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JAIST Repository: アジア地域における知的財産制度の経済的インパクト(日本企業のアジア展開(1),一般講演,第22回年次学術大会)

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Academic year: 2021

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JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/ Title アジア地域における知的財産制度の経済的インパクト (<ホットイシュー>日本企業のアジア展開(1),一般講演 ,第22回年次学術大会) Author(s) 加藤, 浩 Citation 年次学術大会講演要旨集, 22: 732-735 Issue Date 2007-10-27

Type Conference Paper

Text version publisher

URL http://hdl.handle.net/10119/7380

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す るものです。This material is posted here with permission of the Japan Society for Science Policy and Research Management.

(2)

2E20

アジア地域における知的財産制度の経済的インパクト

○加藤浩(経済産業省特許庁) 1.はじめに 知的財産制度は、技術革新の促進に有効な制度ではあるが、経済発展に向けた施策としてどの程度 の影響力を有しているかについては未確定なところも少なくない。事実、途上国からは、自国の経済 発展において、知的財産制度が必ずしも効率的及び最適な手段とはなり得ないのではないかとの疑問 の声があげられている。 このような疑問に答えるために、WIPO を始めとする国際機関では、知的財産制度の経済的側面への 影響について調査研究を行い、知的財産制度の経済発展への影響について検証し、その結果を途上国 提供していくことが強く望まれている。 このような状況下、WIPO では、アジア地域を対象として、知的財産制度の経済発展への影響につい て調査研究を行ったところである。本報告は、筆者がこの調査研究の取りまとめを担当した経験に基 づいて、アジア地域における知的財産制度の経済的インパクトについて報告を行うものである。 2.経済発展へ影響を与えた知財制度の特定 アジア諸国の知財制度においては、TRIPS 協定の履行、又は WIPO を中心とした国際的制度調和へ向 けた国内法制への適合等、様々な制度改革が推進されているところである。ここでは、各種データを 比較検討することにより、アジア諸国における知財制度改革のうち、経済発展へ影響を与えたことが 推測される制度改革の特定を行った。 (1)韓国 ○韓国においては、1995 年に TRIPS 協定に 加盟して以降、知財制度の整備が積極的 に推進されており、その結果、特許出願 は、1995 年以降で大きく増加している。 ○特許出願件数を出願人の国籍で区分する と 1995 年頃から国内の出願が外国から の出願を上回り、TRIPS 協定の効果が国 内産業に影響したことが示唆されている。 ○外国直接投資(FDI)は、1994 年から 1999 年にかけて大きく増加しており、TRIPS 協 定の効果の一つであると考えられる。 ○特許出願の傾向は、1980 年以降、R&D 及び GDP の傾向と類似しており、特許出願と R&D、GDP との 関連性が示唆されている。 ○企業データでは、IT分野では SUMSUNG、自動車分野では、HYUNDAI を中心に特許出願が増加して おり、IT産業や自動車産業の経済発展と平行している。 (2)中国 ○中国においては、2001 年に TRIPS 協定に加盟して以降、特許出願が急増しており、TRIPS 協定へ

Graph 2 : P at ent Applicat ions T rends

20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 19 70 19 74 19 78 19 82 19 86 19 90 19 94 19 98 20 02 20 06 U n it : Ite m Korean Foreign 図1 韓国における特許出願の推移(文献3)

(3)

の加盟が、特許出願に影響したこと が示唆された。中国では、国内の出 願と外国からの出願がほぼ同数であ り、TRIPS 協定は国内産業にも大き く影響していることが示唆された。 ○R&D 及び GDP は、2001 年以降、急増 し て お り 、 TRIPS 協 定 へ の 加 盟 が R&D、GDP に影響していることが示唆 された。特許出願の傾向は、1990 年 以降、R&D 及び GDP の傾向と類似し ており、特許出願と R&D、GDP との 関連性が示唆された。

○企業データについては、IT分野では、Huawei Company、製薬分野については、North China Pharmaceutical Group Co.において、特許出願の増加が目立っている。

(3)ベトナム ○ベトナムにおいては、1995 年の民法改正により、民法中に知的財産に関する事項が規定され、そ の後、特許出願が大きく増加した。 ○2006 年には、新規に知的財産法が 施行され、同年、TRIPS 協定に加盟 した。2006 年には、特許出願及び FDI が大きく増加しており、TRIPS 協定への加盟は、特許出願及び FDI に影響していることが示唆された。 ○特許出願の傾向は、1995 年以降、GDP の傾向と類似しており、特許出願と GDP との関連性が示唆された。 ○企業データについては、自動車分野では、Honda Vietnam、製薬分野では、Traphaco において、特 許出願の増加が目立っている。 (4)マレーシア ○マレーシアにおいては、1990 年にパリ条約に加盟して以降、特許出願及び GDP が増加している。 また、1995 年の TRIPS 協定への加盟以降、特許出願及び R&D が増加している。 ○2002 年の法改正(TRIPS 協定の遵守) の後、国全体の総ロイヤルティ収入が 増加しており、TRIPS 協定の効果の一 つであると考えられる。 ○特許出願の傾向は、1980 年以降、GDP の 傾 向 と 類似 し て お り、 特 許 出 願と GDP との関連性が示唆された。 ○企業データについては、IT分野では TELEKOMS MALAYSIA 、 MOTOROLA MALAYSIA において特許出願が多い。 0 500 1000 1500 2000 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 Vietnam Foreign 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 1986 1988 1990 199 2 1994 199 6 1998 2000 200 2 2004 2006 Loc al Foreign Total 図3 ベトナムにおける特許出願の推移(文献3) 図4 マレーシアにおける特許出願の推移(文献3) 図2 中国における特許出願の推移(文献3)

(4)

(5)インド ○インドにおいては、1995 年に TRIPS 協定 に加盟して以降、1999 年、2002 年、2005 年に特許法の改正(TRIPS 協定の遵守)が 行われ、1999 年から 2005 年の間は、特許 出願の増加が示されている。 ○特許登録件数を出願人の国籍で区分する と 2004 年から国内の出願が外国からの出 願を上回り、TRIPS 協定の効果が国内産業 に影響していることが示唆された。 ○R&D 及び GDP は、2001 年以降、急増して おり、R&D 及び GDP に TRIPS 協定への加 盟が影響していることが示唆された。 ○特許出願の傾向は、1999 年以降、R&D の 傾向と類似しており、特許出願と R&D と の関連性が示唆された。 ○2005 年の法改正では、物質特許制度が導 入され、今後の化学産業への影響が注目 されている。企業データについては、 IT分野では、WIPRO、製薬分野では、 Ranbaxy において、特許出願の増加が目 立っている。 3.知財制度による経済発展への影響度 (1)知的財産創出へのインパクト 上記2で得られた、経済発展への影響を示唆する知財制度を中心に、経済モデルを用いた実証分析 を行い、その知的財産創出効果に関する検証を行う。研究方法としては、知財制度導入の前後に着目 し、R&D、GDP、知財指標などの経済指標を説明変数とし、以下の計算式に基づいて知的財産創出効果 (被説明変数)を分析した。以下では、インドの事例を示す。(Data:1999-2006) ln(特許取得件数)= γ1*lnA + γ2*lnB + γ3*ln(知財指標)+ε ただし、A:R&D、B:GDP γ1 γ2 γ3 係数 1.55 5.87 8.82 t-value 11.88** 4.97** -2.69* 【備考】インドの共同研究者により実施されたデータ(文献3)を基に作成。 (2)経済活動へのインパクト 上記2で得られた、経済発展への影響を示唆する知財制度を中心に、経済モデルを用いた実証分析 を行い、その経済効果に関する検証を行う。研究方法としては、知財制度導入の前後に着目し、民間 資本、労働、知財指標などの経済指標を説明変数とし、国内生産量(被説明変数)への影響を分析す る。以下では、中国の事例を示す。(Data:1980-2005)

PATENTS FILED IN INDIA

4824 8503 10592 11466 12613 17466 24415 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 992000 2000 -2001 2001 -02 2002 -03 2003 -04 2004 -05 2005 -06 No s 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 2000-01 2001-02 2002-03 2003-04 2004-05 Indians Others Total 図5 インドにおける特許出願の推移(文献3) 図6 インドにおける登録特許の推移(文献3)

(5)

ln(国内生産量)=β1*lnK + β2*ln(知財指標)+ε

ただし、K:National Investment in Fixed Assets(NIFA)

β1 β2 ε 係数 0.504 0.504 3.698 t-value 4.883** 7.301** 15.196 【備考】中国の共同研究者により実施されたデータ(文献3)を基に作成。 (3)外国直接投資へのインパクト 上記2で得られた、経済発展への影響を示唆する知財制度を中心に、経済モデルを用いた実証分析 を行い、その外国直接投資への効果に関する検証を行う。研究方法としては、知財制度導入の前後に 着目し、GDP、Population、知財指標などの経済指標を説明変数とし、外国直接投資(被説明変数)を 分析する。以下では、マレーシアの事例を示す。(Data:1980-2005) In(外国直接投資)=δ1*lnP+ δ2*lnQ+γ3*ln(知財指標)+ε ただし、P:GDP、Q:Population 【備考】マレーシアの共同研究者により実施されたデータ(文献3)を基に作成。 4.考察 ○アジア地域における知財制度が経済発展に及ぼす影響について、各種データの比較検討を行った 結果、多くの国において、特許出願の傾向と、GDP、R&D、FDIの傾向との間に類似性が 認められた。(日本、韓国、中国、ベトナム、マレーシア、インド) ○多くの国において、知財制度改革の前後で、GDP、R&D、FDIの増加が認められた。(日 本、韓国、中国、ベトナム、マレーシア、インド)また、多くの国において、TRIPS 協定等の知財 関連条約への加盟の前後で、GDP、R&D、FDIの増加が認められた。(韓国、中国、ベト ナム、マレーシア、インド) ○いくつかの国において、物質特許制度の導入により、化学分野、製薬分野の特許出願、R&D 等の傾 向に変化が認められた。(日本、韓国、インド) ○知財制度による経済発展への影響度については、経済モデルを用いた実証分析によりその調査を 行った。その結果、知財創出への効果、経済活動への効果、外国直接投資への効果において、有 意な相関性が認められた。(日本、中国、ベトナム、マレーシア、インド) ○本報告では、アジア地域における知財制度が経済発展に及ぼす影響について、各種データの比較 検討、及び、経済モデルを用いた実証分析により、その検証を行った。その結果、多くの国にお いて、知財制度と経済発展との間に関連性を示すデータを得ることができた。 【参考文献】 1.政策研究院シンポジウム報告書「アジアの知財政策史と経済発展」(Feb.2007)

2.WIPO Symposium,“The Economic Impact of IP Systems”, WIPO Japan and University of United Nation(May.2007) 3.WIPO,“Measuring the Economic Impact of IP Systems”(Sep.2007)

(http://www.wipo.int/portal/en/news/2007/article_0032.html)

δ1 δ2 δ3

係数 -23.362 88.046 -27.758

参照

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