〈論文〉借り手企業の情報は誰に引き継がれているのか?--メガバンクの所有構造とデータの構築について
20
0
0
全文
(2) 第11巻. 1.イ. 第2号. ン トロ ダ ク シ ョ ン. 銀 行 の機 能 の 一 つ に,情 報 生 産 機 能 とい う もの が あ る(2)。 借 り手 の 資 金返 済 能 力 な どの 情 報 が不 足 して い る時 に は,資 金 提 供 者 との 間 に情 報 の非 対 称 性 が存 在 し,「モ ラル ハ ザ ー ド」 や 「逆 選択 」 な どの 非 効 率性 が生 じ うる。 しか し,銀 行 に よ るモ ニ タ リ ング を通 じて, 情 報 の非 対 称 性 を解 消 す る 「情 報 生 産 」 を行 う こ と に よ り,そ れ らの 非 効 率 性 を 解 消 しう る と考 え られ る。 も し,銀 行 に よ る こ の機 能 が 正 常 に働 いて いた な らば,日 本 に お け る, 銀 行 と借 り手 企 業 との長 期 に わ た る親 密 な取 引 関 係 に よ り,銀 行 は 借 り手 企 業 の 情報 生 産 を行 な え た こ とで あ ろ う(3)。 1997年11月 の銀 行 危 機 や,1998年. と1999年 の2度. にわ た る大 規 模 な 公 的 資 金 の 注入 を経. て,い わ ゆ る メガ バ ン ク に よ る金 融 持 株 会 社 設 立 や合 併 ・子 会 社 化 な どが 活 発 にな った ④。 この よ うな経 営 統 合 に よ って も借 り手 が そ の ま ま引 き継 が れ るな らば,顧 客 情 報 もそ の ま ま 引 き継 い だ銀 行 に蓄 積 され て い る と考 え られ る。 そ こで,本. 稿 で の 主 な 関 心 は,「 どの. 銀 行 が どの時 点 で どの銀 行 の 借 り手 の 情 報 を 共 有 して い るの か?」. とい う こ とで あ る。 具. 体 的 に は,表1が. 企業2と 企 業3と 数 年. 示 す よ う に,銀 行Aが 企 業1と 企 業2,銀. 表1取 銀行A. 企業名. 引年数の計算 取引年数. 1997年. 度. 企 業1. 6. 1998年. 度. 企業1. 7. 1999年. 度. 企 業1. 8. 銀行B 1997年. 度. 1998年. 度. 1999年. 度. 企業名 企業2 企業2 企業2. 2000年. 度. 2001年. 度. 企業名 企業1 企業1. 2002年. 度. 企 業1. 銀行C注. 注:銀 行Cは,銀. (2)金. 行Bが. 取引年数 5. 6 7. 企業 名 企業2 企業2 企業2. 取 引年数 9 10 11. 企業 名 企業2 企業2 企業2. 取 引年数. 企業名 企業3 企業3 企業3. 取 引年数. 取引年数 11. 12 13. 10 11 12. 2 3 4. 企業名 企業3 企業3 企業3. 取 引年数. 行Aと 銀 行Bが 合 併 し,存 続銀 行 をAと す る新 た な銀 行 で あ る. 融 機 関 の 機 能 に 関 し て は,内. 田(2000)を. 参 照 さ れ た い。. (3)メ イ ンバ ン ク に 関 して の 議 論 は,Hoshi,KashyapandScharfstein(1990),Hoshi,Kashyap andScharfstein(1991),Sheard(1989),Sheard,Pau1(1994)な どを 参 照 され た い 。 (4)金. 融 持 株 会 社 は,1997年. の 独 占 禁 止 法 の 改 正 に よ り,解 -46(214)一. 禁 さ れ た。. 5 6 7.
(3) 借 り手企業の情報 は誰 に引 き継がれてい るのか?(相 に渡 る取 引が あ った とす る。 そ こで,2000年. 度 に銀 行Aと 銀 行Bが 合併 し,存 続 銀 行 を銀. 行Aと す る新 たな 銀 行Cが 誕 生 した とす る。 そ の 時,銀 行Cと 企 業3と の 取 引 年 数 は,1年. 馬). 目 にな るで あ ろ うか?銀. して は初 め て の取 引 とな る. 行Bと 合 併 した とい うこ とは,銀. 行Bが す で に取 引 して い た4年 間 の 情 報 も引 き 継 い だ は ず で あ る。 よ って,2000年 行Cは 企 業3と5年. 度 の銀. 目の取 引 年 数 と考 え られ る。 よ って,「 どの銀 行 が どの 時 点 で ど の銀. 行 の 借 り手 の 情 報 を 共 有 して い る の か?」. とい う問題 と 「ど の銀 行 が ど の企 業 と どれ だ け. の 期 間 の 取 引 を 続 け て い るの か」 とい う問題 は非 常 に密 接 して い る こ とが 分 か る。 借 り手 の 情報 の 引 き継 ぎ ・共 有 とい う観 点 か らは,合 併 したか ど うか だ けで はな く,実 質 的 に 支配 して い れ ば借 り手 の情 報 も入 っ て くる とす る と,同 て い る か,も. じ金 融 持 株 会 社 傘 下 に属 し. し くは,連 結 決 算 の対 象 子 会 社 に な って い る場 合 な ど も含 め て 考 え る こ とが. 重 要 に な って くる。 そ こ で,銀 行 の所 有 構 造 を調 べ る こ とが 必 要 とな って くる。 銀 行 の所 有 構 造 を調 べ た研 究 と して は,花 崎 ・ユ パ ナ ・相 馬(2005)が. あ る。 そ こで は,2000年. 度. ま で の サ ンプ ル を用 い て,銀 行 の株 主 が 銀 行 や 保 険 会 社 を 中心 とす る金 融 機 関 の比 率 が高 くガバ ナ ンス が効 い て い なか っ た可 能 性 を 指 摘 して い るが,借. り手 企 業 との 関係 につ い て. は述 べ られ て い な い。 こ の論 文 の 目的 は,3月. 決 算 期 で の,実 質支 配 を通 じた効 果 も考 慮 した銀 行 間 の統 廃 合. と銀 行 の所 有 構造 を 調 べ,「 ど の銀 行 が どの 時 点 で どの 銀 行 の借 り手 の情 報 を 共 有 して い るの か?」. に関 す るデ ー タの 構 築 を行 う こ とで あ る。 ま た,個 々 の銀 行 レベ ル も し くは金. 融 持 株 会 社 レベ ル に まで場 合 分 け を行 った。 本 稿 の 構 成 は次 の通 りで あ る。 次 章 で は,使 用 す る デ ー タ とデ ー タの 構 築 方 法 につ いて 議 論 し,3章. で は,メ ガ バ ン クの所 有 構 造 と借 り手 の情 報 につ いて 詳 述 す る。4章 で は,. 借 り手 の情 報 に つ い て特 に注 意 を要 す る点 と,そ れ を どの よ うに扱 え ば 良 い の か を 議 論 す る。 最 後 に5章 で ま とめ を述 べ る。. 2。. 2,1デ. デ ー タ の 構 築. ータ. 全 国銀 行 協 会 が 出 して い る合 併 の リス トや 銀 行 変 遷 史 デ ー タベ ー ス で は,親 子 関係 や持 ち分 法 適 用 会 社 か ど うか まで はわ か らな い ⑤。 よ って,『 日経 金 融 年 報 』,『日本 金 融 年 鑑 』,. (5)全 国銀 行 協 会 ・銀 行 の 提 携 ・合併 リス トHPと 参 照 され た い。 -47(215)一. 全 国 銀行 協 会 ・銀 行 変 遷 史 デ ー タベ ー スHPを.
(4) 第11巻 EOLデ. 第2号. ー タベ ー ス に載 って い る 有 価 証 券 報 告 書 な どの 資 料 に 目 を通 して,所 有 比 率 が,. 50%未 満 で も連 結 子 会 社 で あ った り,20%未. 満 で も持 ち分 法 適 用 会 社 で あ る こ と も考 慮 に. 入 れ た デ ー タ を手 作 業 で構 築 した。 ま た,関 西 の 地 方 銀 行 と第 二 地 方 銀 行 に関 して は,鈴 木(2011)を. 一 部 参 考 に した。 本 稿 で は,金 融 持 株 会 社 の な か で も,い わ ゆ る メガ バ ン ク. の事 例 を 中心 に デ ー タ を構 築 して い る。 しか し,こ こで 示 す デ ー タの 構 築 法 は,メ ガ バ ン ク以 外 に も適 用 で き る もの と考 え られ る。. 2.2定. 義. 銀 行 の支 配 関 係 を示 す 定 義 をす る。 究 極 的 存 続 銀 行 と は,サ 会 社 以 外 に は1度. ンプル 期 間 中 に,金 融 持 株. も支 配(合 併 や 子 会 社 化)さ れ な か った 銀 行 を 指 す 。 そ して,究 極 的 存. 続 銀 行 に直 接 ま た は 間接 に支 配 され た銀 行 を以 下 の3つ 銀 行 は,究 極 的 存 続 銀 行 に直 接 的 に支 配 され た 銀 行,2つ 接 被 支 配 銀 行 に直 接 的 に支 配 され た銀 行,ま た,3つ. に分 類 す る。1つ. 目の 直 接 被 支 配. 目の 第1間 接 被 支 配 銀 行 は,直. 目の 第2間 接 被 支 配 銀 行 は,第1間. 接 被 支 配 銀 行 に直 接 的 に支 配 され た銀 行 で あ る。 借 り手 の情 報 を誰 が 引 き継 いで い るか を 示 す 記 号 と して,○. と△ を 用 い る。 ○ は 究 極 的. 存 続 銀 行 が借 り手 の情 報 を利 用 可 能 な 状 態 を 表 す 。 一 方,△ は,究 極 的 存 続 銀 行 が 直 接 被 支 配 銀 行 を支 配 して い な い ので ま だ情 報 を 利 用 で きな い が,直 接 被 支 配 銀 行 が 第1間 接 被 支 配 銀 行 を支 配 して い る,も. し くは,第1間. て い る状 態 を表 す 。 た だ し,括 弧()で. 接 被 支 配 銀 行 が 第2間 接 被 支 配 銀 行 を 支 配 し 表 す 場 合 に は,前 年 度 まで に 合 併 な どで 消 滅 し. た こ とに よ り新 た な借 り手 の情 報 が 更 新 され て いな いが,そ れ 以 前 の 情 報 は 引 き 継 が れ て い る こ とを表 す 。 よ って,○ と(○)が. あ る場 合 に は,究 極 的 存 続 銀 行 が,該 当 す る年 度. に支 配 した銀 行 の 現 在 も し くは過 去 の 情 報 が 利 用 可 能 な 状 態 を 表 す 。 一 方,△ (△)が. も し くは. あ る場 合 に は,究 極 的存 続 銀 行 で は な く,直 接被 支 配 銀 行 も し くは第1間 接 被 支. 配 銀 行 だ け が,該 当す る年 度 に支 配 した銀 行 の 現 在 も し くは 過 去 の 情 報 が 利 用 で き る状 態 を表 す 。 よ って,△. も し くは(△)は,究. 極 的 存 続 銀 行 以 外 の 銀 行 の 情 報 構 造 と理 解 で き. る。 空 白 の箇 所 は,当 該 銀 行 以 外 はだ れ も借 り手 の 情 報 を 利 用 で きな い こ とを 表 す。 さ ら に,支 配 の定 義 と して,合 併 や 子 会 社 よ りは弱 い と考 え られ る持 ち分 法 適 用 会 社 の場 合 に は,●. と▲ を用 い る。. 一48(216)一.
(5) 借 り手 企 業 の情 報 は誰 に 引 き継 が れ て い るの か?(相 表2三. 馬). 井 住 友 フ ィナ ン シ ャル グ ル ー プ(個 別 行). 究極的 存続銀行. 住友 銀行(三 井住友銀行 の存続銀行). 直接 平和 被支配銀行 相互銀行. 関 西銀 行. 三井銀行. (関西アー バン銀行の. (さくら 銀行の存 続銀行). 存続銀行). わか しお. 第1 間接被支配 銀行. びわ こ 関西さわ 銀行 やか銀行. 太陽神 銀行 戸銀 行 (旧太平. みなと 銀行. 洋銀行). 第2 間接被支配 銀行. み どり 銀行. 京都共栄 銀行. 1986年. 度. ○. 1987年. 度. (○). 1988年. 度. (○). 1989年. 度. (○). 1990年. 度. (○). △. 1991年. 度. (○). (△). 1992年. 度. (○). (△). 1993年. 度. (○). (△). 1994年. 度. (○). (△). 1995年. 度. (○). (△). 1996年. 度. (○). (△). △. 1997年. 度. (○). (△). △. 1998年. 度. (○). ○. △. (△). △. 1999年. 度. (○). ○. (△). (△). △. 2000年. 度. (○). ○. (△). (△). △. △. (△). 2001年. 度. (○). ○. (△). ○. (○). ○. ○. (○). 2002年. 度. (○). ○. (△). (○). (○). ○ 注1. ○. (○). 2003年. 度. (○). ○. ○. (○). (○). (○). (○). ○. (○). 2004年. 度. (○). ○. (○). (○). (○). (○). (○). ○. (○). 2005年. 度. (○). ○. (○). (○). (○). (○). (○). ○. (○). 2006年. 度. (○). ○. (○). (○). (○). (○). (○). ○. (○). 2007年. 度. (○). ○. (○). (○). (○). (○). (○). ○. (○). 2008年. 度. (○). ○. (○). (○). (○). (○). (○). ○. (○). 2009年. 度. (○). ○. ○. (○). (○). (○). (○). (○). ○. (○). 2010年. 度. (○). ○. (○). (○). (○). (○). (○). (○). ○. (○). △. 究極 的 存続 銀行:サ ンプ ル期 間 中 に,金 融 持 株 会 社 以 外 に は1度 も支 配(合 併 や 子 会 社 化)さ れ な か った銀 行 を指 す 直接 被 支配 銀 行:究 極 的 存続 銀 行 に直 接 的 に支 配 さ れ た銀 行 第1間 接 被 支配 銀行:直 接 被 支 配 銀 行 に直 接 的 に支 配 さ れ た銀 行 第2間 接被 支配 銀 行:第1間 接 被 支 配 銀 行 に直 接 的 に支 配 され た銀 行 注1:三. 井 住 友 銀行 と合 併 す る 際,形 式 上 は わ か しお銀 行 が存 続 会 社 で あ る 一49(217)一.
(6) 第11巻. 3.メ. 3.1三. 第2号. ガ バ ン ク の 所 有 構 造 と借 り手 の 情 報. 井 住 友 フ ィナ ン シ ャル ・グ ル ー プ. 究 極 的 存 続 銀 行 は,住 友 銀 行 で あ る(表2参. 照)。 そ して,平 和 相 互 銀 行 と さ く ら銀 行. は 当 時 の住 友 銀 行 に よ り合 併 さ れ,現 関西 ア ーバ ン銀 行 は現 三 井 住 友 銀 行 の 完 全 子 会 社 で は な い が連 結 子 会 社 で あ る た め,直 接 被 支 配 銀 行 で あ る。 そ して,三 井 銀 行 は太 陽 神 戸 銀 行 を 合 併 し,わ か しお銀 行 とみ な と銀 行 を子 会 社 化 した。 ま た,関 西 さわ や か 銀 行 とび わ こ銀 行 は 関 西 ア ー バ ン銀 行 に よ り合 併 さ れ た の で第1間 接 被 支 配 銀 行 で あ り,京 都 共 栄銀 行 は 関 西 さわ や か銀 行 に合 併 さ れ た の で第2間 接 被 支 配 銀 行 で あ る。 以 下 で は,旧 住 友銀 行 が どの 時 点 で どの銀 行 の借 り手 の情 報 を利 用 で きた の か に つ い て, 記 号 の意 味 の具 体 例 と して も見 て み よ う。 まず,1986年. 度 に,合 併 に よ って 平 和 相 互 銀 行. の 借 り手 の情 報 が新 た に加 わ った こ とが わ か る(6)。しか し,平 和 相 互銀 行 は消 滅 した た め, そ れ 以 降 の 借 り手 の新 た な情 報 は更 新 さ れ な い が,そ れ 以 降 も住 友 銀 行 に はそ れ まで の 平 和 相 互 銀 行 の 情 報 は 保 持 され る と考 え られ る(7)。そ して,1990年. 度 に三 井 銀 行 が 太 陽神 戸. 銀 行 を 合併 して さ くら銀 行 とな り,さ く ら銀 行 は太 陽 神 戸 銀 行 の 借 り手 の 情 報 を 手 に入 れ た もの の,こ の 時 点 で は,さ. く ら銀 行 と住 友 銀 行 は無 関 係 で あ っ たの で,住 友 銀 行 は 新 た. な 情 報 は 手 に 入 れ て い な い(8)。太 陽 神 戸 銀 行 は 合 併 に よ り消 滅 した た め,そ. の 後2000年 度. ま で は 借 り手 の情 報 は 更新 され な い ま ま さ く ら銀 行 に だ け そ の情 報 が 保 持 され 続 け る こ と とな るが(9),2001年 度 に 住 友 銀 行 が さ くら銀 行 を 合 併 す る こ と に よ り,太 陽神 戸 銀 行 の 借 り手 の 情 報 も住 友 銀 行 は 手 に 入 れ る こ と とな った⑩。 同様 に,三 井 銀 行 は,1996年 か しお 銀 行 を,2000年. 度 にわ. 度 に み な と銀 行 を子 会 社 化 して い る。 ま た,み な と銀 行 は1999年 度. に み ど り銀 行 を 合併 して い る。 よ って,2001年. 度 に住 友 銀 行 が さ く ら銀 行 を 合 併 す る こ と. に よ り,わ か しお銀 行 ・み な と銀 行 ・み ど り銀 行 の情 報 も住 友 銀 行 が 得 る こ と とな った 。 関 西 銀 行 は,1998年. 度 に は住 友 銀 行 に よ り子 会 社 化 さ れ て い る の で,こ の 時 点 で,住 友 銀. 行 は 関 西 銀 行 の 情報 を 得 て い る。 そ して,2003年. 度 に,関 西 銀 行 は関 西 さわ や か 銀 行 を 合. 併 す るが,す で に 関 西 さわ や か銀 行 は1998年 度 に京 都 共 栄 銀 行 を合 併 して い たの で,住 友 (6)1986年 度 の 平 和相 互銀 行 の箇 所 に○ が あ る こ との意 味 で あ る。 (7)1987年 度 以 降 の平 和相 互 銀行 の箇 所 に(○)が あ る こ と の意 味 で あ る。 (8)1990年 度 の 太 陽神 戸銀 行 の箇 所 に は○ で は な くて△ が あ る こ と の意 味 で あ る。 (9)1991年 度 か ら2000年 度 ま で の太 陽神 戸 銀 行 の箇 所 に(△)が あ る こ と の意 味 で あ る。 ⑩2001年 度 に,太 陽 神 戸銀 行 の 箇所 が(△)か ら(○)に 変 化 し,三 井 銀 行 の 箇 所 に○ が 新 た に 付 い た こ との 意 味 で あ る。 -50(218)一.
(7) 借 り手 企 業 の 情 報 は 誰 に 引 き継 が れ て い る の か?(相 表3三. 井 住 友 フ ィナ ン シ ャル グ ル ー プ(金 融 持 株 会 社). 金融 持株会社. 傘下銀行. 馬). 三井住友FG 三井銀行 わかしお 住友銀行 関西銀行 関西 (三井住友 (関 西ア ー みなと 平和 さわやか 京都共栄 び わ こ (さくら 太陽神戸 銀行 銀行の存 バン銀行の 銀行 相互銀行 銀行 銀 行 銀行の存 銀行 (旧太平 銀行 続 銀行) 存続銀 行) 続銀行) 洋銀行). みどり 銀行. 2003年 度. ○. ○. ○. (○). ○. (○). (○). (○). (○). (○). 2004年 度. ○. ○. ○. (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). 2005年 度. ○. ○. ○. (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). 2006年 度. ○. ○. ○. (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). 2007年 度. ○. ○. ○. (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). 2008年 度. ○. ○. ○. (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). 2009年 度. ○. ○. ○. (○). (○). (○). ○. (○). (○). (○). (○). 2010年 度. ○. ○. ○. (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). 銀 行 は,関 西 銀 行 を 子 会 社 化 す る こ とで,関 西 さわ や か銀 行 ・京 都 共 栄 銀 行 の 情 報 も同 時 に得 る こ と とな った。 最 後 に,2009年. 度 に 関西 銀 行 が び わ こ銀 行 を合 併 した こ とか ら,以. 降 は,住 友 銀 行 が び わ こ銀行 の情 報 も手 に入 った事 とな る。 今 まで は,三 井 住友 フ ィナ ン シ ャル ・グル ー プ の 中心 銀 行 で あ る住 友 銀 行(三 井 住 友 銀 行 が 存 続 銀 行)と い う銀 行 レベ ル で借 り手 の情 報 を見 て き たが,今 度 は,金 融 持 株 会 社 を 一 つ の 銀 行 とみ な して,三 井 住 友 フ ィナ ン シ ャル ・グ ル ー プで 借 り手 の 情 報 を どの 時 点 で どれ だ け所 有 して い るか を 見 て み る(表3参. 照)。2003年 度 の 設 立 当初 か ら住 友 銀 行(三. 井 住 友 銀 行 の存 続 銀 行)・ 関 西 銀 行(関 西 アー バ ン銀 行 の 存続 銀 行)・ み な と銀 行 ・平 和 相 互 銀 行 ・関 西 さわ や か銀 行 ・京 都 共 栄 銀 行 ・び わ こ銀 行 ・三 井 銀 行(さ. くら銀 行 の 存 続 銀. 行)・ 太 陽 神 戸 銀 行 ・わ か しお 銀 行(旧 太 平 洋 銀 行)・ み ど り銀 行 の 情 報 を 持 って い る こ と とな る。 そ して,2009年. 度 か らは,び わ こ銀 行 の 情 報 も追 加 され る。. 3.2MUFG 究極 的 存続 銀 行 は,三 菱 銀 行(三 菱 東 京UFJ銀. 行 の 存 続銀 行)と 三 菱信 託 銀 行 で あ る. (表4参 照)。 そ して,三 菱 銀 行 に よ って,東 京 銀 行 と三 和 銀 行 は 合 併 され,日 本 信託 銀 行 は子 会 社 化 され た の で,こ. れ ら3行 は直 接 被 支 配 銀 行 で あ るqD。そ して,三. 和銀行は泉州. 銀 行 を連 結 子 会 社 化,東 海 銀 行 を合 併,中 京 銀 行 ・大 正 銀 行 を 持 ち分 法 適 用 会 社 と して い るの で 第1間 接 被 支 配 銀 行 で あ る。 そ して,東 海 銀 行 は岐 阜 銀 行 を 持 ち分 法 適 用 会 社 と し. qD池 田泉 州HDは2009年 度 と2010年 度 に三 菱 東 京UFJ銀 で は,純 粋 に銀 行 の み を取 り上 げ る こ と とす る。 -51(219)一. 行 の 持 ち分 法 適 用 会社 で あ る が,こ. こ.
(8) 第11巻. 第2号. て い るの で 第2間 接 被 支 配 銀 行 で あ る。 以 下 で は,三 菱 銀 行 と三 菱 信 託 銀 行 が どの時 点 で どの銀 行 の 借 り手 の 情 報 を 利 用 で きた の か につ い て見 て み よ う。 三 菱 銀 行 は,1994年. 度 に 日本 信 託 銀 行 を 連 結 子 会 社 化,1996年. 度 に東 京銀 行 を合 併 した こ とで,両 行 の借 り手 の情 報 が 新 た に加 わ った こ とが わ か る。 ま た,2001年. 度 に 東 海 銀 行 と合 併 して い た 三 和 銀 行(当 時 はUFJ銀. 行)と2005年. 度に合併. し,両 者 の借 り手 の情 報 を得 て い る。 ま た,東 海 銀 行 は持 ち分 法 適 用 会 社 を1行,三. 表4MUFG(個. 究極的 存続銀行. 別 行). 三菱銀行(三 菱東京UFJ銀. 行 の存続銀行). 三菱信託銀行 東洋信託 銀行 日本 (UFJ信 信託銀行 託銀行の 存続銀行). 三和銀行 直接被支配 日本 (UFJ銀 東京銀 行 銀行 信託銀行 行 の存続 銀行). 第1間 接 被支配銀行. 和銀. 泉州銀行 東海銀行. 第2間 接 被支配銀行. 中京銀行 大正銀行 岐阜銀行 注3. 1994年. 度. ○. 1995年. 度. ○. 1996年. 度. ○. ○. 1997年. 度. ○. (○). 1998年. 度. ○. (○). 1999年. 度. ○. (○). 2000年. 度. ○. (○). △. 2001年. 度. 注2. (○). △. 2002年. 度. 注2. (○). △. 2003年. 度. 注2. (○). ▲. △. ▲ ▲. ▲. ▲. ○. (△). ▲. ▲. ▲. (○). △ △. (△). ▲. ▲. ▲. (○). (△). ▲. ▲. ▲. (○). 2004年. 度. 注2. (○). 2005年. 度. 注2. (○). ○. ○. (○). ●. ●. ●. ○. (○). 2006年. 度. 注2. (○). (○). ○. (○). ●. ●. ●. ○. (○). 2007年. 度. 注2. (○). (○). ○. (○). ●. ●. ●. ○. (○). (○). ●. ●. ●. ○. (○). (○). 注4. ●. ■. ○. (○). (○). 注4. ●. ●. ○. (○). 2008年. 度. 注2. (○). (○). 2009年. 度. 注2. (○). (○). ○ ●. 2010年. 度. 注2. (○). (○). 注1. 究 極 的 存 続 銀 行:サ ンプ ル 期 間 中 に,金 融 持 株 会 社 以 外 に は1度 も支 配(合 併 や 子 会 社 化)さ れ な か った 銀行 を指 す 直 接 被 支 配 銀 行:究 極 的 存続 銀 行 に直 接 的 に支 配 さ れ た銀 行 第1間 接 被 支配 銀 行:直 接 被支 配 銀 行 に直 接 的 に支 配 さ れ た銀 行 第2間 接 被 支 配 銀 行:第1間 接 被支 配 銀 行 に直 接 的 に支 配 さ れ た銀 行 注1池 田 銀 行 に よ り合 併 され た た め,持 ち分 法 適 用 会 社 で もな い 注2三 菱 信 託 銀 行 に よ り合併 注3東 海 銀 行,の ち にUFJ銀 行,三 菱 東 京UFJ銀 行 の 子会 社 で は な く,持 ち分 法 適 用 会 社 注42010年 度 に 十 六 銀 行 の 完 全 子 会社 とな る。 持 ち分 法 適 用 会 社 で もな くな る 一52(220)一.
(9) 借 り手企業の情報は誰に引き継 がれているのか?(相 馬) 行 は持 ち分 法 適 用 会 社 を2行. と連 結 子会 社 を1行 所 有 して お り,そ れ らの銀 行 の 借 り手 の. 情 報 も 同時 に得 る こ と とな った。 具体 的 に は,2000年. 度 か ら,東 海 銀 行 は岐 阜 銀 行 を,三. 和 銀 行 は泉 州 銀 行 を 連結 子 会社 化 して い る。 ま た,三 和 銀 行 は,2000年. 度 に大 正 銀 行 を,. 2001年 度 には 中 京 銀行 を持 ち分 法 適 用 会 社 と して い る。 三 菱 信 託 銀 行 は,2001年 信託 銀 行 を,2005年. 度 に は東 洋 信 託 銀 行(当 時 のUFJ信. 度 に 日本. 託 銀 行)を 合 併 し,両 信 託 銀 行. の情 報 を得 て い る⑫。 今 度 は,金 融 持 株 会 社 を 一 つ の銀 行 とみ な して,UFJHD(表5参. 表5UFJHD(金. 照)とMUFG(表6. 融 持 株 会 社). 金融 持株会社. UFJHD 三和銀 行 (UFJ銀 行 の存続銀行). 傘下銀行. 東海銀行. 東洋信託銀行 (UFJ信 託銀 行の存続銀行). 泉州銀行. 岐阜銀行. 中京銀行. 大正銀行. 度. ○. ○. ○. ○. ●. ●. ●. 2002年 度. ○. (○). ○. ○. ●. ■. ●. 2003年 度. ○. (○). ○. ○. ●. ●. ●. 2004年. ○. (○). ○. ○. ●. ●. ●. 2001年. 度. 表6MUFG(金. 融 持 株 会 社). 金融 持株会社. MUFG. 東洋 三菱銀行 三和銀行 信託銀行 (三菱東京 (UFJ銀 三菱 日本 傘下銀行 東海銀行 (UFJ信 泉州銀行 岐阜銀行 中京銀行 大正銀行 UFJ銀 東京銀行 行の存続 信託銀行 信託銀行 託銀行の 行の存続 銀行) 存続銀行) 銀行) 2001年 度. ○. ○. ○. (○). 2002年 度. ○. ○. (○). (○). 2003年 度. ○. ○. (○). (○). 2004年 度. ○. ○. (○). (○). 2005年 度. ○. (○). ○. ○. ●. ●. ●. ○. ○. (○). (○). 2006年 度. (○). (○). (○). ○. ●. ●. ●. ○. ○. (○). (○). 2007年 度. (○). (○). (○). ○. ●. ●. ●. ○. ○. (○). (○). 2008年 度. (○). (○). (○). ○. ●. ●. ●. ○. ○. (○). (○). 2009年 度. (○). (○). (○). ●. ●. ●. ●. ○. ○. (○). (○). 2010年 度. (○). (○). (○). 注1. 注2. ●. ●. ○. ○. (○). (○). 注1:池 注2:十 ⑫. 田銀 行 に よ り合 併 され た た め,持 ち 分 法 適 用 会 社 で もな い 六 銀 行 の 子 会 社 とな った た め,持 ち 分 法 適 用 会 社 で もな い. 厳 密 には,東 洋 信 託 銀 行 は2001年7月 に 東 海信 託 銀 行 と,三 菱 信 託 銀 行 は2001年10月 に 日本 信 託 銀 行 と東 京 信 託 銀 行 と合 併 して い るが,こ こで は省 略 して い る。 -53(221)一.
(10) 第11巻. 第2号. 参 照)が 借 り手 の 情 報 を どの 時 点 で どれ だ け 所 有 して い るか を見 て み る。UFJHDは, 2001年 度 か ら2004年 度 ま で存 在 し,三 和 銀 行(UFJ銀 託 銀 行(UFJ信. 行 の存 続 銀 行)・ 東 海 銀 行 ・東 洋信. 託 銀 行 の 存 続 銀 行)・ 泉 州 銀 行 ・岐 阜 銀 行 ・中 京 銀 行 ・大正 銀 行 の情 報 を. 所 有 して い る こ とが わ か る。一 方,MUFGは,2001年. 度 か ら2004年 度 ま で は,三 菱銀 行 ・. 三 菱 信 託 銀 行 ・日本 信託 銀 行 ・東 京 銀 行 の情 報 を所 有 して お り,2005年 度 にUFJHDを き継 い だ こ とで,そ れ以 降 は,三 和 銀 行(UFJ銀 行(UFJ信. 引. 行 の存 続 銀 行)・ 東 海 銀 行 ・東 洋 信 託 銀. 託 銀 行 の 存 続 銀 行)・ 泉 州 銀 行 ・岐 阜 銀 行 ・中 京 銀 行 ・大 正銀 行 の情 報 も追 加. され て い る こ とが わ か る。. 3.3み 表7が. ず ほ フ ィ ナ ン シ ャ ル ・グ ル ー プ(HD) 示 す よ う に,究. 極 的 存 続 銀 行 は,第. 一 勧 業 銀 行(の. コ ン シ ュマ ーバ ンキ ング業 務. 富 士 銀 行(の. コ ー ポ レ ー トバ ン キ ン グ 業 務. を 扱 う部 門 ・2011年 度 に お け る み ず ほ コ ー ポ レー ト銀 行)で. あ る。 この よ うな表 現 に な る. を 扱 う部 門 ・2011年 度 に お け る み ず ほ 銀 行)と. 表7み. 第 一 勧 業 銀 行 注1 (みず ほ銀 行 の 存 続 銀 行). 究極 的存続銀 行 直接被支配銀行. ず ほFG(個. 別 行) 富 士 銀 行 注2 (みず ほ コ ー ポ レー ト銀 行 の 存 続 銀 行). みずほ統合準備 安 田信 託銀 行 第 一勧 業銀 行 日本 興業 銀行 銀行(日 本興業 (みず ほ信 託銀 注2 注2 銀行 注1) 行 の存続銀行). 富士銀行 注1 安 田信 託銀 行 (みず ほ信託銀 行の存続銀行). 第1 間接 被支配銀行. △ △ △ △. 1998年 度 1999年 度 2000年 度 2001年 度. ○ ○ ○ ○. ○. 注3. ○. 注3. ○. ○. 2003年. 度. (○). 注3. (○). 注3. (○). (○). 2004年. 度. (○). 注3. (○). 注3. (○). (○). 2005年. 度. (○). 注3. (○). 注3. (○). (○). 2006年. 度. (○). (○). 注3. (○). (○). 2007年. 度. (○). 注3 注3. (○). 注3. (○). (○). 2008年. 度. (○). 注3. (○). 注3. (○). 2009年. 度. (○). 注3. (○). 注3. (○) (○). 2010年. 度. (○). 注3. (○). 注3. (○). (○). 2002年 度. (○). 究 極 的 存 続 銀 行:サ ンプ ル期 間 中 に,金 融 持 株 会 社 以 外 に は1度 も支 配(合 併 や 子 会 社 化)さ れ な か った銀 行 を 指す 直 接 被 支 配 銀 行:究 極 的 存続 銀行 に直 接 的 に支 配 さ れ た銀 行 第1間 接 被 支 配銀 行:直 接被 支 配 銀 行 に直 接 的 に支 配 さ れ た銀 行 第2間 接 被 支 配銀 行:第1間 接 被 支 配 銀 行 に直 接 的 に支 配 され た銀 行 注1:厳 注2:厳 注3:み. 密 に は,コ ン シ ュー マ ー バ ンキ ング業 務 の み 密 に は,コ ー ポ レー トバ ンキ ング業 務 の み ず ほ 信託 銀 行 は,み ず ほFGの 連 結 子 会社 とな った 一54(222)一.
(11) 借 り手 企 業 の情 報 は誰 に 引 き継 が れ て い るの か?(相 表8み. 究極的存続銀行. ず ほFG(会. 社 分 割 しな い場 合 の 個 別 行). 第一勧業銀行(み ず ほ銀行 の存続銀行). 直接支配銀行. 馬). 富士銀 行(み ず ほコー ポ レー ト銀行 の存続 銀行). 安 田信 託銀 行 日本興 業銀行 (みず ほ信託銀 第一勧業銀行 行の存続銀行). 富士銀行. 日本興 業銀行. 安 田 信託 銀行 (みずほ信託銀 行の存続銀行). 第1 間接支配銀行. △ △ △ △. ○ ○ ○ ○. 1998年. 度. 1999年. 度. 2000年. 度. 2001年. 度. 2002年. 度. ○. 注3. ○. 注3. ○. ○. 2003年. 度. (○). 注3. (○). 注3. (○). (○). 2004年. 度. (○). 注3. (○). 注3. (○). (○). 2005年. 度. (○). 注3. (○). 注3. (○). (○). 2006年. 度. (○). 注3. (○). 注3. (○). (○). 2007年. 度. (○). 注3. (○). 注3. (○). (○). 2008年. 度. (○). 注3. (○). 注3. (○). (○). 2009年. 度. (○). 注3. (○). 注3. (○). (○). 2010年. 度. (○). 注3. (○). 注3. (○). (○). 究 極 的 存 続 銀 行:サ ンプ ル 期 間 中 に,金 融 持 株 会 社 以 外 に は1度 も支 配(合 併 や 子 会 社 化)さ れ な か った銀 行 を 指 す 直 接 被 支 配 銀 行:究 極 的 存続 銀行 に直 接 的 に支 配 さ れ た銀 行 第1間 接 被 支 配銀 行:直 接 被 支配 銀 行 に直 接 的 に支 配 され た銀 行 注 は 表7と 同 じ. 理 由 は,み ず ほ 銀行 とみ ず ほ コー ポ レー ト銀 行 の成 立 過 程 に あ る。 まず,富 士 銀 行 の コ ン シ ュマ ー バ ンキ ン グ業務 を扱 う部 門 を第 一 勧 業 銀 行 へ,第 一 勧 業 銀 行 の コー ポ レー トバ ン キ ン グ業務 を扱 う部 門 を富 士 銀 行 へ,ま. た,日 本 興 業 銀 行 の コ ンシ ュマ ー バ ンキ ン グ業務. を扱 う部 門 を み ず ほ統 合 準 備 銀 行 に分 割 した。 そ して,第 一 勧 業 銀 行 を 存 続 銀 行 と して み ず ほ統 合 準 備 銀 行 と合 併 した みず ほ銀 行 が,富 士 銀 行 を存 続 銀 行 と して 日本興 業銀 行 と合 併 した みず ほ コ ー ポ レー ト銀 行 が誕 生 した。 よ って,2行. を 究 極 的 存 続 銀 行 と して は い る. が,そ れ ぞ れ,会 社 分 割 を経 験 して い る こ と とな る。 以 下 で は,第 一 勧 業 銀 行(の. コ ンシ ュ マ ーバ ン キ ング業 務 を 扱 う部 門 ・2011年度 に お け. る みず ほ銀 行)と 富 士 銀 行(の. コ ー ポ レー トバ ンキ ン グ業 務 を 扱 う部 門 ・2011年 度 に お け. る みず ほ コ ー ポ レー ト銀 行)が. どの 時 点 で どの 銀 行 の 借 り手 の情 報 を 利用 で き た の か に つ. い て見 て み よ う。 まず,第 一 勧 業 銀 行(の 年 度 に お け る みず ほ銀 行)か 社 とす るが,ま. コ ン シ ュマ ー バ ンキ ン グ業 務 を扱 う部 門 ・2011. ら見 て み る。 富 士 銀 行 が1998年 度 に安 田 信託 銀 行 を連 結 子 会. だ この 時 点 で は,第 一 勧 業 銀 行 と富 士 銀 行 との 間 に 関 わ り合 い は な く,安. 田信 託 銀 行 の 情 報 を 第 一 勧 業 銀 行 は所 有 して い な い。 しか し,2002年 度 の みず ほ銀 行 の誕 生 に伴 って,富 士 銀 行 ・み ず ほ統 合 準 備 銀 行 ・安 田 信 託銀 行 の情 報 も所 有 す る こ と と な る。 -55(223)一.
(12) 第11巻 表9み 金融 持株会社. 第一勧業銀行 みずほ銀行 (第一勧業銀行 注1). ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○. 2000年 度 2001年 度 2002年 度 2003年 度 2004年 度 2005年 度 2006年 度 2007年 度 2008年 度 2009年 度 2010年 度 注1コ 注2コ. 次 に,富. ず ほFG(金 み ず ほFG(み. 傘下銀行. 分割. 第2号. 富士銀行. 融 持 株 会 社) ず ほHD). 第一勧業 みず ほコー ポ レー ト みずほ統合準備銀行 富士銀行 銀行 銀行 (日本興業銀行 注1 注2 (富士 銀行 注2) 注1). ○ ○ ○ (O). ○ ○ ○ (O). (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○. 安田信託銀行 (みずほ信託銀 行の存続銀行). 日本興業銀行 日本興業 銀行 注2. ○ ○ ○. ○ ○ ○. (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). (○). ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○. ン シュ ー マ ーバ ンキ ング業 務 のみ ー ポ レ ー トバ ン キ ン グ 業 務 の み. 士 銀 行(の. コー ポ レー トバ ンキ ング 業 務 を扱 う部 門 ・2011年 度 に お け るみ ず ほ. コー ポ レー ト銀 行)に つ い て見 て み る。 富 士 銀 行 が1998年 度 に安 田信託 銀行 を連 結 子 会社 化 した時 点 で,安 田信 託 銀 行 の情 報 を 所 有 す る こ と とな る。 さ ら に,み ず ほ コー ポ レー ト 銀 行 の誕 生 に伴 って,第 一 勧 業 銀 行 と 日本 興 業 銀 行(そ れ ぞ れ の コー ポ レー トバ ンキ ン グ 業 務 を扱 う部 門)の 情 報 を所 有 す る こ と とな る。 今 度 は,金 融 持株 会 社 を 一 つ の銀 行 とみ な して,み ず ほ フ ィナ ン シ ャル ・グル ー プ(HD) が 借 り手 の情 報 を どの 時 点 で どれ だ け所 有 して い る か を 見 て み る(表9参 に みず ほHDが. 照)。2000年 度. 誕生 し,そ の 後,み ず ほ フ ィナ ン シ ャル ・グ ル ー プ に 引 き継 が れ た が,一. 貫 して,第 一 勧 業 銀 行 ・富 士 銀 行 。日本 興 業銀 行 の そ れ ぞ れ の全 部 門 と,安 田信 託 銀 行 の 4行 の情 報 を 所 有 して い る こ とが わ か る。. 3。4り そ なHD 表10が 示 す よ う に,究 極 的 存続 銀 行 は,大 和 銀 行 と埼 玉 りそ な銀 行 で あ る。 そ して,大 和 銀 行 に よ って,協 和 銀 行 ・な み は や銀 行 ・奈 良銀 行 の3行 は合 併 され,大 阪 銀 行 は持 ち 分 法 適 用 会 社 とな った こ とか ら直 接 被 支 配 銀 行 で あ る。 ま た,埼 玉 銀 行 は協 和 銀 行 に,な にわ 銀 行 は な み は や銀 行 に,近 畿 銀 行 は大 阪銀 行 に そ れ ぞ れ合 併 さ れ た の で,第1間 一56(224)一. 接被.
(13) 借 り手企業 の情報 は誰 に引き継がれて いるのか?(相. 馬). 支 配 銀 行 で あ る。 ま た,協 和 銀 行 を存 続 銀 行 と して 埼 玉 銀 行 との 合 併 に よ り誕 生 した あ さ ひ銀 行 の 埼 玉 県 内108店 舗(代 理 店 を除 く)お よ び 東 京 都 内3店 舗 は 埼 玉 りそ な銀 行 と し て 引 き継 が れ た。 以 下 で は,大 和 銀 行 が ど の時 点 で どの 銀 行 の 借 り手 の 情 報 を 利 用 で きた の か に つ い て 見 て み よ う。埼玉 りそ な銀 行 に つ い て は,会 社 分 割 の 点 で 後 ほ ど議論 す る こ と とす る。 まず, 1991年 度 に協 和 銀 行 が 埼 玉 銀 行 を 合 併 して あ さ ひ銀 行 が 誕生 し,2002年 度 に大 和 銀 行 が そ れ を合 併 す る こ と に よ り,協 和 銀 行 ・埼 玉 銀 行 の 情 報 を所 有 す る こ と とな る。 ま た,な み はや 銀 行 は1998年 度 にな にわ 銀 行 を 合 併 し,2000年. 表10り. 究極的 存続銀行. そ なHD(個. 大 和銀 行(り. 度 に は大 和 銀 行 が な み は や銀 行 を合 併. 別 行). そ な銀 行 の存 続 銀 行). 協和 銀行 なみは や銀 行. 直接 (あさひ銀行 被支配銀行 の存続銀 行). 奈良 銀行. 注3 第1間 接 被 支配銀行. 埼 玉 りそ な. 大阪銀行 (近畿大阪銀行 の存続銀行). なにわ 銀行. 埼玉銀行. 1991年 度. △. 1992年 度. (△). 1993年 度. (△). 1994年 度. (△). 1995年 度. (△). 1996年 度. (△). 1997年 度. (△). 1998年 度. (△). △. 1999年 度. (△). (△). 2000年. 度. (△). ○ 注1. 2001年. 度. (△). 2002年. 度. ○. (○). 2003年. 度. (○). 2004年. 度. 2005年. 度. 2006年. あさひ銀行 (旧協和銀 行). 近畿 銀行. (○). ▲ ▲. ▲. (○). (○). 注2. 注2. (○). (○). 注2. 注2. ○. (○). (○). (○). 注2. 注2. (○). (○). (○). (○). (○). 注2. 注2. (○). (○). (○). (○). (○). ○. 注2. 注2. (○). 度. (○). (○). (○). (○). (○). 注2. 注2. (○). 2007年. 度. (○). (○). (○). (○). (○). 注2. 注2. (○). 2008年. 度. (○). (○). (○). (○). (○). 注2. 注2. (○). 2009年. 度. (○). (○). (○). (○). (○). 注2. 注2. (○). 2010年. 度. (○). (○). (○). (○). (○). 注2. 注2. (○). (▲). 究 極 的 存 続 銀 行:サ ン プル 期 間 中 に,金 融 持 株 会 社 以 外 に は1度 も支 配(合 併 や子 会 社 化)さ な か った 銀 行 を 指 す 直 接 被 支 配 銀 行:究 極 的 存 続 銀 行 に 直 接 的 に 支配 され た 銀 行 第1間 接 被 支 配 銀 行:直 接 被 支 配 銀 行 に直 接 的 に 支配 され た銀 行 注1:近 注2:り 注3:あ. 畿 大 阪 銀 行 もな み は や 銀 行 を 同 時 に 引 き継 ぐ そ なHDが 完 全 子 会 社 化 した さ ひ銀 行(旧 協 和 銀 行)の 中 の 「 埼 玉 県 内+東 京3店 舗 」 以 外 一57(225)一. れ.
(14) 第11巻 表11り. 第2号. そ なHD(金. 金融 持株会社. 融 持 株 会 社). りそ なHD 大和銀行 大阪銀行 協和銀行 なみはや (り そな 埼玉 りそな (近畿大阪 近畿銀行 (あ さひ 埼玉銀 行 銀行 銀行の存 銀行の存 銀行 続 銀 行) 続銀行) 続 銀 行). 傘下銀行 銀 行 の 存. なにわ 銀行. 奈良銀行. 2001年. 度. ○. ○. (○). ○. (○). (○). (○). ○. 2002年. 度. ○. ○. ○. (○). (○). (○). (○). (○). ○. 2003年. 度. ○. ○. ○. (○). (○). (○). (○). (○). ○. 2004年. 度. ○. ○. ○. (○). (○). (○). (○). (○). ○. 2005年. 度. ○. ○. ○. (○). (○). (○). (○). (○). ○. 2006年. 度. ○. ○. ○. (○). (○). (○). (○). (○). (○). 2007年. 度. ○. ○. ○. (○). (○). (○). (○). (○). (○). 2008年. 度. ○. ○. ○. (○). (○). (○). (○). (○). (○). 2009年. 度. ○. ○. ○. (○). (○). (○). (○). (○). (○). 2010年. 度. ○. ○. ○. (○). (○). (○). (○). (○). (○). す る こ とで,な. み は や 銀 行 ・な に わ銀 行 の 両 行 の 情 報 を所 有 す る こ と とな る。 そ して,. 2005年 度 に奈 良 銀 行 を 合 併 して情 報 を所 有 す る こ と とな る。 ま た,1999年. 度 に は大 阪 銀 行. と近 畿 銀 行 の 両 行 を 持 ち分 法適 用会 社 と し,2000年 度 に は大 阪銀 行 が近 畿 銀 行 を合 併 して 近 畿 大 阪 銀 行 とな る もの の,引. き続 き大 和 銀 行 の持 ち分 法 適 用 会 社 とな る。 しか し,翌 年. の2001年 度 には,近 畿 大 阪銀 行 は りそ なHDの. 連 結 子 会 社 とな り,大 和 銀 行 の持 ち分 法 適. 用 会 社 か らは 離 れ る こ と とな る⑬。 今 度 は,金 融 持 株 会 社 を一 つ の銀 行 と み な して,り そ なHDが で どれ だ け所 有 して い るか を見 てみ る(表11参 来,一. 貫 して,大. 和 銀 行(り. 借 り手 の情 報 を ど の時 点. 照)。2001年 度 に りそ なHDが. そ な銀 行 の 存 続銀 行)・ 埼 玉 りそ な 銀 行 ・大 阪 銀 行(近 畿 大. 阪 銀 行 の 存続 銀 行)・ 近 畿 銀 行 ・協 和 銀 行(あ. さ ひ銀 行 の 存 続 銀 行)・ 埼 玉 銀 行 ・なみ はや. 銀 行 ・な に わ銀 行 ・奈 良銀 行 の情 報 を所 有 す る こ と とな る。. 4。 借 り手 の 情 報 の 扱 い に お け る 論 点. 4.1所. 有 者 が 移 っ た場 合 の 扱 い. 親 会 社 と子 会 社 の 関係 が変 化 す る場 合 が あ る。 これ は さ らに,. ⑬. 発 足 して 以. こ の点 に つ い て は の ち ほ ど議 論 す る。 -58(226)一.
(15) 借 り手企業の情報は誰に引 き継がれてい るのか?(相 馬) の 同 じ金 融 持 株 会 社 に所 有 者 が 代 わ る場 合 イ. 同 じ金 融 持 株 会 社 内 の 他 の 銀 行 に 所 有 者 が 代 わ る場 合 ウ. 別 の 金 融 持 株 会 社 や 別 の 金 融 持 株 会 社 内 の 銀 行 に所 有者 が代 わ る場 合. に分 け る こ とが で き る。 (ア)の例 と し て は,大 行 の 存 続 銀 行)の. 阪 銀 行(近. 畿 大 阪 銀 行 の 存 続 銀 行)・ 安 田 信 託 銀 行(み. ず ほ信 託 銀. 場 合 が,(イ)の 例 と して は 日 本 信 託 銀 行 の 例 が 挙 げ ら れ る 。 そ して,そ. も. そ も グ ル ー プ 外 と な っ て し ま う(ウ)の例 と し て は 泉 州 銀 行 ・岐 阜 銀 行 の 場 合 が 挙 げ られ る 。 以 下,具. 体 的 な ケ ー ス を 見 た 後 で,対. (ア)の例 と して,大 2001年 度 よ り,り も の の,大. 応 を議 論 す る こ と とす る。. 阪 銀 行 は,1999年. そ なHDに. 度 と2000年 度 は 大 和 銀 行 の 連 結 子 会 社 で あ る が,. よ る 完 全 子 会 社 化 の た め,大. 和 銀 行 と 同 じグル ー プ に属 す る. 和 銀 行 の 連 結 子 会 社 で は な くな っ て い る 。 同 様 に,安. 1998年 度 か ら 富 士 銀 行 の 連 結 子 会 社 で あ り,み. 田 信 託 銀 行 の 場 合 も,. ず ほ フ ィ ナ ン シ ャ ル ・グ ル ー プ 発 足 後 も,. 富 士 銀 行 の 連 結 子 会 社 と し て み ず ほ フ ィ ナ ン シ ャ ル ・グ ル ー プ(HD)に 2002年 度 以 降 は,み. ず ほ フ ィ ナ ン シ ャ ル ・グ ル ー プ の 連 結 子 会 社 と な り,富. グ ル ー プ に 属 す る も の の,富 (イ)の例 と し て,日 あ る が,2001年 そ の 結 果,三. 士 銀 行 と同 じ. 士 銀 行 の 連 結 子 会 社 で は な く な っ て い るqの。. 本 信 託 銀 行 は,1994年. 度 に は 同 じMUFGに. 度 か ら2000年 度 ま で は 三 菱 銀 行 の 連 結 子 会 社 で. 属 す る三 菱 信 託 銀 行 に よ っ て合 併 され て 消 滅 す る。. 菱銀 行 の連 結 子 会 社 で は な くな って い る。. (ウ)の例 と し て,泉. 州 銀 行 は,2000年. 度 に 三 和 銀 行 の 連 結 子 会 社 と な り,2001年. 2005年 度 ま で は 三 和 銀 行 の 連 結 子 会 社 と し てUFJHDの (当 時 は 東 京 三 菱 銀 行)がUFJ銀. 行(三. 銀 行 の 連 結 子 会 社 と し てMUFGの な り,2010年. 所 属 し て い た が,. 度 に は,持. 和 銀 行 が 存 続 銀 行)を. 所 属 と な る 。 し か し,2009年. 合 併 後 に,三. の 後 も,2004年. 菱銀 行. 菱 東 京UFJ. 度 に持 ち分 法 適 用 会 社 と. ち 分 法 適 用 会 社 で も な く な っ て い る ⑮。 ま た,岐. 年 度 に 東 海 銀 行 の 持 ち 分 法 適 用 会 社 と な る と,そ 年 度 ま で は 三 菱 東 京UFJ銀. 所 属 と な っ た 。 ま た,三. 度 か ら. 阜 銀 行 は,2000. 度 ま で はUFJ銀. 行 の 持 ち 分 法 適 用 会 社 で あ る が,2009年. 行,2008. 度 か ら適 用 外 と な り,. 2010年 度 に 十 六 銀 行 の 完 全 子 会 社 と な る 。 以 上 の 例 か ら,借. り手 の 情 報 を ど の よ う に 扱 う こ と が 考 え ら れ る で あ ろ う か?情. qの2010年 度 に は完 全 子 会 社 とな って い る。 ⑮2009年5月 に は池 田泉 州HDを 設 立 し,2010年5月 な る。 -59(227)一. 報の. に は池 田銀 行 に合 併 され て 池 田 泉 州 銀行 と.
(16) 第11巻 共 有 に 関 して,3つ. 第2号. の レベ ル が 想 定 で き る 。. (1)金 融 持 株 会 社 が 持 って い る情 報 は,所 属 す るす べ て の 子 会 社銀 行 と共 有 す る (2)同. じグル ー プで あ って も個 々の 子 会 社 は 独 立 して お り,子 会社 間 で の情 報 の共 有 は. しな いが,金 融 持 株 会 社 が 直 接 持 って い る情 報 は 金 融 持株 会 社 と子 会 社 間 で共 有 す る (3)同. じグル ー プで あ って も個 々の 子 会 社 は 独 立 して お り,子 会 社 間 だ け で は な く,金. 融 持 株 会 社 と子 会 社 間 で も情 報 の 共 有 は な い. (1)の考 え 方 の 背 後 には,そ. もそ も金 融 持 株 会 社 は グル ー プ の 司令 塔 で あ り,グ ル ー プ全. 体 の 利 益 を 最 大 化 す る存 在 で あ る との 想 定 が あ る。 も しそ うで あ る な らば,0う の ケ ー ス は 言 う まで もな く,(イ)のケ ー ス で あ って も,子 会社 で あ る三 菱 信 託 銀 行 が持 って い る 日本 信 託 銀 行 の 情 報 は 金 融 持 株 会 社 で あ るMUFGも. 所 有 す るの で,結 果 的 に は,す べ て の子 会. 社 銀 行 も 日本 信 託 銀 行 の 情 報 を 同様 に所 有 す る と考 え られ る。 す な わ ち,グ ル ー プ全 体 で あ た か も一 つ の 銀 行 と想 定 した場 合 と同 じケ ー ス とな る。 よ って,㈲ 以 外 はす べ て の ケ ー ス で,情 報 が 伝 わ る。 しか し,そ こ まで 情 報 の共 有 が徹 底 して な さ れ る の か に は疑 問 が残 る。(3)は(1)とは対 極 な 考 え で あ り,情 報 は あ くま で も個 々 の銀 行 の物 で あ り,同 じグル ー プで あ った と して も, 支 配 関 係 の な い 場 合 に は情 報 は共 有 さ れ な い とい う考 え方 で あ る。 す な わ ち,今 まで 行 っ て きた 個 々の 銀 行 に 分 け た分 析 で あ る。 よ って,(ガ ・(イ)・(ウ)の 全 て の ケ ー ス で,情 報 は伝 わ らな い。 (1)と(3)の中 間 的 な 発 想 が(2)であ る。 も し(2)が成 り立 って い る な らば,(イ)のケ ー ス は,金 融 持 株 会 社 のMUFGが が,ω. 直 接 子 会社 に して い る わ け で は な い の で,子 会 社 に は伝 わ らな い. の ケー ス は,金 融 持 株 会 社 か ら直 接 子 会 社 に伝 わ る と考 え られ る。 よ って,(ガ の. ケ ー ス で の み情 報 が伝 わ る。 しか しな が ら,グ ル ー プ 内 に お け る情 報 の共 有 の 問題 は,そ れ に伴 って 得 られ る利 便 性 の 向 上 と,一 方 で,銀 行 業 務 の守 秘 義 務 や フ ァイ ア ー ウ ォール 規 制 な ど との 関 係 で 法 律 上 の 問 題 と関 わ って くる。 よ って,サ ン プル の 年 度 に よ って も解 釈 が変 わ る可 能 性 が あ る⑯。. ⑯. 全 国銀 行 協 会(2008)で は,証 券 業 務 と銀 行 業 務 に お け る フ ァ イ アー ウ ォー ル 規 制 が 中 心 で は あ る が,金 融 持 株 会 社 に お け る情 報 の共 有 の 問 題 につ いて 詳 述 して い る。 -60(228)一.
(17) 借 り手企業 の情報 は誰 に引 き継がれてい るのか?(相 4.2会. 馬). 社分割の扱 い. こ の節 で は,会 社 分 割 を行 った 場 合 の デ ー タの 扱 い に関 して 議論 を 行 う。 この場 合,問 題 に な る のが,部 門 ご との 借 り手 の 情 報 は 手 に入 らな い こ とで あ る。 具 体 的 に は,第 一 勧 業 銀 行 ・富 士 銀 行 ・日本 興 業 銀 行 の 会 社 分 割 に よ って 誕生 した,み ず ほ銀 行 とみず ほ コー ポ レー ト銀 行 の 扱 い と,あ さ ひ銀 行 が りそ な 銀 行 と埼 玉 りそ な に分 割 さ れ た 際 の扱 い につ いて 議 論 す るqの 。 まず は,み ず ほFGか. ら見 て み る。3.3節 で詳 述 した よ うに,第 一 勧 業 銀 行 ・富 士 銀 行 ・. 日本 興 業銀 行 に お いて,各 行 の コ ン シ ュマ ー バ ンキ ング業 務 を 扱 う部 門 を第 一 勧 業 銀 行 へ, 各 行 の コー ポ レー トバ ンキ ン グ業 務 を扱 う部 門 を富 士 銀 行 へ 分 割 し,第 一 勧 業 銀 行 を 存 続 銀 行 とす るみ ず ほ銀 行 と,富 士 銀 行 を存 続 銀 行 とす る コ ー ポ レー ト銀 行 が 誕 生 した 。 この場 合 の現 実 的 な対 応 方 法 と して は,部 門別 と はせ ず に,あ たか も一 つ の 銀 行 と して 扱 う方 法 で あ る(表8参. 照)。 す な わ ち,会 社 分 割 で 無 くな った 部 門 の情 報 も銀 行 自体 は. 保 持 して お り,情 報 量 は分 割 前 と変 わ らな い と想 定 す る こ とで あ る。 具 体 的 には,2002年 度 に分 割 後 統 合 して みず ほ銀 行 が で き た際 に は,第 一 勧 業 銀 行 は富 士 銀 行(全 部 門)の 情 報 を得 て い る と考 え る。2003年 度 以 降 の富 士 銀 行 の情 報 の扱 い は,さ き ほ どの4.1節 と同 じ 問題 に還 元 で き る。 す な わ ち,み ず ほ コー ポ レー ト銀 行 と して 富 士 銀 行(の. コー ポ レー ト. バ ンキ ング業 務 を扱 う部 門)は 存 続 して い るが,そ の 更 新 され た情 報 を持 株 会 社 が得 た 時 に,子 会 社 で あ るみ ず ほ銀 行 と共 有 す るか ど うか で 扱 い が変 わ って く る。 ま た,埼 玉 りそ な銀 行 は,協 和 銀 行 と埼 玉 銀 行 との 合 併 に よ り誕 生 した あ さ ひ銀 行 の 内, 埼 玉 県 内108店 舗(代 理 店 を 除 く)お よ び東 京 都 内3店 舗 を 会 社 分 割 す る形 で 誕 生 した銀 行 で あ る。 み ず ほ と同 様 に考 え れ ば,あ. さひ銀 行 の情 報 は全 て,り そ な銀 行 と埼 玉 りそ な. 銀 行 が 引 き継 い だ と考 え るの が相 当 で あ る。. 4.3銀. 行 以 外 の大 株 主 の扱 い. 今 まで は,銀 行 に よ る経 営 統 合 の 問題 を扱 って き た が,銀 行 の 大 株 主 は,銀 行 だ けで は な く,た とえ ば,国 や外 国人 投 資 家 の存 在 もあ る。 国有 化 とい う手 法 で銀 行 の破 た ん処 理 が な され た り,1998年3月. 以降の公的資金注入 に. よ る銀 行 の資 本 増 強 策 もあ り,大 株 主 が政 府(預 金 保 険機 構 や その 子 会 社 の整 理 回収 機 構) とい う銀 行 も存 在 す る。 表12に 挙 げ た例 は100%国. 有 化 され た場 合 で あ るが,そ. れ以 外 に. Gの 他 に も,山 口FGに お い て,山 口銀 行 が 山 口銀 行 と北 九 州 銀 行 に分 割 され た ケ ー ス もあ るが, こ こ で は取 り上 げ な い。 一61(229)一.
(18) 第11巻. 第2号. も,た とえ ば,関 西 さわ や か 銀 行 の2001年 度 ・2002年 度 の 預 金 保 険機 構 の持 ち分 は25%で あ る。 ま た,2011年. 度 の 高 知 銀 行 の 整 理 回 収 機 構 の 持 ち分 比率 は40%を 超 え て い る。 こ れ. は,「 金 融機 能 の 強 化 の た め の特 例 措 置 に 関 す る法 律 」 に 基 づ い た 資 本 増 強 の た め に,優 先 株 式 を 引受 け た もの で あ る。 また,2003年. 度 の りそ なHDの. 筆 頭 株 主 は,50.1%で. 預金. 保 険 機 構 で あ る。 い わ ゆ る国 有 化 の 扱 いで あ るが,政 府 が 大 株 主 と して 借 り手 の情 報 の共 有 を妨 げ た りす る こ とは 考 え に くい が,貸 出先 な ど の変 更 を通 して借 り手 の 情 報 に影 響 す る可 能 性 が あ る。 た とえ ば,1998年3月. の 金 融 機 能 安 定 化 法(旧 安 定 化 法)に 基 づ く資 本 増 強 に お い て は. 「健 全 性 確 保 計 画 」 を,1998年3月. の早 期 健 全 化 法 に基 づ く資 本 増 強 に お い て は 「経 営 健. 全 化 計 画 」 を銀 行 に提 出 させ,中 小 企 業 向 け貸 出 比 率 な どの 目標 値 を 掲 げ させ て い る⑱。. 表12預. 金 保 険機 構 が100%株. 式 を所 有 して い る銀 行. 子会社. 親会社. 新生銀行. 預 金保 険機構. 1999.3の. あお そ ら銀 行. 預金保 険機構. 1999。3∼2000.3. 足利銀行. 預金保 険機構. 2004.3∼2008.3. 表13投. 期. 親会社. 新生銀行. NEWLTCB (リ ッ プ ル ウ ッ ド). 関 西 さわ や か 銀 行. み. 資 目的の親会社 を持 つ銀行. 子会社. あ お そ ら銀 行. 間. ・ ソ フ トバ ン ク,オ. リ ッ ク ス,東. 合 が2001.3∼2003.3 ・サ ー ベ ラ ス が2004. .3∼2011.3. 期. 間. 2000.3∼2004.3. 京 海 上 な どの 連 2001.3∼2011.3. 日本 イ ンベ ス トメ ン ト ・パ ー トナ ー ズ ・ リ ミテ ィ ッ ドパ ー トナ ー シ ッ プ. 2001.3∼2003.3. 野村連合. 2009.3∼2011.3. 足 利 銀 行(足 利HD)注1 ・ ロ ー ン ス タ ー が2002. .3∼2007.3 。 ジ ャ パ ン ・ア イ ル ラ ン ド ・キ ャ ピ タ ル. 東 京 ス ター 銀 行. ナ ー ズ. 注1:足. 利銀 行 は 足利HDの. 。パ ー ト. 2002.3∼2011.3. ・ リ ミ テ ッ ドが2008.3∼2011.3. 完 全 子 会 社。 野 村 連 合 は 足 利HDを. 所 有。. これ に よ り,取 引 年 数 な どに 関係 な く貸 し出 しが行 な わ れ た り,逆 に慎 重 にな った りす る 可 能 性 が 考 え られ る。 外 国 人 投 資 家 に 関 して も,表13に. ㈹. 預 金 保 険 機 構HPに. あ る よ うに,少 な か らず 存 在 す る。 銀 行 が 支 配 関 係 の. は,資 本 増 強 につ い て の 資 料 が 充 実 して い る。 -62(230)一.
(19) 借 り手 企 業 の 情 報 は 誰 に 引 き継 が れ て い る の か?(相. 馬). 維 持 や 取 引 関 係 の た め に 所 有 す るの に 対 して,外 国人 投 資 家 の場 合 に は,純 粋 に投 資 目的 で,短 期 的 利 益 の た め に 行 動 す る可能 性 が あ り,他 の銀 行 や金 融 持 株 会 社 に よ る経 営 統 合 とは 意 味 が 異 な る可 能 性 が あ る。. め. と. 5.ま. 本 稿 で は,「 どの 銀 行 が どの 時 点 で ど の銀 行 の 借 り手 の 情 報 を共 有 して い るの か?」. に. 関 す るデ ー タの 構 築 を行 って き た。 そ の た め に,ま ず は,銀 行 の 所 有 構 造 を 調 べ た。 そ し て,経 営 統 合 の詳 細 に つ い て も提 示 した。 そ して,そ の際 に直 面 す る問 題 点 と して,所 有 者 が 移 った場 合 の扱 い,会 社 分 割 の扱 い,銀 行 以 外 の大 株 主 の 扱 いの 具 体 的 な 対 応 策 も提 示 した。 そ の結 果,メ. ガ バ ンク の金 融 持 株 会 社 に関 して は,か な り詳 細 な デ ー タの 蓄 積 が. 可能 とな った が,メ ガバ ンク以 外 の デ ー タの 構 築 も今 後 必 要 にな って くる。 ま た,本 稿 で は,持 ち分 法 適 用 会 社 まで が 支 配 関 係 に あ る と想 定 して い た。 しか し,持 ち分 比 率 が20%未 満 で も,役 員 が 派遣 され て い る な らば,情 報 の共 有 が あ る か も しれ な い。 この辺 りの細 か い配 慮 は今 後 の残 され た課 題 で あ る と言 え る。. 参. 〔1〕. 内 田 浩 史(2000),「. 考. 文. 献. 金 融 機 関 の 機 能 」 筒 井 義 郎 編 著. 『金 融 分 析 の 最 先 端 』 第1章,. 東 洋 経 済 新 報 社 〔2〕 〔3〕. 〔4〕. 鈴 木 康 晴(2011),「. 関 西 に お け る 地 域 銀 行 に つ い て 」 彦 根 論 集,No.390. 全 国 銀 行 協 会(2008),「 一 報 告 書 一 」. 法 人 顧 客 に 係 る 銀 証 間 の 情 報 共 有 の あ り方 に 関 す る 研 究 会. 花 崎 正 晴 ・ ユ パ ナ ・ ウ ィ ワ ッ タ ナ カ ン タ ン ・相 馬 利 行(2005)「 構 造:銀 題:危. 行 の 所 有 構 造 に み る ガ バ ナ ン ス の 欠 如 」(『 わ れ た10年 機 の 実 相),第2章)"東. 京 大 学 出版 会. 〔5〕Hoshi,Takeo,AnilKashyapandDavidScharfstein(1990),"TheRoleof BanksinReducingtheCostsofFinancialDistressinJapar1,"JournalofFinancial Economics,27,67-88。 〔6〕Hoshi,Takeo,AnilKashyapandDavidScharfstein(1991),`℃orporateStructure, Liquidity,andInvestment:EvidencefromJapaneseIndustrialGroups,"Quarterly JournalofEconomics,106,February,33-60, 〔7〕LaPorta,Rafael,FlorencioLopez-de-SilanesandAndreiShleifer(1999),"CorporateOwnershiparoundtheWorld,"JournalofFinance,54,471-517, 〔8〕Sheard,Paul(1989),"TheMainBankSystemandCorporateMonitoring andControlinJapan,"JournalofEconomicBehaviorandOrganization11, 399-422. 〔9〕Sheard,Paul(1994),"MainBanksandtheGovernanceofFinancialDistress,". 一63(231)一. 金 融 危 機 を 生 ん だ を 超 え て 』,第1巻(副.
(20) 第11巻. 第2号. inMasahikoAokiandHughPatrick(eds。),TheJapaneseMainBankSystem: 工tsRelevanceforDevelopingandTransformingEconomies,OxfordUniversity Press,188-230.. 参. 考. 資. 料. 格 付 投 資 情 報 セ ン ター(各 年 版),『 日経 金 融年 報 春 季号 』,日 本 格 付 投 資 情 報 セ ン ター 格 付 投 資 情 報 セ ン ター(各 年 版),『 日経 金 融年 報 夏 季 号 』,日 本 格 付 投 資 情 報 セ ン ター 日本 金 融 通 信 社(各 年 版),『 日本 金 融年 鑑 』,日 本 金 融 通 信 社. 参 考HP・. ・EOLデ. データベース. ー タ ベ ー スhttp://eoldbjp/EolDb/. ・ 各 銀 行HP ・全 国 銀 行 協 会. ・銀 行 の 提 携. affiliation/ ・全 国 銀 行 協 会. ・銀 行 変 遷 史 デ ー タ ベ ー スHP:http://www. hensen/index.htm1 ・ 預 金 保 険 機 構HP:http://www. ・合 併 リ ス トHP:http://www. .zenginkyo.or,jp/inquiry/. .zenginkyo.or。jp/library/. .dic。go。jp/katsudo/shihonzokyo/index.htmI. 一64(232)一.
(21)
関連したドキュメント
〔C〕 Y 1銀行及び Y 2銀行の回答義務は、顧客のプライバシー又は金融機関
金額規模としては融資総額のおよそ 3 分の1にあたる 1
We generate net revenues from returns on these investments and from the increased share of the income and gains derived from our merchant banking funds when the return on a
ーチ・セソターで,銀行を利用しているが,金融会杜を利用していない人(A
本規定は、株式会社三菱UFJ銀行(以下、 「当行」といいます。 )が提供するスマートフォン用アプ
2 当行は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、第1四半期連結会計期間(自2022年4月1日
5.本サービスにおける各回のロトの購入は、当社が購入申込に係る情報を受託銀行の指定するシステム(以
それでは,従来一般的であった見方はどのように正されるべきか。焦点を