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著者 望月 絢

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Academic year: 2022

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機能性ゲスト分子の高次配列化を目指した立体規則 性ポリスチレンのゲル化機構と共結晶条件の解明

著者 望月 絢

発行年 2013‑12

出版者 静岡大学

URL http://doi.org/10.14945/00007976

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(課程博士・様式7)(Doctoral qualification by coursework,Form 7)

学 位 論 文 要 旨

Abstract of Doctoral Thesis

専 攻: 光・ナノ物質機能 氏 名: 望月 絢

Course:Optoelectronics and Nanostructure Science Name: MOCHIZUKI Jun

論文題目:機能性ゲスト分子の高次配列化を目指した立体規則性ポリスチレンの ゲル化機構と共結晶条件の解明

Title of Thesis:Clarification of gelation mechanism and co-crystallization process of stereoregular polystyrenes for the purpose of developing functional devices where guest molecules are oriented with high regularity

論文要旨:

立体規則性を有する syndiotactic polystyrene(SPS)は、5種類の結晶型を持ち、とり わけδ型結晶ではSPS鎖同士が規則正しく配列する結晶領域にある自由空間に高い吸着能 力のあることが報告され、有機ゲスト分子を包接配列できることが報告されている。しか しこれまで、無機錯体をゲスト分子として包接結晶化することに誰も成功していない。

そこで、ゲスト分子とSPSが共結晶を作製する条件を特定し、実際に有機金属錯体など をSPSフィルム内に規則的に配向させて、例えば絶縁体のSPSに電気伝導性をもたらすな どの機能化発現を最終目標に研究を行ってきた。

まずSPSと共結晶を形成できるゲスト分子を確定することを目標として、ゲスト分子を 溶媒として高温でSPSを溶解させ、冷却時にゲルができるかどうかを調べた。SPSは一部 の有機溶媒下で主鎖が21-helix型となり、主鎖間に自由空間(120〜160 Å3)を形成するこ とで溶媒分子を包接したδ包接型結晶相となり、物理ゲルを形成する。このゲル形成の構 造はゲスト分子がSPSと共結晶を形成する際の構造とよく一致するので、ゲル化溶媒の挙 動から共結晶化についての詳細な知見が得られることに世界で初めて着目し、様々な溶媒 分子とSPSのゲル化を系統的に調査した。

始めに、すでにゲル化の可否がわかっている溶媒を使用し、分子サイズの異なる蛍光プ ローブ分子を添加して、その蛍光および蛍光偏光解消を測定することで、ゲル化の分かれ 目である分子サイズがわかり、自由空間の大きさと一致していた。それにより、溶媒分子 の分子サイズと SPS 鎖間の自由空間の有無が明らかになり、SPS と溶媒からなるポリマ ー・溶媒分子化合物が大きく関係していることを証明した。このとき、SPS/chloroformゲ ルにおいて、蛍光測定中に照射ビーム光の形にくぼみのような痕がつくことを発見し、SPS ゲルの光応答性による相転移挙動の解明に道を開いた。

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さらに分子サイズの異なる溶媒に溶解させたところ、ゲル化以外に、SPS 鎖が 21-helix 型のままγ型に再結晶した非ラメラ球晶状態、SPS鎖がtrans zigzag型で折り畳まれβ型 に再結晶したラメラ状態になることがわかった。これらの違いについて、系統的に自由体 積を変化出来るn-alkylbenzene(NB:CNH2N+1-C6H5(N=2〜10))を用いた実験より、溶 媒の分子サイズを大きくしていくと、モルフォロジーがゲル→非ラメラ→ラメラと変化し、

ゲル→非ラメラの境界はSPS鎖間の自由体積の上限であることがわかった。この実験を通 して、溶媒の分子サイズ以外に溶媒分子の溶解度パラメータ(SP 値)の有効性がわかり、

分子サイズとSP値によってある程度モルフォロジーを推測できた。そこで、含窒素・含酸 素などの複素芳香環を含む複素環化合物および様々な置換基を含む炭化水素芳香環を中心 に59種類の化合物について、溶媒の分子サイズとSP値の相関関係からゲル化の有無を確 認し、有効性を証明した。ゲル化の境界領域では、溶媒によってはSPSが低濃度ではゲル 化し、高濃度になるにつれてモルフォロジーが変化していく濃度依存性があきらかになり、

溶媒によってはむしろ低濃度でのみゲル化する事から、SPS 鎖と溶媒によるポリマー・溶 媒分子化合物の形成がゲル化に必要であることを再確認できた。またこの濃度依存性を利 用し、SPSゲル中に無機物質を導入したナノコンポジットの作製を試み、SPSを使った機 能性材料の開発の端緒を開いた。

一方、結晶型がわかっている SPS フィルムにナフタレン(NP)を吸着させ、SPS ゲル 同様、蛍光プローブ分子としてのNPの局所的な分子運動を明らかにした。この過程で、フ ィルム内のゲスト分子NPの偏光異方性比が延伸方向とその垂直方向で違うことを発見し、

ゲスト分子の配向性や組織成長を確認できる偏光蛍光強度角度分布法(PFR 法)を所属研 究室が進展させる礎を築いた。例えば、SPS と isotactic polystyrene (IPS)をブレンド して延伸したフィルムをアニールすると、SPSとIPSが海島構造を示す。これをPFR法で 測定することで、アニールによる結晶配向化が延伸に依存していることを確認できた。

最後に、ゲル化することが確認された、金属イオンと錯形成可能な複素環化合物(ピリ ジンなど)にSPSフィルムを浸漬させ、非晶性SPSフィルムからδ包接型の結晶を形成し、

溶媒がゲスト分子として包接され、共結晶として固定されることを確認した。同様に、一 軸延伸したSPSフィルムでは、複素芳香環溶媒とδ包接型共結晶の配向結晶化が確認され、

ゲスト溶媒分子をフィルム全体に亘って高次に配向固定した上で、金属イオン水溶液に浸 漬し、有機金属錯体のSPSフィルム中への固定配向化に成功し、最終目標に辿り着いた。

参照