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レジボンドcBNホイールの研削性能に及ぼす非塩素系油剤の影響

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Academic year: 2021

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1.ま え が き レジンボンド立方晶窒化ほう素砥粒砥石を使用する場 合には,目直しした砥石作業面の砥粒突き出し状態の変 化が,超砥粒砥石を最適かつ安定的に使用するために重 要な問題である。ところが,目直し方法を変えて,レジ ンボンド cBN ホイールの湿式目直しを行っても,目直し 時に供給する研削油剤を変えると,形成される砥石作業 面の形態や砥粒突き出し高さ,突き出し速度に違いが現 れ,研削初期過程の研削性能にも違いが現れる。 そこで本報では,環境問題に対処する最近の傾向か ら,環境にやさしい非塩素系水溶性研削油剤と従来から 鉄鋼材の精密加工に供給されている硫黄系極圧添加剤を 含む水溶性研削油剤の組成の影響について,目直しで生 成される砥石作業面の形態や砥粒突き出し高さ,突き出 し速度についての検討を行った。その結果,研削開始直 後からの研削抵抗,研削加工面粗さ,砥石作業面の状態 変化などに供給油剤による違いが生じることが明らかと なったので報告する。 2.実 験 方 法 図 1 に実験装置を示す。横軸角テーブル形平面研削盤 (岡本,PSG-52AN 形)の砥石軸に,表 1 に示すレジンボ ンド cBN ホイール①を取り付け,ダイヤモンドツルアー で形直しした後,テーブル上に設置した動力計(キス ラー 5007 形)②に,試作した目直し装置③を設置し,こ れに砥石ドレッサ④を取り付け,表 1 に示した目直し条 件で湿式目直しを行った。 目直しは,図 2 に示す目直し装置を考案し,砥石作業 面に対して砥石ドレッサを一定速度で押し付けながら目 直しを行う方法である。なお,砥石ドレッサの押し上げ 速度は,予備実験の結果から 0.2 mm/s 程度が最も効率 良く目直しされることが明らかとなったので,この値で 実験を行った。また,目直し回数は,目直し装置の移動 量の関係から,砥石ドレッサを長さ 30 mm 削除(削除量 9000 mm3 )した場合を 1 回とした。 目直しの進行に伴う砥石作業面の形状変化や形態変化 は,研削盤上に設置した形状測定機⑤(東京精密 700-B 形)と光学顕微鏡⑥(オリンパス BHMJ 形)で測定・観 察を行った。 目直しされた砥石作業面での研削性能を調べるため, 目直し時に供給した目直し油剤を研削油剤として供給し

レジンボンド cBN ホイールの研削性能に

及ぼす非塩素系油剤の影響

小田喜敏美 * ・冨 田

進 **

Influence of the Non-cloric Grinding Fluid on Grinding Abillity of Resin Bond cBN Wheel

Toshimi ODAKI* and Susumu TOMITA**

In the wet dressing of the resin bond cBN wheel, for different composition and property of the grinding fluid supplied some differences appear in features of the grinding wheel face, thrust height of grain and thrust rate of grain. Thereby, the effect of the composition of the grinding fluid was examined through dressing. The results are summarized as follow: (1) In case of supplying the dressing fluid containing extreme pressure additives such as sulfuric compounds, a larger thrust rate of grain was obtained than the one case of supplying the non-cloric grinding fluid without extreme pressure additives. (2) When the dressing is carried out with supplying fluids of various composition and followed by grinding, the grinding force and the work surface roughness and the grinding wheel face are affected by the composition of the grinding fluids.

Vol. 37, No. 1, 2003

* 機械工学科 助手

**機械工学科 助教授

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ながら,動力計②に取り付けた加工材を,表 2 に示す研 削条件で湿式研削し,研削抵抗,研削加工面粗さ,砥石 作業面の形態変化の測定・観察を行った。 3.実 験 結 果 3.1 砥石作業面生成に及ぼす目直し油剤の組成の影 供給する目直し油剤の組成を変えて湿式目直しを行っ た場合の,目直し回数に対する砥粒突き出し高さの変化 について調べた結果の一例を,図 3 に示す。非塩素系エ マルジョン油剤と極圧添加剤を添加した極圧エマルジョ ン油剤を供給して,湿式目直しを行うと,目直し回数の 増加に伴って,非塩素系エマルジョン油剤を供給した場 合に比べ,極圧添加剤を添加したエマルジョン形を供給 した場合の方が,砥粒突き出し高さ値が大きく,目直し 速度が速い傾向を示す。また,目直し回数 6 回目あたり から一定値に収束する傾向を示す。 次に,非塩素系エマルジョン油剤と極圧エマルジョン 油剤を供給して,それぞれ目直しを行った場合の,砥石 ①レジンボンド cBN ホイール,②動力計,③目直し装置, ④砥石ドレッサ,⑤形状測定器,⑥光学顕微鏡,⑦撮影装 置,⑧位置決め装置 図 1 実験装置 図 2 目直し装置 表 1 目直し条件 研削砥石 CBNC170N100BW (径 205 mm, 幅 10 mm) 砥石周速度 26 m/s 目直し条件 ドレッサ 砥石ドレッサ (WA150H) ドレッサ送り速度 0.2 mm/s 目直し 1 回当たりのドレッサ削除量 7.2103mm3 目直し油剤 非塩素系エマルジョン油剤 鉱物油 界面活性剤 極圧エマルジョン油剤 鉱物油 界面活性剤  極圧 添加剤(硫黄系化合物 15%) 希釈倍率 10 供給量 0.3 L/s

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作業面の形状を調べた一例を図 4 に示す。 図 4 は,目直し回数 4 回目の砥石作業面形状を示した もので,極圧エマルジョン油剤を供給した場合の方が, 砥粒の突き出しが均一で,突き出し量も一定で安定した 砥石作業面が生成されている。 一方,非塩素系エマルジョン油剤を供給した場合に は,砥粒の突き出し及び突き出し量も一定ではなく,不 完全な目直し状態となっている。このように,供給する 油剤の組成の違いによって,砥石作業面の砥粒突き出し 状態に違いが現れる。実験に使用したレジンボンド cBN ホイールには,ニッケルをコーティングした金属被覆砥 粒が,また,ボンドのレジンには補助材として銅系金属 粉末が添加されており,非塩素系エマルジョン油剤を供 給しながら目直しした砥石作業面に,金属溶着や付着が 発生してくる。この金属溶着物や付着物は,ドレッサに よって削られた砥石作業面の砥粒被覆金属やボンドの金 属粉末などの砥石作業面への再溶着や付着によるものと 考えられ,この溶着や付着現象によって目直し性能に違 いが現れたものと考えられる。 ところが,硫黄系化合物の極圧添加剤を含む極圧エマ ルジョン油剤を,低希釈倍率で供給すると,砥粒の破砕 や脱落が少なく,突き出し量の均一な砥石作業面が生成 される。 これは,砥石作業面の砥粒切れ刃部,被覆金属部,ボ ンドの粉末金属部などへの極圧添加剤の反応や,砥石面 研削砥石 CBNC170N100BW (径 205 mm, 幅 10 mm) 砥石周速度 26 m/s 目直し条件 ドレッサ 砥石ドレッサ (WA150H) ドレッサ送り速度 0.2 mm/s 目直し 1 回当たりのドレッサ削除量 7.2103mm3 目直し油剤 非塩素系エマルジョン油剤 鉱物油 界面活性剤 極圧エマルジョン油剤 鉱物油 界面活性剤  極圧 添加剤(硫黄系化合物 15%) 希釈倍率 10 供給量 0.3 L/s 図 3 砥粒突き出し高さと目直し回数との関係 図 4 砥石作業面の形状変化

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に溶着や付着した切りくずや,砥石作業面からドレッサ 面に一度,溶着・付着した金属が,砥石作業面の被覆金 属やボンド面の粉末金属に再移着した金属などへの極圧 添加剤の反応,ドレッサ面への極圧添加剤の反応などに よって1) ,溶着物や付着物の発生や,発生した溶着物や 付着物の発達・成長が抑制され,砥粒の強制破砕や脱 落,ボンド面の損傷が少なくなるためと考えられる。 3.2 研削性能に及ぼす油剤の影響 目直し油剤の組成によって,砥粒突き出し高さや砥石 作業面の形態に差が現れることから,目直し時に供給し た目直し油剤と同組成の油剤を研削油剤として供給し, 表 2 に示した研削条件で,ダイス鋼 (SKD11) の湿式研削 を行い,研削抵抗,研削加工面粗さ,砥石作業面の形態 変化を対象に,研削性能に及ぼす目直し性能の影響につ いて調べた。 図 5 は,各油剤で目直し回数 5 回(図 3 より,極圧エ マルジョン油剤を供給した場合に,一定値に収束する傾 向を示す直前の回数)で行った砥石作業面で湿式研削 (各切り込み深さで,切り込み回数 500 回研削)した時 の研削抵抗を調べた結果を示したものである。 非塩素系エマルジョン油剤を供給して研削した場合, 切り込み深さの増加に伴って,研削抵抗の増加割合が大 きくなる傾向を示す。しかし,極圧エマルジョン油剤を 供給した場合の研削抵抗は,低い値を示し,増加割合も ゆるやかに増加する傾向を示す。 図 6 は,各切り込み深さで切り込み回数 500 回研削し た時の,研削加工面粗さと切り込み深さとの関係につい て調べた結果を示したものである。非塩素系エマルジョ ン油剤を供給して研削した場合,切り込み深さの増加に 表 2 研削条件 研削砥石 CBNC170N100BW (径 205 mm, 幅 10 mm) 砥石周速度 26 m/s 加工材 SKD11 (研削幅 8 mm 長さ 100 mm) 切り込み 5mm, 10 mm, 15 mm テーブル送り速度 0.25 m/s 研削油剤 非塩素系エマルジョン油剤 鉱物油 界面活性剤 極圧エマルジョン油剤 鉱物油 界面活性剤  極圧 添加剤(硫黄系化合物 15%) 希釈倍率 10 供給量 0.3 L/s 研削砥石 CBNC170N100BW (径 205 mm, 幅 10 mm) 砥石周速度 26 m/s 加工材 SKD11 (研削幅 8 mm 長さ 100 mm) 切り込み 5mm, 10 mm, 15 mm テーブル送り速度 0.25 m/s 研削油剤 非塩素系エマルジョン油剤 鉱物油 界面活性剤 極圧エマルジョン油剤 鉱物油 界面活性剤  極圧 添加剤(硫黄系化合物 15%) 希釈倍率 10 供給量 0.3 L/s 図 5 研削抵抗と切り込み量との関係

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伴って,研削加工面粗さは増加する傾向を示す。しか し,極圧エマルジョン油剤を供給した場合には,非塩素 系エマルジョン油剤を供給した場合に比べ,研削加工面 粗さは低い値を示す。 次に,砥石作業面の状態変化を光学顕微鏡で観察した 一例を図 7 に示す。 図 7 は,非塩素系研削油剤と極圧系研削油剤をそれぞ れ供給しながら湿式研削した場合の砥石作業面の状態変 化を調べた結果の一例を示したものである。 非塩素系研削油剤を供給した場合には,図 7(a) に示す ように,研削加工後の砥石作業面には,加工材の一部が 砥粒やボンド部に溶着しているのが観察された。そこで, この溶着現象の発生過程を調べるために,砥石作業面の 状態変化を詳細に観察した。 図 8 は,非塩素系エマルジョン油剤を供給しながら湿 式研削した時の砥石作業面の状態変化を調べた結果の一 例を示したものである。 砥石作業面には,研削開始直後から金属の溶着現象が 発生してくる(矢印部)。そして,この溶着物は研削の 進行と伴に,発達・成長・脱落する。 しかし,極圧エマルジョン油剤を供給した場合には, 図 7(b) に示すように,研削後の砥石作業面の状態に,ほ とんど溶着現象は見られない。 これは,硫黄系化合物の極圧添加剤を含む極圧エマル ジョン油剤を供給すると,砥石作業面及び研削加工面へ の極圧添加剤の反応によって1),溶着物や付着物の発 生・発達・成長が抑制されたためと考えられる。 以上の結果から,研削開始直後からの研削抵抗,研削 研削砥石 CBNC170N100BW (径 205 mm, 幅 10 mm) 砥石周速度 26 m/s 加工材 SKD11 (研削幅 8 mm 長さ 100 mm) 切り込み 5mm, 10 mm, 15 mm テーブル送り速度 0.25 m/s 研削油剤 非塩素系エマルジョン油剤 鉱物油 界面活性剤 極圧エマルジョン油剤 鉱物油 界面活性剤  極圧 添加剤(硫黄系化合物 15%) 希釈倍率 10 供給量 0.3 L/s 図 6 研削加工面粗さと切り込み量との関係 (a) 非塩素系エマルジョン油剤      (b) 極圧エマルジョン油剤 図 7 研削加工後の砥石作業面

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加工面粗さ,砥石作業面の状態変化に油剤別の違いが現 れることは,目直しで形成される砥石作業面への油剤の 組成の影響による砥石作業面の形成状態の違いによるも のと考えられる。 4.あ と が き 本研究で得られた事柄を要約すると,次の通りである。 (1) 極圧添加剤を含む油剤を供給すると,非塩素系油 剤を供給した場合に比べ,砥粒突き出し速度が速く,一 定値に収束する時期が速い。 (2) 非塩素系油剤を供給して目直し,続いて研削を行 うと,極圧系油剤を供給した場合に比べ,研削開始直後 からの研削抵抗,研削加工面粗さなどの研削性能は劣る ことが分かった。これは,供給油剤に含まれる極圧添加 剤の作用と効果の有無によるものであることが明らかと なった。 参 考 文 献 1) 冨田 進,重松日出見:研削油剤の研削性能に及 ぼす影響(第 1 報),日本機械学会論文集 C 編,48, 435 (1982) 1862. 冨田 進,重松日出見:研削油剤の研削性能に及 ぼす影響(第 2 報),日本機械学会論文集 C 編,51, 467 (1985) 1596. 図 8 溶着部の成長・脱落

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