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特集「多様な社会的責任を担うコンピュータセキュリティ技術」の編集にあたって

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Academic year: 2021

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(1)Vol. 46. No. 8. Aug. 2005. 情報処理学会論文誌. 特集「多様な社会的責任を担うコンピュータセキュリティ技術」の 編集にあたって 松. 浦. 太†. 幹. 本年 4 月の個人情報保護法完全施行をきっかけとし. 責任を自覚していることの証になると信ずればこそで. て,同法関連の書籍が売り上げを伸ばしているようで. ある.. ある.プライバシーマークや ISMS 認証などの情報. しかし一方では,過度に厳しい印象を与えかねない. セキュリティ関連の認証取得を目指す企業も増えてい. 文面の論文募集が不適切に投稿を抑制すると,査読と. るようだ.すなわち,企業その他各種法人が,情報セ. いう重要な評価と研究改善の機構が阻害されるのでは. キュリティに関わる活動を社会的責任の観点からとら. ないかという懸念もあった.正直,そのような逆効果. えなおしつつある.まだまだ十分ではないとはいえ,. が出ぬよう念じつつ,投稿期間を過ごした.幸い,念. そして必ずしも自発的とは限らないとはいえ,情報セ. ずれば通じたのか,本特集にはまさに多様な論文が 65. キュリティ技術を利用する側に社会的責任という考え. 件投稿された.取り下げ 3 件を除く 62 件のうち 29 件. 方が広まる傾向にあるのだ.そのような時代に,情報. が採択され,採択率(47%)は予想(55%)を下回っ. セキュリティ技術を研究し開発するコミュニティが果. たものの前年(42%)を上回り,採択件数は予想どお. たすべき社会的責任は,当然のことながらますます重. りとなった.安全性評価・解析を主題とした論文が 4. くなっているといえよう.. 件採択されたことは,1 つの特徴といってよいだろう.. コンピュータセキュリティ研究会(CSEC)は,情. 本特集の論文募集趣旨が査読編集作業に大きな負荷. 報セキュリティに関わる研究を扱うコミュニティとし. を生じさせたことは,いうまでもない.にもかかわら. てその研究対象の広範さとアプローチの多様さに 1 つ. ずこうして出版にこぎつけることができたのは,査読. の特徴があり,年に 1 回開催しているコンピュータセ. 者や編集委員,そして学会関係者の皆様方のご尽力の. キュリティシンポジウム(CSS)では,セッション名の. おかげであり,編集長として感謝の念でいっぱいであ. リストに毎年必ずといってよいほど新しいトレンドが. る.とりわけ,朴美娘編集委員には,運営・進行に関. 加味され,しかもそれがたいてい発展的な形で翌年以. わる作業を多数スムースにこなしていただいた.心か. 降に継承されている.近年は全体の規模も急拡大して. ら感謝申しあげたい.. おり,本特集への投稿を積極的に呼びかけた CSS2004 では,参加者 245 名,発表論文 140 件(その前年は. 「多様な社会的責任を担うコンピュータセキュリティ. 113 件)にまでなった.この事実に研究分野の発展を. 技術」特集号編集委員会. 感じ取るのは,関係者にとって幸せなことかもしれな. • 編集長 松浦幹太(東京大). い.しかし,ある種の満足感のようなものが油断につ ながって安全・安心の基礎となるべき評価の軽視がも. 脅威に対して早めに適切な備えをすることは,コン. • 編集委員(五十音順) 岩村恵市(キャノン),岡本栄司(筑波大),菊池 浩明(東海大) ,櫻井幸一(九大) ,佐々木良一(東. ピュータセキュリティの基本である.そこで,本特集. 京電機大) ,下川俊彦(九州産業大) ,新保 淳(東. では,質の高い評価をともなった論文を広く募集する. 芝) ,田中 清(信州大),田中俊昭( KDDI 研究. こととした.しかも,評価の方法論としては,暗号理. 所) ,寺田真敏(日立) ,西垣正勝(静岡大) ,沼尾. 論だけでなく実証実験によるアプローチや社会科学も. 雅之(日本 IBM),朴 美娘(三菱電機),村山. 含めて,幅広いスペクトラムを対象とした.この姿勢. ,渡辺 優子(岩手県立大) ,盛合志帆(ソニー CE). を示すことこそが,現在,このコミュニティが社会的. 健次(佐賀大). たらされると,もはや健全な発展とはいえなくなって しまう.これは,脅威といってもよい.. † 東京大学. 1823.

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