厚生労働科学研究費補助金 地域医療基盤開発推進研究事業
医療の国際化に関する国内医療機関の課題の明確化と 国際情勢の把握に関する研究
平成23年度 総括・分担研究報告書
研究代表者 遠藤 弘良
平成24年(2012年)3月
目次
I. 総括研究報告
医療の国際化に関する国内医療機関の課題の明確化と国際情勢の把握に 関する研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 遠藤弘良
Ⅱ.分担研究報告
1.外国人患者の受入れのための医療機関のマニュアル(暫定版)の検証と改訂・・・・・・ 7 岡村世里奈
[資料] マニュアル改訂部分
2.医療をめぐる国際情勢の把握・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13 岡村世里奈
3.ワークショップ「医療機関の国際化に向けて ―現状と課題―」の開催・・・・・・・・・ 20 遠藤弘良
岡村世里奈
[資料1] ワークショップ プログラム
[資料2] ワークショップ プレゼンテーション内容
I.総括研究報告書
1
厚生労働科学研究費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)
総括研究報告書
医療の国際化に関する国内医療機関の課題の明確化と国際情勢の把握に関する研究
研究代表者: 遠藤弘良 東京女子医科大学国際環境・熱帯医学講座 教授
研究要旨
平成 22(2010)年度の厚生労働科学特別研究事業として「国際医療交流(外国人患者の受入れ)へ の対応に関する研究」を実施し、海外にアピールできる日本の医療技術や国内医療機関における国際医 療交流の実態の把握、外国人患者の受入れのための医療機関のマニュアル(暫定版)の作成を行い、一 定程度の知見が得られた。平成23年度はこの平成22年度の研究成果を基に次の結果を得た。
(1)平成 22 年度の研究で作成したマニュアルについて、医療現場で実際に外国人患者を受け入れ ている医療関係者や事務職員等と意見交換を行い、その実用性や内容について検証した。その結果、本 マニュアルは、海外からの外国人患者の受入れ体制を整備しようと考えている医療機関にとって実用性 の高いものになりうることが分かった。しかしその一方で、本マニュアルだけでは医療機関が望む具体 的な情報や最新の情報をすべてカバーすることはできないことも分かった。そのため、今後、海外から の外国人患者の受入れ体制を整備したいと考えるわが国の医療機関のニーズに対応するためには、マニ ュアルだけではなく、マニュアル+α(例えば、定期的なワークショップや事例集の提供等)の体制で 取り組むことが最も効果的なものと考えられる。
(2)医療分野をめぐる国際情勢を把握するために、国際学会への参加、サハリンの医療事情調査、
外国人患者へのヒアリングを行った。近年、Medical Tourismの分野では患者の適切な医療機関選択を 推進するために「All Inclusive Plan」に関する情報提供が主流になったり、国際医療交流に伴う支払い や医療事故に関する問題を解消するために国を超えた医療機関、保険会社、ファシリテーター会社間の 連携関係が強化されたりするなど、国際医療交流の質を高めるための様々な新たな動きが登場してきて いる。ロシアでは日本の医療に対する評価や受診の期待も高いが、日本の診療情報が他国と比較して大 変少ないことが指摘された。
(3)既に医療機関の国際化に取り組んでいる病院や、これから取り組みを開始する病院の関係者等 を対象にワークショップ「医療機関の国際化に向けて ―現状と課題―」を開催し、平成22 年度の研 究の成果を情報提供するとともに、参加医療機関における取り組みの現状や課題等の議論を行った。
参加者は国際医療交流に関する理解を深めることができ、院内のスタッフの教育育成と院内の受入れ体 制の整備の必要性、海外の保険会社、関係機関とのパートナーシップ作りの重要が再認識された。一方、
経産省、厚労省等の国際医療交流に関わる政府の対応を統一して、情報提供を促進するとともに、窓口 を一本化して欲しいとの要望が出された。日本における国際医療交流を発展させるためには、今後もこ うした形の情報提供や意見交換の場を何らかの形で設けていく必要があるといえる。
2 氏名・所属機関名および職名
(研究分担者)
・岡村世里奈 国際医療福祉大学大学院医療経営 管理分野准教授
A.研究目的
平成22年6月に策定された政府の「新成長戦 略」にて、医療の国際化推進として国際医療交流
(外国人患者の受入れ)が示された。そこで、同 22年度の厚生労働科学特別研究事業として「国際 医療交流(外国人患者の受入れ)への対応に関す る研究」に取組み、我が国が国際医療交流を進め るにあたっての課題等に関する研究を行った。
その中で、海外にアピールできる日本の医療技 術等を明らかにする研究、外国人患者受入れに必 要な医療機関の条件に関する研究(外国人患者受 入れ医療機関の機能に関する研究、外国人患者受 入れの際に考えられる問題点を明らかにする研 究)を行い、一定程度の知見が得られた。
しかし、外国人患者の受入れのための医療機関 のマニュアル(暫定版)の作成までは到達したも のの、より良いマニュアル作成のためには、さら に実用性について検証する必要がある。
国際医療交流という視点に留まらずに、外国人 が安心して日本で過ごせる環境を整備するという 観点からも、医療機関において外国人患者のスム ーズな受け入れのための体制を整備することは非 常に重要である。本研究でのマニュアルの改訂作 業は、それらの体制整備に資するものになると考 えられる。
また国際化の進む現代では、医療分野において も、患者、医療従事者、医療機関の国境を越えた 移動はすでに大きな潮流となっている。わが国が 国際医療交流に取り組みにあたっては、絶え間な く変化する国際情勢を敏感に察知することは重要 な課題であり、国際情勢の把握は、それに資する 成果となりうる。
最終的には、これらの成果を既に医療機関の国
際化に取り組んでいる病院や、これから取り組み を開始する病院の関係者等を対象に広く情報発信 し、より具体性を伴った、実用的な取り組みとな ることが期待される。
B.研究方法
1.外国人患者の受入れのための医療機関のマニ ュアル(暫定版)の検証と改訂
平成22年度の研究で作成したマニュアルにつ いて、医療現場で実際に外国人患者を受け入れて いる医療関係者や事務職員等と意見交換会を行い、
その実用性や内容について検証した。
2.医療をめぐる国際情勢の把握
文献調査と訪問調査、聞き取り調査の3つを行 った。文献調査では、医療の国際化や国際医療交 流に関する最新の動向を把握するため、関連する 文献の収集・分析を行った。訪問調査では、医療 の国際化に関する国際会議に出席し、医療の国際 化をめぐる国際動向や国際的課題等について情報 収集を行うとともに、新成長戦略において外国人 患者受入れのターゲット国の1つなっているロシ ア(サハリン)の医療機関や医療関係者を訪問し て、ロシア(サハリン)の医療事情や Medical
Tourismの実情に関する情報を収集した。聞き取
り調査では、日本の医療機関の受入れの現状や課 題を把握するため、日本の医療機関で治療や検査 を受けた海外からやってきた外国人患者に対して 聞き取り調査を行った。
3.ワークショップ「医療機関の国際化に向けて
―現状と課題―」の開催
医療機関の国際化に関するワークショップを開 催し、既に医療機関の国際化に取り組んでいる病 院や、これから取り組みを開始する病院の関係者 等を対象に、本研究の成果を情報提供するととも に国際医療交流の課題について意見交換を行った。
(倫理面への配慮)
3 特に問題なし
C.研究結果
1.外国人患者の受入れのための医療機関のマニ ュアル(暫定版)の検証と改訂
本研究では、実際に海外からの外国人患者の受 入れに携わっている医療機関の担当者やファシリ テーターならびに、これから海外からの外国人患 者の受入れに取り組もうとしている医療機関の担 当者計 10 名に対してマニュアルを配布し、閲覧 してもらった上で、その内容や実用性についてヒ アリングを行った。その主な結果は以下のとおり である。
(1)マニュアルの項目・記述内容の妥当性 全員が本マニュアルの項目・記述内容について は、「妥当」あるいは「大変参考になる」と回答し た。
(2)マニュアルの実用性
マニュアルの実用性については、特に、これか ら海外からの外国人患者の受入れ体制を整備しよ うとしている医療機関の担当者から、「外国人患者 の受入れ体制を整備するために参考となるものが これまで日本にはほとんどなかったことから、そ の意味では大変参考になるが、できればもっと具 体的な内容についても触れてほしい」という意見 が多く聞かれた。また、「マニュアルだけでは、マ ニュアルに沿って体制を整備したとしてもそれが 本当に適切なものかどうか最終的な判断ができな いので、できればマニュアルといった印刷物だけ ではなく、そのあたりの判断ができるような場(例 えばワークショップや勉強会等)があると有難い」
といった意見が聞かれた。
(3)マニュアルに加えてもらいたい内容
マニュアルに加えてもらいたい内容については、
「契約書等のサンプル」、「(失敗談等の)事例集」、
「海外の情報」等の意見が寄せられた。
2.医療をめぐる国際情勢の把握
(1)文献調査・国際学会
1)「Medical Tourism」概念をめぐる議論の動向 国際的には、「Medical Tourism」=「患者が国 境を越えて他国の医療機関等で医療サービス等を 受けること」という解釈が基本的には成り立って いるが、近年、このような解釈に対して様々な議 論や混乱が生じるようになってきている。
2)Medical Tourismをめぐる最近の傾向 言葉や概念の問題以外にもMedical Tourismに 関する最近の動向としては、以下の2点を指摘す ることができる。
①国の異なる医療機関、保険会社、ファシリテ ーター会社間における連携の活発化
②「All Inclusive Plan」(もしくは「All Inclusive Cost」)という考え方によって、渡航先を決める患 者や提携先医療機関を探す保険会社等が増えてき ている。
(2)訪問調査―ロシア(サハリン)の医療事情
―
1)医療費は原則無料であるものの、待ち時間が 非常に長く、日本では 1、2 日で済むような検査 でもサハリンでは3カ月近くかかることも珍しく ないということであった。
2)医療施設は非常に古く、医療機器の整備状況 も日本に比べて非常に遅れているということであ る。
3)サハリン市内には、韓国のファシリテーター 会社による韓国へのMedical Tourismの案内所が あり、韓国の医療機関への受診を宣伝するTVコ マーシャルも流れていることから、韓国の医療機 関で治療や精密検査を受ける患者が急速に増えて きているということであった。
(3)聞き取り調査―ロシア人患者
日本の医療機関で治療や検査を受けたロシア人 患者4名に対して日本の医療機関を受診した理由 や実際に受診した上での感想や困った点等につい て聞き取り調査を行い、次の回答を得た。
1)海外の医療機関を受診しようと考えた理由
4 自国では医療レベルや待ち時間の問題から、自 らの希望する医療を受けることが困難であり、そ のため、海外の医療機関を受診しようと考えた。
2)日本の医療機関を受診した理由
日本は経済や技術レベルが発展していることか ら、医療レベルもきっと高く信頼できると感じた。
家族や知り合いが日本の医療機関で治療や検査を 受けた経験があり、その体験談が日本の医療機関 受診を決心した大きな理由になった。
3)他国の医療機関との比較検討
海外の医療機関についても比較考慮した。比較 した国はイスラエル、シンガポール、韓国であっ た。
4)日本の医療機関を受診して特に満足した点 日本での治療や検査に非常に満足している。特 に良かった点は、①医療設備が整っていることの 他、②スムーズに治療や検査を受けることができ たこと、③看護師や医療スタッフが親切であった こと、④自国では受けることができない正確な診 断や治療を受けることができたことである。
5)日本の医療機関を受診して感じた問題点 多くの患者が、自国で日本の医療機関の情報を ほとんど知ることができない。例えば、イスラエ ルやシンガポールの医療機関についても検討した 患者によれば、イスラエルやシンガポールの病院 は、ロシア語のホームページが用意されており、
そのホームページを見るだけで、いわゆる「All
Inclusive Plan」の概要を把握することができ、
もっと詳しい情報を知りたい場合には、電話をす ればロシア語で説明を受けることができた。これ に対して、日本の医療機関については、どんなに 探しても必要な情報を入手することができず、日 本だから大丈夫だとは思っていたが、やはり詳細 が分からなかったのは不安であった。
また、情報入手の問題とならんで、患者から課 題の1つとして掲げられていたのが「価格の問題」
であった。患者は必ずしも経済的に余裕があるわ けではなく、今回回答してくれた患者の中には、
日本で精密検査を受けて、異常が見つかったもの
の治療を受ける経済的余裕はないということで、
治療は自国に帰って行った者もいた。
3.ワークショップ「医療機関の国際化に向けて
―現状と課題―」の開催
2日間のワークショップには全国計 25 機関よ り計 45 名が参加した。各セッションのプレゼン テーション毎に質疑応答を行った他、全体を通じ てのディスカッションならびにアンケート調査を 行った。参加者は国際医療交流に関する理解を深 めることができ、院内のスタッフの教育育成と院 内の受入れ体制の整備の必要性、海外の保険会社、
関係機関とのパートナーシップ作りの重要が再認 識された。一方、経産省、厚労省等の国際医療交 流に関わる政府の対応を統一して、情報提供を促 進するとともに、窓口を一本化して欲しいとの要 望が出された。
D.考察
1.外国人患者の受入れのための医療機関のマニ ュアル(暫定版)の検証と改訂
ヒアリング調査の結果、マニュアルの項目や記 述内容については、すべての回答者が「妥当なも の」あるいは「役に立つ」と回答しており、海外 からの外国人患者の受入れマニュアルとしては、
本マニュアルは一定の役割を果たすことができる ものと考えられる。しかし、その一方で、特にこ れから海外からの外国人患者の受入れに取り組も うとしている医療機関の担当者はできるだけ具体 的な情報を望む傾向があり、その点で本マニュア ルに満足していないことが分かった。しかし、一 口に海外から外国人患者を受入れるといっても、
その具体な受入れの形はその医療機関の規模や性 質、対象とする外国人患者の出身国や類型によっ て様々である。そのため、1 冊のマニュアルの中 にあらゆる情報を詰め込むことは不可能である。
また、印刷物である以上、常に最新の情報を提供
5 することも不可能である。今回のマニュアル改訂 版では、例えば、外国人患者の受入れに関する海 外の動向を知りたい医療機関の担当者向けに、そ の情報を入手できる情報先についての情報を追記 してみたが、できることにはどうしても限界があ る。
以上を踏まえれば、海外からの外国人患者の受 入れ体制を整備したいと考えるわが国の医療機関 のニーズに対応するためには、マニュアルだけで はなく、マニュアル+α(例えば、定期的なワー クショップや事例集の提供等)で取り組むことが 最も効果的なものと考えられる。
2.医療をめぐる国際情勢の把握
「Medical Tourism」に関しては、患者が国境 を越えて他国の医療機関を受診するというその
「国際性」の側面や「産業性」の側面が注目され ているが、その本質は、患者が自らの医療ニーズ を満たすため医療機関を受診するということであ る。そのため肝要になってくるのは、国内におけ る議論と同様、患者と医療機関(もしくは支払い を行う保険会社)間の信頼関係をいかに構築して、
患者に対して適切で安全な医療を提供していくか ということである。日本の医療機関においても国 際医療交流を推進していくためには、もっと海外 の医療機関や保険会社、ファシリテーター会社等 との連携構築を模索していくことも必要になって くるものと考えられる。
また、実際に日本の医療機関で治療や検査を受 けた患者の評価は非常に高い。しかし、現在、海 外の医療機関を受診しよう考える患者の多くは、
複数の国の医療機関の「ALL Inclusive Plan」等 を比較検討し、その検討結果に基づいて渡航先を 決定する傾向が強くなってきており、日本におい て国際医療交流を推進していくためには、こうし た情報提供に力を注ぐことも重要になってくるも のと考えられる。
3.ワークショップ「医療機関の国際化に向けて
―現状と課題―」の開催
これまでも諸外国におけるメディカルツーリズ ムの紹介を中心とした講演会やワークショップは 開催されてきた。しかし国際医療交流に関心の高 い医療機関を対象にして、事例を基にした日本国 内の国際医療交流の具体的な進め方の解説や関係 省庁における政策の解説も交えた今回のような形 式のワークショップは初めてであった。
参加者の間で積極的に質疑応答や議論が展開さ れ、本ワークショップに対する評価は高く、開催 の意義があったと言える。しかしそれだけにいま だに国際医療交流の情報が不足していることや関 心のある医療機関同士の意見交換・情報交換の場 がないことが明らかとなった。
日本のおける国際医療交流を発展させるために は、今後もこうした形の情報提供や意見交換の場 を何らかの形で設けて行く必要があるといえる。
E.結論
1.外国人患者の受入れのための医療機関のマニ ュアル(暫定版)の検証と改訂
本マニュアルは、これから海外からの外国人患 者の受入れ体制を整備しようと考えている医療機 関にとっては役立つものになるものと考えられる。
しかし、マニュアルだけで具体的な情報や最新の 情報をすべてカバーすることはできない。そのた め、海外からの外国人患者の受入れ体制を整備し たいと考えるわが国の医療機関のニーズに対応す るためには、少なくとも現時点では、マニュアル だけではなく、マニュアル+α(例えば、定期的 なワークショップや事例集の提供等)で取り組む ことが最も効果的なものと考えられる。
2.医療をめぐる国際情勢の把握
国際医療交流は、それぞれの国の医療制度、政 治的・社会的文化的背景をもとに進められており、
必ずしも世界の動向に翻弄されることなく、日本
6 においては現行の医療制度を踏まえた視点からの 推進が肝要である。しかし、その一方で、近年、
Medical Tourismの分野では、患者の適切な医療
機関選択を推進するために「All Inclusive Plan」 に関する情報提供が主流になったり、国際医療交 流に伴う支払いや医療事故に関する問題を解消す るために国を超えた医療機関、保険会社、ファシ リテーター会社間の連携関係が強化されたりする など、国際医療交流の質を高めるための様々な新 たな動きが登場してきている。そのため、日本に おいても、このような国際医療交流の質を高める ための動きについては、きちんとその国際的動向 を把握し、日本としての対応の在り方を検討して いくことが肝要と考えられる。
3.ワークショップ「医療機関の国際化に向けて
―現状と課題―」の開催
参加者は国際医療交流に関する理解を深めるこ とができるとともに、院内のスタッフの教育育成 と院内の受入れ体制の整備の必要性、海外の保険 会社や関係機関とのパートナーシップ作りの重要 が再認識された。一方、経産省、厚労省等の国際 医療交流に関わる政府の対応を統一して、情報提 供を促進するとともに、窓口を一本化して欲しい との要望が出された。今後も今回開催した形の情 報提供や意見交換の場を何らかの形で設けていく 必要があるといえる。
F.健康危険情報
なし
G.研究発表
なし
H.知的所有権の出願・取得状況(予定を含む)
1.特許取得 0件
2.実用新案登録 0件
3.その他 0件
Ⅱ.分担研究報告書
7
平成23年度厚生労働科学研究費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)
「医療の国際化に関する国内医療機関の課題の明確化と国際情勢の把握に関する研究」
分担研究報告書
外国人患者の受入れのための医療機関のマニュアル(暫定版)の検証と改訂
研究分担者:岡村世里奈 国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授
研究要旨
平成 22 年度の厚生労働科学特別研究事業として実施した「国際医療交流(外国人患 者の受入れ)への対応に関する研究」では、その研究の一環として、外国人患者の受入 れのための医療機関のマニュアル(暫定版)を作成した。しかし、より良いマニュアル にするためには、その実用性について検証する必要がある。そこで本研究では、実際に 海外からの外国人患者の受入れに携わっている医療機関の担当者やファシリテーター ならびに、これから海外からの外国人患者の受入れに取り組もうとしている医療機関の 担当者に対してマニュアルを閲覧してもらい、その上でヒアリングを行うことによっ て、その実用性について明らかにすることを目的とした。
本調査の結果、本マニュアルは、海外からの外国人患者の受入れ体制を整備しようと 考えている医療機関にとって実用性の高いものなりうることが分かった。しかしその一 方で、本マニュアルだけでは医療機関が望む具体的な情報や最新の情報をすべてカバー することはできないことも分かった。そのため、今後、海外からの外国人患者の受入れ 体制を整備したいと考えるわが国の医療機関のニーズに対応するためには、マニュアル だけではなく、マニュアル+α(例えば、定期的なワークショップや事例集の提供等)
の体制で取り組むことが最も効果的なものと考えられる。
A.研究目的
平成 22 年度の厚生労働科学特別研究事業と して実施した「国際医療交流(外国人患者の受 入れ)への対応に関する研究」では、その研究 の一環として、外国人患者の受入れのための医 療機関のマニュアル(暫定版)を作成した。し かし、より良いマニュアルにするためには、そ の実用性について検証する必要がある。そこで 本研究では、実際に海外からの外国人患者の受 入れに携わっている医療機関の担当者やファシ リテーターならびに、これから海外からの外国 人患者の受入れに取り組もうとしている医療機 関の担当者に対してマニュアルを閲覧してもら い、その上でヒアリングを行うことによって、
その実用性について明らかにすることを目的と した。
B.研究方法
本研究では、実際に海外からの外国人患者の 受入れに携わっている医療機関の担当者やファ シリテーターならびに、これから海外からの外 国人患者の受入れに取り組もうとしている医療 機関の担当者に対してマニュアルを配布し、閲 覧してもらった上で、その内容や実用性につい てヒアリングを行った。当該ヒアリングの対象 者数は、すでに実際に海外からの外国人患者の 受入れに携わっている医療機関の担当者が3名、
ファシリテーター経験者が1名、これから海外
8 からの外国人患者の受入れを始めようとしてい る医療機関の担当者7名の計10名である。主な ヒアリング項目は、1.マニュアルの項目や記述 内容の妥当性のほか、2.マニュアルの実用性、
3.マニュアルに加えてもらいたい内容等であ る。
(倫理面への配慮) 特になし
C.研究結果
1.マニュアルの項目や記述内容の妥当性 マニュアルの項目や記述内容については、す でに実際に海外からの外国人患者の受け入れに 携わっている医療機関の担当者ならびにファシ リテーター経験者全員が、医療機関が海外から 外国人患者の受入れを行う際に知っておくべき 項目がきちんと書かれていると回答した。また、
これから海外からの医療機関の患者の受入れを 始めようとしている医療機関の担当者からは、
「現在院内で、海外からの国人患者の受入れに 向けて体制づくりを始めようとしているが、参 考になるような書籍が日本ではまったくないた め、その点でこのマニュアルが大変役に立つ」
といった意見が多く聞かれた。
2.マニュアルの実用性について
マニュアルの実用性については、特に、これ から海外からの医療機関の患者の受入れを始め とうとしている医療機関の担当者から、「これま では海外からの外国人患者の受入れ体制をどの ように整備すればよく分からなかったので、そ の点では大変参考になったが、マニュアルだけ では、マニュアに基づいて院内の体制を整備し たり、必要書類を作ったりしても、それが本当 に適切なのかどうかの確認ができない」といっ た意見が多く聞かれ、マニュアルに一定の実用 性を認めつつも、マニュアルだけでは実際に外 国人患者の受入れ体制を整備するのは難しいと
考える医療機関の関係者が多いことが明らかと なった。
3.マニュアルに加えてもらいたい内容 マニュアルに加えてもらいたい内容について は、これから海外から外国人患者の受入れを始 めようとしている医療機関の担当者から、外国 人患者やファシリテーター事業者との契約書等、
書類のサンプルを加えてほしいとの意見が多く 聞かれた。また、すでに海外から外国人患者の 受入れを行っている医療機関の担当者からは、
「マニュアルの中には、いくつかの失敗事例や トラブル事例が紹介されているが、医療機関に とっては、こういった他の医療機関の経験(特 に失敗談やそれに対する対応策)が大変役に立 つ。マニュアルとういう形が適当かどうかは分 からないが、このような情報については、定期 的に事例集が更新されて医療機関に提供される と、医療機関としては大変有難い」という意見 が聞かれた。さらに一部の医療機関の関係者か らは、「今回のマニュアルは、日本のことばかり であったが、できれば海外の動向に関する情報 も加えてほしい」との声も挙がっていた。
D.考察
以上のヒアリング結果からも分かるとおり、
マニュアルの項目や記述内容については、すべ ての回答者が「妥当なもの」あるいは「役に立 つ」と回答しており、海外からの外国人患者の 受入れマニュアルとしては、本マニュアルは一 定の役割を果たすことができるものと考えられ る。しかし、その一方で、今回のヒアリングの 結果から、特にこれから海外からの外国人患者 の受入れに取り組もうとしている医療機関の担 当者はできるだけ具体的な情報を望む傾向があ り、その点で本マニュアルに満足していないこ とが分かった。しかし、一口に海外から外国人 患者を受入れといっても、その具体な受入れの 形はその医療機関の規模や性質、対象とする外
9 国人患者の出身国や類型によって様々である。
そのため、1 冊のマニュアルの中にあらゆる情 報を詰め込むことは不可能である。また、印刷 物である以上、常に最新の情報を提供すること も不可能である。そこで、今回のマニュアル改 訂版では、例えば、外国人患者の受入れに関す る海外の動向を知りたい医療機関の担当者向け に、その情報を入手できる情報先の情報を追記 してみたが、できることにはどうしても限界が ある。
以上を踏まえれば、海外からの外国人患者の 受入れ体制を整備したいと考えるわが国の医療 機関のニーズに対応するためには、少なくとも 現時点では、マニュアル+α(例えば、定期的な ワークショップや事例集の提供等)で取り組む ことが最も効果的なものと考えられる。
E.結論
本マニュアルは、これから海外からの外国人 患者の受入れ体制を整備しようと考えている医 療機関にとっては役立つものになるものと考え られる。しかし、マニュアルだけで具体的な情 報や最新の情報をすべてカバーすることはでき ない。そのため、海外からの外国人患者の受入 れ体制を整備したいと考えるわが国の医療機関 のニーズに対応するためには、少なくとも現時
点では、マニュアルだけではなく、マニュアα
(例えば、定期的なワークショップや事例集の 提供等)で取り組むことが最も効果的なものと 考えられる。
F.健康危険情報
該当事項無し。
G.研究発表(2010/4/1〜11/3/3発表)
1.論文、報告書、発表抄録等 なし
2.学会発表 なし
H.知的財産権の出願・登録状況 (予定を含む)
1.特許取得 該当事項無し。
2.実用新案登録 該当事項無し。
3.その他 該当事項無し。
10 [資料] マニュアル改訂部分
(1)8ページの下から2行目~9ページの6行目までを追加。
11
12
(2)19ページの13行目以下を追加。
13
平成23年度厚生労働科学研究費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)
「医療の国際化に関する国内医療機関の課題の明確化と国際情勢の把握に関する研究」
分担研究報告書
国際医療交流の国際的動向に関する研究
研究分担者:岡村世里奈 国際医療福祉大学大学院 医療経営管理分野 准教授
研究要旨
国際医療交流は、それぞれの国の医療制度、政治的・社会的文化的背景をもとに進められており、必 ずしも世界の動向に翻弄されることなく、日本においては現行の医療制度を踏まえた視点からの推進が 肝要である。しかし、その一方で、近年、Medical Tourismの分野では、今回の研究で明らかになった とおり、患者の適切な医療機関選択を推進するために「All Inclusive Plan」に関する情報提供が主流に なったり、国際医療交流に伴う支払いや医療事故に関する問題を解消するために国を超えた医療機関、
保険会社、ファシリテーター会社間の連携関係が強化されたりするなど、国際医療交流の質を高めるた めの様々な新たな動きが登場してきている。そのため、日本においても、このような国際医療交流の質 を高めるための動きについては、きちんとその国際的動向を把握し、日本としての対応の在り方を検討 していくことが肝要と考えられる。
A.研究目的
医療の国際化をめぐる状況は日々大きく変化し ている。そのため、国際医療交流について考える 際には、こうした医療の国際化をめぐる最新の動 向をきちんと把握しておくことが肝要である。そ こで本研究では、文献調査や訪問調査ならびに聞 き取り調査を行うことによって、医療の国際化を めぐる最新の動向を明らかにすることを目的とし た。
B.研究方法
本研究では、文献調査と訪問調査、聞き取り調 査の3つを行った。まず、文献調査では、医療の 国際化や国際医療交流に関す最新の動向を把握す るため、関連する文献の収集・分析を行った。次 に、訪問調査では、医療の国際化に関する国際会 議に出席して、医療の国際化をめぐる国際動向や
国際的課題等について情報収集を行うとともに、
新成長戦略において外国人患者受け入れのターゲ ット国の1つなっているロシア(サハリン)の医 療機関や医療関係者を訪問して、ロシア(サハリ ン)の医療事情やMedical Tourismの実情に関す る情報を収集した。そして、聞き取り調査では、
日本の医療機関の受入れの現状や課題を把握する ため、日本の医療機関で治療や検査を受けた海外 からやってきた外国人患者に対して聞き取り調査 を行った。
なお、上述の訪問調査ならびに聞き取り調査の 調査対象者は以下のとおりである。
<訪問調査>
(1)参加国際学会
「The 4th World Medical Tourism & Global Healthcare Conferences」(2011年10月26日~
28日)
(2)ロシア(サハリン)訪問先・訪問者
14
1)医療機関
①MEDSI クリニック(対応者: ТАТВ
ЯНА ФЕДОРОВНА)
②サハリン州立病院(対応者:院長
ЕЛЕНА АНАТОЛБЕВНА )
③サハリン市立病院 2)ファイシリテーター会社
・Medical Service Company Ltd.(対応者:代表 取締役社長 Aleksandre G. Gashporenko)
<聞き取り調査>
・調査時期:2012年1月~2月
・調査対象者:日本の医療機関で治療・検査等を 受けたロシア人患者4名:①患者No.1(男性、母 国で脳リンパ腫治療後、手の振動等の症状がある ため日本の医療機関で1カ月のリハビリ治療を受 けた患者)、②患者No.2(男性、61歳、冠動脈疾 患、心筋梗塞などの既往歴があり、最近歩行時の 息切れ等の症状が悪化しているため、日本の医療 機関で精密検査を実施)、③患者No.3(女性、26 歳、日本の医療機関で瘢痕治療)、④ 患者No.4
(女性、31歳、母国で甲状腺がんの疑いがある言 われたことから、日本の医療機関で精密検査を実 施)
・調査方法:聞き取り調査は半構造化方式で行っ た。主な調査項目は、日本で治療(検査)を受け ようと思った理由、日本で治療(検査)を受けう る準備段階、治療中、治療後それぞれの段階で感 じた感想や問題点等である。
(倫理面への配慮) 該当事項無し。
C.調査結果
1.文献調査・訪問調査(国際学会参加)の結果
―医療の国際化や国際医療交流に関する近年の 国際動向―
(1)「Medical Tourism」概念をめぐる議論の動 向
近年の医療の国際化をめぐる動向の1つとして は、「Medical Tourism」概念に関する解釈の多様 化とそれに伴う混乱があげられる。
すなわち、昨年度実施した「平成 22 年度厚生 労働科学特別研究事業『国際医療交流(外国人患 者の受入れ)への対応に関する研究』結果の中で も述べたとおり、国際的に「Medical Tourism」 と言えば、「患者が国境を越えて他国の医療機関等 で医療サービス等を受けること」と一般に解され ている。日本では、当初、「Medical Tourism」が
「医療観光」と訳されたことから、医療と観光を 組み合わせたものが「Medical Tourism」と考え ている人が多いようであるが、国際的な解釈では、
前 述 の 定 義 か ら も 分 か る と お り 、
「MedicalTourism」には観光的要素が含まれてい
ても構わないが、それが必須とは考えられていな い。そのため、例えば、中国人患者が日本で精密 検査を受けて、観光を一切せずに帰国したとして も、それも国際的な解釈では、「Medical Tourism」 に該当することになる。
このように、国際的には、「Medica lTourism」
=「患者が国境を越えて他国の医療機関等で医療 サービス等を受けること」という解釈が基本的に は成り立っているが、近年、このような解釈に対 して様々な議論や混乱が生じるようになってきて いる。
1つは、「Medical Tourism」という言葉自体に 関する議論である。すなわち、日本の医療関係者 の中には、海外から来た患者に対して治療等を提 供することについて「Medical Tourism」と呼ぶ ことに抵抗感や違和感を覚える者が少なくないと 思うが、これは海外の識者や医療関係者も同様で あり、近年、海外の識者や医療関係者の中には、
海外から来た患者に対して治療等を実施すること
を「Medical Tourism」と呼ぶこと自体に批判的
な者が現れてきている。例えば、ホイットカーは、
「Medical Tourismというのは誤った名称である。
15
(なぜなら、)この言葉には(患者が海外の医療機 関を受診する際に)常に存在するとは限らない喜
び(Pleasure)の要素が含まれているからである」
との批判を寄せている 。また、グリノスも、「産 業主導型の言葉である”Medical Tourism”には のんびりと旅行するといったイメージを与え、多 くの患者が移動することの深刻さを表現できてな い」と批判している 。最近の Medical Tourism に 関 す る 海 外 の 報 告 書 や 論 文 に 目 を 通 す と 、
「Medical Tourismとは、患者が国境を越えて他
国で医療サービスを受けることを指すが、この
Tourism は一般的な意味での Tourism とは異な
る。」とわざわざ注釈するものが現れてきているが、
これは前述のような批判を意識したものと考えら れる 。
このように「患者が国境を越えて他国の医療機 関等で医療サービス等を受けること」を「Medical
Tourism」と呼ぶことに対しては一部で批判が生
じてきているが、これ以外にも、MedicalTourism」 と い う 言 葉 を め ぐ る 問 題 と し て は 、「Medical Tourism」と「Health Tourism」や「Wellness
Tourism」等の類似の言葉との概念整理が識者や
地 域 に よ っ て 異 な り 、 そ れ が 国 際 会 議 等 で
「Medical Tourism」にまつわる問題を検討す
る際の障害となってきていることが挙げられる。
これはどういうことかと言うと、例えば、海外の ある地域や一定の識者間では、患者が国境を越え て海外の医療機関等で医療サービス等を受けるこ
とを「Medical Tourism」と捉えた上で、そのう
ち治療を目的として海外の医療機関を受診するこ
とを「Medical Travel」と呼び、予防や健康増進
を目的として海外の医療機関等を受診することを
「Health Tourism (Wellness Tourism) 」と呼 んで区別しているのに対して、別の地域や識者の 間では、患者が国境を越えて海外の医療機関等で 幅 広 い 保 健 ・ 医 療 サ ー ビ ス を 受 け る こ と を
「Health Tourism」と捉えた上で、治療を目的と
して海外の医療機関を受診することを「Medical
Tourism」と呼び、予防や健康増進を目的として
海 外 の 医 療 機 関 等 に 行 く こ と を 「Wellness Tourism」 と 呼 ん で 区 別 す る な ど 、「Medical
Tourism」という言葉の示す具体的な射程範囲や
「Health Tourism」等の類似の言葉との関係性に
対する解釈が地域や識者によってバラバラとなっ ており、前述したとおり、国際学会等で「Medical
Tourism」に関する議論を行う上での混乱の元と
なっている。そのため、最近では、国際機関や
Medical Tourism に関する国際団体を中心に、
Medical Tourismに関する統一した定義の確立や
概念整理に乗り出す動きも出てきているが、具体 的な成果を導き出すまでには至っていない。
(2)Medical Tourismをめぐる最近の傾向
以上のとおり、「Medical Tourism」という言葉 や概念をめぐっては、様々な議論が起こっている が、この言葉や概念の問題以外にもMedical
Tourismに関する最近の動向としては、以下の2
点を指摘することができる。
①国の異なる医療機関、保険会社、ファシリテー ター会社間における連携の活発化
第1点目は、国の異なる医療機関、保険会社、
ファイシリテーター会社間における連携の活発化 である。すなわち、近年、Medical Tourismの分
野では、Medical Tourismに携わる保険会社、フ
ァシリテーター会社、医療機関間で国を超えて連 携関係を構築する動きが活発になってきている。
例えば、アメリカやヨーロッパ、中国の民間の医 療保険会社の中には、タイやインド、韓国等の医 療機関と提携して、自社の保険の購入者が海外の 医療機関で治療を受けることを希望した際には、
提携医療機関の中から選べるようにするところが 増えてきている。こうした提携関係は、保険会社 の方にしてみれば、提携契約を結ぶ段階で、提携 予定の医療機関と医療の内容や医療費の額や支払 方法、患者の診療情報の提供方法等について納得 いくまで話し合った上で提携関係を結ぶことにな るため、実際に患者を送る段階で支払い方法等を めぐるトラブルを避けられるとのメリットがある。
16 一方、医療機関にしても、支払いやフォローアッ プの問題に悩まされずに済む上に一定数の患者を 確保できる等といったメリットがある。このよう に、国の異なる医療機関、保険会社、ファシリテ ーター会社間における連携関係の構築は、保険会 社やファシリテーター会社、医療機関それぞれに 多くのメリットがあるため、今後も益々盛んにな っていくものと考えられる。
②「All Inclusive Plan」による比較
第2点目は、「All Inclusive Plan」(もしくは「All Inclusive Cost」)という考え方によって、渡航 先を決める患者や提携先医療機関を探す保険会社 等が増えてきているということである。すなわち、
従来のMedical Tourismでは、患者が医療費の高
低だけを単純に比較して渡航先を決める傾向が見 られたが、医療費が安くても滞在費が高かったり、
医療の質や安全性が担保されていなかったりすれ ば意味がない。そこで、近年は、単に医療費だけ を比較するのではなく、「○○の疾患に対しては、
○○の治療が、○○の費用で行え、そのために要 する期間は○○日である。また、その医療機関の 体制や医師の能力は○○となっており、トータル の滞在に要する費用は○○である」等というよう に、いわゆる「All Inclusive Plan」で比較を行い、
その上で、最もコストパフォーマンスの高い渡航 先を選ぶ傾向が強くなっている。このことは、換 言すれば、「All Inclusive Plan」についてきちん と情報を提供できない国や医療機関は、患者にも 保険会社にも選ばれないということにもなり得る ともいえよう。
2.訪問調査―ロシア(サハリン)の医療事情―
近年、ロシアの極東地域からわが国の医療機関 を受診する患者が増えつつある。そこで、今回の 訪問調査では、極東地域の1つであるサハリンを 訪問して、サハリンの医療事情やサハリンの患者 が日本の医療機関を受診する理由について調査を 行った。
その結果、次の点が明らかとなった。第1点目 は、ロシアでは、医療費は原則無料であるものの、
待ち時間が非常に長く、日本では1、2日で済む ような検査でサハリンでは3カ月近くかかること も珍しくないということであった。そのため、サ ハリンの人々の間には、すぐに治療や検査を受け るためには海外に行くしかないという思いがある ということであった。
第2点目は、医療施設は非常に古く、医療機器 の整備状況も日本に比べて非常に遅れているとい うことである。例えば、現在、サハリンには、MRI が2台、CTが5台しかなく、全身検査と言えば、
エコー検査しかないとないということであった。
そのため、サハリンの人々の間では、正確な診断 を希望する場合には、やはり海外の医療機関に行 くしかないという思いがあるということであった。
なお、現在、サハリン市内には、韓国のファシ リテーター会社による韓国へのMedical Tourism の案内所があり、韓国の医療機関への受診を宣伝 するTVコマーシャルも流れていることから、韓 国の医療機関で治療や精密検査を受ける患者が急 速に増えてきているということであった。
3.聞き取り調査―ロシア人患者―
今回の聞き取り調査では、日本の医療機関で治 療や検査を受けたロシア人患者に対して日本の医 療機関を受診した理由や実際に受診した上での感 想や困った点等について聞いた。今回聞き取り調 調査に協力してくれた患者は4名であり、その内 訳は次のとおりである。①患者No.1(男性、母国 で脳リンパ腫治療後、手の振動等の症状があるた め日本の医療機関で1カ月のリハビリ治療を受け る)、②患者No.2(男性、61歳、冠動脈疾患、心 筋梗塞などの既往歴があり、最近歩行時の息切れ 等の症状が悪化しているため、日本の医療機関で 精密検査を実施)、③患者No.3(女性、26歳、日 本の医療機関で瘢痕治療)、④ 患者No.4(女性、
31歳、母国で甲状腺がんの疑いがある言われたこ とから、日本の医療機関で精密検査を実施)
17 なお、聞き取り調査の主な結果は次のとおりで ある。
(1)海外の医療機関を受診しようと考えた理由 まず、患者に、海外の医療機関を受診しようと 考えた理由について尋ねたところ、4名の患者す べてが、自国では医療レベルや待ち時間の問題か ら、自らの希望する医療を受けることが困難であ り、そのため、海外の医療機関を受診しようと考 えたと回答した。
(2)日本の医療機関を受診した理由
また、日本の医療機関を受診した理由について 尋ねたところ、患者4人すべてが、「日本は経済や 技術レベルが発展していることから、医療レベル もきっと高く信頼できると感じた」と回答した。
また、3名の患者が、家族や知り合いが日本の医 療機関で治療や検査を受けた経験があり、その体 験談が日本の医療機関受診を決心した大きな理由 になったと回答しており、病院選択においては、
国内の患者と同様、口コミが大きな役割を果たし ていることが伺えた。
(3)他国の医療機関との比較検討の有
さらに、患者に対して、日本以外の国の医療機 関についても検討したかどうか尋ねたところ、4 名の患者すべてが、海外の医療機関についても比 較考慮したと回答した。そこで、その比較した国 について尋ねてみたところ、1名の患者はイスラ エル、シンガポール、残りの3名は韓国と回答し た。
(4)日本の医療機関を受診して特に満足した点 今回の聞き取り調査に回答してくれた患者は全 員、日本での治療や検査に非常に満足していた。
そこで、特に良かった点について尋ねたところ、
①医療設備が整っていることの他、②スムーズに 治療や検査を受けることができたこと、③看護師 や医療スタッフが親切であったこと、④自国では 受けることができない正確な診断や治療を受ける ことができたこと、等を挙げていた。これらの点 の多くは、自国では欠けている要素であり、やは り自国では受けられない要素について患者の満足
度が特に高くなっている様子をうかがい知ること ができた。
(5)日本の医療機関を受診して感じた問題点 一方、患者に対して、日本の医療機関を受診し てみて問題に感じたことについて聞いてみると、
多くの患者が指摘していたのが、自国で日本の医 療機関の情報をほとんど知ることができないとい うことであった。例えば、イスラエルやシンガポ ールの医療機関についても検討した患者によれば、
イスラエルやシンガポールの病院は、ロシア語の ホームページが用意されており、そのホームペー ジを見るだけで、いわゆる「All Inclusive Plan」 の概要を把握することができ、もっと詳しい情報 を知りたい場合には、電話をすればロシア語で説 明を受けることができた。これに対して、日本の 医療機関については、どんなに探しても必要な情 報を入手することができず、日本だから大丈夫だ とは思っていたが、やはり詳細が分からなかった のは不安であったと述べていた。
また、情報入手の問題とならんで、患者から課 題の1つとして掲げられていたのが「価格の問題」
であった。すなわち、前述の内容からも分かると おり、ロシア(サハリン)から来る患者の多くは、
自国では十分な医療を受けることができないこと から、海外の医療機関を受診しようとしている。
そのため、患者は必ずしも経済的に余裕があるわ けではなく、今回回答してくれた患者の中には、
日本で精密検査を受けて、異常が見つかったもの の治療を受ける経済的余裕はないということで、
治療は自国に帰って行った者もいた。なお、その 患者の話によると、自国の医療者は、日本の診療 情報は無視していたということで、このような場 合における患者情報のやり取りの在り方も課題の 1つと言えよう。
D.考察
「Medical Tourism」に関しては、患者が国境 を越えて他国の医療機関を受診するというその
18
「国際性」の側面や「産業性」の側面が注目され ているが、その本質は、患者が自らの医療ニーズ を満たすため医療機関を受診するということであ る。そのため、ここで肝要になってくるのは、国 内における議論と同様、患者と医療機関(もしく は支払いを行う保険会社)間の信頼関係をいかに 構築して、患者に対して適切で安全な医療を提供 していくかということである。この点からしてみ れば、近年、Medical Tourismの分野において、
国を問わず医療機関や保険会社、ファシリテータ ー会社間で連携関係の強化が図られているのはあ る意味当然のことと考えられる。そして、日本の 医療機関においても国際医療交流を推進していく ためには、もっと海外の医療機関や保険会社、フ ァシリテーター会社等との連携構築を模索してい くことも必要になってくるものと考えられる。
また、患者に対する聞き取り調査からも明らか なとおり、実際に日本の医療機関で治療や検査を 受けた患者の評価は非常に高い。しかし、調査結 果の中でも度々述べているとおり、現在、海外の 医療機関を受診しよう考える患者の多くは、複数 の国の医療機関の「ALL Inclusive Plan」等を比 較検討し、その検討結果に基づいて渡航先を決定 する傾向が強くなってきており、こうした情報提 供が十分にできない医療機関や国は、どんなに質 の高い医療を提供できたとしても、それだけで患 者の選択肢から漏れてしまうことになる。そのた め、日本において国際医療交流を推進していくた めには、こうした情報提供に力を注ぐことも重要 になってくるものと考えられる。
E.結論
前年度の研究にあたる平成22年度厚生労働科 学研究事業「国際医療交流(外国人患者の受け入 れ)への対応に関する研究の中でも述べたとおり、
国際医療交流は、それぞれの国の医療制度、政治 的・社会的文化的背景をもとに進められており、
必ずしも世界の動向に翻弄されることなく、日本
においては現行の医療制度を踏まえた視点からの 推進が肝要である。しかし、その一方で、近年、
Medical Tourismの分野では、今回の研究で明ら
かになったとおり、患者の適切な医療機関選択を 推進するために「All Inclusive Plan」に関する情 報提供が主流になったり、国際医療交流に伴う支 払いや医療事故に関する問題を解消するために国 を超えた医療機関、保険会社、ファシリテーター 会社間の連携関係が強化されたりするなど、国際 医療交流の質を高めるための様々な新たな動きが 登場してきている。そのため、日本においても、
このような国際医療交流の質を高めるための動き については、きちんとその国際的動向を把握し、
日本としての対応の在り方を検討していくことが 肝要と考えられる。
[参考文献]
1)Whittaker A. (2008), Pleasure and pain:
Medical travel in Asia. Global Public Health:
An International Journal for Research, Policy and Practice
2)Glinos IA, Baeten R, Helble M & Maarse H.
(2010), A typology of cross-border patient mobility, Health & Place, 16(6)
3)Neil L, Richard S, Mark E, Stephen T et al., (2011), Medical Tourism: Treatments, markets and health system implications, A scoping review, OECD Paper
F.健康危険情報 該当事項無し。
G.研究発表(2010/4/1〜11/3/3発表)
1.論文、報告書、発表抄録等 なし
19 2.学会発表
なし
H.知的財産権の出願・登録状況 (予定を含む。)
1.特許取得 該当事項無し。
2.実用新案登録 該当事項無し。
3.その他 該当事項無し。
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平成23年度厚生労働科学研究費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)
「医療の国際化に関する国内医療機関の課題の明確化と国際情勢の把握に関する研究」
分担研究報告書
ワークショップ「医療機関の国際化に向けて ―現状と課題―」の開催
研究代表者:遠藤弘良 東京女子医科大学 国際環境・熱帯医学講座 教授 研究分担者:岡村世里奈 国際医療福祉大学大学院 医療経営管理分野 准教授
研究要旨
既に医療機関の国際化に取り組んでいる病院や、これから取り組みを開始する病院の関 係者等を対象にワークショップ「医療機関の国際化に向けて ―現状と課題―」を開催し、
平成 22 年度の研究成果を情報提供するとともに、参加医療機関における取り組みの現状 や課題等の議論を行った。
参加者は国際医療交流に関する理解を深めることができるとともに、院内のスタッフの 教育育成と院内の受入れ体制の整備の必要性、海外の保険会社や関係機関とのパートナー シップ作りの重要が再認識された。一方、経産省、厚労省等の国際医療交流に関わる政府 の対応を統一して、情報提供を促進するとともに、窓口を一本化して欲しいとの要望が出 された。
日本のおける国際医療交流を発展させるためには、今後もこうした形の情報提供や意見 交換の場を何らかの形で設けて行く必要があるといえる。
A. 研究目的
平成 22 年度の厚生労働科学特別研究事業と して「国際医療交流(外国人患者の受入れ)へ の対応に関する研究」に取り組み、わが国が国 際医療交流を進めるにあたっての課題等に関す る研究を行った。この調査研究の中で多くの医 療機関より、外国人患者の受入れや医療の国際 化について必要な知識や情報を得たり、医療機 関同士で情報を交換する場に対する要望が多く 寄せられた。そこで国際医療交流事業に関する 関係省庁の取り組み状況の紹介、平成 22 年度 の研究成果に基づいた外国人患者の受入れ体制 を整備する上でのポイントの解説、先駆的事例 の紹介を行い、併せて参加者とのディスカッシ ョンやアンケート調査を通じて、国際医療交流
の課題を明確化することを行うことを目的とし た。
B. 研究方法
平成 22 年度の研究で実施した医療機関に対 するアンケート調査で国際医療交流に関心があ ると答えた医療機関を対象に、平成23年11月 12 日、13 日の2日間、資料1のプログラムに よりワークショップを実施した。
(倫理面への配慮)
該当事項無し。
C. 研究結果
21 2日間のワークショップには全国計 25 機関 より計 45 名が参加した。各セッションのプレ ゼンテーションは資料2の内容であった。プレ ゼンテーション毎に質疑応答を行った他、全体 を通じてのディスカッションならびにアンケー ト調査を行った。ディスカッションならびにア ンケート調査の結果は以下のようにまとめるこ とができた。
1.ワークショップの感想
・事例紹介が多く、医療機関の取り組みの実際 が聴けて、大変勉強になり、大変有意義なセ ミナーだった。今後の取り組み対して参考と なった。
・いわゆる"メディカルツーリズム"に関し、情 報量が極貧である現状下、非常に有意義であ った。
・2012年から国際医療交流本格受入れがなされ るための現状が把握できた。準備ができてい る医療機関はほとんどないのではないか、体 制もほとんど整備できていないと感じられる。
・国内の動き、海外の動きを双方の面から見る 事ができ、自法人の今後の動きを作っていく 上での基本的な考え方を作る元をつかむこと ができた。
・国境を越えた医療連携という言葉で全体が納 得できた。
・国が考える医療も産業である、ということと、
現場で働く人の思いは、全く違うものだと感 じた。それを埋めていく作業をぜひしていた だきたい。
・長期的な視点からは、全体的なニーズの把握 が重要かと感じた。
・国ごとに対応が変化しないと受入れが難しい。
日本はどの国をターゲットにしているのかが 知りたかった。
・今後とも情報交換・情報共有の場として発展 継続させて欲しい。
・全体的に見ると成功例についての事例が多く
取りあげられていたが、むしろ失敗例、アク シデントや課題についての話を知りたい。
・スポット的なスケジュールではなく、年間で インプットした体系的なワークショップもで きれば考えて欲しい。
・またの開催をされる場合は、他医療機関、経 産省の参加も期待する。
2.国際化の課題
・海外の保険会社、関係機関とのパートナーシ ップ作りが重要と考える。
・国によって文化がかなり異なること、医療レ ベルが国間で格差があること、国際化に対し て院内の反発もあり、院内調整が難しい、職 員の意識改革が必要だと感じる。
・まず言語、次に健診の場合はスケジュール管 理、コスト管理、院内感染が課題である。
・①継続医療、②病病連携、③文化の相違、④ 広報の重要性。
・検査、診療の価格設定の重要性。
・院内のスタッフの教育育成と院内の受入れ体 制の整備の必要性。
・院内に専属の部署がないと難しいと認識した。
・全く収益は見込めない(見込まない)事業と なることが想定されるため、どこまで院内の コンセンサスを得られるか。また、継続させ ることができるか、危惧する。
・海外の患者の場合、やはり国毎の文化の違い によって日本で当たり前のことが、そうでは ない為、トラブルにつながりやすい。現場へ のその辺りの理解を深めることや、言葉の問 題を埋める対策等が必要である。
3.国への要望
・外国人スタッフ、医師.、ナース、コメディカ ルの日本での就業条件の規制緩和。
・研修医制度(日本国内において)、外国人医師 の外国人患者(同一国)への臨床行為の緩和。
・各省庁ばらばらに進めるのではなく超省的に
22 日本の国益にも合致する様に協力して進めて 欲しい。
・情報発信(対外的な意味)、国内医療機関への ファイナンシャルサポート、国の施策の整合 性(外国人に対して日本語の国家試験を受け させ入り口を狭めておきながら、患者だけ日 本へ呼ぶことはムシが良すぎる)。
・厚労省の取組の幅を広げてほしい(例;翻訳 等)。
・個々の病院の善意や自助努力に頼るだけでは
医療のinbound も outboundも成しえない。
国策として、法的・金銭的なサポート体制を 構築する必要があると思う。厚労省の理解と 努力が必要である。
・補助が足りない。自院でやっていても採算性 の問題はずっと避けられない。
・国内は混合診療を禁じており、事実上特定機 能病院のような大病院以外は自由診療が行え なくなる状況であるが、中小病院が海外向け 自由診療を行うことについては国が妨げとな る対応をすることはないか。
・国際医療を行う国としての窓口(相談等含め)
があれば良いのではないか、厚労、経産省等、
一つのチームとして情報を共有して対応して 欲しい。
・政府の対応する窓口を一本化し、自治体のほ うでも対応してもらいたい。
・"医療通訳"の養成。
4.今後取り上げてほしいテーマ等
・海外の国際医療センターのオペレーションの 実際。
・海外で外国人スタッフを雇用して運営してい る日本の医療機関の実例。
・病院評価のベンチマーキングに関する国際潮
流、Facilitatorの評価方法。
・患者(海外の)を受け入れるための事前同意 書に盛り込むべき内容、事前に画像診断した い時、どんな方法でやりとりされているか。
・各病院の取り組みなど、今回のような情報も 重要で、現状(足がかり段階)→次ステップ
(受入れ準備)→最終目標(患者受入れ)を 追って行ってほしい。受入患者の帰国後フォ ローの状況(現地病院の見極め、契約)。
・医療の inboundと共に、outboundについて
のワークショップがあれば参加してみたい。
・日本で治療を受けた外国人のインタビューや、
実際に話を聞きたい。
・中国、ロシア以東の(東南アジアなど)医療 状況、中国内の各地の違い。
・マーケティング方法、可否の判断事例等。
・日本が海外に向けて医療をどうしたいのか、
国際医療交流を行うことによるビジネスモデ ルの提示。
・TPPでメディカルツーリズムが今後どのよう に変化していくのか具体的に知りたい。
・米国・欧州・中近東のマーケティング・ター ゲットを知りたい。
・日本が提供できうる高度な医療とは具体的に 何か? 癌疾患なども提供できるように考え ていけるか。
・ファシリテーター(旅行会社含む)・医療通訳 者・地方自治体など、周辺の事業者との連携 の可能性やパネルディスカッション、意見交 換会。
・医療の国際化の先進的取り組み国の状況と考 察(歴史的背景から評価まで)。
D. 考察
これまでも諸外国におけるメディカルツーリ ズムの紹介を中心とした講演会やワークショッ プは開催されてきた。しかし国際医療交流に関 心の高い医療機関を対象にして、事例を基にし た日本国内の国際医療交流の具体的な進め方の 解説や関係省庁における政策の解説も交えた今 回のような形式のワークショップは初めてであ った。