• 検索結果がありません。

金融機関活動の首都圏集中とその地域格差

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "金融機関活動の首都圏集中とその地域格差"

Copied!
22
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

奈良教育大学学術リポジトリNEAR

金融機関活動の首都圏集中とその地域格差

著者 水田 健一

雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学

巻 40

号 1

ページ 75‑95

発行年 1991‑11‑25

その他のタイトル Concentration in the Metropolitan Area of Financial Business Activities and Regional Differentials of Them in Japan

URL http://hdl.handle.net/10105/1783

(2)

金融機関活動の首都圏集中とその地域格差

水 田 健 一 (奈良教育大学経済学教室)

(平成3年4月30日受理)

I.はじめに

わが国経済は、第1次オイルショックを契機とする低成長への移行に伴い、昭和50年代に入っ て、従来の重化学工業中心の産業構造から電気機械を中心とする加工組立産業と知識集約型、情 報関連型の第3次産業への産業構造の変化が加速された。こうした経済の情報化、サービス化の 進展に伴う中枢管理機能の集積と、政府の財政赤字の拡大による政府財政の地域間所得移転機能 の低下によって、昭和40年代初頭から続いてきた産業活動や人口の地方分散化の傾向が昭和50年 代に入って逆転し、なかでも経済・金融や情報の中心としての首都圏の比重が高まり、昭和50年 代中期以降、首都圏・東京への一極集中化の傾向がつづいている。こうした産業活動の首都圏・

東京への集中化傾向と所得や生産額における地域格差の再拡大化は、需要の所得弾力性の高い第 3次産業においてより顕著である。なかでも企業の資金調達や資金運用などを中核とする本社機 能と直接的な関わりをもつ金融・保険業、証券業などにおいては、最近の諸機能の首都圏・東京 への一極集中化やアウトプットの大都市地域と地方圏の間の地域格差の拡大はより著しいものと

なっている。

本稿では、こうした産業・経済活動の東京への一極集中化のもとで、資金面から産業活動を支 える金融機関活動の大都市集中や首都圏・東京集中の実態を把握し、併せて金融機関の業態別の 地域展開を概観することによって、金融機関の業態別の地域展開行動について、今後更に分析を 進めていくための足掛りを得ることを目的とする。先ず次のⅡにおいて総人口、総生産、および 第3次産業総生産でみた経済の実態面における地域格差の最近の推移とその現状を概観した上 で、それと対比する形でⅢにおいて、昭和50年度以降の金融機関の店舗数、預貯金残高、貸出残 高等の指標でみた、わが国の金融機関活動の地域別分布の対全国シェアを比較し、その推移を追 うともに、金融機関活動の地域格差の程度やその大都市集中や首都圏(東京)集中化の程度がど のように推移してきたかを検討する。また地域間の人口当たりの店舗数、預貯金残高、貸出残高 等についても検討を加え、人口比でみた金融機関活動の地域格差の最近の推移と現状を明らかに する。さらに金融機関の預貸率の地域間比較を行うとともに、昭和50年度以降のその上昇の背景 となっている要因についての考察を行う。 Ⅳでは金融機関の地域展開は、金融機関の業態別にみ た場合にはどのような相違がみられるかを考察する。最後にVではこうした昭和50年代中期以降 の金融機関活動の首都圏、東京‑の集中化をもたらした要因についての若干の考察を行う。

I.経済の実態面における地域格差の推移と現況

金融機関の諸活動は経済活動を資金面から支える機能を持っており、各地域の金融機関活動の 規模は地域の経済活動の規模に比例するものと考えられよう。しかし現実には金融機関の活動規

75

(3)

76 水 田 健 一

槙の地域格差は地域の経済規模の格差を大きく上回り、わが国では特に昭和50年代以降、経済の 情報化、サービス化、経済・金融の国際化に伴う経済機能の首都圏への集中化にともない、この 傾向は一層顕著なものになっている。金融機関の活動規模の地域格差は地域の経済規模の格差に 比較してどの程度のものであり、またそれはどのような推移をたどってきたのであろうか。こう

した問題を次のⅢで考察するための対比として、本節では、昭和50年度以降のわが国の金融機関 活動の地域格差の推移を、地域の経済活動を表す諸指標の地域間格差と比較しながら検討するこ

とにしよう。

ここでは全国を以下のように15地域に区分するとともに、東京、埼玉、千葉、神奈川、愛知、

京都、大阪、兵庫の8都府県からなる「大都市圏」とそれ以外の39道県からなるr地方圏」とを 区分した上で、総人口、総生産、および第3次産業総生産の大都市圏ならびに首都圏(関東臨海) および東京への集中の程度と、全国の都道府県間の分布の程度をみることにする。なお括弧内は その地域を構成する都道府県名である。

北海道(北海道)/北東北(青森県・岩手県・秋田県) 南東北(宮城県・山形県・福島県・新潟県)

関東内陸(茨城県・栃木県・群馬県・山梨県・長野県) 関東臨海(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)

東海(静岡県・岐阜県・愛知県・三重県)/北陸(富山県・石川県・福井県) 近畿A (京都府・大阪府・兵庫県)/近畿B (滋賀県・奈良県・和歌山県)

表1総人口の対全国シェアとその変動係数 (a)総人口(対全国シェア)

地域名   1975 大都市圏  43.02 地方圏   56.98 関東臨海  23.89 近畿    13.83 東京    10.14 大阪     7.24 愛知     5.29

1980   1985   1987   1988 43.26   43.76   44.03   44.14 56.74   56.24   55.97   55.86 24.35   24.93   25.24   25.37 13.61  13.52  13.46  13.42

1  9  0

7  0  3

9  7  5 5  4  06  0  3∩

フ     7     5

9.58    9.53 7.02    7.00 5.33    5.35

(b)総人口変動係数(都道府県間)

年度    1975  1980  1985  1987  1988 標準偏差  2,139  2,209  2,298  2,330  2,340 平均値   2,386  2,490  2,568  2,593  2,603 変動係数  0.896  0.887  0.895  0.899  0.899

(C)総人口変動係数(15地域間)

年度     1975  1980  1985  1987  1988 標準偏差  6.441  6,814  7,180  7,330  7,391 平均値   7,476  7,800  8,048  8,125  8,156 変動係数  0.862  0.874  0.892  0.902  0.906

山陰(鳥取県・島根県)/山陽 (岡山県・広島県・山口県) 四国(徳島県・香川県・愛媛 県・高知県)/北九川(福岡県・

佐賀県・長崎県・大分県) 南九州(熊本県・宮崎県・鹿児 島県)/沖縄(沖縄県)

1.総人口・総生産・第3次産 業総生産の地域格差と地域別 シェアの推移

(1)総人口

表l(a)は昭和50 (1975 年度

以降の大都市圏、地方圏、関東

臨海、近畿A、および東京、大

阪、愛知の各都府県人口の対全

国シェアの推移を、また表Kb)

と(C)はそれぞれ、各都道府県お

よび15地域区分による各地域の

総人口の間の変動係数(‑標準

偏差÷平均値)の値の推移をみ

(4)

たものであるり'.昭和63 (1988)年度の大都市圏の人口シェアは44.1%、関東臨海のシェアは 25.4%、東京のシェアは9.5%であった。また都道府県人口の変動係数の値は0.90、 15地域人口 の変動係数の値は0.91で、僅かに15地域間の人口のバラツキの方が大きくなっている0

昭和50年度以降大都市圏の人口比率は一貫して上昇を続け、また地方圏の比率は低下し続けて きた。大都市圏の中でも首都圏(関東臨海)の比率の上昇が著しいが、近幾Aと大阪府の人口 比率は‑一貫して低下し続けている。また大都市圏に属する8都府県の内で関東臨海を除いた4府 県を合わせた地域の人口比率についても同様に低下を続けており、昭和50年度以降人口の首都圏 への一極的な集中化が続いてきたことがわかる。また昭和50年度以降の都道府県人口の変動係数 の値の推移をみると、昭和50年度から55年度にかけては都道府県間の人口格差の縮小傾向が示さ れるのに対し、昭和55年度から62年度にかけて都道府県間の人口格差が拡大したことがわかる。

一方、全国15地域間の総人口の変動係数は昭和50年度以降63年度までその値が増大しており、こ の間地域間の人口格差が拡大していることが示される。

(2)総生産

表2(a)は昭和50年度以降の大都市圏、地方圏、関東臨海、近畿A、および東京、大阪、愛知の 表2 総生産(全産業)の対全国シェアとその変動係数

(a)総人口(対全国シェア) 地域名   1975  1980 大都市圏  50.33  50.43 地方圏    3.67  49.57 関東臨海  28.62  28.63 近幾    15.44  15.28 東京    16.88  16.18 大阪     9.16

愛知     6.27   6.52 (b)県内総生産変動係数(都道府県間)

年度    1975  1980 標準偏差  4,219  6,696 平均値   3,250  5,293 変動係数  1.298  1.265 (C)県内総生産変動係数(15地域間)

年度    1975  1980 標準偏差 10,740 17,519 平均値  10,183 16,584 変動係数  1.055  1.056

1985   1987 51.38   52.07 48.62   47.93 29.92   30.99 14.69  14.39 17.08   17.87

;.50    8.34 6.77    6.69

1985   1987 8,920 10,167 6,822  7,537 1.308  1.349

1985   1987 23,469  26,t 21,376  23,617

1.098  1.130

各都府県の総生産の対全国シェアの推移 を、また表2(b)と(C)はそれぞれ、各都道府 県および15地域区分による各地域の県内 (地域内)の総生産の変動係数の倍の推移 をみたものである(2)。昭和62 (1987)年度 の総生産に於ける大都市圏の対全回シェア は52.1%、関東臨海のシェアは31.0%、東 京のシェアは17.9%であった。また同年度 の都道府県間の県内総生産の変動係数は 1.35、また15地域間の地域内総生産の変動 係数の値は1.13で、総人口の場合とは逆に、

幾分県内総生産のバラツキの方が大きく なっている。これらの集中度や変動係数の 値はいずれも総人口の変動係数の値を上 回っており、総生産の大都市圏や首都圏・

東京への集中は人口の集中よりも大きく、

またその地域的なバラツキの程度も総人口 のそれよりも大きいことが示される。

総生産における大都市圏ならびに関東臨海の対全国シェアは昭和50年度から62年度まで一貫し て上昇を続け、また東京のシェアも50年度から55年度までは下落したものの55年度以降は上昇し 続けてきた0‑方、大都市圏に属する8都府県のうち関東臨海以外の4府県の総生産の対全国シェ

アをみると、昭和50年度から55年度にかけては上昇したが、 55年度以降は低下し続けており、 55 年度以降の生産の大都市圏集中はその実、首都圏‑の一極集中だったことがわかる。また昭和50 年度以降の都道府県間の県内総生産の変動係数の推移をみると、人口についてみたのと同様に、

昭和50年度から55年度にかけては地域格差が解消される傾向にあったが、 55年度以降は地域格差

(5)

78

が拡大を続けてきたことがわかる。

水 田 健 ‑‑‑

表3 総生産(第3次産業)の対全国シェアとその変動係数 (a)第3次産業県内総生産(対全国シェア)

地域名 大都市圏 地方圏 関東臨海 近故A 東京 大阪 mn

1975   1980   1985   1987 51.95   51.22   52.43   53.62 48.05   48.78   47.57   46.38 29.77   29.17   31.23   32.95 16.47  16.45  15.55  15.16 I9.t   17.97  19.54   21.10 10.11  10.08   9.39   9.13 5.71   5.59   5.65   5.51

(b)第3次産業県内総生産変動係数(都道府県間) 年度     1975  1980  1985  1987 標準偏差  2,873  4,489  ,297  7,468 平均値   1 ,947  3,268  4,353  4,883 変動係数  1.476  1.374  1.446  1.529 (C)第3次産業県内総生産変動係数(15地域間)

年度     1975  1980  1985  1987 標準偏差  6,693 11,006 15,457 18,172 平均値   6,101 10,239 13,641 15,300 変動係数  1.097  1.075  1.133  1.188

(3)第3次産業総生産

表3(a)は大都市圏、地方圏、関東臨海、

近畿A、および東京、大阪、愛知の各都府 県の第3次産業総生産の対全国シェアの推 移を、また表3(b)と(C)はそれぞれ各都道府 県および15地域区分による各地域の第3次 産業県内(地域内)総生産の変動係数の値 の推移をみたものである。昭和62年度の第 3次産業総生産に占める大都市圏のシェア は53.6%、関東臨海のシェアは33.0%、東 京のシェアは21.1%で、これらはいずれも 表2でみた全産業の総生産に占めるシェア

に比較して大きく、第3次産業の生産活動 の大都市集中を物語っている。このうち特 に、東京のシェアは全産業の県内総生産に ついての17.9%と比較してかなり高く、第 3次産業の生産活動の東京への集中度が高 いことがわかる。また昭和62年度の都道府 県間の第3次産業県内総生産の変動係数は 1.53、 15地域間の第3次産業地域内総生産 の変動係数の値は1.19であった。これらの値はいずれも全産業についての値を上回っており、第 3次産業の生産は全産業の生産と比較して地域的なバラツキの程度がより大きいことがわかる。

昭和50年度以降の第3次産業総生産の対全国シェアの推移をみると、全産業総生産の大都市圏 と関東臨海のシェアが昭和50年度から62年度まで一貫して上昇しているのと異なり、第3次産業 総生産の大都市圏、関東臨海、東京のシェアはすべて、昭和50年度から55年度にかけて下落し、

その後は上昇を続けている。近畿Aと、大阪の対全国シェアは総人口、全産業総生産の場合と 同じく、昭和50年度以来低下を続けている。さらに大都市圏に属する8都府県の内で関東臨海を 除く4府県を合わせた地域のシェアも同様に昭和50年度以降低下しており、昭和50年度以降、第 3次産業の首都圏への一極的な集中傾向が確かめられる。また昭和50年度以降の都道府県間の第 3次産業県内総生産の変動係数の推移をみると、人口や全産業総生産についてみたのと同様に、

昭和50年度から55年度にかけてその値が低下しており、昭和50年代前半には地域格差が解消され る傾向にあったが、 55年度以降は増大を続け、地域格差が拡大しつづけてきたことがわかる。

以上でみたように、総人口と、全産業および第3次産業総生産の大都市圏・関東臨海・東京‑

の集中度や変動係数の値を比較すれば、そのいずれで測っても値の大きい順に第3次産業総生産、

全産業総生産、総人口という順位となっている。人口の集中した地域は一般に資本蓄積が進み労 働生産性の高い地域であり、総生産の地域格差は人口の格差に比較してより大きなものとなる。

また、一般に人口規模が大きく生産性が高い大都市地域ほど、地域の産業構造における第3次産

業の比率が高く、第3次産業総生産の大都市地域‑の集中は、全産業でみた場合よりも大きい。

(6)

表4 人口1人当たり総生産(全産業・第3次産業) (a)県内総生産(人口1人当たり) (単位1000円)

地域名    1975   1980 全国   1,362.0  2,126.0 大都市圏 1,593.5  2,478.2 地方圏  1,187.3 1,857.5 関東臨海 1,631.1 2,499.8 近畿   1,520.6  2,386.7 東京    2,266.8  3,542.1 大阪   1,723.7  2,662.1 愛知   1,614.1 2,614.4

1985    1987 2,656.0  2,906.7 3,118.9  3,437.0 2,295.9  2,489.5 3,187.4  3,568.2 2,885.7  3,107.7 4,700.7  5,420.9 3,210.1 3,453.2 3,391.2  3,647.2

(b)第3次産業県内給生産(人口1人当たり) (単位1000円) 地域名    1975   1980

全国     816.0 1,312.5 大都市圏   985.5 1,553.9 地方圏    688.1 1,128.5 関東臨海 1,016.6 1,572.4 近畿     971.8 1,586.4 東京   1,593.5  2,429.0 人阪   1,140.1 1,865.0 愛知      ).6 1,385.5

1985    1987 1,694.9 1,883.1 2,030.8  2,293.4 1,433.6 1,560.4 2,123.0  2,458.5 1,949.4  2,121.3 3,432.9  4,146.3 2,262.3  .447.6 1,804.6 1,946.2

表5 人口1人当たり総生産(全産業・第3次産業)の 変動係数

(a)県内総生産(人口1人当たり)変動係数 年度    1975  1980

標準偏差   202   310 平均値   1,222  1,905 変動係数  0.165  0.163

1985   1987 399    445 2,355   2,559 0.169   0.174

(b)第3次産業県内総生産(人口1人当たり)変動係数 年度    1975  1980

標準偏差   130   191 平均値    730  , 188 変動係数  0.178  0.161

1985   1987 248    290 1,514  1,659 0.164   0.175

また各都道府県間、各地域間の第3次 産業化の進展の程度には差異があり、

第3次産業総生産の地域格差は全産業 の総生産の地域格差に比較してより大

きくなっている。

2一 人口1人当たり生産額の地域格差 人口1人当たり生産額でみた場合の 実態経済における地域格差はどの程度 の大きさなのであろうか。表4は昭和 50年度以降の全国、大都市圏・地方圏 別、関東臨海・近畿A地域、および 東京・大阪・愛知の全産業および第3 次産業の人口1人当たり生産額を示し たものである。昭和62年度の全産業の 人口1人当たり生産額の全国平均値に 対して、大都市圏の値はその1.18倍、

関東臨海では1.23倍、また東京では 1.86倍であった。一方、同じく昭和62 年度の第3次産業の人口1人当たり生 産額の全国平均値に対して、大都市圏 では1.22倍、関東臨海では1.31倍、東 京では2.20倍であった。全国平均に対 する大都市圏、関東臨海、あるいは東 京のいずれの比率でみても、人口1人 当たりの第3次産業生産額の地域格差 は、全産業生産額の地域格差よりも大 きいといえる。

次に人口1人当たり生産額に対する 地域格差を、地域間の変動係数と最大 最小比についてみてみよう。表5は昭 和50年度以降の全国15地域の全産業と 第3次産業の人口1人当たり生産額の 変動係数と最大最小比をとったもので ある。昭和62年度の1人当たり生産額 の変動係数の値は、全産業の場合 0.174、第3次産業で0.175で、第3次産業の生産額の変動係数が僅かに高い。また過去のそれぞ れの変動係数の値を比較すると昭和50年度には第3次産業の方が高く、 55年度と60年度には全産 業の方が高くなっている。

このように全産業と第3次産業の1人当たり生産額の地域格差を比較すると、大都市圏や関東

(7)

80 水 田 健 一

臨海、東京の値の全国平均の値に対する比率でみるといずれも第3次産業の値の方が高いが、変 動係数でみた場合には両産業の格差の程度はほとんど変わらない。したがって人口1人当たりで みた第3次産業の生産が全産業の生産以上に首都圏や東京に集中している一方で、全国的には人

口当たりの生産額の地域的なバラツキは、全産業と第3次産業でそれほど違わないといえる。

Ⅱ.金融横関活動の地域格差の推移と現況 1.金融機関活動の地域格差と地域別シェアの推移

前節でみた実態経済における地域格差の現状と対比して、金融機関の店舗数や預金残高、貸出 残高などでみた金融機関活動の地域格差が現在どの程度のものであり、またそれは昭和50年代以 降どのような推移で展開されてきたのだろうか。県民経済計算の金融保険業県内総生産、仝金融 機関(3)の店舗数、預貯金残 表6 店舗数(全金融機関)の対全国シェアとその変動係数

(a)店舗数(仝金融機関) (対全国シェア)

地域名   1975   1980   1985   1987   1988 大都市圏  30.72

地方圏    69.28 関東臨海  15.52 近畿    11.33 東京    i.OO 大阪     5.56 愛知     3.6 (b)店舗数(全金融機関)

年度     1975 標準偏差   622 平均値    963 変動係数  0.646

31.76   30.76   31.01   31.21 3.24   69.24   68.99    3.79 16.19   15.67   15.85   16.01 11.59   10.90   10.99   11.00 S.18    7.01    7.32    7.44 5.C     5.10    5.09    5.10 3.99    4.19    4.17    4.19

変動係数(都道府県間)

1980    1985    1987    1988 686     791    823     840 1,039  1,370  1,398  1,412 0.660   0.577   0.589   0.595

(C)店舗数(仝金融機関)変動係数(15地域間) 年度    1975

標準偏差  1 ,646 平均値   3,016 変動係数  0.546

1980    1985    1987    1988 1 ,851  2,395   ,475   ,522 3,257   4,293   4,379   4,423 0.568    0.558    0.565    0.570

高および貸出残高にかんす る地域間の変動係数を検討 し、またそれらの地域別 シェアの推移を検討するこ とを通じてこれを考察しよ う。

(1)店舗数

表6(a)は昭和50年度以降 の大都市圏対地方圏別、お よび各地域別の仝金融機関 の店舗数の対全国シェアの 推移を、また表6(bと(C)は それぞれ各都道府県および 各地域間の全金融機関店舗 数の変動係数をとったもの である。昭和63年度の全国 の仝金融機関店舗数に占め るシェアは、大都市圏が 31.2%、関東臨海が16.0%、

東京が7.4%で、いずれも 各地域の人口のシェアより も低い借である。これは仝金融機関の店舗数が地域の人口規模に関して逓減的な関係にあること を意味しているe昭和50年度以降の金融機関店舗数の対全国シェアの推移をみると、大都市圏、

関東臨海、近故A、東京、および関東臨海を除く大都市圏のいずれについても昭和50年度から55

年度でシェアが増大し、その後55年度から60年度にかけて一旦シェアが下落した後に、 60年度以

降再びシェアが増大するという推移を辿ってきたことがわかる。昭和63年度の各都道府県の店舗

数の変動係数は0.60、 15地域区分の各地域の店舗数の変動係数は0.57であった。店舗数の変動係

(8)

表7 金融保険業総生産の対全国シェアとその変動係数 数はここでとりあげた実態経済についての (a)金融・保険業県内総生産(対全国シェア)    3つの指標のうちで最も値の小さい総人口

地域名   1975 大都市圏  61.21 地方圏   38.76 関東臨海  36.28 近地    19.44 東京     28.37 大阪    13.34 愛知     5.49

1980  1985  1987  の変動係数よりも値が低く、金融機関の店 59.36  61.40  66.44  舗数は人口に比較して地域間のバラツキが 40.64  38.58  33.57  かなり′トさいことがわかる。

34.42   39.49   47.00

19.53 16.53 14.4  (2)金融保険業総生産

25・70  30.21 38.68  表7(a)は昭和50年度から62年度までの大 13.63 10.87  9.46 都市圏対地方圏別、および各地域別の金融 5・40  5.38  4.95 保険業総生産の対全国シェアの推移を、ま (b)金融・保険業県内総生産変動係数(都道府県間)

年度    1975  1980  1985  1987 標準偏差   350   503   772  1 , 101 平均値    170   265   366   418 変動係数  2.054  1.900  2.110  2.633 (C)金融・保険業県内総生産変動係数(15地域間)

年度    1975  1980  1985  1987 標準偏差   733  1 ,085  1 ,654  2,229 平均値    534   829  1 , 146  ,310 変動係数  1.372  1.308  1.444  1.701

た表7(b)と(C)はそれぞれ各都道府県間およ び15地域間の金融保険業総生産の変動係数 をとったものである。昭和62年度の全国の 金融保険業生産におけるシェアは、大都市 圏が約66.4%、関東臨海が47%、東京が 38.7%であった。金融保険業で生み出され る総付加価値の65%以上が大都市圏で、ま た50%近くが首都圏(関東臨海)で、さら に40%近くが東京で生み出されていること になる。経済の実態面を表す指標のうちで 最も高い集中度を示した第3次産業総生産 でも大都市圏、関東臨海、東京のシェアが それぞれ53.6%、 33.0%、 21.1%であったのと比較して、金融保険業の生産活動が大都市圏、特 に首都圏・東京に著しく集中していることがわかる。

昭和50年度以降の金融保険業総生産の対全国シェアの推移をみると、大都市圏、関東臨海、東 京のいずれも昭和50年度から55年度にかけてシェアの下落がみられたが、 55年度以降一貫して シェアが増大している。これに対して大阪と愛知のシェアは50年度以降下落し続けている。大都 市圏の内で関東臨海を除いた近畿Aの府県と愛知を合わせた地域のシェアは昭和55 (1980)午 度の24.93%から昭和60年度21.91?̀、昭和62年度19.44%と下落を続けており、この間の大都市 圏のシェアの増大は専ら関東臨海のシェアの増大によるものであったことがわかる。

昭和62年度の各都道府県間の金融機関店舗数の変動係数は2.63、 15地域間の変動係数は1.70で あった。 Ⅱでみた経済の実態面における地域格差を表す指標では、変動係数の値が最も大きい第 3次産業総生産でも、都道府県間の値の変動係数は1.53、各地域間の値の変動係数は1.19であっ たのと比較していずれも極めて高い値となっており、金融保険業総生産の地域間の格差がかなり 大きいことがわかる。

(3)預貯金残高

表8(a)は大都市圏対地方圏別、および各地域別の全金融機関の預貯金残高の対全国シェアの推

移を、また表8(b)と(C)はそれぞれ都道府県間および15地域区分の地域間の仝金融機関の預貯金残

高の変動係数をとったものである。昭和63年度の全国の預貯金残高に占めるシェアは、大都市圏

(9)

82 水 田 健 一

表8 預貯金残高(仝金融機関)の対全国シェアとその変動係数 (a)預貯金残高(全金融機関) (対全国シェア)

地域名   1975  1980  1985  1987  1988 大都市圏  58.56  56.39  57.30  60.5   62.12 地方圏   41.44  43.61  42.70  39.14  37.90 関東臨海  34.41

近鼓    18.40 東京    24.73 大阪    11.68 愛知     5.75

33 i    35.26   39.03   40.41 16.97  16.40  16.53  16.54 23.47   24.85   28.94   30.50 10.30   9.87  10.30  10.46 5.57   5.64   5.30   5.16

(b)預貯金残高(全金融機関)変動係数(都道府県間) 年度     1975

標準偏差  6,799 平均値   3,783 変動係数  1.797

1980   1985   1987   1988 ll,510 18,552  26,569  31,460 6,837 10,554 13,153 14,834 1.684  1.758   2.020   2.121

(C)預貯金残高(全金融機関)変動係数(15地域間)

年度    1975  1980  1985  1987  1988 標準偏差 15,348  26,786  42,809  58,924  5,767 平均値  11,854  21,421 33,069  41,212  46,478 変動係数  1.295  1.250  1.295  1.430  1.480 表9 貸出残高(仝金融機関)の対全国シェアとその変動係数 (a)貸出残高(全金融機関) (対全国シェア)

地域名   1975  1980 大都市圏  66.45  64.56 地方圏   33.55  35.44 関東臨海  41.45  41.55 近畿    19.61 18.15 東京    34.87  34.62 大阪    14.14  12.72 愛知     5.38  i.i (b)貸出残高(全金融機関)変動係数

年度    1975  1980 標準偏差  6,993 10,715 平均値   2,823  4,419 変動係数  2.477  2.425

1985   1987   1988 68.28   71.01  71.41 31.72   28.99   28.59 46.05    3.78   49.12 17.59  17.65  17.77 39.28   41.54   41.39 12.45  12.52  12.50 4.63   4.58   4.52

(都道府県間)

1985   1987   1988 19,377  25,179  27,756 7,120   3,765  9,691 2.721  2.873   2.864

(C)貸出残高(全金融機関)変動係数(15地域間) 年度     1975  1980

標準偏差 13,778  21 ,256 平均値   8,844 13,847 変動係数  1.558  1.535

1985   1987   1988 37,833  49,438  55,093 22,311 27,463  30,364 1.696  1.800  1.814

が62.1%、関東臨海が40.4%、

東京が30.5%で、これらはいず

れもⅡでみた第3次産業総生産

の対全国シェアよりも高く、金

融保険業総生産の対全国シェア

よりも低い値である。この3つ

の地域のシェアはいずれも、金

融保険業総生産に関する各地域

のシェアの変動と同じく、昭和

50年度から55年度にかけて低下

した後に、 55年度以降上昇を続

けている。特に昭和60年度以降

のシェアの上昇が著しい。しか

し大都市圏の内で関東臨海を除

いた近畿Aに属する府県と愛

知を合わせた地域の預貯金残高

の対全国シェアをみると、昭和

50年度から63年度まで下落を続

けており、金融保険業総生産の

場合と同様に、昭和55年度以降

の大都市圏のシェアの増大は専

ら首都圏のシェアの増大によっ

て引き起こされたものであるこ

とがわかる。このように預貯金

残高については昭和55年度以降

首都圏集中が続いており、これ

が他の地域の対全国シェアを引

き下げる結果となった。特にこ

の傾向は昭和60年度以降強く

なった。昭和63年度の都道府県

間の預貯金残高の変動係数は

2.12、 15地域間の値の変動係数

は1.48であった。これらはいず

れも第3次産業総生産について

の値と金融保険業総生産につい

ての値との中間の値となってお

り、預貯金残高に関する地域格

差の程度は第3次産業総生産の

地域格差と金融保険業総生産の

地域格差の中間の大きさである

(10)

ことがわかる。

(4)貸出残高

表9(a)は大都市圏対地方圏別、および各地域別の仝金融機関の貸出残高の対全国シェアの推移 を、また表9(b)と(C)はそれぞれ各都道府県間および15地域区分の各地域間の全金融機関の貸出残 高の変動係数をとったものである(4)。昭和63年度の全国の貸出残高におけるシェアは、大都市圏 が71.4%、関東臨海が49.1%、近畿Aが17.8%、東京が41.4%で、これらはいずれもそれぞれ の地域の預貯金残高や金融保険業総生産の対全国シェアよりも高い値となっており、金融機関の 貸出残高が預貯金残高など他の金融機関活動の指標に比較して大都市圏、特に首都圏、東京への 集中の度合が強いことがわかる。一方、昭和63年度の各都道府県間の貸出残高の変動係数は2.86、

各地域間の値の変動係数は1.81であった。これらの変動係数の値はいずれも、金融保険業総生産 など金融機関活動に関する他の指標についての変動係数の値よりも高く、金融機関の貸出残高の 地域間の格差がきわめて大きいものであることがわかる。

それぞれ地域のシェアの変化をみると、大都市圏全体と東京のシェアは金融保険業総生産や預 貯金残高の場合と同様に昭和50年度から55年度にかけて幾分下落した後に55年度から63年度にか けて上昇しているが、関東臨海のシェアは昭和50年度以降一貫して上昇している。関東臨海およ び東京の昭和60年度の貸出残高の55年度の値に対する増加率はそれぞれ年当たり平均15.7%と 16.6%で、前の五年間の年当たり増加率がそれぞれ11.4%、 ll.1!であったのと比較して大きく 上昇しており、 60年度から62年度までの期間においてもこの高い増加が続いている。このことか らもわかるように、貸出残高の首都圏・東京への集中は昭和55年度から62年度までの間に大きく 進展した。

(5)金融機関活動の規模に関する地域格差の比較

以上でみたように金融保険業総生産、預貯金残高および貸出残高の大都市圏、関東臨海および 東京の対全国シェアは貸出残高に占める関東臨海のシェアが昭和50年度の41.45%から55年度の 41.55%lこ上昇したのを除けば、いずれも昭和50年度から55年度にかけて、一旦下落した後に昭 和55年度以降再び上昇に転じている。一方、大都市圏の内で関東臨海を除く4府県を合わせた地 域の対全国シェアをみると、金融保険業総生産では昭和50年度から55年度にかけて同一水準 (24.93%:で推移したが昭和55年度以降62年度にかけてシェアの低下が続いており、また預貯金 残高と貸出残高については昭和50年度以降シュアが低下し続けている。したがって上の3つの指 標でみた昭和55年度以降の金融機関活動の大都市圏への集中現象は、実は首都圏への一極的な集

中化であり、近畿圏や名古屋圏の比重の増大を伴うものではないことがわかる。

金融機関店舗数、金融保険業総生産、預貯金残高、貸出残高の地域格差の程度を大都市圏・関 東臨海・東京への集中度、ならびにそれらの変動係数で測るならば、そのいずれでみても、最も 地域格差の程度の高いのは貸出残高で、次いで金融保険業総生産、預貯金残高、金融機関店舗数 という順位となる。このうち金融機関店舗数は実態経済を表す3つの指標のなかで最も地域格差 の程度の低い総人口よりも更に格差の程度が低く、また預貯金残高の地域格差は、実態経済を表 す3つの指標の内で最も格差の程度の高い第3次産業総生産よりも高い格差を有している。

地域における金融機関の店舗数は地域の生産規模ばかりでなく、人口や地域面積等の要因にも

依存してきまるため、店舗数は地域の人口規模に対して比例的以下の関係にあり、農業協同組合

(11)

84 水 田 健 一

などを中心に比較的過疎の地域においても店舗網が維持されている。これに対して預貯金残高は 個人や企業の所得に依存して決まるが、特に1件当たりの金額が大きい企業貯蓄は、企業の本社

の意思決定の基に本社や主要支社の所在地において行われ、企業の本社機能の大都市圏、特に首 都圏(東京)集中の結果、預貯金残高は人口や所得(総生産)の集中以上にそれらの地域に集中

して行われることとなる。金融機関からの貸出は個人向けに比較して企業向けの比重が圧倒的に 大きく、また企業が行う金融機関からの借入れも企業貯蓄以上に、その企業の本社所在地におい

て行われる比率が高く、こうした理由で、貸出残高の大都市圏や首都圏(東京) ‑の集中は、こ こで取り上げた金融機関活動に関する他の指標に比べて著しいものとなっている。また金融業お よび保険業の活動をそれが生み出す付加価値(要素費用)の側面から捉えた金融保険業総生産の 集中度や地域格差指数は、貸出残高と預貯金残高の集中度や地域格差指数の中間に位置するもの

となっている。

2.対人口比でみた金融機関活動の地域格差

次に対人口当たりの金融機関活動の地域格差がどのように推移し、またその現況はどうなって いるのかを確かめよう。先ず全国、大都市圏・地方圏別、および各地域別の全金融機関の人口10 万人当たり店舗数、県民経済計算による金融保険業総生産、全金融機関の預貯金残高、および貸 出残高の推移をみよう。

昭和63年度の人口10万人当たりの全金融機関の店舗数は全回の値が54.2、大都市圏の値が38.4、

地方圏の値が66.8で、大都市圏よりも地方圏の方が高くなっている。地域別では人口10万人当た りの店舗数が最も多いのは山陰の109.9、次いで北陸の89.2、四国の76.7の順で、逆に少ないの は関東臨海の34.2、近畿Aの44.5、沖縄の45.8の順であった。人口当たりの店舗数の増加率に おいても地方圏の方が大都市圏よりも高く、人口当たりでは、店舗数に関する大都市圏対地方圏 の「逆格差」は拡大しつつあるといえる。

昭和62年度の人口当たり金融保険業総生産は大都市圏では全国平均(161.2)の1.5倍、また関 東臨海では全国平均の1.86倍であった。さらに東京は全国平均の約4倍で、人口当たりでみても 金融保険業の生産活動が東京に強く集中化していることがわかる。東京および関東臨海の金融保 険業の人口1人当たり生産額は昭和55年度以降上昇率が高まり、昭和62年度の関東臨海の値は昭 和50年度の2.77倍、また東京の値は3.26倍に拡大した。一方この間の大都市圏の値は2.39倍、地 方圏の値は1.99倍、全国の値は2.26倍で、他の地域に比較した東京および関東臨海の上昇率が高 いことがわかる。さらにこの間の近畿A、大阪および愛知の人口1人当たりの金融保険業総生産 の増加率はそれぞれ1.73倍、 1.65倍、 2.02倍で、いずれも全国平均を下回っている。

昭和63年度の人口1人当たりの全金融機関の預貯金残高は大都市圏では全国平均(5699.7)の

1.4倍、関東臨海では全国平均の1.6倍、また東京の値は全国平均の3.2倍で、東京の値が他の地

域の値に比較して著しく高くなっている。これらの地域の人口1人当たりの預貯金残高の全国平

均の値に対する倍率をそれぞれの地域の人口1人当たりの金融保険業総生産についての倍率と比

較するといずれも低い値であり、絶対額でみた場合と同様に人口1人当たりの値についても、預

貯金残高の大都市圏、首都圏および東京への集中は金融保険業総生産の集中の程度よりは幾分低

いことがわかる。昭和63年度の人口1人当たりの預貯金残高を昭和50年度の値と比較すると、全

国では約3.6倍(昭和62年度まででは約3.2倍)、大都市圏では約3.7倍(同3.25倍)、地方圏では

3.35倍(同3.1倍)、関東臨海では約4倍(同3.4倍)、東京では約4.7倍(同4倍)になったが、

(12)

表10 人口当たりの金融機関活動の変動係数 (a)店舗数(全金融機関) (人口10万人当たり)変動係数

年度    1975  1980  1985  1987  1988 標準偏差  12.12  12.20  17.97  18.16  18.ll 平均値   47.71  49.07  64.04  64.77  65.ll 変動係数  0.254  0.249  0.281  0.280  0.278

(b)金融保険業県内総生産(人口1人当たり)変動係数 年度    1975  1980  1985  1987 標準偏差    21   29    40    56 平均値     56    85   111  114 変動係数  0.385  0.338  0.362  0.4

(C)預貯金残高(人口1人当たり)変動係数

年度    1975  1980  1985  1987  1988 標準偏差  433.1  653.9 1,001.7 1,419.5 1,681.1 平均値  1,276.2 2,287.8 3,394.8 3,972.7 4,378.0 変動係数  0.339  0.286  0.295  0.357  0.384

(d)貸出残高(全金融機関) (人口1人当たり)変動係数

年度    1975  1980  1985  1987  1988 標準偏差  429.3  581.1 1,023.4 1,363.8 1,520.5 平均値   853.8 1,322.8 1,942.5 2,250.6 2,455.8 変動係数  0.503  0.439  0.527  0.606  0.619

いずれもこの間の人口1人当た りの金融保険業総生産よりも高 い増加率となっている。大都市 圏の中でも東京の債が顕著な増 加を示している。

昭和63年度の人口1人当たり の貸出残高は大都市圏では全国 平均の1.6倍、関東臨海では全 国平均の1.94倍、また東京では 全国平均の4.34倍で、関東臨海 や東京の人口1人当たりの貸出 残高の値が他の地域に比較して 著しく高いことがわかる。この 3つの値はいずれも、人口1人 当たりの預貯金残高や金融保険 業総生産の場合でみた比率より

も高く、絶対額と同様人口1人 当たりの値についても、貸出残 高の大都市圏や首都圏、東京へ の集中度は他の金融機関活動の 集中度よりも高いことがわか る。昭和63年度の人口1人当た りの貸出残高を昭和50年度の値 と比較すると、全国では3.15倍 (昭和62年度まででは2.1倍)、

大都市圏では約3.3倍(同3.0 鰭)、地方圏では2.74倍(同2.5 倍)、関東臨海では約3.5倍(同 3.2倍)、東京では約4.0倍(同3.6倍)になったが、いずれもこの間の人口1人当たりの金融保険 業総生産の増加率よりも高く、人口1人当たりの預貯金残高の増加率よりも低い借となっている。

預貯金残高の場合と同様に大都市圏の中でも東京の値が顕著な増加を示している。

以上のように、最近時の対人口比でみた金融機関活動の地域格差を、それぞれの全国平均値に 対する大都市圏、関東臨海あるいは東京の値のいずれの比率でみても、金融機関活動の実数でみ

たシェアの順位関係と同じく、最も高いのが貸出残高、次いで金融保険業総生産、預貯金残高、

店舗数の順位となり、また店舗数についての債は全産業および第3次産業の1人当たり生産額に ついての値よりもかなり低い値となっている。

次にそれぞれの金融機関活動の人口当たりの水準の変動係数の値を比較しよう。表10(aト(d)は 昭和50年度以降の全国15地域間の人口当たりの全金融機関店舗数、金融保険業総生産、預貯金残 高、および貸出残高の変動係数をみたものである。表10から最近時の変動係数の値を比較すると、

最も大きいのが貸出残高で、次いで金融保険業総生産、預貯金残高、店舗数の順で、その大きさ

(13)

86

表11預貸率(仝金融機関) 地域名   1975

全国     1.34 大都市圏  1.18 関東臨海  1.ll 近畿     1.26 東京     0.95 大阪     1.ll 愛知     1.43 地方圏   1.66

1980   1985 1.55   1.48 1.35   1.24 1.26   1.13 1.45   1.38 1.05   0.94

1.25   1.18 1.77

1.90   2.00

水 田 健 一

LO CO  ‑^   CC 00 LO  (N]  CN]  "^  O C^l  [>‑  0 9 1   1   1   1   1   1   1   1   2 o o   c o   c o   y

^     c o   c o   o O   L O 0 0   L O   C O   C O    

*

#       r

‑ H   C

^       t

>

‑     0

9

1       1       1       1       1       1       1       1       2

の順位は上でみた全国平均値に対 する比率の順位と同じであった。

店舗数(実数)の変動係数の値が 全産業および第3次産業総生産の 変動係数に比較してかなり低い値 であったのに対して、人口当たり でみた場合には、店舗数の変動係 数は全産業および第3次産業総生 産の変動係数の値と比較してかな り値が高く、人口当たりの金融機 関の店舗数は全産業および第3次 産業の生産額に比較して地域間で バラツキが大きいことがわかる。これは山陰や北陸など地方圏の地域において人口当たり店舗数 が高く、一方関東臨海や近幾Aといった大都市圏の地域においてそれが低いことによるもので ある。

4.預貸率の地域間比較と昭和50年度以降のその変化

表11は昭和50年度以降の全金融機関の全国、大都市圏・地方圏別、および各地域別の預貸率の 推移をみたものである。各地域の預貸率を比較すると、大都市圏に属する地域は一般に預貸率が 低く、昭和63年度には全国が1.53、地方圏が2.03であったのに対し、大都市圏全体では1.33、関 東臨海が1.26、近畿Aが1.43、そして東京が1.13、大阪が1.28であった。ただし愛知は大都市 圏に属しながら、預貸率は1.75と比較的高い値であった。昭和63年度に全国平均を下回る預貸辛 であった地域は関東臨海と近幾Aのみで、他の地域の預貸率はいずれも全国平均を上回る値で あった。預貸率が2.0を上回っていたのは北東北、関東内陸、北陸、近畿B、山陰、山陽、四国、

南九州の8地域で、一方沖縄は預貸率が1.54で、地方圏に属する地域としては最も低い値であっ た。大都市圏に属する地域では地方圏に比較して預貸率が低く、特に東京で最も低い値となって いるが、これは企業の本社機能が東京を中心とした大都市圏に集中しているため、企業による資 金の貸出需要が預金残高に比較して高くなるためと解釈される。

昭和50年度以降の預貸率の変化をみると、全般に預貸率の上昇傾向がみられ、特に昭和50年度 から55年度にかけて大きな上昇がみられた。昭和55年度から60年度にかけて預貸率(全国)の下 落が起こったが、 60年度以降再び上昇に転じた。こうした預貸率の上昇の背景には、昭和50年度 に始まる国債の大量発行とそれによる国債残高の累増によって、わが国の本格的な債権・資本市 場の整備が促進され、さらに昭和50年代以降、内外金融取引に関する規制が逐次緩和されたこと 等により、企業の資金調達が高度成長期の間接金融(銀行借入れ等)を中心とするものから、 50 年代に入って次第に直接金融(社債発行や増資等)の比重が増大し、銀行借入れの比重が低下し たことが挙げられる。

Ⅳ.業態別金融機関活動の地域格差の現況

前節では全金融機関の地域展開を一括して考察したが、金融機関を業態別に捉えたとき、それ

(14)

表12 店舗数(金融機関種別)の変動係数

店 舗 数 (金 融機 関種 別 ) 変 動 係 数

(全 国 銀 行 ) (そ の他 の民 間金 融 機 関 ‥農 協 を含 まず )

年 度 1975 1980 1985 1987 1988 197 5 1980 1985 1987 1988

標 準 偏 差 176 .50 192 .80 218 .62 234 .65 242 .18 206 .84 245 .99 283 .71 302 .60 31 1.25 平 均 値 164 .74 186 .60 221 .32 230 .45 235 .04 227 .43 268 .26 316 .96 3 29 .83 336 .79 変 動 係 数 1.07 1 1.033 0 .S 1 .018 1 .030 0 .909 0 ̀917 0 .895 0 .9 17 0 .924

店舗 数 (金融 機 関種 別 ) 変 動 係 数

(その 他 の 民 間 金 融 機 関 = 農 協 を含 む ) (郵 便 局 )

年 度 1975 1980 198 5 1987 1988 1975 1980 1985 1987 1988

標 準 偏 差 225 .15 263 .75 34 5 .12 362 .54 371 .14 260 .20 26 9 .8 2 277 .13 279 .49 281 .60 平 均 値 328 .36 363 .64 64 6 .7 7 66 1 .00 668 .32 469 .51 48 9 .11 502 .17 506 .23 50 6 .21 変動 係 数 0 .686 0 .725 0 .534 0 .548 0 .555 0 .554 0 .552 0 .552 0 .552 0 .554

地域名 Ull ifi l到

地方圏 関東臨海 近畿A

4i v:

大阪

・rtii

表13 店舗数(金融機関種別)の対全国シェア 店舗数(金融機関種別) (対全国シェア)

(全国銀行)       (その他の民間金融機関:農協を含まず)

1975  1980  1985  1987  1988  1975  1980  1985  1987  1988 43.38  42.94  41.67  42.04 42.10  37.00  37.81 39.79  39.76  39.99 56.62  57.06  58.33  57.96  57.90  63.00  62.19  60.21 60.24  60.01 25.97  25.97  25.58  26.37  26.56 17.43 17.97 19.16 18.85 19.04 13.33 13.10 12.44 12.21 12.13 14.72 14.73 14.71 15.04 15.01 14.76 14.20 13.52 14.16 14.42 10.96 11.10 10.45 11.04 11.18 1.24  8.06  7.45  7.28  7.22  7.81  7.58  7.53  7.39  7.36 3.87  3.64  3.46  3.41  4.J   5.11  5.91  5.87  5.94

(その他の民間金融機関:農協を含む) (郵便貯金)

地域名   1975 1980 1985 1987 1988 1975 1980 1985 1987 1988 人都市圏  31.06 32.68 29.51 29.72 29.99 26.05 26.82 27.57 27.6  27.77 地方圏    3.94 67.32 70.49 70.28 70.01 73.95 73.18 72.43 72.32 72.23 関東臨海  14.49 15.41 13.87 13.85 14.03 12.56 13.03 13.62 13.{ 13.74 近畿    12.43 12.82 10.90 11.10 11.13  9.85 10.10 10.24 10.29 10.31 東京    !.05  8.60  5.i  6.22  6.35  5.59  5.57  5.65  5.64  5.66 大阪     6.33  6.36  4.87  4.83  4.85  4.C   4.27  4.37  4.42  4.45 愛知     4.13  4.45  4.75  4.77  4.83  3.63  3.69  3.71 3.71 3.73

ぞれの業態別の金融機関活動規模の地域格差の程度や大都市圏や首都圏・東京への集中の程度は どのような状態にあるのだろうか。本節では、金融機関を全国銀行(都市銀行・長期信用銀行・

信託銀行・地方銀行)、その他の民間金融機関A (相互銀行・第二地銀加盟銀行・信用金庫・信

用組合・労働金庫)、その他の民間金融機関B (その他の民間金融機関A十農業協同組合)、郵

便局の4種の業態に大別した上で、業態別の金融機関活動の地域格差やその集中度の最近の推移

(15)

8* 水 田 健 一

と現況を考察する。

(1)店舗数

先ず、業態別の金融機関店舗数の地域格差の程度とその大都市圏および首都圏・東京への集中 の度合をみよう。表12は昭和50 (1975)年度から昭和63 (1988)年度までの全国47都道府県の金 融機関の業態別店舗数の変動係数の推移を示したものである。昭和63年度の変動係数の値は、全 国銀行が1.03、その他の民間金融機関Aが0.92、その他の民間金融機関Bが0.56、郵便局が 0.55で、変動係数でみて地域間のバラツキが大きい全国銀行とその他民間Aと、地域間のバラ

ツキが小さいその他民間Bと郵便局に大別される。

昭和50年度から63年度の間にその他民間Aの店舗数の変動係数は0.91から0.92に上昇した。

一方、全国銀行の変動係数は1.07から1.03に、またその他民間Bの変動係数は0.69から0.56に 低下した。郵便局の変動係数は昭和50年度と63年度の値は共に0.55で変わらなかった。したがっ てこの間、全国銀行とその他民間Bの店舗数の地域間の分布が平準化した一方で、その他民間 Aでは地域間の分布のバラツキがいくぶん上昇した。

表13は昭和50年度から昭和63年度までの金融機関の業態別店舗数の大都市圏・地方圏別、およ び各地域別シェアの推移を示したものである。昭和63年度において、全国銀行の店舗の42%が大 都市圏に、 26.6%が関東臨海に、また14.4%が東京におかれている。その他の民間金融機関A では、大都市圏のシェアは40%に、関東臨海のシェアは19%に、また東京のシェアは11.2%に下 がるが、大都市圏のシェアが全国銀行に比較して大きく違わないのが注目される。農協を含むそ の他の民間金融機関Bでは、大都市圏のシェアは約30%、関東臨海のシェアは14%、東京のシェ アは6.4%、また郵便局では大都市圏のシェアは27.8%、関東臨海のシェアは13.7%、東京のシェ アは5.7%で、幾分郵便局の集中度が低いものの両者は類似した集中度を示している。

全国銀行とその他民間Bでは昭和50年度から63年度までの期間に、大都市圏、関東臨海、東 京のいずれのシェアも低下しているのに対して、その他民間Aと郵便局ではこれらのシェアが いずれも増大した。変動係数でみた結果と併せて、その他民間Aでは店舗数に関する地域格差

表14 預貯金残高(金融機関種別)の変動係数

預 貯 金 残 高 (金 融 機 関 種 別 ) 変動 係 数

(全 国 銀 行 ) (そ の他 の民 間金 融 機 関 : 農 協 を含 まず )

年 度 19 75 1 980 198 5 198 7 1988 19 75 198 0 1 98 5 19 87

標 準 偏 差 4 ,9 78 .14 8 ,1 14 .4 1 13 ,46 2 .0 1 20 ,6 00 .9 4 24 ,8 39 .10 1 ,28 7 .0 9 2 ,107 .2 3 3 ,10 8 .19 3 ,89 9 .42 4 ,4 63 .9 5 平 均 値 2 ,0 42 .15 3 ,38 6 .9 1 5 ,26 3 .0 0 7 ,0 4 5 .8 1 8 ,174 .34 900 .79 1 ,5 58 .3 6 2 ー 2 75 .28 2 ,69 2 .60 2 ,9 94 .13 変 動 係 数 2 .4 3 8 2 .3 96 2 .5 58 2 .92 4 3 .0 39 1 .4 29 1 .35 2 1 .3 66 1 .4 48 1 .49 1

預 貯 金残 高 ( 金融 機 関 種 別 ) 変 動 係 数

(そ の他 の民 間金 融 機 関 ‥農 協 を含 む ) (郵 便 局 )

年 度 19 75 198 0 198 5 19 87 198 8 197 5 19 80 198 5 198 7 19 88

標 準 偏 差 1 ,4 19 .54 2 ,3 17 .9 1 3 ,4 12 .1 6 4 ,25 0 .78 4 ,84 7 .4 7 5 2 1 .6 2 1 ▼ 3 56 .08 2 ,18 4 .12 2 ▼ 4 38 .5 3 2 ー 5 97 .96

平 均 値 1 ,22 5 .02 2 ,13 1 .7 2 3 ,0 99 .4 5 3 ,6 11 .53 3 ,98 3 .3 2 5 22 .68 1 ,3 18 .17 2 ,19 1 .5 5 2 ,4 95 .4 3 2 ,67 5 .87

変 動 係 数 1 .1 59 1 .10 1 1 .177 1 .2 17 0 .998 1 .0 29 0 .99 7 0 .97 7 0 .9 71

(16)

表15 預貯金残高(金融機関種別)の対全国シェア 預貯金残高(金融機関種別) (対全国シェア)

(全国銀行)       (その他の民間金融機関:農協を含まず) 地域名   1975 1980 1985 1987 1988 1975 1980 1985 1987 1988 大都市圏   3.87 67.06  3.34 72.55 73.( 51.72 50.40 51.69 53.82 54.80 地方圏   31.13 32.94 31.66 27.45 26.32 48.28 49.60 48.31 46.17 45.20 関東臨海  43.85 44.34 46.73 51.71 53.16 25.93 25.73 26.22 27.31 28.00 近畿    19.77 18.00 16.」 16.82 16.65 19.19 18.09 18.45 19.28 19.59 東京    34.C  34.04 36.81 42.37 44.ll 18.48 17.68 17.92 19.00 19.63 大阪    14.22 12.78 12.04 12.33 12.37 10.60  9.30  9.25  9.80 10.05 愛知     5.25  4.71 4.62  4.02  3.87  6.60  6.57  7.01 7.24  7.21

(その他の民間金融機関:農協を含む) (郵便貯金)

地域名   1975 1980 1985 1987 1988 1975 1980 1985 1987 1988 大都市圏  46.52 45.14 46.21 48.31 49.32 45.t  47.16 46.45 46.01 45.85 地方圏    53.48 54.85 53.78 51.69 50.( 54.20 52.83 53.54 53.99 54.23 関東臨海  22.98 22.64 23.10 24.28 24.96 23.91 25.03 24.90 24.60 24.48 近親    17.32 16.27 16.53 17.22 17.56 15.36 15.42 14.81 14.70 14.69 東京    14.61 13.83 14.05 15.08 15.67 11.66 11.90 11.41 ll.08 10.97 大阪     9.11 7.96  7.92  3.41 3.65  7.60  7.70  7.40  7.31 7.32 愛知     6.22  6.23  6.58  6.80  6.80  6.53  6.71 6.75  6.71 6.68

表16 貸出残高(金融機関種別)の変動係数 貸出残高 (金融機関種別) 変動係数

(全国銀行) (その他の民間金融機関‥ 農協を含まず)

年度 1975 1980 1985 1987 1975 1980 1985 1987 1988

標準偏差 8,953.56 16,979.12 22ー 351.30 24ー 561.52 1、 108.38 1,792.81 2、 504.91 2,958.61 3,337.57 平均値 1,932.30 2,963.87 5,159.17 6,556.23 7,264.36 720.34 1,213.83 1,691.68 1,934.30 2,154.26

変動係数 3.044 3.021 3.291 3.404 3.381 1.539 1.477 1.481 1.530 1.549

貸出残高 (金融機関種別) 変動係数 (その他の民間金融機関:農協を含む)

年度 1975 1980 1985 ユ 987 1988

標準偏差 1,170.34 1,863.53 2,575.54 3,042.74 3、 438.10 平均値 3.23 1,455.51 1,961.28 2,198.6 、 426.43

変動係数 1.315 1.280 1.313 1.384 1.417

が拡大した一方で、全国銀行とその他民間Bでは地域格差が縮小したといえるO これらの結果 から、農協以外の地域金融機関の店舗配置における大都市地域の比重の増大と、全国銀行の店舗 配置における地方中核都市の比重が増大していることがわかる。

(2)預貯金残高

表14は昭和50年度以降の全国47都道府県の金融機関の業態別預貯金残高の変動係数の推移を示

(17)

90 水 田 健 一

表17 貸出残高(金融機関種別)の対全国シェア 貸出残高(金融機関種別) (対全国シェア)

(全国銀行)      (その他の民間金融機関:農協を含まず) 地域名   1975 1980 1985 1987 1988 1975 1980 1985 1987 1988 大都市圏  74.73 73.12 75.50 77.50 77.59 53.22 51.92 53.41 55.22 56.07 地方圏    25.27 26.」 24.50 22.50 22.41 46.78 48.C  46.59 44.78 43.93 関東臨海  49.13 49.」 53.91 56.20 56.42 27.22 27.00 27.18 28.11 28.44 近畿     20.48 18.* 17.59 17.37 17.32 19.64 18.74 19.45 20.21 20.78 東京    43.02 43.24 47.62 49.36 49.05 20.22 19.64 19.4 19.96 20.06 大阪    16.08 14.56 13.63 13.35 13.18 11.22 10.21 10.47 11.10 11.50 愛知     5.12  4.47  4.00  3.93  3.86  6.36  6.18  6.78  6.91 6.84

(その他の民間金融機関:農協を含む) 地域名   1975 1980 1985 1987 1988 大都市圏  48.48 47.14 49.26 51.63 52.」

地方圏   51.52 52.85 50.74 48.37 47.ll 関東臨海  24.79 24.75 25.38 26.64 27.26 近畿    17.73 16.74 17.58 18.47 19.12 東京    17.16 17.07 17.35 18.16 18.46 大阪     9.92      9.33 10.03 10.47 愛知     5.96  5.66  6.30  6.52  6.51

したものである。昭和63年度の変動係数の値は、全国銀行が3.04、その他民間Aが1.49、その 他民間Bが1.22、郵便局が0.97であった。店舗数の場合と同様に、預貯金残高の都道府県間の バラツキの最も大きいものから全国銀行、その他民間A、その他民間B、郵便局の順位となった。

昭和50年度から63年度の間に全国銀行の変動係数は2.44から3.04に増大したが、これはその他民 間Aやその他民間Bの変動係数の増大を大きく上回っており、この間の金融機関全体の預貯金 残高に関する地域格差の増大の大きな部分が、全国銀行についての地域格差の増大によるもので あることがわかる。これに対して郵便貯金の変動係数は、この期間に1.0から0.97に下落しており、

郵便貯金残高が地域間で平準化されたことがわかる。表15は金融機関の業態別の預貯金残高にお ける地域別のシェアの推移をみたものである。昭和63年度の全国銀行の預金残高に占める大都市 圏のシェアは73.7%、関東臨海のシェアは53.2%、東京のシェアは44.1%で、その他民間Aなど、

他の業態のシェアに比較して全国銀行の関東臨海および東京のシェアの高さが目立っている。昭 和50年度以降の大都市圏、関東臨海、および東京のシェアは全国銀行、その他民間A、その他民 間Bのいずれについても増加しているが、特に全国銀行のシェアの増加が著しい。なかでも全 国銀行における関東臨海と東京のシェアはこの間に9‑10ポイント上昇した。一方、他の金融機 関の預金残高に占める大都市地域の比重が増大したのと対照的に、郵便貯金残高に占める大都市 圏、関東臨海および東京のシェアは昭和55年度から63年度にかけていずれも低下していることが 注目される。

(3)貸出残高

(18)

表16は昭和50年度以降の全国47都道府県の金融機関の業態別貸出残高の変動係数の推移をみた ものである。昭和63年度の変動係数の値は、全国銀行が3.38、その他民間Aが1.55、その他民 間Bが1.42で、店舗数や預貯金残高の場合と同様に、全国銀行、その他民間A、その他民間B という順位となる。昭和50年度から63年度の間に全国銀行の変動係数は3.04から3.38に大きく増 大した。またその他民間Aとその他民間Bの変動係数も共に増大しているが、全国銀行の変動 係数の増加はこれを大きく上回っており、仝金融機関の貸出残高に占める全国銀行の比重の高さ

と併せて、この間の金融機関全体の貸出残高に関する地域格差の増大の大きな部分が全国銀行の 貸出残高の地域的な遍在が高まったことによるものであることがわかる。

表17は昭和50年度以降の金融機関の業態別の貸出残高における各地域のシェアの推移をみたも のである。昭和63年度の全国銀行の貸出残高に占める大都市圏のシェアは77.6%、関東臨海のシェ アは56.4%、東京のシェアは49.1%、その他民間Aでは大都市圏のシェアは56.1?信 関東臨海 のシェアは28.4%、東京のシェアは20.1%、その他民間Bでは大都市圏のシェアは52.9%、関 東臨海のシェアは27.3%、東京のシェアは18.5%で、全国銀行の貸出残高が大都市圏、ことに首 都圏・東京に遍在していることがわかる。また昭和50年度から63年度にかけて大都市圏、関東臨 海および東京のシェアの上昇幅も他の業態に比較して全国銀行が大きく上回っていることがわか る。一方その他民間Aではこの間に大都市圏と関東臨海のシェアは増大したが東京のシェアは 下落しており、一方その他民間Bでは3つのシェアはいずれも増大しているが、これはこの間 に農協の貸出残高に占める東京のシェアが増大したことによるものであり、注目される。

以上により、預貯金残高並びに貸出残高の地域格差の拡大や大都市圏や首都圏・東京への集中 化の大きな部分が、わが国の預金残高や貸出残高の大宗を占め、従来から大都市圏や東京での比 重の高かった全国銀行が更にその活動における首都圏・東京へのウェ‑トを高めたことによって 引き起こされたということができる。一方、従来から地方圏の比重が高かった郵便貯金では、地 方圏のシェアは昭和55年度以来上昇しており、このことは、他の金融機関の預金残高に占める大 都市圏、特に首都圏・東京のシェアが高まるなかで、特に地方の地域金融において郵便貯金の果 たすべき役割が大きいことを意味しており、注目に値しよう。

V.金融機関活動の地域格差の最近の変化の諸要因

昭和50年代中期以降、金融機関活動の首都圏一極集中化が進展しているが、それはどのような 要因によって引き起こされたのであろうか。金融機関活動の首都圏集中、東京集中の要因を、経 済活動全体の東京への集中化によるものと、わが国の金融環境の変化に関係づけられるものとに、

大きく2つに分けて考えることができる。

金融業務の首都圏集中の背景には、昭和50年代中期以降のわが国の経済活動全体の首都圏集中 がある。第1次オイルショックの結果わが国の産業構造は従来の重化学工業を中心とする構造か ら第3次産業化が進展した。第3次産業の内部では、銀行・信託業、投資業、証券業、情報サー ビス・調査・広告業、専門サービス業などを中心とする対企業サービス業の比重が増大した。こ れらの対企業サービス業は、企業活動の集積した大都市圏、特に企業の本社機能の集中した東京 においてその比較優位をもつ産業であり、こうした産業のウェ‑トが高まることは、それだけ経 済活動における東京のウェ‑トを高める結果となる。

さらに情報化の進展により経済活動における情報の役割が増大した結果、全国的な情報ネット

参照

関連したドキュメント

市場流 動性 と資金 流動性 を考慮 した 不動 産価 格 評価 の研 究.. が影響す るためで

 富の生産という側面から人間の経済活動を考えると,農業,漁業ばかりでは

新型コロナウイルス感染症による

  「教育とは,発達しつつある個人のなかに  主観的な文化を展開させようとする文化活動

自動車や鉄道などの運輸機関は、大都市東京の

 支援活動を行った学生に対し何らかの支援を行ったか(問 2-2)を尋ねた(図 8 参照)ところ, 「ボランティア保険への加入」が 42.3 % と最も多く,

 「事業活動収支計算書」は、当該年度の活動に対応する事業活動収入および事業活動支出の内容を明らか

 「事業活動収支計算書」は、当該年度の活動に対応する事業活動収入および事業活動支出の内容を明らか