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プロジェクト研究 「児童養護施設における 被虐待児 の対応について」 *

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本プロジェクトの研究の目的

児童養護施設等では, 被虐待児の入所数が増えており, 対応に苦慮するという声を頻繁に聞 くようになった。 被虐待児のケアそのものも問題だが, 被虐待児のケアをする側のsecondary traumatic stressの問題, すなわち, 被虐待児に関わる保育士たちが, 子どもとの関わりのな かで心理的に傷ついている現状 (森田喜治, 2001) も看過出来ないものとなっている。 現場の 施設職員と共に, 施設における被虐待児の対応を具体的に検討していくことを本プロジェクト 研究の目的とする。 被虐待児童の具体的な問題を検討し, 実務に直結した対応法を模索する。

また, 施設職員との研究会 (講演会) と事例検討会を行うことによって, 本学と埼玉県内の福 祉施設との連携関係を深め, 一種の産学協同体制作りをすることも本研究のねらいの一つとし た。

プロジェクト研究期間 平成12年10月〜平成14年3月

プロジェクト研究 「児童養護施設における 被虐待児 の対応について」

村尾 泰弘 (代表)

**

石井富美子

***

杤尾 勲

****

大竹 智

*****

爾 寛明

******

安藤 健一

*******

大和田明見

********

大村 智重

*********

勝田 雅実

**********

*A Report of the Research Project, On the Treatment of Abused Children in Nursing Institution

**Yasuhiro MURAO (立正大学社会福祉学部人間福祉学科)

***Tomiko ISHII (立正大学社会福祉学部人間福祉学科)

****Isao TOCHIO (立正大学社会福祉学部人間福祉学科)

*****Satoru OTAKE (立正大学社会福祉学部人間福祉学科)

******Hiroaki SONO (群馬社会福祉大学)

*******Kenichi ANDO (関東福祉専門学校)

********Akemi OWADA (立正大学大学院社会福祉学研究科修士課程2年)

*********Tomoe OMURA (立正大学大学院社会福祉学研究科修士課程2年)

**********Masami KATSUTA (立正大学大学院社会福祉学研究科修士課程2年)

キーワード:虐待, 児童養護施設, バーンアウト, 被虐待児

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プロジェクト研究方法

①事例研究, ②児童養護施設等の職員との研究会, ③調査研究という三つの観点から研究を 進めた。 本プロジェクト研究員と施設職員との集まりを講演会と事例研究として開催し, その 一方で, 本プロジェクト研究員によるアンケート調査のためのプロジェクト研究会議を行った。

詳細は研究経過を参照。

事例研究

施設職員が実際にかかわってきたケースを素材に, 埼玉県内の施設職員とともに事例研究を 行う。 児童養護施設等における被虐待児の対応について, 困難な点を整理するとともに, より よい対応を検討することを目的とした。

児童養護施設等の職員との研究会

当大学に児童虐待研究者を招いて講演会を開催する。 施設職員とともに虐待についての研究 会を行い, その理解を深めることを目的とした。

調査研究 (児童養護施設等職員の被虐待児の処遇と職務に関する意識調査)

埼玉県内の児童養護施設 (17施設) を対象に, 対応が難しい被虐待児のイメージ, 処遇の実 態等を明らかにすることを目的とした。

研究経過

事例研究

事例の秘密性を考慮し, 事例提供者の所属施設の名称は割愛した。

第1回 虐待事例検討会

日 時:平成13年4月26日 午後3時〜5時

場 所:立正大学 熊谷キャンパス 5号館 5205教室 事例提供者:大塚良一

第2回 虐待事例検討会

日 時:平成13年6月28日 午後3時〜5時

場 所:立正大学 熊谷キャンパス 5号館 5205教室 事例提供者:荒木浩二

第3回 虐待事例検討会

日 時:平成13年10月11日 午後3時〜5時

場 所:立正大学 熊谷キャンパス 5号館 5205教室

事例提供者:古賀裕巳

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第4回 虐待事例検討会

日 時:平成13年11月15日 午後3時〜5時

場 所:立正大学 熊谷キャンパス 5号館 5205教室 事例提供者:根岸 昇

各事例研究では以下のような視点から討論が展開された。

・被虐待児の暴言・暴力への職員としての対応

・職員間の役割機能の分担

・共同生活の場としての施設生活の維持と被虐待児への治療的対応

・心理的な対応と生活処遇

・措置変更の判断基準をどのように考えるか

・被虐待児を家庭復帰させる場合の判断基準をどのように考えるか

・児童相談所やその他の関係機関との連携

その後, ケース提供の4施設の職員とプロジェクト研究メンバーが集まり, フォローアップ のためのケース検討会を開催した。

第1回 フォローアップ事例検討会

日 時:平成14年7月15日 午後6時〜8時

場 所:立正大学 熊谷キャンパス 9号館 第2会議室 事例提供者:古賀裕巳

第2回 フォローアップ事例研究会

日 時:平成13年9月9日 午後2時〜6時

場 所:立正大学 熊谷キャンパス 9号館 第2会議室 事例提供者:大塚良一 根岸 昇

児童養護施設等の職員との研究会 第1回 虐待講演会

日 時:平成13年3月13日 午後3時〜5時 テーマ:臨床心理学からみた 「虐待」

場 所:立正大学 熊谷キャンパス 6号館 6101教室 講 師:上智大学 助教授 横山恭子

臨床心理学の見地から, トラウマやそれに関係する問題, 例えば, 解離現象, フラッシュバッ

クなどについて概説された。 被虐待児の特徴や被虐待児への心理療法的なかかわりについての

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詳細な解説, また, 箱庭の事例など, 具体的なケースの紹介と具体的な対応についての説明が なされた。

第2回 虐待講演会

日 時:平成13年5月22日 午後3時〜5時 テーマ:「虐待」 と 「福祉」

場 所:立正大学 熊谷キャンパス 8号館 8101教室 講 師:日本社会事業大学 教授 高橋重宏

虐待のとらえ方の歴史的な変遷と新たな枠組としてマルトリートメントという考え方が紹介 され, そのうえで虐待の現状が説明された。 施設職員にとって, 今後の課題は何か。 特に児童 養護施設に今後求められるものが法改正でどうなるのか。 これら虐待問題の現状と課題につい て問題点の理解が深められた。

第3回 虐待講演会

日 時:平成13年7月9日 午後3時30分〜5時 テーマ:弁護士の視点で虐待を考える

場 所:立正大学 熊谷キャンパス 8号館 8101教室 講 師:弁護士 小笠原彩子

児童虐待と救済のための法的システム, 司法介入が必要となるのはどのような場合か, 虐待 の定義と禁止行為, 児童福祉法28条にかかわる事例など, 具体的なケースの紹介とその検討が あった。 虐待の証拠を記録に残すにはどうすれば良いのか等, 施設職員として理解すべき法的 な問題が具体的に解説された。

第4回 虐待講演会

日 時:平成13年9月20日 午後3時00分〜5時 テーマ:被虐待児の心理とその対応

場 所:立正大学 熊谷キャンパス 8号館 8101教室 講 師:大阪大学 助教授 西澤 哲

講演者自身が施設職員の経験を有することから, 具体的に虐待問題が掘り下げて解説された。

被虐待児と職員はどのような関わりを持つべきか。 現在一般に行われているかかわりの問題は

どのような点にあるのか。 施設という生活場面の中で治療的な介入をすることの難しさを踏ま

え, セラピューテイック・ホールディング (therapeutic holding), ライフスペース・インタ

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ビュー (life space interview) など施設の中でのケアについてわかりやすく解説された。

以上のように, 講演会を通して, 職員と研究者が共に, 生活, 心理, 法律, 制度など多角的 な視点から虐待についての理解を深めた。

調査研究

平成13年3月13日 午前10時〜12時 統計基礎講座 場所:立正大学 熊谷校舎 9号館2階談話室 講師:山田裕紀子

アンケート調査のコンピューター処理に向けての準備として, 本プロジェクトメンバーの大 学院生等を対象とした講義が行われた。

平成13年5月22日 午後5時

虐待講演会に参加した施設職員対象に, 虐待についてのパイロット調査を施行。

アンケート用紙作成についてのプロジェクト研究会議 平成13年6月5日 午後6時〜8時

平成13年7月10日 午後6時〜8時

平成13年7月24日 午後6時30分〜8時30分 平成13年8月7日 午後3時〜5時

平成13年8月30日 午後4時〜6時 平成13年9月29日 午後6時〜8時 平成13年10月2日 午後6時〜8時 平成13年10月20日 午後3時〜5時

平成13年10月23日 予備調査

平成13年11月30日 三愛学園訪問 (石井・大竹)

埼玉県児童養護・児童自立支援施設協議会 高瀬会長に調査協力依頼 平成13年12月20日 アンケート用紙完成

平成13年12月26日 アンケート用紙発送に向けての準備

平成14年1月7日 アンケート調査用紙発送 (埼玉県内児童養護施設17施設) 3月までに回収を終了

アンケート分析等に関するプロジェクト会議

平成14年8月5日 午後3時〜5時

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平成14年9月24日 午後7時〜9時 平成14年10月7日 午後7時〜10時 平成14年10月15日 午後7時〜9時 平成14年10月22日 午後7時〜9時 平成14年11月19日 午後7時〜9時

学会発表

社会福祉学会第50回大会 (平成14年10月27日)

立正大学社会福祉学会第4回大会 (平成14年11月9日)

日本子どもの虐待防止研究会 (平成14年12月14日)

日本子ども家庭福祉学会第4回全国大会 (平成15年6月7・8日) 予定 研究報告の構成

第1部 事例研究

A. 事例研究の概要の報告

事例1 職員の役割分担で対応したケース

事例2 粗暴・逸脱行動に関係機関との連携を重視して取り組んだケース 事例3 父親 (虐待親) との対応が課題となったケース

事例4 境界性人格障害の母親をもち, 粗暴行動を繰り返すD子 B. 4つの事例全体を通しての考察

第2部 調査研究

A. 埼玉県の児童養護施設の概要と現況 B. 児童養護施設職員の現況と意識

1. 職員のバーンアウト 2. 職員の被虐待児のイメージ C. 被虐待児の現状と対応

1. 虐待の状況

2. 被虐待児の行動とその対応

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第1部 事例研究

A. 事例研究の概要の報告

我々は埼玉県内すべての児童養護施設に研究会の呼びかけを行い, 4回の事例研究を行った。

事例提供を募ったところ, 4つの児童養護施設からそれぞれ1事例の提供があった。 事例研究 後, 約1年の後に, 事例提供施設とプロジェクト研究メンバーが集まり, ケースの追跡研究を 行った (事例1を除く)。

4つの事例の概要および事例研究での討論点, さらに討論を踏まえたうえでのその後のケー ス研究対象児童の行動の変化, 職員の対応の改善点, 職員の感想など, ケース報告を記載する。

事例1:職員の役割分担で対応した事例

父母から虐待を受けたケースである。 とりわけ母親からの虐待が問題となった。 多動で落ち 着きのない子どもに対し, 父母は体罰などを繰り返した。 するとますます子どもは多動となり, 家出を繰り返すという悪循環を起こした。 母親は本児に対し, 生理的な嫌悪感を感じるように なり, 虐待がエスカレートしていった。

被虐待児:A (10歳, 小4, 男子) 1. 措置理由と家族構成

児童養護施設に入所するまでの経緯・措置理由

Aは幼少期から落ち着きがなく, 動き回るので, 母親はAを見ると無性に嫌悪感を感じるよ うになった。 「生理的嫌悪がある」 (母親)。 罰として日中, Aを遊びに出さず, 2時間以上の 勉強を強要。 体罰も頻繁にあった。 Aは弟や妹との接触を禁止され, 風呂場で一人で過ごさせ られる。 一家で買い物に行ってもAだけは車内で待つように指示されるなど, 心理的な虐待も 加えられた。

8歳の夏頃から家出 (家からの飛び出し) が始まる。 そのため, 両親は鍵を二重にするなど の工夫するが, 学校からも飛び出し, 電車・バスの無賃乗車, コンビニやスーパーマーケット, カラオケ・ボックスに入り浸る。 親が連れ戻し, 体罰を加えると, また飛び出すという悪循環 を繰り返した。

冬に入って, 両親は鍵をすべて施錠して, Aだけを家に残して外出すると, Aは6階のベラ ンダのサッシを開け, 階下のベランダへとびだし, 近所が大騒ぎとなった。 母親としても 「万 策尽きた。 これ以上は限界。」 として, 児童相談所に施設入所を求めた。

家族構成

父親 (会社員, 37歳), 母親 (32歳, 専業主婦),

A (10歳), 弟 (6歳), 妹 (4歳) の5人家族。

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父親は本児が家からの飛び出しを頻発するようになってから, 勤務先を自宅にやや近いとこ ろに変えてもらった。 人当たりは悪くないが対人接触は苦手な方である。

母親は専業主婦。 以前の住まいでは近隣とのトラブルも多く, 感情が不安定で爆発しがちだっ た。 本児には生理的嫌悪がある。

2. Aの生育歴

「生後11ケ月頃, ぼーとすることがしばしば認められた」 (母親)。 長男ということで周囲か らの期待も大きかった。 しかし, 軽い障害があることが判明。 母親は 「裏切られた」 という思 いが募ったという。 医療不信から両親の障害受容がすすまない。 4歳の時に, 病院を変え, 母 親は病院の対応に暖かみを感じたという。 4歳の時に, 弟が産まれた。 6歳の時に, 妹が産ま れた。

小学校は普通学級に入学したが, 落ち着きがなく先生の言うことを聞けない。 同級生に暴力 をふるうと教師から指摘されるようになる。

「弟はかわいいが, 本児はかわいく思えない」 (母親)。 本児は家からの飛び出しを繰り返す ようになる。 母親はしばしば 「本児を殺して自分も死にたい」 と不安定な状態となった。 父親 は2ケ月の看護休暇を取り母親や本児に対応するが, 本児に暴力をふるってしまうという悪循 環を形成する。 限界を感じた父親は児童相談所に相談し, 本児は一時保護となる。

小学校2年時, 本児は別の学校の特殊学級へ転校する。 母親は一時的に落ち着きを取り戻す が, やはり, 本児への拒否感はぬぐえず, 教育委員会系の機関から, 親の養育態度に問題があ るとして, 児童相談所に連絡が入る。 児童相談所がかかわるが, 母親の本児への拒否感情が強 く, 父親の暴力も度重なるため, 小学校4年生時, 児童養護施設入所となった。

3. 入所時の心理所見

発達遅滞軽度〜境界線 療育手帳C

本児はこだわりが強く一方的に自分のペースで進めていくために対人関係がとりづらい。 ま た, 話や行動も一見, 年齢相応的な態度ではあるが, 対話や行動の中身は伴わず通じづらい。

しかも一方的では人懐こく, 話の焦点が合う時もあるので知的に遅れているとは受け取られに くい面ももつ。

母子関係が悪く, また本児の状態からみて母親の感情を逆撫でして虐待におよぶ危険はかな りあるように思える。

4. 入所後の行動

Aは職員に 「家に帰りたい」 と頻繁に訴えた。 「僕が悪かった。 行動を直すから家に帰して」

という。 Aは入所時はしっかりした子どもとの印象を受けた (職員) というが, やがて暴力を

頻繁ふるうようになる。 学校の担任教師, 同室の子ども, 保育士などに暴力をふるう。 また,

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学校や施設からの飛び出しを繰り返すようになった。

周囲の子どもと遊ぶことができず, 会話はもっぱら職員とするのがほとんどであった。 Aは 子どもたちとの関係で自分の思い通りにならないと力ずくで解決しようとし, 仲裁に入った職 員や教師に対しても暴力をふるう。 女子に対して首を絞めたりする行動が出る。

一方, 父母の面会は定期的にあったが, 母親は本児に積極的関わろうとしなかった。

5. 問題のとらえ方

被虐待児には自分の受けた虐待行為の反復として暴力を繰り返すことがしばしばある。

Aは自分よりも弱い者の首を絞めたりしたが, A自身が母親から首を絞められた経験がある ことが後に判明した。 このことを取り上げても, Aの暴力には自分が受けた虐待行為の反復的 な意味があると考えられる。

6. 職員の対応

このケースでは職員が役割分担をすることで対応した。 女性職員Aが母性的役割をとり, 指 導員 (男性) が父親的な役割をとった。 暴力的な行為には職員全員で制止するようにし, 保育 士の手に負えない時には指導員をすぐ呼ぶ。 Aは徹底的に受容的な役割をとった。

子どもへの対応としては, 同室に, 年長のしっかりした小6生 (男子) を配置し, Aが暴力 的になった時は, けんかをしないですぐに逃げて職員の所に来るようにと指導し, それを受け て職員が対応するという体制を整えた。

この繰り返しによって職員と児童との信頼が深まり, 感情的にならず筋道を通した行動をと れるように指導していった。 効果は1年後くらいから現れ始めた。 興奮した時は話が聞き入れ られず自己主張のみだったが, 落ち着くと自分の悪いところを認めて ごめんさい と謝れる ようになった。 現在は精神科の投薬も止めるに至っている。

7. ケースの経過を振り返って

事例検討会において, 次のような指摘があった。

職員の役割分担と全員体制を整えたこと

上述したような役割分担と施設全体としての対応を整備することは重要であり, このことが 効果を上げたと考えられる。 この手法は他の施設でも適用してみる価値があろう。

母親の問題と子どもの問題

本児の場合, 多動やこだわり行動の背景には, 軽度の広汎性発達障害の問題があると考えら れる。 コミュニケーションのむずかしさ, 常識的な育児や対応が健常児のように効果が上がら ない。 このような本児側の問題, すなわち 「育てにくさ」 と母親の問題が悪循環を起こして虐 待という問題へと発展していったと考えられる。

虐待の場合, 被虐待児の方に発達障害的な問題がある場合がしばしば認められる。 常識的な

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育児が通用せず, 母親が心理的に追いつめられていく。 それが悪循環を起こし, 虐待へと展開 していく場合である。 このような場合は, 母親を一方的に責めるのではなく, 母親の 「いかに 育児に努力し, それがうまくいかずに追いつめられてきたか」 という心理を汲み取っていくこ とも必要となる。 そのステップを踏まずに母子間の調整をはかることは難しいと考えるべきで あろう。

事例2:粗暴・逸脱行動に関係機関との連携を重視して取り組んだケース

入所して約1年が経過した時点で取り上げたケースである。 入所当初は, 虐待よりも不登校 が問題としてあげられていた。 しかし, ケースとつきあっていく中で, 不登校の心理的ベース になっているのは何か, 母親との関係の稀薄さは何か, 本人の性格の中に顕著に見られる強い 者には屈し, 弱い者は従えるといったものは何か, 本児の弱いものに対する暴力は何か等が問 題となり, それらの中に, 何か本児特有の問題があるのではないかと感じ始めてきたきたとこ ろであった。

ケースのネットワークづくりについては, 当初, ケースと関わりのある小学校と施設との話 し合いを中心に本児の問題点, 対応策を検討してきた。 その後, プロジェクト研究メンバーも 参加し, また, 児童相談所, 母親も含めケース検討会を広げ, ケースの問題をそれぞれの共有 のものとしていった。

被虐待児:B (10歳, 小4, 男子) 1. 措置理由と家族状況・ケース概況

ケース状況

・平成11年12月14日入所。 10歳, 小学校4年生, 男子。

・不登校の影響で教科学習的レベルは小2程度, やや大柄な児童。

・幼児語を使ったり, 急に自分に閉じこもったり感情のコントロールが難しく, いろいろな情 報収集をしたがる。

入所の主訴

不登校。 本児, 及び姉が母方祖父母宅で生活していたが, 不登校状態が続いており, 家から もほとんど出られない状況になってしまったため。

家族の状況

・両親離婚。 親権者は母親, 父親は現在行方不明。

・幼少時から実父からの身体的暴力を受けていた。

・父母離婚後, 母親は別な男性と生活を始め, 本児と姉を引き取ったが, 本児らと男性との折

り合いが徐々に悪くなり, 本児は同男性から身体的暴力などの虐待を受けるようになった。

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・その後, 実父が本児らを引き取る。 しかし, 父親は当時鳶職をしていたが仕事は休みがちに なり, 経済的に苦しくなり, 家賃滞納で住居を追い出され, それ以降, 実父は本児らを遺棄 し, 行方不明となった。

・結局, 母方実家に本児, 姉が引き取られるが, まもなく不登校状態になり入所の相談となっ た。

2. 入所後の主な問題点

入所当初

・施設内の生活では, おとなしくしていることが多く, 他の児童を観察しているようにみられ る。 また, 自分にとって不利益な児童が居室に入ってくると一人で過ごし回避しているよう な様子が見られる。 同学年の児童との喧嘩がみられ始める。

・学校では, 集団生活を経験していなかったせいか, 髪の毛を切ってきた日は教室に入れない など些細なことが気になる。

その後の問題行動

・体育の着替えが出来なくなり, 体育は見学となる。

・教室に入れなくなり, 学校から飛び出すこともある。 制止しようとするとパニックになって しまう。 抵抗する, 目つきが変わってか寡黙状態になる。 (このころから学校と施設との話 し合いが始まる)

・施設では, 生活に慣れ, 年少児童に対して威圧的に振る舞うことが多くなってくる。 学校で は早退が多くなり, 遠足で, 小2の男子に眼をつけたといって殴り蹴る。

・洗い場で遊んでいた, 小2の男子を本児が注意したら横柄な態度を取られたことにかっとき て突き飛ばす。 蛇口に眉間が当たり怪我をする。 また, 終業式の日に本児と一番仲の良かっ た児童を殴ってしまう。 他児童からも本児を特別扱いしていることに対する疑問が出てくる。

・5年生になり, 喫煙の発覚や, 女子児童の首をとっさに絞めるなどの行為がみられだす。 ま た, 地域の女子児童に対して, ロープを巻きつけ故意ではないが, ロープが首に達し顔が赤 くなったことがある。

3. 事例発表時 (平成13年) の指摘, 課題事項

典型的な虐待ケースである。 父親や母親のパートナーから虐待を受けたことが大きな問題 だが, それに加えて, 母親に守られていないということが, 本児にとって大きな心の傷となっ ていると思える。 母親は, 面会に来ても本児とほとんど関わろうとしない。 母親へのアプロー チが必要ではないか。 母親との面談を含めた対応が必要と思える。

集団規範に対する逸脱行動に対しては厳しく接する, いわば父親役と, 母性的なケアをし, 自分を守っていくれる母親役の役割分担が有効ではないか。 また, 非行傾向の子どもには,

「こんな男になりたい」 いう男性モデルとなる兄的な存在が必要と思える。

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評価できる点としては, 協力関係を持ち不登校にならずに学校に行けている点である。 継 続関係を保ちながら, 本児が起こす事項に対して対処していくしか方法しかないと思える。

4. その後の対応

・母親との面接 (5月10日)

上記事例発表の結果を受けて, 児童相談所にて母親との面談を実施。 母親, 児童相談所ケー スワーカー, 本施設職員で, 児童相談所で実施。

本児の暴力について母親に説明。 母親は当初本児が他の児童から暴力を受けていたと思って いたよう。 「父親と同じ」 との言葉があり父親の虐待の様子を語る。

(父親の虐待の状況)

・父親からはよく頭のてっぺんをぶたれていた。 父親はよく本児に 「目を殴られたら鼻を殴れ」

と教えていた。

・父親の暴力は姉にはなく, 母親は夜中子供達と素足で逃げ出したこともあるとのこと。

・母親は父親が帰ってくる前に子供達のお風呂等については全部すませていた (父親の怒りを かわないため)

・父親は酒を飲んで暴力行為を行ったとのこと。 また, 次の2点のごたごたがあったことを話 す。

① 母親は父親との生活が居たたまれず, 両親の元に逃げた。 子供は父親の元においてきた が, 本児だけ隙を見て連れてきた。 父親が母親のところに来て刃物を持って脅したので警 察が介入したとのこと。

② 子供達が父親と暮らしたいとの意向を出したので, 父親と生活を本児が始めた。 そのう ち父親が働かなくなり, コンビニの期限切れ弁当を食べたり, 何もないときはソースを食 べていたとのこと。

・合同ケース会議実施 (平成13年6月3日)

プロジェク研究メンバーも参加し, 本児との関わりについて, 小学校, 本施設, 児童相談所 とケースカンファレンスを行った。

① 母親との面談の結果を説明し, 本児の生活場面, 学校での場面を確認し, 本児の対応を 検討した。

② プロジェクト研究メンバーからの指摘

・本児の場合, 暴力が選択的 (自分より強いものではなく, 弱いものに対して) に行われてい る。 無差別に暴力を振るうわけではないこと, 落ち着きのない行動についても同様である。

その点から, ADHDのような脳の器質的な問題よりも, 心理社会的な問題から, 暴力や多

動の状況が起こっているのではないか。 非行児童, 非行生徒にみとめられる状況によく似て

いる。

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・本児は保護者からの守られ体験の薄かった児童であるため, 母性的な守りが必要。 同時に, 共同生活のルールを守ることを教える (厳しさのある) 父親的な関わりも必要である。 さら に, 本児が自分の生き方のモデルとなるようなお兄さん的役割 (あるいはおじさん的役割) といった役割分担が必要ではないか。

③ カンファレンス

・母性的関わりについては, 学校の方で養護教諭になってもらう。 また, 施設内でも, 本児が 愛着向けやすい若い女性保育士が母親的な役割をとることになった。 男性モデルとなるよう な関わりについては担当指導員が, 強い父親的関わりについては, 主任指導員になってもら うことにした。

・本児に対して限度を超えた行動をとった場合, 養護施設に居られなくなることを説明しなけ ればならない。 これは施設側ではなく, 直接生活にかかわっていない児童相談所が行う。

・施設, 学校ともに本児に対して十分な愛情を持って接することを確認し, 今後も児童相談所 の心理カウンセリングを継続して行い, 再度, 母親を交えた合同会議を実施する方向で調整 することを決めた。

事例発表後の本児の経過

日 時 経 過 備 考

・取り組み ・スポーツ少年団で柔道を始める。

・週1回の小学校との話し合いは継続して行って いく。

・学校については以前と同様お昼過ぎには帰って きてしまう。

4月28日 ・他階の小学生女子の首を絞める。 ・首を絞められた女子もなぜ首を絞められたのか 分からず困惑している。

5月11日 ・学校にて同施設の児童の顔面を殴る。 ・殴られた児童は本児より弱い児童であり, バト ンが本児にぶつかったことで殴られる。

5月13日 ・同じ階の小学校一年生の首を絞める。 ・しめられた児童が怖くなり職員に訴えてくる。

6月30日 ・他階の小学1年生に膝蹴りを行う。

7月17日 ・職員女子に暴力 ・小さい子に対してからかいの言葉が出ていたの

で, 注意すると暴力をふるってくる。

7月19日 ・母親と3者面談 ・児童相談所にて, 本施設職員, 児童相談ケース ワーカー, 母親と行う。

・小さい子に対しての暴力を説明する。

7月27日 ・中学校3年生女子に対して暴力。 首 を持ち壁に押しつける。

・同じ階の本児に対する押さえ役の女子だったた め, その後, 本児に対して児童の恐がりが強ま る。

7月28日 ・小学校6年生に対しても同様の首締 めあり。

9月20日 ・職員に対して暴力あり。 ・いずれも小さい子に対して本児が過剰に接する ため注意を行った結果の暴力。

(女子職員の中に, 本児が攻撃的わがままを言 う職員が出来る)

9月22日 ・運動会 ・参加できず。

9月23日 ・職員に対して暴力あり

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5. ケースを振り返って

事例発表での指摘や, 本プロジェクトのケースカンファレンスでのアドバイスに従いケー スマネイジメントを実施してきたが, 本児の甘えや攻撃的な性格への対応に対して地域や学 校での受け入れが出来ない状況となり, 結果として児童自立支援施設への措置変更となった。

しかし, 本児は退所の時に 「当施設にまた戻ってくるから僕の行った先についてはみんな に知らせないで欲しい」 との言葉を残していることから, 施設でのかかわりは, 本児にとっ て決してマイナスではなかったと考えられる。

とりわけ, 母性的なかかわりをとった女性保育士は, 結果として本児から粗暴行動を一手 に引き受けた形となったが, 「母性的な役割をとっているという自覚があったので, 粗暴行 動を引き受けても, 気持ちが楽であった」 と述べている。 専門職としての観点から役割意識 を持ち, 組織全体でとりくむという姿勢が, 職員のバーンアウト (燃え尽き症候群) の解消 に有効であることが示唆された。

また, 児童自立支援施設に入所する段階で, 母親から 「自分で引き取りたい」 との言葉も 出るに至った。 これは, 本プロジェクトの事例検討会での指摘によって, 母親へのアプロー チを行った結果であると考えられた。

施設の現状から, 担当が3回替わるという事態があったが, 本児自身の頑張りもあり, 学 校, 施設職員全体が本児に対して, 愛情を持った接し方が出来たと思える。 これは, ネット

10月8日 ・職員に対して暴力あり

11月2日 ・高校生から無断でMDを購入 ・母親からお金が出されている。

12月22日 ・クリスマスプレゼントが気になり寝 られない

・プレゼントが気になり何度も担当に連絡してく る。

平成14年

1月12日 ・柔道でトラブル ・一緒に行っている小学生女子が, 他校の小学生 から本児が学校にいっていないかを聞かれ,

「行ってはいるよ」 と答えたためそれを聞いて いた本児が, その子に対して暴力をふるう。

1月27日 ・食堂にて暴れる ・些細な注意で物を投げたりするようになる。

1月29日 ・学校でガラスをわる。

2月27日 ・職員への反抗 ・卒業式が気になりイライラすることが多い。

2月27日 ・児童相談所にて3者面談を実施 ・本児の状況について説明。 施設内での問題なら よいが, 地域の児童に対する暴力が心配である ことを話す。

・母親から, 母親の弟の精神疾患について話され る。 また, 自らの鬱についても話される。

3月 ・卒業式には出られず。 学校側は校長室にて卒業

証書の授与式の準備をしてくれるが出られない。

終わってから, 本児のみ学校へ卒業証書を取り に行く。

4月 ・中学校に通う。

・地域の子への暴力。

・一時保護

・入学式, 野球部の部活動にも参加。

・一時保護後, 児童自立支援施設に入所となる。

(15)

ワークを張っているという安心感から来るものであり, この取り組みがなければ 「自分自身, つぶれていた (バーンアウト) かもしれない」 (職員) との声もあった。 役割分担, 他機関 との連携という組織的な取り組みの有効性が確認された。

事例3:父親 (虐待親) との対応が課題となったケース

虐待 (身体・心理・ネグレクト) のトラウマを抱えた深刻なケースである。 4人兄姉の三男 として入所してから約4年8ケ月経過しているが, 未だに親からの心理的影響を受けている。

児童福祉法28条を使っての争いも重なり親と児童相談所や施設が反目を繰り返してきた。 そ のため入所当初から, 父親が施設や学校周辺をうろついたりし, 面会や外泊等の要求や施設の ルールや処遇に対して無視や介入などの非常識さは際立ったものがあった。 そのため, 施設は 翻弄されてきた。 その間, 児童相談所を中心に様々な協議を保護者も含めて取り組んできたが, 十分な解決は見出せなかった。 しかし, 平成13年3月に長男の家庭引き取りが行われ, その後, 父親から施設への傍若無人な介入は減少した。

対象児童:C (10歳, 小4, 男子) 1. 措置理由と家族構成

措置理由

平成8年12月。 三男が父から身体的虐待の疑いにより入院 (翌日死亡)。 母は8月から家出 中であり, 本児等兄弟4人が放任されているため, 本児らは児童相談所に一時保護された。 そ の後, 両親の同意により, 平成9年1月29日入所となった。

家族構成

父親, 母親, 兄2人, 姉, 本児, 弟 (死亡), 妹

① 父親

父親が4才の頃, 祖父母 (父親の実父母) 離婚。 中卒まで父方実家で生活。 実家は卸問屋を 経営し, 富裕。 高校入学と同時に再婚した祖父に引き取られてK市で生活。 某国立大学卒業。

大学4年時, 就労ビザで来日中の親と知り合い南米A国で1年半ほど生活。 その後帰国。 定職 につかず母親がダンサーとして得た収入で暮らす。

昭和55年7月父母は婚姻。 母が育児に専念するようになっても父は働かず。 祖父が借金や家 賃滞納の後始末 (総額1千万円以上) をしたいという。 近所づきあいもなく, 夜に外出。 性格 は, 感情的になりやすく, 一方的。 相手の言葉じりをとらえて自己主張するなど弁がたつ。

② 母親

南米A国出身。 ダンサーとして就労していた件は否定している。 本児等への愛情はあり, 本

児等も慕っている。 父に批判的な発言もするが, こちら (児相) が伝えた事は父に筒抜けとな

(16)

る。

③ 兄 (長男)

高2 平成13年3月, 母親引き取り

④ 兄 (次男)

中2 本児と同じ施設に入所中

⑤ 姉 (長女)

中1 本児と同じ施設に入所中

⑥ 本児 (三男)

南米の病院で出生。 一時保護後 「両上下肢の循環不全」 と診断されるがその後回復。 四男と ともに家に閉じ込められていた様子。 父親から正座を強制された様子。 歩行が不安定。 言葉が 丁寧すぎる。 父親の影響と思われる。

「父親から暴力を受けたことや外出を禁止されていたこと, 正座姿勢の長時間強要, 食生活 の貧困さや経験の貧困さ」 や 「日常生活や社会生活にかかる基本的ケアが保護者から与えられ ていなかったこと, 人権の侵害, 入浴や散髪をさせない, 衣類の洗たくが不十分でそのため異 臭を漂わせることがあった。 外遊びの制限などがあったと考えられる。 (児相の調査等から)」

小さい時から親子間での健全な言葉のやり取りがなく, 親が一方的に話し, 命令するだけで あり, 外で遊ぶことも余りなかったなら, 人との会話や話題の深め方など学ぶ機会もなかった と考えられる。

⑦ 弟 (四男) 死亡

⑧ 妹 (次女)

2歳6ケ月 (母と同居) 2. 入所後の状況

処遇上の問題点 (入所時)

・多弁でよく話しかけてくるが, 一つの話題が展開することはなく, 話題が深まらないまま次々 に変わる。 言葉のキャッチボールができない。

・人の話をきちんと聞いているように見えない。 人が話をしているときに別の話をしてみたり, また上の空で聞いていて, 話したことを全然覚えていないこともある。 そのため同じような ことで何度も注意を受ける。

・落ち着きなく, おしゃべりで口うるさい。 人が話しているときに, 別のことをしてみたり, 上の空で聞いていて, 話したことを全然覚えていない。 排泄後の拭きが不十分等。

・医療機関への通所を始めたが, ドクターから 「毎週の外泊などで, 施設との二重生活を送っ ている。 そのため治療効果があがらない」 「治療効果をあげるためには外泊を減らすこと。

外泊が安心できる場として認識されていない」 と指摘された。

・毎日の夜尿, 遺糞, 遺尿がある。

(17)

・学校生活においては, 忘れ物が多く授業に集中できない, 授業の邪魔となる行為がある。

児童福祉法28条をめぐる紛争

本児の一時保護に対して父親は納得せず。 児相と父親は紛争状況となった。

平成9年5月 児相が児童福祉法28条の申し立てを家庭裁判所に行う。 5月, 家裁調査官が 調査のため来園。 家裁調査官の見立ては 「保護の不適切はあるが, 虐待との区別を確認するの は難しい。 特に子どもの身体に傷などは認められない。」 とのことであった。

平成9年12月 調査官と児相との協議。 調査官は 「審判は却下になる可能性が強い」 との意 見であった。 その後, 児相, 施設との話合い。 本児等に帰りたいか? 尋ねる。 おおむね帰り たいの 返答。 本児の様子は, 視線をあわせることなく, 物をいじくり回し, 脈略のないこと をしゃべりつづける。

平成10年1月 児相は児童福祉法28条の申し立てを取り下げる。 (家庭環境が整いつつあり 児相と父母間で家庭訪問や子どもたちの通所指導の約束等ができたため)

平成10年1月22日 いったん退所となる。 しかし, 2月23日再び入所となった。 理由は, 母 が親しくしているB国人と児相へ来所し, 保護願を出したため。 「父が本児に説教や正座など の強要を行い, 四男と同じになると感じたから」 (母親)。

父親は施設のルールにしたがわず, 「来たいときに来所し, 勝手に庭から本児と話をしたり する」 (職員)。 父親は施設に対して威嚇的な言動をとり, 毎週のように本児を帰宅させる。 施 設側は, 父親の対応に苦慮する。 特に28条を取り下げた以降, 保護者側の意見・理屈が優先さ れる状況となった。

親の価値観 (成績至上主義など) の押しつけやふるまいが, 時として他人への配慮に欠くこ とがあった。 また, 棟のルール (面会, 外出時間) が守られない。 そして子ども同士のけんか などにも, 父親は, 積極的に介入してくることがあった。 そのような状況のため他児への影響 も大きい。 本児等兄弟も親の言動・考えに傾斜して, 職員の話にはほとんど耳を貸さない状況。

親の都合で施設と家庭を上手く使い分けられている。 そのことで児相と対応を協議。 親に協力 と理解を求めたが, 受け入れられず。 児相を通して説得したが協力得られなかった。

平成13年3月に, 兄 (長男, 高2) が母宅に家庭引き取りになる。 それ以降, 父親の施設へ の身勝手な介入は減少した。 兄の家庭引き取りについては, 長兄は, 直接的には虐待と無関 係であると考えられたこと等からであった。

父母間のトラブル

本児入所以前から父母は別居しており, 入所以後も夫婦喧嘩や, 離婚騒ぎ, 出産, 母の海外 行き, 次女への虐待騒ぎ (その後児相の斡旋による住居を獲得) などの紛争が続き, 子どもた ちの情緒面に大きな影響を与えてきた。

現在も父母間で紛争は継続している。 平成13年3月に長男のみ引き取りになった以降は, 父

親の施設への身勝手な介入などはなくなった。 父母側に安心感が生まれ, 自立を促す効果となっ

たためとも考えられた。

(18)

3. 本児への援助について

施設内援助

次の点に留意して援助に努めた。

・衛生面の関わり

夜尿や便失禁があったが, それらについては, そのこと自体を注意するのではなく, パンツ に便を付けたままの状態では不快であり, 清潔が気持ちの良い状態にあることに習慣化でき るように努めた。

・安心感のある関わり

一緒に宿題や片付けや布団敷きなどを利用して, 職員との1対1の関わりを重ねながら, 安 心感を与えるとともに, 少しでもできたことには大いにほめた。

・緊急の場合を除き叱責はできるだけひかえながら, 本児が緊張しないように努めた。

・添い寝を通して安心感を育む関わりに努めた。

外部機関との連携

・平成11年2月から本児の情緒的な不安定さ, 落ち着きのなさ等の改善のため小児医療センター への通所を続けてきた。

・児相との連携し, 親の介入などに対して, 話合いを密に行った。

・学校とのかかわりでは, 下校時に 「親が直接本児等を連れ去る」 ことへの警戒 (入所当初) を留意した。

4. 施設として反省点, 評価できる点

心理治療および施設での援助による効果が上がった

・言葉のキャッチボールができるようになってきた。 安心感の積み重ねによる精神面の成長と 考えられる。

職員との視線を合わせ, 落ち着いての会話が成り立つことが増えた。

他児へのちよっかいや乱暴, 年下に対する威圧的態度が減ってきた。

・排泄などの衛生観念が修復されてきた。 夜尿以外は解決されてきつつある。

5. 事例検討会での議論

施設側は, 父親の身勝手な行動を適切に制御できなかった点を最大の問題点と認識しており, その点での不全感を強く感じている様子であった。 事例検討会の出席者 (施設職員) の多くは, 被虐待児の親の対応に苦慮した経験を持っていた。

威圧的, 暴力的な親に対してどのようにかかわるか, 施設でのルールを守らせるにはどうす ればよいか, が討論の中心となった。

議論は次のように集約できる。

(19)

身勝手な父親の行動を制御できなかったこと

本ケースでは, 児童福祉法28条の申し立てを児相が取り下げた経過もあって, 身勝手な父親 の言動, 施設のルールを無視する言動を制御できなかった。 その点で施設側は失敗感を強く持っ ていたが, しかし, もっと施設側の努力を評価すべきだという意見も出た。

実際, 父親は毎週のように本児を帰宅させたが, 毎回, 父親は本児をきちんと施設へ戻して いる。 そのことを考えると, 本児は施設で守られる体験を維持してきたわけであり, そのこと を施設側はもっと評価しても良いのではないか。 施設職員は事例研究ではとかく失敗点を取り 上げて自分を責める傾向があるが, もっと, 自分たちの仕事の評価できる部分に焦点を当てて も良いのではないか。 本児の問題点はかなり改善してきている。 入所当初は職員と言葉のキャッ チボールができなかった, 今ではコミュニケーションや基本的な生活習慣についてもかなりの 改善点が認められる。 具体的にどのような対応が良かったかを積極的に議論し, それを今後も 続けていくべきだととの指摘があった。

被虐待児の親へのケアがあまり行われていない現状

児童養護施設は被虐待児をケアする。 そして, 被虐待児が心身ともに安定してきた時点で家 庭へ戻すことが一般的に行われている。 しかし, 虐待する親への指導やケアはほとんど行われ ていないのが日本の現状である。 虐待は虐待する側の問題として捉えるべきであり, 被虐待児 はあくまで守るべき存在である。 しかし, 虐待する親への対応がほとんどなされていない現状 はいかにも不合理である。 児童相談所にも施設側にも余裕がなく, 親や家庭への対応まで手が 回らないのが現状といえる。

親のケアは児相がすべきか, 施設がすべきか

親へのケアが必要であるとしたならば, それは児相がすべきなのか, 施設がすべきなのか。

これについてはさまざまな考え方があるが, 今後さらに議論を深めていく必要があろう。 また 施設としても今後は親のケアも考えていくべきであろう。

事例4:境界性人格障害の母を持ち, 粗暴行動を繰り返すD子

本ケースは施設内で刃物で年少児を威嚇する少女のケースである。 D子の母親は境界性人格 障害でリスト・カットなど自傷行為を繰り返しており, 本児にとっては家庭に大きな負因があ る。 この母親自身, 自分の父親から性的虐待を受けており, 同人の子供を妊娠中絶した経験を 有している。

被虐待児でもある少女D子を施設としてどう守るか。 すなわち, D子へいかに治療的に関与 するかという問題に加えて, D子から刃物で威嚇される児童をどう守るかという, いわば利益 相反的な問題があり, 職員は苦悩を強いられた。

さらに母親の情緒不安定な生活態度や, 母親の男性関係もD子の生活に影響が大きく, それ

らをどのように考えればよいかで施設は困惑を深めた。

(20)

この事例をプロジェクト研究の事例検討会で取り上げた後, 施設では事例検討会での討論事 項を施設で報告し, 対応を検討, さらに, 児童相談所, 精神科医とも連携しながら, D子への かかわりを展開していった。

主要検討課題は, 1) 本人の年少児への攻撃的な言動をどのように理解したら良いか, 2) 家庭引き取りの方向で調整することは難しいかどうか, という2点だった。

本ケースは虐待に加えて, 施設の安全性, 家庭への引き取りの是非, 児童相談所や児童精神 科医とのかかわり, 措置変更等, 被虐待児の問題の多くの要素を包含している。 本ケースは被 虐待児との具体的な対応を考える上で示唆に富んでいると考えられたので, このケースの内容 と取り組みの経過をできるかぎり詳細に紹介する。

被虐待児:D子 (11歳, 小5) 身長158㎝ 体重62㎏

1. 措置理由と家族構成

措置理由

離婚 (夫の暴力) による母子家庭 (生活保護受給)。 母親が抑うつ状態・境界性人格障害・

アルコール及び薬物依存症で通院加療中, 姉の万引き・無断外出や本児の持ち出し・万引きに 対処仕切れずリストカット・大量服薬を繰り返し, 子どもを巻き込んでの希死念虜が強く, 母 親からもイライラ解消の為に一時保護の訴えがあり, その後施設利用の同意が得られた為に2 回目の入所となった。 H10年6月にも鎮痛剤の大量服薬で, 夜, 緊急入院を機に, 子どもへの 虐待・希死念虜が強いため病院から通告あり, 母子分離が必要として里親へ一時委託の上, 本 施設へ入所。

家族構成

・母親 46才 *実父 (酒乱) からの性的虐待 (妊振し, 中絶) を受け児童養護施設入所。

結婚19才 2人の男性と結婚・離婚歴3回

・実姉 15才中学3年 児童自立支援施設 在園中

・異父長兄 (27才), 次兄 (24才), 姉 (21才) がいるが, 母親が親権者。 引き取り後に再婚, 3人は里親委託。 不適応があり次兄・姉は他県の児童養護施設に入所していたらしい。

2. 心理所見 (H12.4)

*知的能力は正常域。 観察力もあり, 周囲の状況はよく理解できている。 しかし, 語彙が乏し く, 言語表現力はあまり豊かではない。

*情緒的にも, 自分の感情を外に出すことに抑制的。 過度に自分を抑えている面があり, 常識

的な対応は出来るものの, ストレスを相手を攻撃するような形で出すことは出来ず, 自罰的

(21)

になりやすい。

*感受性は備えており, 自分の中に甘えや援助を求めたい気持ちがあっても, それを受け入れ てはもらえておらず, その為本人の側でも表現できなくなり結果的に感じる怒りや寂しさが 自分を傷つけたり, 無意識的には身体化する形で出てきているように思われる。

*本人に対して心配りやケアを与えられておらず, 慢性的に 「愛情に飢えた状態」 になってい るように思われる。 保護所では 「餌をもらえない犬」 の絵を書いている。 その犬は黒く, 牙 をむいている。 怒りを感じ始めていても, まだ本人にはそれを適切に表現できない。

今回取り上げた事例の特徴は, 学校ではほとんど攻撃性・衝動性の問題行動がないこと, 親 へも表出されていないこと, そして医師や心理士へも充分表出されていないことである。 全て の行動化が生活の場である施設の最小単位ある居室の担当職員・子どもたちに向かっていると いうことである。

3. 入所後の経過〜年少児への攻撃的な言動を中心に

〈概略〉

本施設入所 (H12.6.19) 以来, 1年間4ケ月が経過したところであるが, 顔の表情・目つ きは穏やかになり, 職員への対応も, その場に応じて素直に受け応えるというわけにはいかな いものの, 攻撃的な言動も 「口ほどではない」 という印象が感じられるようになってきている。

このような生活の中で, 本人の対人関係形成における障害とも言える 「年少児 (幼児・小学 抵学年生) への自己中心的なかかわりと攻撃」 といった間題性が継続的であり, 毎日のように 苦情が絶えない状況が続いている。 この1年4ケ月間, 周囲の子どもたちには協力を呼びかけ て 「もう少ししたらわかってくれると思うから」 と我慢してもらい, 本児にも 「みんな我慢し てるんだから, いつまでも変わらなければここにいるわけにいかなくなるよ。」 と伝えてきて いる。 しかし, 年少児へのかかわりにおける問題性は相変わらずであり, このままでは本人の 身体的な成長度からしても年少児への身体的な危害が心配される。

そこでこの1年4ケ月間を振り返りながら, 今後の本児への援助のあり方について家庭引き 取りに力点を置きつつ, 措置変更も視野に入れて児相とも連携をしながら検討していくことに なった。

入所後経過概略

〈H12.6.19入所〉

*挨拶も出来て表情・反応も悪くはない。

*寮では早速自分が持ってきたゲームボーイやウノで他児とのかかわりを持ち始める。

〈入所直後〉

*学校では担任の声かけにも無反応・無表情, 友達もなかなか出来そうもない。

(22)

・プールを嫌がり, わざと水着を忘れたり, 届けてもプールカードがないからと嘘をついて 入らなかったりしていた。

・体育着に着替えるのが嫌で持っていかない。

・通学帽子もかぶろうとしない。

*寮ではエネルギーを発散してうるさいほどの発狂状況。 調子づいて周囲の職員 (特に指導員) や子どもたちの反応を確かめる為の 「試しの行動」 が次々に繰り返される

・アンテナ棒で職員をつついたり叩いたりする。 注意を繰り返しても全く効き目なし。

*誉めたいことも少しずつ出始める。

・下校した時には大きな声で 「ただいま!」 と寮内どこにいても聞こえるような声で言う。

・自分の机で宿題も始め連絡張も見せてくれる。

・就寝時に幼児を寝かせるのを手伝ってくれる。

*7/10 シラミが大量発見。 かゆみで大暴れ, しぶしぶ納得して散髪。

*8/3 臨海訓練の帰りに寮の職員 (指導員・非常勤保育士) へのおみやげ (アクセサリー) を万引きしたことが発覚。 当日は問いつめても反抗的で口を閉じたまま。

*8/5 指導員が万引きについて話しを聞く。 本人はお祭りに行きたいこともあったが, 本 音で話をしてくれた様子。 お金が足りなかったので万引きしてしまったとのこと。

このことで罰を与えることはせず。 お祭り・映画 (8/7)・豊島園 (8/29) に外出。

〈H12年9月〜12月〉

*学校生活

・運動会の練習を嫌がり心配したが, 同室の姉妹 (5・6年) からの批判もあり何とか登校。

*寮内の様子一対人関係を中心に〜

・9/25 同学年の子が入所。 予め学校のことを教えてほしいことや 「仲良くしてね」 と頼 むと素直に返事が返ってきていたが, 入所当日は自分の存在感を示したくてわざとテーブ ルの上に足を投げ出したり, 反抗的な態度で目立とうとしていた。

・そのうちちょっかいを出すようになり, 頭を叩いたりお尻を叩いたりの意地悪が始まった。

その子の物や年下の子の物を借りても返さない, トラブルの対象となった子どもの物を隠 したり, 机の上をぐちゃぐちゃにしたり等。

・幼児にも手を出し泣かせてすっきりしている。 注意をすると物に当ってドアを手荒に閉め たりしてうっぷんばらしをしている。

・10月 みんなからの苦情が多く, 部屋の反省会でみんなから本人への苦情を話してもらい, 一応約束もした。

・12月 クリスマスプレゼントをめぐってトラブル。 中1の電子手帳を借りて返さず, 再三

言われて返す時にはバーンと投げ返し, ショックで動かなくなってしまった。

(23)

◎良くなっているところ

・職員に対しては素直な対応や穏やかさを示してくれるようになってきて, 職員とのトラブ ルは少なくなってきている。

・大掃除も積極的に意欲的に手伝って, 余りきれいではなかったがよくやってくれた。

・クリスマス会の練習や部屋の飾りつけも楽しそうにやっていた。

〈H13年1月〜3月〉

・下校後の 「ただ今!」 と, すぐ机に向かうことは習慣化されている。

・跳び箱が嫌で登校を嫌がる。 1日欠席・登校時のぐずり多い。

・成績は良好。

*寮内の生活〜対人関係を中心に〜 (特に担当職員が留意した点についてはアンダーラインを 施した。)

・l月 勢い余ってか中1の頭を椅子で叩いてしまう。 その場は知らん振り, その後の会話 で 「さっきすぐ謝ろうと思ったんだけどさ」 と話していた。

・部屋の反省会で本人への不満・苦情が多く出て拉き崩れてしまう。 小6のゲームソフトが 紛失した件について, やはり本人が持っていたようで, 後で指導員にも謝って自分の物を 返した。 今までと違う対応。

・2月 中1と仲良く遊んでいたかと思うと取っ組み合いのケンカ。 お互いに服を破くほど。

どうしても暴力的なケンカになってしまい, 他児からはあまり近づきたくないと嫌がられ ている。

〈平成13年4月〜7月〉

*学校生活

・4月 足の筋肉痛を訴え, 登校したがらず, 欠席。 後からは 「歯が痛くて給食が嫌だった」

と言ったりする。

・5月 飼育当番で出かけ, 3年の子に指示して小屋からクジャクの卵を持って来させる。

「話したらぶっ飛ばすぞ!」 と脅していた。 しかし本人から指導員にも見せたりしてわかっ てしまい, 翌日返させたが6年の子と中1の子に付き添ってもらうという状態。

・6月 リレー大会何とか無事に走る。 その後, 貧血を起こして寝ていたとのこと。

・7月 プール (着替えるから) が嫌で登校したがらない。 1日欠席。

*寮内の生活〜対人関係を中心に〜

・食事を給食室へ取りに行くことはほとんどしない。 職員盛りつけていても頼んでも平気で

椅子に座つている。

(24)

・4月 2年と遊んでいてその子を後ろから抱えるようにしてカッターナイフを突きつけて いた。 パートさんが 「Dちゃん, そんなことしないで!」 と声をかけて指導員を呼びに来 ているうちに止めたが, カッターを返してほしいと声をかけると怒られると思って寮外へ 出てしまった。 カッターは4年の子の物だとわかる。

・誕生プレセントにアイスクリーマーを買ってもらい大喜びでアイスを作り, 他児にも作ら せてあげたり, 食べさせてあげて関係を作っている。

・小6 (B子) と些細なことでトラブル, 部屋のドアを力いっぱい閉めた時にガラスが割れ てしまう。 本人はB子の文句ばかりで中1の子が掃除機をかけてくれた。

・隣で寝ている5年の子に嫌がらせ。 足を乗せたり, くっついたり嫌がることをわざとする。

・7月 太ってるのを気にしてプールが嫌だと言うのでおやつを制限したら, 他児の物をせ びる。

・7/24 4年・5年の子の手をつねって爪で傷つけて平気でいる。 それでいて自分のこと では指導員に 「ラジカセでぶつけたから腕が痛い。 湿布がほしい。」 と強く訴える。

・7/25 1年生の背中・腰のあたりを強く蹴って 「外へ出ていけ!」 と。 事情を聞こうと しても無視して応ぜず, とにかく 「内臓が破裂することもあるんだからやってはいけない」

と注意だけ。 それでいて画用紙だ紙粘土だと必要な物を求める。 求めに応じてはいるが…。

◎良くなっているところ

・5月 バーベキュー大会をするが, 準備から荷物運び良く手伝ってくれる。

・自分の学習机はとてもきれいに整頓されている。

〈平成13年8月−11月〉

*学校生活

・夏休み中のプールは1回も参加しない。

・体育の授業を受けたがらず, 体育着に着替えないことがたびたびあった。 運動会の練習に もあまり参加しなかった様子。

・運動会当日は赤白帽子はかぶらなかったが, 演技は一応みんなと一緒に出来ており良かっ た。 母親も見学に来たが安心していた。

・9/25 怠学による不登校 (小2の子を伴って公園で遊ぶ。)

動機について, 本人はその場では全く話をせず, 男性 (近隣の大学生で本施設のことも 知っている人) によると 「学校がつまらない」 「先生がいつも自分のことを見ているので 嫌だ」 との理由で学校へ行きたくないとのこと。 とにかく学校が嫌で 「保護所に行きたい」

と。 この日はl時も過ぎたので休むことにして園に戻ったが, 園長と話す時も寮に戻って 食事をする時もへらへらして, 何もなかったかのようにテレビを見たりして過ごした。

・9/27 無断で外出し, 25日に公園に隠しておいた 「冷えピタ」 を取りに行った様子。

・9/29 2年の子と無断外出 (同じ公園) 探しに行くと逃げ出すが, 2年の子を捕まえる

(25)

と後をつけて戻る。 後ろから指導員の足を何回となく蹴飛ばしながら。

・9/30 「もうしないから友人との約束の外出を認めてほしい」 と言ってくる。 罰の意味 合いで許可しないことは逆効果と思い, 外出を了解した。 その後は無断外出はない。

*寮内の生活〜対人関係を中心に〜

・9/15 運動会前日 学校では運動会の練習をやりたがらないのに, 寮では体操着に着替 えてタスキもかけてカセットテープを流して練習していた。

・買い物は一人で外出することが多いが (周りの子が一緒に行きたがらない), ビデオショッ プ・古本屋等に行っている。

・起床が遅く朝食 (7時) 間際, ダイエットと言って食事をしないこともある。

・10月 5年生の子に公民館から本を借りてもらい返却も頼んでいた。

・ワープロに興味があり貸してほしいと申し出てくる。 今までも時々利用していたが, ずい ぶん操作も覚えて6年生の子に印刷操作も教えるほど。

・最近高学年の子の間で流行っているコミック本を紹介してくれて, セクハラ・レイブ・ス トーカー・援助交際等の内容について話したりすることがある。

ももち麗子著 問題提起作品集シリーズ

いたみ :援助交際・いじめ・校則・体罰をテーマにした作品 ひみつ :レイブ・HIVをテーマにした作品

めまい :受験・ダイエット・薬物

・他児の影響もあって手編みに興味を持ち。 担当保育士に編み方を教えてもらいながら編ん でおり, 結構素直に教えてもらっており飲み込みも早く, なかなか上手に編んでいる。 今 は母親にプレゼントするマフラーを編んでいるらしい。 クリスマスまでに出来なかったら

「母の日」 にあげるとのこと。

・本人に 「〜〜ちゃんは結構こういうのが好きなんだね」 と声をかけると, 「うん, そうな んだ」 と。 「おかあさんも編み物とかするの?」 「うん, するよ」 という会話も普通に出来 るようになっている。

・とにかく職員の執務室 (食堂兼居聞の隣り) に来ることが多く, 机に腰かけては話し込ん だりちょっかいを出してきたりして過ごしていることが多い。

・状況がよくわからないが, 幼児 (3歳児, 5歳児) の腕を歯形がつくほど噛んでしまった。

・11/3 2年生の子 (無断外出した子ではない) に包丁を突きつけて脅す。

2年生の子の話によると, 夜8時の低学年の就寝時聞になってトイレ行ったが, 又行き たくなって行こうとしたらD子が包丁を50〜60㎝位まで突きつけて 「さっき行ったばかり なのでトイレに行くんじやない!」 と脅した様子。 (11/5)

本人の話しでは, 寝室で遊んでいて 「私にタッチしたら私のパソコン (おもちや) 貸し

てあける」 と言って逃げていたら, 2年の子がほうきを持ち出したので脅そうと思って包

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