• 検索結果がありません。

インドネシア南スラウェシ州の学校保健の現状 : 保健室の整備状況と活用の実態: 沖縄地域学リポジトリ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "インドネシア南スラウェシ州の学校保健の現状 : 保健室の整備状況と活用の実態: 沖縄地域学リポジトリ"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Title

インドネシア南スラウェシ州の学校保健の現状 : 保健室

の整備状況と活用の実態

Author(s)

八田, 早恵子; 金城, やす子

Citation

名桜大学紀要 = THE MEIO UNIVERSITY BULLETIN(19):

143-148

Issue Date

2014-03

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/12361

(2)

Ⅰ はじめに  インドネシア共和国は,国全体としての国民の生活と 福祉の質の向上に努めた一方,地域間の開発格差が顕在 化し,特に東部地域とその他の地域間の開発格差の拡大 は深刻である。後進地域開発推進担当国務大臣府が2005 年2月に発表した統計によると「後進地域」と指定さ れる地域はインドネシア全体で199県あり,うち123県 (62%)が東部に位置する。また,貧困人口比率も東部 (23%)は全体平均(16%)を大きく上回る。インドネ シアの教育は,9年制義務教育(小学校6年,中学校3 年)の完全普及を目標にしているが,南スラウェシ州の 前期中等教育(中学校)の総就学率は76%(2005年)と 全国平均を下回り,家庭の困窮,地方政府が提供する行 政サービスや地域住民のニーズの相違等が要因とされて いる。今回,JICAプロジェクト事業の一端として実施 された南スラウェシ州の中学校を対象とした学校保健の 現状について,保健室の稼働状況と健康意識の向上に向 けた取り組みを明らかにすることを目的に調査した。 インドネシア共和国  スラウェシ島 南スラウェシ州

インドネシア南スラウェシ州の学校保健の現状

   保健室の整備状況と活用の実態   

Current Situation of School Health at South

Sulawesi Province in Indonesia

   Status of School Infirmary Development and Actual Conditions of Utilizing the Facilities   

八田早恵子,金城やす子 

要旨  インドネシア共和国は,国全体としての国民の生活と福祉の質の向上に努めているが,現在,特に西部と東部の地 域間の開発格差が顕在化している。「後進地域」と指定される地域のうち62%が東部に位置し,貧困人口比率も東部 (23%)は全体平均(16%)を大きく上回る。教育分野において,東部の中心地域である南スラウェシ州の前期中等 教育の総就学率は76%と全国平均を下回り,家庭の困窮・地方政府が提供する行政サービスや地域住民のニーズの相 違等が要因とされている。今回JICAの事業の一端として南スラウェシ州の学校保健の現状調査から,保健室の整備 状況等と健康意識の向上に向けた学校保健の現状を調査した。南スラウェシ州3県(A,B,C)の中学校における 保健室の設置状況は,A県13校のうち7校(53.8%),B県21校のうち3校(14.3%),C県26校のうち17校(65.4%) であった。また学校にベッドが概ね配置されている学校はA県,C県で1校のみであり,B県では配置されているが 十分ではなかった。生徒に対する保健研修では,保健所スタッフによる研修や,インドネシア赤十字による救急法研 修が実施されていた。インドネシア共和国の学校保健事業は,2003年保健大臣令により地方自治体の最小限の基準サー ビスとなったが,実際の整備状況は各地域,学校によって大きな違いがあること,また各学校における保健研修は, 地域の保健関係者と共同で実施されていることが明らかになった。 キーワード:インドネシア,南スラウェシ州,学校保健,保健室,健康教育

【研究ノート】

(3)

Ⅱ 研究方法 1 研究期間(調査期間を含む)   2007年から2010年 2 研究方法  1)南スラウェシ州3県の学校の保健室設置の状況, 保健室内の物品,医薬品などの配置状況,保健室 使用状況を調査した。  2)各学校による生徒に対する保健研修の実施状況 3 倫理的配慮  学校保健の現状を学会等で報告することについて, JICAプロジェクトの許諾を得た。  また,インドネシア共和国対象校には直接許可を得て いないため,調査校や個人が特定されることがないよう, 文章中の表記に配慮した。 Ⅲ 結果  南スラウェシ州A県(13校)・B県(21校)・C県(26 校)の保健室設置状況について,図1に示した。A県13 校のうち保健室が設置されているものは7校(53.8%), B県は21校のうち3校(14.3%),C県は26校のうち17 校(65.4%)であった。B県では半数以上の学校に保健 室が設置されていない状況にある。  また各中学校にどの程度の医療器材や衛生材料物品が 配置されているのか,図2~4に県ごとの状況を示した。 物品については,日本の学校教育法施行に伴う実施基準 を参考に,インドネシアの状況を考慮し選択した。これ は保健室が設置されていない学校も調査している。  ベッドが概ね配置されている学校は,A県,C県で1 校のみであり,B県ではベッドの配置は十分ではなかっ た。3県とも「配置しているが十分ではない」学校が多く, 保健室がなくベッドがどこに配置されているかなどの把 握はできていない。B県では石鹸の設置は,「配置して いるが十分ではない」と「十分な配置状況である」を合 わせ,およそ配置している学校は過半数を超えているが, それ以外の物品はほとんど配置されていない。また,救 急用品についてC県で保健室がない学校にも設置されて いた。  生徒の健康管理や使用者の実態など保健室の利用状況 について,具体的にどのような資料を用いているのか, 表1に示した。  保健室の利用については,3県とも記録がされていた。 実際にどのような生徒が保健室を利用するのか,使用者 記録ノートを確認した。使用者記録ノートには朝礼時の 失神・立ちくらみ,腹痛,頭痛,打撲,切り傷などの外 名桜大学紀要 第19号 図1.保健室設置状況 図2.A県物品配置状況 65.4 14.3 53.8 34.6 85.7 46.2 65.4 14.3 53.8 34.6 85.7 46.2 C県 B県 A県 0% 20% 40% 60% 80% 100% 設置 未設置 (n=13) 77 54 54 38 62 38 8 31 31 54 31 31 0 8 8 0 0 0 15 8 8 8 8 31 77 54 54 38 62 38 8 31 31 54 31 31 0 8 8 0 0 0 15 8 8 8 8 31 0% 20% 40% 60% 80% 100% 体温計 身長計 体重計 救急用品 ベッド 石鹸 配置していない 配置しているが十分ではない 概ね十分配置している 十分な配置状況である 図3.B県物品配置状況 図4.C県物品配置状況 (n=21) 配置していない 配置しているが十分ではない 概ね十分配置している 十分な配置状況である 76 90 86 71 95 33 19 10 14 29 5 24 0 0 0 0 0 0 5 0 0 0 0 43 76 90 86 71 95 33 19 10 14 29 5 24 0 0 0 0 0 0 5 0 0 0 0 43 0% 20% 40% 60% 80% 100% 体温計 身長計 体重計 救急用品 ベッド 石鹸 (n=26) 配置していない 配置しているが十分ではない 概ね十分配置している 十分な配置状況である 88 81 73 27 38 42 12 15 23 58 50 23 0 0 0 0 8 15 0 4 4 15 4 19 88 81 73 27 38 42 12 15 23 58 50 23 0 0 0 0 8 15 0 4 4 15 4 19 0% 20% 40% 60% 80% 100% 体温計 身長計 体重計 救急用品 ベッド 石鹸 表1.保健室利用状況 県 保健室で使用している 記録等 保健室利用者の状況 A ・使用者記録ノート 朝礼時の失神・立ちく ら み, 腹 痛, 頭 痛, 軽 傷の打撲,切り傷等 B ・使用者記録ノート ・生徒保健記録ノート (身長・体重・両親名・ 住 所 記 載, 血 液 型 項 目あるが,無記載) 朝礼時の失神・立ちく らみ,腹痛,頭痛等で, しばしば朝食抜きが原 因である C ・使用者記録ノート ・生徒保健記録ノート (身長,体重,両親名, 住所記載) 朝礼時の失神・立ちく ら み, 腹 痛, 頭 痛, 軽 傷の打撲,切り傷等

(4)

傷により保健室を利用されたことが記録されていた。B 県,C県においては,生徒の保健記録ノートが使用され, 個人の健康管理が行われていた。  またJICAプロジェクトにおいて,2008年から2010年 の3年間に各学校がそれぞれ保健研修やワークショップ を計画,実施した。その学校保健活動の内容を表2に示 した。 表2.学校保健活動内容 県 2008年 2009年 2010年 A 1 生徒に対する保健研修(学校保 健,健康で清潔な生活等) 2 学校保健の備品整備 3 清潔なクラスコンテスト 4 ボーイ・ガールスカウト研修 5 インドネシア赤十字基礎研修 1 郡内中学校に健康な学校組織作 成と学校保健備品整備 2 学校保健研修,生徒に対する学 校保健研修(青年保健ボラン ティア,救急法等を,保健局・ 保健所の協力のもと) 3 学校保健の備品整備,清潔なク ラスコンテスト 4 インドネシア赤十字基礎研修 1 地域住民対象の環境衛生とデン グ熱についての研修 2 住民対象の感染症研修 3 住民対象の健康な中学校活動の 紹介 4 保護者及び生徒への保健研修 5 生徒への保健研修(デング熱, 歯科口腔衛生,救急処置,健康 で清潔な生活習慣,健康な学校, 学校保健) 6 生徒の保健委員(青年保健ボラ ンティア)研修 7 住民対象の保健講習(清潔な水, 鳥インフルエンザ,健康な学校) 8 学校保健の備品整備 9 校庭整備 B 1 生徒の健康な家コンテスト 2 生徒の家族を含む住民に対する 教育と保健の重要性についての 研修 3 健康な学校コンテスト 4 全生徒に対する保健研修 5 生徒の保健委員研修 6 学校保健の備品整備 7 清潔で健康なクラスコンテスト 8 生徒の健康な家コンテスト 1 学校保健担当教諭への保健研修 2 体育教諭へのインドネシア赤十 字研修 3 清潔できれいな学校コンテスト 4 住民と学校で栄養のある植物を 育てる運動 5 全生徒に対する保健研修 6 生徒の保健委員研修 7 学校保健の備品整備 8 トイレ修理 9 清潔で健康なクラスコンテスト 10 体操コンテスト 11 生徒や住民に対する健康で清潔 な文化運動 12 ボーイ・ガールスカウト研修 13 インドネシア赤十字研修 1 郡内の健康な学校コンテスト 2 郡内ボーイ・ガールスカウト研 修 3 生徒への保健研修(竹製のゴミ 箱作成,救急処置,学校保健, 鳥インフルエンザ) 4 清潔なクラスコンテスト 5 校内単位でのボーイ・ガールス カウト研修 6 インドネシア赤十字研修 7 学校保健備品整備 8 校庭の植樹整備 C 1 学校関係者への教育と保健につ いてのワークショップ 2 生徒に対する鳥インフルエンザ の研修 3 両親生徒への保健研修 4 生徒の保健委員研修 5 学校保健の備品整備 6 清潔なクラスコンテスト 7 近隣の小学生を含む生徒への体 操講習会 8 カウンセリング研修 9 ボーイ・ガールスカウト研修 1 住民,学校対象の健康な生活/ 保健教育ワークショップ 2 郡内全ての学校対象の保健教育 /健康な生活/麻薬撲滅講習 3 教員へのインドネシア赤十字研 修 4 生徒への保健意識向上講習 5 生徒への保健研修(健康な生活, HIV/AIDS,麻薬につい て) 6 学校周辺の環境整備 7 生徒の保健委員(青年保健ボラ ンティア)研修 8 学校保健の備品整備 9 清潔な水の確保と公衆衛生(校 内に浅井戸整備) 10 清潔なクラスコンテスト 11 ボーイ・ガールスカウト研修 12 インドネシア赤十字研修 1 麻薬についての研修 2 インドネシア赤十字研修 3 生徒への保健研修(デング熱, 鳥インフルエンザ,学校保健, 麻薬撲滅,健康な生活,保健係, 保健体育) 4 地域住民対象の麻薬についての 研修 5 清潔できれいなクラスコンテス ト 6 校内単位でのボーイ・ガールス カウト研修 7 インドネシア赤十字研修 8 水道整備

(5)

 A県は学校保健の概要からはじめ,年を追う毎にデン グ熱やインフルエンザの対処法,歯科口腔衛生等,また 清潔な環境に視点をおいた各論的な内容に変化し,学校 保健活動の詳細な内容に関する研修の取り組みが行われ ていた。B県とC県においては,2年目の2009年の実施 内容が多かった。また活動には,対象者の生徒や地域住 民のモチベーションを高めるため,各種のコンテスト形 式が多くみられた。さらに,学校保健活動として,学校 の環境整備に関する活動も行われ,JICAプロジェクト と協働して行うことで,研修事業の充実が図られていた。 Ⅳ 考察  日本における学校保健とは,文部科学省設置法第11条 の1において「学校における保健教育と保健管理をい う」と示されている(1)。保健教育は,保健学習と保健 指導によって実施され,保健管理は健康診断や健康相談 といった心身の管理及び健康に適した日課表等の生活の 管理からなる対人管理と,学校環境の管理からなる対物 管理が含まれる。なお,保健管理と保健教育が円滑に進 むよう,教職員,家庭,地域との連携といった学校保健 会に代表される保健組織活動も学校保健の重要な項目で ある。また学校の保健室は,学校保健安全法第19条の規 定により,以下の様に定められている(2) (一)健康診断,健康相談,救急処置等を行うため設け られるものであるから,これに応じた設備をする ことが必要であること。 (二)保健室は,使用に便利で通風,採光の良好な位置 に設けるとともに,地域の実態に応じて暖房設備 又は冷房設備をすることが必要であること。 (三)保健室には,最低以下の備品を備えることが適当 であるが,その品目,数量等については,学校の 種別,規模等に応じて適宜措置するものとし,例 えば,騒音計等の品目については,数校の兼用と しても差し支えないものであること。  保健室の備品については,机・いす・ベッド・寝具類 及び寝具入れ・薬品戸棚・洗面器及び洗面器スタンド等 22種の一般備品,身長計・体重計・座高計・視力検査用 指示棒等28種の健康診断・健康相談用備品,体温計・膿 盆・ガーゼ缶・担架・マウスツ-マウス用マスク等20種 の救急処置・疾病の予防処置用備品,またアスマン痛風 乾湿計・カタ温度計・照度計等11種の環境衛生検査用備 品を装備する等詳細な規定がある。  アメリカ合衆国カリフォルニア州教育省によると,学 校における健康教育は,子どもたちの健康増進のため, 統合的な学校全体のシステムによって支援されるべき であり,学校職員・保護者・教育委員会・地域の指導 者・健康や社会サービス提供機関および提供者の協力に よって発展させ,維持していく必要があるとしている(3) またそのため「統合的学校保健制度(comprehensive school health system)」が謳われており,①健康教育  ②体育 ③給食サービス ④保健サービス ⑤心理・カ ウンセリングサービス ⑥安全で健康的な学校環境 ⑦ 職員の健康増進 ⑧保護者と地域社会の関与の8つの項 目を挙げている。

 今回調査したインドネシアの学校保健(UKS:Usaha Kesehatan Sekolah:School Health Initiative)制度は, 1984年に教育省・保健省・宗教省・内務省の4大臣令と して交付された。学校には,教育省管轄の公立・私立学 校と,宗教省管轄の宗教学校があるためである。また, 保健分野としては2003年保健大臣令により地方自治体の 最小限の基準サービスの一つとなった。しかし,実際の 学校保健整備状況は各地域・学校によって大きな違いが あることが今回明らかとなった。また学校には,養護教 員(教員資格,または看護師資格のある教員)は配置さ れておらず,保健室は設置を奨励されているが,南スラ ウェシ州の3県のかなりの学校には設置されていない現 状である。  小中学校にある学校保健関連物品としては,ヨードチ ンキ等の消毒薬やガーゼ・鎮痛剤等最低限の薬品の入っ た救急箱やベッド等で,それらの設置も十分ではない状 況である。また生徒に対する保健教育も,現在保健体育 教科の基準カリキュラムに含まれているが,実施されて いるかどうかは教員・学校の判断による。またインドネ シアでは,1980年代から全国規模でDoktor Kecil(small doctor)プログラムという小学校の学童同士でお互いに 保健教育を行うChild-to child活動を実施してきた。し かし,中学校における学校保健の取り組みは始まったば かりであり,全国共通のガイドラインが示されている が,実践については学校に任されている状況から学校間 にかなりの差がある。また小学校のDoktor Kecil(small doctor) プ ロ グ ラ ム は, あ る 学 年 は 指 導 さ れDoktor Kecil(small doctor)が活発に活動するが,翌年の予 算により指導が打ち切られ,何年も指導されないという 実態もある。インドネシア赤十字研修やボーイ・ガール スカウトの活動も同様で,予算がある場合は実施される が,州・県の予算が乏しい中での継続は難しい。  インドネシアの学校制度は,前述の通り教育省管轄と 宗教省管轄の学校がある。宗教省管轄は主にイスラム学 校で,認可されている教育単位は,幼稚園・小学校・中 学校・高校・職業高校・一般高等教育機関・大学である。 今回の調査は,3県内の教育省及び宗教省管轄の全中学 校を対象とした。宗教省管轄の学校の規模は,寄宿舎が あるものや第1・第2校まであるもの等様々であった。 名桜大学紀要 第19号

(6)

教育省管轄と宗教省管轄の学校の比較はしていないが, イスラム学校における学校保健活動は,オランダ植民地 時代の1930年代に女子イスラム学校へ,保健及び体育の 導入があったと記されている(4)。これは出産に関係す る病や婦人科系の病が女性の健康に深刻な影響を与えて いた当時の社会状況に深く関わっており,女性運動を先 導する女性達に共有され,その課題の改善を女子教育に 生かそうという先見性を示している。  学校保健の重要性は,教育や保健,また地域の関係者 に理解されていると考えるが,その充実度合いは,地 域・学校によって異なる。また,上記で計画されたよう な全校生徒に対する保健研修は,通常学校近くの保健所 (Puskesmas)または県保健局から指導者を招いて実施 されるが,これらの活動の活発さも各学校や保健所に よって違いがある。日本の学校保健の中の健康診断や健 康相談等の保健管理について,インドネシアの学校保健 ではまだ定期的には実施されていない。0歳から5歳ま での未就学児に対しては,地域保健プログラム(統合サー ビスポストPosyandu:50~100世帯毎の5歳以下の子ど も及び妊産婦を対象に,1ヶ月に一度実施される保健活 動)の中で,体重測定や栄養補助食品配布があるが,学 校に入ると成長発達の記録は定期的に取られなくなる。  今回のJICAプロジェクトを機に,保健に対しての備 品保持や保健教育の実施を通して,学校関係者が継続的 に考える機会を得るような働きかけが重要であると痛感 した。また,地域レベルでは,青少年の衛生や保健活動 に関して,ボーイ・ガールスカウトやインドネシア赤十 字が実績を積んでいる。今後,学校保健活動を促進する 際に,教育局や保健局という行政機関だけでなく,これ らの既存の団体との協働が必要である。 Ⅴ おわりに  南スラウェシ州の学校保健の現状,諸外国の学校保健 の状況を参考にしたが,インドネシア共和国において学 校保健向上のための意識改革への働きかけが重要であ る。そのためには,学校や地域の関係者へ学校保健に対 しての備品保持や保健教育の実施を通して,今後も継続 的に考える機会を持つことの必要性を伝えていくことが 大切である。インドネシア共和国の学校保健では,学校 近くの保健所との協働や青少年の衛生や保健活動に関し て,各地域のボーイ・ガールスカウトやインドネシア赤 十字が実際に行なっている。今後,学校保健活動を促進 する際に,教育局や保健局という主要な行政機関に加え, これらの地域団体との協働が重要となる。  また,今回は中学校の現状調査を行ったが,今後の課 題としては同地域の小学校における学校保健状況調査 (保健管理を含む)が必要である。さらに,学校関係者・ 生徒・地域住民への学校保健についての意識向上及び制 度の継続性への検討が必要である。生徒の健康保持とい う意識の向上には,予算のあるなしではなく,必要性を 明確にした働きかけが重要である。 引用文献 (1)徳山美智子他編著(2009)『学校保健安全法に対 応した改訂 学校保健 ヘルスプロモーションの 視点と教職員の役割の明確化』,東山書房. (2)衛藤隆,岡田加奈子編(2012)『改訂8版 学校 保健マニュアル』,南山堂. (3)米国カリフォルニア州教育省著(1994)前橋明監 修,安達励人編訳(2005)『アメリカにおける子 どもの健康教育』,大学教育出版. (4)西野節男編(2010)『東南アジア・マレー世界の イスラーム教育-マレーシアとインドネシアの比 較-』,東洋大学アジア文化研究所・アジア地域 研究センター. 参考文献 一般財団法人国際開発センター著(2010)『インドネシ ア国南スラウェシ州前期中等教育改善総合計画プロ ジェクト事業完了報告書』. 上村弘子,松枝睦美,三村由香里,伊藤武彦(2012)「ニ ジェール共和国における健康教育推進のための教員研 究の評価」,『学校保健研究』,Vol54,316-329. 教員養成系大学保健協議会編(2004)『<第4次改定> 学校保健ハンドブック』,ぎょうせい. 大野清二・森山剛一・上野純子・西岡光世共著(2004)『改 訂学校保健学概論-生涯を通しての健康づくりを目指 して-』,家政教育社. 柿 本 和 宏 著,(2009)「 イ ン ド ネ シ ア 共 和 国 に お け る 保健医療の現状と課題」,Journal of International Health, Vol.24, No.2,pp.97-105. 齊藤綾美著(2009)『インドネシアの地域保健活動と「開 発の時代」』,御茶ノ水書房. 独立行政法人国際協力機構(JICA),一般財団法人国際 開発センター,日本工営株式会社著,(平成22年)『イ ンドネシアにおけるJICA事業の足跡に関する情報収 集・確認調査最終報告書』.

Badan Pusat Statistik-Statistics Indonesia (BPS) and ORC Macro (Maryland, USA) (2003) Indonesia 2002-2003 Demographic and Health Survey. Dinas Kesehatan Prov.Sulawesi Selatan (南スラウェ

(7)

シ 州 保 健 局 )(2011) Profile Program Promkes & Pemb.Masyarakat Sulawesi Selatan (南スラウェシ

ヘルスプロモーションと住民参加プログラム プロ フィール).

名桜大学紀要 第19号

Current Situation of School Health at South

Sulawesi Province in Indonesia

   Status of School Infirmary Development and Actual Conditions of Utilizing the Facilities   

HATTA Saeko, KINJO Yasuko

 

Abstract

This survey on the status of school health at South Sulawesi Province in Indonesia was conducted from 2007 to 2010. The survey consisted of the installation status of school infirmaries, the arrangement status of goods and medical products for school infirmaries, the availability of teachers who could be in charge of school health, the usage status of the school infirmaries, and the implementation status of health education at middle schools in three districts of South Sulawesi Province. The survey found that more than half of the concerned schools had no school infirmaries and had a shortage or lack of health-related goods.

The school health project in Indonesia became the minimum, normative service to be provided by the local government on the order of the Minister of Health in 2003. However, the survey revealed that the actual status of school infirmary development and supply of health-related goods varied greatly depending upon provinces, districts, and schools. Moreover, health education at each school was offered in cooperation with regional health-related parties.

参照

関連したドキュメント

The input specification of the process of generating db schema of one appli- cation system, supported by IIS*Case, is the union of sets of form types of a chosen application system

Laplacian on circle packing fractals invariant with respect to certain Kleinian groups (i.e., discrete groups of M¨ obius transformations on the Riemann sphere C b = C ∪ {∞}),

The only thing left to observe that (−) ∨ is a functor from the ordinary category of cartesian (respectively, cocartesian) fibrations to the ordinary category of cocartesian

The inclusion of the cell shedding mechanism leads to modification of the boundary conditions employed in the model of Ward and King (199910) and it will be

She reviews the status of a number of interrelated problems on diameters of graphs, including: (i) degree/diameter problem, (ii) order/degree problem, (iii) given n, D, D 0 ,

It is suggested by our method that most of the quadratic algebras for all St¨ ackel equivalence classes of 3D second order quantum superintegrable systems on conformally flat

Answering a question of de la Harpe and Bridson in the Kourovka Notebook, we build the explicit embeddings of the additive group of rational numbers Q in a finitely generated group

Next, we prove bounds for the dimensions of p-adic MLV-spaces in Section 3, assuming results in Section 4, and make a conjecture about a special element in the motivic Galois group