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進路選択プロセスにおける中学生の意識構造

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Academic year: 2021

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(1)進路選択 プ ロセス にお け る中学 生 の意識 構 造 森. 永. 智. 子. る ⑤受験 「競争」 を所与 の現象 として捉 えてい る. ,. とい う五点である。 これ ら五つの知見 はそのまま問題. は じめ に. 1。. 点へ と変換 し,再 考 ,分 析す る。 目的 は,進 路選択 プ ロセス における中学生 の意識構造. 本稿 では,① ②③ の問題点,つ まり,中 学生の 日常 にコ ミッ トしてい ないのではないか,中 学生は高校 ラ. を明 らかにし,既 存 の研究が説明 してい る中学生 の受. ンクを把握 してい ないのではないか,ま た,中 学生 に. 験競争 の枠組 み とは異なる枠組みを提供する ことであ. とっての 「勉強」 と「受験」 との間にはた して連続性. る。. はあるのか,と い う立場 か ら考察 を加える。その際. 本稿 は,表 題 にある論文全体 の一部 である。全体 の. ,. ス にお ける中学生 の外 面 的行動が捉 え られて きた。 そ. 既成 の枠組 みにとらわれず ,中 学生 の 日常に焦点 をあ て,当 事者 の視点 か らアプローチ してゆ く。. こで は ヒエ ラル ヒー を中学 生 の受験競争 の枠組 み とし. 中学生 のパースペ クテイブを内領1か ら解釈す ること. て用 い てい る こ とに気 づ く。本研 究 で は, ミク ロな視. は価値あることだ と考 える。また,そ れが本稿 の意義. 点 か ら中学 生 の進路選択 プ ロセス にお け る意 識 を捉 え. である。. 既存 の研 究 で は,マ ク ロ な視点 か ら進路選択 プ ロセ. ようとす る。特 に,先 述 の ヒエ ラルヒーでは下層 と見 なされるものへ注 目す ることを重視す る。視点を変え. 2。. 調 査 の概 要. ることで,既 存 の研究枠組 み とは異なる枠組み も示唆 第 一 の調査 は,れ い な,ゆ か ,あ やか ,た け し, じ. することになると考 えるのである。 そのために,先 行研究 か ら得 られる知見 を問題点 と. ゅん じ,せ い こ (仮 名 )と い う 6名 の公立 中学生 (女. して と りあげる必要がある。先行研究か ら得 られた知. 4人 ,男 2人 )に 対 して ,1999年 度 と 2000年 度 に そ. 見 は①進路選択 プロセスにお ける意識 を追究するにあ. れぞれ継続 的 に 1年 間な い し 2年 間 にわた り行 った 聞. た り,中 学生の 日常 にコ ミッ トしてい ない ② 中学生. き取 り調査 で あ る (図. が高校 ラ ンクを把握 してい るとい うことが議論 の前提. 中学生 で あ る。 なお ,同 学 区 の 選抜 は単独 選抜 制度. になってい る ③勉強 と受験 との間に連続性 を認めて い る ④大人 ―教師 ・親 の存在が無視 された議論であ. に よる。. (進 路希望調査 )(夏 休 み前面 談 ). 1999.4. ↓ │れ ,ヽ. 1999。. ↓. 7. (最 終面談 1999. 12. ↓. ). 1)。. 彼 らは,H県 の. H学 区 の. イ ン タ ビュー調査 で は,中 学 生 の 日常 を描 きだす た (進 路希望調査 )(夏 休 み前面談 ). (受 験 ). 2000.3. 2000。. 4. ↓. ↓. 2000。 7. ↓. (最 終面談. ). 2000. 12. ↓. (受 験 2001.3 ↓ ). な. ゆ│か │あ │や. n. か. た│け │じ じ. ││ゆ. │ん :じ. せ│ヽ ヽこ. ↑. ↑ 2000。. 4. 2000。 7. (進 路希望調査 )(夏 休 み前面談 ). 図. 1. ↑ 2000。. 12. (最 終面談 ). ↑ 2001.3 (受 験 ).

(2) 甲南女子大学大学 院論集 第 2号. 52. め に,多 くは一 問一 答形式 を とらず ,会 話 の流 れの 中. 人間科学研 究編 (2004年 3月. ). 表 1 各高校 のだいたいの順位 は知 ってい ますか ? %. にある彼 らの受験 や勉 強 へ の語 りを記述 した。 そ うす 中学 2年 生. る こ とで ,彼 らの 日常 にお ける受験 や勉 強 に対す る実. 中学 3年 生. 直 な思 い が浮 き彫 りにな る と考 えたか らであ るcそ こ. 知 って い る. 40.0. 55。 6. か ら捉 えた中学生 の勉 強観 や受験観 は,彼 らの 日常生. 知 らな し. 57.1. 44。 4. 活 の 中で , どの よ うに位置付 け られ るのか も分 か るc. 無. 100.0. 100.0. 回. 答. 今 回 は, イ ンフ ォーマ ル な イ ンタビュー を実施 して い る。 第 二 の調 査 は ,同 学 区 の. H市 立 K中 学 校 の 中学 2. 年 生 70名 と 3年 生 63名 を対 象 とした 質問紙調 査 で あ る。 これ は,2000年 10月 に実施 した もので あ る。 第 三の調査 は,イ ンタビュー調 査 の 対 象 とな つた 6 人 の 中学生 の親 と,6人 以 外 の 中学 生 を子 に持 つ 親 ヘ の イ ン タビューで あ るc中 学教 師へ の イ ンタビュー も 含 む。. 表 2. 知 ってい る理 由 塾 で教 えて もらった お姉 ち ゃん/お 兄 ちゃん/お 母 さん/親 が教 えて く れた 人か ら聞 い た 学校 で は言 わ な いが塾 で教 えて もらう 塾 で 冊子/資 料 を もらったか ら 知 らな い理 由. 3。. きい た こ とが な し 興味が な い か ら 矢日る 方,去 が ない. 議 論 の前提. 「自 己 選 抜」 (苅 谷 1986)や 「 自 己 評 価」 (耳 塚 1986),「 事前選抜」 (竹 内 1995)と い う言葉が先行研. ンクを塾や親,兄 や姉 ,周 囲の人か ら聞いた り,塾 で. 究では使 われてい るc自 己の成績 によつて 自らをヒエ. 冊子 をもらってい る。特 に注 目すべ きは「学校 では言. ラルヒーの中に位置付け,ま た成績 によって自ら進路. わないが,塾 で教 えて もらう」 とい う回答 であ る。. 選択す る とい うことで あ る。 た とえば竹 内 の説明 で. 「学校 では言 わない」 とい うことに関 して,中 学校. は,「 模擬 テス トなどで偏差値 55と 知 らされた生徒 は. 側 としては,4月 か ら 12月 までは「校風 とか部活 と. 偏差値 68の 学校 は手 が届 かない と思 って あ きらめる. か,自 分 に合 った高校選べ」 (中 学教 師)と い う指導. が,学 校 ラ ンクが細 か い か ら,努 力す れば偏差値 60. をしている。 この間,中 学校側 は,選 抜制度 の内容 を. の学校 にい ける と考 える よ うになる」 とあ る. 内. 情幸 及として公開する こともなければ,高 校 ラ ンクを公. 1995,96)。 事前 i翌 抜 の様相 である。 これ らは,中 学. 開す ることもない。最終的 には単独選抜制度下では輪. 生が偏差値 を把握 し,高 校 ラ ンクを把握 してい ること. 切 り指導 となる。 この ときです ら,高 校 ラ ンクは公 開. を前提 としてい なければで きない説明である。. され な い。「A高 校 は どうや ?」 な ど と勧 め るだ け. (竹. 自らの偏差値が把握で き,高 校 ラ ンクを知 っていた. で,た とえば「君 の偏差値 は 50だ か ら偏差値 50の ラ. とす るな らば,竹 内 の説明 は疑 い ようもない。 しか. ンクの A高 校 に しなさい」 な どと成績 と高校 ラ ンク. し,調 査時点での 2000年 ではすで に偏差値 は廃止 さ. を関連付けたような発言 もない とい うことであ る。輪. れ,彼 らは自分の偏差値 を知る ことはで きなか ったの. 切 り指導 となることに対 し,中 学教師 としては「制度. である。余談 であるが,質 問紙調査 で偏差値 とい う単 語 を表記 して い るこ とに,中 学 生 は「偏差値 ってな. がかわ らんことには,し ゃあない」 (中 学教 師)の で. に ?」 などと逆 に質問紙 に書 いていた。 それで は,自 らの偏差値 を知 りえない中学生 は,学 巴握 してい るだろうか。 校 ラ ンクをどれほど才. ある。 この ように,中 学生は,偏 差値 はおろか,最 後 まで 高校 ラ ンクを把握 しない まま受験 に臨むことになる。 この ことは,高 校 ラ ンクを把握 してい るとい う前提 で. 表 1は 「各高校 のだいたいの順位 を知 ってい ます. なければ展開で きなかった先行研究 の議論 とは前提が. か ?」 とい う問い に対す る回答 である。中学三年生で. 大 きく異なる。 まずは,「 すべ ての 中学生が高校 ラ ン. さえも,2000年 10月 の時点 で,半 数近 くが高校 ラ ン. クを把握で きてい るわけではない」 とい うところか ら. クを「知 らない」 としている。その理由は 「聞いたこ. 議論 を出発 させる必要がある。. とがないか ら」「興味がないか ら」「矢日る方1去 がないか ら」 である。「知 っている」 と回答 した者 は,高 校 ラ.

(3) 森永. 智子 :進 路選択 プロセスにお ける中学生 の意識構造. 占め られて い る。彼 らの意識 に勉 強 の領域 がせ り出 し 4。. て くるの は,せ いぜ い テ ス ト前 で あ る。 テス トが終 わ. 日常 の 諸 相. れば ,そ れは姿 をひそめ る。. テス トと無関係 の期間である無勉強期間は,楽 しみ. 中学生 はその 日常 にお い て ,勉 強や受験 を どの よ う. の領域 が 占領す る。話題 の 中心 は専 ら「好 きな こと」. に位 置 づ け て い るか 。彼 らの 日常 全 体 を見 渡 しなが ら,検 証す る。 また ,勉 強や受験 へ の意味付 けを どの. 「楽 しい こと」 である。そのなかで もアイ ドル に関す. よ うにな して い るのか も合 わせ て 明 らか にす る。 中学. ることが男女 ともに多 い。その他 ,釣 りな どの趣味. 三 年次 にお ける中学生 の 日常 を大 まか に表す と表 3の. 女子 であれば好 きな異性 の話題 が多 かった。. ,. よ うになった。表 4は ,中 学 生 の 自然 な語 りを重視 し. 本稿 の基本的姿勢 は,中 学生の 日常 を総括的に見た. た イ ンタビュ ー の結果 か ら,テ ス トの ス ケジ ュール を. 上で,進 路選択 プロセスにお ける中学生 の勉強や受験. 基準 に して ,中 学 生 の 日常 を,意 識 レベ ル と実 生 活 レ. に対する意識 を探 る必 要があるとい うものである。. ベ ル に分 け た もので あ る。意識 レベ ルは勉 強 の領域 と. 先行研究 では,彼 らの勉強の領域 の部分 のみを目覚. 楽 しみ の領域 に分 かれ る。勉 強 の領域 とは ,中 学 生が. めさせてい る状態 にした上で勉強の領域 だけに焦点 を. 勉 強 の こ とを話題す る こ とか ら勉 強 に対す る意 識 の表. 当 ててい た。 た とえば,橋 爪は,「 受験 や勉 強 に関す. れ とし,楽 しみの領域 は,自 分 の好 きな こ とを話題 に. る中学生 の手記」 を分析す るのみで受験観 や勉強観 も. す るこ とか ら楽 しい こ とに対す る意識 の表 れ として捉. 読 み 取 れ る よ う に して い た し. えた ものであ る。実生活 レベ ルで は,テ ス ト前 一週 間. 爪 1985),耳 塚 は. (橋. 「中学生 の成績」 を進路意識 に関連付 けただけで 中学 生 の進路選択意識 を探 ろ う とした し. の勉 強期 間 とテス ト前 一 週 間以外 の無勉 強期 間 に分 け. (耳 塚. 1986),苅. た。勉 強期 間 とはテ ス ト勉 強 へ 向 か う期 間 で あ り,無 勉 強期 間 とはテス ト勉 強 を しない期 間 で あ る。 テ ス ト. 表 4. 勉 強 に限 るの は,彼 らのす る勉 強 とはその ほ とん どが. 実. テ ス ト勉 強 だか らであ る。. 生. テ ス ト前 一 週 間. こ とに 中学 生 は,こ ち らか ら話 題 を提 供 しな い 限. テス ト. 意. 勉強 期間. 識. の 〕 Strの 勉 強 領. テ ス ト終 了後 ∼ 無勉 強 楽 しみの領域 次 回テ ス ト前 一 週 間 期 間. り,勉 強 や受験 の話 をす る こ とはなか った。勉 強 の話 題 が 自然 な形 で盛 り込 まれ るのは,テ ス ト前 で あ る。 そ れ はテス トが迫 る につ れ て ,増 えて くる (表. 活. テス ト前 一週 間. 4)。. テス ト. テ ス ト前 は勉 強 の領域 と楽 しみの領域 は共存す る。. 勉強 期間. の ≧ Strの 強 領 勉. 域 領 域 領. テ ス ト終了後 ∼ 無勉 強 楽 しみの領域 次 回テ ス ト前 一 週 間 期 間. 中学生 の 日常 にお ける意識 の大半 は楽 しみの領域 に 表 3. 学校行事. 中. 学. 進路希望調査. 形式 だけ (適 当 に書 い て出 した. 一 学期 中間テ ス ト …… このテス トか ら内 申書 の対象 になる. 内 申書 の対象 になる こ とは中学校 か らは知 らされ ない 。 内 申書 の こ とを 知 らない者 もい る。取 り組 み方 は こ れ まで通 り. 一 学期期 末 テ ス ト 7月 三 者面談 ……進路 希望確認. ). 親 に「チ クラレル」場 と捉 える者 も 多 く,進 路 について真剣 に考 える場 だ とは捉 えられない. 面談 が 終 わ る と安心 し心置 きな く最 部活動 引退 ……受験勉 強に励 むためという名 目 後 の大会 に精 を出す. 生. 学校側 ・親. ). ). 〈親 〉 ・一 泊 の旅行 さえ受験 だか らと控 える ・「勉 強 しな さ い」 を 連発 ・塾 。家庭教 師 の手配 ・周 りが気 になる. 4教 科 が な くな り喜 ぶ 宿題 が終 わ. 工 学期 中間テ ス ト・期 末 テ ス ト. これ まで通 りの取 り組 み. 12月 三 者面談 ……受験校決定. イ ンセ ンテ イブ探 し 受験 を意識する 滑 り止め高校合格 で安心 公立 に落 ちる こ とへ の恐怖感 と高校 会話 の 中に以前 よりも多 生 になるこ とへ の期待 (3月 く受験 や高校 についての. らせ られ な い 受験勉 強 とい う言葉 は使 うが実感 が伴 わない 学校行事 を楽 しむ/面 倒 が る. ). (中. 受験 に対 す る意識 が希薄 中 3に な った時点 で受 験 を意識 会話 の 中心 ・ アイ ドル 子 どもに受験 を意識 さ ・好 きな子 せ ようとす る ・音瞬舌 〈教 師 〉 =学 校行事 。悪事 ・志望校 につい ては励 ・ テ レビ ます形 で 。実 カ テ ス トの 追 加 。家族 など (業 者 テ ス トで は な く. 夏休 み ……受験勉 強 宿題 5教 科 の み 4 教科 はな くなる 体育大会 。文化祭. 1月 ∼3月 ……私立 入試 。 公 立 入試. 大人. ■る 話題が もりこまオ.

(4) 甲南女子大学大学 院論集 第 2号. 谷 も同様 で あ る (苅 谷. 人間科学研究編 (2004年 3月. ). これ らの論者 に共通す るの は,勉 強す る,目 指す さ. 1986)。. これ は単 に,中 学生 の 日常 を見ず に,無 理 や り勉 強. きには受験 が あ る とい う考 え方 で ある。. の領域 のみ を引 き出 した にす ぎない。彼 らの勉 強 の領. しか し,実 際 にあ る教育現場 に立 って観察 してみ る. 域 の部分 のみ に着 目 して い るので は,本 質的 に彼 らの. と,必 ず しも受験 を想定 した勉 強 を して い るので はな. 進路選択 プ ロセス にお ける意識 を探 れた とは言 い が た. い こ とが 分 か って くる。 そ こで ,中 学生 の勉 強 を受験. い 。 そ こで ,本 調査 で は ,中 学生 の 日常 の全体 を,自. との 関連性 で ばか りで議論 で きないの で はないか と考. 然 の ままに捉 え よ う と したので あ る。. えるのであ る。 通塾 して い るか らとい って勉 強 して い る とは言 いが. 中学 生 の 日常 の 中 か ら,会 話 の 中心 となる話題 を. ,. 中学生 の そ の時点 にお ける興味 の 中心 として捉 える こ. た く,ま た学習時 間がその まま勉 強 して い る時 間 だ と. とで ,中 学 三 年次 の一 年 間 の受験 に至 るまでの プ ロセ. も言 い が た い 。彼 らが どの よ うな勉 強 を して い るのか. ス を三 つ に分 け る こ とにす る。. も知 ってお くの もよかろ う。そ のため に も,中 学 生が. A:4月 か ら 12月. 勉 強す る とい う こ とに関 しては一 度 当事者 の 内面 か ら. 三 者面談. B:12月 三者面談 か ら 3月 公立高校 入試 二 週 間前 C三. そ の意味 を解釈 す る必 要が あるのでは ない だろ うか。. 特 に注 目すべ きは,中 学生が,勉 強について, どの. 公立高校 入試 二 週 間前 か ら 3月 公立高校 入試後. よ うに して どの よ うな意味 を見出す のか とい う こと 5。. と,そ こか ら導 き出 した中学生 の勉強観が,旧 来 の議. 中学 生 の勉 強 観. 論 のように受験 と関連付 けられるものか どうか とい う ここで は ,中 学生 の 日常 にお ける勉 強へ の姿勢 を追. ことである。. 究す る。 目的 は ,中 学生 の勉 強が ,受 験 を見据 えた勉 強 か否 か とい う こ とを知 るこ とで あ る。. 1. 5…. 受験競争 を説 明す る議論 の 中 で は,勉 強 は受験 と関 連付 け られて い た。. 場当たり的勉強①. 4月 か ら 12月 の三 者面談が行 われるまでの期 間 A で は,中 学 生 の勉 強 とはテス ト勉 強 を意味す る。. た とえば ,橋 爪 は,中 学 生が 彼 らな りの論理 で もっ. テ ス トはほぼ毎 月実施 されては い る。 テ ス トー 週 間. て 「受験 体 制 =学 歴社会 」 (橋 爪 1985)ヘ ア ジ ヤ ス ト. 前 になれば ,テ ス トの 出題範 囲が公 開 され ,職 員室 ヘ. す る姿 を とらえて い る。 そ の 中 で この よ うな まとめが. の 入室禁止 ,部 活動 の停止 が 義務付 け られ る。学校佃1. あ る。「『なぜ. が テス トヘ の準備態勢 を整 えて い るので あ る。. (こ. ん な)勉 強す るの か。』 この 疑 間 に. 答 える こ とは,自 分 を と りま き,自 分 が 直面す る状 況. 一 方 ,中 学 生が テス トの準備態勢 に入 り,勉 強 し始. を, ど う とらえるか とい う こ とで あ る。そ の状 況 をわ. め るのは,多 く見積 もって もせ いぜ い テス ト三 日前 で. れ わ れ は一 括 して ,受 験 体 制 と呼 んで きた (後 略 )」. あ る。そ して ,テ ス トが 終 わ る と勉 強 も終 わる。. (橋 爪 1985,134)。. 中学 生が勉 強す る こ との意 味 を. ,. 受験体制 と関連付 け よ う とす るのであ る。. あや か の 社 会 の勉 強 法 は ,ノ ー トや教 科 書 を参 考 に,別 の紙 にオ リジナ ルの ノー トを作 る こ とで ある。. また竹 内 は,議 論 の 中 で ,中 学 生 の受験観 を取 り上. そ の オ リジナ ル ノー トの文字 は,鉛 筆 の黒 と赤 ペ ンと. げて い るわけで はない が ,中 学生が勉 強す る こ とにつ. で書 かれてお り,赤 で書 かれた部分 は赤 の 下敷 きで隠. い ての説明 は受験 との 関連 に限定 して説明 して い る。. せ ば消 える とい う システム にな ってい た。「一 番 よ う. た とえば ,頑 張 リズム とい う日本 の学習文化 の存続 に. 覚 えれ る」方法 だ とい う。 ノー トとい って もルーズ リ. つ い て ,「 日本 の傾斜 的 な学校 ラ ン ク とい う選抜 構 造. ー フ 1∼ 2枚 程度 に まとめ た もので ,「 こない して (折. との 関 連 で 妥 当 性 が 得 られ る」 と して い る (竹 内. って )ポ ケ ッ トに入れて ,な んや ったっけな って (思. 1995,99)。 「 もう少 し頑 張 れば ,C高 校 には行 けるだ. っ た と き に),し ゃ っ て (取 り出 して)見 る ね ん」. ろ う」「 もう少 し頑張 りな さい」 とい った進路 指 導 で. と,ポ ー タブルで , しか も ノー トとしての体裁 を気 に. の助 言 も,「 頑張 ろ う」 とい う自覚 も,傾 斜 式 選抜 シ. す る必 要 の な い ものだ った。. ス テ ム に よって信憑性 を もつ と説明 した。 竹 内 の議論. 「中 1の 冬 ぐらいか らや りだ した」 この勉強法 は. で注 目 した いの は,内 容 で はない 。頑張 って勉 強 しな. 「友達がや っ とってめ っ ち ゃ覚 えれ る って言 われて. ,. 分 も)や った らなんか よかった」 ので ある。中学. さい ,頑 張 って勉 強 しようとい う とい う意識 ,つ ま り. (自. 頑張 リズムの学習文化 の 説明 を受験 の場面 のみ に限 っ. 一年生の冬 か ら始めたオリジナルノー トだが,あ やか. た とい う こ とに着 目 したのであ る。. の几帳面な性格上 ,テ ス ト用 だけに書 いたさほど美 し.

(5) 森永. 智子 :進 路選択 プ ロセス にお ける中学生 の意識構造. くない字 の折れ曲が った紙 を後 々のために役立 てると い うのは許せ なか ったよ うだ。「 もったい ない,せ っ か く書 い たか らお い とけ ば いいの に」 と言 って も ,. 「汚 いか ら嫌や。い るときになった らまた書 く」 とい うのだった。中学一年生か らのオリジナルノー トは一. 55. テス トの直前 になると,た け しは「こんなん覚 えて (テ. ス トに)で えへ んかった ら最悪やでなあ. と言. !」. う。「別 に今回出な くって もまた どつかで出るか もし れへ んやん ?」 との問い にも「知 らんわそんなん」 と 取 り合 わない。「ようヤマがあた った とか言 うやつ お るやん。おれ,い っつ も外 しとうもん。無駄や って」. つ も残 してい なか った。 めに,結 果的 には社会のオリジナルノー トの有無 は関. と山を当 て よ う とも しない。せ つか く「ヤマ あた っ た !思 て, よつしゃ―思 て書 い たらちゃうかった」 と. 係 なか った。 しか し,あ やかには,三 年弱分 のテス ト. 山を当てることに積極的 になれないのだった。. あやか は最終的には英語科 の推薦入試 を受験 したた. 毎 のオリジナルノー トを残 しておけば,後 々のために. たけ しは日前 のテス トだけには考 えが及ぶが,そ れ. もしくは受験勉強で役 立たつ とい う意識 はなかったの である。彼女 はその時その時のテス トの結果が よけれ. 以後 のテス トはその ときにならなければ考 えない。そ の うえ,テ ス トの度 に「ヤマを外 して」 い る 自分 の実. ば良かったのだ。大変熱心 にノー トをこ しらえてはい. 績 か ら,自 分 の勉強時間 を出題 されない ところばか り. たが,後 のテス ト,ま た,受 験 を想定 しての勉強では. を勉強する「無駄」 な時間 として捉 えてい る。 また. なか った。. せ っか くヤマがあた った として も,「 よっ しゃ―思 つ. 社会 のテス トの出題 につい て「どこ覚 えた らええ ん ?」. と聞 くせ いこに,私 は「私 もヤマあてに自信 な. いか らなあ,だ か ら全部覚えてたけ どなあ。覚えたう. ,. て書 いたらちゃうかった」 とい うように,課 題か ら一 言一句違 えず に出題 されてい ないテス トには,答 えの み しか覚 えてい ない彼 には対応 で きないのである。. ちの どっかは出るか ら。 」 などと答 えてい た。せ い こ. 暗記科 目について「どうや ったら覚 えれるん」 とい. は「全 部覚 える」 とい う こ とに不満足感 を示 した。. うのは暗記 の苦手 な中学生 の よ く言 う ところであ る. 「こん なん全部 覚 え られへ んて !」 とい う理 由 で あ. が, じゅん じも例外 ではない。「むか し行 ってた塾 の. る。覚 えなければならない量 に対 し,出 題量が少ない. 先生が言 うてたけど,時 間かけて覚 えた ものは忘 れに くい らしい し,時 間かけて覚 えたら ?」 とい う提案 を. ことに納得 が いかない ようで,「 こん ない っぱい覚 え て もな・・・」 と消極的なのだった。. してみ た ものの,却 下 され た。「そ ん な時 間 な い っ. 強 しようとする。それは社会 に限 らず他教科 について. て。忘 れて もええか らなんかええや り方ないん ?」 と 言 うのだった。「チェックペ ンで線引い て緑 の下敷 き. も言える ことであ った。 このことか らも当然受験 のこ. で隠す ぐらい しか,思 いつかんけど」 とい う提案 は し. とは考慮 に入れてい ないことが分かる。. ぶ しぶ受け入 れた。. せいこは 日前 のテス トのことのみを考 えてテス ト勉. 4月 の実カ テス トは 1,2年 生の復習が 5科 目のテス. じゅん じの「忘れて もええ」 とい うことばか らは目. ト範囲 になっていた。 とはいって も,春 休 みの課題 か らほとんど出題 される ことになっている。そのためテ. 前 のテス トしか意識 にない とい うことが分 かる。 テス トが終了す れば,テ ス トヘ の意識 は急激 に薄. ス ト勉強 の手段 は,た とえ数学 であって も,暗 記ある. れ,返 却後 の一喜一憂 はあるものの,勉 強 に対す る対. のみである。そのことは,れ いなも十分承知 の上であ. 策 は何 もない。 せ いこはテス トの結果が悪ければ「最悪 ―」 と嘆 く. った。 しか しテス ト三 日前では,暗 記す る量は莫大す ぎ ,. しテス トの結果が 良ければ喜ぶ。が,ど ちらの場合 に. 丸暗記 で きる可能性 は皆無 に近 い。れい なは「ああ. も尾 をひかない。数学 ではテス ト直 しをすることを. もう棄てた !ど こ出るか分か らん じ !ど うせ覚えて も. 義務 づ け られて い る とい うが 「や らなあかんねんけ. 忘 れてまうし,休 み時間にここらへ んば―って読 んど. ど,や ってない」。理 由 は「出 さんでええか ら. こ」 とい うように,自 分 の勉強のペースがテス トに間. 義務がないか ら)」 だった。. ,. に合わなければその時点 で勉強 をやめて しま う。「は よ答 え写 してまお」 とテス ト後 に提出義務 のある課題 の解答 を写す ことへ集中力 を高める。. ,. (提. 出. れ い なが 「 (テ ス トの)間 違 い 直 し?し て な い し」 とい う理由は「テ ンシ ョン下が るか ら」 だった。「終 わったんやからもうええ し」 とい うのであ った。. れい なは明 日のテス トには間に合わないか もしれな. 中学生 は 日前 に迫れば,テ ス トを具体的事象 として. いが,今 後 のテス ト, もしくは受験で役立 つか もしれ. 認知す る。言 い換 えれば,テ ス トがある ことが分 かっ てい て も,そ のテス トが 日前 に迫 った もので なけれ. ない とい う発想 をしない。.

(6) 人間科学研究編 (2004年 3月. ). 私 は ,中 学 生 が テ ス トヘ 臨 む 姿 か ら一 つ の 共 通 点 を. ば ,抽 象的 な事物 にす ぎない。 日前 に迫 る時期 は ,こ の場 合 は ,学 校側 か らテ ス トー 週 間前 だ と宣言 されて. 見 出 した cイ ンセ ンテ ィブの 効 用 で あ る 。. か らの こ とを指す。. 5-2 場当たり的勉強② 一受験直前の新勉強法. テ ス トヘ の認識 を抽 象的 な ものか ら具 体的 な ものヘ と変化 させ た とき,彼 らの意識 に勉 強 の領域 が は り出. 12月 三者面談後 か ら 3月 の公立高校入試 まで の期. す。 テス ト実施 三 日前 ともなる とその領域 は広 くもな. 間 B tt Cで は,中 学生の勉 強 は受験勉強 を意味す る。. るcま た,勉 強 とい う行為 を開始す るのは,多 くは三. この期間 は期 間 Aに おける勉強 =点 を線 で結 ぶ作 業 ,つ まりこれ までの復習,総 まとめではな く,新 た. 日前 となる。. な勉強 を始めるとい う捉 え方 の方が相応 しいであろう. 勉 強 ,つ ま リテ ス ト勉 強 を点 (T)に た とえ る と. ,. そ の 点 は Aの 期 間 に お い て は 点 の ま まで あ る (図 2)。. (図 2)。. この 時期 になる と皆 が過去 問題 集 に飛 びつ. く。解けない問題 をこれ までの教科書 や ノー トを見直. 中学生 はそ の点 を,単 に時 間 とともにや り過 ご し. す作業や,復 習 ,基 礎 を固めるとい う作業 をするので. て い るに過 ぎないc. はな く,全 く新 しい もの として取 り組 もうとする。. さらに,点 は線 で つ ながれ る こ とはない cつ ま り ,. 2月 上旬 ,私 立入試 を目前 に して,た け しは数学 の. 今 回 のテス トを次 回以 降 のテス トに役 立 て ようとは し. 二次方程式 に悩 んでいた。. ない c勉 強 した こ とが次 回以 降 のテス ト, さらに は受. 二次方程式 の文章題 を解 いてい たたけ しは「二次方. 験 で必 要 となるであろ う ことは考 えないの であ る。彼 らは 日前 にあるテ ス トだけに しか反応 しない 。 テス ト. 程式 って何や っ !」 と二次方程式 自体忘 れて しまって. の都度 ,そ の場 限 りの勉 強 をや りす ごす ので ある。. い たc「 どっか ら xと. か らん」 と,当 然 のことなが ら解 き方 も分か らない。. せ っか く覚 えた もの は,テ ス ト後 ,「 忘 れて もた ―」 です まされ ,そ の 回 のテ ス トの幕 を下 ろす c多 くは. Yが 湧 い て くんねん。 わ け わ. 教科書 を使 って説明 しようとした ところ「 (教 科書 を. ). ,. テ ス ト返 却 後 の復 習 や テ ス トの 直 しをす る こ と もな. ほか したで」 と言 った。驚 く私 に「(教 科書 な ど)も. い。. うい らんやん」 と言 った。 たけ しは,「 これ全部や っ たらまあええやろ」 と,母 親 の与 えた赤本. そ の 後 ,次 回 のテス トー 週 間前 まで は無勉 強期 間 と. (過 去問題. なる。意識 の面 で も,楽 しみ の領域が広 く占め るので. 集 )だ けで受験勉強 をしようとしていたのである。受. あ るc. 験 に必要なものはその赤本であ り,こ れまで使 って き た教科書 は「 もうい らん」 とい う判断に至 り,捨 てて. 中学生 に してみれば ,テ ス トがあ るか ら勉 強す るの. しまっていたのである。. であ って ,そ れ以上 の意味付 けはない っ従 って ,テ ス トが なければ勉 強 しない 。 テ ス トが あるか らす る勉 強. 他 の者 は教科書 こそ捨ては しないが,皆 一様 に過去. とは ,場 当 た り的 な勉 強 ,つ ま りそ のテス トの ためだ. 問題集 に取 り組 む。 これ まで学習 して きたものに手 を. け の勉 強 で あ り,受 験 を見据 えた勉 強 ではない 。 中学. 出す ことはない。過去問題集 自体が これ まで学習 して. 生 に とっては一 回一 回 のテス トが ゴールで あ る。 テ ス. きたもので成 り立 っていることになるのだが,彼 らに. ト勉 強 とは ゴールす るための最善 の手段 であ る。. は,過 去問題集 を仕 上 げる ことこそが受験勉 強 で あ る。そ してそれは受験 生 特有 の勉強 で あ り,12月 三. 中学 生 が勉 強 す る と きには,「 テ ス トが あ るか ら」 とい う動機付 けが あ る。 しか し,い わば これは 当然 の. 者面談後つ まり冬休 みか ら始 める新 たな勉強 として捉. 行為 を もた ら して い るだけであ って ,そ れ は決 して積. えられる。 あやか も冬休みか らは過去 問題集 のみに取 り組 みは. 極 的 な勉 強 を導 くもので はない 。. T(無 勉強期 間. T(無 勉強期 間 ). ). テ ス ト3日 前. テス ト. テ ス ト3日 前. テス ト. テ ス ト3日 前. A T. T. テス ト. 入学試験 ↓. 各 テス ト ↓ 期間. T. T. T. T. T. I期. 間. B+C. TT. 新 しい 勉 強. ― 一 一 一 場 当 た り的勉 強 図 2.

(7) 森永. 智子 :進 路選択 プロセスにお ける中学生 の意識構造. 57. 回 もした ら合格 で き. 三 日前 にテス ト勉強 を取 り組みは じめるとい うことは. るんやろ ?」 と大変返事 に窮す る質問 を投 げかけて く 去問. ないの だろ う。 しか し,繰 り返す が ,Aの 期 間 での 勉強 を手繰 り寄せることはな く,入 学試験 とい う一通. らず ― っとや っとった らえ. 過点 を過去問題集 とい う勉強法 によつてや りす ごそう. じめる。「これ. (過 去問題集 )何. ることもしば しばだ った。「そんな ら,こ れ 題集)1年. (生. のころ)か. (過. えんちゃうん」 とい う考え方 につ ながるのである。「1 年生か ら 3年 生 まで勉強 して ったか らこれ 集)が 解 けるねんで ?1年 生 の時 に これ. とする一律 の場当 た り的勉強なのである。. (過 去問題. (因. 数分解. ). 見 て もどうしたらええかわか らへ んやん ?」 と言 うと. 5-3 場 当 た り的勉 強③ 一インセ ンテ ィブリとモチ ベ ー ション〕の結合がもたらす積極的勉強. 「その時 に,こ うや ってや った らええんや って分 かれ. ここでは,テ ス ト勉強 に積極的意味付 けをす るため. ばええやん」 と言 うのであ る。 つ まりあやかの言 い たい ことは,1年 生か ら 3年 生. のインセンティブと勉強す ることへ のモチベー シ ョン. の課程 に従 って学習 をしてい るよりは,過 去問題集 の. れい なは,新 学期 の席替 えで同 じ班 になった男子 を. の二つのキー ワー ドを用 いて説明す る。. 問題 を見てその都度解 き方 を理解す ればよいのではな. 好 きにな った。 自分 は彼 に「あ ほや思 われた くない」. かったのか とい うことであ った。. と一学期 の中間テス ト前 の勉強 は「頑張 るっ !」 のだ. 比較的成績 の良いゆか も,こ れまで学習 して きたも. った。. のに手 を出す ことはなかった。いわ く「そんないっぱ. ここでは,れ い なのイ ンセンテ イブは好 きな子か ら. いで きひん」か らである。他の者 とは違 っているとこ. 良 く思われ るとい うことであ り,そ のためにモチベー. ろは,「 去年 これで とったか ら多分 (今 年 は)で えヘ. シ ョンがアップ してい ると考 えられる。. ん」 とい うように作戦 を練 るところである。. れい なは夏休み前 の「期末 テス トを頑張 ったら」夏 休 みに大阪で行 われるアイ ドルの「 コンサ ー トヘ行 っ. これ までの勉強 は多す ぎるゆえに,効 率 よ く受験 の. て もええって」親 か ら言 われてい た。大阪 に行ける上. ための勉強に励む,そ れが過去問題集なのである。 一年生か ら三年生 までの勉強 は量が多す ぎる。 しか. に,好 きなアイ ドルの コンサ ー トに行 って もよい とい. も修得 して きてい ない。 とす る と,12月 か ら 3月 と い う短期間で取 り戻す のは不可能である。そ こで,そ. うなかなかないチ ャ ンスで あ ることを悟 り,「 これ逃 したらもう無理」だ と,勉 強へ のモチベー シ ョンが あ. れ らは別 の もの として置 いてお き,過 去問題集 を役立. がるのであ った。. てる。過去問題集 は三年間の学習内容 を大変 コンパ ク. この ときのれい なにとって,勉 強へ のモチベー シ ョ. トに集約 して くれた優 れ ものである。そのため効率 よ. ンをあげたイ ンセ ンテ ィブはアイ ドルの コンサ ー トで. く,受 験 のためだけの勉強 に励 むことがで きるのであ. あ った。. る。 彼 らは この一 品 のみで受験 に臨 もうとす るので あ. ゆか も,れ い なと同様 ,好 きなアイ ドルの コンサ ー トが イ ンセ ンテ イブとな り,モ チベ ーシ ョンアップに. る。過去問題集 とは言え,こ れまでのや り直 し,復 習. つ なが っていた。夏休 み前 の期末 テス トの こ とで あ. といった捉 え方ではない。忘 れて しまった単元 も. る。親 か らは五科 目の合計点が 450点 を超えていれば. 「新 たに学習す る」 ので ある。彼 らは,一 年 生か ら三. コンサ ー トに行 って もよい とい うことであ った。彼女. 年 生 まで に蓄積 した学習 は別個 の もの として扱 うた め,Aの 期 間での勉 強 は未 だ点 の ままである。それ. のこれまでの成績が 430点 台が多 かったために,親 に してみれば,無 理な設定 をして,コ ンサ ー トヘ行 くの. に代 わって彼 らは過去問題集 とい う新 たな取 り組 みを. を阻 もうとしてい たのだった。あ とで「480ぐ らい言. してい るとい えよう。. う とけば よかった思 ってね。電車賃 もや らなあかん し,大 阪行 くか ら服買 うて言 う し,ほ んまに・・・」. ,. 3月 の公立高校入学試験 こそが具体的事象 として認. 識 され,入 学試験 のためのテス ト勉強 をしてい るとい うことで,Aの 期間でい う勉強 と共通 してい る。. と言 っていたのだった。 テス ト前 は「頑張 らなあかんのに,寝 てまう」 とゆ. ては,入 学試験 も一連 の点 の一部 であ り,点 の規模が. かは焦 っていた。「頑張 らなあかん」 目的 と焦 りの理 由は「こんなんやったら (親 か らコンサ ー トに)行 っ. 大 きい とい うことで相違点があるとい うことである。. たらあかん言 われる」 ことであ った。. 以上のことか ら考 えられる こととは,中 学生にとっ. つ まリテス トの規模が大 きい とい うことだ。 そ うで あ るために,Aの 期 間でのテス トの よ うに. テス トー 日目,三 科 目を終 えた時点で,得 意 の英語 で ミスを犯 した ことを嘆 き,「 最悪 ∼」 と落胆 した ま.

(8) 甲南女 子大学大学 院論集 第 2号. 人間科学研究編 (2004年 3月. ). まで い た。「 まだ六科 目残 って るや ん。あ との 科 目頑. イ ンセ ンテ ィブに よるモチ ベ ー シ ョンの ア ップが 図. 張 った ら合 計 点 で取 り戻せ る って」 との 言 葉 に,「 う. れた と して も,成 績 に表 れ ない場合 も多 々 あ る。 しか. !(コ ンサ ー トで )翔 君 に会 う !」 と気 を取. しここではテス トの結果 は 関係 ない 。 中学生 が ,イ ン. り直す こ ともで きた。落胆 を発 奮 に変 えるの も,励 ま. セ ンテ ィブの作用 を介 して ,や って も意味 の なか った. しの 言 葉 で は な く,コ ンサ ー トで 会 え る 翔 君 の お か. はず の勉 強 に,彼 らな りの 意味 を与 えて い る とい う こ. げ ,つ ま リイ ンセ ンテ ィブの作用 なので あ る。. とに着 目 した い。. ん頑張 る. 彼女 が ,合 計点 で 450点 以上 を取 れ たのは ,後 に も. 勉 強す る こ とへ 意味 を与 える こ とので きるイ ンセ ン. 先 に もこの 時 以 外 になか った。 ア イ ドルの コンサ ー ト. テ ィブ を正 の イ ンセ ンテ ィブ と呼 ぶ こ とに しよう。正. は彼女 のモチ ベ ー シ ョンを上 げる最高 の イ ンセ ンテ イ. の イ ンセ ンテ イブは,彼 らの意識 レベ ルでの楽 しみの. ブ だ っ た の か も しれ な い 。彼 女 自身 も「 自己 最 高」. 領域 と関係す る ものが有効 とみ る。 そ の正 の イ ンセ ン. で ,「 なんで取 れ たんか 分 か らん」 ぐ らい の 高得 点 だ. テ イブは,勉 強す る ことへ の意味付 け を し,勉 強 へ の. ったので あ る。. モチ ベ ー シ ョンをあげる こ とを可能 にす る。. あやか は,中 学 生最 後 の夏休 み を快 く迎 えた い とい. さらに着 目す べ き点 は,彼 らの 「勉 強す る」 とい う. う こ とが イ ンセ ンテ イブ とな り,一 学期 の期末 テ ス ト. 行動 に伴 う意識 には ,「 受験」 が 関与 して い な い こ と. 勉 強 へ のモチ ベ ー シ ョンア ップにつ なが った。. で あ る。関与す るの は,正 の イ ンセ ンテ ィブであ る。. 「最後 の 夏休 みや の にテ ス ト悪 か った ら,夏 休 み. !. それ らは,好 きな異性 で あ った り,好 きなアイ ドルで. CDで あ っ た りす る。. って感 じじゃない や ん。 テス ト良 か った ら気持 ち よ く. あ っ た り,好 きな ア イ ドルの. 夏休 み に入れる」 と考 えて い たのだ った。. 正 の イ ンセ ンテ ィブ こそが ,勉 強 へ 積極 的 な意味 を与. せ い こはア イ ドルの 「ニュー アルバ ムが ほ しい」 が. え,ま た彼 らの勉 強へ のモチ ベ ー シ ョンをあげる もの. 買 うためのお金 は持 ってい なか った。友達 か ら借 りる. なので ある。. わけ には い か な い 理 由 は ,「 買 った ら. 彼 らを勉強 に駆 り立 て るこ とがで きるのは,Aの 時期 では,彼 ら自身のモチベー ションアップに合致す. (ア. イ ドル に関. す る)グ ッズが も らえ る」 か らだ った。母 親 か らは 「前 よ り (成 績 が )あ が っ とった ら買 うた るけ ど,前. るインセンテ ィブがあるか どうかである。. よ り下が つ とつた ら自分 で買 い」 そ して 「前 と一緒 や. さらに,気 づ くことは,正 のインセ ンテ イブに必要. った ら,買 わへ ん」 と言 われて い た とい う。彼女 の選. な要素 として「具体性」 が 求 め られて い るこ とであ. 択肢 は成 績 を上 げ て買 って もらう しか なか った。 それ. るcた とえば,勉 強 に関 して言 えば,「 コンサ ー トに. は彼女 のモチ ベ ー シ ョンを上 げる イ ンセ ンテ ィブ とな. 行ける」 とい う「具体的な」 インセ ンテ ィブが必 要な. りえ たのであ った。. ので ある。「勉強 してい た ら将来 の役 に立 つ」 といっ. じゅん じは,別 の クラスの友達 と,点 数 を競 ってい. た抽象的なものではモチベー シ ョンは上げ られない。. た。当然勝 つ こ とに意 義 があ る。特 に得意 な数学 で は. たとえば,れ い なの母 は「今 しか勉強で きひん言 う. 負 け た くなか った。「国語 はあか ん と思 うけ ど,数 学. んや。今少 々 しんどうて も勉強 しとったら,損 はせえ. が 絶対 (負 け るの は)嫌 や」「国語 は 多分 あ いつ の ん. へ ん言 うとんや」 と言 うのだが,れ いなは「得せえヘ. が ええ と思 うけ ど,あ とは負 け られへ んで」 な どと. んやん」 と主張す る。「 またそんなん言 うて。あ んた. 「前 (前 回 の テス トは)負 け た」 か ら一 層 モ チ ベ ー シ. の将来 のこと思て言 うんやんか !み てみ ?勉 強 ようし. ョン も上が るのであ った。 この場合 の イ ンセ ンテ イブ. とった たか ら,今 そ な い して立 派 にお って んや な. は友達 に勝 つ こ とであ る。. あ. ,. ここで 断 って お くが , じゅん じの競争意識 は,特 定. !」. とれ い なの母 に同意 を求 め られた私 は「い や. あ,そ れはないです け ど・・・確 かに. (勉 強 も)や. っ. の友達 とのゲ ーム感覚 での競争 で あ り,受 験競争 にお. てて損 はない とは思 うんですけどね」 と返答 した。そ. ける議論 内 で説明 され る競争意識 とは異 なる もので あ. れに対 し,れ い なは「忘 れるやん。何 も覚 えてない も. る。. ん」な どと言 う。母 は「忘れ んようにせんかい な !ほ んまにもう !あ ほちゃうか モチ ベ ー シ ョン. インセ ンテ ィブ. !」. と言 い放 ち,れ い なは. 「あ ほや もん。あほやか ら忘 れるんやんか」 とや り返 す。. 図 3. 「勉強 していたら損 はない」「将来のため」 などとい う抽 象的 なインセ ンテ イブは効力がない。 こんなれい.

(9) 森永. 智子 :進 路選択 プロセスにおける中学生の意識構造. 59. な も,具 体 的 な正 の イ ンセ ンテ ィブで は勉 強へ 意味付. 強のために)部 屋お ったのに」 と元あ ったモチベー シ. け し,モ チ ベ ー シ ョンをあげるのであ った。. ョンを下げるもの となった。. 中学生 の ,イ ンセ ンテ ィブによる勉 強 へ の意味付 け. 怒鳴 られるまでの じゅん じには「友達 と. (テ. ス トの. も,そ の場 限 りで無効 となる。 テ ス トの終了 とともに. 点 を)勝 負 しとんねん」,だ か ら友達 に勝 ちたい とい. そ の効力 を失 い ,勉 強 は また意味 の ない ものへ と成 り. うイ ンセ ンティブが あ ったのだが,父 親 の言葉 で,消. 代 わる。 モチ ベ ー シ ョンをあげるな ら,次 回 は新 たな. えうせる。. 正 の イ ンセ ンテ ィブ を用意 しなければな らない 。 そ の 意味 で ,イ ンセ ンテ ィブ をモ チ ベ ー シ ョンの結合が も た らす積 極 的勉 強 も場 当 た り的 とい えるのであ る。. 「. 7ン. τ センティブ│=` きき革 モチェ 」ョ 「 図4. 4. 5…. 場当た り的勉強④ 一インセンテ ィブとモチベー モチベー ションにつ ながるイ ンセ ンテイブがなかっ. ションの不一致がもた らす消極的勉強 彼 らは勉強するリス クと相当分 のインセンテ ィブが. た場合 ,何 のために勉強す るのか とい う意味付 けさえ で きない ままテス トを通過する ことになる。. 与 えられ, もしくは見出 し,利 害関係 が一致すれば 勉強へ のモチベーシ ョンはあがる。反対 に,不 一致が 起 こるとモチベーシ ョンは下がる。た とえば,親 に勉. 勉強 だけに着 目す れば,た け しのように勉強 を全 く せぬ者 もい るが,多 くは,意 味付 けのない消極的勉強. 強 を催促 される ことをイ ンセンテ ィブと捉 えた場合. となる。. ,. ,. モ チベー シ ョンはあが らない どころか下が って しま う。 たけ しは,母 親 に勉強す るよ うに促 され,「 分 か っ. 中学生 の勉強へ のモチベーシ ョンと一致す るイ ンセ ンテ イブを正のイ ンセ ンテイブとするならば,モ チベ ー シ ョンとの不一致 をきたす ようなイ ンセンテ イブは. と逆上 したために両親 と喧嘩 にな り余計 に. 負 の イ ンセ ンテ ィブ としよ う。負 の イ ンセ ンテ ィブ. 勉強がで きなか ったことが あ る。「勉強せ い って うる. は,彼 らの意識の うちの楽 しみの領域 とは対極 に位置. さいか ら,う っ さい !ば ばあ 1言 うたら」,「 お父 さん たかれて)む かついて ゴロー. す るもの として認識 される。負 のインセンテ イブは勉 強へ の意味付 けを阻む上 にモチベー シ ョンを下げる。. ス ト調べ を)何 も. 親 の「勉強 しろ」 とい う言葉 こそが,中 学生 にとっ. せん と学校行 った」。当然 テス トは「全然で きんか っ. ての負 のインセ ンテイブとなる。勉強に意味付 けがな されてい ない状態 で,理 由を述べず に「勉強 しろ」 と. とるわ. !」. にバ コーンや られて. (た. ン寝 とったらほんまに寝 とって. (テ. た」 と言 うが,で きなか った理由は「親 と喧嘩 したか 母親 の勉強 しろとい うイ ンセンティブでは,勉 強ヘ. 言 われて も,勉 強で きない。勉強 とい う行為 にはうつ らない とい うことだ。勉強い う行為 に うつ らない原因. の意味付 けはで きないのであ り,従 って彼 のモチベー. はモチベー シ ョンダウンである。モチベーシ ョンが下. ションを下げる結果 となる。. がるのは負 のインセンテイブの作用が原因 となる。. ら」 だ と言 っていた。. せ い こは親 に「勉 強 しなさい」 とい われ,「 分 か っ とんや け ど」「漫画読 んでや ったふ り」 を して しま う。「こ うや って (机 の引 き出 しの上で漫画 を)読 ん どって (足 )音 が したらバ って (漫 画 を乗せたまま引 き出 しをしまって机 の上のテキス トにむか う)」 。 モチベー シ ョンは下が つてはい ないが決 してあがる ことはない。. もともと勉強に対 し意味付 けがなされてお らず ,モ チベー シ ョンは低 いため,彼 らの利害関係 と一致す る イ ンセ ンテ ィブを用 い ない限 り,勉 強へ のモチベー シ ョンが上がることは望めないのであ る。 彼 らが 「受験」へ と考 えを馳せて取 り組 んでい る勉 強 とは捉 えに くい。 この意味 で場当た り的な勉強 だ と 言えるのである。. 勉強 は何 のため にやるのか とい う目的 は完全 に失わ れ,勉 強へ の意味付 けに失敗 してい るか らである。. 6。. ま. め. じゅん じは「ち ょっ とテ レビ見 とっただ けや の に (父 親 に)め. っちゃ怒 られた」 ことをきっかけに勉強. へ のモチベー シ ョンを下げて しまう。「テ ス ト前や の に何 しとんや. !」. 「早 ,部 屋行かんか い. !」. とい う父. 親 の怒鳴 り声 は「 (テ レビを見 る直前 まではテス ト勉. 本稿では,問 題点 としてあげていたことをクリアす べ く,① 中学生の 日常 にコミットし,② 議論の前提 を 覆 し,③ 勉強 と受験の不連続性 を明示 しようとした。 まずは,議 論 の出発点 として,「 中学生 は 自己の偏.

(10) 人間科学研究編 (2004年 3月 差値 お よび高校 ラ ン クは把握 して い ない」 こ とを示 し. ). あ る。 しか し,正 の具体 的 イ ンセ ンテ ィブ も有効期 限 は短. てお く。 方法 と して ,中 学生 の 日常 を継続 的 に追究 した こ と. い。 そ の とき限 りのテス トで効 力 は失 われ る。積極 的. で① の 「 中学生 の 日常 に コ ミッ トす る」 とい う目標 は. な意味付 けに よる勉 強 を継続 させ るには,前 回 よ りも. 達 成で きた と考 える。次 に本稿 の主 題 として位置付 け. よ り満足度 の高 い正 の イ ンセ ンテ ィブを用意す る必 要. た い「勉 強 と受 験 の 不 連 続性」 につ い て ま とめ て お. が あ る。換言す れば,イ ンセ ンテ ィブを与 え続 けなけ. く。. れば ,彼 らは積極 的 に勉 強 しない 。満足度 の低 い イ ン. Aの 期 間,つ ま り4月. か ら 12月 三者 面談 まで の 期. セ ンテ イブを与 えた場 合 ,ま た イ ンセ ンテ イブが ない. 間 は,テ ス トとい う場 を しの ぐこ とを第 一の 目標 と し. 場 合 ,積 極的勉 強 は継続 しないの で ある。 この こ とか. た勉 強 となるcそ う した中学 生 の勉 強 は,次 回以 降 の. らも,場 当 た り的 な勉 強 を して い る とい う こ とが 言 え. テ ス トに役立 たせ る ような勉 強法 で は決 してない 。 そ. よ うc同 時 に勉 強 に対す る意 識 は,受 験 へ 向 か ってい. れゆえ,受 験 を見据 えた もので はない と言 えるc. な い こ とも分 か る。 したが って ,中 学生 の勉 強 と受験. た とえ,Bcの 期 間 つ ま り 12月 三 者 面 談 か ら 3月 公立高校 入試 まで の期 間 に,受 験勉 強 を して い る と し. との 間 に隔 た りが あ る と考 えるのである。 また,5-3で も述 べ た負 の イ ンセ ンテ イブは ,中 学. て も,そ れ は場 当 た り的 に通過 して きた勉 強 をつ な ぎ. 生 の勉 強 に対 す るモ チ ベ ー シ ョン を下 げ る。「受 験」. あ わせ た集大成 と しての勉 強 で はない 。過去 問題集 一. を想定 して い たな らば ,親 に叱 られ るな どとい った負. 点勝負 とい う新 たな勉 強 に取 り組 んで い るのである。. の イ ンセ ンテ ィブが 原 因 で ,モ チ ベ ー シ ョンが 下 が. Aの 期 間 での 各 テ ス ト勉 強 と同様 に して,BCの 期 間. り,引 い ては,勉 強 を しな い , も しくは勉 強 へ の意味. では,残 された唯 一 のテス ト,入 学試験 に向けて のテ. 付 け をせず 消極的 な勉 強 をす る とい った こ とにはな ら. ス ト勉 強 をす るのだ。 ただ入学試験 は範 囲が三年 間分. ない はず だ。 この こ とか らも,勉 強 と受験 との不連続. と広 範 囲 で あ る こ と と,合 否 が 出 る とい う こ とか ら. 性 を見 たのである。. も,最 大 規模 の テ ス トとな る。Aの 期 間 で の テ ス ト. さ らに こ こで 付 け加 えて述 べ て お きた い こ とが あ. を点 にた とえる と入試 は それ よ り大 きめ の点 となる。. る。 中学 生 に とって「勉 強」 や 「受 験」 は,「 ア イ ド. そ の 入学試験 とい う一 点 に向け てす る場 当 た り的勉 強. ル」 や 「好 きな異性 」 な どとい った 「楽 しい こ と」 と. が ,過 去 問題集 なので あ るc. ともに彼 らの 日常 を構成 す る一 要素 にす ぎない 。. 繰 り返すが ,過 去 問題 集 とい え ども,こ れ まで のテ. 本稿 で は, 日常 にお ける「勉 強」 に スポ ッ トをあて. ス ト勉 強 ,つ ま り点 と点 を手 繰 り寄 せ る作 業 で は な. て考察 して きたわけだが ,中 学生 の 日常が受験 へ 向け. い。 そ の ため ,過 去 問題集 に取 り組 むなかで ,忘 れて. て構造化 されて い な い4と ぃ ぅ こ とを示唆 してお く。. しまって い た単元 に遭遇す る と,そ れは再会 を意味す. 以上がお よその まとめであ る。④⑤ の 問題 `点 につい. るので はな く,新 たな出会 い となって い る とい う こ と. て ,つ ま り,中 学生 の 日常 にお ける受験 へ の姿勢 ,進. で あ る。. 路選択 における大 人 の 関与 につい ては,同 様 の方法 で. ABCの 一 年 間 を通 じて,中 学 生 の勉 強 とい う行 為 をみ る こ とで ,受 験 を想 定 した勉 強 で はなか った と言. 考察 して い くつ も りであ る。. えるので あ る。 つ ま り勉 強 と受験 との 間 に連続性 が 見 られ なか った とい う こ とだ。 勉 強 に関 しては行 為 だけではな く,中 学 生 の勉 強 に 対す る意 識 に着 目す る こ とで も,勉 強 と受験 の不連続 1生. をみ る こ とがで きる。 中学生 は ,正 の 具体 的 イ ンセ ンテ ィブに よって勉 強. へ の 意味 付 け をす るc意 味付 けが で きる とい う こ と は,そ れはその ままモチ ベ ー シ ョンア ップヘ とつ なが りうる。意味 を見 出せ ない勉 強 か ら意 味 ある勉 強 へ 変 化 させ るの も,ま た勉 強 へ のモチ ベ ー シ ョンをあげる の も正 の具体的 イ ンセ ンテ ィブの力 に よる ところが 多 い Э彼 らは,積 極的 な意味付 け によって勉 強す るので. ,主. 1)単 独選抜制度 とは,生 徒が志望 した学校 ごとに選抜 を行 い,合 格者 を決めるとい う方式 をとる制度であ る。選抜方法 は学力検査 (500点 満点)と 調査書 (500 点満点)を 主 な資料 とす る。学 力検 査 は,国 語,社 会,数 学,理 科,英 語 の 5教 科各 100点 とす る。調査 書 は「学習の記録」 (10段 階評価)を 5教 科 は評定値 を 4倍 ,そ れ以外の4教 科 は 5倍 して換算する。原則 と して,調 査書中の評定値 は中学三年次 の一年間が対象 となる。対象 となった学区では,私 立高校 については どこで も受験 可能である。 しか し,同 一県内の受験 日 が統一 されてお り,多 くは私立一校,公 立一校の受験 となる。また同学区の地理的条件から,受 験 で きる私 11校 は4校 に限られている。 7。.

(11) 森永. 智子 :進 路選択 プ ロセス にお ける中学生 の意識構造. 2)目 標 を達成するための外的刺激. 3)外 的な刺激 に対する内面的な意欲 ,熱 意 上 記 は,辞 書的 な意味 と,教 育現場 にお い て使 用 され. 参考・ 引用文献 伊丹敬之 。加護野忠男 1989『 ゼ ミナ ール 経営学 入門』 日本経済新聞社. て い る意 味合 い か ら,筆 者 が独 自に定義 した ものであ る。 イ ンセ ンテ イブ,モ チ ベ ー シ ョンについ は,そ の. 苅谷剛彦 1986「 閉ざされた将来像 一教育選抜 の可能性 と中学生 の 『自己選抜』 」『教育社会学研究』第 41集. 定義 があ い まい であるため に,本 稿 で は,筆 者 自 らの 定義 に頼 った。 尚,イ ンセ ンテ イブ,モ チベー シ ョンを説 明す る理 論. 坂下昭宣 1985『 組織行動論』 白桃書房 竹内 洋 1981「 教育 アス ピレーシ ョンと学歴社 会 の 構 造」『価値意識 の社会学的研究』関西大学経済 。政治研. として期 待理論があ る。期待理論 は,仕 事 (本 稿 で は 勉強 お よび受験 )へ のモチ ベー シ ョンは,仕 事 へ の努. 究叢第 45冊. 力 の投入 を通 じて,何 らかの価 値 が 得 られ る と期待 さ れる ときに,人 々は仕事 に心理的なエ ネルギーを投 入. 竹内 洋 1988『 選抜社会 試験 ・昇進 をめ ぐる 〈加熱 〉 と く冷却 〉 』 メデ イアフアク トリー 竹内 洋 1994「 学歴社会論再考 一伝統 的 アプ ロー チ と. す る。人 々は,努 力 を投 入すれば,仕 事 を成 し遂 げ, それによって さまざまなイ ンセ ンテ イブを得 ることが. 制度論的 アプローチ」『現代社会学研究』第 7巻 ヽ 亡 性』 竹 内 洋 1995『 日本 の メ リ トクラ シ ー 構 造 と′. で きる。 また,そ れぞれの イ ンセ ンテ ィブは,個 人 に. 東京大学出版会. とって一 定 の価値 (誘 因価 )を もってい る。期待理論 では,努 力 を投 入 しようとす るモチ ベー シ ョンの大 き. 橋爪貞雄 1985「 受験体制 に関す る中学生 の 意識 ―主観 主義社会学的試み 一」『名城大学教 職課程部紀要』第 18. さは,得 られるイ ンセ ンテ イブの誘 因価 を,努 力 に よ. 巻 久冨義之 1993『 競争 の教育 なぜ受験競争 はか くも激 化す るのか』労働旬報社 久冨義之 ・高 口明久 1993「 今 日の学力競争 の社 会的土. ってそれ らが得 られる確率 で加重和 に した ものに比例 する と考 えられてい る (伊 丹 加護野 1989,288)。 全体 の論文 では,期 待理論 に照合 した議論 を展 開す る. 台 一競 争 の秩 序化 0二 重性 ,そ して相対 化 一」 1月 号. つ もりである。. 4)た. とえば橋爪 は,受 験体制 を学歴社 会 とよび,そ の 影響範囲が,中 学 生のほ とん どすべ ての生 活面 にわた り,さ らに彼 らの精神 ・心理面 に も食 い込 んで い る と 指摘 してい る (橋 爪. 1985)。. No.557. 国土社. 藤 田武志 1994「 中学生 の進路決定過程 に関す る事例研 究」『東京大学教育学部紀要』 第 34巻 藤田武志 1996「 選抜 システム と中学生 の競争意識」『東 京大学教育学部紀要』第 36巻 耳塚寛明 1986「 中学校 における教育選抜過程 一成績 の 自己評価 と進路展望 に関する追跡的研究 ―」『国立教育 研究所研究収録』第 13巻.

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