 に応 じた多様なあり方が模索 されるよ う になってきた1)。本稿の課題は、 シュタウ ト論文に導かれながら、
9 0
年代の リサイクルについての議論の中心をな し た包装材 リサイクルの議論を検討することによっ て、今後の リサイクルの課題 と展望を描 くことで ある。Ⅱ、
9
0年代の lJサイクルは成功 したか ? (1)包装 リサイクルの仕組みとDSD
循環経済を目指 した
9 0
年代の政策転換 は、基本 的に次のふたっの課題に集約 して理解することが できよう2)0ひとつは、エン ドオブパイプ (一方通行)経済 か ら循環経済への転換をどのように図るかとい う
ことである。
包装政令によっては じめて 「生産物責任」 の原 則が法 に組み入れ られ、それ以来、包装材 の製造 者や流通業者 は製品のライフサイクル全体につい て責任をもっ ことになったが、廃棄物の市場‑の 帰還 と再組込をはかるには、具体的には各品 目別 に事業者 に無償での 「引き取 り義務」を課すかた ちで進展 してきた。
3
種の包装材のうち輸送用包 装 と再包装の場合 は、販売者 自身による回収 ・再 利用が可能であるが、販売用包装の場合は、個 々 の事業者が自分で引 き取 るのは困難で且っ非効率 的で もあるので、回収率 とリサイクル率の目標値‑ 1 6 3‑
小野 隆弘
<表 ① リサ イ クル 量 フ ロー 証 明
1 998
年 >孟イ完ン呈 巨 サ
イク
ル量ガラス 1 2.965595トン l 2704.859トン 紙 類 I 84
3 . 0 5
9トン L1 4 1 5 . 5 0 2
トン プラスチック 1 516879トン ( 600.015トンI
混合材
L 5 7
5487トン し 344962トン スチィール 1 324.947トン I 374.873トンアルミ J 37458トン l 43343トン
総 t
l
5,263.425ト.ンl
5.g31甲4トン91r̲arlヒPuaJesSy!IerTlihjaL1999
〔出典〕DSD,http:
<表 ②
D SD
リサ イ クル 実 績 表 >1 998
年1 997
年1.売 上 げ収 入
42
億マルク42
億マルク94.7Kg
(1 991
年 )2.
処 理 .リサ イ クル 費 用39
億 マルク40
億マルク3.
年 次 決 算 1億31 70
万マルク 1億970
万マルク4.
従 業 員 数375
人357
人5.
回 収 包 装 材562
万2525
ト?561
万8445
トン 一 人 当 た り75.8Kg 73.7Kg
〔出典〕DSD,a.a.0.
を設定 し、その達成を条件 として第三者‑の委託 を承認 した。そこで、事業者の共同出資によ って
DSD( DualSys t e m De ut s c hl and)
が設立 さ れ、収集か ら再商品化 に至 るすべての リサイクル 過程を全国的に一手に代行することになる。DSD
は政令制定以前 の1 9 9 0
年9
月28
日に既 に 設立 され、現在、約6 0 0
企業の株主、1 8 0 0 0
弱 の契 約企業か らなる、非上場の民間非営利企業である。リサイクルの市場への組み込みという循環経済 の 課題 にとって重要なことは、
DSD
が事業者集団 による自主的な引き取 り義務履行のための組織 で あり、販売用包装材を リサイクルするための代行機関であるという集団的プール制の性格を もつ点 である。我が国の場合、指定法人である日本容器 包装 リサイクル協会が
DSD
と類似の役割を担 っ ている。第二 に、従来の自治体 による公共的なごみ処理 サー ビスか ら民間の自己責任 による廃棄物処理 ・
リサイクルの市場化 ・民営化への転換を目指 して いることである。
リサイクルが公共的 ごみ処理か ら離れて事業者 責任 による引 き取 りを介 して民間の市場での取 り 組みに移 るにつれて、行政の論理である自区内処 理か ら広域的な技術 と経済的合理性が当然追求 さ
‑1 6 4‑
れることになった。わが国以上に明確に、処分 ご みは公的処理、 リサイクルごみは民間の自己責任
という二元的役割分担が貫かれている。
他方で、
DSD
は市町村の公共的 ごみ処理 との 調整義務を法的に課せ られ、その分全国的にみれ ば地域 ごとの多様な回収 システムが存在すること になっている。( 2 )
包装 リサイクルの成果包装 リサイクルの制度が進展 したが、果た して その成果はみ られるのか。 この点でわが国の現状 と対比 した場合、 ドイツの循環経済モデルはデー タとしては著 しい成果を示 してきた。
ほんの
8 0
年代末いや9 0
年代当初までは、 ドイツ で もごみ排出量の急増 と埋立地の逼迫 という古典 的な処分の限界が問題であった。 ところが、近年 全国的にも、また各州なり各都市の続 汁をみると、処分 ごみの減少 とリサイクル向けごみの増大傾向 が共通 にみ られ、 ここ数年来はごみ不足 と埋立地 等の過剰な処理能力が報告 されるまでに至 ってい る。 しか も、 この趨勢 は続 き、
Pr ognos
社 によ れば、1 9 9 5
年現在の都市 ごみの総排出量 は年3 5 6 0
万 トンだが、2 0 0 5
年に約2 3 0 0
万 トン、2 0 1 0
年 には2 1 0 0
万 トンになるとごみ排 出量の継続的な減少が 予想 されるという3)。また、包装材の リサイクルに限 ってみて も、
3
種類の包装廃棄物のうち再包装材 は9 0%
以上が削 減 され、DSD
が取 り扱 う販売用包装材 は8 6%
の 回収を達成 し、1 9 9 1
年 まで一貫 して急増 して きた 包装材の生産量 は1 9 9 5
年までに約9 0
万 トンの減少 に転 じたといわれる。DSD
は、本年度( 1 9 9 9
年)5
月3
日に改正後初の1 9 9 8
年 「リサイクル量 フロー 証明( Me nge ns t r omnac hwe i s )
」を発表 したが、その表①4)と<表(
診DSD
の実績表> か ら明 らか なように、例えば一人当た りの包装使用量 は1 9 91
年 か ら1 9 9 8
年 の間 に一人 あた りで年間9 4.
7Kgから
8 2 . 3 Kg
へ と約1 3 %
減量化 が進展 したと報告 さ れ、また回収率 とリサイクルの目標率 も達成 され てきた。改正以後の算定基礎の変更によって、今 後 は回収率、選別率ではな く、連邦 レベルで計算 可能な リサイクル率のみを採用 してる。日、DSDに対する批判的論点
以上のような
DSD
の成果にもかかわ らず、D SD
は、Br t i c k
社長 もふれているように、「批判の集中砲火のさなかにある
」( S. 6 0 )
。 その代表的 な ひ と りがSt audt
で あ り、 ま た こ の 雑 誌Spe kt r um derWi s s e ns c haf
tの特集 「包装 リ サイクルと廃棄物管理」にはDSD
の問題点 が さ まざまな視点 か ら指摘 されて い る。 ここで はSt audt
の研究を手掛か りに、 ドイツにおける包 装材 リサイクルの今後の展望を読み解 くに必要 な 限 りでDSD
に対する批判的論点の在 り様を整理 す ることに努めたい。(1)D
S
Dによる包装材の抑制 ・軽減効果 まず、St audt
論文 における<図②包装政令施 行以前における販売用包装材の素材軽減化の事例> と<図③ 販売用包装材の回収量の推移 :事実 上の回収量 と
DSD
なき場合の予想回収量>で示 され、メディアを通 じて も報告 されてきた包装政 令 による包装材の軽減効果 はどの程度あったのか とい うDSD
の成果の事実認識 の問題であ る。St audt
の指摘 は、先 にみたDSD
の実績報告を 否定 し、あるいは少な くとも非常 に限定的に理解 するものである。図② は、政令施行以前 にすでに 素材の軽減化の傾向がみ られたという指摘であり、包装材の軽減化の原因は、図(卦にみられるように、
包装政令や
DSD
によるものとはいえないという。すなわち、
DSD
自体 の 「成功」分 (約2 0 0
万 ト ン)は、既にDSD
成立以前 にガラス、紙頬 など リサイクルが進展 していた部分 とDSD
な くて も その後回収が続いた部分 (合計で約3 6 0
万 トン) を捨象 しなければ判断できないとし、DSD
の過 大評価を戒めている。通常知 られてきた縁のマークの効果に対す るこ の批判 は意外 と思えるものであるが、その他 の論 者の評価をまち、今後の実証的な分析を待たざる をえない。
ただ、
DSD
が初期の財政的な危機を脱 し、 リ サイクル率の達成を し、その意味で消費者の信頼も得て定着 し、 リサイクルが市場経済へ と組 み込 まれて きた現在、ここ数年来の議論の焦点 は、包 装政令の改正の主要なテーマも含め、市場競争秩 序 との調整に向けられて きた。「包装 リサイ クル には未来があるが、それは目標値の管理 によって ではな く、市場によって制御 されることによ って である
」( Hol l e y: S. 7 9 )
。 したが って、以下 はこ の点をふまえて論点を挙げておきたい。( 2 )
集団的引 き取 りシステムとしての問題‑ 165 ‑
小野 隆弘
まず、第
1
に問題になるのは、個別的引 き取 り 義務を委託 ・代行するDSD
という集団的引 き取りシステム内部の問題である。
集団的プール制に固有な問題 は、その集団的取 り決めが有効に機能するには
DSD
が構成員を代 表 している必要があるということである。つ ぎの 二つの論点が指摘できる。ひとっは、DSD
と し てまず全体的に負担 した リサイクル費用を、緑 の マークというライセ ンス手数料を通 して、個 々の 素材別 ・事業者別 に事実上の処理費用に適合 させ てい く内部の負担配分ルールが適正 に機能す るか という内部的効率性の問題である。 この点 はDS
D方式が成功 した最大の原因 といえるが、社会 的 にも評価 され得 るか とい うことになると次 の( 3 )
に関連す る。つ ぎに問題なのは、
DSD
参加 は義務ではない ので、不参加なままでその恩恵 にあずかるフ リー ライダー (ただ乗 り)がでて くることである。 フ リーライダーの割合は、約2 5 ‑ 3 0 %(
鷹野: 3 5
貢)か ら1 5 %( SRU: S. 2 2 7 .
)程度 と推定 されている。 こ の対策 として、昨年の改正 は、環境 カルテル と し てのDSD
を容認 した上でのDSD
体制の強化策 をはか った。DSD
に リサイクルの代行を委託 し た個々の参加企業 に関 しては リサイクル率の証 明 は要求 されないのに対比 して、DSD
不参加企業‑「自己処理業者」に関 して は、法定 リサイクル率 の証明を義務づけ、独立の鑑定人 による確認 を要 求 している。 この改正の影響 はさっそ く現れ、
1 8 0 0
社 に及ぶ新規契約企業が出現 LDSD
は改正による 「第一の効果」 と歓迎 しているム
( 3 )DSD
の社会的費用 :緑 マー クの効率性 と運 営費用の高 さ第
1
次的にはDSD
集団内で負担 された リサイ クル費用 も、製品価格への転嫁を通 して社会的な 負担配分が行われる。<図④DSD
の年間社会 的費用:DSD
の年間費用 は企業 と最終消費者 に とって総額約9
0億マルクになる> は、 この点 へのSt audt
の分析結果であ るが、最近 のDSD
批判 の主要論点であるその高 コス ト構造を消費者の視 点か ら明 らかに しようとするものである。 リサイ クルの成否を評価す るには、法定 リサイクル率 の 達成や リサイクル量の拡大だけにによっては十分 に評価で きない。 リサイクルは万能ではな く、 リ サイクルされるのは回収分の約7 0 %
で、それ以外の
3 0 %
は焼却 か埋立 に回 され るとい うSt audt
の 指摘 は、集団的引き取 りシステムが リサイクルの 行 き過 ぎをまね き、DSD
が環境保全の効率性 を む しろ損なうことになる、 とリサイクルの根本的 な限界 と問題点をっいている。 しか も、DSD
の リサイクル費用 は回収率の増大 につれて加速的 に 上昇することによって、エコロジー的に適正 で、かっ経済的に効率的な回収 ・リサイクルの見極 め の重要性が強調 されている。
したが って、 リサイクルが成功するには、事業 者責任を原則 にする ドイツにおいて も、 ごみの排 出に係わる消費者や行政の経済的負担を越えた協 力が不可欠である。 とりわけ消費者 は 「高 い分別 回収の意欲」を示 し、貢献度 も大 きいが、その分、
みえない形で社会的費用を支払 っている。 この選 別、洗浄、保管、輸送等にかかる費用の具体的な 数値 自体の算定方法についてはなお多様な検討 の 余地が残 るが、社会的費用の分析 と評価が循環経 済 に向けた リサイクルシステムを構築するための 不可欠の前提作業 と考え られる。
( 4 )
市場競争秩序の維持 と促進市場秩序 との両立 という本来的な課題 は、特 に 集団的引き取 りシステムの外部 との関係 において 著 しくあらわれるが、廃棄物処理市場 と自治体 の 公共的な処理 との関係 に区別 して整理 してお く。
①廃棄物処理 ・リサイクル市場
DSD
は全国的に唯一の回収 システムとして処 理サー ビスに対す る需給を独占 している。原理上 は、誰 もが広域的な回収 システムを構築できるが、事実上 は目標値を達成するためにひとつのシステ ムに集中す ることが必要 になるか らである。 もち ろん、
DSD
は包装材の回収 と リサイクルを代行 する調整機関であって、自らはごみ処理 ・リサイ クル業の経営を本業 とはしていない。 しか し、 リ サイクル ・再生品市場では、DSD
だけが リサイクルの引き取 りと保証を実行できるし、従来 か ら
「接点ゼロ」 といわれ、 リサイクル保証会社
( Gar ant i e ge
be
r)‑の無償での回収包装材の提供 をおこなってきた。
より大 きな背景 としては、 リサイクルの市場化 によって、
DSD
への廃棄物処理業の参加をは じ め廃棄物処理市場 における集積が進展 して きた こ とが挙げられる。廃棄物処理産業では9 0
年代初 よ り企業合併が急増 し、電力業か らの参入 と自治体‑ 1 6 6‑
によるごみ処理経営の民営化や民間 との共同経営 などによって集積が進展 して きた
( Be nz l er: S
.4 5;
Rut kows ky: S. 4 7 9 ‑ 4 8 1 ; Sc hl ut e r: S. 5 5 ‑ 5 6 )
。1 9 9 3
年現在で3
大企業の売上げ額での集 中度 は2 0
%弱で、
1
0大企業の場合 は約3 5 %
と算定 され、卸 売業 よりは高いが製造業 よりは低 いと評価 されている
( Be nz l e r: S. 4 3 ‑ 4 4 )
0改正で導入 された対策 は、まず 「接点 ゼ ロ」 を 解消 させることであ り、その上で、回収包装材 を 保証会社 に市場競争条件をふまえて販売するため の公開入札 による競争促進であ った。 しか し、改 正 によって、イノベーションを促進するような公 正な市場競争が直ちに復元するとは期待 されて い
ない5)。
② 自治体 の公共的サー ビスとの調整
リサイクルの市場化 ・民営化 といって も、調整 義務 の存在 によって処理業者 は自治体の合意がな ければ回収 システムを構築できない。 この 「部分 的」民営化の結果、地域 ごとに多数のさまざまな 回収 システムが形成 されるとともに、地域独 占に おいて不透明な協働関係が残 されて きた
。1 9 9 3
年7
月までに、DSD
は5 4
4の地域 と業務契約 を締 結 し、そのうち3 7 5
地域 で は民 間の企業 な らびに 企業連合 と、6 5
地域では民間 と公共 との連合休と、1 0 4
地域では、処理義務 のある地域 自治体 との協 定 にな っている(St audt 9 7: S. 2 8 )
0従来か らの公共的 ごみ処理サー ビスを担 って き た市町村 と
DSD
との調整義務 は、改正案で は放 棄す る案 も提案 されたが、自治体側の強い批判 もあ り、調整義務を維持 す ることにな った6)。 その 代わ りに、処理処分事業の競争受注 は民間 との競 争入札条件をふまえた公開入札を要請す ることに な った。広域的に展開す る市場化の論理 と地域 の 公共的関与のあ り方 との関係 はなお大 きな課題 と
して残 されている。
(5)リサイクル方法の再考
St audt
は、<図④ ごみ焼却 の限界費用 は変 動が少ないのに対 して、DSD
における限界費用 は リサイクル割合が増大す るにつれ、急激 に上昇 する>を示 し、「経済 的 にみて リサイ クルが意味 あるのは、約6 5 %
であ る (誤差 は上下 に5
%)0 この数字 は、包装政令がな くて も分別回収 され、素材的に リサイクルされ うる量をわずか
1 5 %
超過 す るにす ぎないのである。残 りの小型の包装 や混合素材の包装に対 しては焼却がより経済的な代替 策 となる
」( S. 7 8 )
と、 リサイクル方法 の再考 を求 めているドイツの リサイクル方法についての理解 は、K
r. G.
第4
条の基本原則 :廃棄物処理の ヒエラルキー の指示 と、素材的 リサイクルとェネルギー リサイ クルの規定、Kr. G.
第5
条 の基本義務、Kr. G.
第6
秦(2):エネルギー リサ イクルの条件 であ り、焼 却のための前提条件の規定によって原則的に規定されている7)0
リサイクル方法の再考を促 して きた議論の背景 にあるのは、まず、プラスチ ックの処理問題で あ り、また焼却機能の意味変化である。廃プラスチッ クの リサイクル方法 として高炉への還元剤 として の利用をは じめ新技術 の開発が加速化 して きた こ と、及び焼却の機能が発電等 との コ‑ジェネ利用 によって複合化 して きたことのなかで、 リサイ ク ル方法の決定については前 もって確定的な結論 を 引 き出す ことが困難 になっている。
改正では、プラスチ ックの法定最低 リサイクル 率の規定で、その
6 0%
の6
割 は素材的 リサ イクル を要求 し、残 り4
割 にエネルギー リサ イクルを も 認 めたが、「肯定的に評価 され るべ きは、 プラご みの場合、素材的 リサイクルだけでな く、 エネル ギー的利用が認知 された ことである。それに対 し て、材料的利用の最低値が確定 された ことが意味 があるかどうかは疑わ しい。その評価 は、 エ コバ ランス分析だけでは不十分で、国民経済的に総合 的なコス トベネフィット分析 においてのみ可能 で ある。 」( Hol l e y: S. 7 9 )
。ヘ ッセ ン州Lahn‑ Di l
l鞄 区方式 は、軽微 なプラスチ ック、複合財を混合回 収 ・焼却 し、エネルギー回収 している。lV、むすぴに リサイクルと市場秩序 との両立 に 向けて
以上、近年注 目されて きた
DSD
がかかえ る問 題群を列挙 して きたが、包装 リサイクルとい う9 0
年代の主要な舞台での循環経済の結果 は、DSD
体制の 「成功」にもかかわ らず、また政令 の大 き な改正を経 たに もかかわ らず、なお多様な問題 を 抱えているといわざるをえない。 「政策 当局 は明 らかにこれまでの失敗か ら多 くを学ばなか ったの であ り、 したが って、政令の改正では競争促進 の 口実、例えばごみ処理サー ビスの競争入札への義‑ 167 ‑
小野 隆弘
務づけが導入 されたが、結局現行の制度を維持強 化するだけにな っている
」( St audt: S. 7 8 )
0「政策 当局 は、上位 目標を設定 したが、それを達成す る ための方法 は提示 していない。改正 も、大 きな進 歩 にはなっていない。せいぜい行政的規制の従来 か らの誤 りが深刻 な ものではな くなった程度 にす ぎない」( Hol l e y: S. 7 9 )
0本来、廃棄物政策の役割 は市場競争 との関連 で みると、一方で、市場外での公共的処理の限界 と リサイクルの市場への再組み込み と、他方で、 そ の際における市場競争の活用 という相互 に対抗 し あう二重の役割 を課題 として担 って きたと言え よ
っ
現在 までに、
DSD
方式がその他の リサイ クル 制度 に直ちに適用 されている訳ではない。む しろ、DSD
の経験をふまえたが故 にこそ、 リサイクル は品 目ごとに多様 な制度化が進 め られて きた。独 占的な引 き取 りシステムを回避するような リサイ クルシステムの構築が試み られ、政令 に依拠 しな い、業界の自主的な取 り組みである自己責任措置 を活かすような方向が優先 されている。 しか しな が ら、 リサイクルと市場競争秩序 との両立 とい う 課題 は今後 もますます重要な意味を もってきて いるのである。
註 :
1)政策手法 としての自己責任の意味について は、
拙稿を参照 されたい。
2 )
循環経済の手際 よい整理 は、R6mer/Fel d
を 参照。他 に、容器包装 リサイクルにつ いて はEms l ander
、Rut kows ky
、SRU
を、法制度の説明 としては、松村、福田をみ られたい。
3 ) SRU: 1 7 4 。
廃棄物分野における連邦統計 は遅れ ている。4 )DSD
ホームページによる。 リサイクル率 と し ては、まず、DSD
によって保証 された リサイ クル量 ‑ライセ ンス提供量が報告 され る。1 9 9 8
年 は、緑のマークによって ライセ ンスされた以 上の包装材が リサイクルされた。 このライセ ン
ス以上の リサイクルで特 に著 しいのは、紙類 と プラスチ ックである。その基本的原因は、依然 として ライセ ンスされない包装材が
DSD
に流 れ込んでいることである。5 )
ドイツ廃棄物処理 ・リサイクル業 における中堅 企業団体である 「連邦再生原料 ・処理事業 中央 連盟( bvs e)」
事務局長 ギ ュ ンタ‑氏 のD SD
体制への批判的論調をみ られたい。6 )
例えば、 ミュンヘ ン市 は改正草案 における調整 義 務 撤 廃 の 提 案 を 厳 し く批 判 して き た( Landes haupt s t adt
参照)07)ドイツの リサイクル方式 は、以下のような区分 を定義 しているが、エネルギー リサイクルのた めには、①個々の廃棄物の熱量
1 1 , 0 0O kj /kg
、②燃焼効率が少 な くとも
7 5%
など厳 しい条件が 付 けられている( Kr . G.
第6
条( 2 ) )
。st of f l i cheVer wert ung
(素材的 リサイクル) マテ リアル ・リサイクル (広義)‑ wer kst of f l i c h
(材料的 リサイクル) マテ リアル ・リサイクルrohst of f l i c h
(原料的 リサイクル) ケ ミカル ・リサイクルener get i sc h
エネルギー ・リサイクル
Ther mi s cheBehandl ung
(熱的処理)サーマル処理
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.4)国際比較環境法センター
、 1 9 9 8:
『主要国における最新廃棄 物法制』商事法務研究会鷹野克彦
、 1 9 9 8:
「ドイツにおける廃棄物処理の現状 とプラ スチックリサイクルの新 らしい動き」上(
『プラスピア』No. 1 0
1)。中曽利雄、1
9 9 8:
「ドイツ包装政令全面改正一新包装政令の 主な内容と注釈付き全訳‑」(
『月刊廃棄物』19 9 8 ‑ 1
1所収)フィッシャー、ハンス ・ギュンタ一
、 1 9 9 8:
「ドイツ中堅 リ サイクリング業界の視点から見た包装廃棄物政令の改正 とその意味」(
『月刊廃棄物』1 9 9 8 ‑ 1 2
所収)福田清明
、 1 9 9 8:
「包装容器令」(国際比較環境法センター、1 9 9 8:
所収)松村弓彦
、1 9 9 8:
「循環経済及び廃棄物法」
(国際比較環境 法センター、 1 9 9 8:
所収)( 1 9 9 9
年6
月3 0
日受理)‑ 169 ‑