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成果主義賃金制度の導入 と企業 コミュニテ ィの変容

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成果主義賃金制度の導入 と企業 コミュニテ ィの変容

一 家族手当の動向を中心に

大梶 俊夫

TrendsofFamilyAllowanceandtheTransformation ofEnterpriseCommunity

OKAJIToshio

1.は じめ に

2.成 果 主 義 導 入 に よ る企 業 コ ミュ ニ テ ィの変 容 3.「 電 産 型 賃 金 」 体 系 にお け る家 族 手 当

4.各 種 統 計 調 査 に み る家 族 手 当 の動 向 5.お わ りに

1.は じめ に

大 塚 久 雄 は 『共 同 体 の 基 礎 理 論 』 の な か で,共 同体 の ア ジ ア 的形 態 と古 典 古 代 的形 態 に共 通 の 特 質 と して,「 平 等 」の 原 理 が み られ る こ とを 指 摘 して い る 。 そ れ は,土 地 分 配 を 「各 家 族 の 能 力 と必 要 に応 じて 与 え る 」とい う,マ ッ

クス ・ウ ェ ーバ ー が 「実 質 的平 等 」 と呼 ん だ とこ ろ の原 則 で あ る1。 共 同体 が 平 等 原 理 に よ っ て 規 制 され て い た こ とは,企 業 の コ ミ ュ ニ テ ィ性 を考 察 す る 際 に も,も っ と重 視 され るべ きで あ る。

日本 企 業 が コ ミ ュ ニ テ ィ と して の 性 格 を もち,そ の こ とが 企 業 組 織 に安 定 性 を もた ら し,効 率 的 な運 営 を も可 能 に した こ と は よ く指 摘 さ れ る と こ ろ で あ る2。 共 同体 が 外 的 封 鎖 性 の 原 理 を も っ て い る こ と に は異 論 が 少 な い だ ろ うが,そ れ と同 時 に 内 的 平 等 性 も構 成 原 理 に して い る こ とは 見 逃 され が ち で あ る3。 企 業 コ ミュ ニ テ ィ も ひ とつ の 共 同体 で あ る と考 え れ ば 共 同 体 を成 り立 た せ て い る外 的封 鎖 性 と内 的 平 等 性 との 共 同体 原 理 が 日本 企 業 に も当 て

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は ま る と考 え られ る。 日本 企 業 の外 的封 鎖 性 とは,新 卒 一 括 採 用 と,そ の 結 果 と して の 長 期 安 定 雇 用 で あ り,日 本 企 業 の 内 的 平 等 性 とは,生 活 保 障 給 と

して の 年 功 賃 金 制 度 が もた らす 世 代 内格 差 の僅 少 さ で あ る。 中 途 採 用 を ほ と ん ど行 わず,雇 用 の 流 動 性 が き わ め て少 な い 大 企 業 の 労働 市 場 は,そ の 封 鎖 性 に よ っ て 共 同体 を構 成 す る ひ とつ の 条 件 を満 た して い た 。 ま た 年 功 賃 金 制 度 は加 齢 と と も に生 計 費 が 増 加 す る こ とに対 応 す る生 活 保 障 給 で あ り,基 本 給 以 外 に も扶 養 家 族 数 に応 じた 家 族 手 当 やi借 家 や 持 ち家 に よっ て差 をつ け て い る住 宅 手 当 な ど を支 給 す る こ とで,生 活 状 況 に応 じて給 料 が 増 減 す る賃 金 制 度 で あ り,「各 家 族 の 必 要 に応 じて 与 え る」とい う平 等 原 理 を企 業 内 で確 保 す る仕 組 み で あ っ た 。

しか し,1990年 代 半 ば以 降 日本 企 業 の 人 事 労 務 管 理 に導 入 され て きた成 果 主 義 的 人事 制 度 は,こ れ ま で 日本 企 業 を コ ミュ ニ テ ィ と して 形 成 して きた 前 述 の 組 織 原 理 を大 き く変 容 す る可 能 性 を も っ て い る 。 もち ろ ん,こ う した 変 容 可 能 性 は成 果 主 義 だ け で も た らさ れ る もの で は な い 。 成 果 主 義 を 十 分 に 機 能 させ る た め の 前 提 的 条 件 と して 成 果 主 義 と と もに導 入 され た 裁 量 労 働 制

や そ の発 展 形 態 と して 準 備 され て い る ホ ワ イ トカ ラ ー ・エ グ ゼ ンプ シ ョ ン制, さ ら に結 果 と し て の雇 用 の 流 動 化 な どが 重 な り合 う と き に,コ ミ ュ ニ テ ィ と

して の 日本 企 業 の 組 織 原 理 は大 き く変 容 して い くこ とが 予 想 さ れ る の で あ っ て,現 在 の と ころ,そ の 変 化 は部 分 的 に しか 顕 在 化 して い な い と考 え られ る 。

しか し,成 果 主 義 等 の 導 入 に よ っ て,日 本 企 業 の コ ミ ュ ニ テ ィ性 が 大 き く変 わ ろ う と して い る こ とは確 か で あ る。

本 稿 は,こ う した 成 果 主 義 的 賃 金 制 度 の 導 入 に よ る 日本 企 業 の コ ミ ュ ニ テ ィ性 の変 容 を,家 族 手 当 制 度 に焦 点 を当 て て 検 証 して み よ う とす る もの で あ る。 なぜ 家 族 手 当 制 度 に注 目す るか とい え ば 第 一・に,家 族 手 当 は今 で こ そ 金 額 は そ れ ほ ど大 き くは な い が,生 活 保 障 給 と して の 年 功 賃 金 体 系 の ひ と つ の柱 で あ り,そ の 意 味 で,企 業 が 内 的 平 等 性 を保 っ た コ ミ ュ ニ テ ィ と して の性 格 を維 持 す る上 で 重 要 な意 義 を もっ て い た か らで あ る。 第 二 に は,家 主 義 と もい わ れ る 日本 企 業 の 雇 用 シ ス テ ム が,従 業 員 個 人 を家 族 主 義 的 に企 業 に包 摂 す る だ けで は な く,従 業 員 の 家 族 を丸 ご と企 業 に繋 ぎ止 め る こ とを 基 盤 に成 り立 っ て い た と考 え れ ば,福 利 厚 生 の 諸 制 度 と と も に家 族 手 当 は従

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成果 主義賃 金制 度 の導入 と企業 コ ミュニテ ィの変 容33

業 員 とそ の 家 族 に そ の 企 業 へ の 帰 属 意 識 を もた せ る重 要 な 制 度 的 支 柱 で あ っ た と考 え られ るか らで あ る。 こ の よ う に,企 業 の コ ミ ュ ニ テ ィ性 に と っ て重 要 な 意 義 を も っ て きた 家 族 手 当制 度 が,成 果 主 義 賃 金 制 度 の 導 入 の なか で大 き くそ の役 割 を変 え よ う と してお り,こ の 変 化 は 日本 企 業 の コ ミュ ニ テ ィ性 そ の もの の 変 容 へ と繋 が る とい う点 が 本 稿 の 主 な 論 旨 で あ る。

本 稿 は まず,先 行 研 究 を手 が か りに成 果 主 義 導 入 が 企 業 コ ミ ュ ニ テ ィに与 え る 影 響 全 般 につ い て 検 討 し,成 果 主 義 賃 金 制 度 が 内 的 平 等 性 も外 的 封 鎖 性 を も変 容 させ よ う と して い る こ と を確 認 す る。 次 に 日本 型 年 功 賃 金 の 典 型 と

もい わ れ る 「電 産 型 賃 金 」 体 系 が 家 族 手 当 を軸 に コ ミュ ニ テ ィ的 特 質 を持 っ て い た こ と を明 らか に し,そ の上 で,近 年 の 統 計 調 査 の デ ー タ に よ っ て家 族 手 当 の 変 化 を検 証 し,賃 金 の 脱 家 族 化 が 進 ん で い る こ と を明 らか に す る。 最 後 に こ う した 変 化 が 及 ば す 影 響 に つ い て も検 討 を加 え る。

2.成 果 主 義 導 入 に よ る企 業 コ ミ ュ ニ テ ィの 変 容

守 屋 貴 司 は そ の 著 書 『日本 企 業 へ の 成 果 主 義 導 入 企 業 内 「共 同体 」 の 変 容 』 の なか で,「 成 果 主 義 人 事 管 理 制 度 の 出 現 は,日 本 の 企 業 内 「共 同 体 」の 組 織 と凝 彙 性 を変 容 も し くは消 滅 させ つ つ あ る 」4と 述 べ て い る 。 こ こ で 「共 同体 」 の 組 織 と凝 集 性 を 「変 容 」 「消 滅 」 させ る と守 屋 が 述 べ て い る の は,成 果 主 義 人 事 制 度 に よ っ て,企 業 内 「共 同 体 」 の 基 礎 と な っ て きた従 業 員 の 「価 値 観 ・規 範 ・感 情 の 共 有 」 や 「集 団 的 同一 ・同 調 行 動 」 が 崩 れ て き た か ら に ほ か な ら な い 。 「共 同体 」 を支 え た 従 業 員 問 の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン が 失 わ れ,協 力 ・協 調 関係 が 解 体 され,従 業 員 聞 の 競 争 関 係 が 全 面 に で る よ う に な っ た こ と を示 して い る。 成 果 主 義 人 事 制 度 が この よ う な 「共 同体 」 の

「消 滅 」 を も た らす 理 由 と して,守 屋 は 次 の 諸 点 を挙 げ て い る5。 成 果 主 義 人 事 制 度 本 体 が もた らす 要 因 と して は,第1に,成 果 主 義 が 人件 費 ダ ウ ン を意 図 して 導 入 さ れ た た め,大 多 数 の 従 業 員 の 給 与 が ダ ウ ン し,そ の 結 果 従 業 員 の モ ラ ー ル が低 下 し,「 共 同体 」へ の凝 集 性 が 失 わ れ た こ と,第2に,成 主 義 人 事 制 度 にお け る評 価 基 準 が 不 明 確 で あ り,評 価 結 果 に納 得 で き な い従 業 員 が 多 く,組 織 の凝 集 性 と共 同性 を失 わせ た こ と,第3に,従 来 の 人 事 査 定 が 「情 意 」 評 価 に よ っ て,協 調 性 や 同 調 的 行 動 を促 して い た の に対 して,

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成 果主義 人事 制度 で の評価 項 目で は個 人別 の業績 や貢献 度 が重視 され る よう に なった こ とで,競 争性 が 強 ま った こ と,第4に,こ れ までの職務 設計 で は 個 人 に明確 に分 担 させ られない境界 的 な職務 領域 が広 くあ り,そ れ が相 互 の 連絡 調整 に よって協 力 的 に職務遂 行 されて い たが,成 果主義 の導 入 に よって 個 人の責任 範 囲が確 定 され る こ とで,相 互依存 的 な職務 領域 の責任 が 曖昧 に な り,職 務 遂行 が不 十分 にな った こ とな どが挙 げ られて いる。

第一 の点 に 関 して い えば,成 果 主 義 賃 金 制 度導 入 が 総 額 人 件 費 の抑 制 に あ った こ とは否 定 で きない。 そ れ は従 来の年 功賃 金制 度が若 年層 は中高年層

よ り多 い とい う人 口構 成 と,拡 大 す る経 済成 長 を暗黙 の前提 に して成 り立 っ ていた か らであ り,そ う した前 提 条件 が な くなれば,勤 続 と ともにほぼ 自動 的 に賃金 が上昇 し,総 額 人件費 が増 大す る とい う年 功賃 金制 度 は維 持 で きな いか らであ る。 従業 員 の平 均年 齢 が上 が るだ けで総額 人件費 が増 大 して しま う賃 金制 度が 中高年 層 の方が多 い人 口構 成 の なか で維持 で きない こ とは明 ら か であ り,そ の点 で は勤続 と ともに賃金 が上 昇す る年功 賃金 制度(職 能給 制 度 もこの点 で は同 じであ る)を 改変 し,企 業 活動 の生産 性 の伸 長 や経営拡 大 とリ ンク した賃 金制 度 を構 築 したい とす る成 果主 義導入 の意 図 は理解 で きる もので あ る。 だが,こ う した 「総額 人件費 の抑 制」 と,「人件 費 ダウ ンを意 図 して」 とい うこ ととは同 じで はない。 ま して 「大多 数 の従業 員 の給 与 が ダ ウ ン」 した事 実 が成果 主義 導入 の結果 で あ ったか どうか は,慎 重 に検 討 す る必 要 があ る。給与 ダ ウ ンの第一一の要 因 は 日本経 済 の不 況 に こそ求 め られ るべ き であ り,成果 主義 導入 にそ の責 め を負 わせ る こ とは妥 当 で はない と思 われ る。

そ れ よ りは,成 果主 義賃金 制 度が企 業 内 「共 同体 」 に与 える影響 として は賃 金格 差 の拡 大 こそが 論 じられ るべ きで あ る。 と りわ け同世代 や 同期 入社 の な か で大 きな差 がつ くようにな った こ とは,同 質性 や平等性 を失 わせ る こ とで 共 同性 を損 な う結果 に繋 が ってい る と思 わ れ る。

第二 の評 価 の納得性 の問題 は成果 主義 人事 制度 に本来 的 に起 因す る問題 点 で あ る。 どん なに評価 基準 が 明確 に な り,上 司が評価 す る こ とに習熟 した と して も,全 員が 評価 に納得 す る ようには な らない だ ろ う。最終 的 には,評 価 が納得 で きなけれ ば会 社 を辞 め る とい う選択肢 が あ って は じめ て,評 価 は受 け入 れ られ るので あ り,そ の選択 肢 が ない ところで一方 的 な評価 が下 され れ

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成果 主義賃 金制 度 の導 入 と企業 コ ミュニテ ィの変容35

ば,納 得 性 は得 られ ず,組 織 の凝 集 性 は 失 わ れ る こ と に な る 。 評 価 す る上 司 に し て も,不 満 の 残 る評 価 をす れ ば 貴 重 な 人 材 が 失 わ れ る とい う リス クが あ っ て こ そ,納 得 性 の 高 い 評 価 を行 うの で あ っ て,こ う した 労 働 市 場 の 開放 性 の な い と こ ろ で は評 価 制 度 は確 立 して い か な い し,成 果 主 義 人 事 制 度 は十 分 に機 能 して い か な い 。 い ず れ に して も,評 価 制 度 を伴 っ た 成 果 主 義 人事 制 度 は企 業 内 「共 同 体 」 を支 え る外 的 封 鎖 性 を崩 壊 させ る 方 向 に働 か ざ る を得 な い 。

ま た 守 屋 は,企 業 内 「共 同体 」 の変 容 に影 響 を与 え る 「副 次 的 な成 果 主 義 人 事 制 度 」 と して,雇 用 管 理 制 度 の 変 化,キ ャ リア 開 発,裁 量 労 働 制 の 導 入, 福 利 厚 生 制 度 の 変 化 の4点 を示 して い る6。 守 屋 の 指 摘 を 手 が か りにTこ

らの 人 事 制 度 の 変 化 の もつ 意 味 も考 え て み た い 。

守 屋 に よれ ば近 年 の 雇 用 管 理 制 度 の 変 化 と して も っ と も大 きな 点 は,企 が 「終 身 雇 用 制 度 」 を標 榜 しな くな っ た こ とで あ る 。 そ の代 わ りに企 業 と従 業 員 の 関 係 を表 す象 徴 的 な概 念 が 「エ ンプ ロ イ ア ビ リテ ィ」 で あ る。 当該 企 業 に雇 用 され 続 け る た め にiあ る い は転 職 を 実 現 し新 た な企 業 に雇 用 され る た め に 求 め られ る能 力 が 「エ ン プ ロ イ ァ ビ リテ ィ」 で あ り,雇 用 維 持 の責 任 を労 働 者 個 人 に転 嫁 させ る理 念 と して 「エ ンプ ロ イ ア ビ リテ ィ」 は登 場 して きた 。 こ の理 念 が広 が れ ば,当 然,外 部 労 働 市 場 で の 移 動 性 や 自 らの 価 値 に 関 心 が 向 か う こ と に な り,コ ミ ュ ニ テ ィ と して の 企 業 の凝 集 性 は低 下 す る こ

と に な る。

次 の キ ャ リア 開発(=キ ャ リア 形 成)上 の 変 化 も成 果 主 義 の 導 入 や,「 終 身 雇 用 制 度 」 の 放 棄 と関係 して い る。 これ ま で の 日本 企 業 は従 業 員 の職 務 移 動 に つ い て 全 面 的 に会 社 側 が 決 定 権 を もっ て お り,こ の こ とが 経 営 上 の フ レキ シ ビ リ テ ィ と して 効 率 的 な組 織 運 営 に大 き く寄 与 して きた 。 しか し これ は年 功 的 な昇 進 ・昇 給 と 「終 身 雇 用 」 が 保 証 され て い た か ら こそ,従 業 員 は異 動 命 令 に異 議 を 唱 え ず 受 け 入 れ た の で あ っ て,短 期 間 に 厳 し く成 果 が 問 わ れ7 そ の 結 果 に よ っ て 年 収 に も大 きな 格 差 が つ き,場 合 に よ って は 早 期 退 職 勧 奨 の対 象 に も され て し ま う と な れ ば,自 分 の キ ャ リア形 成 は 自分 で 決 め た い と 考 え る の も当 然 で あ る 。 こ う して 広 ま っ て い っ た 制 度 が 「社 内 公 募 制 度 」 や

「社 内FA(フ リー ・エ ー ジ ェ ン ト)制 度 」 で あ る。 企 業 内 「共 同 体 」 で の 平

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等 性 や 身分 保 証 が な くな れ ば,転 職 ま で も見 据 え て,個 人 と して ス キ ル ア ッ プ や キ ャ リア形 成 を 目指 す よ う に な る の も当然 で あ る 。 そ して 内 部 労 働 市 場 で の個 人 の 職 務 の 選 択 性 が 強 ま る ほ ど,企 業 コ ミ ュ ニ テ ィの 同質 性 や 同 調 性 は弱 っ て い か ざ る を得 な い 。

裁 量 労 働 制 の 導 入 は,富 士 通 が 成 果 主 義 の導 入 に際 して 「SPRIT」 と呼 ぶ 新 た な勤 務 制 度 を 導 入 した こ とに示 され る よ うに,残 業 時 間 の 多 寡 で給 料 が 増 減 す る よ う な従 来 の 一 律 的 労 働 時 間管 理 は,原 理 的 に は成 果 主 義 賃 金 制 度 と相 容 れ な い もの で あ る 。 専 門 性 を もっ た ホ ワ イ トカ ラ ー労 働 者 に本 来 の 成 果 主 義 賃 金 制 度 を実 施 し よ う とす れ ば 労 働 時 間 の 管 理 も個 々 の 自己 裁 量 に 委 ね ざ る を え な い 。 逆 に,勤 務 時 間 を 自 由 な 自己裁 量 にす れ ばす る ほ ど,賃 金 制 度 も成 果 主 義 的 な もの に な ら ざ る を得 な い だ ろ う。 しか し こ う して,9 時 一5時 の 一 律 の勤 務 時 間制 度 が な くな れ ば,同 調 性 や協 調 行 動 に支 え られ

た企 業 コ ミ ュニ テ ィは 弛 緩 して い くこ とに な ろ う。

ま た,「 日本 的経 営 」を支 え る重 要 な 人 事 制 度 の ひ とつ で あ っ た福 利 厚 生 制 度 も,成 果 主 義 の 導 入 の な か で 大 き く変 わ ろ う と して い る 。 これ ま で 「日本 企 業 は福 利 厚 生 制 度 の 実 施 を通 して,『 協 調 的』 な労 使 関係 の構 築 化 ・安 定 化 をお こ ない,人 材 の確 保 ・定 着 を は か る と と も に,福 利 厚 生 制 度 の 増 進 に よ っ て,『 企 業 意 識 』の 内面 化 を は か り,従 業 員 の 労 働 意 欲 の 向 上 や企 業 へ の 忠 誠 心 の確 保 を はか る こ とで,企 業 内 『共 同体 』の存 続 ・維 持 を は か っ て きた」7。

だ が 賃 金 制 度 が,生 活 保 障 給 と して の 属 人 的 な 年 功 賃 金 か ら,職 務 給 ・仕 事 給 と して の 成 果 主 義 賃 金 に移 行 す る な か で,世 帯 状 況 に よ っ て利 用 度 の大 き

く異 な る画 一 的 な福 利 厚 生 制 度 で は な く,個 人 の 自 由 に選 択 で きる カ フ ェ テ リア プ ラ ンへ と形 を変 え て きて い る 。 これ も企 業 が 生 活 保 障 の基 盤 と して の コ ミュ ニ テ ィ性 を弱 め,従 業 員 家 族 の 生 活 に は深 く関 わ らな くな っ て きた 証 左 で あ る。

3.「 電産 型賃金 」体 系 にお ける家族 手 当

戦後 の 日本 企業 の賃 金体系 を特 徴づ けてい る生 活保 障給 の観念 を もっ と も 明確 に示 して い たの が1946年 に 日本 電気 産業 労 働組 合 が提 案 したい わゆ る

電 産型 賃金 」体系 で あ る。 これ は電力業 界 だ けで は な く,1955年 頃 まで多

(7)

成果 主義賃 金制 度 の導入 と企 業 コ ミュニテ ィの変容37

くの 企 業 で 採 用 され,大 きな 影 響 力 を もっ た 賃 金 体 系 で あ っ た 。 こ こ で は家 族 手 当 を 中心 に,「 電 産 型 賃 金 」体 系 に つ い て 検 討 した い 。 図1に 掲 げ た 「電 産 型 賃 金 」 体 系 に よ っ て わ か る よ う に,「 電 産 型 賃 金 」 は 「生 活 保 障 給 」 「能 力 給 」「勤 続 給 」 の 三 つ の 要 素 か ら成 り立 って い るが,そ の うち の 「生 活 保 障 給 」が 賃 金 総 額 の80%を 占め て い た とい う8。 そ の 「生 活 保 障 給 」の 部 分 は年 齢 に よ っ て 増 額 さ れ て い く 「本 人 給 」 と,扶 養 家 族 数 に よ っ て増 額 さ れ て い く 「家 族 給 」 か ら構 成 され て い る 。 年 齢,家 族 数 とい っ た 明 確 な基 準 に基 づ い て,労 働 者 の 最 低 生 活 を保 障 し よ う とす る 「平 等 原 理 」 に貫 か れ て い る点 「電 産 型 賃 金 」 の特 徴 の ひ とつ で あ る9。

図1電 産型賃金の体系

̲E灘 モ 韓 ≒ 墾 ヨ

一磁叢

(出 所)河 西 宏 祐 電 産 の 群 像 』,161頁

「本 人 給 」 は17歳 以 下 を500円 と して,そ れ に18歳 か ら30歳 まで は1歳 につ き30円,31歳 か ら40歳 ま で は1歳 に つ き20円 を加 給 し,41歳 以 上 は 40歳 と同額 にす る,と 規 定 され て い る。 ま た 「家 族 給 」 は 最 初 の1人 は200 円f2人 以 上 は1人 に つ き150円 を加 給 す る,と な っ て い る10。 た と え ば28 歳 で扶 養 家 族 が3人 い れ ば,「 本 人 給 」 が500円+30円 ×11=830円,「 族 給 」 が200円+150円+150円=500円 と な り,「 生 活 保 障 給 」 は 合 計 1,330円 とな っ た 。 全 体 的 に も約3分 の1が 「家 族 給 」で あ っ た とい わ れ るか ら,い か に家 族 手 当 の 部 分 が 大 きな 割 合 を 占 め て い た が わ か る 。 も ち ろ ん, 戦 後 の 混 乱 で生 活 が 困 窮 して い る なか で 最 低 生 活 を保 障 し よ う とい う意 図 で 構 想 さ れ た 賃 金 体 系 で は あ っ た が,そ れ に して も 「平 等 原 理 」 を重 視 し生 活

(8)

保 障 に 配 慮 す れ ば この よ う な賃 金 体 系 に な り,そ れ が 戦 後 の 賃 金 制 度 の 出 発 点 に な っ て い た こ とは重 要 で あ る 。 ま た,こ こで の 「平 等 原 理 」 が 労 働 者 と そ の 家 族 の 生 活 が 保 障 され る と い う点 で の 平 等 性 で あ る こ と も見 逃 せ な い。 そ の 後 「電 産 型 賃 金 」体 系 は,職 務 給 や 職 能 給 に取 っ て 代 わ られ,能 力 給 の 要 素 が 増 大 して い くが,そ れ で も年 功 カ ー ブ を描 く賃 金 体 系 で あ る こ と

に は変 わ りは な く,実 質 的 に家 族 の 生 計 費 に配 慮 した 生 活 保 障給 と して の 性 格 を保 持 して きた とい え よ う。

だ が 近 年,日 本 企 業 に多 く導 入 され て い る成 果 主 義 賃 金 制 度 は こ う した生 活 保 障 給 と して の 年 功 賃 金 制 度 を大 き く変 え,家 族 手 当 制 度 の 見 直 し を迫 っ て い る。 家 族 手 当 改 定 の 例 をあ げ る と11,キ ャ ノ ン は2002年4月 に家 族 手 当 な どの 諸 手 当 を廃 止 し,同 時 に 定 期 昇 給 も止 め た 。 ま た 武 田 薬 品工 業 は従 来, 扶 養 家 族3人 で4s,500円 支 給 して い た家 族 手 当 を,2003年5月,新 しい賃 金 制 度 の 導 入 と と も に廃 止 して い る。 さ らに ソ ニ ー も2004年4月 か ら,新 ・ 事 制 度 の 導 入 と と も に家 族 手 当,住 宅 手 当 を廃 止 した 。 ま た廃 止 で は な く制 度 設 計 を変 えた 事 例 もあ る 。 三 洋 電 機 は従 来 の家 族 手 当 は廃 止 し,出 産 ・入 園入 学 な ど に 一 時 金 を支 給 す る 制 度 を導 入 し た。NECも 配 偶 者 手 当 は廃 止 す る一 方 で 子 ど もの 手 当 分 は増 額 し,併 せ て 出 産 一 時 金 を支 給 す る よ う に し

た。 で は家 族 手 当 の 全 体 的 な 状 況 は近 年,ど の よ う に変 化 して きて い る の だ ろ うか 。 各 種 統 計 資 料 を使 っ て 検 討 して い きた い 。

4.各 種 統計 調査 にみ る家族 手 当の動 向

統 計調査 のデ ー タ を家 族手 当の支給状 況 を検討 しよ う。家族 手 当の支給 状 況 を調査 した統 計 資料 には,(1)人 事 院が毎 年行 ってい る 「民 間給 与 の実態 」 調査,(2)厚 生労働 省 の 「就 労条件C合 調査 」(旧 「賃 金労働 時 間制度 等総合 調査 」),(3)東 京都 産 業労働 局 の 「中小 企業 の賃 金事情 ⊥(4)中 央労働 委 員 会 の 「賃金 事情 調査 」 な どがあ る。 これ らの統 計 資料 を用 い て,家 族 手 当 の 支給状 況 が近年 どの ように変化 して きて い るか を見 てい きた い。

4‑1.「 民間給 与 の実態 」

人事 院給 与局(勤 務 条件 局)が 昭和23年 以 降毎年行 って いる 「民 間給与 の 実態 」調査 は,「 企業規 模100人 以上 で,か つ,事 業所 規模50人 以上 」 の民

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成 果 主義賃 金制 度 の導入 と企 業 コ ミュニ テ ィの変容39

問 事 業 所 を調 査 対 象 に して,そ こ か ら約7500余 りの 事 業 所 を抽 出 して 調 査 を行 っ て い る。 主 た る調 査 は従 業 員 別 の 「き ま っ て 支 給 す る給 与 総 額 」や 「時 間外 手 当 額 」 な どの調 査 で あ る が,こ の個 人 別 の調 査 事 項 とは 別 に,事 業 所 別 の 調 査 と して,家 族 手 当 や 住 宅 手 当,通 勤 手 当 の支 給 状 況 を調 査 して お り, この う ち家 族 手 当 に つ い て は,① 「支 給 ・非 支 給 別 事 業 所 の 割 合 」,② 家 族 手 当 の額 の 定 め 方 」,③ 「扶 養 家 族 の構 成 別 平 均 支 給 月額 」12を集 計 して い る 。 平 成14年 の 調 査 結 果 は 以 下 の 通 りで あ る 。

まず 家 族 手 当 を支 給 して い る事 業 所 割 合 で は表1の よ う な結 果 に な っ て い る 。 この 調 査 結 果 を み る と,500人 以 上 か 未 満 か とい う規 模 に係 わ らず,g割 近 い 事 業 所 が 家 族 手 当 を 支 給 して お り,家 族 手 当 の 普 及 度 の 高 さが 分 か る 。

ち な み に住 宅 手 当 を支 給 して い る割 合 は 同 調 査 で59.9%(規 模 計)で あ るか ら,い か に家 族 手 当 が 一 般 化 して い る か が 分 か る。

表1支 給 ・非 支 給 別 事 業 所 の 割 合

規模計 500人 以 上 500人 未 満

支給 非支給

..

11.7

89.2 1:

::!

12.0

(資料 出所)人 事 院 『民 間給 与 の 実n,4,平 成14年 職種 別 民 間 給 与 実 態 調 査 の 結 果 一

で は家 族 手 当 の 支 給 方 法 は どの よ う に な っ て い る の だ ろ うか 。 金 額 の 定 め 方 につ い て 集 計 した の が 表2で あ る 。 手 当額 の 定 め 方 の 「配 偶 者 の み特 定,

そ の 他 は扶 養 人 員 順 」 と は,配 偶 者 の 手 当 額 は別 に定 め,そ れ 以外 の 扶 養 家 族 に つ い て は一 人 目5000円,二 人 目4000円,三 人 目3000円 とい う よ う に決

め て い る とい う こ とで あ り,「 配 偶 者,子,弟 妹 等 の 別 」 とは,配 偶 者 は1万 円,子 は一 人5000円,弟 妹 は一 人3000円 とい う よ う に 決 め て い る とい う こ

とで あ る。 い ず れ に して も,次 の 「扶 養 家 族 の構 成 別 平 均 支 給 月 額 」 も合 わ せ て み れ ば,家 族 手 当 の な か で 配 偶 者 に対 す る手 当 を別 に設 定 して い る事 業 所 が 多 く,そ の 結 果 配 偶 者 へ の 支 給 額 が 高 くな っ て い る こ とが わ か る。

(10)

表2家 族手当の額の定め方

定め方 規模計 500人 以 上 500人 未 満

配 偶 者 の み 特 定 そ の 他 は扶 養 人 員 順

配 偶 者,子,弟 妹 等 の 別 扶 養 人 員順

そ の他

45.9 34.2 15.6 4.3

46.0

31.5 18β 3.9

45.9 34.9 148

4.4 (注)手 当 を支 給 す る事 業 所 を100と した 割 合 で あ る。

(資料 出 所)表1と 同 じ。

扶 養 家 族 の構 成 別 に家 族 手 当 の 支 給額 の 平 均 を算 出 した の が 表2‑3で る。 こ れ を見 る と,企 業 規 模 に よ っ て多 少 金 額 の 高 低 は あ る が,配 偶 者 に は 約15,000円,子0人 に つ き約5000円 程 度 が 支 給 さ れ る と い う の が 平 均 的 な 支 給 額 で あ る こ とが 理 解 で き よ う。 配偶 者 と子 ど も2人 の 家 族 を モ デ ル 支 給 額 とす れ ば,規 模 計 で26,140円 に な っ て い る。

表3扶 養家族の構成別平均支給月額

扶養家族の構成 規模計 500人 以 上 500人 未 満

配 偶 者

配 偶 者 と子1人 の 場 合 配偶 者 と子2人 の 場 合

15,035円 20,752円 26,140円

17,914円 24,156円 30,212円

14,048円 19,591円 24,758円

(注)1.支 給 月額 は,家 族 手 当 の 支 給 に つ き配 偶 者 の 収 入 に対 す る制 限が あ る事 業 所 に お け る支 給 月 額 の 平 均 を 扶 養 家 族 の構 成 に応 じて 累 計

した もの で あ る。

2.支 給 月 額 は,家 族 手 当 が 平 成12年 以 降 改 定 され た事 業 所 に つ い て 算 出 した 。

(資料 出 所)表1と 同 じ。

これ は平 成14年 の調 査 結 果 で あ るが,家 族 手 当 の 中 身 につ い て,配 偶 者 は 減 額 ・廃 止,子 ど もへ は増 額 とい う傾 向 が み られ る とい う指 摘 もあ る の で,

そ れ ぞ れ の 支 給 金 額 が ど の よ う に 変 化 して きて い る か に つ い て検 討 した い 。 表4は,「 配 偶 者+子 ど も1人 」の 支 給 額 か ら 「配 偶 者 」 の み の 支 給 額 を 引 く こ とで,「 子 ど も1人 」の 支 給 額 を求 め,そ れ を年 度 ご と に ま とめ た もの で あ る。 こ れ を見 る と,「 配 偶 者 」 へ の支 給 額 は平 成10年 ご ろ を ピー ク に 減 額 さ れ て きて い る の で,平 成4年 か ら平 成14年 ま で の変 化 で は 金 額 で1,134円, 率 に して7.0%の マ イ ナ ス とな っ て い るの に対 して,「 子 ど も1人 」 へ の 支 給

(11)

成 果 主義賃金 制 度 の導 入 と企 業 コ ミュニ テ ィの変容41

額 は 平 成12年 か ら14年 にか け て微 減 と な っ て い るだ け な の で,平 成4年 ら平 成14年 の 変 化 で は,金 額 で1,346円,率 で30.8%の 増 加 と な っ て い る。

した が っ て,「 配 偶 者+子 ど も1人 」 の 支 給 額 は平 成4年 と平 成14年 とを比 較 して も,全 体 の金 額 で は ほ とん ど変 化 が な い が そ の 内訳 を み る と 「配 偶 者 」分 は減 額 さ れ,「 子 ど も」分 が 増 額 さ れ て い る こ とが わ か る 。 また 「配 偶 者+子 ど も1人 」の支 給 額 全 体 の 変 化 を み る と,平 成10年 頃 が ピー ク で(500 人 未 満 の規 模 で は平 成12年 が ピー ク),そ の 後 は 減 少 が 続 い て い る こ と も分 か る 。 た だ し こ の デ ー タ は表3の(注)に 示 さ れ て い る よ うに,限 定 さ れ た 集 計 結 果 に基 づ く数 値 な の で 。 全 体 的 な傾 向 と は必 ず し も一 致 しな い 可 能 性 が あ る 。

表4支 給額の変化

(単位は円)

規模計 500人 以 上 500人 未 満

配偶者 配 偶 者+子1人 子 ども1人 配偶者 配 偶 者+子1人 子 ど も1人 配偶者 配 偶者+子1人 子 ども1人

平成4 16,16920,5404,371 19,22524,251.5,026 15,36219,5664,204

5 17,032 21,7174,685 18,45824,0995,641 16,46620,8564,390

6 17,344 22,3174,973 19,43024,8555,425 16,63721,4634,826

7 17,373 22,4465,073 19,57425,3275,753 16,54321,3914,$48

8 17,604 22,7235,119 20,49326,7896,296 X6,78121,5644,783

9 ユ7,757 23,0545,297 20,76626,6935,927 ユ6,84921,9595,110

10 18,521 23,9965,475 21,44027,5486,108 17,46622,7025,236

11 18,078 23,7365,663 20,24626,5216,275 17,20822,6545,446

12 x.8,392 24,3065,914 19,30625,3045,998 x.7,94723,8305,$83

13 17,718 28,5255,807 20,16626,7076,541 17,061.22,6635,602

14 ].5,035 20,7525,717 1.7,91424,1566,242 1.4,04819,5915,543

(資料 出所)人 事 院 『民 間給 与 の 実 態 』 各 年 版 よ り作 成 。

支 給 額 の 減 額 傾 向 は 確 認 さ れ た が,支 給 割 合 は ど の よ う に 変 化 し て き て い る の だ ろ う か 。

表5を み る と,昭 和60年 以 降 で 家 族 手 当 の 支 給 率 が 最 も高 か っ た 年 は,「規 模 計 」 で は 平 成8年 の91.9%,「500人 以 上 」 で は 平 成3年 と6年 の94.2%,

「500人 未 満 」 で は 平 成8年 の91.4%で あ っ た こ と が 分 か る 。 ま た 支 給 率 が 最 も低 い 年 は ど の 規 模 で も平 成18年 で あ り,「 規 模 計 」 で は79.3%,「500人 上 」で は77.5%,「500人 未 満 」で は81.3%で あ っ た 。 つ ま り平 成18年 は ピ ー ク 時 に 比 べ,「 規 模 計 」 で は11.6ポ イ ン ト,「500人 以 上 」 で16.7ポ イ ン ト,

(12)

「500人 未 満 」で10.1ポ イ ン トの 減 少 とな っ て い る の で あ る。 しか も「規 模 計 」 と 「500人 以 上 」 で は平 成12年 以 降 の6年 間 で10ポ イ ン ト以 上 の マ イ ナ ス と な っ て お り,こ の 数 年 間 で 家 族 手 当 の 支 給 状 況 に か な り大 きな 変 化 が 現 れ て い る こ とが分 か る 。

こ う した 支 給 状 況 の 変 化 は,単 身 の 従 業 員 な ど家 族 手 当 に該 当 しな い 労 働 者 の 増 加 に よ る可 能 性 もな い わ け で は な い が,調 査 対 象 が 従 業 員50人 以 上 の事 業 所 で あ る こ と を考 え れ ば,家 族 手 当制 度 そ の もの の 廃 止 に よ る支 給 割 合 の低 下 と判 断 す る の が 妥 当 で あ ろ う。

表5支 給 状 況 の 推移

(単位 は%) 人oo568&onEσ6αoUQ9α2%%8030a9聡8888888999999988888887 人oo530Mq206929α6聡9999999999999999988888

π9309030063308888888999999999888887

年60616263123456789101112131415161718和成昭平

(注)平 成18年 の 「500人未 満 」 の 数 字 は 「100人 以 上500人 未満 」 の 数 字 で あ る。

(資料 出所)人 事 院 『民 間給 与 の実 態 』 各 年 版 よ り作 成 。

4‑2.「 就 労 条 件 総 合 調 査 」

次 に厚 生 労 働 省 の 「就 労 条 件 総 合 調 査 」(平 成12年 まで は 「賃 金 労 働 時 間 制 度 等 総 合 調 査 」)を 用 い て,家 族 手 当 の 支 給 状 況 を検 討 して み よ う。 この 調 査 は 常 用 労 働 者30人 以 上 の 民 間企 業 と対 象 に した もの で,平 成16年 調 査 で は5300社 を 抽 出 し,有 効 回答 率 は826%で あ っ た 。 調 査 項 目は 年 に よ っ て

(13)

成果 主義 賃金 制度 の導入 と企 業 コミュニテ ィの変容43

入 れ 替 え て あ り,こ こで は家 族 手 当 の 調 査 が 行 わ れ て い る昭 和61年,平 成2 年,平 成8年,平 成11年,平 成16年 の デ ー タ を取 り上 げ る。

家 族 手 当 を支 給 して い る企 業 の 割 合 は表6で 示 した 通 りで あ る。

表6家 族手当の採用状況(支 給企業数割合〉

(単位 は%)

規模計 1000人 以上 100〜999人 30〜99人

昭 和61年 74.3 'll 1 71.1

平成2年 78.9 92.2 87.2 75.1

8年 798 914 57.3 76.3

ll年 77.3 79.6 81£ 75.4

16年 71.ユ 1*1 77.0 68.4

(注)昭 和61年,平 成2年 の デ ー タ は,『平 成9年 版 賃 金 労 働 時 間 制 度 等 総 合 調 査 』 の 「調 査 結 果 の 概 要 」 か ら引 用 した 。

(資料 出所)労 働 省 政 策 調 査 部 編 『平 成9年 版 賃 金 労 働 時 間制 度 等 総 合 調 査 』,同 『平 成12年 版 賃 金 労 働 時 間制 度等 総 合 調 査 』, 厚 生 労 働 省 大 臣 官 房 統 計 調 査 部 編 『平 成17年 版 就 労 条 件 総 合 調 査 』 よ り作 成 。

表6か ら も分 か る よ う に,家 族 手 当 の 支 給 割 合 は 昭和61年 か ら平 成8年 に か け て は,大 きな 変 化 が な く微 増 で推 移 して い た とい え る。 しか し平 成11 年 か ら16年 に か け て は,規 模 計 で の 支 給 割 合 は77.3%か ら71.1%へ6.2ポ

ン ト低 下 し,100〜999人 で も4.8ポ イ ン ト,30〜99人 で は7ポ イ ン トも低 下 して い る 。1000人 以 上 の 大 企 業 で は この 間 は微 増 で はあ るが,平 成8年 ら11年 にか け て,91.4%か ら79.6%へ と大 き く支 給 割 合 を低 下 させ て い る こ とか ら,家 族 手 当廃 止 ・縮 小 の取 り組 み が大 企 業 の 方 が 早 か っ た こ とを窺 え る 。 また 大 企 業 で の 微 増 の背 景 と して は,2003年7月 に 「次 世 代 育 成 支 援 対 策 推 進 法 」が 制 定(施 行 は2005年4月)さ れ た こ とで,大 企 業 で育 児 支 援 手 当 が 新 た に創 設 され た こ とな どが 家 族 手 当 の 増 加 と して現 れ て い る こ と も考 え られ る。

全 体 と して 支 給 割 合 が 低 下 して い る理 由 と して は,成 果 主 義 賃 金 制 度 の 導 入 で 属 人 的 手 当 で あ る家 族 手 当制 度 自体 を廃 止 した 以 外 に,単 身 世 帯 や 共働 き世 帯 の 増 加 で 支 給 条 件 を満 た さ な い 世 帯 が 増 加 した こ と も考 え ら れ る。

賃 金 労 働 時 間 制 度 等 総 合 調 査 』 お よび 『就 労 条 件 総 合 調 査 』 の調 査票 で は, 家 族 手 当 に関 す る質 問 項 目 と して 制 度 の有 無 を尋 ね る設 問 と,手 当 の支 給 人 数 と総 支 給 額 を尋 ね る設 問 とが 区 別 さ れ て お り,年 に よ っ て 調 査 項 目が 異

(14)

な っ て い る 。 制 度 の 有 無 に つ い て 調 査 して い る 昭 和61年,平 成4年,9年, 16年 の デ ー タ を 表7に ま と め て み た 。

表7家 族 手 当 制 度 の あ る企 業 割 合(

単 位 は%)

規模計 lGOO人 以 上 100〜999入 30〜99人

昭 和61年 平 成4年

9年 16年

76.6 78.5 78.E 6%

92.2 92.5 79.2

84.7 8α7 76.6

75.6 74.3 66.5 (注)昭 和61年,平 成4年 の デ ー タ は,『 平 成10年 版 賃 金 労 働 時 間制

度 等 総 合 調 査 』 の 「調 査 結 果 の概 要 」 か ら引 用 した 。

(資料 出所)労 働 省 政 策 調 査 部 編 『平 成10年 版 賃 金 労 働 時 間 制 度 等 総 合 調 査 』,『平 成17年 版 就 労 条件 総 合 調 査 』

表7か ら分 か る よ う に,家 族 手 当制 度 の あ る企 業 割 合 は平 成4年 の78.5%

か ら,平 成16年 の69.6%へ8.5ポ イ ン ト減 少 して い る。 表2‑6と 合 わせ て み れ ば,多 少 調 査 年 にズ レが あ る もの の,ほ ぼ 同 じよ う な傾 向 で,割 合 が低 下 して い る 。 した が って 家 族 手 当 制 度 自体 を廃 止 して い る企 業 が 増 え て い る こ とが,支 給 企 業 数 割 合 の低 下 に繋 が っ て い る こ とが 分 か る。

次 に家 族 手 当 の 金額,お よ び毎 月 の 賃 金 の な か で 占 め る割 合 を 「就 労 条 件 総合 調 査 」 の デ ー タで検 討 し よ う。

表8は,平 成8年,11年rl6年 につ い て所 定 内 賃 金,基 本 給 諸 手 当 の 金 額 と比 率 お よび 同年 の家 族 手 当 の平 均 支 給 額 を ま とめ た もの で あ る。 家 族 手 当 の額 は家 族 手 当支 給 対 象 労 働 者 の 平 均 で あ る か ら,全 労 働 者 の 平 均 で あ る所 定 内賃 金 そ の 他 と同列 に は比 較 で き ない 。 しか し この2つ の デ ー タ を合 わ せ て み る と,① 平 成11年 か ら16年 に か け て 所 定 内 賃 金 が 約7,300円 が っ た こ と,② そ の うち 基 本 給 の 減 少 は約2,500円 で,③ 諸 手 当 の 減 少 分 は そ れ よ り大 き く約4800円 で あ る こ と,⑤ 家 族 手 当 の 減 少 は200円 ほ どで 僅 か で あ る こ と,な どが分 か る。 つ ま り,家 族 手 当 に焦 点 を 当 て て考 察 す れ ば, 家 族 手 当 の 額 に あ ま り大 きな変 化 は な い よ う に見 え るが,実 は これ ま で 述 べ て きた よ う に,制 度 自体 を止 め る な ど支 給 割 合 は低 下 して お り,そ の こ とが 諸 手 当全 体 の 平 均 金 額 を下 げ,さ ら に所 定 内賃 金 の低 下 に繋 が っ て い る とい う こ とで あ る 。 こ の こ と は次 の 表9に よ って さ ら に明 確 に な る。 表9は 平 成 8年 と16年 の 賃 金 構 成 比 を示 した もの だ が13,表 か ら分 か る よ う に,諸 手 当

(15)

成果 主義賃 金制 度 の導入 と企業 コ ミュニテ ィの変容45

の な か で もっ と も比 率 を 下 げ た の は生 活 手 当 で あ り,と くに家 族 手 当 は0.5 ポ イ ン トも比 率 を下 げ て い る の で あ る。 しか も こ の傾 向 は大 企 業 に顕 著 で あ

りf1000人 以 上 の 規 模 で は3.0%か ら1.4%へ,家 族 手 当 の構 成 比 は大 き く下 が っ て い る。

表8所 定内賃金 と家族手当の金額の推移

所定内賃金 基本給 諸手当 家族手当

平成8年 318,242(100.0) 266.687(83.8} 51,555(16.2) 18,513t5.8]

11年 321,859 269,995 5x,864 18,713

16年 314,577 267,497 47,079 18,515

(注)家 族 手 当 は 支 給 対 象 労 働 者 の1人 当 た り平 均 支 給 額 で あ る。

(資料 出所)『 平 成9年 版 賃 金 労働 時 間 制 度 等 総 合 調 査 』,『平 成12年 版 賃 金 労 働 時 間 制 度 等 総 合 調 査 』,『平 成17年 版 就 労 条 件 総 合 調 査 』 よ り作 成 。

表9労 働 者1人 平 均 月 間 賃 金 額 及 び 構 成 比(平 成8年 ・平 成16年) 所定内賃金

基本給

業績 手当

勤務 手当

精皆勤 手当

通勤 手当

生活手当 調整

手当 その他 不 明

計 瞬 手当

(円)(%)(%)(%)(%)(%)(%)(%)(%)(%)(%)(%)

平成 8年

規 模 計 1,DOQ入 以上 100〜1000人 30〜99人

318,242100.083.816.81.74.SO.62.74.92.30.60.9‑

350,430100.085.114.91.34.50.22.45.43.00.30.7‑

300,799100.083.116.91,84.80.73.04.92.00.80.9‑

281,992100.081.918.12.65.71.52.63.61.31.01.0一

平 成 16年

規 模 計 1,000人 以上 100〜1000人 30〜99人

314,577100.085.015.01.84.50.42.54.01.80.70.60.4 356,096100.083.316.71.76.11.02.83.31.40.90.70.1 298,721100.084.615.41.84.90.42.84.11.80.60.60.1 272,736100.083.316.71.76.11.02.83.31.40.90.70.1

(資料 出 所)『 平 成9年 版 賃=金労 働 時 間 制 度 等 総合 調 査 』,『平 成17年 版 就 労 条 件 総 合 調 査 』 よ り作 成 。

平 成11年 の 同 調 査 に お け る賃 金 制 度 の 改 定 に つ い て の 調 査 結 果 で は,「 過 去3年 聞 に手 当 を 縮 減 し基 本 給 に組 み 入 れ 」 た 企 業 が 規 模 計 で6.4%,1000 人 以 上 で は11.9%に な っ て お り,ま た 「今 後3年 間 に手 当 を縮 減 し基 本 給 に 組 み 入 れ 」る と した 企 業 の 割 合 が 全 体 で5.2%,1000人 以 上 で は12.3%で あ っ

た 。 こ う した な か で 家 族 手 当 の縮 減 も進 ん で い っ た とい え よ う。

(16)

4‑3.「 中 小 企 業 の 賃 金 事 情 調 査 」

次 に 中小 企 業 で の 家 族 手 当 の 実 施 状 況 につ い て,東 京 都 産 業 労 働 局 が 行 っ て い る 「中小 企 業 の 賃 金 事 情 調 査 」 を使 って 見 て い きた い 。 こ の調 査 は 従 業 員 規 模30人 以 上300人 未 満(小 売 業 ・サ ー ビス 業 で は10人 以 上)の 民 営 企 業 を対 象 に,各 産 業 別 に抽 出 して 行 っ て い る調 査 で,集 計 企 業i数は1100社 りで あ る。 こ こで は東 京 都 産 業 労 働 局 が ホ ー ム ペ ー ジ上 で 公 開 して い る平 成 12年 以 降 の デ ー タ を集 計 した 。

家 族 手 当 の 支 給 状 況 は表10か ら分 か る よ う に,家 族 手 当 を 支 給 して い る 企 業 の割 合7割 前 後 と な っ て お り,「就 労 条 件 総 合 調 査 」の30人 〜99人 の 企 業 規 模 で の デ ー タ とほ ぼ 同 じ よ うな水 準 で あ り,大 企 業 と比 較 す る とか な り 低 くな っ て い る。 ま た 中小 企 業 の な か で も企 業 規 模 に よ っ て差 が 見 られ,各 年 と も100〜299人,50〜99人,10〜49人 の 順 で 支 給 割 合 が低 くな っ て い る 。 さ らに 経 年 変 化 を見 る と,全 体 に は6年 間 で,4分 の3の 企 業 が 支 給 し て い た状 況 か ら3分 の2の 企 業 しか 支 給 して い な い状 況 へ と水 準 が低 下 して お り,特 に10〜49人 の 企 業 規 模 で は13.6ポ イ ン トも下 が り,過 半 数 を少 し 超 え る水 準 に ま で低 下 して きて い る 。

表10中 小企業での家族手当支給状況

(単位 は%)

規模計 100〜299人 50〜99人 10〜49人

支給1非 支給 支給1非 支給 支給 非支給 支給1非 支給

平 成12年 75,324,282,716,882,416,770,229.6 13年 72,926,481,018,480,319,268,730.5 14年 72.E27.481.118.977.122.967.632.3 15年 68,531,583,216,872,927,163,037.0 16年 67,331,678,720,875,624,159,738.5 17年 64,234,674,525,572,026,656,642.0

(資料 出所)東 京 都 産 業 労 働 局 『中小 企 業 の 賃 金 事 情 』 各 年 版 よ り作 成 。

しか し,家 族 手 当 の支 給 金 額 につ い て は,表 か ら分 か る よ う に,あ ま り大 き な変 化 は見 られ な い 。 この 調 査 で は,扶 養 家 族 数 に係 わ らず0律 に支 給 し て い る場 合(支 給 企 業 の 約1割)と,家 族 構 成 に応 じて 支 給 して い る場 合(支 給 企 業 の 約9割)と に分 け て 集 計 して い る が,ど ち らの 場 合 も平 成15・16年

こ ろ が ピ ー ク で,平 成17年 に か け て 手 当 の 額 が 縮 小 さ れ て い る 。 配 偶 者 と

(17)

成果 主義 賃金制 度 の導入 と企 業 コ ミュニ テ ィの変 容47

子 ど も2人 を想 定 して家 族 手 当 の 「モ デ ル 支 給 額 」を算 出 して み る と,2万 前 後 で 大 きな変 化 は見 られ な い が,内 訳 と して は,多 少,子 ど もの 比 重 が 高

くな っ て い る とい え よ う。

表11中 小 企 業 で の 家 族 手 当 支 給 額 の 推 移

(単位 は%) 家族別支給

総平均 一律 支 給

平均額 第 一 扶 養 (配偶 者)

第 二 扶 養 (第一 子)

第 三 扶 養 (第二 子)

モ デ ル 支 給 額

平 成12年 5,89610,1195,80911,0124,5274,083 x.9,622

13年 5,90810,0055,79410,9344,6134,070 19,617

14年 6.0$810,4265,98611,1664,7994,287 20,252

15年 6,17911,0526,09411,4374,8494,334 Zo,s20

16年 6,20612,0166,08411,3415,0444,338 20,723

17年 *8,64111,7455,53711,1364,9104,253 20,299

(注1)「 モ デ ル 支 給 額 」 は 「家 族 別 支 給 」 の配 偶 者+第 一 子+第 二 子 で 算 出 した 。 (注2)「 総 平 均 」 の平 成17年 の 数 字(*)が 突 出 して い る理 由 は不 明 で あ る 。 (資料 出 所)東 京 都 労働 局 『中小 企 業 の 賃金 事 情 』

4‑4.「 賃 金 事 情 調 査 」

次 に 中 央 労 働 委 員 会 事 務 局 が 労 使 紛 争 の 調 停 の た め の 資料 と して調 査 し て い る 「賃 金 事 情 調 査 」(「賃 金 事 情 等 総 合 調 査 」)を 見 て い きた い 。 この 調 査 は 資 本 金1億 円 以 上,従 業 員1,000人 以 上 の 大 企 業 を調 査 対 象 に,300社 前 後 か らデ ー タ を集 計 して い る の で,大 企 業 で の 家 族 手 当 の動 向 を知 る こ とが で き る 。 家 族 手 当 に つ い て は,制 度 の 有 無,打 切 制 度 の 内容,支 給 額 等 が ほ ぼ 隔 年 で 調 査 され て きた が,平 成17年 の 調 査 に は家 族 手 当 の 項 目は な か っ た。

表12大 企業での家族手当支給状況

支 給 額(単 位 は千 円) 集計社数 制度のあ

る会社数

採 用 割 合

(%) 第1順 位 第2順 位 第3順 位 モ デ ル (配偶 者) (第1子) (第2子) 支給額

平成2年 37833588.616.95.34.6 2α8

平成5年 40636389.418.65.95.3 r・

平成9年 35731.889.118.46.05.3 29.7

平 成11年 33930389.419.06.35.6 30.9

平 成13年 30326587.518.95.95.3 30ユ

平 成15年 28825187.218.76.55.9 31.1

(注)「 モ デ ル 支 給 額 」 は 「第1順 位 」 「第2順 位 」「第3順 位 」の 支 給 額 を合 計 し,夫 婦 と子 ど も2人 の 家 族 の 場 合 の家 族 手 当支 給 額 を算 出 した 。

(資料 出所)中 央 労 働 委 員 会 事 務 局 編 『賃 金 事 情 調 査 』 各 年 版 よ り作 成 。

(18)

「賃 金 事 情 調 査 」の 結 果 で は,大 企 業 で の 家 族 手 当 の採 用 割 合(=家 族 手 当 制 度 の あ る企 業 の 割 合)お よ び支 給 額 に そ れ ほ ど大 きな低 下 は 見 られ な い 。 採 用 割 合 は9割 近 く,モ デ ル 支 給 額 は夫 婦 と子 ど も2人 で3万 円前 後 とい っ た 金 額 で あ る。 た だ細 か くみ れ ば,採 用 割 合 は 平 成11年 こ ろ か ら多 少 低 下 して きて い る。 また 支 給 額 につ い て は,配 偶 者 で あ る第1順 位 の 扶 養 家 族 へ の支 給 額 が 平 成11年 以 降,削 減 さ れ て きて い る の に対 して,第2順 位 で あ る 子 ど もへ の 支 給 額 は増 加 す る傾 向 が 見 られ る。

表13大 企業での貨金構成比の推移

所定内賃金計 生活関連手当

基本給 奨励給 職務関連手当 その他手当

(単位:千 円) のうち家族手当

平成2年 297.687.30.94.47.03.SO.4 5年 322.688.60.73.96.63.20.3 7年 334.288.40.84.16.33.40.3 8年 340.788.60.73.76.83.50.3 9年 346.588.80.53.56.93.60.3 11年 356.087.OI.54.66.43.30.5 13年 367.186.42.44.36.33.40.6 15年 375.285.63.5416.32.60.5 16年 373.488.5]..72.96.43.00.5 17年 339.989.40.83.26.32.90.4

(資料出所)中 央労働委員会事務局編 『賃金事情調査』各年版より作成。

同調 査 で は所 定 内 賃 金 の な か で の 基 本 給 や 諸 手 当 の構 成 比 を調 査 して い る が,そ の 推 移 を ま とめ た の が 表13で あ る 。 この な か の 「職 務 関 連 手 当」 に は 役 付 手 当,交 代 手 当,特 殊 勤 務 手 当 な どが 含 ま れ,「 生 活 関連 手 当 」 に は家 族 手 当 の 他 に,通 勤 手 当,住 宅 手 当,出 向手 当 な どが 含 まれ て い る。 表2‑13

を見 る と,所 定 内 賃 金 の 中 で の家 族 手 当 の 比 率 は3%を 切 る水 準 に まで 低 下 して お り,縮 小 傾 向 に あ る とい わ ざ る を得 な い。 こ の 理 由 と して は,① 採 用 割 合 が 多 少 で あ るが 低 下 して い る こ と,② 支 給 額 が ほ とん ど増 額 され て お ら ず,所 定 内 賃 金 の伸 び と比 較 す る と大 き な差 が あ る こ と。 例 え ば 平 成11年

と平 成16年 を比 較 す る と,所 定 内賃 金 の 伸 び は4.9%増 加 で あ る が,家 族 手 当 の 支 給 額 は0.6%し か 増 加 して い な い。 ③ 単 身 者 の 増 加 で,家 族 手 当 を 受 給 し て い る 労 働 者 の割 合 が 低 下 し て い る 可 能 性 が あ る 。 ④ 小 家 族 化 の 結 果, 扶 養 家 族 数 が 減 少 し,家 族 手 当 の 受 給 額 が 減 っ て い る こ と,⑤ 共 働 き夫婦 の 増 加 で 配 偶 者 に家 族 手 当 の 受 給 資 格 の な い 労 働 者 が 増 加 した,な どが 考 え ら

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