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(様式6号)「課程博士用」

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Academic year: 2021

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(様式6号)「課程博士用」

学 位 論 文 の 要 旨

専 攻 名 材料科学 専 攻 氏 名

矢代

や し ろ

かい

学位論文題目

四ヨウ化チタンによって促進される特異的反応の制御に関する研究

(英訳 Study on controlling the specific reactions promoted by titanium tetraiodide)

私たちの生活において、有機化合物は多種多様な領域で社会的に重要な役割を果たしている。なかでも、

ヘテロ環化合物は医薬品、農薬、香料、化粧品、染料、液晶、遷移金属触媒の配位子等の様々な分野で使 用されており、特に酸素、または窒素を含有するヘテロ環化合物は有用な生理活性化合物として著しく利 用されてきた。このような背景のもと、ヘテロ環化合物の開発や製造における新しい合成反応技術の開発 は、有機合成化学において重要な研究領域の

1

つとなっている。取り分けハロゲンや配位子と遷移金属を 組み合わせた試薬や触媒を利用したヘテロ環化合物を合成する手法は有用であるため、これまでに多数の 研究と報告がなされてきた。

我々の研究室では、これまでに四ヨウ化チタンに着目して特異的な合成研究に取り組んできた。これま でに四ヨウ化チタンが他のハロゲン化チタンには見られない適度なルイス酸性、還元能力、及びヨードチ タン化能力を有していることを見出し、報告している。本博士論文では四ヨウ化チタンを用いたジアステ レオ選択的ヨードアルドール反応とヨードイソキノリンの合成に関する研究に取り組んだ。

γ-

ジエトキシ-α,β-ルキニルケトンのジアステオ選択的ヨードアルドール反応とその応用

アルキニルケトンに対するハロアルドール反応は多数の研究グループから報告されている。しかしなが ら、末端アルキニルケトンでは良好な収率とジアステレオ選択性が示されているものの、非環状内部アル キニルケトンに対するハロアルドール反応は、オレフィンのジアステレオ選択性の十分な制御に至ってお らず、その解決法が強く望まれている。本研究では、四ヨウ化チタンを活用して、非環状内部アルキニル ケトンである

γ-アルコキシ-α,β-アルキニルケトンとアルデヒドを用いたジアステレオ選択的ヨードアル

ドール反応の開発と量子化学計算による解析を実施し、更に応用展開を検討した。

γ-ジエトキシ-α,β-アルキニルケトン(1)とアルデヒド(2)の

反応結果から、良好な収率でヨードアルドール体(3)をジアス テレオ選択的に得られることを見出した(Scheme 1)。得られ

E-ヨードアルドール体(E-3)は、ヨウ化ビニル構造を利用

してカップリング反応が適応可能であり、続く環化反応によ り四置換フラン環へと合成可能である。すなわち、

E-ヨード

アルドール体(E-3)に対して薗頭カップリングの条件により エニノール(4)へと導き、続く環化反応により四置換フラン(5

and 6)への変換に成功した。一方、ヨードアルドール反応に

おけるアルデヒドをイミンへ変更することで、ヨード-Mannich 反応へと展開できることも見出した。

ヨードアルドール反応の立体選択性の解明と今後の反応設計への展開を目的に、ジアステレオ選択的ヨ

ードアルドール反応の量子化学計算を用いた解析を行った。計算は次の方法で行った。まず、対象化合物

(2)

の分子力学計算と半経験量子化学計算を経て得られた安定構造を初期構造として、密度汎関数法(Density

Functional Theory:DFT)を用いて安定構造および遷移状態構造の最適化を行い、必要に応じて振動数計

算と

IRC

計算を行った。密度汎関数法による量子化学計算ソフトウエアには「Gaussian09

(1)

」を用いた。

また

Gaussian

での量子化学計算に際し、分子モデリング・可視化ソフトウエアには「GaussView5

(2)

」を

用いた。計算化学解析により、四ヨウ化チタンと

γ-ジエトキシ-α,β-アルキニルケトンにより生成するヨー

ドチタニウムアレノラートとアルデヒドの炭素-炭素結合形成時の遷移状態構造の最適化計算を行った。

B3LYP

レベルの DFT 計算結果から、遷移状態構造はチタン原子を中心としてチタンエノラートとアルデ

ヒドが配位した後に、六員環配座を形成しながら炭素-炭素結合を生成する機構が示された。同時に活性 化エネルギーの解析から実験結果に反して

Z

体の遷移状態の活性化エネルギーが低く、有利である結果が 得られた。E 体生成が不利である原因として、遷移状態形成においてヨウ素原子の立体障害により、ヨー ドチタニウムアレノラートとアルデヒドが接近しづらいためであると示唆された。更に解析を進め、最終 中間体の最安定構造を求めたところ 、

E

体の自由エネルギーが有利であることが判明し、E/Z のエネルギ ー差は実験結果の選択性と良い一致を示した。以上の結果から、ヨードアルドール反応は平衡反応が支配 的であり、E/Z 選択性は最終中間体の熱力学安定性により決定される結論に至った。

シアノケトンのヨウ素化-環化反応による

3-アリル-1-イソキノリン合成とその応用

異なる四ヨウ化チタンの活用として、含窒素複素環である イ ソ キ ノ リ ン の 効 率 的 な 合 成 法 と 応 用 展 開 を 検 討 し た

(Scheme 2)。イソキノリンは、医薬や機能性物質として重要

であるため、様々な合成方法が報告されてきたが、煩雑な反 応条件により基質の適用範囲が制限されているため、新たな 合成方法が望まれている。そこで四ヨウ化チタンを用いた

2-(2-オキソ-2-フェニルエチル)ベンゾニトリル(7)の効率的な

ヨウ素化-環化反応に取り組んだ。検討の結果から、四ヨウ化 チタン、オルトチタン酸テトライソプロピルとサリチル酸の 併用により、

1-ヨード-3-フェニルイソキノリン(8)へ導くこと

に成功した。続いて、トポイソメラーゼ阻害活性を有する

CWJ-a-5

への誘導化を検討した。N-メチルピ ぺラジンとのカップリングにより、円滑に

1-(4-メチルピペラジン-1-イル)-3-フェニルイソキノリン(9)へ高

収率で変換することを見出した。

本研究で見出された新たな知見は、医薬品、農薬の分野や触媒配位子の開発等、様々な有機化合物の開 発における有用な合成反応として期待できる。

(1) M. J. Frisch, et al. Gaussian 09, Revision D.01; Gaussian, Inc., Wallingford CT, 2009.(2)R. Dennington et al.

GaussView, Version 5, Semichem Inc., Shawnee Mission, KS, 2009. (3) W.-J. Cho, et al. Bioorg. Med. Chem. 1998, 6, 2449 (4) W.-J. Cho, et al. Ach. Pharm. Res. 1997, 20, 264

続紙 有□ 無■

(様式6号-続紙) 「課程博士用」

氏 名

矢代

や し ろ

かい

○ 印

参照

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