【原 著】 Original
2017 年日本における血液製剤使用実態と輸血管理体制の調査報告
菅野 仁1) 岡本 好雄1) 北澤 淳一2) 田中 朝志3) 髙橋 孝喜4)
半田 誠5) 室井 一男6) 牧野 茂義7)
2017年の輸血用血液製剤・血漿分画製剤の使用実態および輸血管理状況を調査した.回答率は50.75%であった.
総血液製剤量は日本赤十字社から供給された輸血用血液製剤の80.2%となった.同種血輸血実施予測患者数は974,963 名となり,三年続けて100万人を下回った.2012年以降の一病床当たりの製剤使用量推移を検討したところ,赤血 球製剤は7.7%増加,血小板製剤は5.6%減少,血漿製剤は9.6%減少,アルブミン製剤は12.4%減少し,免疫グロブ リン製剤は31.5%増加した.300床以上の施設では輸血管理料IまたはIIを取得している施設が94.0%に達した.ま た,適正輸血使用加算を取得している施設の割合は31.2%であった.輸血管理体制に関する整備状況では,輸血業務 の一元管理,輸血責任医師の任命,輸血担当検査技師の配置,輸血検査の24時間体制,輸血療法委員会の設置の五 つの要件が300床以上の施設の90%以上で満たされていた.輸血前の患者検体を保存している施設が300床以上で 99%に達していることから,輸血後感染症検査の実施意義の見直しが必要と考えられた.
キーワード:適正使用,輸血管理体制,輸血チーム医療,輸血後感染症,輸血前検体保存
はじめに
「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」
(血液法)の基本方針に掲げている適正使用の推進の観 点から,国は「血液製剤の使用指針」及び「輸血療法 の実施に関する指針」を都道府県に通知している.日 本輸血・細胞治療学会は国からの委託を受けて,2008 年より各医療施設における輸血用血液製剤・血漿分画 製剤の使用状況,適正輸血状況および輸血管理体制の 整備状況を把握するためのアンケート調査を実施して きた.この論文は平成29年の血液製剤使用実態と輸血 管理体制の調査について,2018年9月19日に開催され た厚生労働省薬事・食品衛生審議会平成30年度第1 回血液事業部会適正使用調査会で報告した内容1)に基づ き,総括したものである.
対象および方法
2016年度に日本赤十字社(日赤)より輸血用血液製 剤が供給された全医療施設10,034施設(返却・辞退の
66施設は除く)を対象にアンケート調査を実施した.
結 果
1.アンケート調査の概要と輸血用血液製剤使用量と 廃棄量
今回の回答は5,092施設(50.75%)から得られ,回答 率は50.75%に達し,20152)および2016年度3)の回答率 であるそれぞれ51.75,51.41%をやや下回った.輸血実 施患者数(同種,自己,同種+自己)が全てゼロまた は空白の施設および合計患者数のみで分類が出来てい ない施設が874施設におよび,それらの施設を除外し
た4,218施設を対象に集計した.
回答された総血液製剤量(総血液使用量+総廃棄量)
14,257,594単位は,2017年に日赤から供給された輸血用 血液製剤(17,768,017単位)4)の80.2%を占めた(図1).
この捕捉率を製剤別にみると,赤血球製剤が75.9%,血 小板製剤が83.1%,血漿製剤が81.4%となった.廃棄率
は全体で1.05%,製剤別では赤血球製剤,血小板製剤,
1)東京女子医科大学病院輸血・細胞プロセシング部 2)青森県立中央病院臨床検査部
3)東京医科大学八王子医療センター臨床検査医学科・輸血部 4)日本赤十字社血液事業本部
5)慶應義塾大学医学部輸血・細胞療法センター 6)自治医科大学附属病院輸血・細胞移植部 7)国家公務員共済組合連合会虎の門病院輸血部
〔受付日:2018年11月14日,受理日:2018年11月27日〕
図 1 血液製剤供給,使用,廃棄単位数および捕捉率(赤血球製剤に全血製剤 30 単位を含めた集計)
༢ᩘ ᤕᤊ⋡
4,797,632
7,528,966
1,781,469
14,108,067
96,718 23,013 29,796 149,527
6,448,811
9,092,715
2,226,491
17,768,017
75.9% 83.1% 81.4% 80.2%
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
80.0%
90.0%
0 2,000,000 4,000,000 6,000,000 8,000,000 10,000,000 12,000,000 14,000,000 16,000,000 18,000,000 20,000,000
㉥⾑⌫ ⾑ᑠᯈ ᪂㩭⾑₢ య
⥲⏝㔞 ⥲ᗫᲠ㔞 ⥲౪⤥㔞 ᤕᤊ⋡
図 2 施設規模別回答率と輸血実施予測患者数
ᝈ⪅ᩘ ᅇ⟅⋡ ʤ ʥ
11,111 15,631 116,872
139,140 126,043
159,747 148,792
97,953 98,067
56,912 35,382
23,068 47,868 33.5
44.1 49.5 64.7
72.3 67.3 66.1
74.6
87.0 90.5 74.1
92.9 100.0
0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0
0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000 180,000
㍺⾑ᝈ⪅ᩘ ㍺⾑ᐇண ᝈ⪅ᩘ ᅇ⟅⋡
血漿製剤がそれぞれ,1.98%,0.30%,1.65%であった.
2.輸血実施患者予測数の年次推移
図2に施設規模別回答率と輸血実施患者数から得た 輸血実施予測患者数を示す.病床規模別に輸血実施患 者数とアンケート回答率を集計し,仮に回答率が100%
であった場合の輸血実施予測患者数を示した.この輸 血実施予測患者数を同種血,自己血に分けて集計した 結果,図3のように輸血実施予測患者数は,同種血は 974,963名と昨年比2.5%増,自己血は110,030名とほぼ 横ばいとなった.
3.血漿分画製剤の使用量と捕捉率
アルブミン製剤,免疫グロブリン製剤の総供給量を 平成30年度需給計画(案)5)から得た各年度の供給本数
を基に算出した.この総供給量は4月からの一年間の 集計であるのに対して,アンケート調査によって明ら かになった総使用量は1月から12月の一年間であり,
集計対象の時期が一致していないが,総供給量に対す る総使用量の割合を捕捉率と定義して,解析した.ア ルブミン製剤,免疫グロブリン製剤の総供給量を平成 30年度需給計画(案)5)から得た各年度の供給本数(見 込)を基に算出した.総供給量に対する総使用量の割 合を捕捉率と定義して解析した.
図4(A)に示したアルブミン製剤については,総供 給 量 は2016年 の28,119,800グ ラ ム か ら2017年 に は 27,994,050グ ラ ム へ0.45%減 少,一 方 で 総 使 用 量 は 19,347,605グラムから19,371,965グラムへ0.13%の増加
図 3 輸血実施予測患者数の年次推移 㻝㻘㻜㻠㻢㻘㻝㻜㻝 㻝㻘㻜㻟㻡㻘㻢㻝㻝 㻝㻘㻜㻜㻠㻘㻠㻥㻣
㻥㻟㻣㻘㻟㻥㻜 㻥㻡㻝㻘㻜㻟㻥 㻥㻣㻠㻘㻥㻢㻟
㻝㻞㻟㻘㻢㻢㻠 㻝㻝㻜㻘㻟㻢㻜 㻝㻞㻣㻘㻣㻢㻟
㻝㻝㻠㻘㻠㻣㻟 㻝㻝㻜㻘㻜㻞㻞 㻝㻝㻜㻘㻜㻟㻜
㻞 㻜 㻝 㻞 ᖺ 㻞 㻜 㻝 㻟 ᖺ 㻞 㻜 㻝 㻠 ᖺ 㻞 㻜 㻝 㻡 ᖺ 㻞 㻜 㻝 㻢 ᖺ 㻞 㻜 㻝 㻣 ᖺ
ྠ✀⾑㍺⾑ᝈ⪅ᩘ ⮬ᕫ⾑㍺⾑ᝈ⪅ᩘ
であった.総使用量/総供給量を捕捉率として表現する と,69.2%となり,2015年の70.8%,2016年の68.8%
と比較してほぼ横ばいであった.
次に免疫グロブリン製剤に関する集計結果を図4(B)
に示す.総供給量は2016年の4,794,040グラムから2017 年には5,344,205グラムへ11.5%増加,総使用量は2,958,605 グラムから3,152,188グラムへ6.5%増加した.捕捉率は 59.0%となり,2015年の63.3%,2016年の61.7%に比 べると,減少傾向が明らかとなった.
4.一病床あたりの輸血用血液製剤使用単位数と血漿 分画製剤使用グラム数の推移
図5(A)に一病床あたりの赤血球製剤使用単位数の 年次推移を示す.赤血球製剤の一病床あたりの使用量 は図に示した2012年6)以降増加傾向を認めた.病床別 では300床以上の医療施設における増加が明らかであっ た.図5(B)に示した血小板製剤の一病床あたりの使 用量は最近3年間全体でほぼ横ばいであった.一方,
各病床規模別では,300以上500床未満の施設でのみ増 加傾向を認めた.図5(C)の血漿製剤については,こ の数年続いていた減少傾向とは異なり,微増した.増 加の傾向は各病床規模で認められた.アルブミン製剤 の一病床あたりの使用量は2012年以降全体には減少傾 向が明らかで,病床規模別では300床以上500床未満 でのみ昨年比2.4%の増加を認めた(図5(D)).免疫 グロブリン製剤については,2012年以降持続的に一病 床あたりの使用量が増えている.特に500床以上の大 規模医療施設では,2012年の9.7グラム/床から13.1 グラム/床へと35% 増加していた(図5(E)).
5.輸血管理料と適正輸血使用加算の取得状況 輸血管理料取得施設は輸血管理料Iが494施設,II が1,311施設で,それぞれ回答のあった4,361施設の11.3%,
30.1%に達し,昨年の11.4%,28.8%3)に比較して輸血管 理料II取得施設の増加を認めた.300床以上の696施設 に限ると654施設(94.0%)が輸血管理料を取得してい た.輸血用血液製剤の83.2%が300床以上の医療施設 で使用されていることと併せて,輸血管理体制が整備 された施設での血液製剤使用が再確認された.
今回の調査では輸血適正使用加算を取得している施 設は1,318施設(31.2%)で昨年の1,299施設(30.8%)と 比較して僅かに増加していた.輸血管理料IまたはII を取得しているが適正輸血加算を取得していない医療 施設の血液使用状況をみると,輸血管理料Iの取得施設
(494施設)ではFFP/RBC比率が加算取得施設の0.361 に比して非取得施設は0.647と大きく,輸血管理料II 取得施設(1,311施設)ではFFP/RBC(0.410),ALB/
RBC(2.036)とFFP,ALB両方の条件を満たしていな かった.また,輸血適正使用加算未取得施設は,年間 の血漿交換療法や心臓手術件数が多かった.
6.輸血管理体制の整備状況
20床以上の医療施設を対象にして,輸血業務管理体 制について検討した(図6).輸血管理体制は,輸血管 理料が施行された2006年以降に急速に整備され,300 床以上施設では,①輸血業務の一元管理,②輸血責任 医師の任命,③輸血担当検査技師の配置,④輸血検査 の24時間体制,⑤輸血療法委員会の設置の五つの要件 が90%以上施設で満たされていた.100〜299床の医療 施設においても徐々に管理体制が整備されてきて80%
前後の施設で実施されているが,100床未満施設では整 備の推進がやや緩慢であった.
7.各医療施設における血液型検査実施状況 ABO及びRhD血液型検査,不規則抗体検査および 交差適合試験を確実に実施することは安全な輸血療法
図 4 血漿分画製剤の供給量と使用量
㻔㻭㻕 䜰䝹䝤䝭䞁〇
㻔㻮㻕 ච䜾䝻䝤䝸䞁〇
౪⤥㔞䚸⏝㔞㻔㼓㻕 ᤕᤊ⋡
21,438,406
19,347,605 19,371,965
30,272,650 28,119,800
27,994,050 70.8%
68.8% 69.2%
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
80.0%
0 5,000,000 10,000,000 15,000,000 20,000,000 25,000,000 30,000,000 35,000,000
2015೧ 2016೧ 2017೧
⥲⏝㔞 ⥲౪⤥㔞 ᤕᤊ⋡
4,846,853 4,794,040
5,344,205
3,069,895 2,958,605 3,152,188
63.3% 61.7%
59.0%
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
0 1,000,000 2,000,000 3,000,000 4,000,000 5,000,000 6,000,000
2015೧ 2016೧ 2017೧
⥲౪⤥㔞㻔㼓㻕 ⥲⏝㔞㻔㼓㻕 ᤕᤊ⋡
౪⤥㔞䚸⏝㔞㻔㼓㻕 ᤕᤊ⋡
推進のために最も重要なポイントの一つである.各医 療施設における臨床検査の一部が外部受託されている 現状を鑑み,本アンケート調査では100床未満または 300床未満の比較的小規模の医療施設における日勤帯の ABO血液型検査外部委託状況を検討した.図7に院外 の検査機関に委託している施設数の年次推移を示した.
300床未満施設では日勤帯のABO血液型検査を院外の 検査機関に委託している施設が2014年以降45〜46%
を推移していた.一方,特に100床未満施設において は同じ2014年以降約60%の施設で院外検査施設に依頼 していた.
8.輸血後感染症検査の年次推移
血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン7)(平成17 年3月作成,平成30年3月一部改正)のなかで,国は 医療施設の取るべき対応として,医療施設が受血者(患
者)に対して輸血用血液製剤投与前後の感染症検査を
「輸血療法の実施に関する指針」に基づいて行うことと した.輸血用血液製剤投与前後の検査を実施していな い場合,患者検体の保存を行うとしている.図8は,
「原則的に輸血実施患者の全例において輸血後感染症検 査を実施している施設」の年次推移を示しており,7 年前の25.1%から37.9%に増加した.一方,「原則とし て全ての患者検体を冷凍または冷蔵保存している」と 回答した医療施設は300床以上で99.3%,300床未満で は67.3%に達した.
9.輸血・細胞治療関連の認定医療職の配置状況 認定医,認定輸血検査技師,学会認定・臨床輸血看 護師,学会認定・自己血輸血看護師,学会認定・アフェ レーシスナースおよび細胞治療認定管理師の配置状況 を病床規模別に検討した(図9).認定医は300床以上
図 5 一病床あたりの製剤使用単位数の年次推移 䠄㻮䠅 ⾑ᑠᯈ〇
༢䠋ᗋ䠄ᗋつᶍู䠅 ༢䠋ᗋ䠄య䠅
4.0 4.4
2.8 3.0 3.0 3.1
9.6 9.9 9.2 9.8 10.1 11.2
24.7 25.3
24.6 25.9 26.3 26.3
12.4 12.7
10.5 11.4 11.5 11.7
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0
2012೧ 2013೧ 2014೧ 2015೧ 2016೧ 2017೧
㻜㻙㻞㻥㻥 㻟㻜㻜㻙㻠㻥㻥 㻡㻜㻜㻙 య
䠄㻭䠅 ㉥⾑⌫〇
༢䠋ᗋ䠄ᗋつᶍู䠅 ༢䠋ᗋ䠄య䠅
4.05 4.09 3.90 4.18 3.87 4.11
6.70 6.84 6.68 7.17 7.02 7.75
11.51 11.52 11.41 12.09 12.33 12.66
6.91 6.91 6.69 7.24 7.02 7.44
0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 7.00 8.00
0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 14.00
2012೧ 2013೧ 2014೧ 2015೧ 2016೧ 2017೧
㻜㻙㻞㻥㻥 㻟㻜㻜㻙㻠㻥㻥 㻡㻜㻜㻙 య
䠄㻰䠅 䜰䝹䝤䝭䞁〇
䜾䝷䝮䠋ᗋ䠄ᗋつᶍู䠅 䜾䝷䝮䠋ᗋ䠄య䠅
22.4 21.4
15.7 20.1 18.4 18.1
36.0 36.1
32.5 32.9 30.4 32.8
65.0 63.5
59.4 62.5
59.1 58.9
39.2 38.1
32.1 36.9
34.2 34.4
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.0
0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0
2012೧ 2013೧ 2014೧ 2015೧ 2016೧ 2017೧
㻜㻙㻞㻥㻥 㻟㻜㻜㻙㻠㻥㻥 㻡㻜㻜㻙 య
䠄㻯䠅 ⾑₢〇
༢䠋ᗋ䠄ᗋつᶍู䠅 ༢䠋ᗋ䠄య䠅
1.78 1.70 1.50 1.04 0.94 1.03
3.58 3.69 4.36
3.51 3.40 3.85
8.51 8.68 9.88
9.12 9.26 9.55
4.58 4.67 4.55
4.02
3.87 4.14
0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00 4.50 5.00
0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00
2012೧ 2013೧ 2014೧ 2015೧ 2016೧ 2017೧
㻜㻙㻞㻥㻥 㻟㻜㻜㻙㻠㻥㻥 㻡㻜㻜㻙 య
䠄㻱䠅 ච䜾䝻䝤䝸䞁〇
䜾䝷䝮䠋ᗋ䠄ᗋつᶍู䠅 䜾䝷䝮䠋ᗋ䠄య䠅
2.6 2.9 2.6 3.3 2.9 3.1
4.5 4.8 5.1 5.0 4.9 5.3
9.7
10.8 11.4 11.8 12.5 13.1
5.4 6.0 6.2 6.6 6.8 7.1
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0
2012೧ 2013೧ 2014೧ 2015೧ 2016೧ 2017೧
㻜㻙㻞㻥㻥 㻟㻜㻜㻙㻠㻥㻥 㻡㻜㻜㻙 య
施設では22.1%に配置されており,300床未満施設とは
大きな差を認めた.認定輸血検査技師は300床以上施 設の60%以上に配置されており,500床以上の大規模 医療施設では88.2%に配置されている.一方,学会認 定・臨床輸血看護師は300床以上施設の31.8%,学会認 定・自己血輸血看護師は24.8%施設で配置されていた.
造血細胞移植や再生医療等製品の取り扱いなど,安全 で品質管理された細胞治療を進めることを目的として 平成26年に設置された細胞治療認定管理師制度は平成 27年度より運用を開始しているが,今回の調査では300 床以上施設の23.0%で細胞治療認定管理師を配置して いた.
10.学会認定・臨床輸血看護師の業務と改善点(図 10)
学会認定・臨床輸血看護師が施設内で実施している 業務としては輸血療法委員会への参加や新人看護師へ
の輸血教育などであり,配属後に改善されたことは,
輸血実施時の安全管理体制が向上し,輸血部門と臨床 部門との連携が向上したと回答した施設が増えていた.
考 察
本アンケート調査では,2016年度に日本赤十字社か ら供給された輸血用血液製剤のうち,総使用量1,400 万単位,総廃棄量14万9,000単位を捕捉しており,捕 捉率は約80%でこの3年間ほぼ一定だった.同種血輸 血実施予測患者数は,2015年以来100万人を下回って いる.今年は昨年比では23,924人(2.5%)増え,自己 血はほぼ昨年と同じであった.赤血球製剤の74%,血 小板製剤・血漿製剤の88%が300床以上の医療施設に おいて使用され,輸血実施予測患者数全体の62%を占 めていた
アルブミン製剤,免疫グロブリン製剤の総供給量は
図 6 医療施設の管理体制の整備状況の年次別推移;2005 〜 2017 年(*ただし 20 床以上施設のみ)
図 7 日勤帯の ABO 血液型検査を院外の検査機関に委託している施設の年次別推移(100 床未満または 300 床未満施設)
平成30年度需給計画(案)から得ることが出来るため,
今回のアンケート調査で知り得た両製剤の使用量の総 供給量に対する割合を捕捉率として求めたところ,ア ルブミンは69.2%,グロブリンは59.0%になった.この 数字は輸血用血液製剤の捕捉率に対して低いが,その 理由は本アンケート調査が前年に日本赤十字社から血 液製剤供給実績がある施設を対象に実施されているた めと考えられた.今回の調査では,免疫グロブリン製
剤の使用施設数がほぼ昨年並みであったが,一病床あ たりの免疫グロブリン製剤は全体に増加しており,特 に500床以上の施設での増加が顕著であった.診療科 別では神経内科が全体の41.0%,次いで小児科が16.3%,
血液内科が13.4%を占めており,特発性血小板減少性 紫斑病(ITP),慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP), 重症筋無力症などへの使用量増加が背景にあると考え られた.原料血漿の確保目標を定めるためには,今後
図 8 輸血後感染症検査実施状況の年次推移
図 9 認定医,認定輸血検査技師,学会認定・臨床輸血看護師,学会認定・自己血輸血看護師,学会認定・アフェレーシスナース 配置状況
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図 10 学会認定・臨床輸血看護師の業務と改善点
も免疫グロブリン製剤使用量増加の実態を正確に把握 することが重要である.しかし,免疫グロブリン製剤 に関しては,神経内科・膠原病内科・皮膚科などの通 常血液製剤使用が少ない診療科での使用量が多く,今 後本アンケート調査以外の手段により免疫グロブリン 製剤使用実態を把握する必要があると考えられた.
輸血管理体制は300床以上施設では90%以上施設で 実施されているが,都道府県別に輸血管理体制の整備 状況をみると,5項目の整備率の総和は2倍近い差がみ られ,地域格差を認める結果となっている.また日本 輸血・細胞治療学会の認定制度取得者は300床以上施 設で認定輸血検査技師の配置率が64.8%に達している 一方で,他の職種では3分の1以下であり,今後は認 定医および学会認定・臨床輸血看護師の配置をより一 層推進する必要があると考えられる.学会認定・臨床 輸血看護師は輸血管理料IもしくはII取得施設の15.7%
に配置されていた.認定医を中心に複数の認定医療従 事者(認定医,学会認定・臨床輸血看護師,認定輸血 検査技師)が配置されている施設では赤血球製剤の廃 棄率が低い傾向を認めた.日本輸血細胞治療学会では
「チーム医療に関する指針」(第5版2017年12月25日)8)
を発表しており,今後は指針を準拠した形で,各施設 内で「チーム医療」による輸血管理体制の整備が望ま れる.
輸血後感染症検査を行う施設が徐々に増加しており,
原則的に輸血実施患者の全例において輸血後感染症検 査を実施している施設の年次推移では,7年前の25.1%
から37.9%に増加していた.一方,輸血前患者検体の
保存状況は300床以上で既に99%に達していた.本学 会から出された提言9)の通り,輸血後感染症検査の実施 意義の見直しが必要な時期が到来していると考えられ た.
著者のCOI開示:本論文発表内容に関連して特に申告なし 謝辞:このアンケート調査は,日本臨床衛生検査技師会および 日本赤十字社の協力により実施可能となったことに深謝致します.
本調査に協力していただいた全国の医療関係者の皆様に心より感 謝の意を表します.本研究の一部は厚生労働科学研究費補助金の 助成を受けた.
文 献
1)平成30年度第1回血液事業部会適正使用調査会資料 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage̲01444.html
2)菅野 仁,牧野茂義,北澤淳一,他:2015年度日本にお
ける輸血管理体制と血液製剤使用実態調査報告.日本輸 血細胞治療学会誌,62(6):718―728, 2016.
3)菅野 仁,牧野茂義,北澤淳一,他:2016年日本におけ
る血液製剤使用実態と輸血管理体制の調査報告.日本輸 血細胞治療学会誌,63(6):788―797, 2017.
4)3.供給状況,(1)血液製剤の純供給本数(換算本数・
実本数),平成29年 血液事業統計資料〜血液事業の現 状〜,p. 22 http://www.jrc.or.jp/activity/blood/pdf/2 0180322̲H29ketsuekijigyonogenjyo.pdf
5)平成30年度の血液製剤の安定供給に関する計画(案)に ついて,平成29年度第3回血液事業部会(平成29年12 月15日)資 料2,p. 18―19 https://www.mhlw.go.jp/
stf/shingi2/0000188506.html
6)牧野茂義,田中朝志,紀野修一,他:2012年日本におけ
る輸血管理及び実施体制と血液製剤使用実態調査報告.
日本輸血細胞治療学会誌,59(6):832―841, 2013.
7)血液製剤等に係る遡及調査ガイドラインhttps://www.
mhlw.go.jp/new-info/kobetu/iyaku/kenketsugo/5anz en2a.html
8)日本輸血・細胞治療学会,輸血チーム医療に関する指針 策定タスクフォース「チーム医療に関する指針」(案)
http://yuketsu.jstmct.or.jp/wp-content/uploads/2017/
11/f48302f55088c00dc2e15fc03f182c3b.pdf
9)提言(シンポジウム「輸血後感染症検査の現状とあり方」: まとめにかえて)http://yuketsu.jstmct.or.jp/wp-cont ent/uploads/2018/06/9187b7a1545209d30dd9b33ef923 8fbb.pdf
NATIONWIDE QUESTIONNAIRE SURVEY ON TRANSFUSION MEDICINE IN FISCAL YEAR 2017
Hitoshi Kanno1), Yoshio Okamoto1), Junichi Kitazawa2), Asashi Tanaka3), Koki Takahashi4), Makoto Handa5), Kazuo Muroi6)and Shigeyoshi Makino7)
1)Department of Transfusion Medicine and Cell Processing, Tokyo Women’s Medical University
2)Division of Clinical Laboratory, Aomori Prefectural Central Hospital
3)Department of Transfusion Medicine, Tokyo Medical University Hachioji Medical Center
4)Blood Service Board of Management, The Japanese Red Cross Society
5)Center for Transfusion Medicine and Cell Therapy, Keio University Hospital
6)Division of Cell Transplantation and Transfusion, Jichi Medical University Hospital
7)Department of Transfusion Medicine, Toranomon Hospital
Abstract:
We investigated the actual use of transfusion blood products and plasma fractionation products in medical facili- ties throughout the country in 2017. At the same time, we investigated the current status of blood transfusion control.
In this questionnaire survey, responses were obtained from 5,092 facilities, and the response rate was 50.75%. The to- tal blood product volume including total used blood volume and total waste amount was 14,257,594 units, which was 80.2% of the blood product for blood transfusion supplied by the Japanese Red Cross Society blood center. By counting the number of transfusion-enforced patients and questionnaire response rates by facility size and calculating the number of predictive blood transfusion cases when the response rate was 100%, the number of predictive patients for allogeneic blood transfusion was 974,963, It was less than one million people. As a result of investigating the trend in the amount of the preparation used per hospital bed since 2012, the red blood cell product increased by 7.7%, the plate- let product decreased by 5.6%, the plasma product decreased by 9.6%, the albumin preparation decreased by 12.4%, the immunoglobulin preparation increased by 31.5%. In 696 facilities with more than 300 beds, 654 facilities corre- sponding to 94.0% were acquiring the percentage of facilities that acquired blood transfusion control fee I or II. In ad- dition, the proportion of institutions that acquired proper blood transfusion addition has increased from 30.8% last year to 31.2%. In the development status relating to the transfusion management system, facilities with more than 300 beds with five requirements of unified management of blood transfusion work; appointment of blood transfusion re- sponsible doctors, placement of laboratory technicians responsible for transfusion, a 24-hour system of blood transfu- sion testing, and establishment of transfusion therapy committee, was filled with 90% or more of. It is considered nec- essary to review the significance of the implementation of an infectious disease test after transfusion, as the facility that stores patient specimens before transfusion has reached 99% at more than 300 beds.
Keywords:
Proper use, blood transfusion control system, blood transfusion team medical treatment, post transfusion infection, preservation before blood transfusion
!2018 The Japan Society of Transfusion Medicine and Cell Therapy Journal Web Site: http:!!yuketsu.jstmct.or.jp!