その悩み,
解決します!
その悩み,
解決します!
音
読
会
を
構
想
し
ま
し
た。
そ
う
す
る
と、
第二次で場面の様子や人物の行動を読
み取るとき、会話文の言い方を話題に
することが多くなります。実際に音読
してみる機会も増えるでしょう。
どちらの単元作りも、教材の特性を
うまく捉え、価値ある言語活動を組み
入れています。つけるべき力も考えた
単元構想です。では仮に、多読、音読
会の両方を組み込もうとするとどうで
しょう。読むことのねらいが不鮮明に
なり、時間数不足も心配されます。
一つの単元で多くのことをねらいす
ぎないようにし、教材研究で何を主た
るねらいにするのかを絞り込んでいく
必要があります。そこで扱わなかった
(
扱
え
な
か
っ
た
)
内
容・
つ
け
た
い
力
な
どは、年間を見通した計画のもと、他
の単元で扱い、身につけさせていけば
いいのですから。
「 言
語
活
動
を
重
視
す
る
と、
読
む
こ
と
そ
の
も
の
が
お
ろ
そ
か
に
な
る
」 「
読
ん
で、
その後に言語活動までしていると、授
業
時
間
が
足
り
な
い
」。
こ
ん
な
声
を
耳
に
することがよくあります。
まず、確認しておきたいことがあり
ま
す。
言
語
活
動
を
重
視
す
る
と
は、
「
授
業の中で言語活動を展開する」ことと
「言語活動を通して能力や態度を培う」
ことの両方を、同時並行的に成立させ、
目ざす能力を獲得させることです。言
語活動を通して読むことの力をつける
のであり、力をつけておいてから言語
活動に取り組むのではありません。
そうなると、授業の中で展開される
言語活動が本当に読むことの力をつけ
る「価値ある」活動かどうかが問題と
なります。多様に想定される言語活動
の中から、どの活動を選択するかとい
う判断が大切だということです。それ
は、教材の特性、目の前の子どもの実
態(
経
験
値
)、
教
師
の
願
い(
ど
ん
な
力
をつけたいか)などをもとにした、教
材研究で判断することになります。
では、限られた授業時間の中でどう
指
導
を
充
実
さ
せ
る
か
と
い
う
問
題
で
す。
PISA型読解力や学習指導要領の言
語活動例などの影響もあり、いわゆる
第三次以降の学習に、表現・交流など
を中心とした言語活動を設定する実践
が多くなっています。第三次以降を充
実させようとすると、どうしても時間
数不足の問題が生じます。
「
お
手
紙
」
を
主
教
材
と
し
た
単
元
作
り
を例に考えてみましょう。
あ
る
先
生
は、
「
お
手
紙
」
は
シ
リ
ー
ズ
の一作品であるという特性から、第三
次
で「
ふ
た
り
は
い
つ
も
」「
ふ
た
り
は
いっしょ」など、同じ人物が登場する
作品を多読するという言語活動を構想
しました。登場人物の言動を通して性
格を読み取ること、シリーズ作品の楽
しみ方を経験させることを重視したの
です。
別
の
先
生
は、
「
お
手
紙
」
に
は
会
話
文
が多いという特性を生かし、第三次に
一
九
五
九
年
、
岡
山
県
生
ま
れ
。
岡
山
県
内
の
公
立
小
学
校
、
岡
山
大
学
教
育
学
部
附
属
小
学
校
教
諭
を
経
て
、
現
職
。
共
著
書
に
、『
文
学
の
授
業
づ
く
り
ハ
ン
ド
ブ
ッ
ク
第
2
巻
』(
溪
水
社
)、
『
子
ど
も
と
創
る
国
語
科
基
礎
・
基
本
の
授
業
小
学
校
3
年
』(
国
土
社
)
な
ど
が
あ
る
。
赤
あか
木
ぎ
雅
まさ
宣
のぶ
3
解決
のために
言語活動と「読むこと」
1
「価値ある」言語活動を
お
み
悩
言語活動と「読むこと」
14
15
言
語
活
動
を
明
確
に
位
置
づ
け
た
指
導
を
し
よ
う
と
す
る
と
、
し
っ
か
り
読
む
こ
と
が
で
き
な
く
な
っ
て
し
ま
う
気
が
し
ま
す
。
ど
の
よ
う
に
考
え
、
何
に
気
を
つ
け
て
指
導
に
臨
め
ば
よ
い
で
し
ょ
う
か
。
日々、子どもたちを教える先生方が抱えるお悩みの中から一つを取り上げ、
解決のためのアドバイスを掲載するコーナーです。
今回は、赤木雅宣先生と桂
─ 聖先生にご登場いただきます。
ノートルダム清心女子大学
准教授
赤
木
雅
宣
言語活動をどのように捉えて指導をするとよいのでしょう。
3
えるということです。つまり、次のよ
うに整理できるでしょう。
こ
こ
で
は、
教
科
書
教
材
を
共
通
教
材、
教科書外の教材を発展教材と呼ぶこと
にします。
▼第一次
(導入)
・言語活動の見通しをもつ。
・共通教材の概要を捉える。
・発展教材を並行して読む。
▼第二次
(展開)
・文章の内容を理解する。
・読み方を学ぶ。
▼第三次
(発展)
・文章を選び表現活動をする
(※)
。
・学んだ読み方を生かす。
その悩み,
解決します!
第一次の授業では、その見通しをも
たせます。具体的には、すらすら音読
できるようになった頃、ペアで、段落
ご
と
に
で
き
る
だ
け
速
く
音
読
を
す
る
よ
う
に
伝
え
ま
す。
最
も
速
い
ペ
ア
は
二
分
四十三秒で音読しました。
そ
こ
で、
こ
う
話
し
ま
す。
「
い
ち
ば
ん
速いペアが、読むのに二分四十三秒か
かった文章の内容を、一分以内で伝え
てほしい。どのように伝えればいいか
な
」。
す
る
と、
子
ど
も
た
ち
か
ら
は「
大
事
な
と
こ
ろ
だ
け
を
伝
え
れ
ば
い
い
」「
大
事なところをつなげたらいい」という
声が上がりました。
その後、単元の見通しをもたせるた
めに、
「ここでは、
『かるた』で大事な
ところを短くまとめる方法を学びます。
そして、それを生かして、自分で説明
文を選び、読んでいない人に大事なと
ころを伝えます」と伝えました。
第二次では、共通教材「かるた」を
使
っ
て「
要
点
の
ま
と
め
方
」「
要
約
の
し
目
的
は
、
読
む
力
を
つ
け
る
こ
と
言
語
活
動
の
重
視
が
求
め
ら
れ
る
な
か、
間
違
い
な
く
言
え
る
の
は、
「
読
む
こ
と
」
の授業の目的は、読む力をつけること
であるということ。言語活動を明確に
位置づけても、読む力がつかないのは
本末転倒です。
単
元
構
成
の
ポ
イ
ン
ト
では、読む力をつけるには、単元を
どのように構成すればよいのでしょう
か。
こ
こ
で
重
要
な
の
は、
「
読
む
こ
と
」
の言語活動を通して読み方を学び、そ
の後、それを生かせるような構成を考
か
た
」、
そ
し
て
そ
の
手
順
に
つ
い
て
明
確
に指導しました。
さらに第三次では、私が用意した四
つの説明文から紹介したいものを選ん
で読み、読んでいない子のために要約
して紹介する活動を設定しました。
例
2
「
た
ぬ
き
の
糸
車
」
(
一
年
下
)
「
好
き
な
と
こ
ろ
を
絵
と
文
で
紹
介
す
る
こと」を、単元の中心の言語活動とし
ました。しかし、先述のように、これ
を第一次で一年生の子どもたちに伝え
ても、切実な見通しがもてるはずがあ
りません。第二次で、これに似た言語
活動を繰り返したうえで、最後の時間
に伝えれば、実感の伴った学習課題と
なります。子どもたちも、意欲をもっ
て取り組むことができます。
第二次では、たぬきに対するおかみ
さ
ん
の
捉
え
方
の
変
化
を
読
み
取
り
ま
す。
例えば、
第二場面では
「なぜ
『かわいい』
に変わったのか」と投げかけ、捉え方
が変化するきっかけを読み取りました。
その後、授業のまとめとして、おか
み
さ
ん
役
と
き
こ
り
役
に
分
か
れ、
「
お
か
みさんは、糸車を回すまねをするたぬ
きのことを、きこりにどんなふうに話
したのか」という課題のもと、ペアで
次のような対話活動をしました。
第三次では、こうした第二次の学習
を生かして、好きな場面を選び、おか
みさんときこりの対話を想像し、場面
を絵と文で表します。第二次で繰り返
し学習しているので、スムーズに取り
組むことができました。
※発展教材から選ぶ場合(後述の例1)
、
共
通
教
材
内
か
ら
選
ぶ
場
合(
後
述
の
例
2)とが考えられる。
言語活動については、その種類や子
どもの実態によっては、第一次で明確
な
目
的
を
も
た
せ
た
ほ
う
が
よ
い
場
合
と、
必ずしもそうでない場合があります。
ここで、
具体的に、
説明文「かるた」
と文学「たぬきの
糸車」の実践をご
紹介します。
例
1
「
か
る
た
」
(
三
年
下
)
単
元
の
中
心
と
な
る
言
語
活
動
は、
「
要
約して紹介すること」
。
一
九
六
五
年
、
山
口
県
生
ま
れ
。
山
口
県
内
の
公
立
小
学
校
、
山
口
大
学
・
広
島
大
学
・
東
京
学
芸
大
学
の
各
附
属
小
学
校
教
諭
を
経
て
、
現
職
。
著
書
に
『
国
語
授
業
の
ユ
ニ
バ
ー
サ
ル
デ
ザ
イ
ン
』(
東
洋
館
出
版
社
)、
『
フ
リ
ー
ト
ー
ク
で
読
み
を
深
め
る
文
学
の
授
業
』(
学
事
出
版
)
な
ど
が
あ
る
。
光
村
図
書
小
学
校
『
国
語
』
教
科
書
編
集
委
員
。
桂
かつら
聖
さ
と
し
3
言語活動と「読むこと」
(きこり)
な
ぜ
、
あ
の
い
た
ず
ら
た
ぬ
き
が
か
わ
い
い
の
じ
ゃ
?
(おかみさん)
あ
ら
、
目
玉
を
く
る
り
く
る
り
と
回
し
て
、
糸
車
を
回
す
ま
ね
を
す
る
の
が
、
と
っ
て
も
か
わ
い
い
の
よ
。
16
17
解決
のために
2
教科書教材で学んだ読み方を生かす
筑
波
大
学
附
属
小
学
校
教
諭
桂
聖
実際の教材や指導の場面に当てはめると、どのようなポイントが考えられるでしょうか。