研究ノート
実習における“評価”に関する研究1
資料の収集と実習評価票の作成一
川瀬善美・伊崎純子
TheStudyofAnEstimationataPracticalEducation
:CollectiontheMaterialsandMakingoftheEstimationTable
要約
今回、施設実習の実習評価票の見直しを行うにあたって他大学の資料収 集が不可欠と判断した。アンケート調査とインタビュー調査を実施し、評 価票案を作成、これを実習現場と事務局の意見をもとに改良し、最終的な 評価票を作成した。今後は、学内外の評価基準に関する共通認識の図り方、 細やかな学生の実習指導支援体制の確立が課題として残された。課題と目的
我が国の1990年代以降の社会・経済環境の変化は、資格取得を目的とす る学外実習の新しいあり方を求めることとなった。特に1994年の「児童の 権利に関する条約」批准、社会福祉領域における3プランの策定、社会福祉基礎構造改革、介護保険制度と障害者支援費支給制度の開始等は、学外 実習先の諸施設・機関そのものに大きな変化をもたらし、その結果、学外 実習教育体制の新たな模索は急務となった。また、2001年の保育士資格の 「法定資格化」はさらに拍車をかけている。 具体的には、措置から契約へ・給付から自立支援へ・応能型負担から応 益型負担へ・地方自治体への大幅な権限移譲は、施設・機関にサービスの 質の向上・自らの経営努力・第三者評価・苦情窓口設置・情報公開の義務 づけを求めた。 その結果、その施設・機関で実習を行う学生に、養成校としてこれらの 新たな状況に対応できる教育を行って実習に臨ませることが求められてい る。しかし、本学の状況としては、このような社会的・時代的動勢下にあ るという共通認識づくりに着手したところである。そこで、保育士、社会 福祉士の養成校(大学・短期大学・専門学校)の状況について調査を行う こととした。 本研究においては特に、実習におけるr評価」を中心テーマとした。そ の理由としては、r評価」が学生個人に対するものであり、その後の学習 の指針となることは勿論のこと、養成校としての実習前の教育のあり方を 点検・検討する手段であると考えたからである。「評価」が実習後の学内 教育に生かされていない現状(「学外評価は、各実習先により基準が異な るのでコメント(所見)を中心として」指導や単位認定の参考資料とする に留める養成校が多い(保母養成資料14号,1995))の改善をめざし、r実 習評価票」の見直し、実習事後指導と施設・機関によって行われるr実習 評価」との関係・利用の仕方、さらには、学内での評価と単位認定との関 係、本学と実習施設・機関との関係や評価に関する共通認識についても見 直していくことを目的とした。 また一方では、学生が実習の学外評価を非常に気にしており、職業選択 や実習後の学習意欲に影響を与えている感さえ受ける。このことから、単 に、実習内容に関する指導だけではなく、実習中・後に起きた様々な精神
葛藤や変化にも対応できる評価票を作る第一歩としたいと考えた。 そこで、新たなr実習評価」を模索し、より理想的なr実習評価票」を 作成するために、研究1においてアンケート調査を、研究Hにおいてイン タビュー調査を行う。その結果を基に研究皿において「評価票」(案)を 作成し、実習先の意見を反映させながら、本学部の保育士、社会福祉士養 成のためのr実習評価票」を作成することを目的とする。
研究1
<方法>アンケート調査の実施 対象:全国保育士養成校協議会、日本社会福祉士養成校協議会加盟校名 簿の中から200校を無作為抽出し、郵送によるアンケート調査を実施した。 期間:2004年8月30日から同年9月30日 調査内容:アンケート調査の質問項目等については資料①参照 回収:期間内44校(回収率22%)。期間後12校より回答があり最終的に は28%の回収率であった。本研究では、期間内の回答かつ当該項目の無記 入を除いた回答のみを有効回答とした。 <結果>以下、特に注目すべき事象について報告する。 ①フェイスシート:社会福祉士(受験資格)・保育士資格を取得できる 学科(以下、養成校と呼ぶ)について尋ねた。学生定員は1学年27名から 250名、あわせて専任教員数も4名から42名、当該学科の事務を主に担当 する事務職員数は0名から44名、なかでも実習に関わる指導および事務を 主に担当する教職員数は0名から16名といずれも養成校に幅があった。 実習事務を専門に扱う部署の有無を尋ねたところ、11校にあり(25%)、 教務その他の部署が兼務する養成校が20校(45%)、なしと回答した養成 校も7校あった(無記入が6校)。あり、あるいは兼務と回答した養成校 にその名称を尋ねたところ、実習センター1校、実習指導室5校、その他 が8校であった。②実習指導体制:「実習指導を目的とする委員会の設置」が24校(55%) に認められ、「実習担当者以外に実習前後に学生の生活面や精神面のケア を行う組織が存在する」養成校は28校(64%)、ケア組織としては、クラ ス担任やゼミ担当、学生相談室があげられた。本学においても、教職等課 程委員会が存在し、またオフィスアワーや学生相談室といった実習担当者 以外によるケアも始動していることより、他の養成校と遜色ない体制があ ると考える。 ③実習先の選定:「実習施設について学生が希望を出せる」と回答した 養成校が37校(84%)あり、そのうち、r学生の希望通り」実習先が決ま る養成校が20校(45%)、r参考程度」という養成校が13校(30%)であっ た。本学では、後者であり、原則として実習施設を大学が指定する。学生 の希望を優先する養成校では、実習施設一覧(97%)、施設個別データ (35%)、案内パンフレット(49%)、教員による説明(57%)、見学の機会 の設定(27%)、施設職員による説明(8%)、その他、過去の実習生によ る報告書など数多くの情報が学生に提供されている。一覧のみ、あるいは 報告書のみといった単発の情報提供ではなく、複数組み合わせて提供され ている点に特徴があり、本学としてもこれらの情報提供体制の整備は必要 であろう。 ④実習における成績評価:実習の成績評価の方法について、「文書によ る説明をしている」養成校が24校(71%)、「口頭による説明」2校、「説 明なし」7校を大きく引き離している。本学は、評価票の記入の仕方につ いて文書説明を行っても、最終評価の方法に関しては特に説明をしてこな かった。 最終的な成績評価の方法として、「実習施設の評価と養成校の評価を総 合して最終評価としている」養成校が32校(78%)あり、本学短期大学部 における実習評価も同様、かつ本学部でも継承する予定である。しかしな がらこのような最終的な成績評価の基準を明文化している養成校は10校 (27%)に留まり、実習委員会(38%)あるいは教員全体(44%)に代表
される学内部署で実習の最終的な成績評価を検討する養成校(66%)が、 本学も含めて多いようである。 過去5年間に実習先からの評価でr全般的に消極的だった」「進路変更 の指導を要す」などの否定的な評価を受けた学生がいたと回答した養成校 は26校(70%)にのぼる一方で、学生へのフィードバックに関して、「評 価・所見全て」を開示している養成校が15校(41%)、r評価のみ」2校と 「所見のみ」5校を加えると半数がなんらかの形でフィードバックしてい る。「必要に応じて:21校(53%)」、あるいは「定期的に:6校(15%)」 実習先に評価の趣旨や内容について、施設に対し協議や説明が行われてい るという結果を踏まえ、施設との実習懇談会のあり方とともに本学の一つ の課題が浮き彫りにされた。
⑤実習施設との連携:実習懇談会を実施している養成校は、22校
(55%)で、そのうち、「年に一度開催する」養成校が18校(45%)でもっ とも多かった。「巡回指導は実習先すべて訪問し行う」と回答した養成校 が29校(66%)あった。本学短期大学部では、実習懇談会は保育所と福祉 施設をそれぞれ対象に隔年で開催し巡回指導も近隣施設に限ってきたが、 これらの体制について再検討する必要があると考えられる。さらに、実習 施設との交流のあり方も、最新の福祉制度・施設情報の提供や共同研究を 行っている養成校もあれば、事前指導・事後指導に施設職員の参加をお願 いしている養成校もあり多岐であった。本学における実習施設との連携や リカレント体制等についても課題がみつかった。 ⑥アンケート回答用紙以外に収集できた関係資料:実習関係シラバス、 実習マニュアル、実習の手引き、実習懇談会資料、実習報告会資料、巡回 指導記録用紙、実習ノート、実習評価票など く考察> 各養成校のフェイスシートが示す通り、その規模は多様であり、各養成 校とも限られた人的資源の中でエ夫して対応している。本学部は定員170 名と中規模ながら、保育士養成校として150名の枠をもち、さらに社会福祉士受験資格・幼稚園教諭・小学校教諭をも養成し、かつ発展途上にある。 やはり、他大学を参考にしながらよりよい卒業生を輩出するためにも、実 習教育のあり方においてもよりよいものを目指していくことを忘れてはな らない。 今回のアンケート調査の結果より、本学の実習教育上の課題が見いださ れた。整理すると、(1)学生への(情報提供を含めた)実習支援体制の 整備、(2)実習の成績評価:①最終評価の方法を文書化、②評価方法の 文書による施設への説明、③実習先からの評価の学生へのフィードバック、 ④施設との評価に関する協議や説明、(3)実習懇談会の実施方法および 巡回指導の体制、リカレント体制を含めた施設との連携のあり方の再検討 である。 以上の点について、参考となる詳細な情報をインタビュー調査において 得ることができたので、研究2としてさらに検討していくこととする。
研究2
<方法>訪問インタビュー調査 対象となった養成校:全国を6ブロックに分け、各ブロックより1校を 目安に訪問。具体的には、北星学園大学(北海道ブロック)、佛教大学 (関西ブロック)、山口県立大学(中国・四国ブロック)、西南学院大学 (九州ブロック)の4大学を訪問した。期間:2004年7月から2005年3月
調査内容:基本的には、アンケート調査の質問項目と同様だが、特に実 習指導体制や実習指導室(実習センター)の実情について現場を見せても らいながら話をうかがった。 <結果> ①北星学園大学社会福祉学部福祉臨床学科と福祉計画学科の場合:学生定 員;福祉臨床学科85名、福祉計画学科85名。専任教員;福祉臨床学科8名、福祉計画学科9名。取得可能な資格;社会福祉士(受験資格)、精神保健 福祉士(受験資格)、中学校1種免許(社会)、高校1種免許(福祉、公民)、 養護学校1種免許など。 (1)実習事務室が設置されている。業務担当としてフィールド(ボラン ティア活動支援)、教職(各学部ごとに下部出先機関あり)、福祉実習の3 部門に分かれており、それぞれ3名の専任職員とアルバイト職員2名、庶 務担当(会計等担当)2名の専任職員の職員体制であった。同大学の特徴 としては、実習相談室という独立の機関をもっており、2名(臨床心理、 社会福祉のオーバードクターを非常勤職員として)配置し、学生の実習に 関するさまざまな不安、悩みの軽減を図ったり、生活指導(服装、態度、 頭髪の色など)を行ったりしていることがあげられる。学生と年齢が近い こと、実習体験が近いことなどから効果をあげているそうである。(2) 実習評価・同票、実習マニュアルなどについては、北海道地区の養成校に 呼びかけ、札幌地区が中心(特に北星学園大学が幹事校:2003年の特色あ る大学プロジェクト)となって北海道地区の養成校共通のものを作り上け㍉ 使用している。(3)実習事後指導には実習先の職員にも参加傍聴を依頼 し、事後指導終了後、同日の夕方より実習懇談会を実施している。巡回指 導は、社会福祉を直接的に専門領域とする専任教員とフィールドインスト ラクターと呼ばれる社会福祉施設等の退職者を嘱託職員5名であたり、実 習先全てを巡回している。なお、新任教員に対してはマニュアルが渡され、 巡回指導を行う前に研修を実施している。フィールドと呼ばれる担当部署 が学生のボランティア活動を積極的に支援、奨励しており、募集先、活動 内容、有償・無償、期間などの必要な情報掲示がされている。訪問時の同 掲示板には約40あまりの情報掲示がされていた。ボランティア講習会を学 生だけでなく地域住民も対象に企画実施され、同大学の地域貢献戦略の一 環として位置づけられているようであった。 ②佛教大学社会福祉学部の場合:学生定員;250名。専任教員22名。取得 可能な資格;中学校1種免許(社会)、高校1種免許(地理歴史・公民・
福祉)、養護学校1種免許、社会福祉士(受験資格)、精神保健福祉士(受 験資格)、保育士など (1)「福祉教育開発センター」という実習教育支援や実習施設と大学と のマネジメント、および現場や地域への情報発信センターとしての機能を 持った専門部署があり、センター所属の講師7名が中心となって学生への 相談体制や情報提供等実習教育の充実を図っている。また、通信課程も含 めた全実習学生の巡回指導を実施するため、卒業生や元施設職員、社会福 祉士の有資格者を「巡回指導講師(非常勤)」として雇用し、全国に19名 配置している。(2)実習先からの評価を学生に対してフィードバックし ていない。最終的には、学内評価、実習先の評価、自己評価を総合し、実 習委員会で検討の上、単位認定を行っている。(3)実習懇談会は、6月 に依頼を主目的として、2月に反省会開催を目的として年に2度実施し、 懇談会と報告会を施設の分野別分科会として実施している。 ⑤山口県立大学社会福祉学部の場合:学生定員;80名。専任教員22名(実 習助手を含む)。取得可能な資格;社会福祉士(受験資格)・高校教諭1 種免許(福祉)・養護学校1種免許など (1)学部内プロジェクトとして、r社会福祉実習会議」という実習事務 を行う専門部署があり、実習助手1名(県からの派遣人事)と教務1名お よびその他の教員6名で構成されている。学部はrチューター制」を導入 しており、1年次は基礎演習(ゼミナール)の担当が、2年次は実習会議 のメンバーが、3・4年次は専門演習(ゼミナール)の担当がそれぞれ学 生指導にあたっている。どの学年もおよそ教員1名に対し学生は8から10 名を担当する体制であり、きめ細やかな指導に特徴がある。その他にも学 生フォローを担当する部署として全学的な学生相談室(カウンセラー)や 保健室(保健師)、学部の学生相談室(臨床心理士)を配置している。(2) 評価票は3部構成になっており、実習評価1は自己評価、評価■は実習指 導者による評価、評価皿は総合評価という位置づけで記録者はゼミの担当 教員である。総合評価は事前指導と事後指導の担当者と社会福祉実習会議
のメンバーで行っている。評価1とIIは7つの大項目の下に19のポイント が記載され、それらを押さえてコメントを書くようになっている。同じ項 目で評価できるため、自己満足ではなかったか等反省に活かされる仕組み となっている。評価皿は、事前学習・実習中・事後学習についてそれぞれ 記述欄が設けられている。半年間毎週顔をあわせる少人数の学生指導がな せる作業である。評価票もバインダー方式の実習記録に綴じるようになっ ているため、区別しやすいようにいずれもカラフルな色の紙で作成されて いる点も特徴といえる。最終評価は、評価1∼皿に巡回指導教員の評価も 加えて単位認定を行っている。(3)「連絡協議会」という名称で、児童相 談所等の機関(3週間実習)と、児童養護施設などの施設(3週間実習) と2回にわけて毎年開催され、実習評価を含めた成績パターンを統計的に 分析し公表、実習施設にコメントを求めている。さらに、午後には実習報 告会を設けて、分野別に1名発表を行っている。報告会は学内向け(分科 会に分かれて全体およびゼミ単位で「実習指導」として分野ごとに毎週実 施)と学外向け(連絡協議会時)の2回実施し、これを低学年の事前学習 の一環としても位置づけている。また、学内学会として年に一度福祉セミ ナーを実施しており、交流の機会のひとつとしている。 ④西南学陳大学人間科学部(旧:文学部)社会福祉学科の場合:学生定員; 150名。専任教員16名。取得可能な資格;社会福祉士(受験資格)・精神 保健福祉士・高校教諭免許1種(公民・社会福祉)など (1)学科専属の「実習指導室」があり、(学科新設して4年目のため) 公募で選ばれた助手4名(最長4年の任期制、非常勤)と実習指導教員の うち1名が指導室主任として、社会福祉関連の実習指導にあたっている。 ほかに実習指導教員7名と演習担当教員3、4名がr実習指導運営委員会」 として指導室とは別に組織されている。(2)「実習評価票をもとに実習書・ 実習日誌・実習報告書、および巡回指導員による巡回記録などを参考にし て、実習指導室主任と実習担当教員とが協議して評価する」と単位認定方 法について実習の手引きに明記している。原則として演習3・4(持ち上
がりのゼミナール)の担当教員が単位認定。学生に対する実習評価のフィー ドバックも演習4の担当教員に一任している。教員一人当たりの学生数は 10から20名。(3)r実習連絡調整会議」を年に一度実施し、実習指導体制 や成績について説明、要望等を尋ねている。また、必修ではないものの海 外(韓国)での施設実習も行っており、これも含めて巡回指導は実習指導 教員5名で全て廻っている。 <考察> 各大学とも試行錯誤の結果、それぞれ独立した実習指導機関を設置して いた。しかし、教職員の雇用形態、人数、業務範囲も様々で、各大学の学 内事情によるものと考えられる。専任教員の関わりも機関メンバーの一員 として所属する大学や、専任教員組織として実習指導委員会があり機関と は別組織として協働の形式を採用している大学もあった。巡回指導も本学 と同様、専任教員全員が行っている大学もあったが、事前・事後指導を行 う教員と資格に関わる領域を専門領域とする教員3から5名と施設退職者 を巡回指導専門として委嘱した嘱託職員10名で行っている大学もあり多様 である。
研究3
<方法>評価票の作成にあたり、収集した資料を元に、3つの案を作成し た。それぞれの特徴は以下の通りである。 A案:北海道共通の評価票を参考に作成(資料②参照) B案:保育士養成協議会提案のミニマムスタンダード版を参考に作成(資料③参照)
C案:オリジナル案(資料④参照) これらを施設との懇話会の席上で披露し、施設からの出席者の意見を求め た。<結果> 施設職員からの意見は大きく2点であった。1点は、評価票の自由記術 欄はできる限り小さいものとしてほしいこと、もう1点は、評価票に実習 生の顔写真を添付する欄を設け、他の実習生と混同しな’いような配慮をし てほしいことであった。自由記述欄を小さくしてほしいという要望は直接 評価にかかる手間を最小限にしたいということではなく、視点をはっきり させてほしいという意見もあわせていただき、そのことより、質問項目を 減らすということではないことが確認された。そこで、回答数は、三案の 中では20と最多であるが、記述欄を少なくすることでA案を採用、写真の 貼付欄を新たに加えた。その後、事務局と相談し、B4版で作成したA案 を学生の氏名を挿入印刷しやすいA4版へ変更した。改良した点は、記入 上の留意点を別紙にし、各所見欄を廃止し、総合所見欄にまとめて記述す る形式とした点である(資料⑤参照)。 <考察> 保育士養成協議会が提案した評価票案(ミニマムスタンダード)と比較 すると、今回作成した評価票は3段階ではなく4段階評価であり、かっ質 問項目も10項目ではなく20項目、所見欄は複数箇所ではなく1箇所に限定 するという違いが明らかとなった。 これは、実習を依頼する養成校が実習施設の苦労を先取りし、,さらに多 様な養成校を念頭に必要最小限におさえた結果のミニマムスタンダードと、 保育士養成のみならず社会福祉士希望者の施設実習も考慮しつつ、実際に 実習評価を担当する施設職員に意見を求めて作成した評価票という作成経 緯の差異が影響した結果だと思われる。無論、保育士養成を目的とした実 習と、社会福祉士養成を目的とした実習では、実習の目的もおのずと異な る。それにもかかわらず統一した評価票を使用するにあたって、施設に対 する評価基準の明確化が必要だと思われる。
総合考察
今後の学習課題を見いだす資料として活用することを主眼とした評価票 を作成するにあたってr実習生として」の「態度・意欲」「知識・技能」 r資質・適性」を評価してもらうという軸の問題、実習を依託する施設の rつけやすさの追究」という配慮の問題を避けては通れない。国家資格に 関わる実習であっても評価票は全国統一フォームが指定されておらず、他 大学がどのように対処しているのか参考にすることで、何を実習に期待し ているのかという原点に立ち返り、今まで本学の評価票で背景に欠落して いた視点が明らかになったように思う。すなわち、「実習による学生の変 容」を評価したいのだという視点である。 また、今後の課題が2点見いだされた。1点目は、評価基準の明確化と 学内外での意思統一を図ることである。学生が実習先の評価を気にするこ とは、評価される立場である限り当然ついてまわる。実習先の評価が全人 格を評価するものではないし、多くの大学と同様、学内評価や自己評価、 巡回指導時の評価を総合評価し「実習」という単位認定を行っていること を明らかにすることで、学生の実習先の評価に対する期待と不安を現実的 なレベルに収めることができるだろう。また、実習懇談会で評価の概要に ついても公表するなど懇談会の内容を検討することで、評価の施設間格差 を減少させることも可能という示唆を得た。もう1点は、継続的な少人数 教育体制などに代表される細やかな実習指導・支援体制の模索である。少 人数のチューター制をとり、学生を教員がrよく知っている」r深いやり とりができる」r複数のフォロー機関が機能している」という大学では、 実習先の評価を全て学生に開示し、今後の学習課題あるいは将来の指針と して評価票を十分に活用できていた。以上を踏まえ、よりよい教育体制の あり方を検討していきたい。引用・参考文献
社団法人全国保育士養成協議会、専門委員会平成16年度課題研究「効果的 な保育実習のあり方に関する研究n一保育実習指導のミニマムスタンダー ド確立に向けて一」、保育士養成資料集第40号、2004 社団法人全国保母養成協議会、「基礎技能・保育実習に関する研究」、保母 養成資料集第14号、1995 藤松素子編著、『社会福祉実習』、高菅出版、2003付記
本研究は、 行われた。 平成16年度白鴫大学教育科学研究所特別研究費の助成を受けて爪1ぐα\N 以1ぐひ\一
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