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害を整理する. 次に, 噴火頻度と噴火による被害を火山に隣接する市町村の火山噴火の経験としてとらえて, 火山噴火の経験と地域防災計画の公表状況との関係を把握する. 続いて, 火山噴火の経験が地域防災計画における火山災害対策の位置づけに与える影響を検討する. 続いて, 火山噴火の経験が火山災害対策の記

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火山噴火の経験が市町村の地域防災計画

における火山災害対策に与える影響

ー九州地方を事例としてー

山田 忠

1 1正会員 九州産業大学専任講師 建築都市工学部都市デザイン工学科 (〒813-8503 福岡県福岡市東区松香台2丁目3番1号) E-mail: t.yamada@ip.kyusan-u.ac.jp 火山災害対策は,地震などの対策に比べて対策の遅れが指摘されている.報告では,頻繁に噴火してい る九州地方の活火山に隣接する市町村を対象に,火山噴火の経験が地域防災計画における火山災害対策に 与える影響を分析し,今後の地域防災計画における火山災害対策の向上に資する情報提供を目的に行った. 分析の結果,火山噴火の経験が地域防災計画における火山災害対策の位置づけ,地域防災計画における 火山災害対策の記載項目数と内容に影響を与えていた.火山の噴火を10年以上経験したもしくは死者を出 した火山噴火を経験した市町村は,火山災害対策を独立編として設けることや記載項目が全体的に多いこ とを示唆した.

Key Words : volcano measures, local disaster management plan, active volcanoes, the Kyushu Region

1. 背景と目的 我が国は,環太平洋造山帯に位置し,110の活火山が ある.2000年以降では,2000年に有珠山と三宅島,2011 年に新燃岳,2014年に御嶽山,2015年に口永良部島など で噴火し,死者,農林水産物などの被害,島外避難が発 生している.例えば,2011年の新燃岳では降灰により農 林水産物の被害額が6.2億円にのぼった1).また,2014年 の御嶽山では噴火直後の噴石などで63人の死者及び行方 不明者を出し,2015年の口永良部島では半年以上の島外 避難を余儀なくされた. こうした状況のもと,2011年から2014年に修正した防 災基本計画(火山災害対策編)や,2008年3月の「噴火時等 の避難所に係る火山防災体制の指針」に基づいて,火山 防災体制の整備が進められた2) しかし,火山災害対策については地震や風水害など他 の災害対策に比べて対策の遅れが指摘されている.例え ば,内閣府3)によれば,監視・観測体制の充実が必要な 49火山のうち火山ハザードマップが作成された火山が39 に留まっている点が報告されている.また,中村らは4) 地域防災計画における火山災害対策について自治体にア ンケート調査を実施し,火山災害が地震対策で対応でき ると考えている自治体があるなど火山災害対策軽視を指 摘している. 今後1900年代に比べて大規模噴火が増加する指摘もあ り5),火山災害対策の向上が課題となっている.本研究 では,火山災害対策のなかで市町村の災害対策や対応の 中心となる地域防災計画に着目する. 地域防災計画に関する研究は,大別して3つの視点が ある.中谷・村尾6)によれば,[1]計画立案の前提条件と なる被害想定に関する研究7)[2]地域防災計画の課題分 析や防災対応力の評価に関する研究8)-10),[3]地域特性を 踏まえた計画策定手法の研究6)がある.本研究は,[2]地 域防災計画の課題分析に位置づけられる.[2]地域防災 計画の課題分析や防災対応力の評価に関する既往研究は, 地震や風水害対策を対象に,震災後の地震対策編の取り 扱いの実態把握や水害後や震災後の見直し項目の分析が 実施されている.しかし,地域防災計画の課題分析や防 災対応力の評価に関する既往研究では,火山災害を対象 にしたものは見受けられない. 本報告では,昨今火山噴火が多い九州地方の活火山に 隣接する市町村を対象に,火山噴火の経験が地域防災計 画における火山災害対策に与える影響を分析し,今後の 地域防災計画における火山災害対策の向上に資する情報 提供を目的に行う. 具体的には,まず,活火山の噴火頻度と噴火による被

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害を整理する.次に,噴火頻度と噴火による被害を火山 に隣接する市町村の火山噴火の経験としてとらえて,火 山噴火の経験と地域防災計画の公表状況との関係を把握 する.続いて,火山噴火の経験が地域防災計画における 火山災害対策の位置づけに与える影響を検討する.続い て,火山噴火の経験が火山災害対策の記載項目数と項目 内容に与える影響を分析する.最後に,分析結果をもと に今後の火山災害対策の向上策について考察を加える. 2. 九州地方における活火山 九州地方には17の活火山がある.17の活火山の噴火頻 度と被害状況について,気象庁11),12)や阿蘇山火山連絡事 務所13),九州災害履歴情報データベース14)をもとに表-1 に示す.ここでの噴火頻度は,過去から今日までの1年 間の噴火回数を詳細に把握するには限度があり,1900年 から2015年の116年間のうち噴火した年数を示している. 被害は,死者を出した人的被害,建物や農林水産物への 被害の有無を示している.その他は,116年間に噴火し た火山には噴火の特筆すべき事項を,噴火していな火山 には最新の噴火年を示している. まず,1900年から2015年までに9つの活火山が噴火し ている.なかでも阿蘇山や桜島,諏訪之瀬島は,116年 間で噴火した年が60以上あり,2年に1回噴火している. 次に, 5つの活火山の噴火から人的被害が出ている. このなかで,1回の火山災害で多くの死者が出た事例と たびたび死者を出す事例があった.例えば,1913年の桜 島の火山災害では,噴火と地震による死者が58人,1991 年の雲仙岳の火山災害では,噴火による死者が43人と なっている.一方で阿蘇山の火山災害では,1953年の噴 火による噴石で観光客6人の死者を出した事例をはじめ, 1958年の噴火による噴石で休憩所や土木事務所が倒壊し 12人の死者,1979年の噴火による噴石で観光客3人の死 者を出している.また,火山ガスにより1989年に1人, 1990年3人,1994年に1人,1997年に2人の観光客の死者を 出している.建物や農林水産物の被害は,阿蘇山,雲仙 岳,霧島山,桜島,口永良部島でそれぞれ発生している. 最後に,その他として,被害の報告はないが,九重山 では1995年の噴火で周辺自治体に降灰が確認されている. また,薩摩硫黄島や諏訪之瀬島においても噴火により島 内に降灰が確認されている.鶴見岳と開聞岳は800年代 にそれぞれ噴火しているが,それ以外の由布岳や福江群 島火山群などは紀元前の噴火である. 3. 調査方法 (1) 調査対象 研究対象とする活火山は紀元後に噴火した11の活火山 とした.調査対象とする市町村は,活動火山対策特別措 置法の火山災害警戒地域として常時観測火山とともに指 定されている市町村を基本とした.その他常時観測火山 に指定されていない火山については隣接する市町村を対 象にした.すなわち,調査対象の活火山と市町村は,11 活火山と隣接する24市町村である(表-2). 表-1 活火山の噴火頻度と被害 人的被害 建物・農林水産物被害 阿蘇山 80年 噴石や火山ガスにより死者の合計28人 1979年や1989年の噴火による噴石や火山灰で建物 や農作物被害 - 雲仙岳 7年 1991年の火砕流により死者43人 1990年から1995年にかけての噴火による火砕流と噴石,土石流,火山灰で建物や農林水産物被害 - 鶴見岳・伽藍岳 噴火なし - - 771年と867年に伽藍岳が噴火 由布岳 噴火なし - - 約2200年前に噴火 九重山 2年 なし なし 1995年の噴火で竹田市と九重町に降灰 福江火山群 噴火なし - - 約2000~3000年前に噴火 霧島山 11年 1900年の噴火で死者2人 2011年の噴火による噴石や火山灰で建物や農林水 産物 - 桜島 76年 1913年の火砕流や土石流,地震により死者58人 1974年の土石流により工事現場で死者8人 1991年や2011年の噴火による噴石や火山灰などで住 宅や農作物被害 - 米丸・住吉池 噴火なし - - 約8000年前に噴火 若尊 噴火なし - - - 池田・山川 噴火なし - - 約4800年前に噴火 開聞岳 噴火なし - - 874年と885年に噴火 薩摩硫黄島 10年 なし なし 1934年の海底火山噴火で昭和硫黄島を形成 島内に降灰 口永良部島 14年 1933年から1934年の噴火で死者8人 1933年から1934年の噴火で島内の建物に被害 - 口之島 噴火なし - - 有史の記録に残る火山活動なし 中之島 1年 なし なし 1914年に山頂噴気孔底から泥土噴出 諏訪之瀬島 65年 なし なし 2013年や2014年の噴火で集落に降灰 活 火 山 1900年から2015 年の噴火頻度 1900年から2015年までの主な被害 その他

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(2) 調査方法 まず,地域防災計画を入手する必要がある.地域防災 計画は,市町村ホームページからダウンロードおよび市 町村に問い合わせて入手した.なお,地域防災計画に関 する一連の情報は,2016年8月31日時点のものを対象と している. 次に,市町村の防災担当者に電話調査を実施した.調 査内容は,[1]図書館への地域防災計画の設置,[2]住民 向けの概要版の作成と公表,[3]地域防災計画の発行年 月,[4]地域防災計画における火山災害対策の位置づけ を質問した.調査は2016年6月6日から2016年8月1日にか けて実施した. (3) 分析方法 本研究は,クロス集計とフィッシャー正確確率検定, YuleのQ,数量化3類とクラスター分析により市町村の火 山噴火の経験が地域防災計画における火山災害対策に与 える影響を分析する.ここでの火山災害対策は,地域防 災計画の対策編全般または対策編の一部の章で火山災害 対策として記載されている内容,地域防災計画で別途指 定している火山災害対策の内容を対象としている. まず,分析にあたり,各市町村で地域防災計画の対策 の表記が相違するために統一化した.統一化する表記は, 地域防災計画が災害対策基本法をもとに作成されている ことから,災害対策基本法の第3章第42条の2,第4章第 46条,第5章第50条,第6章から第8章をもとに,[1]予防 対策として,組織計画,防災訓練・教育,観測・研究の 推進,自主的防災活動の促進,ボランティアの整備計画, 通信施設の整備,防災施設の整備,要配慮者への対策, [2]応急対策として,災害情報の収集・伝達,避難計画, 消防計画,救助計画,医療計画,生活関連物資供給計画, 防疫・衛生計画,清掃・災害廃棄物処理計画,交通の規 制,緊急輸送,関係機関への応援要請,自衛隊への応援 要請,文教対策,社会秩序の維持対策,施設の応急復旧, 労働供給計画,[3]復旧・復興対策として,復旧・復興 事業の推進,被災者への援護措置,財政金融措置とした. また,災害対策基本法に記載がない内容について,予防 対策では過去の火山活動,被害想定を,復旧・復興対策 では住宅の修理・確保計画,降灰除去対策を統一化する 表記として設けた.なお,本来であれば,災害対策基本 法以外に活動火山対策特別措置法第6条に市町村地域防 災計画に定めるべき事項等が規定されており,研究対象 にすべきである.しかし,2016年2月に当該箇所が改正 されたばかりなので本研究では対象から除外した. 次に,地域防災計画をデータベース化して対策項目に 統一化した表記を反映させた.具体的には,地域防災計 画を編,章,節,項,小項に分類したデータベースを作 成し,統一化した表記をラベル属性として付与した. 4. 地域防災計画の公表状況と火山災害対策 (1) 地域防災計画の公表 電話調査で見直し中と回答した市町村を除き, 21市 町村の地域防災計画の公表状況を表-3に示した. 表-3より15の市町村が地域防災計画をホームページで 公表していた.また,地域防災計画を図書館に置いてい る市が3つ,住民向けに概要版を作成して配布した市が1 つであった.これ以外に,ホームページに公開している 市町村の中で図書館以外で公民館におく,かつ自治会長 に配布したと回答した自治体が2つあった. 以上,地域防災計画は,市町村のホームページによる 公表が多かったが,ホームページ以外での公表は少な かった.なお,市町村役場には必ず地域防災計画が置い てあり,閲覧可能である. (2) 地域防災計画における火山災害対策の位置づけ 図-1に地域防災計画の構成からみた火山災害対策を示 表-2 調査対象 表-3 地域防災計画の公開と火山災害対策の位置づけ 都道府県 市町村 活火山 都道府県 市町村 活火山 阿蘇市 都城市 南阿蘇村 えびの市 高森町 小林市 雲仙市 高原町 島原市 霧島市 南島原市 湧水町 竹田市 鹿児島市 九重町 垂水市 別府市 十島村 諏訪之瀬島・中之島 宇佐市 三島村 薩摩硫黄島 日出町 屋久島町 口永良部島 鹿児島県 指宿市 開聞岳 桜島 由布市 霧島山 宮崎県 阿蘇山 雲仙岳 鶴見岳・伽藍岳 九重山 熊本県 長崎県 大分県 市町村 HP公開 図書館 住民向け概要 発行年 別府市 有 無 無 2015年3月 宇佐市 無 無 無 2015年3月 日出町 有 無 無 2015年7月 由布市 有 無 無 2012年8月 竹田市 無 無 無 2014年3月 九重町 無 無 無 2016年2月 阿蘇市 有 無 無 2015年6月 南阿蘇村 有 無 無 2015年6月 雲仙市 有 無 無 2016年5月 島原市 有 有 無 2016年8月 南島原市 有 無 無 2014年5月 都城市 有 有 無 2016年6月 えびの市 有 有 無 2015年3月 高原町 無 無 無 2013年3月 霧島市 有 無 無 2016年8月 湧水町 無 無 無 2016年5月 鹿児島市 有 無 H26年度のみ 2014年5月 垂水市 有 無 無 2014年8月 屋久島町 有 無 無 2012年3月 十島村 有 無 無 2015年3月 三島村 無 無 無 2016年3月

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している.ここでは,風水害対策編の一部に火山災害対 策が記載されている場合を「風水害対策の一環」,特定 災害対策編の一部に火山災害対策が記載されている場合 を「特定災害対策の一環」,火山災害対策を全部の災害 と一括で記載されている場合を「全災害一括」,火山対 策として独立した編を有している場合を「火山災害対策 として独立」と区分した. 図-1より地域防災計画の火山災害対策として,風水害 対策の一環として設けている市町村が7つ,特定災害対 策の一環として設けている市町村が2つ,火山災害対策 として独立して設けている市町村が10であった.その他, 地震津波対策の一環と全災害一括としている市町村が各 1つあった.半数の市町村が独立した火山災害対策を設 けていることがわかった.また,3自治体からは過去の 噴火から火山災害対策が重要なために地域防災計画で独 立した火山災害対策編を設けているとの回答があった. 以上,各市町村で地域防災計画における火山災害対策 に編集上の相違があることがわかった. (3) 火山災害対策の記載項目数 図-2に地域防災計画における火山災害対策の記載項目 数を示した.ここでは,21市町村を対象としているため に最大値は21である.図-2によれば,組織計画と災害情 報の収集・伝達が21,避難計画が20,防災訓練・教育が 15となっており,これらの対策は多い.一方で,文教対 策が3,労働供給計画が1など少ない対策もある.また災 害対策基本法の予防対策,応急対策,復旧・復興対策の 区分で見ると,総合的に予防対策や応急対策の項目に比 べて,復旧・復興対策の記載項目数が少ない. 以上,各市町村で火山災害対策の記載項目数も相違し ていることがわかった. 5. 火山噴火の経験が地域防災計画における火山 災害対策に与える影響分析 (1) 火山噴火の経験と地域防災計画の公表 火山噴火の経験の有無とホームページでの地域防災計 図-1 地域防災計画の構成と火山災害対策 図-2 火山災害対策の記載項目数 10 1 2 1 7 0 2 4 6 8 10 火山災害対策として独立 全災害一括 特定災害対策の一環 地震津波対策の一環 風水害対策の一環

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画の公表との関係を図-3に示した.図-3によれば,火山 噴火の経験の有無に関係なく,ホームページの公表が過 半数を超えている.火山噴火の経験がホームページでの 地域防災計画の公表に影響しているとはいえない. (2) 火山噴火の経験と地域防災計画における火山災害 対策の位置づけ まず,火山噴火の経験の有無と地域防災計画の構成か らみた火山災害対策の位置づけとの関係を図-4に示した. 図-4によれば,火山噴火を経験した市町村の方が独立し た対策編を設けている傾向にある.しかし,火山噴火を 経験していない市町村のデータも少ない上に,火山噴火 を経験した市町村も約45%が独立した対策編を設けてい ない. 次に,上記の点を踏まえて,過去116年間に火山噴火 を経験した頻度,死者を出した火山噴火の経験と地域防 災計画における火山災害対策の位置づけについて, フィッシャーの正確確率検定(両側検定)とYuleのQをも とに関連性を検討した.ここでの火山噴火を経験した頻 度は,約10年に1度の割合で噴火し,災害対策を担う各 世代(1900年生から10年間隔)が1度は火山災害を経験した もしくは災害の危険にさらされたと考えられる10年以上 と10年未満で区分した.図-5に火山噴火の経験頻度と地 域防災計画における火山災害対策の位置づけとの関係を, 図-6に死者を出した火山噴火の経験と地域防災計画にお ける火山災害対策の位置づけとの関係を,表-4に検定の 結果を示した.図-5によれば,噴火の経験を10年以上, 経験無・経験10年未満で区分すると,噴火の経験が10年 以上の市町村は,独立した火山災害対策を設ける傾向に ある.また,図-6によれば,噴火の頻度ほどではないが, 死者を出した火山噴火の経験をしている方が独立した対 策を設ける傾向にある.続いて,表-4より,火山噴火の 経験頻度と火山災害対策の位置づけでは1%,死者を出 した火山噴火の経験と火山災害対策の位置づけの場合も 5%の有意差がある.YuleのQは,0.892と0.881を示してお り,比較的高い相関にある. 以上,火山噴火の経験が地域防災計画の構成からみた 火山災害対策の位置づけに影響を与えていることを示唆 した. (3) 火山噴火の経験と地域防災計画における火山災害 対策の記載項目数 まず,火山の噴火経験の有無と火山災害対策の記載項 図-3 火山噴火の経験有無と地域防災計画の公表 図-4 火山噴火の経験有無と火山災害対策の位置づけ 図-5 火山噴火を経験した頻度と火山災害対策の位置づけ 図-6 死者を出した火山噴火の経験と火山災害対策の位置づけ 表-4 検定の結果 図-7 火山噴火の経験有無と火山災害対策の記載項目数 図-8 火山噴火の経験頻度と火山災害対策の記載項目数 図-9 死者を出した火山噴火の経験と火山災害対策の記載項 目数 表-5 検定の結果 67% 72% 33% 28% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 噴火の経験無(n=3) 噴火の経験有(n=19) ホームページでの公開あり ホームページでの公開なし 100% 44% 56% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 噴火の経験無(n=3) 噴火の経験有(n=19) 他災害対策の一環・全災害一括 火山災害対策として独立 78% 17% 22% 83% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 噴火の経験無・10年未満(n=9) 噴火の経験10年以上(n=12) 他災害対策の一環・全災害一括 火山災害対策として独立 88% 31% 13% 69% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 噴火による死者無(n=8) 噴火による死者有(n=13) 他災害対策の一環・全災害一括 火山災害対策として独立 P値 YuleのQ 火山噴火の経験頻度と火山災害対策の位置づけ 0.009 0.892 死者が出た火山噴火の経験と火山災害対策の位置づけ 0.024 0.881 100% 11% 61% 28% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 噴火の経験無(n=3) 噴火の経験有(n=18) 10項目未満 10~19項目 20項目以上 56% 44% 100% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 噴火の経験無・10年未満(n=9) 噴火の経験10年以上(n=12) 10項目未満 10項目以上 63% 38% 100% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 噴火による死者無(n=8) 噴火による死者有(n=13) 10項目未満 10項目以上 P値 YuleのQ 火山噴火の経験頻度と火山災害対策の記載項目数 0.006 1.000 死者が出た火山噴火の経験と火山災害対策の記載項目数 0.003 1.000

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目数との関係を図-7に示した.ここでの項目数は,火山 災害対策31項目を記載している数量である.図-7によれ ば,火山の噴火経験がない市町村は10項目未満のみと なった.一方で火山の噴火を経験した市町村は,10~19 項目が最も多くなったが,10項目未満も存在する. 次に,上記の点を踏まえて,過去116年間の火山噴火 の経験頻度,死者を出した火山噴火の経験と地域防災計 画における火山災害対策の項目数について,フィッ シャーの正確確率検定(両側検定)とYuleのQをもとに関 連性を検討した.図-8に火山噴火の経験頻度と地域防災 計画における火山災害対策の項目数との関係を,図-9に 死者を出した火山噴火の経験と地域防災計画における火 山災害対策の項目数との関係を,表-5に検定の結果を示 した.図-8によれば,噴火の経験を10年以上している市 町村は10項目未満がない.また,図-9によれば,噴火の 頻度と同じように死者を出した火山噴火の経験をしてい る市町村は10項目未満がなかった.続いて,表-5より, 火山噴火の経験頻度と火山災害対策の記載項目数,死者 が出た火山噴火の経験と火山災害対策の記載項目数のい ずれの場合も1%の有意差である.YuleのQは,それぞれ 1.000を示しており,高い相関がある. 以上,火山噴火の経験が地域防災計画における火山災 害対策の記載項目数に影響を与えていることを示唆した. (4) 火山噴火の経験と地域防災計画における火山災害 対策の項目内容 まず,噴火の経験が10年以上とそれ以外の区分,死 者を出した火山噴火の経験の有無の区分と火山災害対策 の項目内容との関係を検討する.図-10に火山噴火を経 験した頻度と火山災害対策の項目内容との関係を,図-11に死者を出した火山噴火の経験と火山災害対策の項 目内容を示した.図-10によれば,過去の火山活動や組 織計画,災害情報の収集・伝達や避難計画など一部の項 目では火山噴火の経験頻度が低くても対策を記載する傾 図-10 火山噴火の経験頻度と火山災害対策の項目内容 図-11 死者を出した火山噴火の経験と火山災害対策の項目内容 0% 20% 40% 60% 80% 100% 過去の火山活動 被害想定 組織計画 防災訓練・教育 観測・研究の推進 自主的防災活動の促進 ボランティアの整備計画 防災施設の整備 通信施設の整備 要配慮者への対策 災害情報の収集・伝達 避難計画 消防計画 救助計画 医療計画 生活関連物資供給計画 防疫・衛生計画 清掃・災害廃棄物処理計画 交通の規制 緊急輸送 関係機関への応援要請 自衛隊への応援要請 文教対策 社会秩序の維持対策 施設の応急復旧 労働供給計画 復旧・復興事業の推進 降灰除去対策 被災者への援護措置 住宅の修理・確保計画 財政金融措置 噴火の経験無・10年未満(n=9) 噴火の経験10年以上(n=12) 対策実施の割合 0% 20% 40% 60% 80% 100% 過去の火山活動 被害想定 組織計画 防災訓練・教育 観測・研究の推進 自主的防災活動の促進 ボランティアの整備計画 防災施設の整備 通信施設の整備 要配慮者への対策 災害情報の収集・伝達 避難計画 消防計画 救助計画 医療計画 生活関連物資供給計画 防疫・衛生計画 清掃・災害廃棄物処理計画 交通の規制 緊急輸送 関係機関への応援要請 自衛隊への応援要請 文教対策 社会秩序の維持対策 施設の応急復旧 労働供給計画 復旧・復興事業の推進 降灰除去対策 被災者への援護措置 住宅の修理・確保計画 財政金融措置 噴火による死者無(n=8) 噴火による死者有(n=13) 対策実施の割合 記載項目の割合 記載項目の割合

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向にあるが,火山噴火の経験頻度の高い方が全体的に対 策を記載している.また,図-11も同様に死者を出した 火山の噴火を経験している方が全体的に対策を記載して いる傾向にある.一方で,図-10と図-11からは,噴火の 経験頻度が高いことや過去に死者を出した噴火を経験し ているとはいえ,全項目の記載率が同様に高いわけでは なく,各項目で相違がみられた. 次に,さらに詳細に火山噴火の経験と地域防災計画に おける火山災害対策との関係を議論するために,数量化 3類とクラスター分析を行った.ここでは,火山噴火の 頻度として噴火の経験が10年以上の火山もしくは過去に 死者を出した火山を対象にデータを抽出し,15市町村を 対象とした.また,数量化3類を行うために,記載して いる項目を1,記載していない項目を0とする1,0データ にした.かつ,すべての市町村で実施している組織計画, 災害情報の収集・伝達,避難計画の項目を分析データか ら除外した. はじめに,累積寄与率が60%以上になるまで行うと3 軸が抽出された(表-6).この中で各軸に強く影響を与え たカテゴリースコアから軸の解釈を試みると,第2軸を 除く第1軸と第3軸において解釈可能となった.第1軸と 第3軸のカテゴリープロット図を示す(図-12).表-6と図-12によれば,第1軸のプラス側の上位に「降灰除去対 策」,「住宅の修理・確保計画」,「財政金融措置」が 位置し,マイナス側の上位に「交通の規制」,「施設の 応急復旧」,「救助計画」など応急対策の一部が位置し ている.これを踏まえて,第1軸は,プラスほど「復 旧・復興対策を重要視」し,マイナスほど「応急対策の 一部を重要視」すると解釈した.また,第3軸のプラス 図-12 カテゴリープロット図 表-6 数量化3類の実施結果 カテゴリー 第1軸 第2軸 第3軸 過去の火山活動 0.1216 0.3507 -0.7676 被害想定 -0.0620 0.3609 -0.7918 防災訓練・教育 0.6616 -0.0936 -0.8311 観測・研究の推進 0.3028 1.4680 -0.8506 自主的防災活動の促進 1.0358 0.4125 -0.2122 ボランティアの整備計画 0.4292 0.1970 1.1082 防災施設の整備 1.0613 0.4470 -0.5793 通信施設の整備 -1.2711 0.2728 -1.9121 要配慮者への対策 0.3284 0.0604 1.6992 消防計画 -1.0038 1.7396 0.2857 救助計画 -1.5537 0.1197 -0.6000 医療計画 -0.6630 1.3360 0.3560 生活関連物資供給計画 -0.7863 1.8151 -0.2896 防疫・衛生計画 -1.4579 -1.2599 0.5264 清掃・災害廃棄物処理計画 -0.6928 0.4401 2.0830 交通の規制 -2.3760 -2.4481 -0.0822 緊急輸送 0.2503 0.3931 1.2822 関係機関への応援要請 0.2567 -2.0423 -0.6698 自衛隊への応援要請 0.4951 -1.1209 -0.7670 文教対策 -1.5447 0.7769 3.2202 社会秩序の維持対策 0.0345 -0.0092 1.4117 施設の応急復旧 -1.5915 -1.6702 0.2474 労働供給計画 -0.3396 -0.3464 2.8095 復旧・復興事業の推進 1.1618 -0.5061 0.5922 降灰除去対策 1.5523 -0.2604 -0.3775 被災者への援護措置 0.9050 -0.5222 0.8878 住宅の修理・確保計画 1.3882 -0.3501 0.4417 財政金融措置 1.2186 -0.9710 1.7039 固有値 0.2250 0.1455 0.1262 寄与率 27.95% 18.08% 15.67% 累積寄与率 27.95% 46.03% 61.70% 相関係数 0.4743 0.3814 0.3552 第3軸 応急対策の一部を重要視 予防対策を重要視 第1軸 復旧・復興対策を 重要視 応急対策の一部を重要視 過去の火山活動 被害想定 防災訓練・教育 観測・研究の推進 自主的防災活動の促進 ボランティアの整備計画 防災施設の整備 通信施設の整備 要配慮者への対策 消防計画 救助計画 医療計画 生活関連物資供給計画 防疫・衛生計画 清掃・災害廃棄物処理計画 交通の規制 緊急輸送 関係機関への応援要請 自衛隊への応援要請 文教対策 社会秩序の維持対策 施設の応急復旧 労働供給計画 復旧・復興事業の推進 降灰除去対策 被災者への援護措置 住宅の修理・確保計画 財政金融措置 ‐2.5 ‐1.5 ‐0.5 0.5 1.5 2.5 3.5 ‐2.5 ‐1.5 ‐0.5 0.5 1.5 2.5

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側の上位に「文教対策」,「労働供給計画」,「清掃・ 災害廃棄物処理計画」が位置し,マイナス側の上位に 「通信施設の整備」,「観測・研究の推進」,「防災訓 練・教育」が位置している.第3軸のプラス側は,第1軸 のマイナス側と異なるカテゴリーが上位を占めている. したがって,第3軸はプラスほど「応急対策の一部を重 要視」し,マイナスほど「予防対策を重要視」すると解 釈した. 続いて,数量化3類で得られたサンプルスコアにクラ スター分析(ウォード法)を実施し,図-13に示した.図-13によれば,第1軸と第3軸の中央に位置するグループ, 第1軸のプラス側に位置するグループ,第1軸のマイナス 側と第3軸のマイナス側に位置するグループ,第1軸のマ イナス側と第3軸のプラス側に位置する4グループに大別 された.このグループの特性として,[1]予防対策から 復旧・復興対策の項目を網羅する.[2]復旧・復興対策 の項目を重要視する,[3]予防対策と応急対策の一部の 項目を重要視する,[4]応急対策の項目を重要視すると 解釈した. 最後に,4グループと活火山との関係を表-7に示した. 表-7によれば,[1]グループは口永良部島と諏訪之瀬島, 薩摩硫黄島,霧島山と桜島となった.ここでは,すべて の離島が含まれていることから,例えば2015年の口永良 部島の噴火では全島避難を余儀なくされたように,火山 噴火により島全体が危険になるために網羅的に対策を記 載していることが示唆される.このなかでは,火山災害 への脅威から地域防災計画に過去の噴火時の対応経験を 掲載していた自治体もあった.[2]グループは霧島山と 桜島となった.とくに霧島山は2011年の噴火で農林水産 物に被害が出ており,復旧・復興対策を重要視する傾向 が示唆される.[3]グループは阿蘇山や雲仙岳となった. ここでは,阿蘇山で観光客の死者が度々発生しているこ とや雲仙岳は1991年の噴火で43人の死者が出たことから 予防対策や応急対策を重要視している傾向が示唆される. 阿蘇山に隣接する自治体からは,阿蘇山と集落との距離 が離れていることもあり,観光客の安全対策に重点を置 いた計画になっているとの回答があった.[4]グループ は雲仙岳となった.ここでは,過去の噴火による人的被 害の経験から,とくに応急対策を重要視しているとの回 答があった. 以上,火山噴火の経験が火山災害対策の項目内容に影 響を与えていた.火山噴火の経験頻度が高い場合や死者 を出した噴火を経験していると全体的に対策を記載する 傾向にあった.さらに詳細に分析すると,噴火した場合 に島全域が危険にさらされる離島では網羅的に対策を記 載していた.また,1991年の噴火で43人の死者を出した 雲仙岳や観光客の死者を度々出している阿蘇山の周辺市 町村では予防対策や応急対策の項目を,2011年の噴火で 農林水産物に大きな被害を出した霧島山の周辺市町村で は復旧・復興対策の項目を重要視していた.すなわち, 図-13 サンプルプロット図 表-7 4グループと活火山 予防対策を重要視 阿蘇市 南阿蘇村 雲仙市 島原市 南島原市 都城市 えびの市 霧島市 高原町 湧水町 鹿児島市 垂水市 屋久島町 十島村 三島村 ‐2 ‐1 0 1 2 ‐2 ‐1 0 1 2 [1]グループ [2]グループ [3]グループ [4]グループ 第3軸 応急対策の一部を重要視 応急対策の一部を重要視 第1軸 復旧・復興対策を 重要視 阿蘇山 雲仙岳 霧島山 桜島 口永良部 島 諏訪之瀬 島 薩摩硫黄 島 [1]グループ 0 0 1 1 1 1 1 [2]グループ 0 0 4 1 0 0 0 [3]グループ 2 2 0 0 0 0 0 [4]グループ 0 1 0 0 0 0 0 合 計 2 3 5 2 1 1 1

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火山災害対策の項目内容は,火山の噴火頻度とともに過 去の火山噴火の被害内容や噴火した場合の危険性が影響 を与えている傾向を示唆した. (5) 今後の地域防災計画における火山災害対策向上に 向けた一考察 火山噴火の経験が地域防災計画における火山災害対策 に影響を与えていた.過去に火山災害経験を有する方が 火山災害対策を独立編として設けることや地域防災計画 に掲げる対策の項目数が多かった.また,内容としては, 過去に火山災害を経験した方が要配慮者への対策,関係 機関への応援要請や降灰除去対策,住宅の修理・確保計 画などを記載している傾向にあった.さらに,数量化の 結果より,主に離島では予防対策から復旧・復興までの 一連の対策を重要視し,過去に火砕流や噴石,火山ガス により死者を多く出した雲仙岳や阿蘇山周辺の市町村で は予防対策から応急対策を重要視していた.また,近年, 噴石や降灰により建物や農林水産物の被害を出している 桜島や霧島山周辺の市町村では,降灰除去などの復旧・ 復興対策を重要視する傾向にあった.このように過去の 被害によって重要視している対策が相違することから, 噴火経験がない市町村は,想定される被害特性をもとに, 想定した被害と同じような被害を過去に出した市町村の 計画が参考になると考えられる.例えば,火砕流などで 住民の人的被害が想定される場合には雲仙岳周辺の自治 体の計画を参考にする.降灰による農林水産物被害が想 定される場合には霧島山や桜島周辺の自治体の計画を参 考にするなどが挙げられる.また,これまでに噴火の経 験がある市町村においても,例えば,応急対策を重要視 している市町村が,復旧・復興対策を重要視している市 町村の計画を参考にすることで,さらなる地域防災計画 における火山災害対策の向上の可能性がある. なお,一連の調査において,住民が市役所や町村役場 でしか地域防災計画を閲覧できない状況も見受けられた. この点について,災害対策基本法第42条の5において, 住民に計画の内容を周知させ,実施にあたって協力を得 ようとする目的で「要旨の公表」が規定されていること から15),地域防災計画をホームページに掲載するなど幅 広く公表することが望まれる. 6. まとめ 本報告は,火山噴火の経験が地域防災計画の火山災害 対策に与える影響を分析し,今後の地域防災計画におけ る火山災害対策の向上に資する情報提供を目的に行った. 地域防災計画における火山災害対策の個別具体的な内容 まで検討できなかったが,得られた成果は以下のとおり. (1)火山噴火の経験が地域防災計画の公表に影響を与 えていなかった.市町村における地域防災計画の 公表は,ホームページによるものが多かった. (2)火山噴火の経験が地域防災計画における火山災害 対策の位置づけに影響を与えていた.火山噴火の 経験頻度で10年以上または死者を出した火山噴火 の経験がある場合に地域防災計画における火山災 害対策を独立編として設ける傾向にあった. (3)火山噴火の経験が地域防災計画の火山災害対策の 記載項目数に影響を与えていた.噴火の経験頻度 が10年以上または死者を出した噴火の経験がある 場合に火山災害対策の項目を多く設ける傾向に あった. (4)火山噴火の経験が火山災害対策の項目内容に影響 を与えていた.なかでも噴火頻度とともに,噴火 の被害内容や噴火した場合の危険性が火山災害対 策の項目内容に影響を与える傾向を示唆した.噴 火した場合に島全域が危険にさらされる離島では 網羅的に対策を記載していた.また,過去の噴火 で多くの死者を出した雲仙岳や観光客の死者を 度々出している阿蘇山の周辺市町村では予防対策 や応急対策の項目を重要視しており,降灰より農 林水産物に被害を出した桜島や霧島山周辺の自治 体では,復旧・復興対策を重要視していた. (5)本研究での分析結果をもとに今後の地域防災計画 における火山災害対策の向上策について言及した. 最後に,本報告では,地域防災計画における火山災害 対策の位置づけや記載項目の表面的な事項しか分析でき ていない.今後は,地域防災計画の火山災害対策に記載 されている内容を詳細に分析して,自治体の火山災害対 策の位置づけを含む対策の充実度を分析する必要がある と考えられる. 謝辞:本研究の遂行にあたり,大分県別府市,宇佐市, 竹田市,由布市,九重町,日出町,熊本県阿蘇市,高森 町,南阿蘇村,長崎県雲仙市,島原市,南島原市,宮崎 県都城市,えびの市,小林市,高原町,鹿児島県鹿児島 市,霧島市,垂水市,指宿市,湧水町,屋久島町,十島 村,三島村の防災担当者には業務多忙の中,調査の協力 を頂いた.ここに関係者皆様の協力を頂いたことに感謝 申し上げます. 付録 災害対策基本法第3章 防災計画 第42条 2 市町村地域防災計画は,おおむね次に掲げる事項について定 めるものとする. 一 当該市町村の地域に係る防災に関し,当該市町村及び当該

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市町村の区域内の公共的団体その他防災上重要な施設の管理者 (第四項において「当該市町村等」という.)の処理すべき事 務又は業務の大綱 二 当該市町村の地域に係る防災施設の新設又は改良,防災の ための調査研究,教育及び訓練その他の災害予防,情報の収集 及び伝達,災害に関する予報又は警報の発令及び伝達,避難, 消火,水防,救難,救助,衛生その他の災害応急対策並びに災 害復旧に関する事項別の計画 三 当該市町村の地域に係る災害に関する前号に掲げる措置に 要する労務,施設,設備,物資,資金等の整備,備蓄,調達, 配分,輸送,通信等に関する計画 3 市町村地域防災計画は,前項各号に掲げるもののほか,市町 村内の一定の地区内の居住者及び当該地区に事業所を有する事 業者(以下この項及び次条において「地区居住者等」という.) が共同して行う防災訓練,地区居住者等による防災活動に必要 な物資及び資材の備蓄,災害が発生した場合における地区居住 者等の相互の支援その他の当該地区における防災活動に関する 計画(同条において「地区防災計画」という.)について定め ることができる. 4 市町村防災会議は,市町村地域防災計画を定めるに当たって は,災害が発生した場合において当該市町村等が円滑に他の者 の応援を受け,又は他の者を応援することができるよう配慮す るものとする. 5 市町村防災会議は,第一項の規定により市町村地域防災計画 を作成し,又は修正したときは,速やかにこれを都道府県知事 に報告するとともに,その要旨を公表しなければならない. 災害対策基本法第4章 災害予防 第46 条災害予防は,次に掲げる事項について,災害の発生又 は拡大を未然に防止するために行うものとする. 一 防災に関する組織の整備に関する事項 二 防災に関する教育及び訓練に関する事項 三 防災に関する物資及び資材の備蓄,整備及び点検に関する 事項 四 防災に関する施設及び設備の整備及び点検に関する事項 五 災害が発生した場合における相互応援の円滑な実施及び民 間の団体の協力の確保のためにあらかじめ講ずべき措置に関す る事項 六 要配慮者の生命又は身体を災害から保護するためにあらか じめ講ずべき措置に関する事項 七 前各号に掲げるもののほか,災害が発生した場合における災 害応急対策の実施の支障となるべき状態等の改善に関する事項 災害対策基本法第5章 災害応急対策 第50条 災害応急対策は,次に掲げる事項について,災害が発 生し,又は発生するおそれがある場合に災害の発生を防御し, 又は応急的救助を行う等災害の拡大を防止するために行うもの とする. 一 警報の発令及び伝達並びに避難の勧告又は指示に関する事項 二 消防,水防その他の応急措置に関する事項 三 被災者の救難,救助その他保護に関する事項 四 災害を受けた児童及び生徒の応急の教育に関する事項 五 施設及び設備の応急の復旧に関する事項 六 廃棄物の処理及び清掃,防疫その他の生活環境の保全及び 公衆衛生に関する事項 七 犯罪の予防,交通の規制その他災害地における社会秩序の 維持に関する事項 八 緊急輸送の確保に関する事項 九 前各号に掲げるもののほか,災害の発生の防御又は拡大の 防止のための措置に関する事項 災害対策基本法第六章 災害復旧 災害対策基本法第七章 被災者の援護を図るための措置 災害対策基本法第八章 財政金融措置 参考文献 1) 農林水産省:過去の被害状況 平成 23 年霧島山(新燃岳 (しんもえだけ))の噴火による降灰被害状況について, http://www.maff.go.jp/j/saigai/hunka/kirishima 110128.html (2013 年 12 月 10 日),2016.6.3 閲覧,2016. 2) 内閣府:平成 26 年版 防災白書,pp. 115-119,日経印 刷,2014. 3) 内閣府:火山対策 火山防災対策会議(第 3 回)配布資料 3,2016,http://www.bousai.go.jp/kazan/taisakukaigi/ in-dex.html,2016.7.13 閲覧,2016. 4) 中村功,福田充,廣井脩:自治体における噴火対策 の現状-富士山噴火対策研究 火山情報と避難体制の 研究 その 4-,東京大学大学院情報学環紀要情報学研 究・調査研究編,Vol. 22, pp. 241-281, 2005. 5) 藤井敏嗣:火山防災の課題と展望,砂防と治水,Vol. 47, No. 1, pp. 87-89, 2014. 6) 中谷典正,村尾修:地方都市における小規模自治体 の実情を踏まえた地域防災計画作成手法の提案,地 域安全学会論文集,No. 4, pp. 325-334, 2002. 7) 後藤寛子,山崎文雄,片山恒雄:地震被害想定調査 の現状および今後の課題,地域安全学会論文報告集, No. 5, pp. 361-368, 1995. 8) 高橋和雄,大塚秀徳:地域防災計画における地震地 震対策の策定状況に関する調査-市・区を対象に-, 自然災害科学,Vol. 18, No. 4, pp. 477-487, 2000. 9) 高橋和雄,阿比留勝吾,三重野恵介:平成 5 年 8 月豪 雨による鹿児島水害後の地域防災計画の見直しと自 主防災組織の対応に関する調査,自然災害科学,Vol. 15, No. 2, pp. 125-138, 1996. 10) 牧紀男,林春男:2012 年京都府南部豪雨災害時の宇 部市の災害対応-地域防災計画に求められる内容と 災害対策本部業務への示唆-,地域安全学会論文集, No. 22, pp. 51-58, 2014. 11) 気象庁:知識・解説 全国の活火山の活動履歴等, http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/to-kyo/STOCK/kaisetsu/vol_know.html , 2016.9.1 参 照 , 2016. 12) 気 象 庁 : 各 種 デ ー タ ・ 資 料 各 火 山 の 活 動 状 況 , http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/vol-cano.html,2016.9.1 閲覧,2016.

(11)

13) 阿 蘇 火 山 防 災 連 絡 事 務 所 HP : http://www.jma-net.go.jp/aso/,2016.6.6 閲覧,2016. 14) 一般社団法人九州地域づくり協会:九州災害履歴情 報 デ ー タ ー ベ ー ス ,http://saigairireki.qscpua2.com/ , 2016.9.2 閲覧,2016. 15) 防災行政研究会:逐条解説 災害対策基本法<第三次 改訂版>,p. 263,ぎょうせい,2016. (2017. 2. 9 受付)

THE EFFECT THAT THE EXPERIENCE OF A VOLCANIC ERUPTION

HAS ON THE VOLCANIC DISASTER MEASURES

IN LOCAL DISASTER MANAGEMENT PLAN OF THE MUNICIPALITIES

Tadashi YAMADA

It has been pointed out that there has been some delay in volcanic disaster measures compared to other measures, such as those for earthquakes. With a focus on the municipalities that border the Kyushu region of active volcanoes that frequently erupt, this study analyzed the effect that the experience of a volcanic eruption has on the measures in local disaster management plan with the purpose of providing information contribute to the improvement of volcanic disaster measures in local disaster management plan in the future.

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