ビ ワ ク ン シ ョウ モ の 増 殖 特 性
】V.特 定 栄 養 塩 欠 乏 下 で の 増 殖石 上 三 雄 ・北 川 仁 志*
Studies on the growth of Pediastrum biwae
]V.Growth under the conditions lacking some nutrients.
Mitsuo IsHIGAMI and Hitoshi KITAGAwA
Abstract
Growth of Pediastrum biwae in the culture media lacking specified nutrients was investigated in order to elucidate the consuming manner of stored nurients in the algal body. In this study, we adopted the total chlorophyll(chlorophyll a and b)as an indicator of the algal mass, and revealed some properties in can-suming the stocked nutrients. The algae, which were harvested from the Pb medium, grew about tenfold at the first culture in the medium completely lack・ ing phosphorus. However, when the algae grown in the medium lacking phophor-us were inculated again in the same medium , they showed no conspicuous growth. When the algae were repeatedly inoculated in the medium completely lacking iron, the final yields of the growth gradually decreased 、 The algae showed no growth in the medium deficient in nitrate , and they exhibited the normal growth in
. the medium lacking trace matals except iron. These results are discussed in relation to the consuming manner of the stocked nutrients in the body. 1.は じ め に 環 境 条件 の 安 定 した 湖 沼 に生 育 す る植 物 プ ラ ン ク トンの 種 類 組 成 は 季 節 の 移 り変 わ りに伴 っ て変 動 し、 か つ毎 年 似 た よ う なパ ター ン を くり 返 す 。 琵 琶 湖 に お い て も、 近 年 まで この よ う な 植 物 プ ラ ン ク トンの安 定 した季 節 遷 移 が 観 察 さ れ て き た(根 来1981)が 、 人 為 的 な 栄 養 塩 類 の 流 入 を 含 め 、 急 激 な 水 質 及 び湖 を取 り巻 く環 境 の 変 化 は 、 従 来 観 測 さ れ な か っ た 種 の 異 常 増 殖 (Negoro 1960、 鈴 木1980)を は じ め 植 物 プ ラ ン ク ト ン の 季 節 遷 移 の 様 態 を大 き く 変 化 させ つ つ あ る 。 こ の 傾 向 は 世 界 の 湖 沼 の 多 くに 共 通 し た も の(McCarthy.1980)で 、 栄 養 塩 全 体 の 濃 1985年9月17日 受 理 *近 江 八 幡 市 立 桐 原小 学 校
度 上 昇 と、 そ の なか で の 窒 素 に対 す る リ ン濃 度 の相 対 的 上 昇 が 植 物 プ ラ ンク トンの 増 殖 に大 き な 影 響 を与 え る と考 え ら れ て い る(Schindler et al.1973)。 しか し、 現 在 まで の と ころ 、 湖 沼 の植 物 プ ラ ンク トンの 季 節 遷 移 に も とず く種 類 組 成 の成 立 の機 構 お よ び人 為 的 な栄 養 塩 流 入 が 従 来 の遷 移 パ ター ンを乱 す 機 作 につ いて は ほ と ん ど解 明 され て い な い。 こ の問 題 を充 分 に解 明 す る た め に は遷 移 に か か わ る個 々 の種 の増 殖 の 性 質 が 明 らか に され る必 要 が あ る。 私 達 は琵 琶湖 の南 湖 にお い て 若 干 の 例 外 は あ る もの の(京 都 水 道 局 、1983)、 毎 年 夏 か ら秋 に か けて最 優i占種 と して 増 殖 す る(根 来1971、 一瀬 ・若 林1980)ビ ワ ク ン シ ョウモPediastrum b伽αθを分 離 培 養 し、 そ の 培 養 下 に お け る増 殖 特 性 を温 度 、 照 度 、pH、 栄 養 塩 濃 度 な どの 環 境 諸 要 因 との 関 係 に お い て 明 らか に して き た (小梶 他1981、 石 上 他1982、 石 上 ・北 川1983)。 そ の結 果 、 至 適pHな どの 物 理 的 化 学 的 要 因 と の 関 係 にお い て 夏 か ら秋 の 湖 水 の状 態 に増 殖 の 至 適 条件 が合 致 す る こ と、 窒 素 、 リ ンの利 用 に お い て は種 々 の形 態 の もの を幅 広 く利 用 で きる` こ とな どが 明 らか に な っ た。 本研 究 で は、 窒 素 、 リ ン、 鉄 お よ びそ の 他 の 微 量 金属 元 素 の 体 内蓄 積 お よび そ の 利 用 の 様 態 につ い て の知 見 を得 る た め 、 これ らの 栄 養 塩 の うち特 定 の もの を欠 損 させ 、 そ こで の増 殖 を調 べ る こ とに した 。 皿.材 料 と方 法 (1)材 料 実 験 は 琵 琶 湖 よ り分 離 さ れ 純 粋 培 養 さ れ て い る ビ ワ ク ン シ ョ ウ モPediastrum 6iwaeを 用 い て 行 っ た 。 通 常 、 培 養 はPb培 地(石 上 他1982、 表1)を 用 い 恒 温 室 中 で 温 度20℃ 、 照 度8,000 ル ク ス(12時 間/12時 間 明 暗 周 期)で 行 い 、 約2週 間 ご と に 植 え 継 い だ 。 (2)増 殖 実 験 の 方 法 Pb培 地 をi基準 培 地 と し て 、 そ こ か ら 目 的 と す る 栄 養 塩 を 欠 落 さ せ 、 基 準 培 地 と特 定 栄 養 塩 欠 損 培 地 で の 増 殖 を 比 較 し た 。100m2三 角 フ ラ ス コ に20mPの 培 養 液 を 入 れ 、 紙 栓(ニ ュ ー ス テ リ プ ラ グ 社 、 西 ド イ ツ)を し た 後120℃ で30分 間 高 温 加 圧 滅 菌 し、 ク リ ー ン ベ ン チ 中 で 一 定 量 (通 常 は20m2培 地 に 約10,000群 体 、 ク ロ ロ フ ィ ル 量 に し て 約0.7μg)の ビ ワ ク ン シ ョ ウ モ を 接 種 し 、20℃ 、8,000ル ク ス(12時 間/12時 間 明 暗 周 期)の 条 件 下 で 静 置 培 養 し た 。 各 測 定 値 は3本 の フ ラ ス コ 内 の ビ ワ ク ン シ ョ ウ モ に つ い て 求 め た 値 の 平 均 値 で 示 す こ と に し た 。 (3)藻 体 量 の 測 定 群 体 を形 成 す る ビ ワ ク ンシ ョウ モ の藻 体 量 を 表 現 す る手 段 と して 、細 胞 数 、群 体 数 、藻 体 積 、 ク ロ ロ フ ィ ル 量 な ど が 考 え られ る。 ビ ワ ク ン シ ョウモ の 現 存 量 を これ らの 指 標 で 表現 した 場
.表1. Composition of Pb Medium
Compound mg/liter (mM) Compound k8/liter (nM)
KNO3 290 (2.9) CoC且2・6H20 12 (50 ) C3H7Na206P・5H20 50 (0.16) CUSO4・5H20 10 (40 ) 、 CaC12・2H20 25 (0.17) Na2MoO4・2H20 29 (120 ) MgSO4・7H20 74 (0.30) MnC12・4H20 1.2 (6.1 ) NaCl 25 (0.43) ZnC12 0.2 (1.5 ) FeCI3・6H20 0.58 (0.002) Cyanocobalamin 0.1 (0.074) Na2EDTA 4.0 (0.012) Biotin 0.1 (0.41 ) HEPES(pH 8.0) 400 (1.7) Thiamin 10 (30 )
合 、 ど の よ う な 関 係 が 成 り立 つ か とい う こ と に つ い て は 既 に 報 告 し た(小 梶 他1981)。 本 研 究 に お い て は 以 下 に 述 べ る 手 順 に よ っ て 求 め た ク ロ ロ フ ィ ル 量(a、bの 合 計 量)で も っ て 藻 体 量 を 示 す こ と に し た 。 ま ず 培 養 中 の ビ ワ ク ン シ ョ ウ モ を 遠 心 分 離(1,50093分)で 集 め 、 こ れ に80%ア セ ト ン を一 定 量 加 え 、 充 分 に 撹 絆 し た 後24時 間 冷 暗 所 で 抽 出 し た 。 そ の 後 、 Arnon(1949)の 方 法 に 従 っ て 二 波 長 分 光 光 度 計(日 立 一556型 分 光 光 度 計)を 用 い て ク ロ ロ フ ィ ルaとbの 等 吸 収 点 で あ る 波 長652nmの 吸 光 度 か ら ク ロ ロ フ ィ ルa、bの 合 計 総 量 を 求 め た 。 皿.結 果 (1)リ ン 欠 乏 下 で の 増 殖 β 一 グ リ セ ロ リ ン 酸 ナ ト リ ウ ム と し て 、 5.1ppmの リ ン を 含 むPb培 地 で 数 十 ∼ 百 数 十 倍 に 増 殖 し た ビ ワ ク ン シ ョ ウ モ を"た ね"と し て リ ン を 欠 損 させ たPb培 地 に 接 種 す る と10倍 前 後 ま で 増 殖 す る 。 こ れ は 接 種 し た"だ ね"が 細 胞 内 に 蓄 積 し て い た リ ン に よ る も の と考 え ら れ る 。 そ こ で 、 こ の 蓄 積 さ れ た リ ン の 利 用 様 式 を 明 ら か に す る た め に 、Oppmと5.lppmの リ ン を 含 む 培 地 中 で 増 殖 し た2系 列 の ビ ワ ク ン シ ョ ウ モ を そ れ ぞ れ 、 さ ら にOppmと5.lppm の 培 地 に う え 、 増 殖 を 調 べ た 。 図1に 示 す よ う に 、5.lppmで 増 殖 し た も の を"た ね"と し た 場 合 、 も と のPb培 地 で 得 た も の と 同 様 に 、 5.lppmで は 数 十 倍 に 、 O ppmで は 十 数 倍 に ま で 増 殖 し"た ね"に 特 別 な 異 状 が な い こ と を 示 し た 。 一 方 、Oppmで 十 数 倍 に ま で 増 殖 し た ビ ワ ク ン シ ョ ウ モ を"た ね"と し て 、5.lppm に う え つ い だ 場 合Pb培 地 で の 通 常 の 増 殖 と ほ ぼ 等 し い 増 殖 を 示 し た が 、Oppmか ら 再 度O PPMに う え つ い だ 場 合 は 、 ほ と ん ど 増 殖 し な い こ と が 明 ら か に な っ た 。 こ れ はPb培 地 で の 増 殖 過 程 で 細 胞 中 に 蓄 積 さ れ て い た リ ン は 第1 回 目 の リ ン欠 乏 下 の 増 殖(ク ロ ロ フ ィ ル 量 に し 10 ( O δ .= り 箱 一
◎
囲
⑩ 1⑤
圃
o 10 1◎
圏
051005100510Time(Days) Time《Days) Time(Days)
図1.リ ン欠 損 培 地 で の ビ ワ ク ンシ ョウ モ の増 殖。Pb培 地 で増 殖 した ビ ワ ク ンシ ョウ モ を通 常 のPb培 地(リ ン濃 度5.lppm)と 欠 損 培 地(リ ン濃 度Oppm)に 接 種 す る と欠 損 培 地 で も約 10倍 ぐらい まで 増 殖 した(図la)。 こ の 欠 損 培 地 で 増 殖 した もの を"た ね"と して5.lppmと Oppmの 培 地 に接 種 す る と5.lppmで は 通 常 の 増 殖 を示 す が 、 O ppmで は全 く増 殖 しな か っ た(図lb)。 一 方 、1回 目 に通 常 のPb培 地 で増 殖 した"た ね"を 接 種 した 場 合 、 図1aに 示 さ れ る増 殖 とほ ぼ等 しい 増 殖 曲 線 が 得 られ た(図lc)。
て約10倍)中 に は ぼ す べ て利 用 され 、 第2回 目 のOppmで の 培 養 で 利 用 す べ き リ ンが 涸 渇 し て し ま っ て い た こ と を 強 く示 唆 す る結 果 で あ る。 (2)窒 素 欠 乏 下 で の増 殖 Pb培 地 で 増 殖 した ビ ワ ク ン シ ョウ モ を"た ね"と して 硝 酸 体 窒 素 を完 全 に除 去 したPb培 地 で の増 殖 を調 べ た 。20㎡ の培 地 に約10,000群 体 の ビ ワ ク ン シ ョ ウ モ を う え つ け た 場 合 、 41.2ppmの 硝 酸 イ オ ン由 来 の 窒 素 を含 む対 照 のPb培 地 で は百 倍 以 上 に まで 増 殖 した が 、 硝 酸 イ オ ン由来 の窒 素 が 欠損 した 培 地 で は全 く増 殖 を示 さな'かっ た(図2)。 こ の 結 果 は、 藻 の 現 存 量 をク ロ ロ フ ィル で 表 現 す るか ぎ りに お い て、 欠損 条 件 下 で増 殖 に利 用 す べ き窒 素 の糸甲胞 内蓄 積 が ほ とん どな い こ と を示 して い る と考 え られ る。 1∞ £ 蛍 O ﹂ O ℃ Φ ≧ ヴ 6 τ α 1 一く》・一Pb M●dium 十 no Nilrot● ● 0 3 6 9 12 Time(Days) 図2.窒 素 欠 損 培 地 で の ビ ワ ク ン シ ョウ モ の 増 殖 。硝 酸 イ オ ン由 来 の 窒 素 を培 地 か ら除 去 し た培 地 で は全 く増 殖 が み られ な か った 。 10 ( 0 3 一 δ 一ε ρ ド 1
◎
璽
10 1⑤
0画
0 5 10 0 Time(Days) 10 1◎
圃
5 10 0 5 10 Time(Days) Time(Days) 図3.鉄 欠 損 培 地 で の ビ ワ ク ン シ ョウ モ の 増 殖 。Pb培 地 で 増 殖 した ビ ワ ク ン シ ョウモ をPb培 地(鉄 濃 度0.12ppm)と 欠 損 培 地(鉄 濃 度Oppm)に 接 種 す る と、0.12ppmで は 数 十 倍 に 、Oppmで は 数 倍 に ま で 増 殖 した(図3a)。 このOppmの 鉄 欠損 培 地 で 増 殖 した もの を"た ね"
と して 、 再 度0.12ppmとOppmの 培 地 に うえ る と、0.12ppmで は通 常 のPb培 地 で の 増 殖 を
示 した が 、Oppmで は2-3倍 に しか 増 殖 しな か っ た(図3b)。 一 方 、1回 目に通 常 のPb培
地 で 増 殖 した"た ね"を 接 種 した 場 合 は 図3aに 示 さ れ1回 目の 接 種 の 場 合 と ほ ぼ等 しい増 殖
(3>鉄 欠乏 下 で の 増 殖 Pb培 地 に はFeC13由 来 の 鉄 が0」2ppm含 ま れ て い るが 、Pb培 地 で 増 殖 した ビ ワ ク ンシ ョ ウモ を"た ね"と して 接 種 す る と鉄 を欠 損 させ ・ たPb培 地 で も数 倍 に まで 増 殖 す る こ とが 予 備 的 に 明 らか に な っ た。そ こで 、こ の こ と を さ らに 詳 し く調 べ る た め に 、 リ ンの 場 合 と 同 様 に0 PPMと0.12ppmの 鉄 を 含 む 培 地 中 で 増 殖 し た 2種 類 の ビ ワ ク ン シ ョ ウ モ を そ れ ぞ れ さ ら に 、 Oppmと0.12ppmの 培 地 に う え 増 殖 の 相 違 を 検 討 し た 。 図3に 示 す よ う に 、Oppmか ら 0.12ppm、0.12ppmか ら0.12ppmに う え 継 い だ も の は 相 対 比 に し て 百 倍 近 く ま で 増 殖 す る が 、Oppmか ら 再 びOppmに う え た も の で は 10 ` 一≧ ◎ ﹂ O O ︾ 霜 ﹂ O α 1 0 ■ 6 12 0 6 12 0 6 Time(Days) o 12 0 6 12 図4.鉄 欠 損 培 地 で の継 代 培 養 と増 殖 。 蓄 積 され て い る鉄 の 利 用 の 様 態 を明 らか にす るた め に 鉄 欠損 培 地 で12日 毎 に4回 に わ た っ て うえ継 ぎ、増 殖 を調 べ た。増 殖 は回 を重 ね る ご と に徐 々 に悪 くな っ た。 2∼3倍 程 度 の増 殖 しか 示 さず 、0.12ppmか ら Oppmに う え継 い だ もの の 半 分 以 下 の 増 殖 で あ っ た(図3bと3cの 比 較 に よ っ て 明 ら か で あ る)。 こ の 結 果 は鉄 濃 度 がOppmで あ る培 地 か ら さ ら にOppmの 培 地 に うえ 継 い だ場 合 、 ビワ ク ンシ ョウモ の増 殖 は大 幅 に低 下 す る こ と を示 して い るが 、 リ ンの場 合 と異 な り、1回 目 の 鉄 欠 損 条 件下 の増 殖 で 蓄 積 され て い た 鉄 す べ て を使 い尽 す の で はな い こ とを示 唆 して い る。 そ こ で 蓄積 され た 鉄 の利 用 の様 式 を さ ら に明 ら か に す る た め に、 鉄 濃 度 がOppmの 培 地 で12 日毎 に4回 に わた って うえ 継 ぎ、 ビ ワク ンシ ョ ウモ の 増 殖 が どの よ う に変 化 す るか を調 べ た。 図4に そ の結 果 を示 す が 、FeCl3に 由 来 す る鉄 を全 く含 ま ない 培 地 で 、12日 を1サ イ ク ル と し て うえ継 ぐにつ れ 、 少 しずつ 増 殖 が 悪 くな って い っ た 。 しか し、 鉄 濃 度 がOppmで あ る培 地 で4回 う え 継 い で も、 な お わず か なが ら増 殖 を 10 ` ↑ き o ﹂ O Φ ≧ 劇 〇 一〇 α 1 o ● 十 ゐ M●di um 十 no Troc●卜楓 αb 0 5 10 Time(Days) 図5.鉄 以 外 の 微 量 金 属 元 素 欠 損 培 地 で の ビ ワ ク ン シ ョ ウモ の 増 殖 。 鉄 以 外 の 微 量 金 属 元 素 を除 去 した培 地(一 ● 一)で の 増 殖 はPb培 地(一 〇 一)で の 増 殖 と ほぼ 同等 で あ っ た。
示 す こ とが 明 らか に な った 。 以 上 の 結 果 は、 細 胞 中 に存 在 す る鉄 の利 用 は、リ ンの場 合 と異 り、 少 しずつ 使 わ れて ゆ くこ と を示 唆 して い る と考 え られ る 。 (4)鉄 以外 の微 量 金 属 欠 乏 下 で の 増 殖 Pb培 地 か ら鉄 以 外 の 徴 量 金 属 を 除去 した 培 地 に ビ ワ ク ンシ ョ ウモ を接 種 した場 合 、Pb培 地 と同 等 の増 殖 を示 し(図5)、 数 度 う え継 い で も顕著 な増 殖 量 の低 下 は生 じなか った 。 】〉.考 察 湖 沼 にお け る人 為 的 富 栄 養 化 は栄 養塩 全体 の 濃度 上 昇 と、 そ の なか で の リ ンの窒 素 に対 す る 濃 度 比 の相 対 的 上 昇 を特 徴 と して お り、 こ の結 果 、従 来 か らの 植 物 プ ラ ン ク トンの種 類 組 成 が か わ り、種 問 の 不安 定 な 均 衡 の もとで らん藻 な どの 異 常 増 殖 が 生 起 す る と 考 え ら れ て い る (Nalewajko and Lean 1980)。 琵 琶 湖 に お い て も、特 に南 湖 にお い て、 近 年 季節 ご との 種 類 組 成 の変 化 の パ タ ー ンが 不 安 定 に な り、時 と して 、 従 来 そ の大 増 殖 が み られ な か った緑 藻 、らん 藻 、 黄色 鞭 毛 藻 な どの 特 定 の 種 の異 常 発 生 が み られ る よ うに な っ た(一 瀬 ・若 林1980a、 b)。 し か し、一 方 で は ビワ ク ンシ ョウモ の よ う に毎 年 、 最 優 占種 と して増 殖 す る種 も存 在 して い る。 こ れ らの事 実 か ら 、富 栄 養 化 が 一律 にす べ て の植 物 プラ ン ク トン に作 用 しそ の増 殖 の様 相 を変 更 す るので は な く、 個 々 の種 で そ の 影 響 の 受 け方 が異 り、 この こ と を基 礎 と して季 節 遷 移 パ タ ー ンの不 安 定 さが 生 じて い る と考 え られ る。 した が って 、 人為 的 富 栄 養化 の 種 類 組 成 に与 え る 影 響 を考 察す る一 つ の 基礎 と して 、 季 節 遷 移 に深 くか か わ っ て い る植 物 プ ラ ン ク トンの 個 々 の種 の 増殖 の性 質 が 明 ら、か に され る必 要 が あ る と思 わ れ る。 以上 の よ うな 観 点 に た って 、私 達 は分 離 培 養 中 の ビ ワ ク ン シ ョウモ につ い て 、 そ の 増 殖 の 性 質 を明 らか に して き た。 至 適 温 度 が20∼25℃ で あ る こ と、飽 和 照 度 が16,000ル ク ス よ りも高 い こ と、 至 適pHが8.0付 近 に あ る こ と な ど ビ ワ ク ンシ ョウモ が 優 占種 と な る時 期 の湖 水 の 環境 条 件 とそ の増 殖 の 最 適 条 件 が うま く合 致 す る こ とを まず 明 らか に した(小 梶 他1981)。 そ して リ ン・窒 素 の利 用 で き る形 態 、また そ の 至 適 濃 度 域 な ど にお い て広 い適 応 性 が他 の緑 藻 プ ラ ンク ト ンに比 して あ る こ とな ど も明 らか に な っ て きて い る(石 上他1982、 石 上 ・北 川1983、 石 上 他 未 発 表 デ ー タ)。 さ らに 今 回 、 リ ン と鉄 の 細 胞 内 蓄 積 とその 涸渇 時 の 利用 様 態 が 明 らか に な った。 リンの 蓄積 に 関 して は 、以 前 の リ ンの 取 り込 み と増 殖 量 に 関す る実 験 結 果 よ り、 十倍 前 後 まで 増 殖 可 能 な量 が 蓄 積 され て い る こ とが 推 測 され て いた(石 上他1982)が 、 本研 究 で こ の 蓄積 さ れ た リン は涸 渇 状 態 で は一気 に利 用 され て し ま う こ とが 明 らか にな った 。湖 水 中 の緑 藻 プ ラ ン ク トン は ク ロ ロ フ ィル と リ ンの含 有 量 の比 で 見 る限 り、 この ビ ワク ンシ ョウ モ につ い て得 た り ンの 蓄積 量 に ほ ぼ 匹敵 す る リン を蓄 積 して い る と い う報 告 が あ る(川 嶋 他1983)。 こ の 事 実 は リ ンが な くて も、他 の条 件 が 整 え ば、 ビ ワ ク ン シ ョウ モ を初 め と してあ る種 の 緑 藻 プ ラ ンク ト ンは短 時 間 の うち に一 定 限 の 増 殖 を行 う能 力 が あ る こ とを示 唆 して い る。 鉄 は細 胞 内 にお け る呼 吸 な どの代 謝 活 性 の 維 持 に不 可 欠 な栄 養 塩 で あ るが 、 そ の 必 要 と され る量 は リンや 窒 素 に比 して少 い 。 しか し吸 収 可 能 な もの は2価 の 鉄 で あ り、湖 水 中 で キ レー ト され て い る もの 以外 は ほ とん ど3価 の鉄 で あ る とい う こ と を考 慮 す る と ビ ワク ンシ ョウ モ の増 殖 に極 め て重 大 な影 響 を与 え る力 を潜 在 的 に有 して い る と考 え られ る。 今 回 得 た 結 果 は 、鉄 の 不 足 は さほ ど急 激 な増 殖 の低 下 を誘 引 しな い と 抄 うこ と を示 唆 して い る。 しか しこの 事 は 、鉄 の低 濃 度 条 件 で の ビ ワ ク ンシ ョウモ の 増 殖 が他 の 植 物 プ ラ ンク トン よ りも優 位 にあ る こ と を必 ず し も示 唆 して い るの で はな い 。 今 後 、 他 の植 物 プ ラ ン ク トン との 比 較 が 是非 必要 で あ る と思 わ れ る。 本 研 究 も含 め 、 今 まで の 一連 の培 養 実 験 に よ りビ ワ ク ン シ ョウモ の 増 殖 の様 態 が か な り明 ら か に な って きた 。 しか し、 湖水 中 で あ増 殖 を よ り適 確 に 把握 す る た め に は 、湖 水 を培 地 と して 用 い 、 ビ ワク ンシ ョウ モ の増 殖 環 境 と して の 湖 水 の性 質 を 明 らか にす る必 要 が あ る と考 え られ る。
文 献
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