発行 : 一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会
平成22年9月版
性能向上
リフォームガイドブック
性能向上
リフォームガイドブック
バリアフリー編
はじめに
目 次 ・ は じ め に 住生活基本法が平成 18 年に制定され、国の住宅施策は住宅ストック重視へ と転換しています。住生活基本計画では、リフォーム実施戸数の対住宅ストッ ク比率を 2.4%(平成 11 ∼ 15 年平均)から 5%(平成 27 年)という目標も 定められています。平成 21 年度から住宅リフォームに関する投資型減税とし てバリアフリー、省エネに対する所得税の控除が新たに設けられ、また、平成 22 年 1 月より住宅エコポイントがスタートしています。 一方、厳しい経済状況下において平成 21 年の新築着工件数は、80 万戸を下回 り、住宅リフォーム市場への期待は、ますます大きくなっています。 しかし、現在行われている住宅リフォームは、修理・修繕や見栄えをよくする 程度のものがほとんどで、住宅性能を向上させるリフォームは多くありません。 よりよい住宅リフォームを促進するため、リフォームを考えている消費者の 方々に、住宅リフォームを行う際に「耐震」、「バリアフリー」、「省エネ」とい った住宅性能向上リフォームを併せて行っていただきたいと思います。その際 に参考として役立てていただけるように「住宅リフォームガイドブック」を作 成することにしました。本書は、住宅性能のうち国が力を入れている耐震、バ リアフリー、省エネの 3 つの性能に絞って、住宅リフォームをする際の注意点 やポイントについてイラスト等を使って、わかりやすく解説したものです。住 宅リフォームをお考えになる際に必ずや有用な書になるものと確信しています。 最後に、本書の編集にあたりご尽力いただいた各作業グループの皆様方や、実 際に執筆いただいた方々に心から御礼を申し上げます。性能向上リフォームが 盛んに行われるよう、本書が各方面で幅広く活用されるよう願ってやみません。 一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会目次
目次
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はじめに
目次
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はじめに
はじめに
……… 011 備え
将来あわてないために ……… 02 「備え」の形を組み込む ……… 04 建替えよりもリフォーム ……… 062 基本メニュー
平面計画・5つのポイント ……… 083 場所別ポイント
●道路∼玄関ポーチ・庭 ……… 10 ●玄関 ……… 12 ●廊下・階段 ……… 14 ●食堂・居間 ……… 16 ●寝室−1 ……… 18 ●寝室−2 ……… 20 ●トイレ ……… 22 ●洗面・脱衣室 ……… 24 ●浴室−1 ……… 26 ●浴室−2 ……… 28 4合理的な組込み方
他の工事と重ね合わせて ……… 30 5コスト
工事費を抑えるためには ……… 32 6減税・補助
「減税」と「補助金」がバリアフリーリフォームをバックアップ … 34 7相談先
誰に相談すればいいの? ……… 38将来あわてないために
高齢時、安心して暮らせる家
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備 え備え
備え
高齢者だけの家庭が増えている
2005年の国勢調査によれば、既に3世帯に1世帯には高齢者が居住 しています。さらに高齢者のいる世帯では、単独世帯(一人暮らし) や夫婦のみの世帯の割合が5割を超えています。 これからの住宅は、新築であれ、リフォームであれ、高齢者が住む ことを前提として考える必要があります。したがって、 「これからの全ての住宅 = バリアフリー住宅」 これは今後の家づくりに欠かせない基本イメージです。事故の起こりにくい住宅に
表1-1 高齢者のいる世帯数・比率の推移(日本) 表1-2 高齢者のいる世帯に占める一人暮らし 夫婦のみ世帯の比率の推移(日本) (表1-1∼3とも「増改築相談員の基礎知識2・性能向上リフォーム」財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター) こんなに家の中の 事故が多いとは 表1-3 家庭内の不慮の事故死家庭における事故は改修で防げます
一方、家庭内事故死の統計を見ると、年間死者数は 1万3千人強と交通事故死よりも多いこと、特に高齢 者の比率が高いことがわかります。このデータに含ま れない、死に至らない事故まで含めて考えると、住環 境で考えるべき予防対策の重要さがお分かりいただけ ると思います。 バリアフリー化の一つの目的は、家庭における事故 を防ぐことです。たとえ大きな障害を持つことなく住 み続けていても、身体の衰えは進行します。若いとき はとっさに体が動いて事故を回避できますが、体力や 知覚が衰えてくれば回避能力は低下します。 同表で目立つ高齢者の入浴中の溺死などに対しては、 暖房対策など、住宅側の手直しだけでも事故を大きく 減らせる要素はあるのです。 できし 資料:2008 年人口動態統計「備え」の形を組み込む
10年後の必要性を見据えて
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備 え備え
備え
「備え」もバリアフリーの大事な柱
組込みは別のリフォームの時などに
この冊子は、50 歳代以上の概ね健常な人たちを対 象とし、主に木造戸建住宅での「備え方」についてま とめています。 現時点では、バリアフリー性向上のためだけの手直 しはほとんど不必要でしょうが、別の目的、例えば模 様替えとか設備更新などのリフォーム工事をやるとき などに、「バリアフリーへの備え」も組込むことを意 識してもらえればと思います。「その時」に動けますか?
「備え」といっても、あまリ使わない手すりを今すぐつけようという のではありません。手すりがなくても問題なく暮らせるときはかえっ て邪魔になることもあります。 大事なのは、将来必要になったときでも「容易に」「大掛りでなく」「お 金をあまりかけずに」できる状態にしておけば良いということです。 そうすれば今後数十年先の暮らし方に、安心して「備える」ことがで きます。 「バリアフリー化」というと、一般的には、加齢や事故などにより「身 体障害を持ってしまった人たちのための特別な住宅改造」ととらえが ちです。しかし、実は「備え」もバリアフリー化の大きな柱なのです。 そういうことは必要になった時に考える、今は今の生活を優先する、 と考える人も多いでしょう。 しかしいざその時にすぐできるでしょうか。大改造にもなりやすく、 費用や工期、仮引越しの手当てなど…一度に多くのことを処理しなけ ればならず、高齢者にとっては、面倒くさいからもういいや…となり がちです。 加えて高齢になればなるほど 許 さ れ る 工 事 期 間 も 短 く な り 、 改造に踏み切る条件も厳しくな ります。 いざとなったら施設に入るさ、 と考えている人でも、できれば 住み慣れた我が家で暮らし続け たいのではないでしょうか。 水回りを 一新したい 組み込んでおけばいざ というとき楽なのね! この家には 住み続けたい! 住宅内事故が 多い現実… 高齢になってもこの家で安心して 暮らし続けられるだろうか? もし車いすなどをつかうように なったら…結構、手直しが必要? 使う時に直せばいいさ いざという時はなかなか 直せないかも…高齢化しても我が家で安心して暮らせる
① いざという時、大改造にならない
② 事故も予防できる
やれる時に「備え」の形を組み込んでおこう!
大改造になったら? やむを得ないが、できれば 大掛かりにはしたくない。建替えよりもリフォーム
慣れた家での安心感
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備 え備え
備え
体が慣れている
安心感が事故を減らす。それ以上に…
慣れることが比較的容易な高齢期前に対応しておけ ば、不慣れによる事故などは減ります。新たな事故を 発生させにくくする点も「備え」のひとつの形と言え ます。 何よりも、住み慣れた住まいに積み重ねられた大切 な記憶への愛着は、数字やお金で測れません。壊して しまったら二度と取り戻せない何かがあるはずです。 高齢の方にとって、住み慣れた空間の中で暮らし続 けることは安心感があります。リフォームを選択する のには、理屈だけでは割り切れない、強い理由がある のです。建替えよりも簡単でなじみやすい
究極のリフォームは建替え(新築)です。しかし、高齢者になって からの建替えは費用や時間、確認申請などの手間も増え、おおごとに なります。それにどんなに機能的で高性能になっても、新たな空間に 心と身体をなじませるのには時間がかかるのではないでしょうか。 それに比べるとリフォームは、住み慣れた空間の部分的手直しです。 使いにくかった所だけを短期間で直すのですから、気楽だし、なじむ のも早いでしょう。ここが
ポイント!
リフォームなら
住みながら直せる
マンション住戸は、主にコンクリートなどで囲まれた 空間に限定されています。また、設備配管もその中で引 き回されていますので、戸建て住宅と同じような工事は しにくい傾向があります。どの程度までなら直せるかは、 事前に専門家に聞くなど、しっかり調べておくことです。住み慣れた家が
一番!
少しの改良で ぐんと使いやすく なりますヨ。 リフォーム前 リフォーム後マンション住戸と戸建て住戸
平面計画・5つのポイン ト
家族皆が楽に動けるように
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基 本 メ ニ ュ ー基本メニュー
基本メニュー
最重要なのは平面計画
加えて目に見えない性能
組込みにあたって、最も重要なメニューは平面計画です。特に下の5 つの点を意識してください。どんなリフォームをする場合でも、まず これらをチェックしておけば、大きく間違えることはありません。 また「屋内の温度ムラの改善」なども重要です。ただ熱、音、臭い、 振動、空気汚染など目に見えない性能は、完成後にしばらく使ってみて、 初めてその良否が感じられるものです。お住まいになる皆さんが、例 えばどのような暖房方式を望み、どのような室温、状態を快適として いるのか、リフォーム前に一度考えておきましょう。 寒くて風呂までいくのも面倒で…① 玄関階で生活が完結できるように
② 短く単純な動線。回遊できるように
③ 内外通じて抵抗なく出入できるように
④ 寝室の脇にトイレを配置できるように
⑤ 水回りスペースは広めに
平面計画5つ
のポイント
短く単純な動線。回遊できるように 内外通じて抵抗なく出入できるように 玄関階で生活が完結できるように 水回りスペースは広めに 寝室の脇にトイレを配置できるように 図2-1 平面計画5つのポイント●
道路∼玄関ポーチ・庭
段差を減らしスム ーズに移動
3
3
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場 所 別 ポ イ ン ト場所別
ポイント
場所別
ポイント
緩やかな段差でも良い
駐車場からも入りやすく
玄関が狭くても庭があれば、掃き出し窓のある部屋 などからの出入りが可能です。その場合は、室内から段 差なく連続するデッキ床やスロープなどを設け、気楽に 外へ出られるようにしておくと良いでしょう。駐車場と もつなげられれば、なお便利です。足元を明るく
さらに夜間のことを考えて足元照明が追加できるよ う、屋外電源やコンセントの設置も忘れないことです。 玄関や門扉の錠前は、電気錠とモニタ付インタホンを 組み合わせると使いやすくなります。ボタンやマイク の位置を調整しやすくするためには、露出配線になっ ても、あと付けできるタイプの方が良いでしょう。 道路と敷地との境界は、起伏を減らし、できるだけ平坦にしておきま しょう。車いすになった場合だけでなく、宅急便の配達用台車や、自転 車、ベビーカーなど日常の出入りが楽になります。どうしても段差がで きるときは、緩やかな傾斜路か緩い階段にすること。仕上げ材は滑りに くいものに変え、伝い歩きもしやすくしておくと良いでしょう。大きな 段差の場合は、「段差解消機」を据え置きできるスペース(約90cm角) を経路のどこかに確保できるようにしておきましょう。 図3-1 住宅改修の給付対象となる工事範囲(玄関) (「介護保険における住宅改修実務解説」財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター) この色の部分が後から必要になる可能性が高い部分や部位です。 これらが取り付けやすいように考えておけば良い訳です。 図3-2 段差解消機 (「高齢化対応住宅リフォームマニュアル」財団法人日本住宅リフォームセンター) 図3-3 住宅改修の給付対象となる工事範囲(庭) 性能向上リフォームガイドブック バリアフリー編 図3-4 段差部の注意点 (「高齢化対応住宅リフォームマニュアル」財団法人日本住宅リフォームセンター●
玄関
手すり一つで履き替えが楽に
3
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場 所 別 ポ イ ン ト場所別
ポイント
場所別
ポイント
土間部分は広めに
車いすを使うようになると、泥落としできる場所や、 場合によっては車いす2台分(屋外用と屋内用)の収 納スペースなどを考えておかねばならないので、かな りのスペースが必要になります。玄関で全て組込むこ とが無理そうなら、庭などを通って、掃き出し窓のあ る居室などから出入りする方法を考えてみてはどうで しょうか(11ページ参照)。 なお、玄関には、電動車いすなどのための充電用電 源や、足元を明るくし、段差を照らす照明(必要に応 じてセンサー付きに)なども組込めるようにしておく と、夜間でも安心です。 玄関回りにガラスを使う場合は、地震時の避難とい うことも考えて安全ガラスに替えておくのが無難です。 玄関は、履物の着脱がしやすいようにするのが基本です。加齢によ って体の動きが不自由になったときには、つかまり立ちや座ることが できると楽なので、手すりや簡単な腰かけを適切な位置に付けられる よう、考えましょう。 また土間部分は、できれば1.5m角程度のスペースを確保しておきた いものです。上り框の段差は15cm程度が日常的には使いやすく、車 い す で の 介 助 に よ る 昇 降 も 何 と か 出 来 る の で す が 、 古 い お 宅 な ど 30cm以上差があるときは、式台などを後置きできれば良いでしょう。 アプローチの項で書いたように、玄関でも大きな段差の場合、「段差解 消機」を据え置きできるスペース(約90cm角)を確保しておきたい ものです。 この色の部分が後から必要になる可能性が高い部分や部位です。 これらが取り付けやすいように考えておけば良い訳です。 図3-5 住宅改修の給付対象となる工事範囲(玄関2) (「介護保険における住宅改修実務解説」財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター) 図3-6 玄関回りの望ましい寸法 図3-8 車いすを収納するためのスペース 図3-9 上り框段差の緩和 図3-7 下足入れに手すりを設ける方法 (図3-6∼9 「高齢化対応住宅リフォームマニュアル」財団法人日本住宅リフォームセンター) 簡易スロープ台(勾配に注意) ▽ホール●
廊下・階段
幅員の確保がカギ
中途半端な段差をなくす
3
3
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場 所 別 ポ イ ン ト場所別
ポイント
場所別
ポイント
手すり下地板は耐震補強も兼ねて
廊下幅は広げておきたい
段差はなくす
廊下は、あとで手すりなどを付けることも多いので、付けた 時に通りやすい十分な幅を確保できるよう考えておきましょう。 車いすの通行まで想定しておくなら有効幅 850mm、角部 では方向を変えられるよう900mmの幅がほしいところです(廊 下幅よりは開口部幅のほうが調整しやすいので、出入口回りで 曲がれるようにしておくと良いでしょう)。 ただ一般的な在来木造住宅では、柱が半間の割り付けで建て られていることが多く、柱間の有効内法寸法がほとんどの場合 780mm 程度しかありません。構造的に柱が外せなければ、 すぐには直せないかもしれませんが、もし柱の移動を考えるよ うなリフォームの機会があれば、将来のことを考えて、廊下幅 を広げておくことをお勧めします。 中途半端な段差は当然なくし、仕上げ材も滑 りにくいものを使うようにしてください。古い お 宅 で は 、 板 敷 き の 廊 下 と 和 室 と の 間 に 3 ∼ 4cmの段差があるので、これを解消・調整する ことは重要になります。 床だけでなく、壁や幅木部分の仕上げにも注 意は必要です。さしあたって廊下部に手すりを 設置する必要がなくても、耐震補強も兼ねて下 地に構造用合板を組込んでおいた方が良いでし ょう。その際、足元照明の組込みも考えておい てください。 廊下は、水回りや居間、寝室などとの間を容易かつできるだけ短い 距離で移動できることが肝要です。曲がり角は、車いすになったとき など曲がるための最低寸法が必要になる(図3-13) ので、できれば曲 がり角を通らなくて済むようにしましょう。必要に応じて、小回りの きく車いすを使用する方法もあります。屋内の面積が限られていると きは、廊下そのものを部屋の一部に取り込むようにすれば、移動しや すく、広々と明るく使えます。 階段の手すりは、建築基準法においても設置が義務づけられています。 この色の部分が後から必要になる可能性が高い部分や部位です。 これらが取り付けやすいように考えておけば良い訳です。 図3-10 住宅改修の給付対象となる工事範囲( 廊下・階段) (「介護保険における住宅改修実務解説」財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター) (図3-11∼14 は「高齢化対応住宅リフォームマニュアル」財団法人日本住宅リフォームセンター) 図3-14 洋・和室間の段差解消 図3-13 車いすが直角に回転するための最低寸法 ( ) 内は介助用車いすの場合 図3-12 木下地の場合の手すりの取付け方 図3-11 柱間3尺の場合の大壁内法寸法●
食堂・居間
一日の多くを過ごす部屋
3
3
・
場 所 別 ポ イ ン ト場所別
ポイント
場所別
ポイント
足元広く、動き回りやすく
廊下幅は広げておきたい
コンセントは高めに
食堂・居間は、家族や他人とのかかわりを持つ半ば公の場所です。 外出の機会が減ってくるとなおさら重要になります。寝室や水回りな どとの動線関係では、「邪魔されず、遠すぎず」という位置を保ち、動 き回りやすいよう考えましょう。 また、室内から直接庭などに出られるように掃出し窓を設け、下枠 および屋内外の段差をできるだけ解消しておきましょう。非常時の避 難口にもなるので、つまずかないようにするためです。 この色の部分が後から必要になる可能性が高い部分や部位です。 これらが取り付けやすいように考えておけば良い訳です。 図3-15 住宅改修の給付対象となる工事範囲(居間) (図3-16、17、写真3-1 は「高齢化対応住宅リフォームマニュアル」財団法人日本住宅リフォームセンター) 食堂や居間は、一日の多くを過ごす場所です。冷暖房 設備、換気設備を設けて快適な室温と湿度環境にできる ように考えましょう。 そのためには、大きな面積を持つはずの窓に、できる だけ断熱ガラスや複層ガラスなどを用い、冬季の冷気の 吹き下ろしや結露を防ぐことです。これは、室温を一定 に保ってヒートショック(※)による事故を防ぐためにも 大事なポイントになります。窓は、開閉の楽なもの、手 掛けやクレセントの大きなものに直せば、高齢になって も扱いやすいでしょう。 視力が衰えていくことを考えれば、後々十分明るくで きるよう備えておきたいものです。照明器具の使用可能 なワット数を多めに取っておくと、照明器具やランプを 変えることになっても安全です。将来、いろいろな家電 製品を使うことも想定して、コンセントも多め、また高 めの位置にしておくと、タコ足配線を避けることができ、 腰もかがめずに済みます。 写真3-1 居間に設けた掃き出しサッシ 図3-16 握りやすい取手の形状 ※ ヒートショックとは、急激な温度の変化が、身体に及ぼす影響の ことです。例えば、冬の入浴時の脱衣室から浴室への急激な温度変 化は、血管を著しく伸縮させるとともに、血圧や脈拍を大きく変動 させます。これにより、脳梗塞や脳出血を引き起こし深刻な事故に 繋がることがあります。 図3-17 取付け高さ●
寝室ー1
できれば近くにトイレ、洗面を
3
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場 所 別 ポ イ ン ト場所別
ポイント
場所別
ポイント
気持ちよく寝られ、起きやすい場所に
意外と気付かない音、臭いへの配慮
照明への配慮も
高齢になるとベッドにいる時間が長くなりがちです。しかし、でき るだけベッドや自分の部屋から出るようにすることが、自立した生活 を続ける基本です。高齢者の寝室は、他の家族の動きに邪魔されない 場所に考えましょう。 この色の部分が後から必要になる可能性が高い部分や部位です。 これらが取り付けやすいように考えておけば良い訳です。 図3-18 住宅改修の給付対象となる工事範囲( 寝室) (「高齢化対応住宅リフォームマニュアル」財団法人日本住宅リフォームセンター)を一部加工 (図3-19,20 は「高齢化対応住宅リフォームマニュアル」財団法人日本住宅リフォームセンター) 寝室は少し広めに。できれば浴室やトイレと合わせ て1か所にまとめられれば、介護が必要になったとき など安心です。当然音と臭いにも注意を払い、便器は 消音型、トイレ配管の遮音、熱交換型換気扇の設置(冷 暖房をしながらでも常時換気ができるため)など、併 せて考えておいてください。当面これらを設ける必要 がなければ、後で間仕切り壁を除去しやすい作りにし ておくことです。 2階に寝室があって、この先変えるつもりがなければ、 2階にもトイレを設けられるよう、先行配管などをし ておくと良いでしょう。配管だけなら大した費用はか からないはずです。 また2階寝室の場合は、非常時にバルコニーなどに 出やすくしておきましょう。ここでも段差などがあれ ば、解消しておくようにしてください。 照明は通常、天井の中央に大きな器 具が付けられるようになっていますが、 寝ている状態ではまぶしいときがあり ます。スタンドなどの補助照明を用意 して代替えできるよう、コンセントは 多めに設置しておくことです。 照明スイッチ(できれば3路式・調 光装置つき)は枕元近くに設けておく と便利です。ワイヤレスリモコンを使 う方法もあります。 図3-19 寝室の押入れをトイレスペースに改修する例 図3-20 ワイヤレスリモコン●
寝室ー2
基本は洋室にベッド
3
3
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場 所 別 ポ イ ン ト場所別
ポイント
場所別
ポイント
8畳大+小部屋という構成
収納は出しやすく入れやすく
寝室は、基本的には洋室+ベッドという構成にできるよう考えてお いてください。健康なうちは畳敷きに布団がいいという場合は、床の 下地板を厚めの構造用合板としておき、いざという時は畳を外して仕 上げ材を敷き込むだけで済ませるようにします。 (敷居高との調整は必要です。) 適切な広さは、部屋の中央にベッドを置いて、三方からベッドメイ クできるよう、最低6畳程度が必要です。介護状態まで想定する場合は、 ベッドの両脇に車いすを寄せたり介護者の立つスペースが必要ですので、 8畳程度は欲しいところです。 また介護者の寝所として小部屋的なスペースが寝室の脇にあると重 宝です。当面は納戸などで使えばよいのです。 図3-21 車いすを使う場合の寝室(洋室) (図3-21∼23 は「高齢化対応住宅リフォームマニュアル」財団法人日本住宅リフォームセンター) 図3-22 収納の工夫 図3-23 ベッド下の収納 寝室に欠かせない収納は、多めに造るのが無難です が、あまり高い所にしまい放しにするような造り方は 避けましょう。収納部の床面は、下枠で仕切らずに奥 まで床材(フローリングなど硬質な方が良い)を張り 回しておくと、車いすが入りやすく清掃もしやすいで しょう。棚を造り込むより、キャスター付きの収納ボ ックスなどを置く方式にしておくと出し入れが便利で、 工事費も安価になります。キャスター付き収納はベッ ドの下にも置けるようにすれば、すぐ使うものを入れ られ、便利です。 収納スペースは後から造るのはなかなか難しいので、 リフォームをする際はできるだけ多くのスペースを活 用するよう考えておきましょう。 (平面図) (断面図) 2辺に車いすの動作空間をとる。●
トイレ
自立生活を支える部屋
3
3
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場 所 別 ポ イ ン ト場所別
ポイント
場所別
ポイント
2つの考え方
寸法
暖房装置
トイレは加齢後の自立を支えるバロメーターです。将来を見据えた トイレの直し方には、2つの重要な考え方があります。① 水回りを一体的な空間にしておくこと
少し広めに造っておくことが重要です。トイレだけであまりスペー スが確保できない場合は、洗面・脱衣室、浴室などと一体空間にすれば、 介助スペースが確保できるとともに、明るく風通しも良くなります。② 寝室のそばに設置すること
これは夜間の頻尿対策です。入浴は1日1回でもトイレは数回使いま す。寝室のそばにある有難さはその時になるとわかるでしょう。浴室 も一緒に配置できれば、障害を持った時でも生活しやすいでしょう。音、 臭い対策はすでに書いたとおりです。今すぐ必要なければ、寝室の脇 の納戸や押入として、間仕切り壁を除去しやすくしておけば良いのです。 上の2つの合わせ技ができればベストですが、各家庭の考え方、当面 のリフォームの目的などと調整してください。段階的に組み込む方法 もありますし、とりあえずどちらかを組込めれば十分といえます。た だし、寝室とトイレが別の階のまま、という状態はできれば避けてく ださい。夜間、階段などで寝ぼけて転落する危険性があるからです。 図3-24 住宅改修の給付対象となる工事範囲(トイレ) (「介護保険における住宅改修実務解説」財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター) (図3-26 は「高齢化対応住宅リフォームマニュアル」財団法人日本住宅リフォームセンター) 出入口幅は有効内法寸法750mm以上が目安です。 通常使用の場合、壁芯間で横幅:910mm、奥行き: 1365mm以上あれば問題ありませんが、介助を想定 すれば横幅:1365mm、奥行き:1820mmは必要 になります。広げる場合は片側を介助スペース等にでき るよう横方向に広げるのが原則です。便器は部屋の中心 線上に設置しないようにし、空いてる方は当面、洗面 カウンターなどにして後で外せるようにしておきます。ここが
ポイント!
入浴は1日1回でも
トイレは数回
高齢になれば排泄行為に時間がかかり、回数も増え ます。従って、暖房装置また洗浄機能付き暖房便座は 必需品です。電源および換気設備、緊急通報装置など も併せて設置できるようにしておきましょう。 外気に肌が多く触れる場所ですし、採光・換気窓が 設けられている場合は、冷気降下なども感じられやす くなります。温度差による事故を防ぐためにも、トイ レまでの廊下部分も含めて暖房方法を考えておきまし ょう。 また狭いスペースなので仕上げ材や扉の突起物など ぶつかると危険な個所は減らしておきましょう。壁面 は便器背面以外には手すりが付けられるよう下地合板 を張っておきましょう(耐震補強も兼ねる)。 この色の部分が後から必要になる可能性が高い部分や部位です。 これらが取り付けやすいように考えておけば良い訳です。 図3-25 既存の和式便所 図3-27 和式便所と洗面室を 図3-28 トイレの空気の流れ 図3-26 介助スペースを想定した改造例●
洗面・脱衣室
浴室への出入口幅を広く
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場 所 別 ポ イ ン ト場所別
ポイント
場所別
ポイント
裸になるところ
洗面・脱衣室もトイレ同様、少し広めに確保しておきたいものです。 浴室、トイレと合わせてまとめる点や、まとめられなくても間仕切り 壁を除去しやすい造りにしておく点などは、トイレの項で述べたとお りです。 洗面・脱衣室を挟んでトイレと浴室を両側に配置するプランは、将 来トイレの出入口の付替え、複数設置などがやりやすいので、どんな リフォームの時でも検討してみる価値があります。 図3-29 住宅改修の給付対象となる工事範囲(洗面・脱衣室) 更衣は、洗面台に寄り掛かったり、片手をついて行 うことが多いので、洗面台はしっかり固定すること。 また数少ない壁面のどこにでも、手すりが付けられる よう下地を入れておいてください。タオルバーも位置 を考えて太めにすれば手すりと兼用できます。 洗面・脱衣室はトイレよりもさらに肌を露出する場 所です。安全な暖房装置を組み込んでおきましょう。 床暖房でも良いのですが、赤外線ヒーターや温風ヒー ターのように、短時間で暖かくできる機器の方が脱衣 室には向いています。リフォームの場合、全体を高気 密高断熱化できるケースはまれだからです。 洗面所はスポット的な暖房器具以外にも、ドライヤ ーや衣類乾燥機など消費電力の大きな器具を使用する ことが多い場所なので、専用回線のコンセントを複数 設置しておくことをお勧めします。トイレ以外に洗面・ 脱衣室にも緊急通報装置の設置も考えておくと良いで しょう。ここが
ポイント!
脱衣室に
暖房装置を
室内では、まず腰かけて更衣できる広さが必要です。 何も置かない床面だけで1.5∼1.8m角のスペースを 確保できるようにしてください。これくらいあれば椅 子を使って洗面動作もできますし、介助者が付いて浴 室まで車いすで進入する場合でも大丈夫でしょう。 ただし出入口や、浴室との境の間口は3枚引きの引戸 などに変えられるよう、袖壁は撤去できる造り方にし ておくことです。 この色の部分が後から必要になる可能性が高い部分や部位です。 これらが取り付けやすいように考えておけば良い訳です。 図3-30 将来使いやすい水回りの改装例 図3-31 開口幅が広くとれる三枚引戸 (「高齢化対応住宅リフォームマニュアル」 財団法人日本住宅リフォームセンター) 家族用●
浴室ー1
一人で入浴できるのが理想
3
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場 所 別 ポ イ ン ト場所別
ポイント
場所別
ポイント
出入口の位置と幅
浴室ユニットは簡単に設置できるが…
浴室は、将来、体が部分的に不自由になっても、一人で脱衣・入浴 できるようにしておきたいものです。 洗面・脱衣室と一体的に考え、やはり通常よりは少し広めに確保し ておくことです。浴室だけでできれば一坪以上、短辺方向の内法寸法 が1m40cm以上あれば大体間に合います。浴室内を広く使うためには、 バランス釜形式の給湯器などは屋外設置式に換え、洗面・脱衣室との 間仕切り部分を、幅いっぱい開けて3枚引きの引戸などに取り換えられ るようにしておくと良いでしょう。入浴しやすくなるだけでなく、明 るく、掃除もしやすくなります。脱衣室と洗い場との段差を小さくし、 浴槽のまたぎ高さも40cm程度に抑えることも考えておきましょう。 トイレの項で述べたように、浴室を洗面・脱衣室やトイレとまとめ たり、寝室の近くに配置できるように間仕切り壁を除去しやすい造り にしておくことも覚えておきましょう。 以上の基本的な構成のほか、浴槽の縁に腰掛けられ るスペースを設けると使いやすいでしょう。いずれも 浴室ユニットなどで対応可能ですが、障害を持った場合、 浴槽の出入り動作はその障害の程度や位置、介助の要 不要などにより、出入口と洗い場、浴槽との好ましい 位置関係は変わる可能性があります。健康なときにそ こまで細かく決めることはできませんし必要もありま せんが、そのような状態になったときに簡単に改修で きるよう、出入口の位置と開口幅だけは変えずに済む ようにしたいものです。ここが
ポイント!
脱衣室に
暖房装置を
この色の部分が後から必要になる可能性が高い部分や部位です。 これらが取り付けやすいように考えておけば良い訳です。 図3-32 住宅改修の給付対象となる工事範囲( 浴室) (「介護保険における住宅改修実務解説」財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター)安心して使える浴室の基本
① 滑りにくい床面
② 浴室と脱衣室との間は段差をなくす
③ 出入口は広く開けて3枚引戸などに
④ 浴槽のまたぎ高さは40cm程度に
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浴室ー2
ヒートショック
(※)をなくす
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場 所 別 ポ イ ン ト場所別
ポイント
場所別
ポイント
和風浴槽は避ける
暖房が大切
高齢者の家庭内事故で、最も多いのが入浴中の溺死であることは3ペ ージに書いたとおりです。これは「寒い浴室・熱いお湯」の温度差の ために血圧が急激に下がり、脳虚血の状態で気を失うことが原因とみ られています。これを防ぐには、下の2点が有効です。 ① 浴室や脱衣室の暖房 ② 首までつかる入浴スタイルの改善 したがって肩までつかる和風浴槽よりは、和洋折衷型の浅めの浴槽 の方が心臓への負担が少なく、またぎもしやすいので高齢者には好ま しいでしょう。浅い浴槽でも寝そべって首までつかることはできます。 ただし、立ち上がりを楽にするため、手すりが必要です。手すりを必 要な位置に付けられるよう、下地を入れておきましょう。 浴室の設備については、暖房設備と換気設備をどう 組み込んでおくかがポイントになります。寝室の隣な どに配置する場合は、臭気や湿気が寝室側に入って結 露やカビを大量発生させないよう給排気経路を考えて おく必要があります。 入浴時の温度差対策として、浴室暖房機能を備えた 換気扇の設置も検討してみましょう。浴室や洗濯物の 乾燥もできる重宝な設備です。掴みやすい水栓
スライド式シャワーフックやハンドシャワー、 洗い場の床暖房、非常ベルなども、設置または 追加できるようになっているか一応確認してく ださい。 細かいことですが、2ハンドル混合水栓は、浴 室内では高齢者にとってやや使いにくくなる(握 りが弱くなって滑りやすい)ため、サーモスタ ット付き水栓などに替えることも考えてみてく ださい。 身体機能が低下したときの入浴動作は非常な 困難を伴いますが、浴室は事前の「試し」がし にくいところです。リフォームの際は、どの部 屋よりも注意して臨むようにしてください。ここが
ポイント!
できれば和風浴槽は
避ける
※ ヒートショックとは、急激な温度の変化が、身体に及ぼす影響のことです。 図3-34 浴槽出入りと床面・縁の高さ 写真3-2 暖房機能付乾燥換気扇 図3-35 水栓器具の種類と性能など (図3-33∼35 は「高齢化対応住宅リフォームマニュアル」財団法人日本住宅リフォームセンター) 図3-33 浴槽の形状他の工事と重ね合わせて
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合 理 的 な 組 込 み 方合理的な
組込 み 方
合理的な
組込 み 方
① 耐震補強と同時に
耐震改修は、バリアフリー改修と一体となって形作る内容が多いのです。 たとえば、手すりや家具転倒金具を取付けるための下地合板は、壁を強 くする下地にもなります。段差を解消するための下地合板は、水平剛性 を高める床補強合板と兼ねられます。通路や開口幅を広げるためには、 壁の撤去・新設や寸法変更を伴いますので、新たな壁や基礎を加えるこ とになり、家を強くする要素にできるのです。② 水回り改修と同時に
水回りの改修や間取り替えの要望は、どんな お宅でも潜在的にあります。配管配線の引替え も必然的に絡むので、トイレ、洗面所、キッチ ン、浴室は一度に、一体的に改修する方が割安 で、後々のトラブルも発生しにくくなります。 給排水設備の更新工事と同時に、段差の解消 工事や水回り全体の暖房工事、手すり下地工事、 廊下の拡張工事なども、一体的にやればやりや すいでしょう。③ 床暖房+床断熱改修と同時に
床断熱改修は、住宅エコポイントの対象となるリフ ォームのため広がりが期待されます。その際、下地材・ 仕上げ材ともにやり換えることになるので、段差の解 消も同時に行いやすいというわけです。当然①の耐震 補強も兼ねることになり、「3つの得」を一挙に手に入 れられます。 バリアフリー化に限らずどんなリ フォームでも、基本性能である「耐 震性」と「省エネ性」の向上は考 えておきましょう。一度にリフォ ームをするほうが合理的なことが で き ま す し 、 割 安 に も な り ま す 。 また同じ工事で、耐震補強や省エ ネ改修の補助金などとも重ねて申 請可能です。せっかくのチャンス を利用しない手はありません。工事費を抑えるためには
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コ ス トコスト
コスト
これまで示してきた組込みメニューは、皆さんがそ の時々に考えているリフォームの内容や程度によって 選択してください。大規模な改造を考えているなら「主 寝室専用のトイレスペースの確保」、「水回りの一体化」、 「廊下の拡幅」などはできそうです。例え費用が何割 か増しても、高齢化したときの「自立生活」を容易に するでしょう。 また床暖房を設置する程度の改修なら「床段差の解 消」などが考えられます。床高を揃えるだけですから、 範囲を広げなければ大きな増額工事にはならないでし ょう。組込みは確実に割安
リフォームの内容や程度に応じたメニュー選択
リフォーム内容は、各家庭によって千差万別です。 ここに書かれたことをすべてやれるとは限らないし、 今すぐに必要ないこともあるかもしれません。できる 時にできることから組込んでおくようにしましょう。できることから
リフォーム工事では、一般的に30万円までは現金で自己負担がしや すく感じられる、といわれます。100万円を超えると「高い」と思われ、 自分一人では調達しにくくなるようです。 リフォーム工事は、住宅の建築年代(古さ)、要望、施工環境などに よって大きく状況が異なりますので坪単価などの目安はありません。 バリアフリー対応の「備え」を組込む場合、例えばリフォーム部分 の床・壁面全体を構造用合板で固めて床の段差を解消するときなど、 組込まない場合に比べて材料費の差額は生じます。しかし施工費(手 間賃)や現場経費などについては、大きく変わる要素はありません。「備 え」だけを単独の工事で行えば、該当部分の施工費と材料費は上記と 変わりませんが、経費と周辺関連工事費は確実に増加します。 よほど切迫した条件でもない限り、「備え」の組込み工事は他の工事 と一緒にやるほうが得、と思ってください。できるところから
わざわざ面積を減らす? まだあまり一般的 ではないのですが、「減築」は高齢者社会では 有望・有効なリフォーム方法の一つと考えら れています。 例えば、2階建てを平屋にすると、生活空間 がすべて1階でコンパクトになって、掃除や外 壁の維持管理が楽になります。高齢者には大 変使いやすくなるのです。また耐震性や省エ ネ性も向上できるうえ、固定資産税も減らせ る場合があるなどのメリットがあります。増築ではなく減築?
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減税・補助
減税・補助
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減 税 ・ 補 助 バリアフリーリフォームに関する税の優遇措置は、現在次のように 複数の制度が並行して行われています。 ①「投資型減税」(所得税) ②「ローン型減税」(バリアフリー改修促進税制/所得税) ③「住宅ローン減税」(住宅借入金等特別控除/所得税) ④ 当該家屋に係る固定資産税の減額 制度の名称はさまざまですが、減税を受けられる税の種類から整理 すると、「所得税の減税(国税)」と「固定資産税の減額(地方税)」の 2つがあります(図5-1)。適用条件をチェックしてからバリアフリーリフォームを
介護保険法による住宅改修費の支給
住宅のバリアフリー性能を高めるバリアフリーリフォームの工事費 用はけっして小さくありません。そこで、負担を軽減し、バリアフリ ーリフォームを推し進めるために、税制面の優遇措置や補助金などが 設けられています。なるべく有利な方法を選び、かしこいバリアフリ ーリフォームを行いたいものです。「減税」と「補助金」がバ リアフリーリフォームをバックアップ
知っておきたい所得税減税と固 定資産税の減額
図5-1 「所得税額の控除」と「固定資産税の減額」の適用を受けるための手続き例 介護保険法に基づき、一定の住宅改修に補助が受けら れます。それぞれ、お問い合わせ先は各市区町村へ。 ■内容:介護保険法に基づく、①居宅介護住宅改修費、 ②介護予防住宅改修費 ■対象:①居宅要介護被保険者および、②居宅要支援被 保険者の、それぞれ住宅に対する手すりの取付け等の 一定の住宅改修に対し支給 ■対象額:それぞれ20万円まで(このうち9割が保険 で支給、自己負担1割) 工事業者に依頼・下見・見積り 工事業者と契約 工事着手 工事完了 ・適用要件にあてはまる工事を行う必要がある ・証明書作成時に施工中の写真が必要となる 場合がある 証明書の作成 〈バリアフリー、住宅ローン減税〉 増改築等工事証明書 確定申告 所得税額の控除 固定資産税の減額の場合 固定資産税の減額の場合 〈バリアフリー〉 総務省令で定める書類 市区町村へ提出 (工事完了後3カ月以内) 固定資産税の減額 所得税控除の場合 所得税控除の場合所得税減税の「投資型」と「ローン型」の違いは?
表5-1 バリアフリーリフォームによる所得税の控除の概要 所得税の減税は、「投資型」と「ローン型」にわか れます。この2つのおもな違いを知っておきましょう (表5-1)。 「投資型」は、住宅ローンを組んでリフォームを行 った場合の他、自己資金でリフォームを行った場合 にも適用できる所得税の減税制度です。一方、「ロー ン型」は、住宅ローンを組んでリフォームを行った 場合のみに適用できる所得税の減税制度です。 減税種類 対象 時期 控除期間 控除率 控除額 適用要件 備考 住宅リフォームに関する投資型減税 住宅バリアフリー改修に要した費用 ローン型減税(バリアフリー改修促進税制) 当該リフォーム工事に係る住宅ローンの年末残高 1年(原則、工事を行った年分のみ適用。新たに要介 護・要支援状態区分が3段階以上上昇して、適用対象 工事を行った場合は再適用あり) イ. 適用要件2.のバリアフリー改修工事に係る工事 費用相当部分(イの控除対象限度額200万円):2% ロ. イ以外の工事費相当部分:1% 控除対象限度額(イ+ロ):1,000万円 1.次のいずれかに該当する者が自ら所有し、居住する住宅であること ①50歳以上の者、②要介護または要支援の認定を受けている者、③障がい者、④②もしくは③に該当する者 または65歳以上の者のいずれかと同居している者 2.一定のバリアフリー改修工事が次のいずれかに該当すること ①通路等の拡幅、②階段の勾配の緩和、③浴室改良、④便所改良、⑤手すりの取付け、⑥段差の解消、⑦出入 口の戸の改良、⑧滑りにくい床材料への取替え 3.バリアフリー改修工事費用が30万円超であること 4.「増改築等工事証明書」等の必要書類を添付して確定申告を行うこと ※1 改修に要した費用の額と、改修に係る標準的な工事費用相当額[※2]とのいずれか少ない金額 ※2 標準的な工事費用相当額:改修工事の種類ごとに標準的な工事費用の額として国土交通大臣が定める単価 に、当該改修工事を行った床面積等を乗じて計算した金額(平成21年国土交通省告示第384号) 改修後の居住開始日: 平成21年4月1日∼平成22年12月31日 改修後の居住開始日: 平成19年4月1日∼平成25年12月31日 5年 10% (控除対象限度額200万円) [※1] その年分の所得税額以内で 最大20万円 最大30万円(太陽光発電設備を設置) その年分の所得税額以内で 最大12万円/年 最大60万円/5年6
減税・補助
減税・補助
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減 税 ・ 補 助 従来から利用されてきたいわゆる「住宅ローン減税」も所得税減税 を受けられる選択肢のひとつです(表5-2)。減税額は、バリアフリー を含む増改築を行なうために組んだ住宅ローンの毎年末残高の1%。 「住宅ローン減税」では工事費 100 万円超、控除対象限度額が平成 22年5,000万円∼平成 25年2,000万円、控除される借り入れ期間 も10年以上が対象であるため、比較的規模の大きい増改築が想定され ます。「住宅ローン減税」はバリアフリーを含む増改築の
借入金が対象
固定資産税の1/3が減額に
表5-2 「住宅ローン減税」による所得税減税の概要 減税種類 対象 適用要件 備考 ローン型減税(住宅ローン減税[住宅ローン等の年末残高の1%が10年間にわたり所得税から控除]) 当該リフォーム工事に係る住宅ローンの年末残高 [改修後に居住を開始した日] 平成22年1月1日∼12月31日 平成23年1月1日∼12月31日 平成24年1月1日∼12月31日 平成25年1月1日∼12月31日 5,000万円 4,000万円 3,000万円 2,000万円 500万円 400万円 300万円 200万円 10年 1% ※3 毎年末のローン残高の1% [控除対象借入限度額] 住宅の新築、取得、増改築等を行った場合 (増改築等工事に係る適用要件[抜粋]:工事費100万円超および増改築工事の床面積が50㎡以上となる工 事[耐震改修工事、一定のバリアフリー改修工事および一定の省エネ改修工事を含む]) 平成21年1月1日∼平成25年12月31日に居住を開始した者で、住宅ローン減税の最大控除額[※3]ま で所得税が控除されない者については、所得税から控除しきれない額について、個人住民税から控除される ようになる。ただし、個人住民税からの控除額は、当該年分の所得税の課税総所得金額等の額に5%を乗じて 得た額(最高9.75万円)が上限となる 時期 限度額 控除額 控除期間 個人住民税 控除率 [最大控除額]贈与税の非課税措置
平成22年度1月1日から平成23年12月31日までの間、満20歳以 上(贈与を受けた年の1月1日時点)のものが親などから住宅取得等資 金を受けた場合の贈与税の非課税措置が拡充されます。リフォームの補助制度
リフォームや省エネの先進的な設備の導入については、国などの支援 事業や促進事業が行われ、補助金を受け取れる場合があります。補助制 度は申込期間等がありますので、必ず確認してください。 ① 既存住宅流通活性化等事業 ② 住宅・建築物安全ストック形成事業 ③ 地域住宅交付金による助成 ④ その他の助成(住宅用太陽光発電導入支援対策費補助金 他) 工事完了後3ヵ月以内に所在する市区町村へ申告する固定資産税の 減額を受けることができます。適用条件は、通路等の拡幅工事等とし ています(表5-3)。 表5-3 固定資産税の減額の概要 比較的規模の大きい 増改築ならこれかな 「総務省令で 定める書類」が 必要なのねバリアフリーリフォーム
◆この特例は、固定資産税の減額(省エネ)と 併用可能です。 ●対象となる工事 1.次の①∼⑧のいずれかに該当するバリアフリー改修工事 であること ①通路等の拡幅 ②階段の勾配の緩和 ③浴室改良 ④便所改良 ⑤手すりの取付け ⑥段差の解消 ⑦出入口の戸の改良 ⑧滑りにくい床材料への取替え 2.改修費用が30万円以上であること ●住宅の要件 a.平成19年1月1日以前から存在する 住宅であること(賃貸住宅を除く) b.次の①∼③のいずれかが、居住する 住宅であること ①65歳以上の者 ②要介護又は要支援の 認定を受けている者 ③障がい者 工事完了期間 減額期間 軽減額 平成19年4月1日∼平成25年3月31日 (工事完了年の翌年度分)1年度分 (1戸あたり家屋面積100㎡相当分まで)当該家屋に係る固定資産税額の1/3を軽減 リフォーム減税に関する詳細は、当協議会ホームページにて「住宅リフォーム支援制度ガイドブック」をご覧ください。http://www.j-reform.com/
ホームページ リフォームの補助制度等に関する詳細は、当協議会ホームページにて「住宅リフォーム支援制度ガイドブック」をご覧ください。http://www.j-reform.com/
ホームページ誰に相談すればいいの?
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相 談 先相談先
相談先
会って確かめる際の大きなポイントは、バリアフリ ー関連の何らかの業者リストへの登録、地元密着、バ リアフリー化工事の実績の3つです。納得のいく対応 や説明が聞けて、安心感があれば、次のステップに進 んでも基本的に問題ないでしょう。実際に工事した住 宅などを見せてもらえれば、なお安心です。 小規模なリフォーム工事は、実は、建設業者の登録 がなくても営業できるのですが、バリアフリーに関わ るリフォームは、建物の根本性能に関わる内容ですか ら資格や登録、実績の有無が基本的な判断基準になる のです。 個別性の強い内容になりやすいので、判断しにくい ことが多いかもしれません。しかしリフォームに長け た業者であればあるほど、説明が上手でわかりやすい はずです。不安感が残れば、同じことを他の業者に聞 いて比較してみると良いでしょう。自分の目で確かめる
登録・地元・改修工事実績が3大ポイント
比較すれば、当然迷い始めます。信頼感がなければ 始まりませんが、どっちもどっちという時は、地元の 方を選ぶのが良いでしょう。リフォーム工事は引渡し 後も調整が多い傾向があるため、万一のとき、短時間 で来られる業者のほうがトラブルになりにくいからで す。迷ったら地元の人
信頼できる相談相手。リフォームの成功はここに尽きるといっても 過言ではありません。しかしどうやって探せばいいのか。近道は、御 近所でリフォームされたお宅や、お住まいになっている市町村に聞き に行ってみることです。口コミでも、評判の良さそうな業者さんがい たら、とりあえず会ってみて下さい。役所ではもちろんあっせんなど はしてくれません。しかし下に示すような登録リストなどは閲覧でき ますし、どこそこでこういう業者が工事をしていたなど、何がしかの 情報は得られると思います。登録リストから選ぶ場合は、ご自宅に近 い2∼3社程度に絞り、とりあえずは話を聞いてもらいましょう。その 際、すぐに選ぶというのではなく、話が合いそうか、信頼できそうか という、人物あるいは会社を見るだけのつもりでいいのです。 専門家としては、建築士などの建築専門の有資格者や設計事務所、 建設会社、工務店、リフォーム専門業者などが該当しますが、バリア フリー関連の工事を組込む場合は、以下のような団体などに登録して いる業者から選ぶことをお勧めします。 ●リフォネット(※) ●地方自治体などで閲覧できるバリアフリー関連工事または高齢者向 け住宅の改修工事登録業者リスト ●民間業者団体や組織などでまとめているリフォーム工事業者リスト(耐 震、バリアフリー、省エネなど区分はあります)専門家、業者の探し方・選び方
※ 財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターが提供している安心リフォームを 推進するための全国的なリフォーム支援ネット>> http://www.refonet.jp ここが こうだから こうなります よく わかるわここが
ポイント!
迷ったら地元
専門家、業者を選ぶ目安
① バリアフリーリフォーム工事の経験が豊富なこと。
② 実績のある例を見せてもらえること。
③ 関連した業者リストに登録していること。
④ 工事する家から比較的近いところに拠点があること。
⑤ 性能向上や補助金などの内容を具体的に説明できること。
資料
資料
出典資料一覧
■「住宅リフォーム支援制度ガイドブック」(2010 年 6 月) ……一般社団法人住宅リフォーム推進協議会 財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター ■「住宅リフォームステップアップセミナー消費者編」(2009 年 7 月) ……一般社団法人住宅リフォーム推進協議会 ■「増改築相談員の基礎知識 2・性能向上リフォーム」(2009 年 6 月) ……財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター ■「介護保険における住宅改修実務解説」(平成 21 年 6 月改訂版) ……財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター ■「介護保険関係者のための住宅改修の手引き」(2008 年 6 月) ……社団法人シルバーサービス振興会 ■「国土交通省ホームページ」 ……国土交通省 ■「高齢化対応住宅リフォーム」(平成 15 年 2 月) ……財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター ■「高齢化対応住宅リフォームマニュアル」(平成 10 年 1 月) ……財団法人日本住宅リフォームセンター性能向上リフォームガイドブック
バリアフリーリフォーム作業グル ープ
主 査鈴 木 晃
国立保健医療科学院 建築衛生部 健康住宅室長 委 員加 島 守
高齢者生活福祉研究所 所長 委 員鹿 島 陽 介
(財)高齢者住宅財団 調査研究課長 コンサルタント河 合 春 樹
アルコット建築設計事務所 主宰性能向上リフォームガイドブック バリアフリー編
2010年2月初版発行 2010年9月第2版発行 発行 : 一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-3-4 宮ビル5階 TEL 03-3556-5430 資 料 出 典 資 料 一 覧発行 : 一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会