語の意味カテゴリー能力と多義語の語彙知識との関連性
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(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第 6 5巻 第 1号 J o u r n a lo fHokkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n( E d u c a t i o n l Vo . l6 5 .No. l. 平成 2 6年 8 月. Augus . t2014. 語の意味カテゴリー能力と多義語の語葉知識との関連性 横山. 吉樹・三ツ木真実*. 北海道教育大学札幌校英語教育研究室 *北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院. 博上謀程. C o r r e l a t i o n sBetweent h eP r o f i c i e n c yi nWo r dMeaning C a t e g o r i z a t i o nandPolysemyKnowledge YOKOYAMAY o s h i k iandMITSUGIMakoto* Departmento fE n g l i s hE d u c a t i o n .SapporoCampus.HokkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n * G r a d u a t eS c h o o lo fI n t e r n a t i o n a lM e d i a .C o m m u n i c a t i o n .andTourismS t u d i e s .HokkaidoU n i v e r s i t y. ABSTRACT h et h e o r i e so f WordMeaningC a t e g o r i z a t i o n(WMCT)i st h et a s k,whichemployedt. ti sassumedt obe c o g n i t i v el i n g u i s t i c st ot e s tt h es k i l l st oc a t e g o r i z epolysemousw o r d s .I c l o s e l ya s s o c i a t e dwithl e a r n i n go fpolysemyknowledgeandt ohaveanimpactono t h e r t y p e so fl e x i c a lk n o w l e d g e .T h i ss t u d yw i l li n v e s t i g a t et h ec o r r e l a t i o n so fpolysemyknowl e d g emeasuredbyWo r dMeaningC a t e g o r i z a t i o nTask(WMCT)t ot h es i z eanddeptho f v o c a b u l a r yknowledget e s t e dbyJACET3 0 0 0VocabularyS i z eTest( J3VST)byUemura ( 2 0 1 1 ) .Thea n a l y s e swerec o n d u c t e db a s e do nd a t afrom8 7J a p a n e s eu n i v e r s i t yl e a r n e r so f .Ther e s u l t sshowedt h a tt h ep r o f i c i e n c yi nword E n g l i s hwhot o o kb o t hWMCTandJ3VST. meaningc a t e g o r i z a t i o nwasweaklyb u tp o s i t i v e l yr e l a t e dt ot h eb r e a d t ho fpolysemyknow-. twasa l s oweaklyb u tp o s i t i v e l yr e l a t e dt ot h el e a r n e r s 'deptho fv o c a b u l a r yknowl e d g e .I h ep a r t i c i p a n t s l e d g emeasuredbyt h e7 2q u e s t i o n si nJ3VST.Forac l o s e re x a m i n a t i o n,t h eh i g hp r o wered i v i d e di n t ot h r e egroupsa c c o r d i n gt ot h es c o r eo fWMCT.Asar e s u l t,t f i c i e n c yi nwordmeaningc a t e g o r i z a t i o nmoderatelyc o r r e l a t e dt ot h es i z eanddeptho f polysemyk n o w l e d g e .Thesef i n d i n g si n d i c a t et h a ta p p l y i n gc o g n i t i v el i n g u i s t i c st oE n g l i s h l e a r n i n gandt e a c h i n ghaveaf a v o r a b l ei m p l i c a t i o ne s p e c i a l l yonv o c a b u l a r yl e a r n i n gand t e a c h i n g .. 279.
(3) 横1 1 1 古樹~ツ木真実. 1.はじめに 近年,認知言語学的知見を言語教育の場へ応用するという目的を持った研究が多くみられるようになった. i t t l e m o r e,2009;等多数)。認知言語学ではメタファ一等による語 (田中他, 2006;荒川・森山, 2009; L の意味拡張と多義性に関する議論が一つの主要な研究領域となっているため,英語教育を対象とした理論の. 0 0 5 ;Azuma& L i t t l e m o r e,2 0 1 0 ;Yasuda,2 0 1 0 ) や多義語 応用としては,特にメタファーの指導 (Azuma,2 0 0 6 ;Morimoto& Loewen,2 0 0 7 ;M i t s u g i,2 0 1 3 ) などの の学習や指導に関するもの(田中, 2004;田中他, 2 研究がみられる。またこの中には,認知言語学的アプローチを用いた指導の効果を検証した研究も多数あり, 英語学習者の日々の学習において認知言語学がどのような利益をもたらしうるかを示している。. Littlemore ( 2 0 0 9 ) は,語葉の学習・習得において認知言語学がアプローチできるポイントとして, v o c a b u l a r ydepth (語の深さ,質的側面)と networkknowledge (語の意味間にあるネットワークの知識) を挙げている。前者は「語の多義性 J,後者は「多義語の意味拡張に関する知識」を指すが,この両者には 認知言語学において議論されてきたカテゴリーやプロトタイプに関する理論が深く関わっている。ここでい うカテゴリーとは,事物を何らかの基準にもとづいてグループ分けすることを指す。認知言語学では,「人. 0 1 0 ) と考え,そのような認知能 聞は事物をグループ分けすることを通して何かを理解している J (今井, 2 9 9 3 )。カテゴリー化を通してグループ分けされたカテゴリー 力を「カテゴリー化の能力」と呼んでいる(辻, 1 内では,そのカテゴリーの構成員によってそのカテゴリーを代表する最も典型的な「プロトタイプ」を中心. e r i p h e r a l s (周辺的成員)を持つ 1つのネットワーク構造が生まれることになる。その とし,その周辺に p カテゴリーは何らかの意味的な類似性や近接性にもとづいた関連性を持つ 1つのグループにまとめられてお. r a d i a lc a t e g o r y ) と呼ばれている ( L a k o , 妊1 9 8 7 )。 り,放射状カテゴリー ( 0 0 4 ) の概念 実際にカテゴリーとプロトタイプの理論を多義語の語葉学習に応用した研究にコア(田中, 2 を用いたものがある。コアの概念を用いた理論(以下,コア理論)は,語が複数の意味を持つことからくる 習得・学習上の問題点を踏まえた上で,複数の語義を羅列することを避け,多義語の持つ全ての語義を網羅 する最大公約数的な 1つの中核的な意味(コア・ミーニング)を学習者に提示するということを目的として いる。コア理論では,多義語の複数の語義において共通する部分を抽出し,その部分の抽象化を繰り返して 中核的な意味を作り上げていく(図 1参照)。. 図 1 コア・ミーニング抽出のイメージ(田中他, 2 0 0 6 ). 2 8 0.
(4) 語の意味カテゴリ一能力と多義語の話葉知識との関連性. この共通性を抽出するプロセスで,それぞれの語義は類似性という基準をもとに同定と差異化という処理 2 0 0 4 ) 等によって提示されてい が行われる。この同定と差異化の処理がまさにカテゴリー化であり,田中 (. るコア・ミーニングはこのようなカテゴリー化を経て構成されていると考えられる。コア・ミーニングの利 点、は,無秩序に列記されているように感じる多義語の語義の抽象化によってその語義のスキーマを作り上げ, 文脈に依存せず、にその語が持っすべての用例に対応で、きる 1つの意味を作り出すことにある。さらに田中他 ( 2 0 0 7,2 0 1 0 ) では,学習者にとって理解しやすく,かつ親しみやすい形で様々な単語のコア・ミーニング. を提示している。 コア理論の語葉学習・習得への応用に関する新たな課題は,上記の「多義語の意味拡張に関する知識」へ のアプローチである。谷口 ( 2 0 0 3 ) によれば,多義語の意味拡張のプロセスではプロトタイプとしての中心 的な意味から周辺的な意味への拡張の背景にはメタファ一等の認知作用が働いている。このような意味拡張 の理論があるものの,コア理論ではコア・ミーニングをもとにしたメタファー等による語義の意味拡張に関 する説明が明確にはなされていない。そのため,コア・ミーニングを文脈に埋め込んで意味調整を行い,文 脈に応じた語義(周辺的意味)を導きだすという認知的な処理(図 2)は必然的に学習者に委ねられること になる。しかしながら,. ν 1 i t s u g i. ( 2 0 1 3 ) では,コア・ミーニングを用いた図 2のような認知的な処理を学. 習者自身の独力で行うことは困難であることが 1つの考察として示唆された。. Cont 世 x : tf r e 桂 叫. Conte x : t s 号n s i t i v e. I. sense n. I. 図 2 丈脈調整を受けるコア・ミーニング(田中他, 2 0 0 6 ). コア・ミーニングを用いた語葉学習のために,メタファ一等の知見を用いた意味拡張に関する明示的な指 導が必要であるということは明らかではあるものの,学習者が英語学習を行う際にいつでも教師が近くにい るということは考えにくい。また,教室で語葉学習の時間を十分に確保して指導を行うことは非常にまれで あるため,教師による語葉指導の機会はかなり限られてしまうはずである(山田, 2 0 0 8 )。さらに,現在ま でにコア理論によって提示されているコア・ミーニングは数が限られているという現実もある。そうすると, 学習者がこれまでに提示されている以外の多義語に出会った場合には,彼らは自らが英語に触れていく中で カテゴリー化を行いながら中心的な意味をボトムアップ式に試行錯誤の中で生成し,概念的にそれを掴んで いく必要に迫られる可能性がある。しかしながら,カテゴリー化のプロセスを通じた多義語学習を学習者自 身で行うことは困難であるのか,またカテゴリー化やメタファ一等による意味拡張を通じた意味ネットワー ク知識の構築をどのように指導として行っていくのか,という点については研究がほとんど進んでいない。 またこのような研究がなされないまま,コア・ミーニングのような認知言語学的な知見の応用とその効果の 検証だけがなされる状態が続いているのが現状である。 荒川・森山 ( 2 0 0 9 ) は「第 2言語教育への認知言語学からの提言」として「認知能力の重視J,1"カテゴリー 構造とその再編成の重視J,1"語葉学習の側面の重視」を挙げている。人聞が持つ一般的な認知能力の反映と して言語を捉えるという認知言語学的な立場からすれば,確かにこの提言は第 2言語の教育上重要視される. 2 8 1.
(5) 横1 1 1 古樹~ツ木真実. べきものだと考えられる。認知能力の 1つとしてカテゴリーの側面に着目するという点や語葉学習の側面を 重視するという点は,本研究の焦点とも関連するものである。ただ,問題はこの 3項目は認知言語学におけ る知見をもとに導きだされた提言でしかなく,多くの実証的研究が積み重ねられた上で述べられているわけ ではないという点である。 上記の議論を踏まえ,本論文では,認知言語学理論の英語教育への応用を目的とした実践研究のための予 備的事例として,カテゴリーを認知する能力と学習者の持つ多義語の語葉知識が実際に関わりを持っかにつ いて考察することを目的とする。また,これまでの議論から,語の意味カテゴリー能力は語葉の学習能力と も関わるものと考えられ,結果としてその能力は語葉知識を予測するものとして働くことが予想される。し たがって,学習者における語の意味カテゴリ一能力の習熟度と彼らの多義語の語輩知識との関わりについて も考察することも本研究の目的とする。. 2 . 研究方法 本研究では,上記の議論を踏まえ,最初に基本動詞 make/ get/ takeを用いた語の意味カテゴリ一課 2 0 1 1 ) で紹介された多義語の語量知識を測定するテストである ]3VSTを用い 題を実施する。次に,上村 (. て学習者の多義語の語葉知識を測定する。. 2 . 1 語の意味カテゴリ一課題 本研究では,学習者の持つカテゴリー化の能力を把握するために,コア・ミーニングのサブカテゴリーを 利用した語の意味カテゴリー課題 (WordMeaningC a t e g o r i z a t i o nTask 以下 WMCT)を作成・実施した。 1 9 9 3 ) を参考にしながら,文章の中で用いられている多義語の拡張語義が,それぞれ 課題の形式は,今井 (. の刺激語が持つサブカテゴリーのうちどれに属するかを選択する形式を採用した。学習者は,文章内の刺激 語が選択肢となっているサブカテゴリーのどれに属するかを同定・差異化の認知処理(カテゴリー化の能力) 2 0 0 3 ) を参考とし,基本動詞のうち,サブカテゴ をもとにして判断することになる。語の選定は,田中他 (. e t ,t a k e ) を選択した(表 1および添付資料 1を参照)。 リーが 3つ以上あるもの (make,g 表 1 語の意味カテゴリ一課題 (WMCT) 概要. 項目(動詞のタイプ). 解答方式. 問題数. 配点. make. 5肢択宇. 1 0問. 1 0点. g e t. 3肢択宇. 8問. 8点. t a k e. 3肢択一. 2 0問. 2 0点. t a k eでは , t a k eのプロトタイプであるコア・ミーニングにおける一つ下位のカテゴリーを 3つに設定し た場合のサブカテゴリーが提示されているはあるところから何かを取る e tも同様に, 何かを自分のところに取り込む) g. 1 得る /II なるようにする. カテゴリーが設定されている。 makeの場合は,. 1 具体物を作る. 0. I 何かを(手に)取る/皿. mさせる,の 3つのサブ. I 物事を生み出す / m 目標に到達さ. せる/町…と判断する / V ある状態にする,の 5つのサブカテゴリーが設定されている。課題の出題例は 図 3の通りとなっており, れる。. 2 8 2. Moodleの小テストを利用して作成・編集・出題され,採点は自動で計算がなさ.
(6) 語の意味カテゴリ一能力と多義語の話葉知識との関連性. 官減 穐是正: ' 1. m. 次の文主義で いられている章治諮の撚鴫曹の愈誌をは、次の怒っのカテゴジーのうお どれに議するでしょうか?1つ滋びなさい。 )>>. Ineedto授滋盤 somemo l 1 e 弘容。 I C < l 1 1buyl 1ews k i s ー. 1つの答え や工事翼手本殺を作る を選択してや 2 .検事を食み出す ください‘ や 3 .1iiil擦に軍事遼させる. 04..場敷と戦i 護持する く)5 .ある状擦にする. 図 3 WMCT問題例. 2 . 2 多義語の語嚢知識測定テスト ( J 3 V S T ) 多義語の語葉知識の測定には,上村 ( 2 0 1 1 ) で紹介・使用されている測定ツールを用いた。この測定ツー ルは,『大学英語教育学会基本語リスト ]ACETL i s to f8 0 0 0B a s i cWordsJ ( JACET8 0 0 0 ) をもとに開発さ. 0 0 0VocabularyS i z eTest ( 以 れた日本人英語学習者の多義語の語長知識を測定するテストで, ]ACET3 下 : ]3VST) と呼ばれるものである。 ]3VSTは多義語の第 1語義と第 3語義に焦点を当てることで,特に. L 2学習者の語葉知識の「深さ」に迫ることを主な目的としている。 ]ACET8000の頻度順第 1位から第 3 0 0 0 位までの英単語を対象語とし,日本語の語義と一致する英単語を 4つの選択肢から選ぶテストとなっている ( 図 4参照)。. 1~. 離{患灘、{欝粂}を鱗愈ずる・捨てる. 得点:1. 1つの芸蓄え. 01.時 間d加. を選択してや 2 .∞n f u 事普 ください。 3.d 韓 関r v 母. o. 0 4.秘書 orb 図4 ] 3VST問題例(上村, 2 0 1 1より抜粋). 設問となっている品詞は,動詞,名詞または形容詞で,第 1語義と第 3語義との聞に明確な違いを認めら. 0 0 0 語刻みで 3つのレベルに設定され,各レベル れるものが対象となっている。また,出現頻度をベースに 1 0問 , 4 4問 , 4 0聞の計 1 2 0聞の問題がある。加えて,第 1語義は 4 8問,第 3語義は 7 2問に設定されている。 で3 使用する語義については, 2 0 0 8年に刊行された C o l l i n sCOBUILDAdvancedD i c t i o n a r y6 t hE d .の第 1語. 2 0 0 6年刊行)を参考にして 義と第 3語義を採用しており,日本語化には大修館ジーニアス英和辞典第 4版 ( 0 0 0の頻度 ) 1貢 3 . 0 0 0 位までのものを使用してお いる。選択肢となっている 4つの英単語は,すべて ]ACET8 り,正解の選択肢とその他の 3つの英単語はすべて同ーの品詞を使用している。以上の ]3VSTに関する説. 2 0 1 1 ) を参照した。なお,本研究では限られた授業時間内で ]3VSTを実施しなければなら 明は主に上村 ( 2 0聞を 6 0問ずつ 2回に分けて実施した。加えて, ]3VSTも Moodleの小テストを利用し, なかったため,全 1 筆者が形式を一致させたものが出題され,採点は自動で計算がなされている。なお,点数の配分は 1つの設 問につき 1点である。. 2 8 3.
(7) 横1 1 1 古樹~ツ木真実. 2 . 3 研究課題 語葉知識には,語葉の量的側面(どの程度単語の数を知っているか)としての「サイズ、 J,また語葉の質. L i t t l e m o r e .2009)。語葉知識の深 的側面(個々の単語に関する知識)としての「深さ」があるとされる ( さの構成要素には,コロケーションに関する知識や連想に関する知識に加え,単語の持つ多様な意味を知っ ていることが挙げられている(杉森, 2 0 1 3 )。したがって,本研究では,「深さ」の構成要素の 1つである多 義語に焦点を当て,語の意味をカテゴリ一分けする能力が語葉知識とどのように関連しているのかを調査す る 。 以下に 4つの研究課題を示す。 研究課題( 1 )と( 2 )においては,多義語の語義をカテゴリ一分けする能力が語義知識の「サイズ、」と「深さ」 という側面とどのように関連するのかを検証する。. ( 1 ) 語の意味をカテゴリ一分けする能力と多義語の語葉知識の「サイズ」には相聞があるのか。 ( 2 ). 語の意味をカテゴリ一分けする能力と学習者の語最知識の「深さ」には相関があるのか。. 認知言語学のカテゴリーやプロトタイプに関する理論を踏まえると,. WMCTにおいて各語義のカテゴ. リ一分けを適切にする能力は,学習者が独力で中心的意味(プロトタイプ的意味)となるスキーマを導く語 葉学習能力を反映していると考えられる。そして,その能力が高ければ高いほど,多義語の知識の「サイズ、」 と「深さ」も増加すると推測できる。しかしながら,第 2言語学習には閲値があることがある。語長の学習 について言えば,語葉学習能力には語葉知識に影響を及ぼす閤値的な習熟度が存在すると考えられ,そのた め,語葉学習能力のレベルによっては目に見えるような影響が見られないことがある。したがって,研究課 題( 3 )と( 4 )においては,. WMCTのスコアを利用して,グループ分け(上位群・中位群・下位群)を行い,ど. の闘値(習熟度)まで達したら,語の意味カテゴリ一能力を反映する語葉学習能力が多義語の語葉知識の「サ こついて検証を行う。 イズ」と「深さ」の向上に効果があると判断できるか l. ( 3 ) 語の意味をカテゴリ一分けする能力の違いに応じて実験協力者を分類した場合,それぞれの群におけ る語の意味カテゴリ一能力と多義語の語葉知識の「サイズ」との相関はどのようになるのか。. ( 4 ) 語の意味をカテゴリー分けする能力の違いに応じて実験協力者を分類した場合,それぞれの群におけ る語の意味カテゴリ一能力と学習者の語葉知識の「深さ」との相関はどのようになるのか。. 2 . 4 実験協力者 本研究における実験協力者は,札幌にある私立の短期大学英文科に所属する日本人英語学習者で,本論文 執筆者による語葉の授業を受講する 1年生(全 1 3 3名)であった。そのうち,. WMCTと ]3VST ( 全 2回). 7名のデータを本論文で使用した。実験協力者からはオンラインの同意書を通じて研究 の全てに取り組んだ 8 の協力に際して同意を得ている。. 2 . 5 データ分析 研究課題の(1)を検証するために, WMCTと ]3VSTのスコアを用いてピアソンの積率相関係数を求めた。 また研究課題の ( 2 )の検証のために,. WMCTと ]3VSTで第 3語義の意味を問う 7 2個の設問のスコアを用い. 3 )では,実験協力者をカテゴリ一分けする能力の違い(正解 てピアソンの積率相関係数を求めた。研究課題(. 2 0 0 5 ) を参考に平均 率)にもとづいて,上位群・中位群・下位群の 3つの群に分けた。分類の方法は,岸 ( 値+標準偏差の点数より上の得点を取った協力者を上位群,平均値. 標準偏差の点数より下の得点を取った. 協力者を下位群,それ以外を中位群とした。これら 3群の聞に有意な差があるかを一元配置の分散分析. (ANOVA) を用いて確認したところ , F(2,84)=134.131, ρ<. 0 0 0で各群において有意な差がみられ. 2 8 4.
(8) 語の意味カテゴリ一能力と多義語の話葉知識との関連性. た。また Tukeyの多重比較も同時に行った結果,上位群は明らかに中位群と下位群よりも有意に,点数が高く, 中位群は下位群よりも有意に点数が高かった。この結果にもとづくと,上位群は「高い語の意味カテゴリ一 能力を持つ群 J,一方で下位群は「低い語の意味カテゴリー能力を持つ群」ということができる。データの 分析としては,. WMCTの上位・中位・下位群における協力者のスコアと ]3VSTのスコアを用いて,相関. 係数を求めた。研究課題( 4 )の検証には,. WMCTの上位・中位・下位群における協力者のスコアと ]3VST. の第 3語義におけるスコアを用いて相関係数を求めた。なお,研究課題( 3 )と( 4 )のデータ分析において上位群. 0人以下と少人数になったため,この 2群ではノンパラメトリック検定で と下位群の実験協力者がそれぞれ 2 あるスピアマンの順位相関係数を求め,中位群ではピアソンの積率相関係数を求めた。. 3 .結 果 最初に ]3VSTの測定ツールとしての信頼性を検証するため,本研究における ]3VSTデータと第 3語義 のみの ]3VSTデータの信頼性分析を行った(表 2)。クロンパックの α係数はそれぞれ前者が α =. 9 0,後. 8 1で,テスト理論において信頼性が認められる基準である α =. 8 0の値以上であったため, 者 が α =. ]3VSTにおける両データを本研究のデータとして用いることとした。. 全体の信頼性と第 3語義のみのスコアにおける信頼性 表 2 ]3VST データタイプ. 問題数. 信頼性係数(クロンパックの α). ]3VST (全設問). 1 2 0. . 9 0. . 8 1. . 2 3. ]3VST ( 第 3語義のみ). 7 2. . 8 1. . 7 6. . 2 5. 表 3は本研究で使用したデータの記述統計の数値となっており,. 項目困難度(%) 項目弁別力(%). WMCTと ]3VSTにおける実験協力者. 数 ( n ),平均値,標準偏差および最小値と最大値を示している。表 4は,研究課題 1 )のデータ分析結果で,. WMCTと各 ]3VST (全設問)のスコアにおける相関分析の結果を示している。 WMCTと全設聞の ]3VSTの聞は r= . 3 2で弱い相関がみられた。また,表 5は研究課題( 2 )のデータ分析結果で,. WMCTと第. 3語義のみのスコアにおける相関分析の結果を示している。 WMCTと第 3語義のみの ]3VST聞の相関係 数は. fニ. . 3 2であり,こちらも同様に弱い相聞がみられた。. ヴ川町. n ),平均値,標準偏差,最小値,最大値 表 3 各データタイプにおける協力者数 ( 最小値. i. 円. i. ]3VST ( 第 3語義のみ). 9 6 . 6 3. 差一. 円. i. ]3VST (全設問). 11. 1 9 . 2 8. 准干一 3. 円. i. oD0606. WMCT. 偏一目印刷出. 平均値. n. 標一:. データタイプ. 5 0 . 5 2. 1 1. 6 1 3 3. ( ※ WMCT:3 8 点満点/全設問 ]3VST:1 2 0点満点/第 3語義のみ]3VST:満点 7 2点). 表 4 WMCTと]3VST (全設問)聞におけるピアソンの積率相関係数 n. WMCTと]3VST(全設問). 8 7. 相関係数. . 3 2. 有意確率. . 0 0 2. 2 8 5.
(9) 横1 1 1 古樹~ツ木真実. 表 5 WMCTと]3VST ( 第 3語義のみ)聞におけるピアソンの積率相関係数 相関係数. n. WMCTと]3VST ( 第 3語義のみ). 有意確率. . 3 2. 8 7. . 0 0 3. 表 6は , WMCTのスコアによって分類された上位群・中位群・下位群ごとの実験協力者数 ( n ),平均値, 標準偏差および最小値と最大値を示している。加えて,そのグループ分けに対応する ]3VSTの各値(全設 問と第 3語義)についても表示している。表 7は研究課題( 3 )のデータ分析結果であり,. WMCTのスコアか. ら分類された上位群・中位群・下位群それぞれの群と ]3VST (全設問)との相関分析の結果を示している。 WMCT上位群と全設問の ]3VSTの聞では r = . 5 1で比較的強い相聞がみられ,また,中位群と全設問の ]3VSTの間でも. f ニ. . 4 7で比較的強い相闘がみられた。これに対して,下位群においては. f. 二 一. . 1 6となり. 4 )のデータ分析結果であり, 負の相関がみられたが,これは有意な結果とはならなかった。表 8は研究課題( WMCTのスコアから分類された上位群・中位群・下位群それぞれの群と ]3VST ( 第 3語義のみ)との相 関分析の結果を示している。 WMCT上 位 群 と 第 3語義の ]3VSTの間では r = . 5 0,中位群と全設問の ]3VSTの間でも r= . 4 6となり,両者に比較的強い相闘が見られる結果となった。その一方,下位群では r = -. 1 5となり負の相聞がみられたが,有意な結果とはならなかった。. 表 6 各群のデータタイプにおける協力者数 ( n ),平均値,標準偏差,最小値,最大値 データタイプ. 1 1. 上位群. 平均値. 標準偏差. 最小値. 最大値. 1 7. WMCT. 2 3 . 7 1. 1 .5 3. 2 2. 2 7. ]3VST (全設問). 1 0 3 . 4 7. 5 . 9 9. 9 3. 1 1 3. ]3VST ( 第 3語義のみ). 5 8 . 2 4. 5 . 2 2. 5 0. 6 7. WMCT. 1 9 . 1 8. 1 .5 7. 1 7. 2 1. ]3VST. 9 4 . 5 8. 1 2 . 0 0. 6 1. 1 1 5. ]3VST ( 第 3語義のみ). 5 3 . 4 9. 7 . 3 7. 3 3. 6 7. WMCT. 1 4 . 6 0. 1 .6 4. 1 1. 1 6. ]3VST. 9 6 . 4 0. 1 3 . 9 2. 6 1. 1 1 3. ]3VST ( 第 3語義のみ). 5 4 . 0 7. 8 . 1 4. 3 5. 6 6. 巾位群. 5 5. 下位群. 1 5. ( ※ WMCT:3 8点満点/全設問]3VST:1 2 0点満点/第 3語義のみ]3VST:満点7 2点) 表 7 WMCT3群と ]3VST (全設問)問における相関分析の結果 データタイプ. n. 相関係数. 有意確率. WMCTと]3VST (全設問) 上位群. 1 7. . 5 1. . 0 4. 中位群. 5 5. . 4 7. . 0 0. 下位群. 1 5. . 1 6. (※上位群および下位群はスピアマンの順位相関係数,中位群はピアソンの積率相関係数を示す). 2 8 6. . 5 8.
(10) 語の意味カテゴリ一能力と多義語の話葉知識との関連性. 表 8 WMCT3群と ]3VST ( 第 3語義のみ)聞における相関分析の結果. データタイプ. n. 相関係数. 有意確率. WMCTと]3VST ( 第 3語義のみ) 上位群. 1 7. . 5 0. . 0 4. 中位群. 5 5. . 4 6. . 0 0. 下位群. 1 5. . 1 5. . 5 8. (※上位群および下位群はスピアマンの順位相関係数,中位群はピアソンの積率相関係数を示す). 4 .考 察 研究課題( 1 )では,語の意味をカテゴリ一分けする能力と多義語の語最サイズとの聞の相関について検証し た。これは認知言語学の理論上,両者に深い関連が想定されるために行った検証であった。結果としては, 日本人英語学習者の語の意味カテゴリー能力と多義語の語葉サイズとの聞には弱いながらも相関がみられ た。これにより,語の意味の同定・差異化という認知的な処理と多義語における語長サイズには関連がある 可能性が示唆され,同時に高い語の意味カテゴリ一能力を持つ学習者は多義語の語量サイズも豊かである傾 向が示された。また,この結果をコア理論との関連で考えると,. WMCTはコア・ミーニングを中心的意味. としたサブカテゴリーを援用して作成した課題であったことから,学習者が中核的な意味を自らスキーマ化 して抽出するために必要となる語の意味カテゴリー能力が多義語の語葉知識の広がりと何らかの関連がある 可能性も示唆されたといえる。 研究課題( 2 )では,語の意味をカテゴリ一分けする能力と ]3VSTの第 3語義によって測定される語葉の「深 さ」との相関について検証した。その結果,両者の聞には弱いながらも相聞がみられた。 ]3VSTは多義語 の第 3語義に焦点を当てることで L2学習者の語棄の「深さ」に迫ることを目的としたテストであるため, 特に第 3語義の知識を豊富に持つ学習者を,語葉の「深さ」の知識をより豊富に持つ学習者として捉えるこ とができる。このことから,語葉の「深さ」の知識を持つ学習者は,一つの語が持つ意味を一つだけではな く複数知っている可能性が高いため,語の意味をカテゴリー化する能力が高いほど,学習者は多義語の持つ 複数の意味に関する知識も豊かとなる傾向があると捉えることができる。 3 )では,語の意味をカテゴリ一分けする能力の違いに応じて実験協力者を 3群に分類した場合, 研究課題(. それぞれの群の学習者における語の意味カテゴリー能力と多義語の語最サイズとの相関はどのようになるか を検証した。データ分析の結果,. WMCTのスコアにおける上位群・中位群と多義語の語葉サイズには比較. 的強い相闘がみられた。研究課題( 1 )の考察では,語の意味カテゴリー能力が高い学習者ほど多義語の語葉サ イズが豊かである傾向があるとしたが,相関としては弱いものであった。しかし,研究課題( 3 )の分析結果と して,. WMCTのスコアにおける上位群・中位群とそれぞれの群に属する学習者が持つ多義語の語葉知識の. 「サイズ」の聞に比較的強い相闘がみられたことから,カテゴリ一能力が中程度以上の学習者が多義語の語 葉「サイズ」が豊かである可能性が示された。つまり,多義語のサイズにおける学習に閲値的な習熟度が存 在し,. WMCTで測られる中位以上がそれにあたることになる。. より詳細な分析として,. ]3VST (全設問)のスコアにおける各群の標準偏差を比較してみると,特に上. 位群の標準偏差の数値が他の群に比べて低い(上位群: SD=5 . 9 9,中位群: SD=1 2 . 0 0,下位群: SD=. 1 3 . 9 2 ) ことがわかる。竹内・水本 ( 2 0 1 2 ) によれば,標準偏差は値が小さいほど集団として等質性が強く, 同じような能力(あるいは傾向)を持つ学習者の集まりであるとされている。このことから,本研究におけ る WMCTスコアの上位群においては,語の意味カテゴリ一能力が高く,かつ多義語の語葉サイズも豊富な. 2 8 7.
(11) 横1 1 1 古樹~ツ木真実. 学習者がバランスよく集まっていることがわかる。したがって,高い語の意味カテゴリ一能力を持つ学習者 は多義語の語葉サイズも豊かである傾向が,研究課題( 1 )の考察に比べてより詳細な形で示すことができたと 考えられる。そのため,学習者の多義語の語葉知識を養成することを目的とした指導において,カテゴリー 化の能力等の認知言語学の理論や知見を用いることに 1つの利点があることが統計的に認められたといえよ. つ 。 研究課題( 4 )では,語の意味をカテゴリ一分けする能力の違いに応じて実験協力者を 3群に分類した場合, それぞれの群の学習者における語の意味カテゴリー能力と学習者の語葉知識の「深さ」との聞の相関はどの ようになるかを検証した。分析結果としては,. WMCTのスコア上位群と中位群において, ]3VSTの第 3. 語義における語長知識(深さの知識)との聞に比較的強い相関がみられた。研究課題( 2 )の考察では,語の意 味カテゴリ一能力が高い学習者ほど多義語の語長における「深さ」の知識を豊富に持つ傾向があるとしたが, 相関としては弱いものであった。しかし,研究課題( 4 )の分析結果として WMCTのスコアにおける上位群・ 中位群と第 3語義の語葉知識との聞に比較的強い相関がみられたことから,本研究においてカテゴリ一能力 が中程度以上とされた学習者は,多義語の語葉知識である「深さ」の側面においてもその知識を豊富に持つ 可能性が示された。したがって,多義語の深さの学習にも閲値な習熟度が存在し,. WMCTで測られる中位. 以上がそれにあたることになる。 これまで述べてきた学習者の語の意味カテゴリー能力と多義語の語葉知識における関連性の検証結果か ら ,. L i t t l e m o r e ( 2 0 0 9 ) が述べているように,認知言語学の理論から語葉の学習・習得へアプローチでき. るポイントが語葉知識の「深さ」であるという傾向が統計的に示される結果になったと考えられる。したがっ て,本研究は,認知言語学理論を語葉の学習や指導へ応用することの一つの理由付けになったともいえよう。 また,英語学習者の多義語の語葉知識を養成するためにカテゴリー化の能力を重視した指導を行い,その効 果検証の研究を行うことに対する意義付けの 1つにもなったのではないかと思われる。 ただ,本研究では,データ収集に際していくつか問題があった。今回用いた ]3VSTは,信頼性係数に問 題はなかったものの項目困難度と項目弁別力に少々の改善の余地がみられた。さらに,今回は WMCTを課 題(タスク)として実施した結果を点数化したが,今後において,. WMCTを改良した上で測定ツールとし. て用いることを考える場合には,今回のようにカテゴリ一分けをする語義が 1つにつき 1回だけでは,測定 ツールとしての信頼性の確保が難しい可能性がある。信頼性のある測定テストとして用いるようにするため には,. 1つの語義に対するカテゴリ一分けの設問数を増やすことや実験協力者の数を多くすることが今後必. 要であろう。 本研究では,認知言語学におけるカテゴリー化の理論と v o c a b u l a r ydepth (語の深さ,質的側面)との 関連性について言及したが,. networkknowledge (語の意味間にあるネットワークの知識)との関連性に. ついては多くは言及することができなかった点が限界として挙げられる。谷口 ( 2 0 0 3 ) では,語が多義化し ていく意味拡張の主なプロセスではメタファ一等の認知的な処理を経るとしている。したがって,語の意味 間にあるネットワークの知識を広げていくためには,類似性に基づく同定・差異化というカテゴリー化の能 力に加え,メタファ一等に関する知識が必要となってくる。コア理論を例に取れば,多義語の持つ複数の意 味を抽象的な単一のスキーマとして導き出す場合には特にカテゴリー能力が重要となる。一方で,例えばコ ア・ミーニングを語葉指導の 1っとして提示する場合には,学習者はそれを自ら文脈化して丈脈に応じた拡 張語義を導きだすことになるが,その際には主にメタファ一等の認知的な処理が重要となる。そういう意味 では,認知言語学の語葉学習・習得への応用において今後の課題を考えるならば,それは語の意味間にある ネットワークの知識へのアプローチであり,今後はメタファ一等に関する理論や意味ネットワークの理論等 も視野に入れ,それらの理論と多義語の知識との関わりをみていくことが必要である。. 2 8 8.
(12) 語の意味カテゴリ一能力と多義語の話葉知識との関連性. 5 .結 語 本研究は,カテゴリー化などの人聞が持つ一般的な認知能力の反映として言語を捉えるという認知言語学 的立場から,日本人英語学習者を対象に語の意味カテゴリ一課題と多義語の知識を問うテストを実施し,両 者のスコアに関連がみられるかを検証した。 データ分析の結果,学習者の持つ語の意味カテゴリ一能力と多義語の語葉知識としての「サイズ」及び「深 さ」との問には弱いながらも相聞が認められ,語の意味の同定・差異化という認知的な処理が多義語の語葉 知識と何らかの関わりを持つことがわかった。また,同時に語の意味カテゴリ一能力を反映する語葉学習能 力が多義語の語長知識の広がりと関連する可能性を示唆した。加えて,語の意味をカテゴリ一分けする能力 の違いに応じて実験協力者を 3群に分類し,それぞれの群における多義語の語長知識としての「サイズ、」及 び「深さ」との関連性も検証した。結果として,上位群と中位群それぞれの学習者の語の意味カテゴリ一能 力と多義語の語葉のサイズとの聞に比較的強い相聞が認められた。また,多義語のサイズにおける学習に闇 値的な習熟度が存在し,. WMCTで測られる中位以上がそれにあたることがわかった。加えて,特に上位群. において語のカテゴリー能力が高く,かっ多義語の語輩サイズも豊かな学習者がバランスよく集まっている ことがわかった。これらのことから,多義語の語量の「サイズ、」という側面の知識向上のために語の意味カ テゴリーに関する指導を行うことが意義あるものとして認められる可能性がある結果を示した。語の意味カ テゴリ一能力と語最知識の「深さ」との関連においては,上位群と中位群に比較的強い相関が認められた。 このことから,高い語の意味カテゴリ一能力を持つ学習者ほど豊富に多義語の複数の意味を知っている傾向 が示された。また,多義語の深さにおける学習においても閲値的な習熟度が存在し,. WMCTで測られる中. 位以上がそれにあたることがわかった。 克服すべき課題を残しながらも,本研究は,認知言語学の理論に基づく語の意味カテゴリ一能力が多義語 の語葉学習能力として働き,それが多義語の語葉知識に反映されることを示すことができた。これは,認知 言語学の理論を語葉の学習・習得へ応用することの意義が統計的に示される結果となったとも考えられる。 したがって,本研究は,プロトタイプやカテゴリーなどの認知言語学理論を語葉の学習や指導へ応用するこ との 1つの理由付けになったと考えられ,効果測定も含めた今後の認知言語学理論の英語教育への応用に関 する実証的研究に向けた示唆となりえたのではないかと思われる。. 参考文献 Azuma,M,( 2 0 0 5 ) .M e t a . ρh o r i c a lCom ρe t e n c ei na nEFLC o n t e x t .Tokyo:ToshindoP u b l i s h i n g i t t l e m o r e,J .( 2 0 1 0 ) .Promotingc r e a t i v i t yi nE n g l i s hl a n g u a g ec l a s s r o o m s]ACETK a n s a i] o u r n a l ,12 ,8 1 9 . Azuma,M.& L L a k o f f ,G .& ]ohnson,M.( 1 9 8 1 ) .Met~ρhors WeL i v eB y .C h i c a g o :TheU n i v e r s i t yo fC h i c a g oP r e s s . L a k o f f ,G .( 19 8 7 ) .Women,F i r e,andD a n g e r o u sT h i n g s :WhatC a t e g o r i e sR e v e a lAboutt h eM i n d .C h i c a g o :U n i v e r s i t yo fC h i c a g oP r e s s . L i t t l e m o r e,J .( 2 0 0 9 ) .A戸ρl y i n gC o g n i t i v eL i n g u i s t i c st oSecondLanguageLearningandT e a c h i n g .B a s i n g s t o k e :Palgrave M a c m i l l a n . M i t s u g i,M.( 2 0 1 3 ) .TheE f f e c t i v e n e s so fCoreMeaningBasedI n s t r u c t i o nonP r e p o s i t i o nC h o i c e .R e s e a r c hB u l l e t i n01En. ,10 ,1 2 5 . g l i s hT e a c h i n g. Morimoto,S .& Loewen,S .( 2 0 0 7 ) .A c o m p a r i s o no ft h ee f f e c t so fimage-schema-basedi n s t r u c t i o nandt r a n s l a t i o n b a s e di n s t r u c t i o nont h ea c q u i s i t i o no fL2polysemousw o r d s .L anguageT e a c h i n gR e s e a r c h,11( 3 ),3 4 7 3 7 2 . S c h m i t t ,N .( 2 0 1 0 ) .R e s e a r c h i n gv o c a b u l a r y :A v o c a b u l a r yr e s e a r c hm a n u a l .B a s i n g s t o k e :P a l g r a v eM a c m i l l a n Yasuda,S .( 2 0 1 0 ) .Learningp h r a s a lverbsthroughconceptualmetaphors:A c a s eo f]apaneseEFLl e a r n e r s .TESOL. 2 8 9.
(13) 横1 1 古樹~ツ木真実. Q u a r t e r l y ,4 4 .2 5 0 2 7 3 . 荒川洋平・森山新 ( 2 0 0 9 ) .. ~わかる!日本語教師のための応用認知言語学」凡人社.. 今井隆夫 ( 2 0 1 0 ) . ~イメージで捉える感覚英丈法」開拓社. 今井むつみ(19 9 3 ) . '外国学習者の語葉学習の問題点:言葉の志味表象の見地から J ~教育心理学研究~ 4 1,2 4 3 2 5 3 . 上村俊彦 ( 2 0 1 1 ) . 'J3VSTの開発とその研究と教育への応用 J ~長崎県;女大学国際情報学部研究紀要 J 1 2,3 1 7 3 2 4 .. 岸学 ( 2 0 0 5 ) .. ~SPSS によるやさしい統計学」オーム社.. 杉森直樹 ( 2 0 1 1 ) . '多義語を用いた日本人英語学習者の語葉知識の測定について J ~第 37 回全国英語教育学会 111 形研究大会発 表予稿集~,. 3 3 4 3 3 5 .. 杉森直樹 ( 2 0 1 3 ) . 'WordNetを用いた英語多義語リストの構築 J ~.ÎT.命館註語文化研究~ 2 4 ( 4 ),1 7 1 1 8 2 . 竹内理・水本篤 ( 2 0 1 2 ) . ~外岡語教育研究ハンドブック」松柏社. 出中)克範 ( 2 0 0 4 ) . '基本語の意味のとらえ方. 基本動詞におけるコア理論の有効性. 出中茂範・佐藤芳明・阿部一 ( 2 0 0 6 ) . ~英語感覚が身に付く実践的指導 田中茂範・佐藤芳明・河原清志 ( 2 0 0 7 ) .. J ~H 本語教育~ 1 2 1,3 1 3 .. コアとチャンクの活用法」大修館書庖.. NHK出版.. ~イメージでわかる単語帳J. 2 0 1 0 ) . ~イメージでわかる単語帳 Part 2J NHK出版. 田巾茂範・佐藤芳明・河原清志 ( 田巾茂範・武田修一・川市才紀(編) ( 2 0 0 3 ) . 谷口一美 ( 2 0 0 3 ) . ~認知意味論の新展開. ~E ゲイト英和辞典」ベネッセコーポレーション.. メタファーとメトニミー. 」研究社.. 2 0 1 1 ). ' 応 片j認知言語学と語葉学宵:文法理論を英語教育に i 舌 片jする ( 2 1 J~大阪教育大学紀要 (l)J 人文科学 59(2) , 谷口一美 ( 辻幸夫(19 9 1 ) . 'カテゴリー化の能力と言語J ~言語~ 2 0 ( 1 , 同 4 6 5 3 . 山田祥一 ( 2 0 0 8 ) . '中守t校・高等学校のための英語前置詞教材研究 J ~北 j毎道教育大学紀要 J 5 8 ( 2 ),8 3 8 8 .. 添付資料 1 [ ma 均ε ] のコア・ミーニングのサブカテゴリー. │ I. 具体物を作る│ ①作る. Shemadeana p p l ep i e .. ② 用 意 す る :Pleasewaitt i l ltheroomi smade.. │ H. 物事を生み出す│. ③ ④. │E. 1needt omakesomemoney,s o1canbuynews k i s .. ・・・を生む. (ある行為)をする. Thenewhousemadeachangei nh i sl i f e s t y l e .. 目標に到達させる│. ⑤. (期日)に間に合う. Areyousureyoucanmaket h eopeningceremonya t9am?. ⑥. (ある数値に)至る. Threeands i xmakesn i n e .. │町. ・・・と判断する│. ⑦. │V. 1makethesumabout8 0d o l l a r s .. (と考える). ある状態にする│. ⑧. ・・・にする. ⑨. ・・・のように見せる. ⑩. Shemadehimhers e c r e t a r y .. に・・・させる. Hemakest h eheroar e a lsnobi nh i snewf i lm .. Thehotba 出 mademef e e ls og o o d .. [ g e t Jの コ ア ・ ミ ー ニ ン グ の サ ブ カ テ ゴ リ ー. │ I. 得る│. ① ②. 2 9 0. 手に入れる. 1gotsomemoney.. (病気などに)かかる. Hegotac o l dfromanotherstuden. t. 63-74..
(14) 語の意味カテゴリ一能力と多義語の話葉知識との関連性. ③. Thep o l i c eg o tt h es u s p e c. t. ④捕まえる. ⑤. │H. 1g o tt h eb o o k sfromt h el i b r a r y .. 取ってくる. Everybodye l s el a u g h e d,b u th ed i d n ' tg e tt h ej o k e .. わかる. なるようにする│ ⑥. ・・・の状態にする. ⑦. ・・・してもらう. │E. Ther a i ni sg e t t i n gt h ec u r t a i n swe. t 1g o tmyh a i rc u. t. させる│. ⑧. 1g o tmys o nt od oh i shomeworkb e f o r es u p p e r .. ・・・させる. [ t a k e J のコア・ミーニングのサブカテゴリー. │ I. あるところから何かを取る│. W i l lyout a k eag l a s sfromt h ec u p b o a r d ?. ①. (ものを)取る. ②. (人から)取り上げる. ③. 持ってくる. Thet h i e ft o o kabagfroma no l dl a d y ' sh a n d .. Het o o kh i se l e g a n c efromh i sm o t h e r .. ④. (数を)ヲ│くIfyout a k e3 7from1 0 0,youa r el e f tw i t h6 3 .. ⑤. (興味などを)引き出す. Het a k e sal o to fp r i d ei nh i sj o b .. │E. 何かを(手に)取る│ ⑥. 手に取る. Het o o kh i spenands t a r t e dw r i t i n g . L e tmet a k ey o u rb l o o dp r e s s u r e .. ⑦. (寸法などを)取る. ⑧. (例として)取り上げる. ⑨. (到達点に)連れて行く :Fathert a k e st h edogf o rawalkb e f o r eb r e a k f a s . t. │E. Takemyc a s ea sa ne x a m p l e .. 何かを自分のところに取り込む│. ⑩. 受け取る. ⑪摂取する. ⑫買う ⑬. Whow i l lt a k ef i r s tp r i z e ? Whyd o n ' tyout a k esomem e d i c i n e ?. G i v emeagoodb a r g a i n,andt h e nI ' l lt a k et h ec a r .. 専攻する・定期購読する, Myf a t h e rt a k e st h eNewYorkT i m e s .. ⑭. (忠告などを)受け入れる. Het o o kh i sf a t h e r ' sa d v i c e .. ⑮. (仕事などを)引き受ける. 1t o o kap a r t t i m ej o ba tt h es c h o o l l i b r a r y .. ⑮. (乗り物を)利用する. ⑮. (人・ことばを)受け止める. ⑬. [行為・動作] ・・・する. ⑩. (時間・労力などを)要する. ⑩. (場所を)取るItt h i ss e a tt a k e n ?. Doyout a k et h esubwayt owork? Hea l w a y st a k e st h e i rc o m p l i m e n t sh u m b l y . Let 'st a k eab r e a k . Themoviet o o k3h o u r s .. ※上記の添付資料の記述は,田中・武田・川出 ( 2 0 0 3 ) による rEゲイト英和辞典」に基づく。. (横山吉樹札幌校教授) (三ツ木真実北海道大学大学院生). 2 9 1.
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