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セグメント情報開示の実態と課題

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(1)

わが国における

セグメント情報開示の実態と課題

渡  辺    剛

まえがき

1 調査項目および調査方法

(1)調査項目

(2)調査方法

2 セグメント情報開示の調査結果 3 セグメント情報開示の課題

(1)所在地別セグメント情報

(2)セグメント情報の開示目的

(3)報告セグメントの決定 あとがき

まえがき

1988 年 5 月に企業会計審議会より「セグメント情報の開示に関する意見書」

および「セグメント情報の開示基準」(以下, 「旧基準」という)が公表され,

(2)

わが国のセグメント情報の開示が始まった。その後基準に大きな変更は行わ れなかったが,2008 年 3 月に財務会計基準委員会(以下,「ASBJ」という)

が企業会計基準第 17 号「セグメント情報等の開示に関する会計基準」 (以下,

「新基準」という)および「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適 用指針」を公表し,20 年ぶりにセグメント情報の開示基準が大きく変わる こととなった。

新基準が公表されることとなった理由は,1 つには,旧基準公表後,セグ メント情報を開示しない企業が数多くあったことから , 米国で採用されてい たマネジメント・アプローチを含めた事業区分の方法の再検討が求められて いたこと,もう 1 つは,国際会計基準審議会(以下,「IASB」という)との 会計基準のコンバージェンスの一環であるとされる(新基準「検討の経緯」

第 42 項および第 43 項)。コンバージェンスの一環であるとされる通り,新 基準は, IASB のセグメント会計基準

とほとんど同じであり,マネジメント・

アプローチを採用している。また,IASB のセグメント会計基準は,アメリ カの財務会計基準審議会(以下,「FASB」という)のセグメント会計基準

とコンバージェンスしたものであることから

,3 つの基準はほぼ同じ基準 であるといえよう。

IASB は,マネジメント・アプローチを採用した新基準公表後,その効果 をみるために実施後レビュー

を行っている。そこでは,情報利用者,企業 および公認会計士からは , いくつかの問題点は指摘されているが,マネジ

1 International Accounting Standards Board, International Financial Reporting Standard 8: Operating

Segments, November 2006.

2

Financial Accounting Standards Board, Statement of Financial Accounting Standards No.131:

Disclosures about Segments of an Enterprise and Related Information, June 1997.

3 IASB, op.cit., par. IN2.

4 International Accounting Standards Board, Post-implementation Review: IFRS 8 Operating Segments,

July 2013.

(3)

メント・アプローチが有用であるとされている。一方,わが国においては,

2010 年 4 月 1 日以降開始の事業年度より新基準が適用されているが,いま だ ASBJ による実施後のレビューは行われていない。したがって,わが国に おいては,新基準導入によりいかなる開示が行われ,どのような改善がなさ れ,また問題点があるのかが明確ではない。

本稿では,この 20 年ぶりのセグメント会計基準の改定により,わが国の セグメント情報の開示にいかなる質的・量的変化がもたらされたのかを明ら かにするとともに,その課題を検討する。

1 調査項目および調査方法

(1)調査項目

本稿の目的は,新基準の解説を行うことではない。しかし,今回の調査の ポイントを明確にするために,簡潔に新基準の特徴を述べるとともに旧基準 から新基準への主な変更点をあげると次の通りである(図表 1 参照)。

新基準の最大の特徴は,いわゆるマネジメント・アプローチを導入したこ

とにある。マネジメント・アプローチとは,企業をその構成単位(セグメン

ト)に区分すること(セグメンテーション)を企業の内部管理組織に基づい

て行うという考え方である。さらに,セグメンテーションのみならず,セグ

メント情報も企業の内部管理目的で作成された情報をセグメント情報として

開示することを求めていることも大きな特徴である。内部管理情報は経営者

の経営上の意思決定に役立つよう作成されたものである。それを企業外部の

投資者に提供することは,投資者に経営者の視点に立った情報を提供するこ

ととなり,それは投資者にとっても有用な情報となると考えられることがマ

ネジメント・アプローチの採用の根拠とされている

5

(4)

新基準 旧基準 1 セグメント情

報の開示目的 企業の様々な事業活動の内容およびそ

の経営環境を明らかにすること 企業の多角化・国際化の状況を明ら かにすること

2 セグメンテー

ションの基準 マネジメント・アプローチ(企業の組

織構造) 経営者の判断

3 開 示 セ グ メ ントの種類

いかなる種類のセグメントでも可 (1)事業の種類別

(2)所在地別

(3)海外売上高 ( 販売地域別 ) 4 開 示 セ グ メ

ントの決定

企業の内部組織に基づいてセグメント

(事業セグメント)を識別し,必要な場 合には集約基準を適用後,報告セグメ ントを決定。

経営者の判断によりセグメントを識 別し,重要性の基準により開示対象 セグメントを決定。

5 集 約 基 準 お よび重要性の 基準

集約基準次の(1)ないし(3)の要件をすべて 満たすこと

(1)基本原則に反しないこと

(2)経済的特徴が概ね類似していること

(3)次のすべての要素が概ね類似して いること①製品およびサービスの内容

②製品の製造方法または製造過程,サー ビスの提供方法

③製品およびサービスを販売する市場 または顧客の種類

④製品およびサービスの販売方法

⑤銀行,保険,公益事業等のような業 種に特有の期制環境

重要性の基準

(1)事業の種類別

当該セグメントの売上高,営業損益 または資産が全体の 10%以上であ る場合は開示。

(2)所在地別

当該セグメントの売上高または営業 損益が全体の 10%以上である場合

(3)海外売上高は開示。

当該セグメントの売上高が全体の 10%以上であれば開示。

6 セグメント情 報の関連情報

(1)製品およびサービスに関する情報

(2)地域に関する情報

(3)主要な顧客に関する情報

新基準(1)は事業の種類別セグメ ント情報新基準(2)は所在地別セグメント 情報および海外売上高情報 新基準(3)はセグメント情報とし ては開示なし

7 セグメント

情報の作成基準経営者が利用している情報であれば

GAAP

であるか否かは問わない 連結財務諸表の作成基準と同じ基準 でなければならない(GAAP)

図表 1:旧基準から新基準への主な変更点

5 新基準「結論の根拠」(第 50 項)。なお,マネジメント・アプローチの長所および短所に関 しては,拙稿「セグメント会計の新潮流とわが国セグメント会計の再検討」商学論叢,第 44 巻第 1 号(2009 年 6 月)を参照されたい。

(5)

しかし,マネジメント・アプローチの採用には懸念される問題点もある。

そもそも,セグメント情報は,わが国で制度化された当初より企業の多角化・

国際化の状況を明らかにすることを目的として開示されてきた

6

。一方,企 業の内部管理組織は,必ずしも事業の種類別または事業活動の所在地別に構 成されているわけではない。したがって,マネジメント・アプローチを採用 した結果,セグメント情報の本来の目的である企業の多角化・国際化の状況 が明らかにならないおそれがある。これがマネジメント・アプローチ採用の 問題点である。しかも,新基準はマネジメント・アプローチによって識別さ れたセグメントのみを開示セグメントとし,従来開示されていた事業の種類 別セグメントおよび所在地別セグメントの追加開示を求めていない。

新基準においては,企業の内部組織に基づいて事業セグメントが識別され,

その事業セグメントから報告対象となるセグメント(報告セグメント)が決 定される。ここで,事業セグメントとは企業の構成単位であり,かつ,①収 益を稼得し,費用が発生する事業活動に関わるもの(同一企業内の他の構成 単位との取引に関連する収益および費用を含む),②企業の最高経営意思決 定機関が,当該構成単位に配分すべき資源に関する意思決定を行い,また,

その業績を評価するために,その経営成績を定期的に検討するものであり,

③分離された財務情報を入手できるもの,という 3 つの要件をすべて満たす ものをいう(新基準第 6 項)。

この定義に従えば,場合によっては,企業の多角化の状況も国際化の状況 も明らかにならないセグメント情報が開示される可能性もある。ただし,新 基準ではセグメント情報で多角化・国際化の状況が明らかにならなかった場

6 「セグメント情報の開示に関する意見書」において , 意見書公表の背景事情として指摘され ている。また,旧基準では,事業の種類別セグメントの事業区分の決定に当たっては,経営 の多角化の実態を反映することが求められている。さらに,新井清光「『セグメント情報の開 示に関する意見書』の概要」企業会計,第 40 巻第 8 号(1988 年 8 月),15 頁参照。

(6)

合には,「関連情報の開示」として「製品及びサービスに関する情報」,「地 域に関する情報」および「主要な顧客に関する情報」の開示を求め(29-32 項),

いわば安全ネットを張っているが,はたしてそれが機能するのか実際の開示 が注目される。

また,新基準では内部管理情報がセグメント情報として開示されることと なったが,これは経営者が経営上の意思決定を行うために用いている情報で なければならず,その結果,その情報は,連結財務諸表を作成するための基準,

すなわち一般に認められた会計基準(GAAP)と異なる可能性がある。その 場合には,GAAP との調整表が求められる。旧基準では,セグメント情報は GAAP に従って作成することが原則とされていたので,この点も大きな変更 点である。

本研究では,新基準の主な変更点に注目し,次の項目に関して調査を行った。

①どのような基準に従ってセグメンテーションが行われたのか(セグメン テーションの基準)。

②セグメント情報を開示していなかった企業が開示するようになったのか

(非開示企業の変化)。

③開示セグメント数は増加したのか(開示セグメント数の変化)。

④どのようなセグメント情報が開示されているのか(セグメント情報の開示 状況)。

⑤所在地別セグメント情報の開示はどのように行われたのか(所在地別セグ メント情報の開示)。

⑥セグメント情報の作成基準は GAAP が用いられているのか(セグメント 情報の作成基準)。

 

(2)調査方法

①調査対象

(7)

本研究は,日経平均 225 に採用されている企業(2013 年 3 月 31 日現在)

を対象としている。これは,日経平均 225 に採用された企業がいずれもわが 国を代表する大企業であり,幅広い業種から選択されていることから,わ が国のセグメント情報の開示の実態を概ね捉えることができると考えたた めである。ただし,225 社の内,FASB 基準で連結財務諸表を作成している SEC 登録企業(24 社),IFRS 適用企業(1 社)および合併により新基準適用 前の有価証券報告書を入手できなかった企業(4 社)は除いているため,実 際の調査対象企業(参考 1 参照)は 196 社(金融業を含む)である。新基 準も FASB 基準も IASB 基準もマネジメント・アプローチを採用しているの で,現在の開示実態を明らかにするということであれば SEC 登録企業およ び IFRS 適用企業を除く必要はないが,今回は特に新基準の影響を見るため に SEC 登録企業および IFRS 適用企業を除いている。

②使用データ

新基準の実施は 2010 年 4 月 1 日以降開始の事業年度であったため,2010 年 4 月 1 日以降の決算において各社が最初に新基準を採用した決算期の有価 証券報告書を調査対象とした(参考参照)。ただし,実際に使用しているデー タは,旧基準に従って作成された期のセグメント情報を修正再表示したもの を使用している

7

例えば,2011 年 3 月期決算において初めて新基準を採用してセグメント 情報を作成した企業の場合,ここで使用するデータは,2010 年 3 月期決算 のセグメント情報の修正再表示されたものとなる。これは,旧基準適用の最

7 新基準においては,適用初年度において,当該年度のセグメント情報に加えて,前年度の セグメント情報(旧基準に準拠して作成されたもの)および前年度のセグメント情報を新基 準に準拠して修正再表示することを求めている(第 36 項)。なお,先行研究(中野貴之「セ グメント情報開示の実態-マネジメント・アプローチ導入前と導入後の比較検証」企業会計 , 第 64 巻第 11 号(2012 年 11 月),88-96 頁)においても同様に適用初年度における前年度の修 正再表示セグメント情報が用いられている。

(8)

終期と新基準適用の期の間に発生する可能性のある組織再編の影響をできる だけ除くためである。例えば,非開示企業が開示企業となったか否かを判断 する際に組織再編の影響を除去した方が新基準の効果がより明確になると考 えられる。

なお,関連情報に関しては,旧基準では開示がなかったので,適用初年度 の決算情報を用いている。

③データ収集

データはすべて有価証券報告書より手作業で収集している。

2 セグメント情報開示の調査結果

①セグメンテーションの基準

新基準の下では,はたしてどのようなセグメンテーションが行われ,どの ような種類の報告セグメントが開示されたのであろうか。

各企業が採用したセグメンテーションの基準に関しては,有価証券報告書 の「報告セグメントの概要」において説明がなされているが,すべての企業 がセグメンテーションの基準を明らかにしているわけではない。また,説明 されているセグメンテーションの基準も「製品(商品)・サービス(の種類)

別」,「事業別」,「地域別」等の用語が用いられているが,必ずしも画一的,

単一の基準が明示されているとは限らない。したがって,セグメンテーショ ンの基準ひいては報告セグメントの種類を客観的に分類することは容易では ない。本稿では,旧基準におけるセグメント情報との比較,報告セグメント に関する説明等も含めて,報告セグメントの種類を分類しており,その分類 には筆者の主観的判断も含まれている。

本稿では,報告セグメントの種類を「製品・サービス別」,「地域別」,「マ

トリクス型」および「その他」の 4 つに分類している。「製品・サービス別」

(9)

には,セグメンテーションの基準の説明で「製品・サービス別」をはじめ, 「商 品別」,「事業別」,「事業領域別」,「事業部別」,「事業本部別」,「製品・サー ビスの類似性」,「事業の類似性」等の説明がなされていたものが含まれてい る

8

。これは,旧基準における「事業の種類別セグメント」と類似したもの と考えてよいと思われる。「地域別」は,文字通り地域別にセグメンテーショ ンされたものである。ただし,旧基準の子会社の所在地別のみならず販売地 域別も含まれている

9

。「マトリクス型」は, 「製品・サービス別」に「地域別」

分類を加えたものであり,多くの場合,「国内 A 事業」,「海外 A 事業」,「B 事業」等 , 主要事業を国内と海外に分類したものが多かった。「その他」は, 「会 社別」,「事業別に会社別を加味したもの」,「顧客マーケット・業態別」およ び「経営単位別」である。

調査の結果,圧倒的に多かったのが「製品・サービス別」(81.1%)であり

図表 2:報告セグメントの種類

 製品・ サービス別 地域別 マトリクス型 その他 非開示 合計 159 社(81.1%)8 社(4.1%) 12 社(6.1%) 4 社(2.0%) 13 社(6.6%)196 社(100.0%)

製品・サービス別…「事業別」を含む。

地域別…子会社の所在地別および市場の所在地別。

マトリクス型…製品・サービス別に地域別を加味したもの。

その他…混在型(1 社),会社別(1 社),顧客・マーケット業態別(1 社),経営単位別(1 社)

8 分類名は,「製品・サービス別」よりも「事業別」とした方が適切かもしれないが,「事業 別セグメント」は,「事業セグメント」(最初に認識するべきセグメント)と混同しやすいので,

本稿では敢えて「製品・サービス別」という名称を付している。また,「製品・サービス別」は,

旧基準の「事業の種類別」と類似したものであるが,事業の種類別分類が企業の多角化の状 況を明らかにすることを目的としたものであるのに対して,マネジメント・アプローチでは,

必ずしもそうではないので,両者は類似していると思われるが,目的が異なることから,本 稿では「事業の種類別」という分類名称も使用していない。

9 旧基準では,セグメント情報の種類は,「事業の種類別」,「親会社及び子会社の所在地別」

および「市場別」の 3 つに区分されていたが,「海外売上高」は,「市場別」のうち「販売地域別」

に分類されていた(旧基準「セグメント情報の定義及び種類」)。

(10)

(図表 2),次が「マトリクス型」(6.1%)で,「地域別」は,わずか 8 社 (4.1% ) であった。

②非開示企業の変化

旧基準の下では,単一セグメントであることを理由にセグメント情報を開 示していない企業があった。新基準となり,セグメント情報を開示していな かった企業がセグメント情報を開示するようになったのであろうか。

調査の結果,非開示企業は,旧基準では 8 社(4.0%)であったが,新基 準では 13 社(6.6%)と若干増加した。また,旧基準では非開示企業であっ た 8 社のうち新基準で開示企業となったのは 4 社あった。逆に,旧基準では 開示企業であったにもかかわらず,新基準では非開示企業となったのは 9 社 あった。したがって,非開示企業に関しては,9 増 4 減であることから,少 なくとも今回の調査においては,新基準は旧基準よりもマイナスの効果の方 が強かったという結果になっている。

③開示セグメント数の変化

新基準となり,企業の開示セグメント数は増加したのであろうか。単純比 較すれば,新基準の方が開示セグメント数の少ないことは明白である。そも

図表 3:セグメント情報非開示企業

新基準非開示企業:13 社 旧基準非開示企業:4 社 旧基準開示企業:9 社

図表 4:開示セグメント数(セグメント情報非開示企業を含む)

(旧基準)事業の種類

別セグメント 588(168 社開示 1 社平

均 3.5) (新基準)製品・サー

ビス別報告セグメント608(159 社開示 1 社 平均 3.8)

(旧基準)所在地別セ

グメント 382(117 社開示 1 社平

均 3.3) (新基準)地域別報告

セグメント 42(12 社開示 1 社平 均 3.5)

(旧基準)海外売上高

セグメント 314(135 社開示 1 社平

均 2.3) (新基準)マトリクス

型報告セグメント 66(12 社開示 1 社平 均 5.5)

(新基準)その他 16(4 社開示 1 社平 均 4.0)

合計 1,284 合計 732

(11)

そも 3 種類のセグメントの開示から 1 種類のセグメントの開示になったので あるから減少して当然であり,単純に比較することに大きな意味はない。そ こで,報告セグメントをさらに製品・サービス別等の種類別に分類して比較 することにより,開示セグメント数に対するマネジメント・アプローチの効 果をみる

10

旧基準の事業の種類別セグメントと新基準の製品・サービス別報告セグメ ントとを比較すると,企業の平均開示セグメント数は,新基準の方が若干高 い。また,旧基準の所在地別セグメントと新基準の地域別報告セグメントと を比較すると,やはり新基準の方が若干高い

11

。したがって,単純な開示セ グメント数自体は,新基準の方が少なくなったが,それはマネジメント・ア プローチに問題があるのではなく,セグメントの種類別にみれば,若干では あるがマネジメント・アプローチには開示セグメント数を増加させる効果が あったといえよう。ただし,後述するようにそこには課題も内在している。

なお,旧基準においては,開示セグメントとされなかったものはすべて

「その他」とされ,新基準においても,報告セグメントとされなかった事業 セグメントは,「その他」とされるが,本稿では「その他」とされたものは 旧基準および新基準共に開示セグメントとしてカウントしていない(新基準 ケース 1 の場合,開示セグメント数は 2,旧基準の場合,開示セグメント数 は 2 とカウント)。しかし,企業によっては,報告セグメントの中に「その

10 本来ならば,旧基準の海外売上高の開示セグメント数と新基準の関連情報における地域別 情報とを比較するべきかもしれない。しかし,新基準における関連情報は,セグメント情報 そのものではなく,しかも関連情報の作成は GAAP に準拠することが求められており(第 29 項),マネジメント・アプローチの対象外であることから,マネジメント・アプローチの効果 をみるという点では必要ないと判断し,本稿では比較していない。

11 正確には,新基準の地域別報告セグメントは,子会社の所在地別および販売市場別に区分 して比較すべきであると思われるが,多くの場合,セグメンテーションの基準の説明が明確 ではなく,客観的に区分することができないことから,本稿では区分していない。

(12)

他」というセグメントを含めている企業もある(新基準ケース 2)。本稿では,

その場合の「その他」セグメントは,報告セグメントとしてカウントしてい る(新基準ケース 2 の場合,開示セグメント数は 3)。なぜならば,同じ「そ の他」でも,報告セグメントとしての「その他」は,報告セグメントの開示 要件を満たしているはずだからである。ただし,本来,報告セグメントは,

性質の異なる複数の事業セグメントを 1 つのセグメントには集約できないは ずなので,「その他」ではなくその中身のわかる名称が付されるべきである と思われる。

④セグメント情報および関連情報の開示状況

セグメント利益に関しては,旧基準で開示されていた営業利益を開示する 企業が圧倒的に多かった。なお,売上高情報に関しては,非開示企業および 金融業を除き,すべての企業が開示していた。

(新基準ケース 2)

報告セグメント

セグメント A セグメント B その他

図表 5:セグメント利益の種類(セグメント情報非開示企業を除く)

営業利益 156 社(85.2%)

経常利益 17 社(9.3%)

税金等調整前利益 5 社(2.7%)

当期純利益 3 社(1.6%)

その他 2 社(1.1%)

合計 183 社(100.0%)

(新基準ケース 1)

報告セグメント その他

セグメント A セグメント B

(旧基準)

開示セグメント その他

セグメント A セグメント B

(13)

資産に関しては,旧基準でも開示されていたことからほとんどの企業で開 示されていたが,負債に関しては,わずか 12 社の開示にとどまった。また,

旧基準では資産を開示していたが,新基準となり,セグメント別の資産情報 を経営者が利用していないことを理由として,非開示とした企業が 15 社あっ たことはマネジメント・アプローチの負の効果といえよう

12

関連情報は,新基準において,セグメント情報が企業の多角化または国際 化の状況を明らかにしない場合の安全ネットとして機能することが期待され る。「製品及びサービスごとの情報」は,旧基準における事業の種類別セグ メント情報の外部売上高情報に該当する。「地域ごとの情報(1)売上高」は,

旧基準における所在地別セグメント情報ではなく,海外売上高情報に国内売 上高を加えたものである。別の言い方をすると,売り手の所在地別売上高で はなく,買い手の所在地別売上高ということになる。この情報は,当該企業 グループがどこの市場に依存しているかを明らかにする。また,「地域ごと の情報(2)有形固定資産」は,旧基準の所在地別セグメント情報の資産情 報に近い。この情報により,当該企業グループが海外のどの国または地域へ 投資しているかをある程度把握することができるであろう。なお,いずれの

図表 7:関連情報

1 製品及びサービス

ごとの情報 2 地域ごとの情報(1)

売上高 2 地域ごとの情報(2)

有形固定資産 3 主要な顧客ごとの 情報

36/196 社(18.4%) 135/196 社(68.9%) 100/196 社(51.0%) 42/196 社(21.4%)

12 先行研究においてもすでに指摘されている(中野貴之 , 前掲稿,93 頁)。

図表 6:セグメント資産・負債の開示(セグメント情報非開示企業を除く)

資産のみ開示 156 社(85.2%)

資産および負債開示 12 社(6.6%)

資産および負債非開示 15 社(8.2%)

合計 183 社(100.0%)

(14)

情報も報告セグメントにおいて開示されている場合は,開示する必要はない。

調査結果を見ると, 「製品及びサービスごとの情報」を開示している企業は,

36 社と少ないが,これは報告セグメントを製品・サービス別に区分してい る企業が多いことから開示を省略しているためである。逆に,地域ごとの情 報を開示している企業が多いのは,報告セグメントを地域別に区分していな い企業が大半だからである。なお,旧基準で海外売上高情報を開示していた 企業は 135 社であり,新基準の地域別売上高情報を開示している企業と符合 している。したがって,海外売上高情報に関しては,安全ネットが機能した といえよう。

⑤所在地別セグメント情報の開示

新基準では,1 組のセグメントのみが開示対象となるため,事業の種類別 または所在地別のいずれか(あるいはいずれも)が開示されない可能性があ ることは,新基準の実施前から予想されていた。実際,所在地別セグメント を報告セグメントとした企業は,わずか 8 社であった。したがって,新基準 の下では,所在地別セグメント情報は,ほとんど開示されていない。事業の 種類別セグメント情報を開示し,さらに所在地別セグメント情報を自発的に 開示している企業は,わずか 4 社にすぎない。したがって,新基準のもとで は,旧基準における所在地別セグメント情報は,上述の固定資産情報を除き,

ほとんど開示されなかったといえよう。

 

⑥セグメント情報の作成基準

新基準ではセグメント情報の作成基準は,連結財務諸表の作成基準と異な

るものでも認められている。しかし,実際には,連結財務諸表の作成基準と「同

一」または「概ね同一」とした企業がセグメント情報を開示している企業

183 社中 174 社(95.1%)であり,ほとんどの企業は旧基準と同様, GAAP に従っ

(15)

てセグメント情報を作成しているといえよう。なお,セグメント情報の作成 基準が説明されていない企業は不明としたが,もしも連結財務諸表と異なる 基準に従ってセグメント情報を作成した場合には,調整表を作成しなければ ならないことから,説明がないものも連結財務諸表と同一の基準で作成して いると考えてよいと思われる。したがって,非 GAAP に従ってセグメント 情報を作成している企業は 1 社のみということになる。

以上,調査の結果,いくつかの知見および課題が明らかとなった。次に,

とりわけ重要と思われる課題について検討する。

3 セグメント情報開示の課題

(1) 所在地別セグメント情報

調査結果によれば,新基準の下では,旧基準における所在地別セグメント 情報がほとんど開示されていない。新基準においては,1 種類の報告セグメ ントしか開示が求められていないことから,この結果は予想されたことでは ある。しかし,新基準においては,その基本原則で「本会計基準は,企業又 はその特定の事業分野について,その事業活動の内容及びこれを行う経営環 境を財務諸表利用者が理解する上で有用な情報を,本会計基準に定める事項 に加えて開示することを妨げない。」(第 5 項)としている。したがって,企 業が自発的に所在地別セグメント情報を開示したとしても何の問題もない が,実際に旧基準と同じ所在地別セグメント情報を開示した企業は,わずか

図表 8:セグメント情報の作成基準(セグメント情報非開示企業を除く)

連結財務諸表の作成基準と同一 84 社(45.9%)

連結財務諸表の作成基準と概ね同一 90 社(49.2%)

内部管理会計の基準 1 社(0.5%)

不明 8 社(4.4%)

合計 183 社(100.0%)

(16)

4 社に過ぎない。

所在地別セグメント情報は,企業の海外投資の効率性を判断するための情 報として利用することが可能である。すなわち,所在地別セグメントの売上 高および営業損益ならびに資産を利用することによって,売上高利益率,資 本回転率および資本利益率を利用することが可能となる。とりわけ近年は,

円高を背景とした日本企業の海外進出が活発化していたことから,この情報 の有用性はかつてよりも高まっていると考えられる。

新基準では,セグメント情報の関連情報として,国内および海外 ( 国また は地域 ) の外部顧客への売上高を開示することが求められているが,これに より海外の販売市場への依存度をみることはできても,海外への投資効率を みることはできない。また,企業の所在地別固定資産額も求められているが,

固定資産額だけでは資本回転率を計算することができないし,営業損益も開 示されないため,資本利益率も売上高利益率も利用することができない。

しかし,一方で,アナリストからは旧基準の所在地別セグメント情報の有 用性に対する疑義の声もあり

13

,IASB の実施後レビューにおいても所在地 別セグメント情報に対するニーズは,一様ではないとされている

14

。はたし て,わが国の場合,所在地別セグメント情報に対するニーズはあるのか否か,

わが国においても早急に実施後レビューを行い,ニーズを確認する必要があ ると思われる。

(2) セグメント情報の開示目的

旧基準においては,セグメント情報の開示目的は,企業の多角化・国際化

13 窪田真之「新基準での情報充実はメリット大 新セグメント情報を投資家はこうみる」旬 刊経理情報 ,1182 号 (2008 年 5 月 ),26 頁。

14 IASB, op.cit., par. P.24.

(17)

の状況を明らかにすることと解されていたため,多角化・国際化していない 企業の場合,単一セグメントであることを理由としてセグメント情報を開示 しないことが認められていた。しかし,新基準においては,セグメント情報 の開示目的を企業の多角化・国際化を明らかにする情報とはしていない。

新基準においては,「基本原則」としてセグメント情報開示の基本的な考 え方が示され,これに従うことが求められている。そこでは,「セグメント 情報等の開示は,財務諸表利用者が,企業の過去の業績を理解し,将来の キャッシュ・フローの予測を適切に評価できるように,企業が行う様々な事 業活動の内容及びこれを行う経営環境に関して適切な情報を提供するもので なければならない。」とされている。すなわち,セグメント情報の開示目的は,

企業の多角化・国際化の状況を明らかにすることにあるのではなく,情報利 用者が企業の将来キャッシュ・フローを予測する上で有用な情報を提供する ことにあると解される。

もちろん,企業の多角化・国際化の状況を明らかにすることは,企業が有 する異なるリスクおよび収益性を明らかにすることに役立つので,この基本 原則に合致するといえよう。しかし,基本原則が企業の多角化・国際化とい う言葉を使わなかったのは,マネジメント・アプローチを採用した結果,必 ずしも企業の多角化・国際化の状況が明らかにならないこともあり得ること を想定し,その場合でも,将来キャッシュ・フローの予測に有用であれば有 用なセグメント情報として認めるということを意味していると解される。

仮にその解釈が正しいとすれば,単一事業しか行っていないという理由で

セグメント情報の開示を行わないのは基本原則に反するといえよう。新基準

では,セグメント情報の目的は,もはや多角化・国際化の状況を明らかにす

ることに限定されてはいないとすれば,多角化していないからセグメント情

報を開示する必要がないということにはならないからである。例えば,同一

の事業であっても,対象とする顧客が個人か企業かによってリスクが異なる

(18)

こともあるであろう。マネジメント・アプローチのもとでは,企業の内部管 理組織がそのリスクおよび収益性の違いに対応しているならば,同じ事業で も別の事業セグメントとして識別されることになる。

新基準の下でセグメント情報が開示されない場合があるとすれば,開示す ることによって,投資者の意思決定を誤らせるおそれがある場合だけであろ う。たとえば,マネジメント・アプローチにより職能別にセグメンテーショ ンが行われる等,有意な情報が提供されない場合に限られるであろう。セグ メント情報の非開示企業に対してマネジメント・アプローチが効果を十分に 発揮できなかったのは,このセグメント情報の基本原則に対する理解が不十 分なためではないかと思われる。開示目的に関するさらなる説明が必要であ ると思われる。

(3) 報告セグメントの決定

調査結果によれば,旧基準の事業の種類別セグメントと新基準の製品・サー ビス別セグメントとを比較すると,セグメントの開示数は新基準の方が若干 増加している。しかし,それは微増にすぎない。はたしてその原因はどこに あるのであろうか。

第 1 に考えられるのは,事業セグメントの集約基準の曖昧さである。新基 準の「結論の背景」において,次のように述べられている。少し長いが重要 な部分なので引用する。

「当委員会の検討の過程では,国際的な会計基準に定められている事業セ

グメントの集約基準は厳格すぎるため,より柔軟な取り扱いとすることも検

討すべきではないかという意見もあった。しかしながら,事業セグメントは

企業の経営者が意思決定のために実際に用いている構成単位であり,マネジ

メント・アプローチが経営者の視点を財務諸表利用者に提供することを目的

としている以上,事業セグメントの集約は,類似する事業上のリスクを有し,

(19)

それらを集約しても財務諸表利用者に重要な影響を与えない場合に限られる べきであるとされた。」(新基準,第 71 項)

ここから,委員会の集約基準に関する見解は,非常に厳しいものであり,

集約基準を満たして集約される事業セグメントは少ないはずであり,その結 果,報告セグメントはかなり多くなると予想していたと推測される。しかし,

実際には報告セグメントはさほど増加しなかった。

さらに,旧基準から新基準に変わったにもかかわらず,開示セグメント数 も開示セグメントの名称も全く変わらなかった企業が 70/196 社(35.7%)も あった。これは,マネジメント・アプローチの影響が質的にもさほど大きく なかったという 1 つの証左であると思われる。百歩譲って,既にわが国にお いては企業が自発的にマネジメント・アプローチを採用していたとしても,

集約基準を厳しく解釈していれば異なる結果が出たのではないであろうか。

すなわち,最大の原因は,作成者側が集約基準を委員会が考えたほど厳し い基準とは考えなかったためではないかと考えられる。逆に言えば,集約基 準の文言にある「概ね類似していること」の解釈が曖昧であることに問題が あると思われる。はたして,「概ね」とはどの程度なのか。数字が示されな い以上,それは主観的に判断せざるを得ないであろう。その結果,集約基準 が緩く解釈され , 開示セグメント数が増加しなかったおそれがある。マネジ メント・アプローチを最初に採用したアメリカにおいても同様の問題が懸念 され , アメリカでは SEC(証券取引委員会)が集約基準を厳格に解釈する旨 を表明したことによりこの問題に対処したように

15

,わが国においても同様 の対応が早急に必要であると思われる。

もう 1 つの原因としては,そもそも最初に認識される事業セグメントが複

15 前川武俊「マネジメント・アプローチによるセグメント会計の実務」企業会計,第 60 巻 第 12 号(2008 年 12 月),150-151 頁。

(20)

数事業の混在したものである可能性がある。例えば,事業セグメントの集約 条件の中に,製品およびサービスの内容の類似性や製品の製造方法の類似性 があげられているが,全く異なる製品を戦略的に一つの事業セグメントで販 売することもあると思われる。具体的には,パソコン向けのオーディオ機器 の開発等,今や従来のジャンルを超えた製品の開発がしばしば見られる。そ の結果,SBU(戦略的事業単位)のように事業セグメント自体が異なる事業 の混合であることもあり得るであろう

16

。 

企業の内部管理組織が混在する事業を反映している場合,マネジメント・

アプローチでは,複数の事業活動が 1 つの事業セグメントとして認識される ことになる。そうなれば,いくら集約基準を厳しく解釈したとしても,最初 に認識される事業セグメントに異なる事業が混在する可能性がある。それは , マネジメント・アプローチの性質からして避けられないであろう。

しかし,その場合でもより詳細な情報開示によって有用なセグメント情報 とすることもできるであろう。例えば,ソニーは, 「テレビ」, 「ホームオーディ オ・ビデオ」,「デジタルイメージング」,「パーソナル・モバイルプロダクツ」,

「ゲーム」, 「その他」という異なる事業と考えられるものを合わせて「CPS( コ ンスーマープロダクツ&サービス )」という 1 つの報告セグメントとして開 示している。同時にソニーは,「テレビ」以下の各事業の売上高も開示して いる。その結果,事業セグメントに対する理解が深まると同時に透明性も高 まっている。このように,異なる事業が 1 つの事業セグメントに混在する場 合であっても,情報の開示によって有用な情報とすることが可能であるとい えよう。

報告セグメントの決定においてもっとも問題とすべきなのは,報告セグメ ントの決定がブラック・ボックス化して,セグメント情報に対する信頼性が

16 広瀬義州「セグメント会計基準の論点」企業会計,第 48 巻第 4 号(1996 年 4 月),21 頁。

(21)

低下することであろう。報告セグメントの決定プロセスをブラック・ボック ス化させないためには,最初に認識された事業セグメントを開示させるべき であると思われる。認識された事業セグメントが開示されるだけでも情報利 用者にとっては,有用な情報となるのではないだろうか。もちろん,100 や 200 といった事業セグメントが認識される場合には,主なものに限るなどの 処置が必要であろうが,重要なことは,情報の透明性を確保することにある と思われる。現在は,報告セグメントが事業セグメントを集約したものであ るのか否かすら不明であり,報告セグメントの妥当性に関して疑念を抱かざ るを得ない。最初に認識された事業セグメントの開示を求め,同時に集約基 準をより厳密に解釈するように求めれば,セグメント情報の開示は,量的に も質的にも大きく変わる可能性があることから,早急な対策が望まれる。

あとがき

本稿では,日経平均 225 に採用されている企業を対象としたセグメント情 報の開示に関する調査結果に基づき,いくつかの知見および課題を明らかに した。本調査の対象は 196 社という限られた企業数であるという限界はある が,そこで得られた主な知見は次の通りである。

① 報告セグメントの種類は,製品・サービス別が圧倒的に多かった。

② セグメント情報非開示企業は,旧基準に比べて 9 増 4 減であり,マネジ メント・アプローチの効果はみられなかった。

③ 開示セグメント数は,マネジメント・アプローチの効果が若干あったが,

量的・質的変化は少なかった。

④ セグメント利益は,営業損益の開示が圧倒的に多く,セグメント資産の

開示は,新基準のネガティブな効果がみられた。

(22)

⑤ 関連情報は,ほぼ安全ネットの役割を果たしていた。

⑥ 所在地別セグメント情報の開示はきわめて少なかった。

⑦ ほとんどの企業は,セグメント情報を GAAP に準拠して作成していた。

また,主な課題としては,次の問題をあげて検討した。

① 旧基準で長く開示されてきた所在地別セグメント情報がほとんど開示さ れなくなったが,はたしてそれでよいのか。

② セグメント情報の開示目的が新基準と旧基準では異なるが,その理解が 不十分なのではないか。

③ 報告セグメントの決定における集約基準の解釈が曖昧であり,決定のプ ロセスが不透明である。

①に関しては,わが国においても新基準実施後のレビューを行う必要があ ることを指摘した。また,②に関しては,セグメント情報の開示目的に関す るさらなる説明の必要性を指摘した。③に関しては,すべての事業セグメン トを開示することおよび集約条件のより厳密な解釈により報告セグメントの 透明性を高めることを主張した。

最初に述べたように,セグメント情報の新基準が公表された理由の 1 つは,

会計基準のコンバージェンスの必要性からであった。おそらく,今後も会計 基準のコンバージェンスは引き続き行われるものと思われるが,そうである ならば,IASB が行ったように,わが国においても新基準実施後のレビュー は必要であると思われる。コンバージェンスの対象である IFRS が IASB に より実施後レビューされて不具合がないか点検されているにもかかわらず,

同じく新基準を導入した(またはする)わが国においてレビューが行われな いというのは,不適切であるといわざるを得ない。新基準の実施とその後の レビューまでを一体として考えるべきであると思われる。

また,本稿で検討したように,報告セグメントの決定は,セグメント情報

の有用性を大きく左右するものであることから,その透明性の確保はきわめ

(23)

て重要な問題である。実際,調査した結果,新基準は十分な効果を上げてい ないと考えられる。新基準をより効果的に運用するためにも,早急な対処が 望まれる。

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TOTO 株式会社 2011.3.31

旭化成株式会社 2011.3.31

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アサヒグループホールディングス株式会社 2011.12.31

味の素株式会社 2011.3.31

アステラス製薬株式会社 2011.3.31

アルプス電気株式会社 2011.3.31

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いすゞ自動車株式会社 2011.3.31

宇部興産株式会社 2011.3.31

エーザイ株式会社 2011.3.31

王子ホールディングス株式会社 2011.3.31

オークマ株式会社 2011.3.31

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沖電気工業株式会社 2011.3.31

小田急電鉄株式会社 2011.3.31

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花王株式会社 2011.3.31

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株式会社 T&D ホールディングス 2011.3.31

株式会社あおぞら銀行 2011.3.31

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株式会社エヌ・ティ・ティ・データ 2011.3.31

株式会社荏原製作所 2011.3.31

株式会社大林組 2011.3.31

株式会社クラレ 2011.3.31

株式会社クレディセゾン 2011.3.31

株式会社神戸製鋼所 2011.3.31

株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション 2011.3.31

株式会社ジェイテクト 2011.3.31

株式会社静岡銀行 2011.3.31

(26)

株式会社資生堂 2011.3.31

株式会社商船三井 2011.3.31

株式会社新生銀行 2011.3.31

株式会社スカパー JSAT ホールディングス 2011.3.31 株式会社セブン & アイ・ホールディングス 2012.2.28

株式会社大和証券グループ本社 2011.3.31

株式会社高島屋 2012.2.28

株式会社千葉銀行 2011.3.31

株式会社デンソー 2011.3.31

株式会社電通 2011.3.31

株式会社東京ドーム 2012.1.31

株式会社トクヤマ 2011.3.31

株式会社ニコン 2011.3.31

株式会社ニチレイ 2011.3.31

株式会社日清製粉グループ本社 2011.3.31

株式会社日本製鋼所 2011.3.31

株式会社日本製紙グループ本社 2011.3.31

株式会社ファーストリテイリング 2011.8.31

株式会社ふくおかフィナンシャルグループ 2011.3.31

株式会社フジクラ 2011.3.31

株式会社ブリヂストン 2011.12.31

株式会社丸井グループ 2011.3.31

株式会社マルハニチロホールディングス 2011.3.31 株式会社みずほフィナンシャルグループ 2011.3.31 株式会社三井住友フィナンシャルグループ 2011.3.31 株式会社三越伊勢丹ホールディングス 2011.3.31 株式会社三菱 UFJ フィナンシャル・グループ 2011.3.31 株式会社三菱ケミカルホールディングス 2011.3.31

株式会社明電舎 2011.3.31

株式会社安川電機 2011.3.20

株式会社横浜銀行 2011.3.31

株式会社りそなホールディングス 2011.3.31

川崎汽船株式会社 2011.3.31

川崎重工業株式会社 2011.3.31

関西電力株式会社 2011.3.31

キッコーマン株式会社 2011.3.31

協和発酵キリン株式会社 2011.12.31

キリンホールディングス株式会社 2011.12.31

京王電鉄株式会社 2011.3.31

京成電鉄株式会社 2011.3.31

国際石油開発帝石株式会社 2011.3.31

(27)

コニカミノルタホールディングス株式会社 2011.3.31 コムシスホールディングス株式会社 2011.3.31 サッポロホールディングス株式会社 2011.12.31

塩野義製薬株式会社 2011.3.31

シチズンホールディングス株式会社 2011.3.31

清水建設株式会社 2011.3.31

シャープ株式会社 2011.3.31

昭和シェル石油株式会社 2010.12.31

昭和電工株式会社 2010.12.31

信越化学工業株式会社 2010.12.31

スズキ株式会社 2011.3.31

住友大阪セメント株式会社 2011.3.31

住友化学株式会社 2011.3.31

住友金属鉱山株式会社 2011.3.31

住友重機械工業株式会社 2011.3.31

住友電気工業株式会社 2011.3.31

住友不動産株式会社 2011.3.31

積水ハウス株式会社 2012.1.31

セコム株式会社 2011.3.31

全日本空輸株式会社 2011.3.31

双日株式会社 2011.3.31

ソニーファイナンシャルホールディングス株式会社 2011.3.31

ソフトバンク株式会社 2011.3.31

第一三共株式会社 2011.3.31

第一生命保険株式会社 2011.3.31

ダイキン工業株式会社 2011.3.31

大成建設株式会社 2011.3.31

大日本印刷株式会社 2011.3.31

大日本スクリーン製造株式会社 2011.3.31

大日本住友製薬株式会社 2011.3.31

大平洋金属株式会社 2011.3.31

太平洋セメント株式会社 2011.3.31

太陽誘電株式会社 2011.3.31

大和ハウス工業株式会社 2011.3.31

宝ホールディングス株式会社 2011.3.31

武田薬品工業株式会社 2011.3.31

中外製薬株式会社 2011.12.31

中部電力株式会社 2011.3.31

千代田化工建設株式会社 2011.3.31

帝人株式会社 2011.3.31

テルモ株式会社 2011.3.31

(28)

電気化学工業株式会社 2011.3.31

東海カーボン株式会社 2011.12.31

東海旅客鉄道株式会社 2011.3.31

東急不動産株式会社 2011.3.31

東京エレクトロン株式会社 2011.3.31

東京海上ホールディングス株式会社 2011.3.31

東京瓦斯株式会社 2011.3.31

東京急行電鉄株式会社 2011.3.31

東京建物株式会社 2011.12.31

東京電力株式会社 2011.3.31

東ソー株式会社 2011.3.31

東武鉄道株式会社 2011.3.31

東邦亜鉛株式会社 2011.3.31

東宝株式会社 2012.2.29

東洋製罐株式会社 2011.3.31

東洋紡績株式会社 2011.3.31

東レ株式会社 2011.3.31

凸版印刷株式会社 2011.3.31

豊田通商株式会社 2011.3.31

トレンドマイクロ株式会社 2011.12.31

西日本旅客鉄道株式会社 2011.3.31

日揮株式会社 2011.3.31

日産化学工業株式会社 2011.3.31

日産自動車株式会社 2011.3.31

日清紡ホールディングス株式会社 2011.3.31

日東紡績株式会社 2011.3.31

日本曹達株式会社 2011.3.31

日本板硝子株式会社 2011.3.31

日本碍子株式会社 2011.3.31

日本化薬株式会社 2011.3.31

日本軽金属株式会社 2011.3.31

日本水産株式会社 2011.3.31

日本精工株式会社 2011.3.31

日本たばこ産業株式会社 2011.3.31

日本通運株式会社 2011.3.31

日本電気株式会社 2011.3.31

日本電気硝子株式会社 2011.3.31

日本郵船株式会社 2011.3.31

パイオニア株式会社 2011.3.31

東日本旅客鉄道株式会社 2011.3.31

日立建機株式会社 2011.3.31

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日立造船株式会社 2011.3.31

日野自動車株式会社 2011.3.31

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富士通株式会社 2011.3.31

富士電機株式会社 2011.3.31

古河機械金属株式会社 2011.3.31

古河電気工業株式会社 2011.3.31

平和不動産株式会社 2011.3.31

北越紀州製紙株式会社 2011.3.31

松井証券株式会社 2011.3.31

マツダ株式会社 2011.3.31

三井化学株式会社 2011.3.31

三井金属工業株式会社 2011.3.31

三井住友トラスト・ホールディングス株式会社 2011.3.31

三井造船株式会社 2011.3.31

三井不動産株式会社 2011.3.31

三菱地所株式会社 2011.3.31

三菱自動車工業株式会社 2011.3.31

三菱重工業株式会社 2011.3.31

三菱製紙株式会社 2011.3.31

三菱倉庫株式会社 2011.3.31

三菱マテリアル株式会社 2011.3.31

ミツミ電機株式会社 2011.3.31

ミネビア株式会社 2011.3.31

明治ホールディングス株式会社 2011.3.31

ヤフー株式会社 2011.3.31

ヤマトホールディングス株式会社 2011.3.31

ヤマハ株式会社 2011.3.31

ユニーグループ・ホールディングス株式会社 2012.2.20

ユニチカ株式会社 2011.3.31

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(五十音順)

参照

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