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2020年度日本分析化学会・フローインジェクション分析研究懇談会フローインジェクション分析学術賞 竹内政樹君

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Academic year: 2021

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 年度 日本分析化学会・フローインジェクション分析研究懇談会



フローインジェクション分析学術賞

竹 内 政 樹 君

Masaki TAKEUCHI

徳島大学大学院医歯薬学研究部 准教授

1973 年 12 月大阪府に生まれる。2002 年 3 月神奈川大学大学院工学研究科応用化学専攻博士 後期課程修了(博士(工学)の学位取得)。2002 年 4 月神奈川大学博士研究員,2002 年 10 月 Texas Tech University, Post-doctoral research fellow,2007 年 1 月 The University of Texas at Arlington, Post-doctoral research fellow,2007年 7月徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 准教授, 2015 年 4 月徳島大学大学院医歯薬学研究部(改組)准教授,現在に至る。日本分析化学会「分 析化学」・「Analytical Sciences」誌編集委員,中国四国支部 支部幹事,本誌編集委員等歴任。 【業績】 流れ系を用いる分離・濃縮モジュールの創出と物質循環の 可視化 竹内政樹君は,環境分析を志向した流れ分析法や分離分 析法の研究を展開してきた。同君の研究は,自ら新規原理 を考案しシステムの構築を行うという創造的かつ独創的な ものであり,オンライン濃縮器や溶離液発生モジュールな どを開発した。また,新たな方法論を用いて独自の大気中 ガス/エアロゾルコレクタを開発し,大気汚染物質の自動 化分析を可能にした。下記に同君の主要な研究概要を記す。  流れ系を利用する分離・濃縮法の開発 試料の濃縮は生 活環境及び人体に含まれる微量成分を定量するための重要 なプロセスであり,流れ分析においては,充てん剤を用い たオンライン濃縮が数多く報告されている。通常の濃縮法 は試料を分析システムに導入する前に実施されるが,竹内 君は,試料を分析システムに導入した後,すなわち検出器 の直前でオンライン濃縮可能な手法を創案した[1,2]。本濃 縮法を,水道水質基準の要検討項目に追加された過塩素酸 イオン[3]や,尿素サイクル異常症の診断指標となっている オロト酸[4]の定量に応用し,定量限界の向上及びその実用 性を実証した。また,定量限界と同様に,分析精度は定量 法を評価するうえで重要な指標である。同君は,亜硝酸態 窒素のFIA を海水に応用すると分析精度が著しく低下する 問題を,同手法に標準添加法を組み込むことで解決した[5]。 流れ分析において,流路内における溶液の軸方向分散は目 的ピークのブロード化による検出感度の低下を招く。そこ で同君は,3D プリンタなどを用いて流路体積の低減に努め, 軸方向分散を抑えた陽イオン交換モジュールを製作した [6]。流路体積の低減により流れを利用するモジュールの応 答時間の改善が見込まれるが,同君は,脱ガス部を必要と しない溶離液発生モジュールを開発し,イオンクロマトグ ラフィーにおける応答性に優れたグラジエント溶離を可能 にした[7,8]。  大気環境における物質循環の可視化 大気汚染ガス/ エアロゾルは,気象条件などにより短時間で平衡状態が変 化するため,これらの生活環境及び人体への影響を把握す るには,両者を高い時間分解能で分別捕集・分析する必要 がある。竹内君は,ガス/微粒子の挙動に関する物理的な 解析をもとに,ガス成分のみを選択的かつ完全に捕集し, 捕集液を採取器内で濃縮できるガスコレクタを開発した [9,10]。続いて,ガスコレクタを通過したエアロゾルを溶液 の流れの中に捕集するエアロゾルコレクタを独自に設計・ 製作した[11]。これらのコレクタは,これまで広く使用され てきたフィルター法に比べて時間分解能が高く,FIA やク ロマトグラフィーと組み合わせることで精確なオンライン 分析が可能である。続いて同君は,気相中ガス/エアロゾ ルの挙動を自動化追跡できるシステムを構築し,本分析シ ステムを日本[12,13]だけでなく米国の大気分析キャンペー[14]や,半導体製造工場におけるクリーンルーム雰囲気 のモニタリング[15,16],さらには富士山体を利用した越境 大気汚染物質の監視とバックグラウンド大気(清浄大気) の把握[17]に応用してきた。特に富士山頂における連続観 測では,直線距離で850 km も離れた桜島から輸送された大 気汚染物質をオンラインで捉える[18]など,同君の構築し た分析システムの有用性が実証されている。 以上,竹内政樹君はフローインジェクション分析の発展 に資する数多くの成果を上げており,その技術はFIA だけ でなく多岐に亘り貢献するものである。 (フローインジェクション分析褒賞委員会) 文献

[1] Anal. Chem., 79, 5690 (2007). [2] U.S Patent No.: US 7,964,411 B2. [3] Talanta, 97, 527 (2012). [4] J. Flow Injection Anal., 32, 97 (2015). [5] J. Flow Injection Anal., 35, 59 (2018). [6] J. Flow Injection Anal., 37, 3 (2020). [7] Anal. Chem., 80, 40 (2008). [8] U.S Patent No.: US 7,632,404 B2. [9] Anal. Chem.,

76, 1204 (2004). [10] Anal. Chem., 77, 8031 (2005). [11] Anal. Methods, 5, 6071 (2013). [12] Anal. Sci., 29, 165 (2013). [13] 分析化学, 65, 425 (2016). [14] Environ. Sci. Technol., 40, 962 (2006). [15] Anal. Sci., 27, 805 (2011). [16] 分析化学, 66, 503 (2017). [17] Water Air Soil Pollut., 228, Article:325 (2017). [18] 理大 化学フォーラム, 5, 40 (2016).

<FIA Award for Science>

参照

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