奈良教育大学学術リポジトリNEAR
精神簿弱児の図形の方向認知に関する発達的研究
著者 田辺 正友
雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要
巻 7
ページ 127‑136
発行年 1971‑03‑31
URL http://hdl.handle.net/10105/6221
精神薄弱児の図形の方向認知に関する
発達的研究
田 辺 正 友 障害児学教室)
あらゆる知的行動は,事物にたいする正確を認知から始重ると思われる。かかる意味からも,精神 薄弱児(以下,精薄児と略す)の知能遅滞の実態を明らかにする手かかクとして,その認知構造の研 究がなされる必要がある。
We rDe r,H・,S tr舳ε日,A.A.(1941)による精薄児の心理学的構造の類型的研究以来,
精薄児と普通児に拾ける知覚の差異を扱った研究がかなりなされてきて拾り,実験的にも未発達性や 特異性が認められている。この種の問題に関する研究を概括したものに,小出(1960),伊藤
(1964),Spivack,G.(1963)のものが見られる。また,山下(1969)ぱ,精薄
児の知覚の領域にK6h■e r,W.の「飽和理論」を適用しようとするSpi tz.H.H.の研究を中心 として従来の研究を概観していん
一カ,精薄児の学習指導の問題を究明するに当っても,指導が適切を期間と内容をそなえて意図的 に計画されるためには,彼等の認知発達がどのように遅れ,どの程度まで出来ないのカ㍉また,いか 注る点で正常左発達と異なるのかについて解明していく必要がある。ここでは,それらの基礎資料と して,とくに,精薄児の図形の方向と認知の問題をとりあげ,普通児の結果と比較することにより,
精薄児の図形のカ向認知の発達及びその過程を明らかにした〜
悶 魑
ある図形が,普通見られる位置から他の位置へ転移されると,その知覚に変容がも走らされる。少 くとも,成人にとってはその方向をのぞいては同一である2つの図形を異なったものとして認知され る。われわれの認知する空間は,恒常的に安定されて拾り,外界のあらゆる対象は,特定の大きさ,
形,方向,位置に拾いて把握されているのである。ところが,幼児が絵をみる際立と,さかさまでも 平気でながめ,その方向に比較的無頓着であることは,われわれが日常よく観察する事実である。かか
る事実について,Vθrnon,M.D.(1962)は,子どもの知覚プロセスはか浸り融通のきかない観 念的な面をもっているもので,何かをある特定の方法で知覚すると,次にそれを違う角度から今一度 見在拾すことができなく在ってしまうものであると指摘している。また,Pi agθt,J.(1952)
によれば,一般に発達的に初期の節覚構造では,知覚の場の効果に強く影響され,受動的であるが,
知覚構造が発達し成人のレベルに近づくにつれ知覚活動が優勢になり,知覚は自動的に場の再構成を 行なうようになると説明している。知覚構造が発達するにつれ,図形の.認知に拾ける手がかりは成人 のそれと等しくなると考えられる。
それでは,その方向をのぞいてぱ同一である2つの図形を異をるものとして認知するようになるの は何本位から可能に浸り,いかなる過程を経て達成さ一れてくるのか。幼児の方向性に対する特異な認 知行動についてはStθrn,W.によって指摘されて以来,多くの研究がなされてきた。
Ri c e,C.(1930)は,二次元的幾何学図形歩よびメブーンの絵を沢山の図形の中から見つけ出 させる方法で,Davi as on,H・P・(1935)ぱ,p・q.a.n.u.hの如き文字の認知につ いて,絵本などから選択した親しみのある絵を用いてHunton,V.D.(1955)が,また,Gi b−
80n,通.J.ら(1962)は,アルファベット文字の構造特性の分析から構成した文字様図形を用 いて研究がなされ,わが国に巻いても,園原(1941),田中(1956.1957a,1957
b,1959.1960)は類同視法により,同時選択法,再認法により小保内・勝井(1952),
大野(1956),勝井(1958.1959.1962),等によって研究がなされている。その
結果,対象の方向性に対する認知の正確度は,用いられた刺激呈示方法等によって一定の差は生ずる けれども,拾拾むね,4才から6才にかけて急速に上昇し,?本ないし8才に拾いてほぼ正確となる
ことが見出されている。かかる点について勝井(1966)は,7,8才の年令段階に拾いて,図形 の方向性の認知が正確とをるのぱ,対象方向の相違や変化に対する知覚がより正確と底ると共に,二 次元空聞における具体的な方向の概念と空間の垂直・水平在との方向基準がこの年令にお いて発達し,
対象方向の比較や判断に拾ける思考的な認知態度が形成されてくる理由にもとづくものであるとする。
そこで、幼児においては,図形認知にあたっての方向のとらえ方や方向のもつ意義が成人とは異なる のではないかと考えられる。次に,幼児の図形の方向性の認知が体制化されていく過程に巻いて,ど のような発達的規則性を示すか,みていきたい。日ヨ中は前述の一連の研究に拾いて,どのような方向 図形を類似したものとして選択するかを発達的に調べ,図形認知の仕方に,幼児と成人とで相違があ ることを明らかにしている。幼児的特徴としては,逆位の図形が類同視され易く,その他の方向は未 分化であった。成人的特徴としては,現象的見えの傾きが最も少凌い近接方向図形が優位に選択され たと報告されている。このことば,Gh e n t,工、(1961)によっても確かめられて拾り,彼女は,
幼児てば,図形の方向性の探索は,上から下への眼球運動によりなされ,図形の方向性の認知は,網 膜の垂直・水平という主方向の枠組に関係してなされると説明しているが,園原(1956),大野
(1956)によると,転位され走図形との同一祝は,上下対称・左右対称方向の同一視傾向が顕著 にみられるが,この傾向は,刺激図形,呈示方法により有意な差が認められ,、G hθnt ,L.の説明 のr股性に疑問があることを示唆している。
また,大西(1958.1960),勝井(1962)は,形態が同一で方向性のみこと在る図形
群の同一方向の認知に倉ける正確度の分析に拾いて,認知優劣性を発達的に分析して拾り,その結果,
垂直上下方向→水平左右方向→斜方向の発達的順位が存在することを見出している。かかる発達的規 則性は,小保内・小熊(1961)の図形短線の方向を認知し同定するのに要する時間を手掛りとし ての方向と認知との関係にも認められて巷り,芦田(1963),林(1964)らの図形模写にお いても,きわめて近似の傾向が認められている。
精薄児を対象としたこの種の研究には,勝丼(1959)の図形の形態,大きさ,方向認知の発達 曲線の考察に拾いて知能との相関をみるために精薄児を用いた実験がある。その結果,精薄児は精神
年令(MA)が進むにつれてその正確度は上昇を示すが,精薄児のM Aと生活年令(C A)が同一段 階にある普通児の各年令段階に赤いて,やや劣っているという結果が得られている。また,田中(1
964)はC A段階によって両群を比較している。上記2研究と少し趣を異にするが,Stθarn6,
Kら(1969)は,図形模写のユークリッド表現に関するPi aget,J.ら(1956)の実験を 精薄児116名に追試し,その結果,精薄児の認知発達は,普通児に比して,ただ単に発達が遅いだ けであって,Pi agetの発達段階説を精薄児にも適応できるとしている。この発達過程とM A,CA
との関係をみているが,この発達に関しては,M AはC Aよりも密接に関係しているという結果を得 ている。さらに,田中(1969)は,前述の普通児を対象として行なってきた図形類同視の実験か
ら得られた結果と同一実験を精薄肋A6才(C A14〜19才)に実施した結果とを比較し,精薄 児M A6才は普通児C A6オよりも上下逆位の方向を重視し,見えの傾きの最も少ない方向を明らか に軽視しているという結果を得れ
概観したように,普通児の図形の方向認知においては,年令に相応して発達し,ト8才に赤いて ほぼ正確となること,及び,その発達的過程に拾いて,成人とは異なる様式ではあるが,一定の方向 の認知観則を受け,方向の認知の発達に一定の順序があることは明らかにされてきているところであ
るが,ここでは,精薄児について,
1)その発達の指標であるM Aの上昇につれてどのよう在発達傾向を示すか。
2)方向認知の正確度に歩いて,普通児との間にどれだけの差異があるのか。
3)その発達の過程に拾いて,普通児にみられるよう清一定の方向の認知規貝阯がみられるかどうか。
以上の点を検討し,精薄児の認知特性の予備的考察を行っていくため次の実験を計画した。
方 法
刺激図形束1撤図形はFig.1に示す2種,16個の図形が用いられた。2種の図形ともそれぞ れの図形について予め設定された図形の基準方向↑とそれから45o間隔で順次設定される7つの方 向バ\↓/←唯示す計8方向図形が用意されたもので,これら8つの方向図形はいずれも1度は 標準図形として用いられ走。標準図形ば8㎝×15㎝のケント紙の中央に1個の図形を,比較図形は
8㎝×44㎝のケニ/ト紙上に8個の図形を描いた。図形の大きさは,図形1は円の直径2㎝,約0.1
㎝の太さの黒線で描いたもので,線の方向を強調するために尖端に直径O,2㎝の赤色で塗りつぶした 丸印を附した。一図形2は底辺3㎝,他の辺は2㎝の二等辺三角形である。
6
ρ ρ ℃△ 「 > ▽
し
く7
実験方法被験老の前に比較図形を 水平に並列し,その上,系列の中央 に標準図形を同時に机上に提示,比 較図形群の中から標準図形と同じも の1個を選択させ,指で示させる同 時選択法によって行われた。1人の
Fig.1 刺激図形 被験者は1図形につき8回,計16
回図形を選択することが求められた。この場合,「同じ図形」「同じむきの図形」という教示を被験
者に理解させるために,予備図形(ボール紙でできた時計盤)を用いて,2〜3回練習し,あらかじ め同一方向ということの具体的意味を教示し走のち本実験を行った。実験は個別的に行左われ,選択 時間は特に制限し左かった。2種の図形の実験順序は最初に図形1,次いで図形2の順に行なった。
なお,標準図形の提示順序,及び比較図形の配列はa t rando皿である。
被験者 精薄児51名,普通児58名,合計109名の被験者はTabユθ1,2に示す通りで
ある。精薄児の場合,C Aはじめ,性格,行動上の問題や知能障害をもたらした原因などの要因も選 定に際して考慮されねばならない。C Aについては,本研究では1Qが50−75の範囲になるよう に選定した。その他の要因についてはくわしくは分析することはできなかったが,視力の正常なもの,
また,矢口覚,パーソナリティ等に目立っ走異常の見られ底い考を,担任の教師の助言をうけて選んだ。
普通児については,1Qの範囲が90−11Oの者をえらんだ。なお,M Aは鈴木ビネー式知能検 査によって測定し走。
Tabユθ1 被験者 精薄児
M A
Rangθ 3:O,3:7 4=O〜4:11 5=3〜5:11 6=O〜6:10 7=O〜?=6 8=O〜8:9 M 3:4 4:6 5:6 6:7 7:4 8:4
T a1〕ユθ 2 被 験 者 普通児
CA
3 4 5 6 7 8Rangθ 3:6〜3:11 4:O〜4:11 5=1〜5:7 6:3〜6:11 グ1〜719 8:O〜8111
M 317 415 5:4 616 7:5 8:5
N 1O IO IO 8 10 10
結果 と 考察
1.まず両群に歩ける提示された図形を正しく選択したものの比率を年令別に示すとTabユθ3,
4のごとくであ肌 Tabユe3 年令別平均正答率(%) 精薄児
正答率は正確に選 択された頻数を総 選択数で除したも のである。また,
これを図示したも のがFig.2であ
る。
MA}尻 3 4 5 6 7 8
図形1 2I.9 57,8 58.9 75.O
*80.7
87.5
図形2 15.6 43.8 46.4 67.0 67.O一 78.6
Totaユ 18.8 48.4 52.7 71.O 73.8 83.0
これによると,
普通児の場合,正 答率ぱ3オ〜6才 にかけて年令とと もにほぼ直線的に 上昇し,6才で90
%以上の正答率を 示すに到り,のち,
T a bユe 4 年令別平均正答率(%)、 .普通児
Cム図z 3 4 5 6 7 8
半P〈・OP〈・01
* 料72.5 *
図形1 4715 85.O 96.9 98.8 98.8
図形2 32.5 463 68,8 89.1 95.0 93.8
Totaユ 40.O 59.4 76.9 93,O 96.9 96,3
8才喧で緩慢な上昇をしてい乱これば,従来の実験結果と一致するものであんこの傾向は,精 船 薄児の場合にもみられ,MAが進むにつれて上昇を示
1 ∴寸1籔1111111111}1篶11;
→
.ぱf2 〇一 x 」
とき,ほほ近似の様相を呈している。今,この両群の ・ 、メ」一一一X
o
2
正答率を2図形を通算して各隣接年令間の有意差を 5 /
/、一ノ テス1によって求めると1普通児の場合I3才と・オ・
// 才と5才5才と6オの間てそれぞれ1%の危険率で有意差が認 _鵠児 められる(それぞれ在・・.叫ノー・11湖,メー脳,
メ ・精薄児 いゴれもd f=1)。6才から8才一までの隣接年令間に は有意な差は認められない。精薄児の場合は,3才と l 1
3 4 5 6 7 8 鉄4才15才と6才の間で,それそれヵと18224,z2
F i g.2
=1O.978df=1で1%の危険率で有意であることが認められるが,普通児では有意差が認めら れた4才一5才の間に差は認められず,ま走,6才から8才の隣接年令間では,普通児の場合と同様
に差は認められない。
次に,図形Iと図形2の別に正答率を比較してみる。両群とも図形1のような明瞭な方向性を示す 図形に拾いでは正確度も高く,普通児てば6才児に拾いて,ほぼ誤りのない段階に達し,図形2にあ
っては約1年後に95% までに達している。3才〜5才までの低年令段階では,その差は大きく,6 才〜8才にかけて接近し,ほとんど差はなくなっている。これに反して,精薄児に拾いては,図形1,
2はほほ平行して増加して拾り,M Aが上昇しても,その差は接近していない。両群の同一年令段階 に釦ける図形1と図形2の間の差異を検討してみると,普通児では,3才と5才では5%,4才で1
%の危険率で有意な差が認められるが,精薄児に巻いでは,M A7才級に赤いて有意差が認められる
(危険率5%)だけで,その他の年令段階では差は認められない。普通児の場合,5才児以下の幼児 においては,刺激図形により正答率は有意に異凌るのであるが,6才以降,図形の同一方向の認知に あたって刺激図形による差はほとんどなくなり,両図形ともほぼ正確な認知が可能になっている。こ れに対して,このような傾向は精薄児にはみられない。かかる点に拾いて,精薄児は普通児とちがっ た発達的特質があるのだろうか。
一般に,知覚的反応を求める場合,幼児に拾いては刺激材料の誘意性といったものは無視でき住い と思われる。その点,精薄児の方が刺激材料に影響される程度が低いのだろうか。この問題を検討す るためには,さらに,刺激図形の構造的・機能的特性の要因の差異を多方面から検討できる資料を用 意しなければ清らない。この点については,具体的事物図形を刺激図形に用いて実験中であるので,
その結果からも吟味してみたい。
2.M Aにおいて普通児と同一段階にあると測定された精薄児の図形の方向認知に蛤ける正確度は どの程度の差があるのか,次に,両群におけるこれら正確度の差を検討する。両群の各同一年令,図 形ごとにその正答率を調べると,4オ児及ぴ3才児での図形2を除く,総ての年令段階で次の様に両 群の間にエ%ないし5%の危険率をもって有意差が認められる。
図形1−MA3<C A3 M A6〈C A6 M A8<C A8
図形トMA5くCA5
M A7<C A7 TotaユーMA3く=CA3 M A6<C A6 M A8〈C A8
2 来
=6,245 , 米来 π』13,783 ,
2 米来
∬=7,530 米来
』6,814 , 来糸
∬』20246 ,
米来 κ』9,209 , 料』23,716 , 米来オ』13,437
M A5〈C A5 M A7<C A7
M A6〈C A6 M A8くC A8
MA5<lCA5 Mム7<CA7
来来
』11,715
来来κ』14,300
2 米来
κ=1O,607 , 来来
』6,939 来来
z』17,422 ,
来来
』34,470 ,
大体に拾いて,精薄児は普通児にM Aで1〜2年の遅れを示している。これはFi g.2からも明らか
である。
こうした図形の方向認知の正確度が年令上昇に応じて高くなり,これはM A段階にもあてはまるこ とがわかった。しかし,M Aにお いて普通兜と同一段階にあると測定された精薄児の正確度が普通児 より劣っているという結果を得た。かかる点について,勝丼(1959)が「根本的には,知能検査 に拾けるM A尺度そのものにも問題があろうが,精薄児の知的能力が具体的な問題解決場面としての 本実験のようなテストに拾いては,一般に劣るのではないか」と指摘している。このことは同一MA の精薄児と普通児の知能検査に拾ける各下位項目の通過率の比較検討から,精薄児の知能構造の研究 が浸されているが,その結果,同一MAにあっても,種々な知的機能のありカに差異が認められてい るところからも明らかである。それゆえ,普通児の発達の指標であるM Aをもとにして,精薄児の認 知能力を予測することは危険であろうと思われる。かかる問題の検討にあたっては,C Aや知能遅滞 をもたらした原因,さらには,彼らのPθr80na1i tyの特質といった精薄児の精神発連に関与す ると考えられる他の要因も考慮し,総合的に考察する必要がある。
3.前項書でにみてきた正確度は8方向図形を合計し走場合であったが,図形の方向の違いによっ て,その正確度はいかに異なるカ㍉以上の結果を図1,2を通算したものについて,図形の方向別 年令別に比較する。 (T abユe 56)この結果によると,図形の方向によってその正確度は非常に 異在っているが,両群とも各年令段階を通じて,上方向と下方向の図形はもっとも高い正答率を示し
て拾り,上下方向の認知はその他の方向の認知よりも早く確立しているようである。しかし,その他 の方向図形についての認知優劣に一定の傾向は見出すことはでき在い。次に,以上の結果を,8個の 図形方向を上下左右方向群と斜方向群とにわけて、その正答率を比検してみる。
T a1〕ユθ 5 図形の方向別正答率(%) 精薄 児
、
7 口 ↑ ↓
← → \ ! / \
3 50.0 50.0 12.5 0 12.5 2510 0 0
28.1 9.4
4 87,5 68,8 31.3 43.8 50.0 56.3 31.3 37.5
57,8 43.8
78.6 78.6 42.9 71.4 42.9 64.3 14−3 28.6
5
67.9 37.5 糊
hO.351
89.3 85.7 75.O 60.7 57.I
6 ?1.4 50・0178・6
7717 64.3 米S.877
1OO 95.5 77・317・.3 63.6 54.5 54.5 68.2 7
87.5 60.2
料16.953
100 100 85.7 7].4 85.7 92.9 42.9 85.7 8
89.3 76.8
平均 88,2 83.3 60.8 59.8 55.9 63.7 382 57.8
73.0 53.9
嚇32.161
燃
料
縦
T a1〕ユe 6 図形の方向別正答率傷)
普通 用
〃 回 ↑ ↓
← → \ ! / \ X2
85.O 80.O 30.O 20.0 25.0
3 45.0 1510 20.0
53.8 26.3
拙9828
100 1OO 45.O 45.0 45,0
4 65.0 35.0 40.0
72.5 46.3
拙11.427
100 95.0 75.0 55.0 65.0
5 75.0 65.0 I 85.0
81,3 72.5
100 100 93,8 81.8 93.8
6 100 81.3 93.8
93.8 92£
1001 100 I 100 100 95.0
7 100 80.0 100
100 93.8
100 100 95.0 100 95.0
8 90.O 95.0 95.0
98.8 93.8
97.4 95.7 72.4 66.4
平均 68.9 78.5 61.2 7I.6
83.O 70.O
糊19.345
*Pく.05 **Pく.01
科 料
料
普通児の場合,3才,4オに拾いて,それぞれ1%の危険率で有意差が認められるが,年令が進む につれて漸次,差が減少し,5才以降てば有意を差は認められ庄い。とれに対して,精薄児の場合,
5オ〜7才の年令段階で,それぞれ1%ないし5%の危険率で有意差が認められ,ここでも,精薄児 は普通児に比して,図形の方向認知の発達に遅れを示していると思われん
4.以上は正確度についての結果であるが,さらに,その点を誤りの内容分析によって検討してみ る。標準図形に対する選択が誤るとしても,それは全くでたらめに誤るものではなく,誤り自体にも 一定の傾向があることは従来の実験結果からも明らかにされているところである。今,大西(1958),
勝丼(1962)の例に在らって,図形の方向を上下左右方向群と斜方向群とに分け、それぞれの図 形群がどの方向へ誤っているかを見ん (Tabユe7) な拾,被験老も少在いので精薄児群をM A
3才一5才とM A6才一8才の2群にまとめ,普通児群は6才以上に拾いでは,誤りの選択がほとん Tabユθ7 類型例誤認方向 (%)
標準図形方向
上下左右群
普通児 誤りの方向 CA3〜5
上下左右 10−8 70.3)
斜 4,6(29.7)
上下左右
斜カ向群 P 斜
精薄児 MA3−5
14.1来(64.2)
7.9 (35.8)
、l1糾11二111:1㌶lll:;
_」___一__
精薄児 MA6−8
5.7半(69.O)
2,5 (31,O)
4.1 (23.9)
13.1代76.1)
ヲく=P<・05 姶く=Pくご・O1
ど凌いので,O A8才一5才の1群にまとめて結果を検討する。%は当該誤りをし先ものの総選択数 に対する比率で, ()内の%は誤りの総数に対する比率である。その結果をみると,上下左右方向 図形は上下左右方向へ誤り,斜方向図形は斜方向へ誤る傾向を示しており,上下左右方向と斜方向と ははっきり区別されているようである(1%ないし5%の危険率で有意差が認められる)。
しかし,Tabユθ7からも明らか在ように,数量的にみて普通児に比して,精薄児,とくに,M A 3才一5才に拾いては,上下左右方向から斜方向への誤り,斜方向から上下左右方向への誤りが多く,
上下左右方向と斜方向との未分化が認められる。先だ単に,正確度に拾いて劣っているだけでなく,
誤りの内容において質的にも差異がみられるようである・
以上,精神薄弱児の図形の方向認知について,普通児の結果とを比較し在がら考察を進めてきたが,
今後さらに,前述のよう在精神薄弱児の精神発達に関与すると考えられる他の要因についても検討を 加え,種々な条件,図形,判断の方法を用いた場合の結果と相互に比較していくことが必要であろう。
要 約
本研究に古いでは,精亭構弱児の図形の方向認知について 1)M Aの上昇につれてどのような発達傾向を示すか。
2)正確度に赤いて,普通児との聞にどれだけの差異があるのか。
3)発達の過程に拾いて,普通児にみられるような一定の方向の認知規則がみられるかどうか。
以上の点を検討するため,8方向,2種の計16図形の刺激材料を用いて,同時選択法によって実験 が行なわれた。正確度及び誤りの内容の分析がなされた結果,精神薄弱児の図形の方向認知に拾ける 正確度はM Aが進むにつれて上昇を示したが,MA3才一8才の精ネ構弱児はC A3才一8才の普通
児に比して、かなりの劣りがみられた。また,精神薄弱児においては,上下左右方向と斜方向図形と の混同がより多くみられた。
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<付記〉 実験を実施するにあたっては,本学障学児心理学専攻生,真砂さよ子君に協力してもら いました。ここに心から感謝の意を表すん