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施設園芸における熱エネルギーの効率的利用技術の開発

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Academic year: 2021

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(1)

施設園芸における熱エネルギーの効率的利用技術の開発

(プロジェクト研究成果シリーズ576)

誌名

誌名 施設園芸における熱エネルギーの効率的利用技術の開発 巻/号

巻/号 576号

掲載ページ

掲載ページ p. 1-125 発行年月

発行年月 2017年3月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター

Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

(2)

農林水産技術会議事務局

研 究 成 果

576

︵ ・ ︶

 

地域資源を活用した再生可能エネルギー等の利活用技術の開│施設園芸における熱エネルギーの効率的利用技術の開発│研究成果 

地域資源を活用した再生可能 エネルギー等の利活用技術の開発

─施設園芸における熱エネルギーの 効率的利用技術の開発─

Research and development for production and utilization of renewable energy in rural areas

−Development of technology for renewable heat use 

in Greenhouse Horticulture−

(3)

地域資源を活用した再生可能 エネルギー等の利活用技術の開発

─施設園芸における熱エネルギーの 効率的利用技術の開発─

Research and development for production and utilization of renewable energy in rural areas

-Development of technology for renewable heat use in Greenhouse Horticulture-

2 0 1 7 年 3 月

(4)

序   文

 研究成果シリーズは、農林水産省農林水産技術会議事務局が研究機関に委託して推進した研究の成果を、

総合的かつ体系的にとりまとめ、研究機関及び行政機関等に報告することにより、今後の研究及び行政の効 率的な推進に資することを目的として刊行するものである。

 この第 576 集「地域資源を活用した再生可能エネルギー等の利活用技術の開発-施設園芸における熱エネ ルギーの効率的利用技術の開発-」は、農林水産省農林水産技術会議事務局の委託プロジェクト研究として、

2013 年度から 2015 年度までの 3 年間にわたり、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構を中心 に実施した研究成果をとりまとめたものである(2013 年度は「地域資源を活用した再生可能エネルギーの 生産・利用のためのプロジェクトのうち、施設園芸における熱エネルギーの効率的利用技術の開発」として 実施)。

 我が国農業は、化石燃料に大きく依存しているため、卓越した先端的エネルギー技術により、エネルギー 需給の効率化と利用するエネルギーの転換を図ることが重要である。また、農山漁村において、現在多くが 未利用となっている中・低温の熱エネルギーを施設園芸等で効率的に利用する技術を開発することにより、

エネルギー自給型の農業を確立することが必要とされている。

 本研究は、燃油使用量を半減し、経営収支向上に資することを目的に、施設園芸における地中熱の効率的 提供方法の開発、効率的加温による増収技術の開発及び各地域における熱エネルギーの有効利用方法の実証 や、園芸施設における熱エネルギー利用の効率化を図るための最適な温度制御技術及び中・低温の熱エネル ギー利用技術の開発を行った。

 この研究の成果は、地域で自給できるエネルギーを活用した施設園芸システムの確立に貢献するとともに、

今後の農林水産関係の研究開発及び行政を推進する上で有益な知見を与えるものと考え、関係機関に供する 次第である。

 最後に、本研究を担当し、推進された方々の労に対し、深く感謝の意を表する。

 2017 年 3 月

農林水産省農林水産技術会議事務局長    西郷 正道  

(5)

目   次

研究の要約………1

第1章 施設園芸における地中熱の効率的提供方法の開発………14

  1 寒冷地園芸施設向けの低コストで実用的な地中熱提供方法の開発………14

  (1) 寒冷地向けの園芸施設への地中熱採熱と供給性能評価………14

  (2) 寒冷地園芸施設向け高効率地中熱ヒートポンプの開発………17

  (3) 寒冷地園芸施設でのヒートポンプ運転による作物の生育評価………21

  2 温暖地園芸施設向けの低コストで実用的な地中熱提供方法の開発………25

  (1) 温暖地園芸施設への地中熱の供給性能の解明………25

  (2) 茨城県内における農業用浅層地中熱システムのポテンシャル評価………30

  (3) 温暖地園芸施設向け地中熱ヒートポンプの運転制御の開発………35

  (4) 温暖地園芸施設向け地中熱ヒートポンプシステムの設計・施工………38

  (5) 温暖地園芸施設における地中熱提供のための熱需給の解明………42

  3 効率的熱利用検証用園芸システムの構築・運用………48

第2章 効率的加温による増収技術の開発………53

  1 局所温度管理時の物質動態の解明………53

  2 局所温度管理時の生理生化学的反応の解析………55

  3 生長点近傍局所加温法による花き類の冬季低コスト栽培技術の開発………57

  4 実用的な株元加温技術の開発………62

  5 蓄熱材利用による茎保温器の開発………67

  6 生物特性に基づくクラウン温度制御技術の効率化………70

  7 オンライン群落構造解析(LAI、吸光係数など)手法の開発………75

  (1) Kinect による草高測定システムの開発… ………75

  (2) Kinect による葉面積の測定… ………76

  8 オンライン生育診断情報に基づいた環境調節技術………78

  9 オンライン群落栄養診断技術の開発………81

  10 オンラインストレス評価システムの開発………85

  11 省エネ管理のための低温ストレス診断指標策定………90

第3章 各地域における熱エネルギーの有効利用方法の実証………95

  1 各地域における多様な未利用熱エネルギーの発掘と活用方法の検討………95

  (1) 地熱、太陽熱の施設園芸への活用方法の検討………95

  (2) 西南暖地を中心にした施設園芸向け未利用熱エネルギーの発掘………99

  2 冬季日照・温暖な地域における地中熱交換と局所加温を活用した省エネ型イチゴ栽培     システムの開発……… 105

  (1) 地中熱交換を活用した省エネ型イチゴ高設栽培システムの開発……… 105

  (2) 局所加温を活用した省エネ型イチゴ地床栽培システムの開発……… 108

  3 北関東における蓄熱式栽培環境制御システム利用による高生産・省エネ栽培技術の開発……… 111

  4 暖地における局所加温を利用したピーマン省エネ栽培技術の開発……… 120

(6)

研 究 の 要 約

Ⅰ 研究年次・予算区分

研究年次:2013 年度~ 2015 年度

予算区分:農林水産省農林水産技術会議事務局

… 委託プロジェクト研究「地域資源を活 用した再生可能エネルギー等の利活用 技術の開発-施設園芸における熱エネ ルギーの効率的利用技術の開発-」

Ⅱ 主任研究者

主 査:国立大学法人静岡大学学術院農学研専攻 農学部生物資源科学科植物バイオサイ エンスコース野菜園芸学講座 教授 鈴木 克己(2014 ~ 2016 年度)

※プロジェクト拡充による

推進リーダー:国立研究開発法人農業・食品産業 技術総合研究機構 野菜茶業研究所 野菜研究調整監

鈴木 克己(2013 年度)

浜本 浩(2014 年度)

野菜生産技術研究領域 上席研究員 中野 明正(2015 年度)

チームリーダー(1 施設園芸における地中熱の 効率的提供方法の開発):

国立研究開発法人農業・食品産業技術 総合研究機構 農村工学研究所 農地基盤工学研究領域 上席研究員 奥島 里美(2013 ~ 2015 年度)

チームリーダー(2 効率的加温による増収技術 の開発-局所加温):

国立研究開発法人農業・食品産業技術 総合研究機構 野菜茶業研究所 野菜生産技術研究領域 上席研究員…

中野 明正(2013 ~ 2015 年度)

チームリーダー(2 効率的加温による増収技術 の開発-生育診断):

国立研究開発法人農業・食品産業技術 総合研究機構 野菜茶業研究所 野菜生産技術研究領域 上席研究員…

岩崎 泰永(2013 ~ 2015 年度)

チームリーダー(3 各地域における熱エネル

ギーの有効利用方法の実証):

国立研究開発法人農業・食品産業技術 総合研究機構 野菜茶業研究所 野菜研究調整監

鈴木 克己(2013 年度)

国立研究開発法人農業・食品産業技術 総合研究機構 九州沖縄農業研究セン ター

生産環境研究領域 農業気象研究グ ループ 主任研究員…

柴田 昇平(2014 ~ 2015 年度)

Ⅲ 研究担当機関

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所

国立大学法人北海道大学

地方独立行政法人北海道立総合研究機構  サンポット株式会社

国立研究開発法人産業技術総合研究所 ダイキン工業株式会社

ジオシステム株式会社

公益財団法人東京都農林水産振興財団 クボタシーアイ株式会社

福岡県農業総合試験場

株式会社サイエンス・クリエイト 株式会社豊橋キャンパスイノベーション 埼玉県農林総合研究センター

山口県農林総合技術センター 栃木県農業試験場

宮崎県総合農業試験場

(注)機関名は、2015 年度における名称を使用

Ⅳ 研究目的

1 施設園芸における地中熱の効率的提供方法 の開発

 施設園芸における効率的熱利用技術のうち、熱エ ネルギーを施設園芸に効率的に提供できる技術を開 発する。具体的には、地中熱を熱源として、ヒート ポンプにより園芸施設の暖冷房が行える方法を開発 する。低コスト化を図るため浅層地中を対象とし

(7)

て、ループ方式、シート方式等の熱交換器を埋設 し、寒冷地である北海道と温暖地である関東、九州 で、それぞれの採熱性能を解明する。また、地中熱 を熱源として園芸施設のヒートポンプによる暖房運 転及び冷房運転を実施し、寒冷地及び温暖地園芸施 設での熱供給性能を明らかにする。これにより、従 来の一般的な重油暖房機による暖房と比べたランニ ングコスト評価を行う。また、掘削深や熱交換方式 と初期コストの関係を明らかにし、低コストで実用 的な地中熱の園芸施設への提供方法を提示する。

2 効率的加温による増収技術の開発

 施設園芸における効率的熱利用技術のうち、効率 的加温による増収技術を開発する。具体的には、元 素、ホルモン濃度等による生理生化学的反応の解析 により、局所温度管理時のトマト等の生理生体反応 を評価する技術と指標を開発する。並行して、現場 実証的課題として、生長点近傍局所加温法による花 き類の冬季低コスト栽培技術を開発する。また、ナ スを中心に、蓄熱材利用による茎加温器及び実用的 な茎加温技術を開発する。さらに、イチゴを用いて 生育特性に基づくクラウン温度制御技術の効率化を 行う。

 また、熱エネルギーを高い効率で利用するために は、生育状況を評価する手法と基準値を用い、…温度 を過不足なく調節する必要があるため、葉の展開速 度、茎の伸長速度、葉面積、養分、水分ストレス、

低温ストレスを評価するシステムを開発し、計測結 果を温度管理にフィードバックする栽培管理技術を 確立する。

3 各地域における熱エネルギーの有効利用方 法の実証

 我が国は地域により気候が大きく異なり、施設園 芸に利用可能な熱資源の賦存量が異なる。当課題で は、全国的な地熱、太陽熱の施設園芸への利用可能 性を探索、評価し、園芸作物栽培における利用方法 を検討し、各地域における最適なモデルを提示する ことで、我が国農村地域において持続可能な自然エ ネルギーの有効利用の拡大に貢献できるシステムを 開発する。

Ⅴ 研究方法

1 施設園芸における地中熱の効率的提供方法 の開発

 低コスト化のため浅層地中を対象として、ループ 方式、シート方式等の熱交換器を埋設し、寒冷地で ある北海道と温暖地である関東及び暖地の九州で、

それぞれの採熱性能を解明する。地中熱を熱源とし てヒートポンプの暖房運転及び冷房運転を実施し、

運転データから寒冷地及び温暖地園芸施設での熱供 給量を解析する。従来の暖房と比べたランニングコ ストや、掘削深・熱交換方式別の初期コストを算定 する。また、低コストで実用的な地中熱利用の園芸 施設となるよう、地中冷却や生育面からの効率的な 加温方法も検討する。

2 効率的加温による増収技術の開発

 元素等物質動態の解明、ホルモン濃度や遺伝子発 現による生理生化学的反応の解析により、局所温度 管理時のトマト等の生理生体反応を評価する技術と 指標を開発する。また、生長点近傍局所加温法によ る花き類の冬季低コスト栽培技術の開発、ナスを中 心とした蓄熱材利用による茎保温器及び実用的な茎 加温技術を開発する。さらに、地下水等を使ったク ラウン温度制御システムを製作し、生理学的な知見 に基づく変温管理方法により、生育の促進と省エネ 効果を収量当たりの投入エネルギー量から評価する。

 群落構造については、3 次元形状計測センサ Kinect を用いて、非破壊で連続的に作物群落の構 造を測定するシステムを開発する。また、群落の栄 養状態や生理障害の発生を計測可能な小型の分光イ メージセンサを開発する。このほか、温度ストレス や水ストレスを非破壊・連続・自動計測できるスト レス計を開発するとともに、低温ストレスを連続的 に評価する技術を開発する。

3 各地域における熱エネルギーの有効利用方 法の実証

 全国的な地熱、太陽熱の賦存量を評価し、地中熱 の直接的利用法を検討するため、気象、地中熱交換 量のシミュレーションにより評価を行う。農業由 来、非農業由来の未利用熱エネルギーを発掘するた め、浅層埋設パイプによるイチゴ促成栽培試験、廃 熱利用調査、無加温栽培システムの構築を行う。地

(8)

中熱交換システム、また、テープヒータによる局 所加温にイチゴ低温伸長性品種、日本型日光温室 を組み入れた省エネ型栽培技術を確立するため、

品種比較試験、CO2施用効果の評価、暖房コスト、

生育及び収量性の評価、経営試算を行う。トマト 40 t/10a、イチゴ 12 t/10 a を実現する省エネ栽培技 術を確立するため、蓄熱システムに適応した栽培技 術の検討、栽培実証と経営評価を行う。太陽熱ハウ

ス暖房システムを実用化し、ピーマンの省エネ栽培 技術を実証するため、システムの小型実用機の設 計、ピーマンの低温管理と局所加温栽培技術の実証 試験を行う。

 各地域において自然エネルギーを用いた新規技術 の確立と省エネ効果を栽培試験で実証するととも に、温室の熱収支シミュレーションにより新規技術 の導入効果を評価する。

研究計画表(研究室別年次計画)

研究課題 研究年度 担当研究機関・研究室

13 14 15 機関 研究室

1… 施設園芸における地中熱の効率的提供方法 の開発

(1)… 寒冷地園芸施設向けの低コストで実用 的な地中熱提供方法の開発

1)… 寒冷地向けの園芸施設への地中熱採熱 と供給性能評価

2)… 寒冷地園芸施設向け高効率地中熱ヒー トポンプの開発

3)… 寒冷地園芸施設でのヒートポンプ運転 による作物の生育評価

(2)… 温暖地園芸施設向けの低コストで実用 的な地中熱提供方法の開発

1)… 温暖地園芸施設への地中熱の供給性能 の解明

2)… 茨城県内における農業用浅層地中熱シ ステムのポテンシャル評価

3)… 温暖地園芸施設向け地中熱ヒートポン プの運転制御の開発

4)… 温暖地園芸施設向け地中熱ヒートポン プシステムの設計・施工

5)… 温暖地園芸施設における地中熱提供の ための熱需給の解明

(3)… 効率的熱利用検証用園芸システムの構 築・運用

北海道大学

サンポット(株)

北海道立総合研究 機構花・野菜技術 センター

農村工学研究所

産業技術総合研究 所

ダイキン工業株式 会社

ジオシステム株式 会社

東京都農林総合研 究センター 野菜茶業研究所

大学大学院工学研 究院・空間性能シ ステム部門 技術部開発グルー プ

研究部花き野菜グ ループ

農地基盤工学研究 領域

地圏資源環境研究 部門

空調営業本部園芸 技術科

野菜生産技術研究 領域

(9)

2… 効率的加温による増収技術の開発

(1)… 局所温度管理時の物質動態の解明

(2)… 局所温度管理時の生理生化学的反応の 解析

(3)… 生長点近傍局所加温法による花き類の 冬季低コスト栽培技術の開発

(4)… 実用的な株元加温技術の開発

(5)… 蓄熱材利用による茎保温器の開発

(6)… 生物特性に基づくクラウン温度制御技 術の効率化

(7)… オンライン群落構造解析(LAI、吸光 係数など)手法の開発

1)… Kinect による草高測定システムの開 発

2)… Kinect による葉面積の測定

(8)… オンライン生育診断情報に基づいた環 境調節技術

(9)… オンライン群落栄養診断技術の開発

(10…)…オンラインストレス評価システムの開 発

(11…)…省エネ管理のための低温ストレス診断 指標策定

野菜茶業研究所 野菜茶業研究所

東北農業研究セン ター

福岡県農業総合試 験場

クボタシーアイ株 式会社

九州沖縄農業研究 センター

近畿中国四国農業 研究センター

野菜茶業研究所 野菜茶業研究所

株式会社豊橋キャ ンパスイノベー ション

埼玉県農林総合研 究センター

野菜生産技術研究 領域

野菜育種・ゲノム 研究領域

畑作園芸研究領域

野菜部施設野菜 チーム

開発部 園芸研究領域

傾斜地園芸研究領 域

野菜生産技術研究 領域

野菜生産技術研究 領域

技術移転部

園芸研究所

3… 各地域における熱エネルギーの有効利用方 法の実証

(1)… 各地域における多様な未利用熱エネル ギーの発掘と活用方法の検討

1)… 地熱、太陽熱の施設園芸への活用方法 の検討

2)… 西南暖地を中心にした施設園芸向け未 利用熱エネルギーの発掘

九州沖縄農業研究 センター

近畿中国四国農業 研究センター

生産環境研究領域 傾斜地園芸研究領 域

(10)

Ⅵ 研究結果

1 施設園芸における地中熱の効率的提供方法 の開発

 採熱性能に関して、寒冷地では 3 種類の敷設方 式、4 種類の配管について地中熱交換器の採熱性 能、さらに、1 年に渡る長期の採熱土壌温度の回復 状況を明らかにした。温暖地では縦置き 2 種(つく ば)と横置き 1 種(福岡)の採熱性能を明らかにし た。

 土壌熱物性面から長期的な採熱性能に関して、土 壌の違いと体積熱容量の重要性を解明し、地中熱 ヒートポンプで温室暖房を賄う場合に必要な採熱面 積を明らかにした。

 また、地域の採熱性能を評価するため、地盤の 熱物性値を精査したポテンシャルマップを作成し た。さらに、深度 1.5 m 程度の表層土壌を対象とし て、pF 値シナリオに基づくポテンシャル評価を実 施し、精度を高めた。

 農業用地中熱ヒートポンプとその暖房システム及 びフリークーリングを含む冷房システムを開発し た。寒冷地におけるシステムの熱供給性能として、

暖房運転及び冷房運転でのヒートポンプ及びシステ

ムの成績係数(COP)やコストを明らかにした。

 温暖地(つくば、福岡)において、自家施工が可 能な地中熱ヒートポンプシステムを設計・施工し た。また、家庭用地中熱ヒートポンプを導入したシ ステムの課題を明らかにした。これらシステムの熱 供給性能として、暖房運転及び冷房運転の成績係数 を明らかにした。温暖地(東京)においては、地中 熱ヒートポンプを活用した新たな省エネ栽培システ ムを開発し、暖冷房運転から採熱性能や成績係数を 明らかにした。コストも評価した。

 作物生育面からの効率的運用について、寒冷地で は、地中熱ヒートポンプ利用暖房での順調な生育及 び地中冷却での冷房コストを上回る増収効果を実証 した。温暖地(東京)では、省エネ栽培システムで の局所冷房による増収効果を実証した。温暖地(つ くば)では、地中熱ヒートポンプを活用した温風ダ クトによる局所加温システムを構築し、特に茎頂と 根端の 2 成長点加温(Dual…Heating:DH)区にお いて顕著な増収傾向を確認した。また、地中熱ヒー トポンプを利用した夜間冷房が生育促進に有効であ ることを実証した。

(2)… 冬季日照・温暖な地域における地中熱 交換と局所加温を活用した省エネ型イチ ゴ栽培システムの開発

1)… 地中熱交換を活用した省エネ型イチゴ 高設栽培システムの開発

2)… 局所加温を活用した省エネ型イチゴ地 床栽培システムの開発

(3)… 北関東における蓄熱式栽培環境制御シ ステム利用による高生産・省エネ栽培技 術の開発

1)… トマト 2)… イチゴ

(4)… 暖地における局所加温を利用したピー マン省エネ栽培技術の開発

山口県農林総合技 術センター 山口県農林総合技 術センター 栃木県農業試験場

宮崎県総合農業試 験場

農業技術部・園芸 作物研究室 農業技術部・園芸 作物研究室 研究開発部・野菜 研究室

生産流通部

注)文中の図、表に付した番号は、上記研究課題番号とその中の一連番号を組合せて表示してある。(例:1–(1)…

–1)の課題の 1 番目の図の場合は、図 111-1 と表示)

(11)

2 効率的加温による増収技術の開発

 効率的な加温方法の開発のためのメカニズム解明 において、トマトを中心に、簡易な局所温度管理方 法の効果の再現性を確認し、Sr の分配率(水分移 動の実測)が有効な指標であることを確認した。第 1 章 -3 の課題と連携し、DH の実証栽培を行い、収 量が増加することを確認した。

 1 か所若しくは 2 か所に局所加温を行ったトマト の加温部における植物ホルモン等の変動様式を明ら かにした。また、新鮮重増加に適した局所加温法開 発の指標としてオーキシンレベルが、果実の含水率 増加に適した局所加温法の開発の指標としてジャス モン酸レベルが適していることを明らかにした。

 ガーベラの局所加温について、安価かつ設置が容 易なポリエチレンダクトや灌水用ホースを用い、温 水を通水する方法で生長点近傍を加温することによ り、ガーベラの低室温管理下における切り花本数が 増加することを示した。また、生長点近傍局所加温 システムによる切り花生産コスト及び投入エネル ギー量が低減することを示した。

 茎加温装置の開発について、加温器内湿度や相変 化温度等の改良と、部品点数等コスト面での改良を 行った。試作器を現地実証農家のハウスに設置し装 着性が良好であることを確認した。暖房温度 8℃及 び 10℃のハウスにおいて、試作器を設置したナス 茎部の温度は、18 ~ 22 時の間、目標にしていた約 20℃を維持できた。茎加温器の設置作業時間は、1 個当たり約 20 秒に短縮し作業性が向上した。

 イチゴについて、クラウン部の実用的な管理温度 域を維持できる地下水を利用した省エネ型のクラウ ン温度制御装置を製作した。温風暖房機の稼働時に は、排気ガスの熱を回収して加温に利用した。装置 は良好に稼働し、低温期のイチゴの生育促進に有効 であった。当装置の利用により、温風暖房機の重油 使用量を 5 割程度削減することができた。

 安価な 3 次元形状計測センサである Kinect を利 用した自動草高計測システムを開発した。Kinect を植物の上部に設置することで、草高を非接触でリ アルタイムに計測できた。株を個体識別できる場 合、茎頂部の位置を自動追跡して草高を算出でき た。

 Kinect を利用した群落構造解析システムも開発 した。作物の葉面積を連続非破壊的に測定可能とし

た。本システムにより葉面積の階層分布を推定する ことで、品種の特性が判別可能となった。

 植物群落栄養状態の 2 次元非破壊測定を可能とす るイメージングシステムを開発した。パプリカと キュウリを対象として切り取り葉の窒素を推定した ところ、R 及び IR 帯の反射成分を用いた推定精度 が最も高くなり、パプリカについては単回帰係数が 0.90、キュウリについては 0.41 となった。キュウリ の葉位別窒素を測定したところ、本システムによる 推定値は分析値と類似した。

 水ポテンシャルを非破壊・連続・自動計測する 8 チャンネル用サイクロメータを開発し、製品化 した。熱電対サイクロメータ法による測定範囲は NaCl-2 mol溶液の–9.7 MPaまで計測可能であった。

しおれ現象の浸透ポテンシャル濃度変化を直接計測 できた。

 省エネ管理のための低温ストレス診断指標策定 について、低温遭遇によるトマトの枯死は–1.6℃未 満、生育抑制は 5℃未満で発生した。草丈伸長、光 合成速度、葉面積は低温になるほど減少し、これ ら 3 つの指標が診断指標として利用できることを示 した。栽培期間を通して低温下で管理した場合、低 温になるほど生育、収量、品質が低下し、最低夜温 7.5℃、5℃では果実の着色不良が多く、草丈伸長も 抑制されることを示した。

3 各地域における熱エネルギーの有効利用方 法の実証

 領域気象モデル WRF を用い、2014 年、2015 年 夏季から冬季にかけての全国の気象データベースを 作成した。気温や日射量の再現性は高かったが、冬 季の地温再現性が低かった。また、温熱環境解析 ソフトである TRNSYS を用い、山口県の栗石ベッ ド、栃木県の蓄熱水槽、宮崎県のソーラーコレクタ 等を導入したハウスの性能を試算したところ、比較 的保温カーテンの寄与が高いことが分かった。

 棚田に浅層埋設した熱交換器について、イチゴの 無加温栽培に利用できたが、熱収支モデルを用いた 熱設計が必要となることが分かった。また、井戸底 部に設置した熱交換器を利用することで、夏場 20

~ 25℃に維持できた。

 太陽光蓄熱利用システムを組み入れた省エネ型イ チゴ高設栽培ハウスに、内張用高保温性布団資材、

(12)

CO2施用技術、低温伸長性品種を導入し、システム の運転効率向上を図った。これにより慣行栽培と同 程度以上の収量を確保しつつ、暖房運転費を 10 分 の 1 まで圧縮し、燃油使用量はゼロで稼働可能と なった。

 イチゴの株元クラウン部の局所加温用テープヒー タを導入した地床ハウスに、内張用高保温性布団資 材、CO2施用技術、低温伸長性品種を導入し、シス テムの運転効率向上を図った。これにより慣行栽培 と同程度以上の収量を確保しつつ、暖房運転費を 4

~ 5 割削減、暖房用燃油使用量は 9 割以上削減可能 とした。

 蓄熱式栽培環境制御システムを利用した半閉鎖環 境において、トマト栽培では密度栽培と側枝利用を 組み合わせ、「安濃交 9 号」を用いることで、10 a 当たり可販果収量は 38.7 t となった。保温性の優れ るサイドカーテン、夜間の棟上散水の併用により、

暖房燃料を慣行に比べ 65%削減、暖房経費を 37%

削減した。また、1 kg 当たりの燃料コストは 65%

の削減となった。イチゴ栽培では、日中の炭酸ガス 濃度を 1000 ppm に維持することにより、慣行栽培 比 117%程度の収量を確保した。炭酸ガス施用に要 する燃料費を含めた総光熱費は、慣行栽培比 80 ~ 90%、1 kg 当たり光熱費は、慣行栽培比約 70%と 試算できた。

 太陽熱暖房システムを利用したピーマンの栽培試 験では、慣行栽培とほぼ同等の収量があり、ランニ ングコストは 6 割削減できるものの、イニシャルコ ストが非常に高く普及の可能性は低いと考えられ た。一方、ピーマンの株元への局所加温と省エネ資 材を組み合わせることで、暖房用燃料を 80%以上 削減できることを明らかにした。

Ⅶ 今後の課題 

 地中熱利用技術については、採熱管や施工法の改 良を今後も継続していくことで、掘削量や設置面積 の更なる削減等が期待される。また、不飽和土壌で ある表層土壌データを整理し、浅層型地中熱利用シ ステムのポテンシャル評価の全国マップへの拡充が 求められる。ハウスへの熱供給面では、高温多湿下 での室内機の耐久性の向上や温度むらを解消する加 温方法の開発が必要である。また、夜間冷房、地中 冷却、局所温度管理法等と組み合わせたシステム導

入の有効性を品目ごとに広げていくことが望まれ る。

 局所加温技術については、技術普及を目指し、個 別の生産現場に導入することを想定したケースごと の具体的な技術の組合せの有効性を検討するような ツールの開発が必要である。また、実証的な成果が 各地で出され、データ例が積み重ねられることが必 要である。

 生育診断技術について、群落構造解析センサは、

生産現場での実証試験を行いながら、環境情報と草 丈伸長量、葉面積のデータを対応させて解析する手 法の開発が必要である。栄養診断は、ホワイトリ ファレンスを用いた補正手法を取り込み、精度を高 め、生産現場での実用性を評価することが必要であ る。ストレス診断は低コスト化を進めるとともに、

このセンサと他のセンサを組み合わせて作物状況を モニターし、ストレスセンサから得られた数値の妥 当性を検証することが必要である。

 技術実証においては、各地域実証モデルが、熱収 支のシミュレーションによって全国で評価可能と なったが、地温や熱収支の再現性に問題が残されて おり、更なる研究継続が必要である。また、「ため 池」という地中熱に遜色ない地域資源が発掘できた が、ため池と施設の場所が必ずしも一致しないこと から、コストに見合う熱輸送技術の開発が必要であ る。

 栗石蓄熱層ベンチは重いため設置作業性が悪い。

普及性を高めるためには、蓄熱能力を落とすことな く、安価で設置作業性の良い蓄熱層が求められる。

テープヒータは、商品化を進めるために短期で償却 可能とする低コスト化と電気の安全利用を徹底する 必要がある。

 蓄熱式栽培環境制御システムは、トマト栽培で は、誘引するための上部空間が減少し、つる下ろし により植物に光が当たらない部分ができることか ら、蓄熱水槽の位置の検討、効率的で効果的な炭酸 ガス施用方法について、更に検討を行う必要があ る。また、導入コストが高額となるため、高生産性 の維持による収益確保と導入時の資金補助等が必要 である。

Ⅷ 研究発表

… 1)趙鉄軍・中野明正・安東赫(2015)根域加温が

(13)

トマトの果実肥大に及ぼす影響.ポスター発表.

第 42 回根研究集会

… 2)壇和弘(2015)イチゴクラウン温度制御技術の 開発と課題.第 19 回日本イチゴフォーラム

… 3)壇和弘・中原俊二・伏原肇・日高功太・高山智 光・今村仁・沖村誠(2015)イチゴ促成栽培にお ける地下水を利用したクラウン温度制御技術の現 地実証.園芸学会平成 27 年度秋季大会

… 4)浜本浩・岩崎泰永・黒崎秀仁・梅田大樹・河崎 靖・鈴木克己(2014)Kinect…for…Windows…の深度 情報から作物の受光体勢を評価する.園芸学会平 成 26 年度秋季大会(園学研究 13 別 2)

… 5)日高輝雄(2014)イチゴ局所加温用テープヒータ システムの概要と省エネ効果を紹介.(一社)農林 統計協会発行 平成27年度農業日誌 p388-389.

… 6)日高輝雄・鶴山浄真・西田美沙子(2015)地中 熱交換と局所加温を活用した省エネ型イチゴ栽培 システムの開発.2015 年日本農業気象学会中国・

四国支部大会

… 7)平尾和弘・佐藤公洋・石坂晃・井手治(2015)

茎部加温温度および時間が促成ナスの生育に及ぼ す影響.園芸学会平成 27 年度秋季大会

… 8)今西俊介・松尾哲・長菅香織(2015)トマト局 所加温時の生理的反応の解析.園芸学会平成 27 年 度秋季大会

… 9)稲本勝彦・木下貴文・山崎博子(2015)ガーベ ラのクラウン部局所加温は花の発生および花柄伸 長を促進する.園芸学会平成 27 年度秋季大会 10)岩崎泰永(2015)寒冷地の気象条件を活用した

施設栽培技術開発と先進的技術展開事業における 取り組み.園芸学会東北支部会平成 27 年度大会公 開シンポジウム

11)岩崎泰永・梅田大樹・黒崎秀仁・濱本浩・杉原 敏昭(2015)キネクトを活用した作物群落構造解 析手法の確立.投稿論文(電子情報通信学会)

12)岩﨑泰永・梅田大樹・黒崎秀仁(2015)キネク トを活用した作物群落構造解析手法の確立.電子 情報通信学会・知的環境とセンサネットワーク 13)岩崎泰永(2015)生体情報計測.施設園芸・植

物工場ハンドブック p360-367.

14)岩田幸良(2015)土壌水分計 Decagon…EC-5 の 回路部周囲の土壌の有無が測定結果に与える影響 と回路部までプローブを挿入したときの出力値の

変化.農業農村工学会

16)岩田幸良(2015)キャパシタンス土壌水分計 Decagon…EC-5 の土壌への挿入が出力結果に与え る影響.日本土壌肥料学会

17)岩田幸良・奥島里美・岡澤立夫・島地英夫・高 杉真司・舘野正之・宮本輝仁(2014)宮城県山元 町の地中熱ヒートポンプ導入ハウスにおける土壌 水と熱の挙動.ポスター発表.第 56 回土壌物理学 会シンポジウム

18)Iwata…Y.,…Okushima…L.,…Uchida…Y.…and…Nishiya……

M.(2016)Soil…physical…properties…for…effective…use…

of…geothermal…heat…pump…system…with…horizontal…

ground… heat… exchanger.… 11th… International…

Conference…on…Agrophysics.

19)菊地聡・木野本真沙江・大島一則・渡辺公博・

伊澤健一(2014)蓄熱式栽培環境制御システムに おける高生産・省エネ技術の開発(第4報).園芸 学会平成 26 年度秋季大会.園学研究 13 別 2 20)菊地聡・大島一則・髙野あけみ・田島嘉存(2015)

蓄熱式栽培環境制御システムによる高生産・省エ ネ技術の開発(第 5 報)棟上散水および保温資材 による省エネ効果について.園芸学会平成 27 年度 秋季大会

21)黒崎秀仁・岩崎泰永・浜本浩・田中幹人・梅田 大樹(2014)Kinect センサを利用した植物の成長 モニタリング.生物環境工学会 2014 年大会 22)長野克則(2014)寒冷地園芸施設向けの低コス

トで実用的な地中熱提供方法の開発(フィールド 試験の実測と年間性能予測).口頭発表.平成 26 年度空気調和・衛生工学会

23)長野克則(2015)寒冷地園芸施設向けの低コス トで実用的な地中熱ヒートポンプシステムの最適 化検討と地中熱ヒートポンプ加温・冷却によるア ルストロメリア栽培結果.第 52 回農業電化研究 会・農業電化協会

24)中野明正・安東赫・東出忠桐(2014)トマトの Ca・Sr 吸収・移行特性と生産性との関係.根研究 学会

25)岡本淳(2014)寒冷地園芸施設向けの低コスト で実用的な地中熱提供方法の開発.農業電化研究 会研究発表会

26)岡本淳・菅原梨恵他(2015)寒冷地園芸施設向 けの低コストで実用的な地中熱提供方法の開発 

(14)

その 1,空気調和・衛生工学北海道支部第 48 回学 術講演論文集 p.61-64.

27)岡澤立夫(2014)地中熱ヒートポンプを活用し た新たな局所温度管理法への取組み.機関誌 農 業電化 増刊特集号投稿、口頭発表.農業電化研 究発表会

28)奥島里美・岩田幸良(2014)施設園芸での地中 熱ヒートポンプシステム利用.施設と園芸 No.165,… p13-16.

29)大橋隆・畠山昭嗣・飯村一成・中西達郎(2015)

いちごにおける蓄熱式栽培環境制御システムによ る高生産・省エネ技術の開発-半閉鎖型環境下に おける炭酸ガス施用による増収効果.園芸学会平 成 27 年度秋季大会

30)大橋隆(2015)蓄熱式栽培環境制御システムに よるイチゴの高生産 ・ 省エネ技術の開発.(ポス ター発表).生産現場に革新を起こす施設栽培の最 先端技術

31)佐藤恵一(2015)浅いため池の底層域に設置し た熱交換器の性能評価.2015 年日本農業気象学会 中国・四国支部大会

32)柴田昇平(2015)Usage…of…Underground…Heat…

Exchanged…Air…on…Tomato…Production.…Journal…of…

Agricultural…Meteorology.

33)柴田昇平(2015)Estimation…of…Soil…Temperature…

Distribution…in…Japan…with…Regional…Atmospheric…

Model…WRF.

34)柴田昇平(2013)施設園芸における地中熱交換 の利用.平成 25 年度九州地域農業気象協議会 35)柴田昇平(2014)西日本における地温不易層の

評価と利用.土壌肥料若手セミナー・九州沖縄農 業研究センター・平成 25 年度九州沖縄農業試験研 究推進会議生産環境推進部会

36)柴田昇平(2014)施設園芸における地中熱交換 の利用.農業気象成績・設計検討会・九州沖縄農 業研究センター・平成 25 年度九州沖縄農業試験研 究推進会議生産環境推進部会

37)柴田昇平(2014)地中熱交換空気を局所施用し た夏秋トマトの生産性.日本農業気象学会 2014 年 全国大会

38)柴田昇平(2014)地中熱交換利用のための全国 地温分布の評価.日本農業気象学会九州支部大会 39)柴田昇平(2014)地中熱交換利用のための全国

地温分布の評価.九州の農業気象,No.23,48-49 40)柴田昇平(2015)地中熱利用のための全国地温

分布評価.日本農業気象学会 2015 年全国大会 41)柴田昇平(2015)地熱の施設園芸的利用のため

の全国地温データベースの作成.2015 年日本農業 気象学会中国・四国支部大会

42)島地英夫(2014)施設園芸における熱エネルギー の効率的利用技術の開発での取組と成果紹介.近 畿中国四国農業試験研究推進会議野菜推進部会問 題別研究会

43)杉野堯子(2015)寒冷地園芸施設向けの低コスト で実用的な地中熱提供方法の開発(実測結果との 比較によるシュミレーションの検証とその応用).

パネル発表.2015 年第 49 回空気調和・衛生学会 北海道支部

44)杉野堯子(2015)寒冷地園芸施設向けの低コス トで実用的な中熱提供方法開発(その 3 実測結 果との比較によるシミュレーションの検証とその 応用).口頭発表.平成 27 年度空気調和・衛生工 学会

45)鈴木克己(2013)地域資源を活用した再生可能 エネルギーの生産・利用のためのプロジェクトの 紹介.日本農業気象学会東海本部 2013 年度支部大 会

46)多田(菅原)梨恵(2014)寒冷地園芸施設向け の低コストで実用的な地中熱提供方法の開発(プ ロジェクト概要と冷温風 / 冷温水供給ヒートポン プの開発).口頭発表.2014 年第 48 回空気調和・

衛生学会北海道支部

47)多田梨恵(2015)寒冷地園芸施設向けの低コス トで実用的な地中熱提供方法の開発(地中熱ヒー トポンプ加温・冷却システムの性能評価および植 物の生育評価について).口頭発表 .… 地下水熱と ヒートポンプシステム研究会.口頭発表.2015 年 第 49 回空気調和・衛生学会北海道支部

48)多田梨恵、岡本淳他(2016)寒冷地園芸施設向 けの低コストで実用的な地中熱提供方法の開発  その 3,空気調和・衛生工学北海道支部第 49 回学 術講演論文集 p.179-182.

49)鶴山浄真・日高輝雄(2013)太陽エネルギーの 蓄熱利用によるイチゴ省エネルギー栽培システム の性能評価.口頭発表.園芸学会中国四国支部大 会

(15)

50)鶴山浄真・日高輝雄(2013)クラウン部局所加 温用テープヒータを活用したイチゴ栽培の省エネ ルギー性 .…園芸学会秋季大会

51)鶴山浄真・日高輝雄(2014)太陽エネルギーの 蓄熱利用によるイチゴ省エネルギー栽培システム の性能評価.園芸学会中国四国支部大会

52)鶴山浄真(2014)施設園芸における熱エネルギー の効率的利用技術の開発での取組と成果紹介.近 畿中国四国農業試験研究推進会議野菜推進部会問 題別研究会

53)鶴山浄真・日高輝雄・西田美沙子(2014)イチ ゴ局所加温用テープヒータシステムの特長と省エ ネ効果、生産性を紹介.(一社)農山漁村文化協会 発行「現代農業」

54)梅田大樹・岩﨑泰永・鈴木真実・田中幹人(2014)

オンライン群落栄養診断技術の開発.第 73 回農業 食料工学会年次大会

55)梅田大樹(2015)画像センシングによる作物栄 養状態と受光態勢評価.農業環境工学関連 5 学会 2015 年合同大会

56)梅田大樹・岩﨑泰永・黒崎秀仁(2015)精密肥 培管理に資するための地上部センシング.農業環 境工学関連 5 学会 2015 年合同大会

57)梅田大樹・岩﨑泰永・田中幹人(2015)作物体 内窒素の 2 次元的非破壊測定法.園芸学会平成 27 年度秋季大会

58)八木裕紀子(2015)寒冷地園芸施設向けの低コ ストで実用的な地中熱提供方法の開発(水平・垂 直型地中熱交換器の性能比較と地中温度の推移・

回復状況).口頭発表(地下水熱とヒートポンプシ ステム研究会).パネル発表.2015 年第 49 回空気 調和・衛生学会北海道支部

59)八木裕紀子(2015)寒冷地園芸施設向けの低コ ストで実用的な地中熱提供方法の開発(その 2  地中熱ヒートポンプ加温システムおよび地中熱交 換器の性能評価).口頭発表.平成 27 年度空気調 和・衛生工学会

60)山本和哉(2014)寒冷地園芸施設向けの低コス トで実用的な地中熱提供方法の開発(フィールド 試験の実測と年間性能予測).口頭発表.2014 年 第 48 回空気調和・衛生学会北海道支部

61)吉越恆ら(2015)中小規模施設園芸における自 然熱源の利用可能性について-小型ファンコイル

の冷房性能評価-.2015 年日本農業気象学会中 国・四国支部大会

研修会・講演会

62)壇和弘(2014)イチゴのより早い出荷、増収と 省エネを両立、クラウン温度制御技術の低コスト 化.平成 26 年度九州沖縄地域マッチングフォーラ ム

63)日高輝雄(2015)山口県における実証研究紹介.

第 6 回未来農業検討会 in 九州・佐藤産業㈱

64)菊地聡(2015)蓄熱式栽培環境制御システムに おける高生産・省エネ技術の開発(トマト).栃木 県農業試験場野菜研究セミナー

65)木野本真沙江(2013)蓄熱式栽培環境制御シス テムにおける高生産・省エネ技術の開発 .…栃木県 農業試験場野菜研究セミナー

66)岡本淳(2016)サンポット㈱における地中熱利 用に関する最新のトピックス.水平採熱方式地中 熱利用ヒートポンプ冷暖房システムに関するセミ ナー

67)大橋隆(2015)イチゴ新技術の研究開発.栃木 県営農指導員研修会

68)大橋隆(2015)イチゴ新技術の研究開発.栃木 県地域イノベーション研究者交流会

69)大橋隆(2015)イチゴ新技術の研究開発.栃木 県いちご王国躍進大会

70)大橋隆(2015)イチゴ新技術の研究開発.栃木 県農業試験場いちご研究セミナー

71)重野貢(2014)イチゴ新技術の研究開発.栃木 県農業試験場いちごセミナー

72)重野貢(2014)蓄熱式栽培環境制御システムに おける高生産・省エネ技術の開発(いちご)

73)重藤祐司(2013)イチゴの省エネ技術.次世代 型施設園芸中国四国セミナー

74)鈴木克己(2015)トマト・キュウリ栽培と温度 管理.第 5 回トマト・キュウリサミット in さいた ま

75)多田梨恵(2015)寒冷地園芸施設向けの低コス トで実用的な地中熱提供方法の開発(地中熱ヒー トポンプ加温・冷却システムの性能評価および植 物の生育評価について).パネル発表(自社展示 会)

76)髙野あけみ(2016)蓄熱式栽培環境制御システ

(16)

ムにおける高生産・省エネ技術の開発(トマト).

栃木県農業試験場野菜研究セミナー

77)塚澤和憲(2015)埼玉県における施設園芸経 営・技術の概要と特徴.第 5 回トマト・キュウリ サミット in さいたま

78)鶴山浄真・日高輝雄・西田美沙子(2014) 第 3 章 -2-(1)の共同研究を行っているジオパワーシス テム橋本社長がハード、省エネ効果、生産性につ いて紹介 .…地球環境・新エネルギー技術展&セミ ナー「エコテクノ 2014 &エコベンチャー・メッセ 2014」

79)鶴山浄真・日高輝雄・西田美沙子(2014)テー プヒータによるイチゴ局所加温技術.平成 26 年三 重県イチゴ生産者研修会にて講演

80)鶴山浄真・日高輝雄・西田美沙子(2014)イチ ゴ局所加温用テープヒータシステムを展示し、省 エネ効果を紹介.やまぐちものづくり&ビジネス フェア 2014

81)梅田大樹(2014)農業分野におけるセンサ技術 応用の現状と展望.平成 26 年度第 2 回農研機構植 物工場つくば実証拠点研修会.野菜茶業研究所.

農研機構講演

82)アグリビジネス創出フェア 2014 山口県ブース の中で熱プロ成果展示及びセミナーの実施(2014 年 11 月 12 ~ 14 日、東京ビッグサイト)

83)成果発表会「施設園芸における熱エネルギーの 効率的利用技術の開発」(2015 年 11 月 10 日、栃 木県総合文化センター)

84)アグリビジネス創出フェア 2015 「熱プロ」ブー ス設置及びセミナーの実施(2015 年 11 月 18 ~ 20 日、東京ビッグサイト)

85)成果発表会「生産現場に革新を起こす施設栽培 の最先端技術」(2015 年 11 月 30 日、豊橋サイエ ンスコア)

Ⅸ 特許取得・申請 

… 1)「植物栽培用の環境制御システム」(特願 2014- 180379)黒崎秀仁、濱本浩、岩崎泰永、梅田大樹

… 2)「植物群落構造解析システム」(特願 2014-180380)

黒崎秀仁、濱本浩、岩崎泰永、梅田大樹

… 3)「株元保温器および長茎植物の栽培方法」(特願 2015-078467)平尾和弘

… 4) プログラム「Plant…Apex…Tracker」国立研究

開発法人農業・食品産業技術総合研究機構.P第…

10608 号 -1.平成 28.04.11 登録

Ⅹ 研究担当者

1 施設園芸における地中熱の効率的提供方法 の開発

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所

奥島里美、岩田幸良、石井雅久 野菜茶業研究所 

安 東赫、中野明正 国立大学法人 北海道大学

長野克則、葛 隆生、中村真人、八木裕紀子、

杉野堯子

サンポット株式会社

岡本 淳、多田梨恵、松田征悟

地方独立行政法人 北海道立総合研究機構  生方雅男

国立研究開発法人 産業技術総合研究所  内田洋平、吉岡真弓

ジオシステム株式会社 高杉真司、舘野正之

公益財団法人東京都農林水産振興財団 岡澤立夫、島地英夫、小幡彩夏 ダイキン工業株式会社

岡 敏博、冨士剛志、巽 浩二 福岡県農業総合試験場

井手 治、林田達也

2 効率的加温による増収技術の開発

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所

 中野明正、安 東赫、趙 鉄軍、今西俊介、  松尾 哲、長菅香織、松田彩乃、上野広樹、

黒崎秀仁、梅田大樹(2014 ~ 2015)、岩崎泰永 東北農業研究センター

稲本勝彦

近畿中国四国農業研究センター 黒崎秀仁

九州沖縄農業研究センター

壇 和弘、日高功太、中原俊二 福岡県農業総合試験場

佐藤公洋、古賀 武、石坂 晃、井手 治、

(17)

林田達也、水上宏二、井上惠子 クボタシーアイ株式会社

平尾和弘

株式会社サイエンス・クリエイト  梅田大樹(2013)

株式会社豊橋キャンパスイノベーション  榊原正典、大石和彦

埼玉県農林総合研究センター

塚澤和憲、中畝 誠、齋藤健太郎

3 各地域における熱エネルギーの有効利用方 法の実証

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター

 柴田昇平

近畿中国四国農業研究センター 佐藤恵一、吉越 恆、川嶋浩樹 山口県農林総合技術センター

 日高輝雄、鶴山浄真、西田美沙子、重藤祐司、

 宇佐川 惠 栃木県農業試験場

 大島一則、髙野あけみ、菊地 聡、

 木野本真沙江、田島壽存

畠山昭嗣、重野 貴、中西達郎、飯村一成、

大橋 隆

宮崎県総合農業試験場 榎本清和、溝口則和

執筆者)

Ⅺ 取りまとめ責任者あとがき

 我が国の施設園芸において、化石燃料依存からの 脱却は長年の課題である。本プロジェクトでは、こ れまでの省エネ研究ではあまり取り上げてこなかっ た各地域における未利用熱エネルギーの活用を中心 に、効率的な暖房技術を組み合わせ、各地域におい て適切な暖房方法を提示し、現在の化石燃料を大幅 に削減する技術を開発することを目的に行われた。

 研究を推進するに当たり、農学系の研究者だけで は取組が難しい課題には、工学系の研究者に参画い ただき対応していただいた。また、各地域におい て、利用できる資源や求められる暖房方法は異なる と考えられたため、寒冷地から温暖地、暖地まで 色々な地域の方に参画いただいた。多くの研究者が

取り組むプロジェクトとなり、最初に全体で意識統 一を行った。目的として、単に化石燃料を削減する ということではなく、作物収量当たりのエネルギー 量を削減するということを念頭に入れ各課題に取り 組んだ。このために、全体的には省エネ研究のプロ ジェクトであるものの、作物の生育を把握する技術 開発にも力を入れることとなり、4 つの大きな柱を 立てた。それは、未利用熱エネルギー利用、効率的 な暖房方法、作物診断技術、地域実証であり、各 チーム、ユニットを構成し、それぞれの課題が連携 をとり、全体目標に向かい研究が行われた。

 未利用熱エネルギーとして、特に、浅層地中熱利 用に関して精力的に取り組み、寒冷地においては今 後有力な暖房方法になりうる価値ある研究成果を得 ることができた。北海道において 500 m2の生産者 のハウスを用いて、年間を通して実証試験を行い、

実用化に向けたデータを得られたことは、参画され た研究者の努力に加え、プロジェクトを側面から応 援いただいた協力企業や、現地生産者の方の協力が 大きく、心より感謝したい。つくばの温暖地では、

地中熱で取り出した熱を局所暖房に活用するという チーム間の連携による総合的な課題に取り組んだ。

システムとして装置を組み合わせ、栽培試験も行う ことは大変な工夫と努力があったものと思われる。

温暖地では茨城県の浅層土壌の物性と採熱効率の関 係や、浅層型地中熱システムのポテンシャル評価 等、大変学術的に価値あるデータも得られ、基礎 データとして今後の各地での地中熱利用技術の開発 に役立つものと思われる。

 効率的な暖房方法として、これまで夜間に時間的 に管理温度を変える方法は試されていたが、空間的 な取組は不十分であった。本プロジェクトでは作物 のある器官だけを温める局所暖房をターゲットとし て取り組み、色々な作物において実用化に発展する 知見を得ることができた。技術的には、製品に近い 装置も開発でき、今後の普及が期待できる。一方 で、生理的なメカニズムの解明は一定の成果にとど まっており、今後もより有効な局所加温方法を行う ための基礎的な解析が必要である。

 作物診断技術としては、リアルタイムに生育を 診断できる数種の技術が開発でき、今後の応用が 期待できる。特に、3 次元モーションキャプチャの Kinect を用いて作物の草丈や葉の広がり等をオン

(18)

ラインで計測できるようになったことは省エネ研究 のみならず、生育に関する情報を活用し環境制御を 生育制御に橋渡しする技術としても使用可能であ る。この他、葉の窒素含量を非破壊で計測できる技 術や、水ポテンシャルを多点で測定する技術等が開 発され、生産現場での活用が期待できる。

 地域実証課題において、宮崎県の課題において、

当初取り組んだ太陽熱利用システムには早急に結論 づけ、途中からピーマンの局所暖房を中心に課題内 容の全面的な変更を行った。課題担当者の努力もあ り、生産現場が利用できる成果となった。近中四農 研センターでは、浅層地中熱以外の地域の熱エネル ギーの発掘について、いろいろな試験を行った。新 しい取組が多く、担当研究者は大変苦労されたこと と思われる。山口県及び栃木県では地域の生産者の ハウスにおいて実証的な試験に取り組んでいただい た。現地検討会や成果発表会の開催、研究成果の現 場への普及にご尽力いただき、大変感謝している。

 プロジェクト期間中の推進会議や運営会議では、

外部委員の先生から、適切かつ貴重な意見を多数い ただいた。個別実験だけに終わらず熱収支法等を用 いて各技術を評価すること、特に、研究だけに終わ らせず、現場で使える技術として届けることが重要 であるという指摘を何度も受けた。そのため、各課 題では出口を意識し、プロジェクト終了後も製品と して出せるものについては積極的に製品化に取り組 んでいる。成果発表会や各種展示会での展示を通し て、研究成果のアピールにも取り組んだ。今後も得 られた研究成果を用いて、実用化に繋がる研究は各 機関で継続し、技術として定着するよう努力を続け たいと思う。

 研究期間の 2 年目から本プロジェクトと連携する 形でバイオマスを利用した暖房技術の開発や、暖房 から排出される CO2を有効に活用する技術開発を 行うプロジェクトが始まった。これらのプロジェク トの研究成果は、化石燃料依存から脱却し、地域の エネルギーを有効に活用し、CO2の排出を抑え、環 境に優しく、さらにコスト的にも生産者の助けにな る施設園芸の構築に活用できるものと期待される。

 最後に、本プロジェクト推進にあたり、ご尽力い ただきました参画された全研究者の皆様、外部委員 の先生方、農林水産省技術会議事務局の皆様には心 より感謝申し上げます。

(主査:鈴木 克己)

(注)以降、本文中で記載する研究機関名について は、以下のとおりとする。

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

→ 農研機構

 野菜茶業研究所 → 野茶研  農村工学研究所 → 農工研

 九州沖縄農業研究センター → 九沖農研  近畿中国四国農業研究センター → 近中四農研  

福岡県農業総合試験場 → 福岡農試 栃木県農業試験場 → 栃木農試

公益財団法人東京都農林水産振興財団農林総合研究 センター → 農総研

(19)

1 寒冷地園芸施設向けの低コストで実用的な 地中熱提供方法の開発

(1) 寒冷地向けの園芸施設への地中熱採熱と 供給性能評価

 ア 研究目的

 北海道等の寒冷地において冬期間のハウス加温に かかる暖房費は農家にとって切実な問題となってい る。再生可能エネルギーの一つである地中熱源を利 用したヒートポンプシステムはイニシャルコストが 高く、とりわけ地中熱採熱用の採熱管を埋設する掘 削費用が高いという課題がある。地中深さ 1 ~ 2 m ならば農家自身が保有する重機等で掘削することに より掘削費用の大幅な低減が可能となる1,2)。  本研究では浅部地中(深さ 1 ~ 2 m)を対象とし て、スリンキー方式等の採熱管の敷設方法について 検討する。

 イ 研究方法

 本試験は北海道新篠津村でアルストロメリアを栽 培しているハウスで行った。ハウスは奥行き 68 m、

間口 7.4 m、面積 510 m2、空気膜 2 重構造ハウス+

内張一層ビニールカーテンという仕様であった。ま た、既存の灯油加温機を撤去し、新規に開発した出 力 30 kW の地中熱ヒートポンプ 2 台を設置し冷暖 房を行った(ヒートポンプ仕様について第 1 章 -1-

(2)参照)。採熱方式は浅部採熱方式、ボアホール 方式の 2 種類を採用した。浅部採熱方式では横ス リンキー方式、縦スリンキー方式、水平配管方式 の 3 種類の配管方式を施工し全て長さ 45 m とした。

ボアホール方式では、シングル U チューブ、ダブ ル U チューブ、ケーシング付きシングル U チュー ブ、スペーサ付きシングル U チューブの 4 種類を 施工した。ケーシング付きのみ長さ 70 m、それ以 外は全て長さ 100 m とした。なお、採熱配管図を 図 111-1 に示す。

 運転期間は、浅部採熱方式が 2013 年 11 月 27 日

~ 2016 年 3 月 31 日、ボアホール方式が 2014 年 11 月 7 日~ 2016 年 3 月 31 日で、年間とおして地中温 度や採熱管周りの温度データを収集し、各系統の採 熱量を算出した。

 浅部採熱方式の敷設に使用した採熱管は高性能ポ リエチレン管(ハイパー AW)と金属強化ポリエ チレン管(SMTX)の 2 種類で、口径 20 A、25 A、

25 A 薄肉管を用いた。溝長さ 1 m 当たりの採熱量 を 50 W で設計し、長さ 45 m を 8 系統施工した。

敷設方法は、ループピッチ 0. 5 m のスリンキーを 幅 1 m 深さ 1.6 m に掘削したトレンチに水平に埋 設する横スリンキー方式(図 111-2)、幅 0.3 m 深さ 2 m のトレンチに垂直に埋設する縦スリンキー方 式(図 111-3)、ワイヤメッシュ筋(φ 4 mm ピッチ 150 mm)に括りつけて幅 1 m 深さ 1.6 m のトレン チに設置した水平配管方式(図 111-4)の 3 種類と し、設置後埋め戻しをした。

 ウ 研究結果

 図 111-5 に一定期間(2014 年 12 月 13 日~ 2015 年 4 月 28 日)における各浅部採熱方式の採熱量積 算値を示す。おおむね 12,800 MJ 程度であるのに対 し AW20 A 水平型及び縦(図 111-1 の浅部採熱方 式 4、5)が 12,200 MJ 程度と 5%程小さい。また、

AW25 A 薄肉管(図 111-1 の浅部採熱方式 8)は 14,800 MJ と 14%程大きい。このことから現段階で は AW20 A 水平型と AW20 A 縦スリンキーは採熱 量が若干小さく、AW25 A 薄肉管横スリンキーに は大きな効果が見られる。

 図 111-6 に一定期間(2014 年 12 月 13 日~ 2015 年 4 月 7 日)における各ボアホール方式の採熱量積 算値を示す。シングル U チューブ(図 111-1 のボア ホール方式 3 ~ 6)は 8,000 MJ 程度でおおむね大 きな差は見られない。しかし、これらと比べケーシ ングシングル U チューブ(図 111-1 のボアホール 方式 1)は 4,800 MJ 程度と 40%ほど小さい。これ は他のボアホールが全て 100 m であるのに対しボ アホール 1 が 70 m しかないことによるものだと考 えられる。また、ダブル U チューブ(図 111-1 の ボアホール方式 2)は 8,600 MJ 程度と他のボアホー ルより 8%ほど大きくなっている。また、積算値の 推移から、4 月以降も他のボアホールとの差が大き くなっていくと考えられる。これによりダブル U チューブに優位性があると考えられる。

第1章  施設園芸における地中熱の効率的提供方法の開発

(20)

 図 111-7 は浅部採熱方式の採熱管埋設部の土壌温 度の期間推移(2013 年 11 月 27 日~ 2016 年 1 月 10 日)を示している。2013 年度冬季に下がった土壌 温度は 2014 年度夏季に回復していることが分かる。

また 2014 年度は暖房開始日が 2013 年度より早かっ たため、より早い時期にスリンキー周辺の土壌温 度が 0℃に達した。しかし、2014 年 11 月 7 日から HP2 号機も運転したことから、地中温度が回復す るタイミングも 2013 年度より早い時期から始まっ ている。

 図 111-8 は垂直型熱交換器を埋設している土壌温 度の期間推移(2014 年 11 月 7 日~ 2015 年 11 月 10 日)を示している。浅部採熱側である 1 号機をメイ ンに暖房運転したため、大きな温度低下は見られな かった。

 エ 考 察

 工事費用を考慮した上で採熱性能を比較するた め、それぞれの単位採放熱係数 [W/(m・K)]の比 較・検討を行った。単位採放熱係数、平均採熱温度

垂直埋設管 (右から順に)

1 ケーシングシングルUチューブ(70m) 2 ダブルUチューブ(100m)

3 シングルUチューブスペーサー付(100)

46 シングルUチューブ(100m)

6 5 4 3 2 1

1 2 3 4 5 6 7 8

浅部採熱方式(上から)

ボアホール方式(右から順に)

45m

100m 70m

A B

D C

E F

※青・オレンジ点は土壌温度測定位置

(砂充填)

(砂充填)

1 AW20A横スリンキー(以下全て45m 2 AW20A横スリンキー(砂充填)

3 SMTX横スリンキー 4 AW20A水平型 5 AW20A縦スリンキー 6 AW25A横スリンキー(砂充填)

7 AW25A薄肉管横スリンキー(砂充填)

8 AW25A薄肉管横スリンキー

図 111-1 採熱配管図

図 111-2 横スリンキー方式 図 111-3 縦スリンキー方式

図 111-4 水平配管方式

図 122-5 pF シナリオごとのポテンシャルマップ

参照

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