高校理数科の地学について
著者 高橋 堅二
雑誌名 静岡地学
巻 36
ページ 39‑41
発行年 1977‑11‑20
出版者 静岡県地学会
URL http://doi.org/10.14945/00025635
静岡地学第 36 号 ( 1977) 39 ‑4 1
科の地 し 瓦
一 一
A本
昭 和 43 年 4 月 、 各地に理数科 が併置されて以来、満
10年を迎えようとしている。本校 では、 45 年 4 月に併設され、特に理数教科に重点をおいた教育課程のもとに、総合数学,総合物理,
総合化学,総合生物,総合地学の講盛名でそれぞれ授業がおこなわれている
Oこの中では、総合地学 の自擦は次のように示されている
O( 1 ) 自然の事物.現象の中によ古学的な 科学の方法を習得させ、地学的な
る能力を伸ばし創造的な能力を養う
Oから積極的に問題を見いだし、その探究の過程を通して や原理.法射の系統的な理解を深め、これらを活用す
( 2 ) 自然、の事物.現象のいくつかについても地学的に特に深く探究させてもそれらを支配する罰 を発克させ、自然、のしくみやはたらきを分析的ならびに総合的にいっそう深く考察させ、科学的 な自然観を育てる
Oそこで¥本校でおこなわれている総合地学について、その学習内容,問題点などについて述べてみ たい。元来、地学は総合科学であるといわれ、地学的事象は広い空間と長い時間にわたっている
Oそ
してその事象の多くは実験室内での再現が闘難である
Oこのため、観察実験を通して科学の方法を 得させ、科学的創造能力を育て、基本的な科学概念を理解させるということは、容易なことではない。
しかし総合地学では
E自然の探究のしかたを習得させることが重視されておりもそのため
というものが与えられ、生徒自らに探究の過程をたどらせることがお
ζなわれている
O総合地学を内 容的にみると
E地学 I 及び地学立では f 宇宙における地球の環境 J r 地球における変化と
zネノレギー J
「地球と宇宙の進化 J r 天体としての地球 J r 地球の大気 J r 堅い地球 J と
6つの大損自に分れてい たものが、総合地学では、 における地球の環境 J r 地 球 に お け る 変 化 と エ ネ ル ギ ‑ J r 地球と
の進化 J の
8つに項目を集約され、それぞれ大きくまとめられているOでの総合地学は、地学 1 ,地学互の 2 冊の教科書を使用し、 3 年 生 で
4単位の履修となってい る。しかし
8年生ということから実質的には
4単位を割る
ζとになり、幅広い授業内容と十分な
の両立は大変にむづかしい
ζとである
O叉 、 大 学 受 験 科 目 と し て 地 学 を 選 ぶ 生 徒 は 少 し 大 部 分 の生徒は単位数の多い総合物理,総合化学を選び家での学留時間もある程度
ζれらにあてていると思 われる。これに対し、総合地学は学校での授業時間のみといった割りきった考え方をもっ生徒が大多 数である
Oそれだけに学校における授業のもつ意味は突に大きなものである
Oこういった窓まれない 条件の中でも多少でも総合地学の自的にそいも自然科学百そして地学に興味をひきお
ζさせるには百
内容は言うに及ばず、
れる
Oしかし現実には、
の項自を増し
Eその方法を工夫することが最も大事だろうと思わ の歯車枠は十令に認識されながら、授業には十分に生かしにくいの が地学のもつむづかしい点でもある
Oその原器としてはいろいろ考えられるが、第一には地学の対象 分野があまミりにも広範屈にわたっているため
E全てに専門知識をもつことがむつかしいこと
E第ニと
して範設,設備が不十分であり
E叉実験器具の作成もスケーノレの違いから凶難なものが多いこと、
* 39‑
が考えられる
O三 に は 配 当 時 閣 の このような中 比 し て 多 少 時 間
に比べ
E理科的興味の強し るが、あまち親切な指誌を
を対象にした 自
で 培 、 従 来 の 学 習 に をこらした
をさせ、 をさせながら結論を自
例1. エネルギーの
O
ク ラ ス の 麗 別 編 成 ( 5
山s 人 )
O
斑 加 に 測 定 方 法 を 討 議 さ せ 最 良 と 思 わ れ
る
を1 つまとめる
OO
な をそろえる
OO
せ る と い っ た をとったりもする
O例
2.:i:秀明方解石と
o L>‑昌に婁験の目的、偏光に関する光学的説明を る ( 複 屈 折 の 物 理 的 性 貿 は 一 切 し な い )
O
込七!十( 4人 ) に 透 明 方 解 石 、 鋪 光 絞 ( 2枚 )¥
白紙を与える
OO
ヤ 片 隅 に し、その方法に従
O
に讃
U' i F '( ) って つ
OO をまとめ能班の と比較
Oそれらから判明した、 して透明方解
する
Oのもつ光学的性箕をまとめる。
O
レポート提出
OG 斑 別 発 表 又 は レ ポ ー ト 提 出
O
前 般 に 教 師 か ら 、 複 屈 折 現 象 そ の 能 嬬 光 顕 微 鏡
する光学的な 明を与える
O上 例 の よ う な 方 法 を と っ た 場 合 に は 、 生 徒 達 は 試 行 錯 誤 を 繰 り 返 し も 一 見 非 能 率 的 な 学 習 の よ う に 見 え る が 、 多 く の 生 徒 は 真 剣 に と り く み 、 裁 に 貴 重 な 経 験 を 繰 り 返 し 、 真 に 身 に つ い た 学 力 と な る よ う に 思 わ れ る 。 そ し て 地 学 に 興 味 を 示 し は じ め る 者 も 出 て く る
Oこの点では、一応の成果はあると え ら れ る が 、 一 般 的 に は 、 学 習 に 多 く の 時 間 が か か り 、 か な り の 実 験 器 具
z器 材 等 必 要 で あ る こ と か ら 、 限 ら れ た 時 間 と 、 隈 ら れ た 実 験 器 具 志 乏 し い 予 算 内 で 全 て の 実 験 頃 自 に 同 様 な 方 法 を と る こ と は む つ か し く 、 今 後 の 課 題 と し て 残 さ れ る と こ ろ で あ る
O地 学 と い う 教 科 へ の 理 解 と 予 算 面 で の 充 実 化
まれる
O最 後 に 本 校 で 実 施 さ れ る 、 ま た 実 施 可 能 と 思 わ れ る を項目のみであるが以下あげてみる。
C I J 宇 宙 に お け る 地 球 の 環 境
O ブ ー コ ー 援 子 に よ る 地 球 自 転 の 実 験
O
地 磁 気 の 偏 角 と 伏 角 の 測 定
O
ケ プ ラ ー の 法 則 の 検 証
O
宇 宙 塵 の 採 取 と 観 察
C 2 J 地 表 に お け る 変 化 と エ ネ ル ギ ー
O
鉱 物 , 岩 石 の 肉 眼 鏡 察
O
原 子 模 型 に よ る 結 晶 構 造 の 組 立
O
岩 石 プ レ パ ラ ー ト の 顕 数 鏡 観 察
O 火 山 灰 中 の 造 岩 鉱 物 の 分 類
O
黒 点 , プ ロ ミ ネ ン ス の 観 測
O
太 陽 放 射 エ ネ ル ギ ー の 測 定
O
天 球 犠 に よ る 天 体 詰 周 運 動 の
O
富 力 加 速 度 の 測 定
O
惑 星 の 境 運 動 の 作 図
O
カ リ ミ ョ ウ バ ン に よ る 結 晶 の 生 成 と そ の 観 察
O
岩 石 プ レ バ ラ ー ト の 作 成
O
透 明 方 解 石 に よ る 複 届 折 現 象 の 実 験
O
白 雲 母 の プ レ パ ラ ー ト 作 成 と コ ノ ス コ ー プ 像 の 観 察
O
分 光 器 に よ る ス ベ ク ト ル 観 察
‑40‑
。堆積作用(流水作用)の実験
O
天気図の作成と天気予報
O
観測データのグラフ化とその
O
地震資料を用いた地球内部の探求
[3J地 球 と 宇 宙 の 進 化
O
地質閣の作成と読み方
O
ブズリナ化石スライドの作成とその oH 設図作成とその法射性.進化の
O
粒度による沈降速震の実験
O
地上天気圏と高層天気図
G
走時曲線と地球の内部構造
O
クリノメーターと歩測によるルートマップ作成
O
有孔虫化石の分析とその観察
[4
J 上記以外、準備実験に長時間を饗するもの
(ζれらは課題研究に適する)
O
長時間にわたる天気図作成と気象変化に
O日射計の製作と太陽放射コニネルギーの測定
ついて o
F主計官周辺の
O
雨滴の大きさの測定
O天体観測(テーマ ,個人叉グループ)
O
貝化石の採集と古環境の推論
その他、生徒個人,グループによりそれぞれに適当なテーマがえらばれる。
[lJ
一
[4Jについては、鹿接生徒自身の手でなされるものであるが、これ以外に教師嘆験とし て、教卓で行われるものも下記のような項目がし
1くつか考えられる。
O
郎防軍脇鵠貯による堆積作用の実験
O大気大循環の
O
の発生
O
O 流量,流速と運搬力の測定
O
転向力の
O
ジャイロスコープによる
さらにこれらの生徒 教師実験実習の学習効果を
O
アイソスタシーのそデル実験
O
紫外線照射による鉱物鑑定
O 色粘土による の変形
O
悔陸風のそチル
O