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著者 伊藤 宏, 青木 賢一, 田中 秀幸

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(1)

クラウチングスタートにおける身体重心と両足との 位置関係に関する実験的研究

著者 伊藤 宏, 青木 賢一, 田中 秀幸

雑誌名 静岡大学教育学部研究報告. 自然科学篇

巻 30

ページ 15‑22

発行年 1980‑03‑22

出版者 静岡大学教育学部

URL http://doi.org/10.14945/00008312

(2)

クラウチングスタートにおける身体重心 と両足との位置関係に関する実験的研究

The Experimental Study on the Relation between the Center of Gravity      of a Body and the Position of a Foreleg and a Hind Leg in the       Style of a Crouching Start

伊藤 宏・青木賢一・田中秀幸

Hiroshi ITO,Ken−ichi AOKI and Hideyuki TANAKA

(昭和54年10月9日受理)

      Abstract

 The purpose of the study is to examine the stance of crouching start being used by top sprinters.From the data obtained by this study the following conclusions were made.

  1.The top sprinters mainly used t Bunch Start . The runners stood with their forelegs     average 1.4 foot lengths and their hind legs average 2.5 foot lengths from the start

    line.

  2.In this experimental condition it was TYPE 3 when the center of gravity of a boby    〕came nearest to the start line.

    In the case of t℃ET SET , the point at which a vertical line from the center of     gravity of top sprinters meets at right angles with a horizontal one was 14.7cm long from     the start line. It meant 60.2 per cent assuming that one foot length is 100 per cent.

  3.In this case, the stability of the center of gravity by the sprinters, t℃ET SET was     superior to that of untrained men.

1 緒

 1948年,ロンドンでの第4回オリンピック大会で正式にクラウチング・スタート(Crouching Start)が使用された。そしてその翌年1949年,日本陸上競技連盟は新しい試みとして,クラウ チングスタートとスターティング・ブロック(Starting Block)を使用しての全国大会を実施 することとなった。

 このクラウチング・スタートについては,1888年アメリカのエール大学のシェリル1)(C.H.

Sherrill)が考案したのであるが,この技術は短距離走の技術史の中で画期的な発明であるとさ れている。当時は,地面に孔を掘っていたが,グランドの保護という面から,現在は地上に「足 止め」(スターティング・・ブロック)を用いている。

(3)

16 伊藤 宏・青木 賢一・田中 秀幸

 このクラウチングスタートには,一般的にバンチ・スタート(Bunch start),ミーディアム・

スタート(Medium start),エロンゲイティド・スタート(Elongated start)の3種類に分類 されている。1949年,「陸上競技読本」の中で佐々木2)は,クラウチング・スタートの足のセッ

トの仕方を「スタート・ラインから前足までを30cm〜50cm,そして前足から後足までを30cm〜50 cmとした方が良い。」と述べていた。また1951年,「暁の超特急」の異名をもつスプリンター吉

岡3)は,「スタート・ラインから前足までを40cm,前足から後足まで40cmの等間隔をもったスター ト法が良い。」と推奨していた。このように,クラウチング・スタートが用いられた初期の日本 では,ミーディアム・スタートが一般的であったようである。

 1955年,大島4)は「スプリント競技のスタートの足取り型は大体三つある。すなわちスタート の線と前足の位置との距離の長短によって,これをA,B, Cと三つの型に分類することがで

きる。短いものをA型とし,中間のものをB型とし,長いものをC型とする。その結果,A型

は前足の位置と後足の位置の間隔が広くなり,B型は中間となり, C型は非常にせまくなるの が自然の形である。」と述べ,ほぼ今日の技術の原型を紹介した。

 以後,多くの指導者,研究者,そして競技者がクラウチング・スタートについて種々解説し,

分析し,また実践してきているが,ここでそれらの分類法を整理してみると,次のようになる。

 分類法1;スタートラインから前足までの距離,そして前足と後足との間隔について。

 分類法II;後ろの下肢部位を前足のどの部位に置くのか。

 分類法III;スタートラインから前足・後足までの距離を足長で規定する場合

 第1の分類について,この定義の仕方が現在までの指導書の中で一番多くみられる。宮丸5)は,

「クラウチング・スタートの構えには,前足と後足の位置すなわち⑧;スタートラインと前足 との距離と,⑧;前足と後足の距離との関係から大まかに三つの典型的な構え方に分類できる。」

  ①バンチ・スタート(⑧〉⑧)

  ②ミディアム・スタート (④=⑧)

  ③エロンゲーテツド・スタート (⑧〈⑧)

を挙げて解説している。その他に加藤6),山本・山口7)湯浅8),

丸山9)らも同様な説明を行っている。

 第IIの分類の定義では,ブレスナーン1°)(Bresnahan)が図 1を用いて次のように解説している。

 「○バンチスタート;これは立った時に後足の爪先が前足 の踵のすく横にくるように接近した位置をとる点に特徴があ る。この位置関係は両足を接近せしめたスタート姿勢の極端 なものであり,実際問題としてこれ以上接近してスタートす ることはまずない。

 ○ミーディァムスタート;かがんだ時,後脚の膝関節部が 前の足関節部の横にくるような位置関係を保つものである。

 ○エロンゲイティドスタート;かがんだ時,後ろの脚の膝 関節部が前の足の踵の横にくるような位置関係を示すもの。」

 その他に,金原11),,浅川・古藤12)らもこの様な解説を行っ ている。

 第IIIの分類は,ヨーロッパによく見られる定義の仕方で,

図1

「用意」の構え

A:バンチ型 B:ミーディアム型 C:エロンケイラド型    (ブレスナーンによる)

(4)

ウィシュマン(Wisc㎞ann)13)は次のように説明している。「①足の前後の開きを広くとる場合。

(スタートラインから前足まで約一足長,後足まで約3足長)②中くらいの場合。(スタートラ インから前足まで約1.5足長,後足まで約3足長)③狭い場合。(スタートラインから前足まで

約2足長,後足まで約3足長) 足の長さを基準にしたのは,大体の目安をつけるためである

が,少年少女の練習においては,これで十分成果をあげている。」

 またミュンヘン・オリンピック 100m,200m 優勝者ボルゾフ14)(Borsow)は第一のスター ティングブロックは,スタートラインから自分の足の裏の長さの2.5倍の距離において固定し,

その上に利き脚を置く。第2のスターティング・ブロックは第1のスターティング・ブロック から足の裏1つの距離をおいて固定する。ブロックとブロックとの横の間隔は足の裏の半分に

する。私がここで述べたスタートの姿勢は,身長にも体格にもかかわりなく,初心者なら誰で

も応用できるものである。」

 ポーランドのナショナル・コーチであるマック15)(Mach)は「前足と後足との間隔は,いず れも1足長とする。スタートラインから前足のブロックまで (A)Kurze−stellung(1足長) (B)

Mitte1−stellung(2足長) (C)Weite−stellung(3足長)の所におく。」と指導者の立場で単純明 快に説明している。

 以上の3種類の分類であるが,第1と第IIの分類では,実際の指導で個人差が大きく表われ

詳細な個所で曖昧な点が出てくる嫌いが見られる。第IIIの分類では,足長で定義してあるため,

誰にも当てはまり,現在時点で一応確実な指示ができると思われる。

 今回の研究では,1第IIIの定義の仕方に基づいたスタート法によって,スタート・フォームを 決定し,その時の身体重心の位置を測定し,スタートの機序について身体重心の位置関係から 考察をしようとした。

 II研究方法

 今回の研究では,スタート時に用いる各種のスタートの構えについて,その基底面に落ちる 身体重心の位置関係に視点をおいて,一流走者の用いるスタートの構えを分析し,また未経験 者についても合せて考察した。

  A 実験手順

1.実験期日

2.実験場所

3.被検者

昭和53年10月25日〜11月5日

静岡大学教養部D棟404 体育測定実験室

100mにおいて10秒5から10秒9までの記録を持つ短距離走者男子6名を A群とし,陸上競技未経験者男子6名をB群として比較検討した。

 (表1参照)

  4.測定方法

    各種条件におけるクラウチング・スタート時の「位置について」,「用意」の構えにつ いて,その基底面における前後左右の身体重心をキネトグラビコーダー(Kinetogravicorder)

で測定し,同時に側方からそれぞれの構えも写真撮映した。(写真1参照)

  5.測定項目

    クラウチング・スタートには,前項で述べてきたように各種あるが,今回の実験では

比較検討のため,各被検者の1足長を基準にして,7通りのスタート条件を作り,それぞれに

ついて測定した。(表2参照)なおA群の短距離走者については,練習や試合で使用している構

えについても測定した。(表3参照)測定は,被検者12名にタイプ1からタイプ7までの構え

(5)

18

伊藤宏・青木賢一・田中秀幸

で,キネトグラビコーダーの上で構えてもらい,

「位置について」の合図2秒後に,その時の身体 重心の位置を記録し,「用意」についても同様に 行った。「位置について」と「用意」における身体 重心の左右方向への「ずれ」や,動揺の程度(す

なわち安定性)については,構えて3秒後に3秒

間測定した。今回の測定では,スタートラインに 対する両手のつき方,前足・後足の間隔について は厳密に指示したが,それ以外については,一切 注意しなかった。(肩の位置,目の位置,どの程度

まで腰をあげるかetc.)

  6.キネトグラビコーダー(Kinetogravi−

corder)について

 本装置は, 人間の歩行状態,運動状態を重心の 移動という観点から捉える装置で,体の動き(地 面に投影される重心移動)を被検者に何も装着し ない無接触状態で記録することができる歩行・運 動状態測定装置である。

 m 結果と考察

 A.各種条件における身体重心の位置に

ついて。

 A群のタイプ1〜3までの「位置につい

て」,「用意」の構えにおいて,前足をスター

トラインから1足長と固定した場合,後足 が前足に近づくにつれて,重心の位置が前 方(スタートライン方向)へ移動する傾向

が認められた。またタイプ4〜6でも同様

な結果がみられた。

 B群でも,いずれのタイプにおいて,後

足が前足の方へ近づくにつれて,身体重心 はスタートラインの方へ接近する傾向が見

られた。

 またA群で最もスタートラインに重心の

表1 被  検  者

氏 名 年令

i才)

身長

icm)

体重

ikg)

足長 icm)

100m

L録(秒)

S.K.

28 175 70

25.2

1σ6

M.Y.

25 170 65

24.3 10 5

M.K.

26 175 66

23.5

10F 5

A

K.H.

23 172

63 24.3 ユぴ5

H.M. 21

169 65

24.8

ユ0 9

Y.S.

20 172 62

24.2 ユσ8

   H.K.

   T.Y.

   J.M.

B   K.0.

   A.Y.

   A.1.

21

20 20 20

19 18

179 173 174

164 171

168

66 58 60 50 63 56

27.5 25.1 24.0 23、7 23.4 24.0

位置が近づいたのは,タイプ3で「位置について」でスタートラインから平均20.6cm,「用意」

で平均14.7cmの所に位置していた。これは,スタートラインから前足までの1足長を100%とし た時,「位置について」で84%,「用意」で60%の所に位置し,どちらもスタートラインから1 足長の範囲の中に落ちていた。また最も離れた重心の位置は,タイプ4の時にみられ,タイプ

3の「用意」の位置よりも2倍以上も後方にあった。B群では,最もスタートラインに近づい

(6)

たのは,やはりタイプ3で,最も離れたのは,タ イプ4の時であった。これらは,いずれもA群よ

りも,有意にスタートラインから離れていた事が 認められた。(表4・表5参照)

 またA群については,実際試合で用いているス

タートについては,バンチスタートが4名,エロ

ンゲィティッドスタートが2名であったが,どれ

もみなミーディアムスタートの改良もしくは変形

であることが表3から読み取れよう。重心の位置

は,「位置について」で平均28.4cm,「用意」で平

均18.2cmの所に位置し,1足長を100%とした場

合,スタートラインから身体重心の落下地点は,

「位置について」で116.5%,「用意」で74.7%に

なり,この構えでの重心位置は,タイプ3を除い

てはどのタイプよりも前方に落ちていたことにな る。この事は実際の場面では,前足を,タイプ1

〜3より約半足長後方にさげても,両腕に十二分

体重をかけることによって,重心をなるべく前方 へ移動させようとする努力がなされていることが 考えられる。

表2 各種測定条件  (単位:足長)

Type

a b C

1 1

3

1

2

1 2.5

0.5

3

1

2 0

4

2 4

1

5 2

3.5

0.5

6 2 3 0

7

1.5

2.5 0

a:スタートラインから前足までの足長 b:スタートラインから後足までの足長 c:前足と後足との間隔

この事について,ジョン・W・バン16)(John W Bun)は力学的観点から,「一方向にスター トするときは,重心をできるだけ高く,そ

して基底面のその方向の端におくようにす る。そしてかがみ込んだ姿勢からスタート するときには,尻を肩より高く上げ,体の 重心は足から前方にある手の方向に移動す るようにする。重心を足より前に置くと,

足を回転の中心とした回転運動が起こり,

それは足から重心までの水平距離に体の重 量をかけたものに等しい。この姿勢には重 力を利用して速いスタートができる利点が

表3 短距離走者が用いたスタート法 (cm)

氏 名

位置について

用 意

a b

S.K. 27.4 22.6 40.5 71.4

M.Y. 25.0 16.7 29.8 63.1

M.K. 32.1 21.4 35.7 63.1

K.H. 34.5 20.2 33.3 70.2

H.M. 28.6 16.7 39.3 58.3

Y.S. 22.6 11.9 22.6 44.0

X

28.4 18.2 33.5 61.7

S

4.4 4.0 6.6 10.0

a:スタートラインから前足までの距離 b:スタートラインから後足までの距離 ある。」と述べ,A群の短距離走者が用いているスタート法が,力学的にも有効であることを裏 付けている。また,この観点から,重心の位置がよりスタートラインに近づいていると言うこ

とで,今回のタイプ3も理論的には,他のタイプよりは有効であることが考えられる。

 しかし,実際にはタイプ7のようなバンチ・スタートが短距離走者にとって好まれて用いら

れている。この事実に対して,大島4)は「最近の世界的な傾向は,バンチ・スタートの採用で,

これが一番合理的だとされている。その方法をとると最初の1歩は,スタート線の直前につく ので他のスタート法に比べて損をするようであるが,第一歩が自然に一番スムースにつき,し

かも一番良い前傾姿勢がとれるので,最初の1歩の損失は4〜5歩目で十分補いがつき,しか

もその後自然にスプリントのフォームに入れるので,見事な完全疾走が無理なく行われる。」と

(7)

20 伊藤 宏・青木 賢一・田中 秀幸

解説している。そしてこの事は,スタート時において,水平方向に,より有効に力を加えるた めには・十分な前傾姿勢が要求され・    表4 各種条件における身体重心の位置  (cm)

他のスタート法より,バンチ・スター トの方がスターティングタイムも速い と言う研究成果にもとずいているもの と考えられる。

 現在の日本のスタート法の練習方法 は,ミーディァム・スタートの構えか ら,練習を開始し,その後,個人個人 に合った構えに移行していく方法が取 られていて,最終的には,バンチ・ス タートに落ち着くようである。

 一方,最近,日本陸上競技連盟が招 聰したポーランドのナショナルコーチ であるマックは,Kurze−stellungすな

わちタイプ3の構えから練習を開始す

ることを推めた。この方法によると,

より早くスタートすることに全力を傾けるよりは,正確にスタートすることを優先させるべき であり,このKurze−stellungを用いることによって,両足にしっかり体重をかけ,両手はただ 体を軽くささえるだけになり,他の方法より安定し,負担のかからない構えになり,実際に用 いて・かなりの成果を上げていると報告している。   表5 各種条件の身体重心の割合(%)

 今回の測定結果から,タイプ3が最もスタートライ

ン近くに重心が落ちていることが判明した。そして,

マックが採っているような指導法などで行えば,この タイプ3の構えも,より可能性を持ったスタート法と して,練習の場で試行し,レースにも生かして行って も良いのではないだろうか。

 B.「位置について」から「用意」における身体重心

の左右方向への「ずれ」と「安定性」について,A群

とB群との比較。

  1.身体重心の「ずれ」について。表6参照

 A群では,6名の被検者全員が,「位置について」か

ら用意」において,身体重心の左右方向への「ずれ」

(前足が左足なら,「位置について」の構えの時の重心 の位置から「用意」の姿勢で重心の位置が左側へ移動 すること。また前足が右足なら重心が右側へ移動する

こと。)に,一定のパターンがみられた。しかしB群では,6名中3名が前足の方向とは逆の方 向性を示し,一定の方向性が認められなかった。また,A群での左右の「ずれ」幅は,平均1.

3cmであり, B群では平均2.7cmもあり,1%の有意水準でA群の方のずれ幅は少ないことが認 められた。以上の事から,A群では自分のスタートフォームを確立しているので,最終的に自

TYPE

位置について 用  意 移動距離

1

26.0±2.5 16.9±2.4 9.0±3.0 2 24.7±2.4 15.7±2.7 9.0±3.6 3 20.6±4.5 14.7±3.1 5.9±4.4

A  4

35.5±4.9 28.2±3.9 7.4±2.4 5 31.5±5.4 24.7±3.2 6.8±3.5 6 29.9±3.8 21.5±2.1 8.4±3.3

7 26.5±3.4 18.5±2.5

7.9±42

1

35.4±7.9 24.3±3.2

11.2十7,7   一

2 33.2±9.5 20.4±3.6

12.4+9.6   一

3 27.3±6.6 18.5±2.9

8.9十8.4  一 B  4

49.4±5。1 34.5±2、9

14.9十6.8   一

5 47.7±6.3 31.9±3.7

15.9+6.9   一

6 44.8±7.6 30.7±4.3

14.1+8.4   一

7 37.2±8.8 24.3±2.1

12.9+8.4   一

TYPE

位置について 用  意

1

106.7±11.6 69.3±10.1 2 101.2±11.8 64.4±11.6 3 84.6±19.0 60.2±12.3 A  4 146.1±22.7 115.8±17.6 5 129.7±24.5 101.6±14.4 6 122.5±16.6

88.1±9.6

7 108.7±15.0 76.1±10.1

1

143.9±31.4 99.0±16.3 2 134.9±39.0 83.3±16.5 3 111.2±27.5 75.0±12.5

B 4 200.6±16.6 140.4±13.3

5 193.8±21.4 129.6±14.4

6 181.8±29.4 124.7±15.4

7 151.1±35.6

98.7±6.8

(8)

表6 身体重心の「ずれ」 (cm)

氏 タ イ プ

1

2 3 4 5 6 7 8

S 前足

S.K.

L2.0

L1.5

L1.0 LO.5 LO.5 LO.5 LO.5

0.93 0.61 L

M.Y.

R1.5 R2.0 R1.5 R1.5 R2.0 R2.0 R2.0

1.79 0.27

R

M.K. 0 LO.5

LO.5

0

LO.5

LLO 0 0.36 0.38

L

A K.H. 0 LO.5 0

L1.0

0

LO.5 L1.0

0.43 0.45

L

H.M.

L2.5

L2.5

L2.5 L2.5 L2.5 L3.0 L2.5

2.57 0.19 L

Y.S.

L2.5 L2.0 LO.5 L3.5 L1.5 L1.0 L1.5

1.79 0.99

L

H.K.

R3.5 R6.5 R7.5 R7.0 R8.0 R7.0 R8.0

6.79 1.55 R

T.Y.

L3.5

L2.0

L3.0 L3.0 L2.0 L2.0 RO.5

2.29 0.99

L

J.M.

L2.5

L3.5

L2.5 L1.5 L2.5 L2.5 L3.5

2.64 0.69

L B

T.O. L2.5 0

L2.0 L3.0 L2.5 L2.5 L3.0

2.64 0.38 L

A.Y.

LO.5 L3.0 R2.0 L1.5 R1.0 RO.5

0 0.79 0.76 L

A.1.

R1.5 RO.5 R2.5 L1.5 L1.0 RO.5 L1.5

1.29 0.70 L

       L:左足   R:右足

分の前足の方向へ,身体重心を寄せるパターンがみられた。

  2.身体重心の「安定性」について(表7参照)

 「位置について」では,B群の方がA群より重心の動揺面積が少ないことから「安定性」が みられる。しかし,「用意」については,5%の有意水準でA群の重心の動揺面積が小さく,A

群の方に,「安定性」が認められた。

 この事から,B群では「位置について」で,どっかりと座り込み,そして「用意」について

は,未経験のために十分な体勢が作れないままで構えて  表7身体重心の安定性  (mm・)

いると思われる。

 一方,A群では「位置について」から,すでに前方へ の重心移動を意識し,B群より逆に安定性を欠く結果に

なったと考える。しかし「用意」では,・自分の構えを確 立しているので,通常の構えを作ることによって,安定

したフォームになり,重心の動揺もB群よりは有意に少なくなってくる。そしてこの事は,陸

上競技のルールの上からも,「用意」の姿勢では,静止しなければならないことと一致してくる

ものと思われる。

 IV 結   論

 本研究では,各種条件そして現在実際に用いられているクラウチングスタートについて,そ の基底面に落ちてくる身体重心の位置を測定し,その時のスタートフォームについても分析し

た。

 1.今回の測定での短距離走者は,主にバンチ・スタートを用いた。その時の両足の位置は,

  スタートラインから前足まで1.4足長,後足までは2.5足長であった。そしてその時の身体   重心は,スタートラインから「位置について」で28.4cm,「用意」で18.2cmの所にあった。

  そして1足長を100%とすると,「用意」の時では74.7%になる。

 2.今回の条件の中で,身体重心がスタートラインに一番近づいたのはA群,B群ともにタ

  イプ3であった。

 3.今回の短距離走者の「用意」における身体重心の安定性は,未経験者のそれよりも秀れ

  ていた。

位置について

立,冒、

A

67.3 113.7

S

35.3 22.6

B

48.9 330.7

S

17.5 209.0

(9)

22 伊藤 宏・青木 賢一・EEI中 秀幸

   今回の測定では,被検者をキネトグラビコーダーの上にのせて,実際にスタート・ダッ シュをするという仮定条件で行った。今後の課題としては,グランドで実際に走らせて,その スピードも兼合せて測定して行かなければならないと思っている。

 謝   辞

  今回の研究にあたって,終始誠意ある援助をいただいた本研究生竹村祐一君に対し,ここ に謹しんで感謝の意を表する。さらに本原稿の校閲をいただいた山門昇教授にあつく御礼申し 上げます。

参 考 文 献

1)P・yt・n J・・dan&B・d Sp・nce・Ch・mpi・n・i・th・m・ki。g P26 2)佐々木吉蔵

3)吉岡隆徳 4)大島鎌吉 5)宮丸凱史 6)加藤晴一

Pelham Books 1969 陸上競技読本 日本陸上競技連盟普及部編 P46〜P47

短距離走法 P36〜58 1951

陸上競技「走技」と「巧技」 P128〜P129  1955 陸上競技のコーチング(1)総論・トラック編 金原勇編著

「図説 陸上競技事典(上巻)」 P179  1971

陸上競技入門シリーズ P40〜P44  1976

       陸上競技教室 P74〜P751975 1949

P192〜P200 1976 7)山本邦夫・山口政信       P115〜P1171976 8)湯浅徹平

9)丸山吉五郎・古藤高良・佐々木秀幸

10)ブレスナーン・タトル・クレマイヤー      P71〜P72 1967 11)金原勇・猪飼道夫  陸上競技(トラック編)キネシオロジーによる新体育・スポーツ選書        P3〜18  1967

12)浅川正一・古藤高良  写真と図解による陸上競技 P5〜P6  1969

13)ベルノー・ウィッシュマン  陸上競技の方法福岡孝行訳 P82〜P851969 14)ワレリー・ボルゾフ  スピードの秘密 佐々木吉蔵・小野耕三訳 P122〜P135 1975 15)ゲラルド・マツク  マック式距離トレーニング P23 1975

16)ジョン・W・バン コーチングの科学的原理石河利寛訳P1211969

参照

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