血液透析患者におけるレストレスレッグス症候群と 生命予後の関連
著者名 伴野 麻悠子
発行年 2019‑04‑19
URL http://doi.org/10.20780/00032517
主 論 文 の 要 約
血 液 透 析 患 者 に お け る レ ス ト レ ス レ ッ グ ス 症 候 群 と 生 命 予 後 の 関 連
東 京 女 子 医 科 大 学 腎 臓 内 科 学 教 室
( 指 導 : 新 田 孝 作 教 授 ) 伴 野 麻 悠 子 日 本 透 析 学 医 学 会 雑 誌 第 4 8 巻 第 1 号 4 5 頁 〜 5 0 頁
( 平 成 2 7 年 1 月 発 行 ) に 掲 載
【 目 的 】
本 研 究 の 目 的 は 、単 一 施 設 に お け る 維 持 血 液 透 析( MHD)患 者 に お け る レ ス ト レ ス レ ッ グ ス 症 候 群 ( RLS) と 生 命 予 後 の 関 連 に つ い て 検 討 す る こ と で あ る .
【 対 象 お よ び 方 法 】
三 軒 茶 屋 病 院 に お い て 67 例 の MHD 患 者 を 対 象 と し て 、International Restless Legs Syndrome Study Group の 4 項 目 を す べ て 満 た し , ほ か の 睡 眠 障 害 , 身 体 お よ び 神 経・精 神 疾 患 ,薬 物 使 用 で は 説 明 で き な い 症 例 を RLS と 診 断 し た .総 死 亡 , 心 血 管 病 に よ る 死 亡 を エ ン ド ポ イ ン ト と し , 生 命 予 後 と 患 者 背 景 , 臨 床 検 査 所 見 と の 関 連 性 を コ ッ ク ス 比 例 ハ ザ ー ド モ デ ル で 検 討 し た . 単 変 量 解 析 に て p 値 < 0.3 の 血 清 ク レ ア チ ニ ン( C r)値 ,糖 尿 病 の 有 無 ,心 血 管 病 合 併 ,RLS の 有 無 で 多 変 量 解 析 を 施 行 し た .ま た 、RLS の 有 無 で 2 群 に 分 け 、生 命 予 後 を カ プ ラ ン マ イ ヤ ー 法 で 評 価 し , ロ グ ラ ン ク 検 定 で 比 較 し た .
【 結 果 】
RLS 群 に お い て 、血 清 ア ル ブ ミ ン が 低 値( p= 0.015),死 亡 率 が 高 値( p= 0.024),
心 血 管 関 連 死 が 有 意 に 高 率 で あ っ た ( p= 0.012). RLS の 有 無 に よ る 生 存 曲 線 に お い て ,3 年 生 存 率 は RLS 群 で 有 意 に 低 値 で あ っ た( p= 0.012).RLS の 総 死 亡 に 対 す る ハ ザ ー ド 比 ( HR) は 1.79( p= 0.030), 心 血 管 病 に よ る 死 亡 に 対 す る HR は 2.97( p= 0.002)で あ っ た .血 清 Cr 値 ,糖 尿 病 の 有 無 ,心 血 管 病 合 併
の 有 無 を 含 む 多 変 量 解 析 で も RLS は HR 1.72 ( p= 0.044)と ,独 立 し た 死 亡 の リ ス ク 因 子 で あ っ た .
【 考 察 】
RLS で は ,後 角 に 対 す る 視 床 下 部 後 部 ド パ ミ ン 作 動 性 細 胞 群( A11 神 経 細 胞 群 ) に よ る ド パ ミ ン 調 節 が 障 害 さ れ ,感 覚 入 力 の 脱 抑 制 か ら 異 常 な 筋 知 覚 が 生 じ る . 脊 髄 で は A11 神 経 細 胞 群 か ら の ド パ ミ ン 投 射 が ,中 間 外 側 核 の 交 感 神 経 節 前 神 経 に 直 接 的 な 抑 制 作 用 を 有 す る . RLS で 交 感 神 経 出 力 が 増 大 す る と , ア ド レ ナ リ ン 放 出 に よ り 交 感 神 経 刺 激 ,筋 紡 錘 活 動 が 亢 進 ,周 期 性 四 肢 運 動( PLM)を ひ き 起 こ し ,心 血 管 病 の 発 症 に 関 連 す る と 考 え ら れ て い る .本 研 究 で も RLS 群 は 心 血 管 病 の 合 併 と 死 亡 は 有 意 に 高 率 で , 3 年 後 の 生 命 予 後 に 関 し HR 1.87, 死 因 を 心 血 管 病 に 限 定 す る と HR 2.97 と 上 昇 し た . 一 方 ,RLS の 発 症 に お い て , 中 枢 神 経 系 の 鉄 不 足 に よ る 脳 内 の ド パ ミ ン 合 成 障 害 も 関 連 も 指 摘 さ れ て い る . 低 栄 養 状 態 や 透 析 操 作 に 伴 う 失 血 に よ る 鉄 欠 乏 状 態 や , 遺 伝 的 あ る い は 何 ら か の A11 細 胞 群 に お け る ド パ ミ ン 産 生 障 害 は ,求 心 線 維 に 対 す る 生 理 的 な 抑 制 系 の 障 害 , RLS の 発 症 , PLM や 血 圧 脈 拍 の 増 加 を ひ き 起 こ し , 心 血 管 病 に つ な が る . さ ら に 、 RLS や PLM は 睡 眠 障 害 を ひ き 起 こ し , 心 血 管 病 を 発 症 さ せ る . 低 栄 養 状 態 は malnutrition inflammation anemia (MIA) 症 候 群 と 関 連 し ,生 命 予 後 を 不 良 に す る と 考 え ら れ る .
【 結 論 】
RLS の 治 療 は 、 QOL の 改 善 の み な ら ず ,生 命 予 後 の 改 善 に も 寄 与 す る 可 能 性 が あ る .