第2部 課題解決実習実践検討会報告
10月11日、児童生徒支援コース2年生の新井範子さんの公開授業と実践検討会が、勤務 校である高崎市立塚沢中学校で行われました。 新井さんの研究テーマは「学んだことを活用して課題を解決し考えを深める国語『読む こと』指導の工夫−自己調整学習を通して読解方略を身につける指導−」というものです。 「自己調整学習」は、学習者が見通しを持って学習に取り組み、自分の学習を評価して次 の見通しを持つという姿で、新学習指導要領でも強調されています。 国語「読むこと」の自己調整学習に不可欠なのが「読解方略」で、例えば「繰り返し出 てくる言葉に注意する」といった上手な読み方です。方略を知ることで生徒は、読解に取 り組む見通しが持てます。そして自分の読みを振り返ることで、「次もこの方法で読めそ うだ」という新たな見通しと意欲につながります。 研究授業で扱った教材文は「水の山 富士山」。富士山に降り注いだ水がどこへ行き、ど のように人々に恵みをもたらすのかを説明する文章です。生徒は1・2時間目に、「問い と事例を探す」など読解方略を生かして、内容を読み取りました。研究授業は3時間目で、 「筆者の問いに対する答えをまとめる」という学習でした。生徒は「答えの中心を探す」「不 要な表現を省く」といったコツを参考に、個々で要約に取り組みました。その後、要約文 をペアで読み合ったり全体で共有したりし、互いの共通点や相違点をもとに、意見交換を しました。説明文の要約に苦手意識を持つ生徒は多いのですが、本時は全員が要約をまと めることができ、「次もこの方法でできそう」という感想が聞かれました。 授業と検討会には、実習校の校長先生・副校長先生や先生方、高崎市教育委員会指導主 事の黛哲雄先生、高崎健康福祉大学の武井英昭先生、市内の小中学校の先生3名、本学教 職大学院生等7名、合計18名が参加しました。協議では、読解方略指導の重要性、要約に おける目的意識など、多様な観点から議論が交わされました。黛指導主事様からは「読解 方略の活用は重要だ、各時間で身につけたことを単元の目標に結び付けるという単元構想 の考え方を今後も大切にして欲しい」等、研究テーマに即した御指導をいただきました。 最後に、本学・佐藤浩一教授がお礼を申し上げ閉会しました。(文責 佐藤浩一・田村充) 新井範子 (児童生徒支援コ−ス) 令和元年10月11日(金) 高崎市立塚沢中学校
荒木 翔太 (児童生徒支援コ−ス)
令和元年10月10日(木) 前橋市立桂萱小学校
上田 美果 (児童生徒支援コ−ス)
岡野 典子 (児童生徒支援コ−ス)
令和元年10月4日(金) 片品村立片品中学校
児童生徒支援コース2年生の木村剛さんの公開授業と実践検討会が勤務校である前橋市立元 総社中学校にて行われました。木村さんの課題研究のテーマは「科学的な思考力,判断力,表 現力を育成するための中学校理科での指導の工夫 −適切な課題設定を元にした言語活動を通 して−」です。 木村さんは生徒の知識を関連づけたり,論理的に考えたりすることの難しさや,実験に対す る考察場面での生徒の意欲の低さを課題と捉え,「既習事項や実験・観察の結果,他者の考えな どをもとに話し合いにより,自分なりの考えを深め,それを表現する生徒」の育成を目指し, 研究を行ってきました。また,上記の課題を解決するための手立てとして適切な課題を設定す ること,言語活動を充実させることに重点を置き,授業を計画してきました。 公開授業は木村先生が担任を務める1年1組の理科 の授業で行われ,実習校の多くの先生方にも参観をし ていただきました。本時は,生徒達が既習の水溶液に ついての知識を活かし,6種類の透明な液体の正体を つきとめるための実験を計画する,1年生理科「単元 2物質のすがた」の終章として位置付けられています。 木村さんは単元開始時に単元内の学びがどのように終 章につながるのかを生徒に示し,それぞれの章での学 びを終章とのつながりから振り返る活動を行なってい ました。授業では最初に教師が生徒と共に既習事項の確認 を行い,生徒にこれまでの学習の知識から課題が解決可能 なものであることを示しました。また,実験を計画するに あたり,自身の思考を可視化させ,他者に伝えるツールと して階層図の使用を求めました。最初個人で考えている時 にはうまく考えがまとまらなかった生徒も,ホワイトボー ドを中心に頭を突き合わせて話し合う中で自身の知識を課 題につなげ,計画を立てていました。また,班での話し合いの後,班の計画を発表する場を設 けたことで,他の班の考えを聞いて自分たちの計画を見直し,修正する生徒の姿も見られ,彼 らの思考が他者の意見を聞く中で深まっていることが伺えました。 授業に引き続き行われた実践検討会には実習校の中村正校長先生,新井信男教頭先生,前橋 市内の中学校の理科教諭,本学院生と多くの先生方にご参加いただきました。授業の検討の中 では,階層図の有効性や,実験を計画する活動の難しさ,また本時における評価のあり方など, 様々な視点から活発に意見が交わされました。指導講評をいただいた前橋市教育委員会の阿部 恵一様には生徒の主体的な学びという視点から学習の繋がりを生徒にも意識できるように課題 を設定することの重要性について改めてご指導いただきま した。最後に本学懸川教授が謝辞を申し上げ,閉会しました。 参加していただいた先生方に改めて感謝申し上げます。 (文責 大島みずき) 木村 剛 (児童生徒支援コ−ス) 令和元年10月31日(木) 前橋市立元総社中学校
黒田 将也 (児童生徒支援コ−ス)
令和元年11月29日(金) 藤岡市立美土里小学校
坂本 裕大 (児童生徒支援コ−ス)
中嶋 かずみ (児童生徒支援コ−ス)
令和元年11月7日(木) 伊勢崎市立三郷小学校
松村 延幸 (児童生徒支援コ−ス)
茂木 朋美 (児童生徒支援コ−ス)
令和元年10月23日(水) 富岡市立吉田小学校
桺田 景子 (児童生徒支援コ−ス)
10月17日、児童生徒支援コース2年生の山野佳奈さんの公開授業と実践検討会が、勤務 校である渋川市立渋川中学校で行われました。 山野さんの研究テーマは「自分の考えを深める生徒の育成を図る中学校数学科の指導の 工夫—思考の過程を表現し振り返ることを通して—」で、自分の考えをより的確に表現す る、問題解決過程や意味理解を重視する、テストを学習に活用するツールとして意識する、 といった生徒像を目指します。そのため1学期から、①身近で予想を立てられる課題を工 夫する、②自分の考えを他者に説明する、③テストでも思考過程を書かせ評価する、④ルー ブリックを生徒が振り返りの手がかりにする、⑤授業のポイントを付箋にメモしノートに 貼っていく、という活動に取り組んできました。 研究授業は単元「量の変化と比例、反比例」の第11時間目で、「比例の見方や考え方を 利用して、紙のゴミがコピー用紙何枚分なのか求め、その求め方を説明する」という学習 でした。 生徒はまず、1週間分の紙のゴミと500枚入りのコピー用紙を見比べ、ゴミがコピー用 紙何枚分か予想を立てました。その予想を確かめるに、枚数と重さが比例関係にあること を利用する、という意見が出され、500枚入りコピー用紙の重さ(2kg)、ゴミの重さ(3 kg)をその場で実際に測りました。そして表・式・比例式・グラフと様々な方法を用い て答えを求め、ホワイトボードを活用しながらグループ内で説明し合い、互いの説明をルー ブリックに即して評価し合いました。さらに全体で4通りの考え方を確認し、「1.4kgの紙 のゴミはコピー用紙何枚分か」という発展問題に取り組みました。 授業と検討会には、実習校の校長先生・教頭先生と先生方、渋川市教育委員会指導主事 の坂口延弘先生、本学教職大学院生等、合計20名が参加しました。検討会では問題の工夫 が評価されるとともに、「y=axの式を使う方法は取り上げるべきだった」「1枚=4㌘ と求めたが説明につまずいた生徒がいた。そのつまずきをポイントとして生かせないか」 等、生徒の学びの姿に即して、多様な観点から深い協議が行われました。 坂口指導主事様からは、ルーブリックの有効性やテストでも記述式の問題を出すことの 必要性など、山野さんの研究を励ますコメントとともに、理科と数学の違いなど教科内容 に関わる深い御指導も頂きました。最後に本学・佐藤浩一教授がお礼を申し上げ閉会しま した。 (文責 佐藤浩一・田村 充) 山野 佳奈 (児童生徒支援コ−ス) 令和元年10月17日(木) 渋川市立渋川中学校 −91−
吉場 広章 (児童生徒支援コ−ス)
学校運営コース2年生の新井千鶴さんの公開授業と実践検討会が、11月22日に実践協力校である富 岡市立妙義小学校で、11月29日には富岡市立高田小学校で行われました。 紙面の都合上、高田小学校ので実践検討会の様子を中心に報告させていただきます。 新井さんの研究テーマは「児童生徒の学びをつなぐ小学校・中学校外国語科でのカリキュラム開発 〜中学校区における「外国語部会」の取組を通して〜」です。 小・中学校の教科連携がほとんど行われていなかった妙義中学校区(小学校2校、中学校1校)に おいて、連携の基礎をつくることを目的としたものです。3校の校長先生方のご理解をいただき、新 井さんが校区内の2つの小学校で英語の指導ができるよう兼務発令をしていただきました。そして、 2つの小学校を隔週で訪問し、5・6年生の英語科の授業を担任やALT、外国語活動指導員とのティー ムティーチングで行うことになりました。 1学期、新井さんはT2として授業の補助をしたり、後半の一部の時間を中心になって授業を進めた りすることが多かったのですが、夏季休業中に行った外国語部会等で「せっかく中学校の英語教員が 来ているのだから、中学校に近い授業をしてほしい」という小学校の教員からの要望を受け、2学期 からはT1として授業を行っています。また、訪問する時間帯を金曜日の1・2校時から5・6校時に 変更することで、担任やALTとの打合せの時間がとりやすいような工夫もしました。
公開授業は「We can2 Unit6 What do you wanto to watch?」という単元で、オリンピックやパラ リンピックの観戦計画を立てたり、競技を一緒に観戦できる友達を探したりすることをねらいとした 授業でした。 導入のビンゴゲームでは、私たち参観者も児童に質問されるなど、やりとりに参加する場面もあり ました。中心の活動では、観戦カードを手に一緒に観戦できる友達を探そうと、積極的に英語で友達 に話しかける様子が見られ、子供たちの英語力に感心しました。 新井さんがT1となり、ほぼオールイングリッシュでALTとやりとりをしながら授業を進め、T2であ る担任教師が児童の表情を確認しながら日本語でフォローをしていく、素晴らしい連携のとれた授業 でした。 公開授業と実践検討会には、妙義中学校及び高田小学校の校長先生、教頭先生をはじめ、校内の先 生方、富岡市教育委員会指導主事の小暮忠史先生、市内の先生方、本学関係者など、合計24名が参加 しました。 検討会では、妙義中学校と高田小学校の校長先生からの挨拶、新井さんから課題研究についての発 表に続き、研究協議を行いました。 参加者からは、子供たちの英語でのやりとりがよくできていることへの賞賛の言葉や新井さんを含 め先生方の負担が大きいのではないかと危惧する意見、人的な教育環境を改善することへの要望など が出されました。また、大学院で学んだことで新井さん自身の授業力が向上したことへの賞賛の言葉 もいただきました。 指導主事の小暮先生からは、先週の妙義小学校で行った授業より内容が改善されていたことを評価 いただくとともに、活動をより充実させるためにリフレクションを位置づけることなどのアドバイス をいただきました。 新井 千鶴 (学校運営コ−ス) 令和元年11月29日(金) 富岡市立妙義中学校 −93−
11月20日、学校運営コースの鯉沼大介さんの公開授業と実践検討会が、勤務校である館林市立第四中学校で 行われました。この公開授業は、群馬県小中学校教育研究会・中学校道徳部会の地区別研究会と同時開催とし て行われたものです。 鯉沼さんの研究テーマは「中学校における教員の生徒指導能力向上への組織的実践〜若手教員の育成に向け てのOJTコーディネーターの役割を通して〜」です。 生徒指導は一人一人の児童生徒の人格を尊重し、個性の伸長を図りながら、社会的資質や行動力を高めるよ うに指導、援助するものであり、時代の変化に対応しながら学校段階に応じた指導を進めることが求められて います。つまり、生徒指導は問題行動等への対応だけではなく、児童生徒の「社会的資質」や「行動力」を高 める積極的な教育活動ですから、教育課程の内外において、一人一人の児童生徒の健全な成長を促し、児童生 徒自ら現在及び将来における自己実現を図っていくための自己指導能力の育成を目指すことが重要です。その ためには、教員全体の生徒指導能力の向上が不可欠と考え、校内で若手教員の育成を目指すOJTの組織を構築 することにしました。具体的には、「リーダー」「メンター」「メンティ」の3人が1つのチームとなり、メンティ である若手教員の生徒指導上の課題や悩みの相談に乗りながら生徒指導能力を高めていくという方法です。鯉 沼さんは、5つのチームを束ねるOJTコーディネーターとしての役割を果たしてきました。 検討会当日は、以上のような研究の概要が報告されるとともに、担任する1年1組において、道徳科授業、 主題名「本当の思いやりとは」が公開されました。授業のねらいは「障がいをもつ人と関わった夫の気持ち」 と「妻の気持ち」を考えることを通して、思いやりとは何かを改めて考え、温かい人間愛を深め、だれに対し ても思いやりのある心をもってともに生きようとする心情を育てる。」でした。 授業では、「本当の思いやりとは何か」について考える場面で、グループになり、自分の考えを伝えたり他 人の考えを聞いたりする意見交換を行い、グループごとの意見をまとめていくことで、考え議論する道徳にし ようしていました。生徒からは、「自分がしてあげたいという気持ちだけでなく、相手がしてほしいと思った ことをしてほしいだけするのが本当の思いやりだと思った」など、思いやりを感じる行動は人それぞれであり、 相手の立場に立って考えることが大切であるという意見が多く出されました。 授業と検討会には、実習校の先生方をはじめ、校内外の先生方、館林教育委員会指導主事の騠松好則先生、 本学教職大学院関係者など、合計30名が参加しました。 検討会では、6つのグループに分かれ、授業中に記入した付箋を基に、良かった点や改善点について協議を しました。「心情円は有効であったが、生徒同士で見せ合うなど使い方に工夫が必要である」「グループの話合 いで、1番良い考えを決めるのではなく、なぜ後悔しているのかを話し合わせたかった」などの意見が出され ました。 指導主事の騠松好則先生からは、明確な指導観をもって授業に臨んでいることを評価されしていただきまし た。また、前時で確認した「思いやり」から、本音を出し合いながら考え深めたり広げたりするために、読み 物資料から離れることの助言をいただきました。 課題研究についても、研究内容が生徒指導に課題のある勤務校の実態に合っているものであること、OJTの 意義は、即効性や実効性があり、ひとり一人の課題に対応できるよさを指摘いただくとともに、「より職員に 理解を深めていくこと」「コーディネータとしての助言を繰り返していくこと」など、今後の研究を進めてい く方向を示していただきました。また、汎用性のある研究になるよう要望をいただきました。 鯉沼 大介 (学校運営コ−ス) 令和元年11月20日(水) 館林市立第四中学校