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新興国における日本企業の市場戦略

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Academic year: 2021

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修士論文要旨

論文タイトル:

「新興国における日本企業の市場戦略」

学籍番号:

AM18013

名:

LI MENGYANG

指導教授:伊藤善夫教授

【論文の構成】

はじめに 第 1 章 問題認識の提示及び研究目的 第 2 章 「新興国市場戦略」に関する先行研究 第 3 章 日系企業の中国市場における事例研究 第 4 章 論文仮説の構築とアンケート調査 第 5 章 実証分析 第 6 章 考察 第 7 章 結論及び今後の課題 おわりに

【論文の内容】

1.問題認識と研究目的 本研究では、新興国市場が急速に成長しているという背景において、近年の日本企業の海外展開状況 を分析し、新興市場の開拓が重要視されていることに反して十分進展していないという問題意識を持っ ている。そこで、新興市場の一つである中国市場に進出している日本企業において、具体的な市場戦略 を考察し、市場開拓活動に何が影響を与えているのかを認識することを研究目的とした。 2.研究方法 まず日本企業の海外事業展開に関する議論を先行研究として取り上げ、近年の日本企業の海外展開の 現状を分析するとともに、新興市場を開拓することに成功している日本企業の事例研究により、これら 企業に共通する特徴を見出し、仮説を導き出す。そして、アンケート調査を行い、調査データを用いて 仮説を実証する。 3.先行研究 (1)新興国市場に関する研究 経済産業省(2015, p.6)によれば、「新興国においては、日本の 1960 年代と同様に、経済の高度成 長に併せ中間層ともいうべき大量の消費者層が誕生してきている。」この新しく現れた消費者層は、日 本企業の今後の新たな市場戦略の対象として考えられる。経済産業省(2012,p.108)によれば、「新中 間層の構成は、所得により、上位中間層と下位中間層に分けられる。」という。新中間層は、近年の経 済の急速な発展に伴って、収入水準が大幅に向上した層であり、この部分の人口が多くなるが、同時に、 中間層市場の消費者ニーズの変化があり、日本企業はこの変化の把握に成功しているとは言えない。 (2)日本企業の市場開拓戦略に関する研究 国際経済交流財団(2015,pp.58-63)によると、「新興国事業では、高い品質や性能など日本企業の 強み以外に、「低価格化」、「組織マネージメント力」、「マーケティング」が同様に特徴的な弱みと言え る。」という。この問題に対して、日本企業は新興国市場の開発状況において、昔の先進国市場との異 なる競争状況に直面し、現地情報の影響を考え、自らの市場戦略を変える必要がある。低価格化競争に 適応できると同時に、日本企業の既存の強みを維持することが必要となる。 (3)現地資源と市場戦略の関係に関する研究 現地資源活用能力は、金﨑(2015,p.32)によれば、「現地の消費者や原材料、労働力、土地などへ のアクセスといった重要な立地優位を活用する企業独自の能力である。」しかし、現地資源を活用でき るかどうかは企業にとって難題である。小井川(2017,pp.23-25)は、「消費者のニーズや嗜好を理 解しなければならない。これは現地企業よりも外国企業にとってより難しい課題である」ことを指摘し ている。現地化の進捗状況の違いについて、喬(2007,pp.27-30)は、「外部の環境的、政策的要因 というよりも、自社の経営戦略や管理手法に大きく依存するものである」と述べている。したがって、 海外進出の日本企業において、研究開発などの現地経営資源の活用から現地化を展開し、既存の市場開 拓戦略を調整し、現地状況に合わせて開拓戦略を策定する必要がある。

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4.仮説の提示と実証結果 上での考察に基づき、新興市場における日本企業の市場開拓戦略について事例を分析し、中国市場に 進出している日本企業が積極的に現地経営資源を活用することで、市場戦略に積極的な影響を与えるこ とを提示した。すなわち、「現地経営資源の利用程度が高ければ、市場開拓戦略の実施効果が高まる」 という仮説を設定した。仮 説については、日本の上場 企業2000 社を対象とした アンケート調査によって得 られたデータを使って実証 した。実証方法として、共 分散構造分析を採用した。 まず、構成概念の信頼性分 析結果であるが、「現地経営 資源の利用程度」のα係数 は0.688 であり、「市場戦 略の実施効果」のα係数は 0.560 で あ っ た 。 α 係 数 0.50 以上は許容範囲であ り、したがって2 つの構成概念は一定の信頼性を持っている。モデルの有意確率は 0.102 で、GFI=0.963、 AGFI=0.904、CFI=0.912、RMSEA=0.041 でいずれも基準範囲以内である(豊田,2007)。構造係数 を計算し、係数=0 とする帰無仮説を 10%の有意確率で棄却することができた(図中、***は 1%で有 意、**は 5%で有意、*は 10%で有意を表す、また係数に付した下線は非標準化係数を 1 に固定してい ることを表す)。構造係数の推定値は0.52 であり、仮説の妥当性があると考えることができる。 5.考察 まず、現地人材雇用割合がさらに高ければ、たくさんの労働力が使えるだけでなく、生産コストが大 幅に削減することができる。また、現地消費者のニーズ対応が良ければ、中国市場が高齢化社会になる につれて、高齢者人口のニーズ、若者のニーズなどの多様な消費者ニーズに柔軟的に対応できる。そし て、現地先端技術を持って他社と連携できれば、市場への参入障壁を回避し、コストを大幅に削減し、 現地企業と連携して開発した新製品の現地市場の魅力も高まる。 6.結論と今後の課題 本研究では、「現地経営資源の利用程度が高ければ、市場開拓戦略の実施効果が高まる」という仮説 を設定し、アンケート調査を通じて実証できた。 市場開拓戦略の実施効果に影響する要因は、現地経営資源の利用以外にもまだ多く、また市場開拓戦 略の効果が企業の収益に実際にどのように影響しているかをさらに研究する必要があると考えている。 市場開拓戦略の実施効果は企業の収益にのみならず、企業の成長性や多角化にも大きく関わっているよ うに考えられ、それらの関係をさらに探り、分析していく必要があると考えている。現地経営資源はま だ多くの側面で、企業にプラスの効果を与えていると考え、企業の経営戦略に実際にどう関わっていく かについて研究する価値があると考えている。

【主要参考文献】

1)喬 晋建(2007)「日系企業の経営現地化」,熊本学園大学産業経営研究第 26 号,pp.27-30. 2)経済産業省(2012)「新中間層獲得戦略~アジアを中心とした新興国とともに成長する日本~」,『「新 中間層獲得戦略研究会」報告書』,pp.55-108. 3)経済産業省(2015)『「通商白書 2015」報告書―我が国の新興国展開状況と新興国における競合状 況』,pp.6-50. 4)小井川 広志诸(2017)「日本企業の海外展開とグローバル人材育成の課題と展望」,關西大學商學 論集62 巻 2 号,P1-42 . 5)国際経済交流財団(2015)「2015 年度 JEF-KRA グローバルリスク・シンポジウム」,pp.58-63. 6)金﨑 賢希(2015)「新興国企業による外部資源の創造的活用と市場機会の追及」,国際ビジネス研 究,7(1), pp.32-66. 7)豊田秀樹(2007)「共分散構造分析」『共分散構造分析[Amos 編]構造方程式モデリング』,東京図書.

参照

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