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Microsoft Word - 【修正】風工学シンポ2008.docx

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インデントケーブルのドライギャロッピングに関する風洞実験

WIND-TUNNEL STUDY ON DRY GALLOPING OF INDENTED STAY CABLE

勝地弘1) 山田均2) 青木康徳3) 稲森健太3)

Hiroshi KATSUCHI1), Hitoshi YAMADA2), Yasunori AOKI3) and Kenta INAMORI3)

ABSTRACT

Wind-induced vibration of stay cables such as the rain vibration has been studied. Typical countermeasures for that is the installation of dampers or cable-surface treatment. On the other hand, dry-state galloping of stay cables is recently more concerned, and its mechanism and design criteria are now vigorously studied. It is pointed out that there is a common mechanism in them of weakening Karman-vortex shedding by the axial flow behind a cable and critical Reynolds number effect. In this study, wind-induced response and surface pressure of an indented surface cable as well as a normal surface cable were experimentally investigated in order to study the characteristics and mechanisms for dry-state galloping. Key Words: Indented stay cable, Dray-state galloping, Surface pressure, Wind-tunnel test

1.はじめに 斜張橋ケーブルに代表される斜ケーブルの空力振動に関しては,これまで多くの研究がなされ,その発生 メカニズムの解明が進んできた.このうち,降雨時に発現するレインバイブレーションは,その発現メカニ ズムから,ダンパーによる減衰付加もしくはケーブル表面加工による対策が取られ,一定の効果を上げてき た.一方,斜ケーブルでは降雨が無くとも大振幅振動が発現することが風洞実験で確かめられ,また実橋ケ ーブルでもその発現が疑われている.これはドライギャロッピングと名付けられ,発生メカニズム,設計で のクライテリアを巡って,大きな議論となっている.ドライギャロッピングの発現メカニズムとして,斜ケ ーブル背面の軸方向流の存在と臨界レイノルズ数域でカルマン渦強度が弱められる結果,ケーブルが空力的 に不安定化するとする研究成果が報告されている1),2) 本研究は,斜張橋ケーブルのドライギャロッピングの特性と発現メカニズムを検討するため,斜ケーブル を模擬した円柱模型を用いた風洞実験結果を報告するものである.対象としたケーブル模型は,ポリエチレ ン被覆の通常ケーブル,多々羅大橋で用いられているインデント加工のケーブルの2 種類である.これらの 模型を1 自由度バネ支持状態とし,振動応答,表面圧力の計測を行い,スクルートン数,端部境界条件を変 化させ,ドライギャロッピング特性の検討を行った. 1), 2) 横浜国立大学大学院 准教授,教授(〒240-8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台 79-5) 3) 横浜国立大学 大学院生(〒240-8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台 79-5)

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2.実験概要 風洞実験は,横浜国立大学の回流型風洞(測定部寸法:1.8×1.8m)で実施した.ケーブル模型は,振動模 型と圧力計測模型を兼ね,図-1 に示すように風路の外で鉛直 1 自由度バネ支持し,壁面貫通部は上下左右と も約 2D(D は直径)の開口を設けた.表-1 に実験条件を示す.風洞閉塞率を勘案してケーブル径は 86mm とした.ケーブル表面は,エポキシ樹脂製とし,多々羅大橋ケーブルを想定したインデント加工を施したも のと通常の滑面のもの(ノーマルケーブル)とした.インデント諸元は,多々羅大橋で採用された諸元をケ ーブル直径比で円周,軸方向ともに縮尺し,深さは 1mm とした(図-2 参照).ケーブル模型は,風路内に 水平に設置し,水平面内で気流偏角 0 度(気流がケーブル軸と直交)と 30 度で実験を行った.なお,偏角 30 度はバネ支持設備の制約から決まったものである.また,ケーブル端部の影響を調べるために,端板を設 置したケースも実験を行った.スクルートン数Sc は,付加質量を与えることで調整したが,圧力計測模型を 兼ねたために減衰がそれほど小さくならず,したがって基本ケースのスクルートン数もそれほど小さくはで きなかった.ケーブル表面圧力は,風路中心,中心から軸方向に1D ,4D 離れた 3 断面で計測を行い,円周 方向に15 度ピッチで圧力孔を設けた. 図-1 模型設置状況(偏角 0 度) 図-2 インデント加工パターン(単位:mm) 3.振動応答特性 図-3 に偏角 30 度におけるノーマルケーブル,インデントケーブルの振動応答を示す.ノーマルケーブル では風速25m/s(換算風速 110)あたりから,インデントケーブルでは風速 23m/s(換算風速 100)あたりか ら発散振動の発現が見られた.インデントケーブルの風速20~23m/s あたりで見られる大きな限定振動は, 再現性が敏感で,繰り返して実験すると発現しない場合もあった(図-5,Sc = 36.6 のケース参照).なお, 偏角0 度の場合は,いずれのケーブルも風速 30m/s 超まで発散振動は生じなかった. 図-4 には,端板の条件の違いによる振動応答特性の違いを示す.ノーマルケーブル,インデントケーブル ともに端板の無い状態が最も不安定であり,ノーマルケーブルでは端板を設置することで発散振動の発現が [email protected] 表-1 実験条件 項 目 諸 元 ケーブル直径 86 mm スクルートン数( 2

2

D

m

ρ

δ

17.9 – 36.6 ケーブル表面 ノーマルおよびインデント 端板 なし,1.1D,1.4D,2D 偏角 0 度および 30 度 振動数 1.78 - 2.77 Hz

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遅れることが判る.ただし,端板の大きさと振動応答状況との関係は複雑であり,更なる検討が必要である. 特に,インデントケーブルの場合には,端板の無い状態で図-3 にも示したように振動の発現が不安定である のが判る. 次に,インデントケーブル(偏角30 度)を対象に,スクルートン数が振動応答に及ぼす影響について調べ た.図-5 に示すように,実験を行った範囲では,いずれのスクルートン数においても発散振動の発現風速は 同程度となった.ただし,質量付加に伴い固有振動数も低下するため,換算風速で見た場合にはスクルート ン数の増加に伴い,発現換算風速も上昇することが判る. ギャロッピング発現風速を振動振幅A/D = 0.2 で見た場合,スクルートン数 20 程度で換算風速 90-110 程度, 同35 程度では換算風速 120-150 程度になる.スクルートン数と発現風速の関係では,斉藤ら3)の実験結果 (発現風速指標)よりも安全側の結果であるが,本実験での偏角が30 度であることから直接の比較はできな い.また,松本ら4)の空力対策ケーブルに対する実験結果(偏角 45 度)とは,概ね同程度となっている. 本実験でのスクルートン数は比較的狭い範囲(18~37)での検討であることから,空力減衰を計測し,いわ ゆるV-A-δ曲線から,より大きなスクルートン数での応答振幅を推定した(図-6 参照).V-A-δ曲線算出のた めの格子点の数にも影響を受けていると思われるが,図-3(1)に示すインデントケーブルの応答振幅(Sc = 19.7) と図-6 の Sc = 18.7 での応答振幅が完全には一致しないものの,図-6 より,スクルートン数の増大に伴い最大 振幅も低減することが判る. (1) 風洞風速と振動振幅 (2) 換算風速と振動振幅 図-3 ケーブル表面の違いによる風速と振動応答の関係 (端板なし,偏角30 度,Sc:17.9(ノーマル),19.7(インデント)) (1) ノーマルケーブル (2) インデントケーブル 図-4 端板条件の違いによる風速と振動応答の関係 (偏角30 度,Sc:16.1 – 19.9(ノーマル),19.7 – 20.5(インデント)) 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 0 5 10 15 20 25 30 振動振幅 (A /D ) 風洞風速(m/s) ノーマル インデント 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 0 20 40 60 80 100 120 振 動振幅( A / D ) 換算風速 ノーマル インデント 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 0 5 10 15 20 25 30 振動 振幅 (A/D ) 風洞風速(m/s) 端板なし 1.1D端板 1.4D端板 2.0D端板 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 0 5 10 15 20 25 30 振 動振幅 (A /D ) 風洞風速(m/s) 端板なし 2.0D端板

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(1) 風洞風速と振動振幅 (2) 換算風速と振動振幅 図-5 スクルートン数(SC)の違いによる風速と振動応答の関係 (インデントケーブル,端板なし,偏角30 度) 4.表面圧力特性 図-7 には,Re = 1.8-1.9e+05 程度における平均圧 力係数Cp分布を示す.なお,圧力孔位置の円周角 度は断面よどみ点を基準に反時計回りに定義した. インデントケーブル,偏角30 度のケースにおいて は,剥離点付近で大きな負圧を取り,背面では圧 力回復が見られる.表面圧力を積分し,抗力係数, 揚力係数を算出し,レイノルズ数との関係を示し たのが図-8 である.インデントケーブル,偏角 30 度のケースでは,Re = 1.2e+05 あたりから抗力係 数が低下し始め,1.9e+05 あたりで最低となる. 同時に,揚力係数も増大し,1.5e+05 あたりで極 大値を取る.これらのことから,インデントケー ブル,偏角30 度においては,臨界レイノルズ数に 達していると判断される. 次に,ノーマルケーブル,インデントケーブル について,抗力係数の変化と振動応答を図-9 に示 す.なお,図中の抗力係数は,ノーマルケーブル は端板なし,インデントケーブルは端板 2D のも のである.なお,抗力係数は模型中心位置での計 測のため,端板の有無による抗力係数への影響は ほとんどなかった.ノーマルケーブルの場合,発 散振動が発現する領域での抗力係数が得られてい ないが,インデントケーブルの場合は,臨界レイ ノルズ数領域での抗力係数の低下と発散振動の発 現とが重なっており,従来から指摘されている事 実と一致する. 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 0 5 10 15 20 25 30 振動 振幅 (A / D ) 風洞風速(m/s) Sc = 36.6 Sc = 36.6 (2) Sc = 24.8 Sc = 20.5 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 0 20 40 60 80 100 120 140 160 振動振幅 (A /D ) 換算風速 Sc = 36.6 Sc = 36.6 (2) Sc = 24.8 Sc = 20.5 図-6 空力減衰から推定したスクルートン数と 振動振幅の関係(インデントケーブル,端板なし, 偏角30 度) 図-7 平均圧力係数分布(Re = 1.8-1.9e+05 付近) 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 0 5 10 15 20 25 30 振動振 幅(A/D ) 風洞風速(m/s) Sc = 18.7 Sc = 29.8 Sc = 40.9 Sc = 52.0 -2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5 0 60 120 180 240 300 360 Cp 円周角度(deg) ノーマル,偏角0度 インデント,偏角0度 ノーマル,偏角30度 インデント,偏角30度

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(1) 抗力係数 (2) 揚力係数 図-8 レイノルズ数と抗力,揚力係数の関係 (1) ノーマルケーブル (2) インデントケーブル(端板 2D) 図-9 抗力係数と振動応答の関係 図-10 は,レイノルズ数 1.38e+05 付近における異なるケーブル条件での変動圧力係数 Cprms分布を示したも のである.このレイノルズ数は,インデントケーブル,偏角30 度においては発散振動が発現する直前の値で ある.また,それ以外のケースでは振動は発現していない.インデントケーブル,偏角30 度のケースにおい ては,発散振動が発現する直前で上面剥離点付近での変動圧力係数が他のケースよりも大きい.また,図-11 はインデントケーブル,偏角30 度における異なるレイノルズ数での変動圧力係数分布を示したものである. これより,発散振動が発現する直前のRe = 1.38e+05 では,上面剥離点付近で変動圧力係数が大きく増大し, 流れが非対称となっている.さらに発散振動が発現した後(Re = 1.91e+05)では,逆に下面剥離点付近の変 動圧力係数が上面剥離点付近よりも大きくなり,流れが非対称となっている.ただし,全体的に変動圧力係 数が小さくなっているが,これは,流れが超臨界域に達し,ウェイクが低減したためと考えられる. 図-12 は,インデントケーブル,偏角 30 度において,ケーブル軸方向に異なる位置での変動圧力係数分布 を示したものである.中心は,ケーブルの風路中央点,1D 下流はケーブル中心から軸線に沿って1D の距 離だけ下流側へ離れた点,4D 上流は逆に4D の距離だけ上流側へ離れた点である.全般には,3 点とも同 じような挙動を示しているが,特に,上下面剥離点から後ろ側では,概ね4D 上流>中心>1D 下流の順で, 変動圧力係数が小さくなっている.これは,既往の研究4)で指摘されている上流端で軸方向流が強くなり, カルマン渦強度が弱められた結果,励振力(変動圧力係数)が大きくなる現象が本実験ケースにおいても再 現されているものと推察される. 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 CD レイノルズ数 ×105 インデント,偏角30度 ノーマル,偏角30度 インデント,偏角0度 -0.1 0.0 0.1 0.2 0.3 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 CL レイノルズ数 ×105 インデント,偏角30度 ノーマル,偏角30度 インデント,偏角0度 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 CD 振動振幅( A/ D ) レイノルズ数 ×105 端板なし 端板径1.1D 端板径1.4D 端板径2D Cd 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 CD 振動振幅( A/ D ) レイノルズ数 ×105 Sc = 20.2 Sc = 35.8 Sc = 35.8(2) Sc = 24.8 Cd

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図-10 異なるケーブルでの変動圧力係数分布 図-11 異なるレイノルズ数での変動圧力係数分布 (Re = 1.38e+05 付近) (インデントケーブル,偏角 30 度) 5.まとめ ノーマルケーブルとあわせてインデント加工を 施した斜ケーブルのドライギャロッピング特性に 関して,振動応答,表面圧力特性から検討を行っ た.得られた結果は以下の通りである. 1)インデントケーブル,ノーマルケーブルとも に,偏角30 度において,ドライギャロッピン グが発現した. 2)ドライギャロッピングの発現は,臨界レイノ ルズ数域と重なっており,ケーブル軸方向に添 ったケーブル背面で変動圧力が大きくなって いることが確認された. 3)ドライギャロッピング発現風速(無次元振幅0.2D)は,スクルートン数 20 程度で換算風速 90-110 程度, 同35 程度では換算風速 120-150 程度となる. 今後は,既往の研究で整理されている偏角(45 度など)の条件や表面圧力,後流特性などの詳細な検討が 必要と思われる. 参考文献

1) Chen, S., Irwin, P.A., Jakobsen, J.B., Lankin, J., Larose, G.L., Savage, M.G., Tanaka, H. and Zurell, C., Divergent Motion of Cables exposed to skewed Wind, Proc. of Cable Dynamics, pp. 271-278, 2003.

2) Larose, G.L., Jakobsen, J.B. and Savage, M.G., Wind-tunnel Experiments on an Inclined and Yawed Stay Cable Model in the Critical Reynolds Number Range, Proc. of Cable Dynamics, pp. 279-286, 2003.

3) Saito, T., Matsumoto, M. and Kitazawa, M., Rain-wind Excitation of Cables on Cable-stayed Higashi-Kobe Bridge and Cable Vibration Control, Proc. of Cable-stayed and Suspension Bridges, Vol.2, pp.507-514, 1994.

4) Matsumoto, M., Yagi, T., Hatsuda, H., Shima, T. and Tanaka, M., Sensitivity of Dry-state Galloping of Cable Stayed Bridges to Scruton Number, Proc. of Cable Dynamics, pp.331-338, 2007.

0 0.04 0.08 0.12 0.16 0.2 0 60 120 180 240 300 360 Cpr ms 円周角度(deg) インデント,偏角0度 ノーマル,偏角30度 インデント,偏角30度 0 0.04 0.08 0.12 0.16 0.2 0 60 120 180 240 300 360 Cpr ms 円周角度(deg) Re = 6.52e+04 Re = 1.38e+05 Re = 1.91e+05 図-12 異なるケーブル位置での変動圧力係数分布 (Re = 1.38e+05) 0 0.04 0.08 0.12 0.16 0.2 0 60 120 180 240 300 360 Cpr m s 円周角度(deg) 1D下流 中心 4D上流

参照

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