北 陸 の 植 物 第 1 9 巻 第 4 号 昭和46年10月
北川政夫*東亜産ヤエムグラ属の数種について
MasaoKITAGAwA*:OnSomeSpeciesof"〃況沈fromF2sternARin
この度,牧野標本館に収められている草本性のアカネ科植物の同定を行なった。その結 果,各種の変異性を或程度確認する事が出来たのである。その中で,特に注目すべきヤエ ムグラ属植物の数種について私見を述べる。
1 . エ ゾ ノ ヨ ツ バ ム グ ラ 本 種 は 変 化 性 に 富 む 一 種 で , い く つ か の 変 種 や 品 種 に 分 け られている。しかし,多くの標本を検討していると,何処に境界線を引いたらよいか迷っ てしまう。具体的に言えば,全草の大きさや葉の大小・鈍頭か鋭頭・毛の多少等は連続的 変異を示し,細かく区別する標識にはならない。従って,オオバノヨツバムグラやケナシ エゾノヨツバムグラはすべて 〃"沈陀α加応c""c""zSTELLER中に含めてよいと思わ れる。殊に日光産の植物を逐次観察すれば,この連続性がよく判る。
2 . ヤ マ ム グ ラ こ の 種 の 基 本 形 は 茎 が 無 毛 で 葉 上 の 毛 も 少 な く , 花 弁 の 裏 面 に 小 長 毛を生ずる。時に花弁が無毛のものがあり,ケナシヤマムグラと呼ばれる。他方,茎に開 出毛を生じ,葉に毛が多い品種をオヤマムグラとして分けてある。所が,これにも花弁に 毛の出ないものがあり,一品種と見なしメヤマムグラと名づける。一般の文献では,各節 に4個の葉を出すとしてあるが,原記相文にも記されているように下部の葉は5〜6個輪 生する事がある。
3 . ハ ナ ム グ ラ こ れ は 現 在 エ ゾ ム グ ラ の 変 種 と さ れ て い る が , 後 者 よ り 全 草 が 剛 直 で,茎は通常直立し、大きな葉では先端が凹形をなし中央部が凸頭をなし,花は茎の上部 に正常な円錐花序状をなして多数開き,果実は常に無毛平滑である。エゾムグラでは,茎 が繊弱で斜上するか他物に寄りかかって成長し,葉は小さく細く先端は急に鋭尖頭をなし,
花序は散慢で頂生または腋生し,花は比較的少なく,果実は平滑か小隆起或は短軟毛を生 ずる。故に両者を別個の種と見るのが妥当である。
4 . ク ル マ ム グ ラ 牧 野 富 太 郎 博 士 が こ の 種 を 発 表 す る 際 , 引 用 し た 標 本 の す べ て を 検する機会を得た。奥山春季氏が「植物研究雑誌」第11巻(1935)で説明したように,この 中には異分子が混っている。すな沖ち,土佐名野川(一部),伊予中津明神,滑床(一部)
及び羽後観音寺村の標本はオククルマムグラ(チョウセンクルマムグラ)であり.他は真 のクルマムグラである。しかも,牧野博士はその原標本を指定していないので,その後桧 山庫三氏が,最初にあげられている土佐横倉山の標本にlectotypeと記入しているので,
こ れ を 採 用 す る 。 ク ル マ ム グ ラ と オ ク ク ル マ ム グ ラ は 種 々 の 点 か ら 見 て , 別 種 と し て 扱 う べ き で あ る 。 ク ル マ ム グ ラ の 葉 形 は 卵 形 よ り 長 披 針 形 ま で 変 化 す る が , 四 国 の 白 髪 山 , 手
掌横浜国立大学教育学部生物学教室Biologicallnstitute,FacultyofLiberalArts andEducation,YokohamaNationalUniversity
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Octoberl971TheJournalofGeobotany Vol.XIX・No.4
箱山,石鎚山等に生育するものは茎が細く,葉も非常に細くて薄く花序中のものは糸状に 近 い の で , 新 品 種 と 断 じ ホ ソ バ ノ ク ル マ ム グ ラ の 名 を 与 え る 。
5.ヤエムグラこれはG.Sp"γ""zLINNAEus(ケナシヤエムグラ)の有毛果を結 ぶ一変形に過ぎないので品種の格に下したMAxIMowIczの説に従う。
以 上 の 説 を ま と め る と 次 の 如 く で あ る 。
1)GaliumkamtschaticumSTELLERexRoEMER&ScHuLTEs,Syst.Veget・3 Mant.186(1827).
G・んα獅応c"雄況加STELLERf・加彫γ加ed""TAKEDAinBot.Mag.Tokyo24:
66(1910),syn.nov.
G.〃α おc""c"池STELLERvar."c"加"""HARAinBot・Mag.Tokyo51:
642(inadnota)(1937),syn.nov.
Nom・Jap・Ohbano‑yotuba‑mugura,Ezono‑yotuba‑mugura,Kenasi‑ezono‑yotu ba‑mugura.
Distr・Amur,Ussuri,Manshuria,Korea,Japan,Sachalin,Kuriles,Kamtscha‑
tka&AmericaBor.
2)GaliumpogonanthumFRANcHET&SAvATIER,Enum.Pl.Jap.1:213 (1875):2:393(1877).
f.mterpositumKITAGAwA,f・nov・
Caulisinfernedensiussupernelaxiuspatentepilosulus.Foliainfernasupra adpressehispidulamfraadnervumatquemarginedensepilosula・Petalagla‑
berrima.
Nom・Jap・Me.yama‑mugura(nov.).
Hab・Japonia:Honsyu:prov.BittyO:sinelocospeciali(T.MAKINo1935‑
Holotypusinherb.MAK):prov.Bingo:Taisyaku‑ky6(T.MAKINoJul.1935 iAherb.MAK).:Sikoku:prov.Iyo:Iwaya(T・MAKINo1931inherb.
MAK);propeKamigata・ty6,Uma‑gun(M.MITsuIMai、2.1933in
herb・TNS)
Distr・Japoniaaustr.
3)GaliumtokyoenseMAKINo,Ill.Fl.Jap.1‑11:2t.69(1891),smede‑
scr.:inBot.Mag.Tokyol7:72(1903).
Gα γg"況獅MIcHAuxvar.""yog"se(MAKINo)NAKAIinBot.Mag・Tokyo 23:106(inclave)(1909).
G."ん"γ允況籾TuRczANINowf.勿々yog"se(MAKINo)KITAGAwAinRep.Inst.
Sci.Res.Manch.4:92(1940),prop.
G."""γ沈況加TuRczANINowvar.加紗02"seCuFoDoNTIsinOesterr.Bot.Ze‑
itschr.89:243(1940).
Nom,Jap・Hana‑mugura.
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北 陸 の 植 物 第 1 9 巻 第 4 号 昭和46年10月
Distr.Manshuriaaustr.,Korea&Japonia.
4)GaliumjaponicumMAKINoinBot.Mag.Tokyo9:(311)(1895),nom.
nud.:17:73(1903),prop.
G.〃ゆ加"妬"柳MAKINoinBot.Mag.Tokyo22:158(1908),utnom.nov.,
prOp.