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ドイツの失業保険制度 I

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(1)

中内哲熊本大学准教授.

三菫三三三三三二一三三雪三三三三三二二三三三三言三三三三三二二二三三二三雲三二二菫二二三三三三三二三三二二二三三三二三三三言二三三三二三二三二三三二一二二三二三三三三二三二雪三三一一一一一一一一一一一一一一一]]】一一一一一一一一一一一崖一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一ヨ一一一一一一一一一一

邦議会選挙で破った社〈玄民主党(SPD)出身

1はじめに のゲアハルト・シュレーダー(の①s四amo冑? Q円)政権である。一一○○一一年三月、当時のフ ォルクスバーゲン社(ざ房豊僧のロンロ)労務担 1ハルッ改革への道 当役員ペーター・ハルッs日四国日旦氏を長 ドイツにおける失業保険制度の成立は、一九とする労働市場改革に関する委員会(ハルッ委 二七年に制定きれた職業紹介・失業保険法員会)が発足し、同年八月には同委員会の最終 』鮪付一刎籠ロ籠叫附篭蝿霊蝿峨讃鯲熊罵鰕瀧鵡川哨篭鰭繼 行制度の原型が生み出されたのは、AVAvGた。大量失業克服を公約に掲げたシュレーダー を抜本的に改正して一九六九年に制定された雇政権は、翌九月に行なわれた連邦議会選挙に辛 用促進法(シ3囚厨哉己臼目、の、①い①目・追扁○)とい勝し(同第一一次政権の発足)、前記答申にもとづ え腿・’九九八年一月一日、AFGは、社会法き、失業保険や職業紹介を始めとした既存制度 典(、。且巳、のm・口盲呂.、○国)に第一一一編「雇用促の変更・見直しに本格的に着手する。具体的に 進(シ&①言哉己①日長)」として編入された(以下、は、ハルッ第一次~第四次法等により、数度に 同編をSGBⅢと記す)。 わたるSGBⅢの改正、社会法典第二編「求職 一九九一年の東西統一の影響もあって、一○者のための基礎保障(Q目目房」&円目、霞『 (3) %を超える高失業率に悩まされてきたドイツの少弓①房回◎ず①己⑪)」(SGBⅡ)の創設等が実行ざ 労働市場改革に乗り出したのは、統一後初の連れたのである。 邦首相を務めたへルムート・コール(■①旨昌二○○五年九月に前倒しされた連邦議会選挙 界辻)率いる保守・中道政権を一九九八年の連で誕生したキリスト教民主同盟(CDU)出身

ドイツの失業保険制度 I

用庁(切目ロ①の自切区[穿少弓昌)が設けられ、そ 主体・機関として、公法上の法人である連邦雇 右諸手当の給付事業や職業紹介等を実施する ていた。 (6) 破産手当(旨の。』くのロN函①亘)等の給付が用意され ついて破産手続が開始された場合に給付される (操短手当・香同旦邑国碩o]□)、使用者の財産に 償するために給付される操業短縮労働者手当 なされない場合に、当該賃金不払いの一部を補 (団の曰のこの操業短縮によって賃金の支払いが とする経過手当((ざの旧目mmm①昼)、事業所 豆・§、⑰]ロ)、障害者(団の言旦日・)を給付対象 三・の①信の昼)、パート労働失業手当型毎〕]且〕⑯‐ の保険料率は六・五%)、失業手当弍少弓・‐ 保険料を主たる財源として(二○○六年末時点 賃金を基に算定ざれ労使が折半して拠出する 業保険制度の概略を説明しておこう。 (5) 局面にとくに着目して、その変更前における失 賃金補償給付(岡目橘①言:同一⑦一言ロ、のロ))という された「失業者(受給権者)への金銭給付」(Ⅱ 現行制度の解説に先だち、ハルッ改革で見直 2ハルッ改革直前の失業保険制度 指して呼ばれ矼・ シュレーダー第二次政権以降のこうした動向を とどまることなく続いている。ハルッ改革とは、 員会の前記答申に沿った労働市場改革の流れは 班とするSPDとの大連立政権でも、ハルッ委 ii のアンゲラ・メルヶル(シ長①]P三①鳥座)を首

労働法律旬報

特鍋/lZ較法研究一欧米四カ国と中国の失業保険MH渡

(2)

の下部組織には、州労働局(巨己①旨け①房四目)、 州内の各地区に公共職業安定所(職安. シ弓⑦旨四目)およびその支所(ooms蟹、〔①]]・)が 置かれた。これらの各組織に設置された自治的 運営機関は、公・労・使による各同数の代表者 を多数構成員としていた。 失業給付の中核をなす失業手当の受給要件は、 ①労働者が失業状態(皇〕⑦】[い]。、)にあること、 ②職安で失業登録を行なっていること、③一定 期間(シ冒四目&禺目四〔(本稿では「保険料納 付期間」と訳す))、保険料を支払っていること とされ、その受給額は、扶養義務を負う子供を 有する失業者の場合、失業前における手取り賃 金(。①局已目のo宮]】①耳①Z①目の貝、の]□)の六七%、 それ以外の失業者の場合には当該賃金の六○% であった。受給期間は、枠期間(失業前に設定 された受給資格取得のための算定期間)・保険 料納付期間・年齢を基準として表1のように定 められていた。 留意すべきは、以上のような失業保険制度と 相まって、失業扶助(シ3囚〔]○mの弓』]ず)と呼ば れる金銭の給付制度も整備されていた点である。 これは、失業保険と(わが国の生活保護にあた (7) る)社会扶助(、&P]二奇)との間に位置し、 連邦の租税によってその費用を賄われていた。 失業扶助の受給要件は、失業手当で示した前 記①②のほか、③失業手当請求権を有しないこ と、④生活に困窮していること(ワの邑昼祠)、⑤ 特別の要件(失業手当の受給終了者や保険料納 ハルッ改革による失業保険制度の変更点は多 岐にわたるものの、失業者(受給権者)への金 銭給付(賃金補償給付)に着目した前述との関 (8) 係では、つぎの一二点を指摘できる。すなわち、 二○○五年一月一日以降、①従来の失業手当は (9) 現行制度にも引き継がれたが(以下では、失業 手当I(シ弓①三・の①長①]QH)と記す)、その受給 要件・日数等は従前に比して厳格化あるいは縮 減されたこと、②失業扶助は社会扶助の一部と 統合され、SGBⅡを根拠法とする失業手当Ⅱ (皿) (少己①三・mの二mの]ロロ)としてまったく新しく生 まれ変わったことのほか、③二○○四年一月一 日以降、それまで失業手当・失業扶助の給付事 業や職業紹介等を実施してきた連邦一雇用庁(お よび、その下部組織)は、公法上の法人であり 付期間が五ヵ月以上ある者等)を満たしている こととされ、受給額は、扶養義務を負う子供を 有する失業者の場合、失業前における手取り賃 金の五七%、それ以外の失業者の場合には当該 賃金の五三%であった。受給期間は一年間であ るが、要件が充足していれば受給の更新が認め られた(ただし、当該扶助請求権は、受給権者 が満六五歳に達した翌月一日に消滅)。 ハルッ改革直前の二○○四年における失業手 当受給者は一八四万五○○○人弱、失業扶助受 給者は一三○万人弱であった。 Ⅱハルッ改革後の現行失業保険制度

同手当の受給要件は、①労働者が、②|定期 間、保険料を納付し、③所轄AAに失業を届け 出ていて(二①亘の)、④実際に失業状態(且〕③三・の) にあることと規定されている(SGBⅢ(以下、 とくに断る必要がない限り、SGBⅢの表記を 省略)二八条一項)。 ①労働者には、いわゆる僅少労働(月収四○ ○ユーロ以内で就労期間が最長二ヵ月あるいは (凪〉 労働日数五○日以内の労働)に従事する者 一一一人の理事が運営する連邦雇用エージェンシー (田口己①、四m①ご月毎[シ弓四(・田シ)を頂点として、 全国一○箇所の地域統括局(閃①四・日巨円の三目)、 各地域内の失業者・求職者と直に接する雇用エ ージェンシー(シ、の日日蔑爲シSの】[・シシ、一七 八箇所)およびその支所(○①の○三房[の]]①、約六 六○箇所)に大幅に改変されたこと(SGBⅢ 第一一一章三六七条以下)である。ここでは、前 (皿) 記①失業手当I、②同手当Ⅱの順に見ていこう。 なお、同改革が前掲12で述べた従前の制度 (以下、旧制度)の骨格、つまり、賃金を基に 算定ざれ労使折半で拠出する保険料を主たる財 (吃) 源として各種手当の給付を賄うという仕組み自 体に手を加えなかったことは確認しておくべき であろう。ちなみに、保険料率は二○○七年一 月一日に四・二%へ、二○○八年一月一日から は一一一・’一一%へ引き下げられた(SGBⅢ一一一四一 条二項)。 1失業手当I

(3)

表1 て中断した時、再就職や自営業等への従事を当 他方、この届出の効力は、失業が六週間を超え から行なうことも可能である(一二二条一項)。 業後だけではなく、失業が見込まれる三ヵ月前 らが所轄AAに出頭して行なう当該届出は、失 (Ⅱ) 月間である(一一一三条.一一一四条)。③労働者目 とは、失業状態に陥る以前二年間のうち一二カ 二八条)。②にいう一定期間(保険料納付期間) や満六五歳以上の者等は含まれない(二七条・ (勺の『のop8B⑩]目的①昌昌四m①ご口⑩喜喜、目、)

LL■'二11 と評価される。いいかえると、労働者は、法定 労が期待できる(目白巨弓日因のm・蔑監、目、)」もの 業紹介は、原則として、当該労働者にとって「就 である(二九条一項)。ウにいうAAによる職 轄AAの職業紹介に応じられること、以上三点 喪失の解消へ向けて努力していること、ウ・所 ア・就業の機会を喪失していること、イ・当該 ④失業状態(四3の三・m)か否かの判断基準は、 二項)。 該AAに報告しなかった時には消失する(同条

【出典】古瀬徹=塩野谷祐一編『先進諸国の社会保障4ドイツj(東京大学出版会、

1999年)98頁に掲載された表5-1[西村健一郎担当]を加工。

表2 業は、前述したBA(および、 こうした失業手当Iの給付事 (一二七条二項)。 表2のように大幅に短縮された 受給期間は、旧制度と比べると、 ○%であるが(一二九条)、その 労働者の場合には当該賃金の六 取り賃金の六七%、それ以外の 働者の場合、失業前における手 扶養義務を負う子供を有する労 受給金額は、旧制度と同様、 れている(同条三項以下)。 ら最長一二週間まで)が設けら た受給停止期間(最短一週間か 場合分けされ、それぞれに応じ とくに同項所定の事由は細かく 盲信目)場合(一四四条一項)等が挙げられる。 Aの職業紹介を拒否できず、

Al了三

自主努力を憾怠する卍目目H、言の四mの弓の曰ロー に該当しない限り、当該A (胴) 労働放棄(シS⑩房目付号の)、失業解消へ向けた 事由(一二一条一一項以下) て賃金請求権等をなお有する場合(一四三条)、 給付を受給する場合(一四二条『使用者に対し は、当該失業者が傷病手当や老齢年金等、他の 右のほか、失業手当Iの受給停止事由として 間は六週間や一二週間に延長される(同条四項)。 の場合)、その拒否回数が重なるにつれて当該期 間(、己のロ凶昌)は一一一週間であるが(拒否一回目 この時の受給停止(わが国でいう給付制限)期 停止されるという不利益を被る二四四条一項)。 これを拒否した場合には、失業手当Iの受給を

労働法律旬報

特集/比較法研究一欧米四カ国と中国の失業保険制度

保険料納付期間 枠期間(年) 失業時の年齢 受給期間(箇月)

12カ月以上

45歳未満

16カ月以上

同上

20カ月以上

同上 同上 10

24カ月以上

|司上 同上 12

28カ月以上 同上 45歳以上

14

32カ月以上

同上 同上 16

36カ月以上 同上 同上 18

40カ月以上 同上

47歳以上

20

44カ月以上 同上

|司上 22

48カ月以上 同上 52歳以上

24

52カ月以上 同上 同上

26

56カ月以上 同上 57歳以上

28

60カ月以上 同上 |可上

30

64カ月以上

同上 同上 32

保険料納付期間

給付期間(筒月)

12カ月以上 6

16カ月以上 8

20カ月以上 10

24カ月以上 12

<満50歳以上の特例>

30カ月以上(満50歳~)

15

36カ月以上(満55歳~)

18

48カ月以上(満58歳~)

24

(4)

同手当の受給要件は、①満一五歳以上六五歳 未満で、②稼得能力を有し(団冒&鳥臣、豆[)、 ③扶助の必要があり(国辱す①呂曼、豆〔・要扶 助性『④ドイツ国内を通常の居所とする者であ る(SGBⅡ(以下、とくに断る必要がない限 り、SGBⅡの表記を省略己七条一項)。従前の 失業扶助と失業手当は共通の受給要件を有して いたのに対し、失業手当Ⅱの当該要件は、失業 手当Iのそれとはまったく独立して設定されて

いる。

②稼得能力を有するとは、今後相当な期間 (Ⅳ) (口昌昌・亘9mのご閂のNの】戸)の内に、「疾病または 障害により、一般労働市場の通常の条件下で少 なくとも一日あたり三時間以上就労できない状 態にある」とはいえない場合とされる(八条一 項)。 ③要扶助状態とは、ァ・期待可能な労働 (目白ロ冒月シ己①】()の受け入れ、または、イ・ 考慮対象となる収入や資産によっても、自らの 生計を確保することがまったくもしくは一部に ついて不可能であり、かつ、必要な援助を他者 その下部組織)が所管する(三六八条)。同手当 請求権は四年で消滅時効を迎えるが二四七条 一一項『受給停止期間開始から総計二一週間を経 過すると失効する(同条一項二号)。二○○七年 における当該手当受給者数は一○八万人弱であ

った。

〈胆) 2失業手山三Ⅱ から得られない場合を基本的には意味する(九 条一項)。ァ・期待可能な労働とは、法定事由に 該当する場合を除き、失業手当Ⅱの給付を所管 する機関(後述)からの職業紹介すべてが該当 する二○条)。したがって、受給権者がこの職 業紹介を拒否すれば、失業手当Ⅱは、まず三カ 月間にわたり三○%減額され、その拒否が重な るたびに三○%減額され、最終的には当該手当 の支給が廃止されることになる(三一条)。イ・ 考慮対象収入とは現金または金銭的価値を有す るすべての収入(二条一項『考慮対象資産と は換価可能な財産物(一二条一項)を指すが、 双方ともに、社会保険料等、一定額が控除され ることになっている(一一条二項・三項、’一一 条二項・三項)。なお、失業手当Ⅱの受給権者が (肥) 需要共同体(団a四号、①曰③言・宮津)を形成して いる場合には、その構成員の収入・資産も考慮 対象となる(九条二項)。 旧制度の失業扶助が失業前の手取り賃金に対 する定率額だったのとは対照的に、失業手当Ⅱ の受給額は表3のように定額化された(二○条 一一項・三項)。 当該手当のほか、妊婦・単身者・障害を有す る要扶助者を対象とする追加需要→二gSa臼‐ 陣の.一二条『住居および暖房に関する実費(一一 二条『需要共同体における稼得能力のない構成 員に対する社会手当(、。旨]、の亘・’一八条)、さ らには、失業手当Iの受給終了後二年以内に失 業手当Ⅱを受給する者に対する期限付き加算手 前述のように、失業手当I・同Ⅱとも、その 受給権者は、AAあるいは協同組織からの職業 紹介を、限定された法定事由に該当しない限り、 事実上、拒否できない構造になっており(拒否 すれば、当該手当の受給停止や減額(最終的に は失効・廃止)が待ち受けている)、その意味で、 失業手当給付事業と職業紹介事業との連関はき わめて密接といえる。 とりわけ、失業手当Ⅱ受給者は長期失業者が 占め、その多くは職業教育を受けていない無(も

(加)

しくは低)資格者との指摘がある。それだけに、 当該受給者の労働力の活用(Ⅱ労働市場への統 (旧) 当(す①、【量①(のH凶巨の◎亘四m・’一四条)等の給付も準 備されている。 こうした失業手当Ⅱ(および諸手当)の財源 は、従前の失業扶助と同様、連邦の租税で賄わ れ(四六条一項)、その給付事業を原則的に所管 するのは、(社会扶助の給付事業を担う)地方 自治体とAAとが協力して作る組織Ⅱ協同組織 (シS①房、の白①旨・言、[)であり(四四b条一項)、 この協同組織が失業手当Ⅱに関わる第一次的不 服申立にもあたる(同条一一一項)。 いうまでもなく、当該手当の受給に関しては、 失業手当Iと同様、申請(シロ目、)主義が採用 されている(三七条一項)。一一○○七年の失業手 当Ⅱ受給者は五二七万六○○○人余であった。 Ⅲ失業給付と職業紹介との関係

No.1684-2008.11.25

(5)

表3 市場における稼働が当面不可能な場合には、当 積極的に協力しなければならない。一般的労働 は、……労働への統合のためのあらゆる措置に 能性を駆使しなければならない。当該要扶助者 助状態を終了または軽減するためのあらゆる可 得能力を有する要扶助者……は、……その要扶 請の原則(○日己の§号、祠・aの曰の)」として、「稼 合)がより強く意識され、法律上、それは「要

【出典】労働政策研究報告書No.69『ドイツにおける労働市場改革j((独)労働政策研究.

研修機構、2006年)40頁に掲載された第3-3-1表[根本到担当]を加工。

こうした長期失業者である失業手当Ⅱ受給者 の労働市場への統合を実現するための施策の一 つが、所轄AAと同手当受給権者との間で締結 される統合協定である(SGBⅡ|五条)。 この協定では、当該受給者に対する給付内容 (職業紹介・職業訓練等)や、それに対して当 該受給者が行なうべき努力の内容・頻度、その 努力を証明する方法が六ヵ月を期間として定め られる(同条一項)。なお、協定当事者が合意で きない場合、統合協定の前記内容は、行政行為 (諄昌巴[目、四畳)として形成されることが想定 されている(同項六文)。 当該受給者がこの協定にもとづき、社会保険 加入義務を負担する雇用労働あるいは自営業務 への従事を受け入れた場合、入職手当 (団言[〕の、の、の丘)を獲得できる可能性が生じる(同 法二九条一項)。同手当の額は、失業期間や当該 受給者の需要共同体の規模を考慮して算定され、 その支払期間は最長二四ヵ月である(同条二項)。 該要扶助者は、自らに提供される期待可能な労 働機会を受け入れなければならない。」(SGB Ⅱ一一条一項『他方、「支援の原則(○已己閨NQの、 田aの曰の)」として、「[失業手当Ⅱの]給付主体 は、稼得能力を有する要扶助者を、労働への統 合という目的をもって包括的に支援する。」(同 法一四条)という文言となって現れている。 1統合協定(mヨロ一一の。の「Eコロのくの『の一コg「こつ□)

以上の検討に照らして、ハルッ改革前後にお けるドイツ失業保険制度の変化を鳥鰍すると、 ①労使折半で保険料を拠出する社会保険制度と いう従来の枠組みの根幹は継承しつつも、②旧 制度の失業手当・失業扶助を現行の失業手当 I・同手当Ⅱへと移行する際に、その受給要 件・日数等を厳格化もしくは縮減すると同時に、 ③当該手当I.Ⅱの受給と職業紹介をはじめと する再就職支援策とをより強く連動させる、以 上一一一点に立脚して、失業者を労働市場へ戻す(統 合する)努力がなされてきたととらえられる。 雇用労働にせよ、自営業務にせよ、失業手当 Ⅱ受給者が従事すべき具体的な職を探知できな い場合に提供されるのが、公益に関わる追加的 就労機会(○の|①、の弓①】[8三百.守三亘①ご 旨〔のH①mの①]】①、のご□の.B&[N]】&のシSの】(①ロ)Ⅱ|ユー {即) ロ・ジョブである(SGBⅡ一六条一二項)。これ は、自治体や福祉団体における時給一~ニュー ロの仕事であり、週三○時間までに制限されて いる。なお、この就労は労働契約関係を生じさ せないものの、労働保護規定等の適用を受ける とされる。 Ⅳおわりに 1これまでのハルッ改革と現状 2|ユーロ・ジョブ(二m昌○」。□)

労働法律旬報

特集/比較法研究一欧米四カ国と中国の失業保険制度

支給対象者 支給額(月額・ユーロ)

単身者/単親者/

未成年者をパートナーとする者 (1人あたり)345

需要共|司体に2名の成人

(パートナーを含む)

311

(345ユーロ/人の90%)

稼得能力を有する未成年の構成員 276

(345ユーロ/人の80%)

(6)

BAの二○○七年業務報告書(。①の&壁厨‐ す&◎宮)によれ蝿、最近の失業率は一一・七% (一一○○五年)↓一○・六%(一一○○六年)↓ 九・○%(二○○七年)へと漸減し、二○○七 年の失業者数は二○○四年以来四○○万人を下 回る三七七万六○○○人にとどまった結果、一一 ○○七年の失業手当I(およびパート労働失業 手当)の支給総額は、二○○六年の一一一一八億八 ○○○万ユーロから一六九億二○○○万ユーロ に減少した。景気動向も影響を与えていると思 われるが、これらはハルッ改革によって顕在化 したプラスの一面と受け止めることができるか もしれない。 他方、失業手当給付事業の所管機関に向けて は、よりスピーディーで効率的な運営をめざす 組織改革が実施された。前掲BA二○○七年業 務報告書では、二○○六年・一一○○七年の財政 が実質的な剰〈不金を記録しており、これも右と 同様の評価を与えられよう。 しかしながら、連邦憲法裁判所(宮目①のぐ①臥開‐ の目mmmgo言)第「一法廷一一○○七年一一一月一一○ 日判決により、失業手当Ⅱの給付事業等を所管 する協同組織の法的根拠SGBⅡ四四b条は (わが国の憲法にあたる)基本法二八条二項・ 同条一一一項・八三条に違反する(違憲である)と (麹) 判断されたため、現在、法改正作業が進行中と いう。また、ハルッ改革によるマイナス面とし て、月収四○○ユーロ以内のミーー・ジョブ (三】且・す)労働者の増加を指摘する見解が存在 2わが国への若干の示唆

わが国よりもはるかに高い失業率が続くドイ ツにおいて(一一○○七年平均失業率皿日本三・ 九%、ドイツ九・○%『失業手当の給付日数を 短縮する、あるいは、失業扶助制度を抜本的に 見直す等、失業者に対する給付(Ⅱ保護)を従 来から大幅に後退させるハルッ改革を経てもな お、①失業手当Iの給付日数はわが国の一般求 職者給付のそれより長く、また、②厳格な要件 下での支給ではあるが、失業手当Iと社会扶助 との間に失業手当Ⅱが設定きれている、という 二点には注目すべきであろう(もちろん、両国 の保険料率に倍以上の差があることも留意しな ければならない)。 とりわけ、わが国においては現在、格差の拡 大やワーキング・プァの大量出現が解決すべき 社会問題として認識されているだけに、(失業 する。それらは、①ミニ・ジョブ労働者は失業 保険から除外きれる(前掲Ⅱ1)等、通常の労 働者に比して不安定な立場に置かれる、②ミ ニ・ジョブは、失業者と正規就労との橋渡しの 役割を担っていない、といった評価に裏打ちざ (別) れているようである。なお、一一○○八年一二月現 在、約六八○万人がミニ・ジョブに従事すると

(弱)

の統計結果が出きれた。 このように明暗両面を抱えるドイツの労働市 場改革は、いまだ道半ばといえ、今後も試行と 評価を並行きせながら進むものと推測される。 手当Ⅱを含む)ドイツの失業保険制度は、雇用 保険制度だけでなく、生活保護制度のあるべき 将来像にも、いくつかの可能性・方向性を投げ

(溺)

かけているように思われる。

(1)AVAVGについては、小西康之「ヴァイマル 期における失業保険制度成立の道程」法学論叢[明 治大学法律研究所]七三巻一一・三号(’一○○○年)

三六五頁等参照。

(2)AFGについては、林迪廣ほか「雇用保障法研 究序説』(法律文化社、一九七五年)二五二頁以下 [石松亮二執筆]等参照。 (3)SGBⅡの邦訳条文については、ドイツ社会法 典研究会訳「社会法典第二編(求職者に対する基 礎保障)・第一二編(社会扶助)』(二○○五年)’

二~四八頁を参照した。

(4)同改革に関しては、すでに多くの研究成果が存 在し、二○○八年一○月一一一日(日)に東洋大学

で開催された日本社会保障法学会第五四回大会で

は、「雇用・社会保障法制の交錯と新展開~ドイ ツ・ハルシ改革に見る示唆~」が、ミニシンポジ ウムの一つとして取り上げられている。 (5)古瀬徹Ⅱ塩野谷祐一編「先進諸国の社会保障4 ドイツ罠東京大学出版会、’九九九年)第五章 (とくに八七頁以下罠西村健一郎執筆]、苧谷秀信 「ドイツの労働」(日本労働研究機構、二○○一年) 第七章(二○八頁以下)等参照。 (6)これらのほかに、建設業に従事する労働者に対 する冬季手当(三二[の旧o-eや冬季休業手当

(7)

(ミヨ[:后芭一mの一Q)の給付も予定されていた。古 瀬Ⅱ塩野谷編・前掲注(5)書一○二頁以下[西 村健一郎執筆]、苧谷・前掲注(5)書二二四頁以

下等参照。

(7)これを二○○四年末まで規制していた連邦社会 扶助法(田口己のmmoN一四一三一許、の⑫の白)は、社会法典に 第一○編「社会扶助」a○国×)として編入され、

同編は二○○五年一月一日に施行された。

(8)本稿は正面から取り上げないが、旧制度ではも ちろん、現行の失業保険制度でも、賃金補償給付

だけでなく、使用者に対する助成金給付事業

(Fの一⑫[目、①口目シ弓の信①すの[)が設けられている(S GBⅢ第五章二一七条以下参照)。たとえば、新た

に創出された職場に失業者を期間の定めのない一雇用として採用する場合に支給される新規採用助成

金(両旨、[の]一目、、日切呂巨⑫いすの】Zの臣、己己目、)(同法一一 二五条以下)がある。 (9)旧制度におけるパート労働手当・経過手当・操 短手当・破産手当は引き継がれたが(SGBⅢ’ 一六条一~五号参照)、建設業に従事する労働者に

対する冬季手当等は廃止された模様である。

(、)連邦社会裁判所(田口己①いめ。■且、①国・宮)第一一b

法廷一一○○六年一一月一一三日判決(国の○両曰もa)は、当該手当の合憲性を認めた。

(u)失業手当I・同Ⅱについては、労働政策研究報 告書川的「ドイツにおける労働市場改革Iその評 価と展望I』〈(独)労働政策研究・研修機構、二 ○○六年)、同報告書肋拠「ドイツ、フランスの労 働・雇用政策と社会保障」(同機構、二○○七年) (旧)具体的には、その就労が労働関連法規・労働協 約(目回守⑪日四m)・事業所協定(因の〔18⑫くの『のごず目』ロ、)

に違反する場合(一一二条二項)、当該就労により

獲得できる賃金が失業手当の算定基礎となるそれ よりも一定比率を超えて低額な場合(同条三項)、

労働時間と比較した際に一定程度を超えて通勤に

時間がかかる場合(同条四項)等を指す。 (肥)同手当に関する本稿での記述は制度説明にとど まらざるをえないが、前掲注(4)で示した日本

社会保障法学会第五四回大会ミニシンポジウムに

(皿)保険料の労使折半負担はSGBⅢ三四六条一項 一文を参照。保険料以外に財源となるのは、賦課 金(ご曰一緒g)・連邦政府からの支出(三一[[の|□の⑫ 団目ロの、)・その他の収入(8口且、の四目呂曰のご)で

ある(同法三四○条)。なお、同法一一一六一一一条一項は、SGBⅢに関わる経費として、二○○七年に六四

億六八○○万ユーロ、二○○八年に七五億八三○

○万ユーロ、二○○九年に七七億七七○○万ユーロを連邦政府がBAに注入することを明記している。

(旧)社会法典第六編「法定年金保険(○⑦い①[昌呂の 宛①ご§く:】・芹日二m)」(SGBⅥ)五条二項参照。

(u)この失業手当I受給のための届出と、AAによる職業紹介を受けるための求職者(シ3四[旨呂①己①)としての届出(SGBⅢ三七b条)とは異なると

いう。前掲注(u)川別報告書四七頁[渡邊絹子

執筆]参照。 シ巨酉・や○○コ功・□○南. 等参照。くぬ一・の、盲目シ『ワ③旨『⑪。胃‐昏目目○三回。

労働法律旬報

特集/比較法研究一欧米四カ国と中国の失業保険制度

(8)

おける上田真理会員の報告は、当該手当に関する

裁判例を取り上げている。これについては、上田

会員の報告論文が掲載される予定の社会保障法二四号(二○○九年)を参照されたい。

(Ⅳ)この「相当な期間」は六ヵ月と解されているよ うである。ごm一・国一口用の}富国&の廷の己①一一日ご穴》m○国

PBS》窃宛ロ・昌一国皀三ご冨巨のagF勺【‐、○国P

P.シ巨酉・》PC○コ》函丙二・口○・

(旧)当該共同体の構成員は、①稼得能力を有する要 扶助者(七条三項一号「②稼得能力を有する婚姻

していない未成年の子供と同一家計で(百四口房冨一[)生活する両親または一方の親、当該一方の親と同一家計で生活するパートナー(勺月月『)

(同項二号)、③同項一号に掲げる要扶助者のパー

トナー(同項三号・具体的には、長期に別居して

いない配偶者、当該要扶助者と夫婦類似共同体で

生活している者、長期に別居していない生活パー

トナー(ぽす目②己目口の『)を指す『④右①~③該当

者の未婚・未成年かつ同一家計にある子供で、当該子供の収入・資産によっては、その生計を維持

できない者(同項四号)である。

(p)その額は、「直近に受給した失業手当Iと住宅 手当法(三○言、の一・m①、の日)に基づいて受給した住 宅手当(三○冒晒の一sとの合計額」から「失業手当 Iを受給した本人および当該本人と需要共同体で

生活する構成員に支払われる失業手当Ⅱまたは社

会手当の合計額」を除した額の三分の二である(同

条二項)。ただし、給付一年目は、加算手当受給権者本人 (路)因ぐの副○m一己・出一・

は一六○ユーロ、当該本人がパートナーを有して

いる場合は全体で三二○ユーロ、当該本人と需要共同体で同居する未成年の子供一人あたりに六○ユーロを上限として(同条三項『給付二年月は、それらが五○%減額されて支給される(同条一項二文)。

(別)前掲注(Ⅱ)肋別報告書五五頁[吉田和央執筆]

等参照。

(Ⅲ)筆者は、二○○七年一月に、連邦労働社会省や

BAのほか、ベルリン市内に設置された協同組織

(旧東・西地区の各一箇所)を訪問・調査する機

会を得た。

一ユーロ・ジョブに対しては様々な評価がある が、協同組織におけるインタビューでは、就労す

るにあたって当然の習慣(時間厳守や身嗜み等)

を長期失業者に思い出させる・身につけさせると いう意味で、一ユーロ・ジョブは有益であると一

定積極的に評価する実務担当者にも遭遇した。

(皿)く、一・ラ[[ロへ一三三三・日ワの旨四mg[貝Qの一Nの二百巳の7,○二[の貝

へ庁『・の牙。[--8目、gへ旨〔⑩旦○のの、宮の旨ワ88[‐9sも農

対する失業手当Ⅱ受給者数の推移は、二○○五

年に四九八万人余、二○○六年に五四○万人弱、

二○○七年に五三○万人弱という状況にある。

筆者は、協同組織の実務担当者とのインタビュ ーで、失業給付Ⅱ受給者の再就職支援やプロファ イリング等につき、当該組織が生まれたことによ

ってAAと地方自治体(福祉部門)との情報交換

や協働が効果的に培われた成功例を伺っただけに、 協同組織に関する今後の動向が気がかりである。 (別)前掲注(、)肋別報告書六一頁以下[吉田和夫 執筆『および、そこで参照された独語文献を参照。

なお、前掲注(4)で示した日本社会保障法学会第五四回大会ミニシンポジウムにおける名古道功会員の報告は、ドイツにおける低賃金労働あるいはワーキング・プアとしてミニ・ジョブも検討している。

(妬)く、一・宮[己ミミミミ・目且・す-Nの二目}PC⑪Smへ、の2-Cのヘ

ロ○三コ一○■□、①貝の『{。mの回o言の■ごQm白口⑫[房のロへ}

C臣自国一いすの1.言の□冨]NへPS三勺□田‐四‐□巨目巳口・[の日ロ盲[の丘ⅡB三七『○℃①耳】Ⅱ己■す一一日[一○コ国一の・で□ご勺ロ田‐P‐名目四一Pb烏

(妬)丸谷浩介「失業時の生活保障としての一雇用保険」

日本労働法学会誌一一一号(二○○八年)三○頁(とくに四○頁以下)も同様の視点に立つと思わ

れる。

くなかうちさとし)

(9)

●lお詫びと訂正 j本誌一六八四号(二月下旬号)掲載 の中内哲「ドイツの失業保険制度」にお きまして、左記に列挙していますように 独単語のスペルおよび改行に誤りがあり ましたのでお詫びし訂正いたします。 ・二九頁三段目右から一五行目 [誤]シ己01旨]○m①邑胴①宣 [正]少己①房I]○m三m①]且 ・二九頁三段目右から一六行目 [誤]涼】]且〕①l三・の①ロ㈹①丘 [正]涼】盲lす①三○m①信①]ロ ・三一頁二段目左から五行目 [誤]二三目ご臼↓[正]星三口&臼① ○三一一頁二段目左から六行目 [誤]三①旨&&臼-陣①↓[正]三s己①19島① 一」の誤りは編集部く校正ミスによるも のです。皆様に深くお詫びいたします。

参照

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