<紹介>奈良県総合医療センター精神科の紹介
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(2) 近畿大学臨床心理センター紀要第7巻 2014年. 134. 3.当科受診者の概要 外来患者数は、開設以来着実に増加している。今回は、平成25年4月から26年3月まで. の平成25年度の一年間の当科初診患者を対象とし、性別、年齢階級別に集計し、精神疾患 を ICD・10 により分類したものを示す。. 初診患者数は計624名で、男女比は、男性45%、女性55%で女性の方が多い。平均年齢 は全体で51.1歳、男性52.8歳、女性49.8歳である。年齢分布では、男女とも 70代が最も多い。 そのほかは、 9歳までをのぞき、どの年代にもまんべんなくみられる。(図1). 男性年齢別 .50. 4. 40 33. 30. 25. 20. 36. 32 23. 10 5. \. 凶◎ 合. 丸\◎. 叉\◎. 丸\◎. 丸\゛. 丸\Q. (みノ. 貯◎. 0. 女性年齢別 80. 2. 60. 23. 20 .0. 43. 42. ,40. 31. 2. / 6ぐ 6卜 6で"'冬・ 6や"冬、ゞ冬゜'ゞ,. 図1. 平成25年度の精神科初診患者(n=624)の年齢分布. 初診患者624名のうち、 135名は当院入院中の院内紹介患者である。残り489名のうち、 院内紹介は135名、院外からの紹介は133名であった。院外紹介の内訳は、地域の診療所か らの紹介が87名、病院からの紹介が妬名、保健所からの紹介が1名である。残りの221名 は、紹介状をもたずに自ら受診してきた患者であった。(図2).
(3) 杤原京子:奈良県総合医療センター精神科の紹介. 図2 250. 135. 平成25年度初診患者(n=624)の来院経緯内訳 、、、、ーー221 -. 200 _______. __. 5. -. 100. 1厘.・i_'1圃fl.1.. 50 0. 133. 35. 150. 外来. 入院. このように、地域の一般科クリニックや病院からの紹介が133名とある一定数みられるこ とが、当科の特徴のひとつである。これらは、総合病院精神科の特徴のひとつといえ、当科 の地域内での根付きの証であるとともに、多くの精神科クリニックにおいて初診予約を制限. していたり、また受け付けていてもかなり待たなければならないことが多い現状とも関係し ていると思、われる。. また、外来、入院を合わせると院内紹介は270名であり、初診患者数の4割を超える。こ. れらから、一般身体科と協力しながらの精神医療の提供の充実をうかがうことができる。精 神科病院を中心として行われてきたこれまでの精神医療では、身体疾患が併存している患者 に対して、なかなか適切な医療や連携がとりにくかった。しかしーつの病院で治療すること によって、患者側の負担が減り、また医療者にとっても時宜を得た連携により負担が軽減さ れると考えられる。. また、入院中の135名の中には、りエゾンチームが関わっているケースが一定数あり、入 院患者のメンタル面の諸問題に対してのコンサルテーションリエゾン精神医療を提供してぃ. る。身体疾患、に合併する精神症状の治療を臨機応変に行えるのも、総合病院内の精神科の特 徴のひとつである。. また、1CD・10で疾病を分類した結果は、図3のとおりである。最も多いのがF4 (神経症 性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害)で、全体の24.1%、次いでFO (症状性 を含む器質性精神障害)の 193%、 3番目に多いのがF3(気分障害)で17.8%を占めてぃた。 これら上位の3疾患で61%と6割を超えていた。また、精神科を受診しつつも、13%の方は、 診断なしになっていることも興味深い。.
(4) 136. 近畿大学臨床心理センター紀要第7巻 2014年. 図3.平成25年度初診患者(n=624)の精神疾患の内約 FO:症状性を含む器質性精神障害. . FI:精神作用物質使用による精神および行動の障害. 121. .10. F2:続合失調症、続合失調型障害および妄想性障害 ^32 F3:気分(感情)障害. 111. F4:神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現. 151. F5:生理的障害および身休的要因に関連した行動症候群 ^37 F6:成人の人格および行動の障害. ^21. F7:精神遅滞. ^19. F8:心理的発達の障害. ^20. F9:小児期および青年期に通常発症する行動および情 G40:てんかん その他. 優4 .6 .9. 診断なし. 83 0. 20. 40. 60. 80. 100. 120. 140. 160. 4.カウンセリングについて. 現在非常勤の心理士が2名在籍しており、主治医の依頼に応じて、必要時に心理検査や力 ウンセリングをおこなっている。どちらかというと、心理検査よりもカウンセリングの実施 が多いのが現状である。また基本的には外来の通院患者を対象としているが、小児科に入院 中で当科併診になっている患者さんについては、入院中もカウンセリングをおこなってぃる。 以下に、簡単ではあるが、事例をあげて紹介したいと思う。. 事例1.20代女性、診断:適応障害. 元来メランコリー親和性気質をもち、まじめに頑張ってこられていたが、大学生の最後あ たりから徐々に物事に集中できなくなり、記憶力の低下から何をするにも時問がかかるよう になった。大学院進学後、徐々に症状が強くなり、体調不良で休んだのをきっかけに通学で きなくなる。食欲低下、体重減少、生活りズムの乱れなどもあり、受診。うつ病の可能性も 考えられたが、適応障害的な経過であり、いったん無投薬で休学を続けて様子をみることに なる。本人の希望でカウンセリング導入となる。カウンセリングの中では、これまでの在り 方を振り返って見直す作業をおこなっている。休学も続けている中で、次第に意欲も戻って くるなど、良好な経過をたどっておられる。.
(5) 杤原京子:奈良県総合医療センター精神科の紹介. 137. 事例2.釦代男性、診断:反応性抑うつの遷延化 妻をガンで亡くされたあと、中途覚醒、食欲不振など抑うつ状態に陥り、受診。妻の受け た医療ヘの不信感があるなど現実的要因もあり、通常のモーニングワークができていない状. 況。かなり喪失感が強い中で、他罰的な面と自責的な面が混在している状態であった。当初 は希死念慮の訴えも強く、うつ病を疑われたが、反応性抑うつの遷延化と理解し、患者さん 自身の希望もあり、カウンセリング導入。傾聴を重ねていく中で、少しずつであるが落ち着 いてこられている。. 事伊」3.10代女性、診断:起立性調節障害、不安障害 2年程前より、頭痛、吐き気など訴え、当院小児科で入退院繰り返しながら治療していた。 心身症の側面が強く治療が難渋する中で、対人関係での不安や過敏さ、入眠困難、食欲低下. からの体重減少もみられ、精神科ヘ紹介となる(当科は無床であるため、小児科と併診)。 明確な原因のみえない身体不調が持続しており、身体的な問題よりは精神的な背景が想像さ れ、カウンセリング導入となる。身体不調が強く、カウンセリングルームにはいけないため、 ベッドサイドへの訪室を継続し、ラポール形成から開始している。. 5.今後に向けて 現在は、このように総合病院精神科という特徴を生かした診療がおこなっている当科であ. る。つまり、外来医療では、地域からの紹介患者とともに、身体疾患を有する患者さんの院 内紹介、自主的に受診される患者さんを対象とし、入院医療では、身体化に入院中の患者さ んのメンタル面での諸問題ヘの対応などをおこなっている。. 今後の見通しとして、有床化の際には、他病院で対応困難な身体疾患を合併する精神疾患 患者を確実に受け入れる体制づくりが求められるだろう。さらに精神科救急、・精神科急性期 医療にも対応し、精神疾患、身体疾患どちらも重篤なケースなども受け入れていくことが求 められる。地域の精神科病院や診療所などの精神科医療施設とは、連携しつつ、互いに機能 分化を図ることがより一層必要だろう。精神医療は、当センター建て替え後の新病院の柱の. ひとつになっており、精神医療における地域の基幹病院として、今後ますます機能、発展し ていくことが望まれる。.
(6) 138. 近畿大学臨床心理センター紀要第7巻 2014年.
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