• 検索結果がありません。

障がい者スポーツに対する総合型地域スポーツクラブ 関係者の意識研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "障がい者スポーツに対する総合型地域スポーツクラブ 関係者の意識研究"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Abstract

障がい者スポーツに対する総合型地域スポーツクラブ 関係者の意識研究

岩㟢 駿・山田 力也・眞崎奈津美

(西九州大学生活支援科学研究科地域生活支援学専攻、西九州大学)

(平成 年 月 日受理)

Attitude Analysis of Members in Comprehensive Community Sports Clubs toward Adaptive Sports

Shun IWASAKI,Rikiya YAMADA,Nastumi MASAKI

(Accepted: November

The goal of this study is to analyze and reveal the attitudes of members of comprehen- sive community sports clubs toward adaptive sports.

To achieve this, a comparative analysis was conducted in four clubs, using the results of a questionnaire administered to 150 members from each of the clubs (i.e., 600 members in to- tal), of which only two had adaptive sports programs. The following primary results were ob- served.

Members of clubs without adaptive sports tended to have a positive opinion toward such programs. This is inferred due to differences in judgment criteria between the two groups, thus affecting the results. There are those who believe that adaptive sports-the main event of which is the Paralympics as showcased in the media-are akin to general sports, while others, who have seen the actual performance of para-athletes in their clubs, believe that adaptive sports, let alone the Paralympics, are incomparable to general sports.

As feelings of inclusiveness tended to be higher among members of clubs with adaptive sports, such programs may be a contributive factor in the realization of an inclusive society, as they encourage and propagate understanding of the features of comprehensive commu- nity sports clubs, which are purported to function as a local community.

キーワード:総合型地域スポーツクラブ、障がい者スポーツ、共生社会、帰属意識

Keywords:comprehensive community sports clubs, adaptive sports, sense of belonging, inclusive society

(2)

はじめに

(H )年のスポーツ庁の調査では現在の成人 のスポーツ実施率(週 日以上)は全体で .%であり、

週に 日以上スポーツ活動を実施している者は .%で ある。これに対し、笹川スポーツ財団の調べによると障 がい者の過去 年間にスポーツ・レクリエーションを 行った日数( 歳以上)は、週 日以上は .%、週 日以上は .%で、健常者と比べると非常に少ない結果 となっている

しかしながら、障がい者のスポーツ活動の場が全くな いというわけではない。障がい者のスポーツの場として 障害者スポーツセンター等が存在しているが、これは近 隣居住者の利用が多く、施設から遠い人の利用は少ない こと、新規利用者の開拓が難しく利用者が固定化、高齢 化している点が各施設共通の課題としてあげられている

(藤田

その課題を解決する場の一つとして、国が各市区町村 に一つは設置することを目標としている総合型地域ス ポーツクラブ(以下、クラブとする)があげられるで あろう。このクラブに障がい者も気軽に参加できるプロ グラムがあれば活動場所が身近にあることによって、障 がい者のスポーツ実施率は上がるのではないかと予想で きる。

(H )年に文部科学省により示されたスポーツ 基本計画では、障がい者スポーツの振興が謳われてお り、積極的に環境を整えることで人々の意識が変わり(心 のバリアフリー)、共生社会の実現を目指すという内容 が示されている注 )。この基本計画から積極的な環境整備 をクラブの場で考えた場合、身近に存在するクラブで障 がい者がスポーツ活動を行える環境を整えるためには、

施設・設備等のハード面や、障がい者スポーツの指導者 の配置状況、運営にかかる経費等の問題も重要であるこ とはもちろん、クラブ運営に関わるスタッフ、及び一般 会員の障がいや障がい者スポーツに対する意識や理解度 など、障がい者を受け入れることのできるようなソフト 面に関しても、障がい者が気軽にスポーツ活動を行う上 で重要な視点であるということも窺える。

障がい者スポーツとクラブに関する先行研究について は、藤田( や奥田( がまとめているように、

関連するクラブの特徴や障がい者の参加の実態などを明 らかにしたものが主であり、クラブ関係者(運営役員、

及び一般会員)の障がい者スポーツに対する意識に着目 した研究としては、山田( による障がい者と健常 者の関わり合いによる意識の変化に着目した研究や、和

による、障がい者スポーツを体験することでど のように意識が変容するかという研究等がある。

これらの研究は、クラブ内での健常者による障がい者

スポーツ体験や障がい者との直接のふれあいを通しての 意識の変化を明らかにしたものであるが、上述した環境 整備の効果については、障がい者スポーツを直接体験せ ずともクラブ内で両者が共存していることによる健常者 の意識の変化に着目する必要があるのではないだろう か。

そこで本研究は、クラブにおける障がい者スポーツの 存在がクラブ関係者の障がい者スポーツに対する意識や 考え、興味関心にどのような影響を及ぼしているのかに ついて明らかにすることを目的とした。

Ⅰ.総合型地域スポーツクラブと障がい者 スポーツについて

.総合型地域スポーツクラブ

クラブとは ) )、我が国のスポーツ環境の充実を図る ための有効な方策として (H )年に文部科学省に より打ち出された。クラブはその特徴として①子どもか ら高齢者まで(多世代)、②様々なスポーツを愛好する 人々が(多種目)、③初心者からトップレベルまで、そ れぞれの志向・レベルに合わせて参加できる(多志向)、

という 要素を持ち、少年野球やママさんバレーボール のようにある特定の種目だけではなく、いくつかの種目 でレベルや興味に応じて多様なプログラムが選べるよう に構成されている。

また、クラブは地域住民の主体的な運営により、子ど もから高齢者まですべての世代の人々が近隣の学校施設 や公共スポーツ施設を活用しながら、生涯を通してス ポーツに親しめる環境づくりを目指し活動している非営 利組織である。文部科学省では、 (H )年から

(H )年までの 年間、地域コミュニティの役割を担 うスポーツクラブづくりに向けた先導的なモデル事業と して、地域住民の自主的な運営を目指す「総合型地域ス ポーツクラブ育成モデル事業」を実施してきた

国は少なくとも各市区町村に一つはクラブを設立する ことを目標としており、 (H )年のスポーツ庁の 調査 では、創設済みクラブが合計 , クラブ(うち、

クラブが活動中止中)、創設準備中クラブが クラブ であり、各市におけるクラブ育成率は .%との報告が なされている。 (H )年時点では、創設クラブ数 クラブ、各市におけるクラブ育成率が .%だっ たことから、この 年間でクラブ数が約 倍、育成率が 約 割増加していることになる。

.総合型地域スポーツクラブにおける障がい者スポー

障がい者のクラブへの参加については、 (H ) 年の文部科学省の調査の中の「障害者が参加する経緯(複

(3)

種目A

種目D

種目B

種目E 種目C

総合型地域スポーツクラブ

種目A

種目D

種目B

種目E 障がい者スポーツ 総合型地域スポーツクラブ

障がい者スポーツに対する意識が高い

障がい者スポーツによる 共生社会 数回答)」では、「一般のプログラムに障害者の参加希

望があった」が .%と最も多く、次いで「障害者と健 常者が一緒に参加できるイベントを行った」 .%、「総 合型地域スポーツクラブの立ち上げに障害者に理解のあ る健常者が関わっていた」 .%が上位を占めているこ とから、障がい者自身による積極的なクラブへの入会意 識が重要な要因であることが示唆されていると言えよ う。

(H )年のスポーツ庁の報告 の中の「クラブ 活動への障害者の参加」の調査では、「現在参加してい る」が .%、「過去に参加していた」が .%であり、

こ れ ら 障 が い 者 を 受 け 入 れ て い る(い た)ク ラ ブ

( .%)に対して障がい者が参加しやすい工夫や仕掛 けづくりを問う質問(複数回答)の結果を見てみると、

「障がい者のための特別な配慮をしている」が .%、

「障がい者のみを対象としているプログラム・イベント などを用意している(していた)」が .%、「クラブの スタッフに障がい者がいる(いた)」の .%が上位と してあげられている。

そして、障がい者スポーツが存在するクラブにおいて 健常者はスポーツ実施の合間に障がい者の様子を見た り、彼らと一緒に会話をするなどの交流が必然的に行わ れたり、健常者が障がい者スポーツに参加・体験するこ とがより簡単に可能となることで障がい者との日常的な 交流が促進され、相互理解につながるとともに、障がい や障がい者に対する意識がポジティブに変容する傾向を 示 す 報 告 が な さ れ て い る(松 尾 、山 田 、和

) ) )

このように、健常者と障がい者が共に関わり合う「場」

や「機会」としての機能を持っているクラブであるから こそ相互理解の促進につながるのであろう。

本研究では、このようなクラブの特性に着目しつつ検

討していくことにしたい。

Ⅲ.研究方法

.調査枠組み

本研究では、クラブ内に障がい者スポーツがあれば、

そこに所属する関係者の障がい者スポーツへの意識(興 味・関心や理解度)は高いと仮定した上で、この関係性 こそが障がい者スポーツによる共生社会につながるとい うことを明らかにしてみたい。そのために本研究では、

「障がい者スポーツを取り入れているクラブの方が、取 り入れていないクラブより障がい者スポーツに関する意 識が高い」という仮説を立て、それぞれに所属する関係 者に対して意識調査を行い、両者の結果を比較検討する

(図 )。

.調査対象者

F県内の障がい者スポーツを取り入れているクラブ

(以下、障スポありとする)AとB、S県内の障がい者 スポーツを全く取り入れていないクラブ(以下、障スポ なしとする)CとDの計 クラブの関係者の健常者を対 象とした。

.調査方法

今回の調査では、留置法質問紙調査を行った。また、

クラブBでは障がい者スポーツがどのような形で行われ ているのかということを実際に調べるための予備調査と して、 (H )年 月上旬にフィールド調査を行い、

クラブAでもBと同様の調査を 月下旬に行った。

.調査期間

クラブAは (H )年 月 日から 月 日の

図 .調査枠組みの概要

(4)

表 .アンケート配布・回収状況

クラブ 配布数 回収数(%) 有効回答数(%)

( .) ( .)

( .) ( .)

障スポあり ( .) ( .)

( .) ( .)

( .) ( .)

障スポなし ( .) ( .)

合計 ( .) ( .)

日間、クラブB、C、Dは 月 日から 月 日の 日 間を調査期間とした。

.調査内容

まず「Ⅰ.基本的属性」として、 )性別、 )年齢、

)障害手帳の有無、 )クラブ所属期間、 )クラブ での活動、 )クラブ内での役割、 )身近な障がい者 の存在、について質問した。

「Ⅱ.障がい者スポーツについて」では、 )障がい 者スポーツ観戦の有無、 )障がい者スポーツ体験の有 無、 )障がい者スポーツ関係の資格の有無、 )障が い者スポーツに対する考え、 )その他、障がい者スポー ツに対しての自由記述の計 つを用意した。

「Ⅲ.総合型地域スポーツクラブについて」では、 ) クラブ会員になったきっかけ、 )クラブ理念への知識、

)クラブ内の障がい者の存在、 )クラブ内の障がい 者に対する考え(過去)、 )クラブ内の障がい者に対 する考え(現在)、 )その他、クラブ内の障がい者に 対しての自由記述、 )今後、クラブに障がい者が参加 された場合の考え、 )その他クラブ内の障がい者がい ると想定した時の考えについての自由記述の計 つの質 問をした。

最後に「Ⅳ.その他」として、 )障害者差別解消法 への知識、 )共生社会について、 )障がい者の差別 をなくすための行動について計 項目を設定した。な お、Ⅱ‐ )、Ⅲ‐ )、 )、 )の つの質問は評定尺 度( 件)法で測定した。

.配布・回収状況

配布・回収状況は表 の通りである。

それぞれのクラブに 部ずつ配布した。障スポあり であるクラブAの有効回答数は 部( .%)、クラブ Bでは 部( .%)であった。そして、障スポなしで あるクラブCの有効回答数は 部( .%)、クラブD では 部( .%)であった。

全体では 部( .%)回収し、 部( .%)の 有効回答数であった。これらは、Ⅱ‐ )、Ⅲ‐ )の回 答が つ以上無かった回答者を有効回答数から外したも のである。

.分析方法

本研究は統計・解析ソフトウェアである、SPSS for Windows を用いて集計・分析を行った。

Ⅳ.結果と考察

.調査対象者の属性

調査対象者は、男性 名(障スポあり 名、障スポな し 名)、女性 名(障スポあり 名、障スポなし 名)

の計 名(障スポあり 名、障スポなし 名)であ る。

年齢は平均で .(± .)歳(障スポあり .歳、

障スポなし .歳)で、どちらも 歳以上の高齢者が半 数を占めた。

クラブの所属歴の平均は .(± .)年(障スポあり

.年、障スポなし .年)となった。

.障がい者スポーツがクラブ関係者に及ぼす影響

)障がい者スポーツへの意識について(図 )

「障がい者スポーツの直接観戦の有無」については、

観戦経験ありが障スポあり .%、障スポなし .%と 障スポありの方が興味関心が高いことを示した。なお、

観戦種目は車いすバスケットボール、ボッチャ、卓球バ レーが上位を占めた。

「障がい者スポーツもスポーツの一つである」につい ては、そう思うの回答が障スポあり .%、障スポなし

.%であり、障スポありが障がい者スポーツをスポー ツとして捉えていない傾向を示した。

ここでは、加納( によるスポーツの本質 要 素を基に考察してみることにする注 )

障スポありで障がい者スポーツをスポーツとして捉え られない理由として考えられることは、第 の要素であ る「遊戯性」が強すぎるからではないだろうか。クラブ Aには知的障がい者の会員が多く、プログラム内容を見 ても確かにレクリエーション的であり、「遊戯性」が非 常に強い。例として述べるならば、フライングディスク を使用し、数メートル先にあるペットボトルを何本倒せ るかというメニューがある。それは、誰が何本倒したと いう結果は述べられるが、投球者が好きな位置から自由 に投げている。場合によっては全部倒すまで投げてみよ うとルールが対象者によって変更される場合もある。そ して最終的には全員上手にできましたと全員が楽しく笑 顔で締めくくられる。「遊戯性」だけが突出し、「闘争性」

と「はげしい肉体活動」をほぼ伴っていないと言えよう。

一方、障スポなしではクラブ内に障がい者のスポーツ 活動の場はないが、 年の東京パラリンピックに向け て、メディア等が「パラスポーツ」と題して様々な障が い者スポーツを取り上げていたり、各地で障がい者ス

(5)

図 .障がい者スポーツに対する意識 ポーツに関する様々なイベントが開催されていること

で、今まで障がい者スポーツを知らなかった人々もそれ を見聞きし触れる機会が多くなってきている。しかしな がら、それらは競技性の高いものばかり、例えば、障が い者スポーツの花形と言われる車いすバスケットボール や近年注目度が増しているウィルチェアーラグビーな ど、つまり「闘争性」や「はげしい肉体活動」が印象付 けられるようなものが採用されていると言えよう。

もともと、遊びの本質も持つはずのスポーツが、現在 では勝利至上主義への価値の一元化により、スポーツと は真剣に「闘争性」と「はげしい肉体活動」を極めメダ ルを目指すべきものになっているのではないだろうか。

障がい者スポーツの世界に置き換えると、「障がい者ス ポーツ=パラリンピック種目」というイメージが障スポ あり・なし共に共通認識として表れているのではないだ ろうか。

次に障がい者スポーツについての「普及」と「特別視」

について見てみたい。

「障がい者スポーツを普及すべきだと思う」では、そ う 思 う と い う 回 答 が 障 ス ポ あ り .%、障 ス ポ な し

.%となった。障スポなしの方が普及すべきだと考え る者が多い結果となった。

「障がい者スポーツを特別視していると思う」では、

そう思うという回答が障スポありでは .%、障スポな しでは .%となった。これについては障スポありが特 別視していない傾向にあった。

上記 つの「障がい者スポーツを普及すべきだと思 う」と「障がい者スポーツを特別視していると思う」と いう調査項目に関しては、障スポありにとって障がい者 スポーツを特別視はしていないが普及すべきものとは考 えられないと解釈している可能性が示されることとなっ た。これについては、この解釈結果を裏付ける他の結果 やヒアリング調査を行っていないため別途考察する必要 があり、新たな課題となった。

次に、「障がい者スポーツもスポーツの一つである」

と「障がい者スポーツを特別視していると思う」の問い を障スポありに絞って掛け合わせてみたところ、障がい 者スポーツをクラブ内の一つのプログラムとして認めて はいるが、それをスポーツと呼ぶことはできないものと して解釈している可能性が示唆された。これは、同じク ラブの理念の下で共に活動し関わり合うことによって、

障がい者への理解は生まれたとしても、障がい者スポー ツに対する理解度までは得られないものと推察できよ う。

さらに、障スポありのみに「障がい者とは危ないから 同じ活動はしたくない」という問いを設定した。これは、

入会当初と現在の意見を聞いたものである。結果は、過 去に思っていたという回答が .%であったことに対

し、現在では .%と若干ではあるが減少した。「接し 方がわからなかった」と回答する者が .%存在してい たことが活動はしたくないとする理由であると考えられ るが、現在では .%に減少している。

このように、クラブが健常者と障がい者の両者を共存 可能とし、健常者にとっては障がい者の実際のスポーツ 活動やスポーツ活動前後の姿・状況(日常生活を含む)

を垣間見る機会となり、時にはコミュニケーションを取 り合うことにより、相互理解を促している可能性が示唆 されよう。しかしながら、障がい者のスポーツ活動がい わゆる「スポーツ」としては捉えることができないもの として解釈されている可能性も示唆されている。これに ついては、まとめで詳しく述べることとする。

)クラブへの意識について

次に、クラブにおける障がい者スポーツの存在が及ぼ す他の影響について相関係数から調査した。その結果、

障がい者スポーツの存在と所属するクラブへの帰属意識 との間に関係があることが示唆された。

よって、ここからはクラブへの帰属意識の違いに着目 して、障がい者スポーツに対する意識について比較検討 していく。

クラブへの帰属意識の高さについては「自身の所属す るクラブの理念を知っていますか」という項目で、知っ ていると回答した者を帰属意識が高いと捉え、逆に、知 らないと答えた者を帰属意識が低いとすることとした。

理念の知識については、障スポありにおいて知ってい

(6)

(n.s.)

図 .クラブ理念の理解度(帰属意識)について

【n(%)】

ると答えた者が 名( .%)、障スポなしでは 名

( .%)であり、障スポありの方が理念の知識がある 者の割合がわずかであるが多く、帰属意識が高い可能性 が示された(図 )。

この結果は障がい者スポーツがあることによって、地 域のだれもがスポーツを行うことができる場であるとい うクラブの理念を知る者が多いということであろう。そ のことにより、クラブ内での仲間意識が芽生え、クラブ への愛着となっているのだと考えられる。

以降は、障スポあり・なしに関係なく、帰属意識の高 い者・低い者による比較の結果である。

「障がい者スポーツもスポーツの一つである」につい ては、思うと回答した帰属意識の高い者が .%、帰属 意識の低い者が .%であった。

「障がい者スポーツを普及すべきだと思う」では、思 うと回答した帰属意識の高い者が .%、帰属意識の低 い者が .%となった(p<. )。

「障がい者とは危ないから同じ活動はしたくない」で は、過 去 に 思 っ た と 回 答 し た 帰 属 意 識 の 高 い 者 が

.%、帰属意識の低い者が .%となった。そして現 在は、思うと回答した帰属意識の高い者が .%、帰属 意識の低い者が .%と帰属意識の高いものは障がい者 との関りを肯定的に捉えるようになっているが、帰属意 識の低い者は全く意識が変わらない結果であった(p

<. )(図 )。

このように全体的に見ても、ただ単に障がい者スポー ツが存在するかどうかという視点による比較よりも、帰 属意識の違いによる比較の方が有意な差が出るものが多 くみられた。

帰属意識があるということは、クラブの「地域スポー ツの担い手となり、地域コミュニティの核となる」とい う社会的役割の中の本質を理解しているともいえる。そ して、そのような者は、年齢や性別、障がいの有無等に 関わらず地域のすべての人々との仲間意識が強い可能性 があるため、障がい者スポーツに関しても受け入れる意 識があると推察できよう。

以上の結果より、クラブに障がい者スポーツを導入 し、障がい者のスポーツ環境を増加させると共に、クラ ブ関係者一人ひとりの帰属意識を高める取り組みも重要 であることが示唆された。

まとめ

本研究では、クラブにおける障がい者スポーツの存在 がクラブ関係者の障がい者スポーツに対する意識や考 え、興味関心にどのような影響を及ぼしているかについ て明らかにすることを目的に調査を行ったが、障スポあ りと障スポなしでは障がい者スポーツに対する意識にお いて顕著な差を見出す結果は得られなかった。

これは、障スポありの障がい者スポーツ観戦率が高い ことからも言えるように、実際に障がい者スポーツを目 の当たりにしているからこそ、重度障がい者が行う比較 的に静的な種目(ボッチャ等)から伺えるレクリエーショ ン性の高さであったり、逆に軽度障がい者が行う動的な 種目(車いすバスケ等)で見受けられる車いすどうしが ぶつかり合う際の激しさ及び危険性など、一般のスポー ツとはルール等が全く違うという違和感を覚える可能性 が高い。さらには、車いす等利用者が体育館で活動をす る際の不便さ、大変さ等がリアルに知り伝わってくるか らこそ、本研究の「障スポありは障がい者スポーツに対 しての意識(興味・関心や理解度)が高い」という仮説 に反した結果が得られたのかもしれない。

調査の中の「障がい者スポーツの直接観戦の有無」で は、障スポありの観戦率が高いこと、「障がい者スポー ツを特別視していると思う」では、障スポありが特別視

図 .障がい者とは危ないから同じ活動はした くない

(7)

していない傾向にある結果以外はすべて障スポなしの方 が障がい者スポーツに対しての意識(興味・関心や理解 度)が高い結果を示した。

障スポありの方が高い結果となった上記 つの調査項 目については、身近に障がい者スポーツがあることに よって、同じクラブ会員が行っていることについての興 味関心が向上したり、クラブの中のプログラムの一つと しての理解度が高まっているものと推察される。

しかしながら、「障がい者スポーツもスポーツの一つ である」や「障がい者スポーツを普及すべきだと思う」、

「障がい者とはあぶないから同じ活動はしたくない」に おける理解度については身近に障がい者スポーツがある はずのクラブの方が低い値となっている。

この結果については、障スポなしにとって障がい者ス ポーツというものはテレビに映る華やかで力強い場面の 印象が強く、障スポありと違って観戦経験や体験経験が 少ない。そのため、実際に活動している中で見えてくる 指導者不足やハード面の問題、地方レベルと世界レベル の大きな技術差や、障がい者一人ひとりの日常生活動作

(ADL)などの裏側(実際の場)を知らずに現在の世 の中の障がい者スポーツを盛り上げようとする機運に乗 る形で簡単に理想を思い描いているのではないだろう か。

その一方で、実際にクラブ内で障がい者と交流してい ると想定される障スポありの関係者にとっては、その裏 側をリアルに見て感じる中で障がい者スポーツを一般の スポーツと何も変わらないスポーツの一つだと捉えられ なかったり、結果としてサポートすることを敬遠してし まうのであろう。

ところが、障がい者スポーツの存在の有無を前提にク ラブ関係者に及ぼす他の影響について見てみると、障が い者スポーツの存在の有無と所属するクラブへの帰属意 識に関係性がある可能性が示された。地域のコミュニ ティの場として機能することも目的の つとして作られ たクラブの理念をしっかりと理解している者は帰属意識 が高く、その地域で暮らす全ての人々の年齢、性別、障 がいの有無等に関わらず受け入れる意識があることが見 て取れた。

以上のことにより、障がい者がより身近にスポーツを 行えるようにするためには、クラブにおける障がい者受 け入れのマニュアルを作成し、障がいや障がい者、障が い者スポーツの理解に貢献できるようにすることが急務 であるとともに、もう一度クラブの機能を各会員が十分 に理解し、所属クラブへの帰属意識を高めていくという ことが重要であることが示唆されよう。

その結果として、障がい者を含む地域のだれもが利用 しやすい場となりえるだろう。そして、ただ単にスポー ツを通してその場を共有するだけでなく、健常者と障が

い者の関わりを創出し、相互の理解を促進することで障 がい者スポーツによる共生社会の実現が現実のものとな ると考えられる。

最後に本研究の課題としては、クラブにおける障がい 者スポーツの存在によって、障がい者スポーツへの意識 にどう影響するのか、ということについてについて調査 を行ったが、具体的に明らかにすることはできなかっ た。

しかし別の視点として、所属するクラブへの帰属意識 に影響を及ぼす可能性があること示唆された。だが、こ れについても断定できるのもではないため、今後は帰属 意識というキーワードに着目して、クラブにおける障が い者スポーツとの関係性について明らかにする研究を 行っていきたいと考える。

)「第 章 今後 年間に総合的かつ計画的に取り組む 施策」の「①障害者スポーツの振興等」の施策目標 は、「障害者をはじめ配慮が必要な多様な人々が、

スポーツを通じて社会参画することができるよう、

社会全体で積極的に環境を整備することにより、

人々の意識が変わり(心のバリアフリー)、共生社 会が実現されることを目指す。」と明記されている。

)加納は、「スポーツの本質について思いをめぐらし た研究者は多いが、研究者の立場や対象とするス ポーツの範囲が異なるために、また、概念というも のが時代によって変質するという性格をもつため に、完璧な答えはない。おそらく永遠の課題であろ う。」と述べつつも「だが、これまでのスポーツ概 念に共通する つの要素がある。」とし、B.ジレ により示されたスポーツの本質要素として、「遊戯 性」「闘争性」および「はげしい肉体活動」の つ をあげている。詳細については以下の通りである。

スポーツにはまず第 に、遊びの要素を持つ。遊 びとは、その楽しさが人を夢中にさせる自由(自発 性)な活動である。

スポーツは第 に、競争の要素を持つ。競争とは 自己と「他」が、一定の目標に向かって、その特定 の能力の優位をめぐって展開する並行的な努力であ る。

第 に、スポーツは「はげしい肉体活動」を伴う。

プレーヤーはスポーツという競争場面において、特 定の目標を達成するために、自らが体得した全身的 な合理的機能を最大限に発揮する。

(8)

参考・引用文献

)平成 年度「スポーツの実施状況等に関する世論調 査」について,スポーツ庁.

)平成 年度スポーツ庁委託事業「地域における障害 者スポーツ普及促進事業(障害者のスポーツ参加促 進に関する調査研究)」報告書,笹川スポーツ財団.

)藤田紀昭( ):障害者スポーツセンターの実態 と課題に関する研究,日本福祉大学研究紀要, 号 第一分冊福祉領域.

)平成 年度スポーツ基本計画,文部科学省.

)平成 年度スポーツ基本計画,文部科学省.

)藤田紀昭( ):障害者の参加形態別に見た総合 型地域スポーツクラブの特徴に関する研究,障害者 スポーツ科学, ( ),pp. ‐ .

)奥田睦子( ):総合型地域スポーツクラブへの 障がい者の参加システム構築のための調査研究−障 がい者の参加状況と行け入れ体制の構築に向けたク ラブの課題−,金沢大学経済論集,pp. ‐

)山田力也( ):「つながり」の形成とコミュニティ へのまなざし−総合型地域スポーツクラブへの障が い児・者の所属をめぐって,福祉社会のアミューズ メントとスポーツ身体からのパースペクティブ,世 界思想社,pp. ‐

)和秀俊( ):福祉教育における障害者スポーツ と総合型地域スポーツクラブの可能性,田園調布学 園紀要,第 号,pp. ‐ .

)総合型地域スポーツクラブ育成マニュアル,文部科 学省.

)黒須充・水上博司( ):スポーツコモンズ総合 型地域スポーツクラブの近未来像,創文企画,p. .

) )同書.

)平成 年度総合型地域スポーツクラブ育成状況,ス ポーツ庁.

)平成 年度総合型地域スポーツクラブの障害者ス ポーツ振興に関する調査,文部科学省.

)平成 年度総合型地域スポーツクラブに関する実態 調査の結果について,スポーツ庁.

)松尾哲矢( ):障害者スポーツとコミュニティ,

コミュニティ福祉学入門−地球的見地に立った人間 福祉,有斐閣,pp. ‐

) )同書.

) )同書.

)日下裕弘・加納弘二( ):生涯スポーツの理論 と実際,改訂版,豊かなスポーツライフを実現する ために,大修館書店,pp. ‐

参照

関連したドキュメント

[5] Shapiro A., On functions representable as a difference of two convex functions in inequality constrained optimization, Research report University of South Africa, 1983. [6] Vesel´

We show that a discrete fixed point theorem of Eilenberg is equivalent to the restriction of the contraction principle to the class of non-Archimedean bounded metric spaces.. We

Instead an elementary random occurrence will be denoted by the variable (though unpredictable) element x of the (now Cartesian) sample space, and a general random variable will

This paper presents an investigation into the mechanics of this specific problem and develops an analytical approach that accounts for the effects of geometrical and material data on

In our case, manifold may be regarded as a homogeneous space of “the group” of all transformations, and the category of invariant sheaves is regarded as an equivariant sheaf

Actually it can be seen that all the characterizations of A ≤ ∗ B listed in Theorem 2.1 have singular value analogies in the general case..

Zaltus SX, applied as part of a burndown program, may be used for residual weed control, as well as to assist in postemergence burndown of many weeds where field corn will be

Amount of Remuneration, etc. The Company does not pay to Directors who concurrently serve as Executive Officer the remuneration paid to Directors. Therefore, “Number of Persons”