企画・発行: 編集・制作:マッキャン
ヘルスケア
ワールドワイド
ジャパン
製造販売元
資料請求先 大阪 市 北 区 梅田 2 丁目 4 番 9 号 2010 年 3 月作成
効能・効果、用法・用量、禁忌を含む使用上の注意等については 製品添付文書をご参照ください。
NS-O060-1003 A
浅井先生 患者指導においては、看護師も重要な役割を 果しているのではないでしょうか。
江藤先生 診察時に外用薬の塗り方についてひと通り 説明した後、「では、背中全体を看護師さんに塗ってもらって みましょう」と別室に移動してもらっています。コンプライアンス が悪い患者さんには再診時にも私から指導を行いますが、 軌道にのれば以降の指導は看護師に任せるようにしていま す。看護師とうまく連携をとるためにも、看護師への教育は 重要です。
江畑先生 診察時には、医師を前に緊張している患者さんも 多く、医師から説明を受けても十分に理解できなかったり、 質問できなかったりすることがあります。そのような時には、 後から看護師にたずねることも多くありますので、適切な情報を 提供するためにもやはり看護師教育は不可欠だと思います。 浅井先生 コンプライアンスを保つためには適切な情報提供 が大切で、医療従事者全員が共通の認識を持って患者に 対応することも重要なポイントということです。
これまでのお話をまとめますと、アトピー性皮膚炎治療におい てステロイド外用薬の効果を最大限に引き出すためには、 個々の皮疹の重症度に見合うステロイド外用薬を十分量 塗布するとともに、副作用の発現状況によってはタクロリムス 軟膏と上手に使い分けながら治療を進め、軽快後には 再燃を予防するために保湿剤などによるスキンケアをしっかり 継続するということです。そして、患者さんはもちろん、コメディ カルも含めてステロイド外用薬の効果と副作用、使い方について 正しい知識の浸透に努めることが大切だということです。本日は、 有意義なお話をどうもありがとうございました。
司会 : 浅井皮膚科クリニック院長
浅井 俊弥
先生東京逓信病院皮膚科部長
江藤 隆史
先生〜 アトピー 性皮膚炎 において 〜
ステロイド 外用薬 の 効果 を 最大限引 き 出 すために
ちとふな皮膚科クリニック院長
江畑 俊哉
先生アトピー 性皮膚炎 は 日常診療 で 頻繁 に 遭遇 する 代表的 な 皮膚疾患 のひとつです 。 日本皮膚科学会 の 「 アトピー 性皮膚炎診療 ガイドライン 」 でも 示 されているよう 、 ステロイド 外用薬 はアトピー 性皮膚炎 に 対 する 薬物治療 の 標準薬 として
位置 づけられていますが 、適切 なステロイド 外用薬 が 選択 されていなかったり 、 あるいは 患者 さんが 適切 に 使用 していないことにより
皮疹 が 良好 にコントロールされていないケースも 少 なくありません 。 そこで 、臨床経験豊富 な 先生方 に 、 アトピー 性皮膚炎治療 において ステロイド 外用薬 の 効果 を 最大限引 き 出 すために
実践 されている 工夫、患者 さんへの
説明・指導 のポイントなどについてお 話 いただきました 。
が起きないように気をつけながら治療していきますと説明する ことで、漠然とステロイドに対して不安を持っている患者さんの
多くは、納得してくれます。
浅井先生 医師の中にも、いまだにステロイドの副作用に ついて誤解があるようですね。
江藤先生 ステロイド外用薬により皮膚が厚くなる、皮膚が 黒くなる、日光暴露によって皮膚が黒くなるといったことを言って おられる先生がいます。そして、残念なことにアレルギー科の 医師ですら副作用を正しく理解していないこともあります。 こうしたステロイド外用薬に対する誤解は、医師だけでなく
薬剤師などコメディカルについても同様の状況です。エピ ソードを一つ紹介します。私がネリゾナユニバーサルクリー ム5gチューブを20 本処方したのですが、再診時に使用 状況を確認したところ、全然使っていなかったのです。理由 を聞いてみると、薬剤師から「先生はかなりの量を処方されて いますが、これを毎日塗っていると皮膚が黒く厚くなりますの で、処方された20 本のうち2 本くらいを少しずつ大事に 使ってください」と指導されたというのです。
浅井先生 「なるべく塗らないように」といった服薬指導が まことしやかに行われているということはよく聞きます。
江藤先生 ステロイド外用薬を塗っているにもかかわらず、 外用量が少ない、あるいはランクが低くて、塗っても塗っても 色が黒くなっている人がいます。ただそれはステロイドの せいではなく、炎症が炭火のようにくすぶっているだけと何年 説明しても浸透しません。コメディカルも含めた医療従事者 全員が、ステロイド外用薬の副作用を正しく理解する必要 があると思います。
報提供 には
コメディカルとの 連携 も 重要 な 鍵
情
浅井先生 本日は、アトピー性皮膚炎の治療に際し、ステ ロイド外用薬の効果を最大限に引き出すための使用の 工夫、患者さんへの説明・指導のポイントについてお話を 伺っていきたいと思います。日本皮膚科学会による「アトピー 性皮膚炎治療ガイドライン」が2000 年に策定され、2003 年、
2004 年の改訂を経て、2008 年にはアトピー性皮膚炎の 診断基準、重症度分類、治療ガイドラインを統合して「アト ピー性皮膚炎診療ガイドライン」が発表されました。そして、
2009 年には新しい治療法の保険適応の追加などに伴い その改訂版が刊行されました。ガイドラインにも明記されて いるように、ステロイド外用薬はアトピー性皮膚炎の治療 の大きな柱に位置づけられていますが、実地臨床でもその 位置づけは十分に浸透していると考えてよいでしょうか。 江畑先生 私が皮膚科の研修を始めた1990 年代前半は、 ちょうどステロイドバッシングが始まった頃でした。当時、
ステロイド外用薬による良好な経過を目の当たりにしていました ので、いわゆる 脱ステロイド という当時の風潮になじめず、 もどかしい気持ちで診療に携わっていました。その後、日本
皮膚科学会からガイドラインが発表され、個々の皮疹の 重症度にあわせて適切なランクのステロイド外用薬を選択 するという基本方針が示され、ステロイド外用薬を用いた 診療が非常に行いやすくなったと感じています。
江藤先生 ステロイド外用薬が、アトピー性皮膚炎の炎症を 十分に鎮静しうる、有効性と安全性が科学的に立証されて いる薬剤としてガイドラインに明記されたことで、その意義は 確固たるものとなりました。しかし一方、患者さんや社会一般に おいて、ステロイド外用薬に対して根拠に乏しい不信感が あったり、医師の中にもステロイド外用薬はなるべく使わないで 治そうという、ステロイド外用薬忌避の風潮が依然として残って いるのも事実です。今後もガイドラインの普及とともに、社会 全体に対してアトピー性皮膚炎におけるステロイド外用薬の 意義の啓発にもっと力を注いでいく必要があると思います。 浅井先生 ありがとうございました。いずれにしろ、ステロイド 外用薬がアトピー性皮膚炎の薬物療法の中心であることは 明白ということで、具体的にどう使うのか、まず選択のポイント についてご意見をお聞かせください。
江畑先生 ガイドラインには、個々の皮疹の重症度に応じた 外用薬の選択の目安が示されています(表
1)。
まさにその 通りで、私自身の治療方針とも一致しています。部位について は、顔面、頸部、陰部といった外用薬の吸収のよいところと、 軀幹、四肢では当然区別しています。年齢では乳児の場合 は原則として1ランク弱いものを使用しています。江藤先生 重症な皮疹には強力なステロイド外用薬を きちんと使用することが一番重要です。ガイドラインでも、
重症の場合には「 必要かつ十分な効果を有するベリースト ロングないしストロングクラスのステロイド外用薬を第一選択
とする」と明記されています。ステロイド外用薬はその切れ味 が大きな特徴ですから、うまく活用することで良好な手応えを 実感できます。例えば、ストロングクラスのリンデロンVなどで うまくコントロールできない場合には、切れ味のよいベリー ストロングクラスのネリゾナなどを短期間使用して改善に 持ち込み、その後はミディアムクラス以下のステロイド外用薬で 維持するというような使い方です。
浅井先生 病院を訪れる患者さんには、他院での治療で あまり効果が得られなかった方も結構いらっしゃるのでは ないですか。
江藤先生 そうですね。ベリーストロングクラスを使えばいい のにと思う苔癬化病変にストロングクラスで引っ張られて いたりするケースはあります。小児でも例えば耳切れは十分 ベリーストロングを使って早めに抑えていいと思いますが、選択 されてないことが多いですね。その背景にはベリーストロング やストロングというランクの表現にも関係があるようです。 例えばストロングは皮膚科医にとっては真ん中より弱めですが、 小児科医は強いと考えています。ベリーストロングやスト ロングと呼称するよりⅠ群、Ⅱ群、Ⅲ群・・・とした方がよいのでは とも感じています。
表2:ステロイド外用薬のランク 表3:ステロイド外用薬の局所性影響による順位
浅井先生 ランク(表2)に関しては、同じランクでも若干の 切れ味の違いを感じることがあります。きちっと塗れば大きな 差はないのだろうと思いますが、いかがでしょう。
江藤先生 難しいですね。ただランク内の製品が全て同じ 効果ではないでしょう。ストロンゲストにも複数の製品があり ますが、やはりデルモベートは格が違います。ベリーストロング
やストロングはさらに品揃えが多く、同じランクでもかなり幅が あるように実感しています。いずれにしても患者さんによって 反応性もさまざまですから、実際の使い方としては使い慣れた 薬剤をまず処方し、症状が軽快したらランクを下げて、やはり 使い慣れた薬剤に切り替えていくという方法がよいのではない でしょうか。
浅井先生 効果だけでなく、副作用について順位付けを された試みもあります(表
3)。皮膚萎縮試験
に基づいた 評価です。ネリゾナの評価はここまでよいかなと思うほど ですが、確かに経験上使いやすい薬剤ではあります。ステ ロイド外用薬は数多くあるわけですが、日常的に使用経験を 重ね使い慣れた薬剤を選択することがよいのだと思います。表1:皮疹の重症度とステロイド外用薬の選択
強
弱
局所性影響による順位
クロベタゾールプロピオン酸エステル フルオシノニド
ジフロラゾン酢酸エステル
ベタメタゾンジプロピオン酸エステル
ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル ジフルプレドナート
ヒドロコルチゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル モメタゾンフランカルボン酸エステル
デキサメタゾンプロピオン酸エステル アムシノニド
デキサメタゾン吉草酸エステル デプロドンプロピオン酸エステル ハルシノニド
フルオシノロンアセトニド ベタメタゾン吉草酸エステル ベクロメタゾンプロピオン酸エステル トリアムシノロンアセトニド ヒドロコルチゾン酪酸エステル アルクロメタゾンプロピオン酸エステル
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル クロベタゾン酪酸エステル
ジフルコルトロン吉草酸エステル(ネリゾナ)
原田昭太郎 日獨医報 38:44, 1993
0.05% クロベタゾールプロピオン酸エステル(デルモベート®)
0.05% ジフロラゾン酢酸エステル(ジフラール®、ダイアコート®)
0.3% デプロドンプロピオン酸エステル(エクラー®) 0.1% デキサメタゾンプロピオン酸エステル(メサデルム®)
0.12% デキサメタゾン吉草酸エステル(ボアラ®、ザルックス®)
0.1% ハルシノニド(アドコルチン®)
0.12% ベタメタゾン吉草酸エステル(ベトネベート®、リンデロンV®)
0.025% ベクロメタゾンプロピオン酸エステル(プロパデルム®)
0.025% フルオシノロンアセトニド(フルコート®)
0.3% プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(リドメックス®) 0.1% トリアムシノロンアセトニド(レダコート®、ケナコルトA®) 0.1% アルクロメタゾンプロピオン酸エステル(アルメタ®)
0.05% クロベタゾン酪酸エステル(キンダベート®)
0.1% ヒドロコルチゾン酪酸エステル(ロコイド®) 0.1% デキサメタゾン(グリメサゾン®、オイラゾン®) 0.1% モメタゾンフランカルボン酸エステル(フルメタ®)
0.05% ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル(アンテベート®)
0.05% フルオシノニド(トプシム®)
0.064% ベタメタゾンジプロピオン酸エステル(リンデロンDP®)
0.05% ジフルプレドナート(マイザー®)
0.1% アムシノニド(ビスダーム®)
0.1% ジフルコルトロン吉草酸エステル(ネリゾナ®、テクスメテン®) 0.1% ヒドロコルチゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル(パンデル®)
0.5% プレドニゾロン(プレドニゾロン®)
「日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」より一部改変 ストロンゲスト(Ⅰ群)
ベリーストロング(Ⅱ群)
ストロング(Ⅲ群)
ミディアム(Ⅳ群)
ウィーク(Ⅴ群)
重 症
皮疹の重症度 外用薬の選択
軽 微 軽 症 中等症
「日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」より 高度の腫脹/浮腫/浸潤ないし苔癬化を伴う紅斑、丘疹の
多発、高度の鱗屑、痂皮の付着、小水疱、びらん、多数の 掻破痕、痒疹結節などを主体とする
中等度までの紅斑、鱗屑、少数の丘疹、掻破痕などを主体 とする
ストロングないしミディアムクラスのステロイド外用薬を第一選択 とする
ミディアムクラス以下のステロイド外用薬を第一選択とする 乾燥および軽度の紅斑、鱗屑などを主体とする
炎症症状に乏しく乾燥症状主体 ステロイドを含まない外用薬を選択する
必要かつ十分な効果を有するベリーストロングないしストロング クラスのステロイド外用薬を第一選択とする.痒疹結節でベリースト ロングクラスでも十分な効果が得られない場合は、その部位に限定 してストロンゲストクラスを選択して使用することもある
症度 に 見合 うステロイド 外用薬 を 選択
− 切 れ 味 を 活 かした 使 い 方 を −
重
アトピー 性皮膚炎 における
ステロイド 外用薬 の 選択 のポイント
浅井先生 本日は、アトピー性皮膚炎の治療に際し、ステ ロイド外用薬の効果を最大限に引き出すための使用の 工夫、患者さんへの説明・指導のポイントについてお話を 伺っていきたいと思います。日本皮膚科学会による「アトピー 性皮膚炎治療ガイドライン」が2000 年に策定され、2003 年、
2004 年の改訂を経て、2008 年にはアトピー性皮膚炎の 診断基準、重症度分類、治療ガイドラインを統合して「アト ピー性皮膚炎診療ガイドライン」が発表されました。そして、
2009 年には新しい治療法の保険適応の追加などに伴い その改訂版が刊行されました。ガイドラインにも明記されて いるように、ステロイド外用薬はアトピー性皮膚炎の治療 の大きな柱に位置づけられていますが、実地臨床でもその 位置づけは十分に浸透していると考えてよいでしょうか。 江畑先生 私が皮膚科の研修を始めた1990 年代前半は、 ちょうどステロイドバッシングが始まった頃でした。当時、
ステロイド外用薬による良好な経過を目の当たりにしていました ので、いわゆる 脱ステロイド という当時の風潮になじめず、 もどかしい気持ちで診療に携わっていました。その後、日本
皮膚科学会からガイドラインが発表され、個々の皮疹の 重症度にあわせて適切なランクのステロイド外用薬を選択 するという基本方針が示され、ステロイド外用薬を用いた 診療が非常に行いやすくなったと感じています。
江藤先生 ステロイド外用薬が、アトピー性皮膚炎の炎症を 十分に鎮静しうる、有効性と安全性が科学的に立証されて いる薬剤としてガイドラインに明記されたことで、その意義は 確固たるものとなりました。しかし一方、患者さんや社会一般に おいて、ステロイド外用薬に対して根拠に乏しい不信感が あったり、医師の中にもステロイド外用薬はなるべく使わないで 治そうという、ステロイド外用薬忌避の風潮が依然として残って いるのも事実です。今後もガイドラインの普及とともに、社会 全体に対してアトピー性皮膚炎におけるステロイド外用薬の 意義の啓発にもっと力を注いでいく必要があると思います。 浅井先生 ありがとうございました。いずれにしろ、ステロイド 外用薬がアトピー性皮膚炎の薬物療法の中心であることは 明白ということで、具体的にどう使うのか、まず選択のポイント についてご意見をお聞かせください。
江畑先生 ガイドラインには、個々の皮疹の重症度に応じた 外用薬の選択の目安が示されています(表
1)。
まさにその 通りで、私自身の治療方針とも一致しています。部位について は、顔面、頸部、陰部といった外用薬の吸収のよいところと、 軀幹、四肢では当然区別しています。年齢では乳児の場合 は原則として1ランク弱いものを使用しています。江藤先生 重症な皮疹には強力なステロイド外用薬を きちんと使用することが一番重要です。ガイドラインでも、
重症の場合には「 必要かつ十分な効果を有するベリースト ロングないしストロングクラスのステロイド外用薬を第一選択
とする」と明記されています。ステロイド外用薬はその切れ味 が大きな特徴ですから、うまく活用することで良好な手応えを 実感できます。例えば、ストロングクラスのリンデロンVなどで うまくコントロールできない場合には、切れ味のよいベリー ストロングクラスのネリゾナなどを短期間使用して改善に 持ち込み、その後はミディアムクラス以下のステロイド外用薬で 維持するというような使い方です。
浅井先生 病院を訪れる患者さんには、他院での治療で あまり効果が得られなかった方も結構いらっしゃるのでは ないですか。
江藤先生 そうですね。ベリーストロングクラスを使えばいい のにと思う苔癬化病変にストロングクラスで引っ張られて いたりするケースはあります。小児でも例えば耳切れは十分 ベリーストロングを使って早めに抑えていいと思いますが、選択 されてないことが多いですね。その背景にはベリーストロング やストロングというランクの表現にも関係があるようです。 例えばストロングは皮膚科医にとっては真ん中より弱めですが、 小児科医は強いと考えています。ベリーストロングやスト ロングと呼称するよりⅠ群、Ⅱ群、Ⅲ群・・・とした方がよいのでは とも感じています。
表2:ステロイド外用薬のランク 表3:ステロイド外用薬の局所性影響による順位
浅井先生 ランク(表2)に関しては、同じランクでも若干の 切れ味の違いを感じることがあります。きちっと塗れば大きな 差はないのだろうと思いますが、いかがでしょう。
江藤先生 難しいですね。ただランク内の製品が全て同じ 効果ではないでしょう。ストロンゲストにも複数の製品があり ますが、やはりデルモベートは格が違います。ベリーストロング
やストロングはさらに品揃えが多く、同じランクでもかなり幅が あるように実感しています。いずれにしても患者さんによって 反応性もさまざまですから、実際の使い方としては使い慣れた 薬剤をまず処方し、症状が軽快したらランクを下げて、やはり 使い慣れた薬剤に切り替えていくという方法がよいのではない でしょうか。
浅井先生 効果だけでなく、副作用について順位付けを された試みもあります(表
3)。皮膚萎縮試験
に基づいた 評価です。ネリゾナの評価はここまでよいかなと思うほど ですが、確かに経験上使いやすい薬剤ではあります。ステ ロイド外用薬は数多くあるわけですが、日常的に使用経験を 重ね使い慣れた薬剤を選択することがよいのだと思います。表1:皮疹の重症度とステロイド外用薬の選択
強
弱
局所性影響による順位
クロベタゾールプロピオン酸エステル フルオシノニド
ジフロラゾン酢酸エステル
ベタメタゾンジプロピオン酸エステル
ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル ジフルプレドナート
ヒドロコルチゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル モメタゾンフランカルボン酸エステル
デキサメタゾンプロピオン酸エステル アムシノニド
デキサメタゾン吉草酸エステル デプロドンプロピオン酸エステル ハルシノニド
フルオシノロンアセトニド ベタメタゾン吉草酸エステル ベクロメタゾンプロピオン酸エステル トリアムシノロンアセトニド ヒドロコルチゾン酪酸エステル アルクロメタゾンプロピオン酸エステル
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル クロベタゾン酪酸エステル
ジフルコルトロン吉草酸エステル(ネリゾナ)
原田昭太郎 日獨医報 38:44, 1993
0.05% クロベタゾールプロピオン酸エステル(デルモベート®)
0.05% ジフロラゾン酢酸エステル(ジフラール®、ダイアコート®)
0.3% デプロドンプロピオン酸エステル(エクラー®) 0.1% デキサメタゾンプロピオン酸エステル(メサデルム®)
0.12% デキサメタゾン吉草酸エステル(ボアラ®、ザルックス®)
0.1% ハルシノニド(アドコルチン®)
0.12% ベタメタゾン吉草酸エステル(ベトネベート®、リンデロンV®)
0.025% ベクロメタゾンプロピオン酸エステル(プロパデルム®)
0.025% フルオシノロンアセトニド(フルコート®)
0.3% プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(リドメックス®) 0.1% トリアムシノロンアセトニド(レダコート®、ケナコルトA®) 0.1% アルクロメタゾンプロピオン酸エステル(アルメタ®)
0.05% クロベタゾン酪酸エステル(キンダベート®)
0.1% ヒドロコルチゾン酪酸エステル(ロコイド®) 0.1% デキサメタゾン(グリメサゾン®、オイラゾン®) 0.1% モメタゾンフランカルボン酸エステル(フルメタ®)
0.05% ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル(アンテベート®)
0.05% フルオシノニド(トプシム®)
0.064% ベタメタゾンジプロピオン酸エステル(リンデロンDP®)
0.05% ジフルプレドナート(マイザー®)
0.1% アムシノニド(ビスダーム®)
0.1% ジフルコルトロン吉草酸エステル(ネリゾナ®、テクスメテン®) 0.1% ヒドロコルチゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル(パンデル®)
0.5% プレドニゾロン(プレドニゾロン®)
「日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」より一部改変 ストロンゲスト(Ⅰ群)
ベリーストロング(Ⅱ群)
ストロング(Ⅲ群)
ミディアム(Ⅳ群)
ウィーク(Ⅴ群)
重 症
皮疹の重症度 外用薬の選択
軽 微 軽 症 中等症
「日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」より 高度の腫脹/浮腫/浸潤ないし苔癬化を伴う紅斑、丘疹の
多発、高度の鱗屑、痂皮の付着、小水疱、びらん、多数の 掻破痕、痒疹結節などを主体とする
中等度までの紅斑、鱗屑、少数の丘疹、掻破痕などを主体 とする
ストロングないしミディアムクラスのステロイド外用薬を第一選択 とする
ミディアムクラス以下のステロイド外用薬を第一選択とする 乾燥および軽度の紅斑、鱗屑などを主体とする
炎症症状に乏しく乾燥症状主体 ステロイドを含まない外用薬を選択する
必要かつ十分な効果を有するベリーストロングないしストロング クラスのステロイド外用薬を第一選択とする.痒疹結節でベリースト ロングクラスでも十分な効果が得られない場合は、その部位に限定 してストロンゲストクラスを選択して使用することもある
症度 に 見合 うステロイド 外用薬 を 選択
− 切 れ 味 を 活 かした 使 い 方 を −
重
アトピー 性皮膚炎 における
ステロイド 外用薬 の 選択 のポイント
浅井先生 続いて、病変の状態を踏まえた基剤の選択に ついて、先生方のご意見をお伺いしたいと思います。 江畑先生 原則として軟膏はさまざまな病変に適しており 適用範囲が広いとされますが、季節によっては軟膏を塗った ために皮膚温が上昇したのか痒みがより強くなったと言わ れるケースもあります。このようなケースではクリーム剤も使い ます。クリームでもw/o 型乳剤性基剤は使用感がよく、あまり
乾燥しないので有用だと思います。また使用感の点で患者 さんから希望があったり、季節や皮疹の状況からクリームを
勧めることもあります。
江藤先生 軟膏がベースではありますが、べとつき感を 嫌がってコンプライアンスが落ちるようならクリームを処方 するようにしています。ネリゾナユニバーサルクリームはw/o 型のコールドクリームタイプで、使用感を好む患者さんも 多く、そのような方には積極的に勧めています。コンプライア ンスを向上させる一つのポイントは塗り心地のよさですから、
最近ではクリーム基剤を処方するケースが増えています。 浅井先生 ステロイド外用薬の混合調製もしばしば行わ れているようですが、江畑先生はいかがですか。
江畑先生 苔癬化病変などが広範囲に分布している場合 に限っては、コンプライアンスを上げるためにベリーストロン グクラスのステロイド外用薬とヒルドイドソフト軟膏のような w/o 型乳剤性基剤を混合して使用しています。塗布量が 増えて塗りやすくなることもあり、このような工夫で軽快する例も 経験されます。
江藤先生 注意しなければならないのは、例えば油脂性の ステロイド外用薬とo/w 型乳剤性基剤の混合など、不適切 な場合もあることです(表
4)。
アトピー性皮膚炎で用いられる ことの多い保湿外用薬や古典的な外用薬はo/w 型の ものが多く、注意が必要です。江畑先生 ヒルドイドソフト軟膏、パスタロンソフト軟膏はともに w/o 型ですから、コンプライアンス向上を目的として軟膏と 混合することも許容されると思います。
江藤先生 確かにw/o 型はw/o 型同士の混合も許容 されると思いますが、すべてのw/o 型同士でよいかどうかは わかりません。ところが少なくとも、ネリゾナユニバーサル
図2:ネリゾナユニバーサルクリーム単独と
パスタロンソフト軟膏あるいはヒルドイドソフト軟膏 混合時のステロイド皮膚透過比
表4:軟膏剤の混合の可否
図1:用量の目安 Finger Tip Unit
クリームとヒルドイドソフト軟膏、パスタロンソフト軟膏の組み 合わせは安定性にも問題なく、また皮膚透過性が高まると いう興味深いデータもあります(図
2
)。浅井先生 ありがとうございました。塗り心地のよさはコン プライアンス向上につながる大切な要素であり、ステロイド 外用薬を選択する際に考慮すべき一つのポイントになるよう です。軟膏は適用範囲が広く、クリームの場合にはw/o 型 浅井先生 十分な治療効果を得るためには、適切な薬剤の
選択に加え、適正な用法 ・ 用量も重要なポイントになり ます。そのあたりの現状も含め、ご意見をお願いします。
江藤先生 保護者から、「治療を続けているのに、難治性 でなかなか治らない」といった声が時々あります。治療歴を みると十分なランクのステロイドが選択されていないことも ありますが、相応のステロイドが処方されているにも関わらず 塗り方が間違っているケースが少なくありません。塗布量が 少ないいわゆるチビ塗りです。用量の目安であるFinger Tip Unit(図
1)
が、まだまだ守られていません。江畑先生 外用薬の塗り方ひとつが治療効果に大きく影響 します。ステロイド外用薬を使用するうえで、塗布量は薬剤 のランクと同様、あるいはそれ以上に重要なポイントとなり ます。塗る量が不適切であれば、たとえ薬剤を変更しても 改善が得られるはずがありません。塗り方を指導してしっかり 塗るようになったら、急激に軽快する例をよく経験します。 浅井先生 いくら適切な薬剤を処方しても、それが適正に 使用されなかったのでは無意味です。ステロイド外用薬の 使用に際しては、重症度に見合ったランクの薬剤を適正な 用量で塗ることが治療効果を最大限に引き出すための重要 な鍵のひとつと言えるでしょう。
浅井先生 1999 年にカルシニューリン阻害薬のタクロ リムス軟膏が発売されました。ステロイドとは異なった作用 機序で炎症を抑制する薬剤として、アトピー性皮膚炎に対 する薬物治療の新たな選択肢として位置づけられていま す。タクロリムス軟膏をステロイド外用薬とどう使い分けていっ たらよいでしょうか。
江畑先生 成人の顔面の皮疹のコントロールは、ステロイド 外用薬ではどうしてもうまくいかない場合があり、従来からの 課題でした。タクロリムス軟膏は特に顔面・頸部の皮疹に 効果を発揮しますので、この点においてアトピー性皮膚炎 の治療成績向上に大きく寄与していると思います。2003 年 にはタクロリムス軟膏0.03%が発売され、ステロイド外用薬
から保湿剤になかなか移行できない小児に対し、顔面に 限らず長く使用してコントロールをつけるという使い方が できあがっていきました。成人の顔面、そして小児の皮疹 に対するコントロールに役立っています。
浅井先生 成人の場合は顔面を中心に、小児の場合には 体幹部も含めて使用しているということですが、江藤先生は いかがですか。
江藤先生 小児の場合、ステロイド外用薬の短期使用に より炎症が落ち着いてくる症例がかなりあります。タクロリムス 軟膏は体幹や四肢では薬効の強さに限界がありますので、 小児でも成人でも、ある程度の強さのステロイド外用薬で 炎症を抑えることがまず第一だと考えます。そして、多毛や 局所皮膚萎縮などの副作用があらわれてくる前の段階で タクロリムス軟膏に切り替えるという使い方がよいのではない でしょうか。
3
2
1
0
透過比
大谷道輝 薬局 53:77, 2002 ネリゾナ
ユニバーサル クリーム 単独 ネリゾナ ユニバーサル クリーム 単独
+ パスタロン ソフト+ パスタロン
ソフト軟膏 + ヒルドイド ソフト+ ヒルドイド ソフト軟膏 油脂性
水溶性
o/w型 w/o型 ゲル
油脂性 水溶性 o/w型 w/o型 ゲル
江藤隆史 医学のあゆみ 228:80, 2009 :可能 :組み合わせによっては可能 :不可
ひとさし指 第1関節まで チューブから 押し出した 外用薬の量
手2枚分の 範囲に外用 0.5g
体表面積2%
り 心地 のよさはコンプライアンス 向上 に つながる 大切 な 要素
〜 w/o 型乳剤性基剤 は 良好 な 使用感〜
塗
切 な 量 を 塗布 することも 重要 な 鍵
適
でも乳剤性基剤かが有用治療成績であるということですのを使用感左右するは良好重要。患者なで鍵、保湿効果さんがいかにになりますのでがあるという塗、使用感ってくれる点を考慮した薬剤選択もステロイド外用薬選択の重要なポイント と言えるでしょう。
テロイド 外用薬 とタクロリムス 軟膏 を どう 使 い 分 けるか
ス
他剤 との 使 い 分 け ・組 み 合 わせ
浅井先生 続いて、病変の状態を踏まえた基剤の選択に ついて、先生方のご意見をお伺いしたいと思います。 江畑先生 原則として軟膏はさまざまな病変に適しており 適用範囲が広いとされますが、季節によっては軟膏を塗った ために皮膚温が上昇したのか痒みがより強くなったと言わ れるケースもあります。このようなケースではクリーム剤も使い ます。クリームでもw/o 型乳剤性基剤は使用感がよく、あまり
乾燥しないので有用だと思います。また使用感の点で患者 さんから希望があったり、季節や皮疹の状況からクリームを
勧めることもあります。
江藤先生 軟膏がベースではありますが、べとつき感を 嫌がってコンプライアンスが落ちるようならクリームを処方 するようにしています。ネリゾナユニバーサルクリームはw/o 型のコールドクリームタイプで、使用感を好む患者さんも 多く、そのような方には積極的に勧めています。コンプライア ンスを向上させる一つのポイントは塗り心地のよさですから、
最近ではクリーム基剤を処方するケースが増えています。 浅井先生 ステロイド外用薬の混合調製もしばしば行わ れているようですが、江畑先生はいかがですか。
江畑先生 苔癬化病変などが広範囲に分布している場合 に限っては、コンプライアンスを上げるためにベリーストロン グクラスのステロイド外用薬とヒルドイドソフト軟膏のような w/o 型乳剤性基剤を混合して使用しています。塗布量が 増えて塗りやすくなることもあり、このような工夫で軽快する例も 経験されます。
江藤先生 注意しなければならないのは、例えば油脂性の ステロイド外用薬とo/w 型乳剤性基剤の混合など、不適切 な場合もあることです(表
4)。
アトピー性皮膚炎で用いられる ことの多い保湿外用薬や古典的な外用薬はo/w 型の ものが多く、注意が必要です。江畑先生 ヒルドイドソフト軟膏、パスタロンソフト軟膏はともに w/o 型ですから、コンプライアンス向上を目的として軟膏と 混合することも許容されると思います。
江藤先生 確かにw/o 型はw/o 型同士の混合も許容 されると思いますが、すべてのw/o 型同士でよいかどうかは わかりません。ところが少なくとも、ネリゾナユニバーサル
図2:ネリゾナユニバーサルクリーム単独と
パスタロンソフト軟膏あるいはヒルドイドソフト軟膏 混合時のステロイド皮膚透過比
表4:軟膏剤の混合の可否
図1:用量の目安 Finger Tip Unit
クリームとヒルドイドソフト軟膏、パスタロンソフト軟膏の組み 合わせは安定性にも問題なく、また皮膚透過性が高まると いう興味深いデータもあります(図
2
)。浅井先生 ありがとうございました。塗り心地のよさはコン プライアンス向上につながる大切な要素であり、ステロイド 外用薬を選択する際に考慮すべき一つのポイントになるよう です。軟膏は適用範囲が広く、クリームの場合にはw/o 型 浅井先生 十分な治療効果を得るためには、適切な薬剤の
選択に加え、適正な用法 ・ 用量も重要なポイントになり ます。そのあたりの現状も含め、ご意見をお願いします。
江藤先生 保護者から、「治療を続けているのに、難治性 でなかなか治らない」といった声が時々あります。治療歴を みると十分なランクのステロイドが選択されていないことも ありますが、相応のステロイドが処方されているにも関わらず 塗り方が間違っているケースが少なくありません。塗布量が 少ないいわゆるチビ塗りです。用量の目安であるFinger Tip Unit(図
1)
が、まだまだ守られていません。江畑先生 外用薬の塗り方ひとつが治療効果に大きく影響 します。ステロイド外用薬を使用するうえで、塗布量は薬剤 のランクと同様、あるいはそれ以上に重要なポイントとなり ます。塗る量が不適切であれば、たとえ薬剤を変更しても 改善が得られるはずがありません。塗り方を指導してしっかり 塗るようになったら、急激に軽快する例をよく経験します。 浅井先生 いくら適切な薬剤を処方しても、それが適正に 使用されなかったのでは無意味です。ステロイド外用薬の 使用に際しては、重症度に見合ったランクの薬剤を適正な 用量で塗ることが治療効果を最大限に引き出すための重要 な鍵のひとつと言えるでしょう。
浅井先生 1999 年にカルシニューリン阻害薬のタクロ リムス軟膏が発売されました。ステロイドとは異なった作用 機序で炎症を抑制する薬剤として、アトピー性皮膚炎に対 する薬物治療の新たな選択肢として位置づけられていま す。タクロリムス軟膏をステロイド外用薬とどう使い分けていっ たらよいでしょうか。
江畑先生 成人の顔面の皮疹のコントロールは、ステロイド 外用薬ではどうしてもうまくいかない場合があり、従来からの 課題でした。タクロリムス軟膏は特に顔面・頸部の皮疹に 効果を発揮しますので、この点においてアトピー性皮膚炎 の治療成績向上に大きく寄与していると思います。2003 年 にはタクロリムス軟膏0.03%が発売され、ステロイド外用薬
から保湿剤になかなか移行できない小児に対し、顔面に 限らず長く使用してコントロールをつけるという使い方が できあがっていきました。成人の顔面、そして小児の皮疹 に対するコントロールに役立っています。
浅井先生 成人の場合は顔面を中心に、小児の場合には 体幹部も含めて使用しているということですが、江藤先生は いかがですか。
江藤先生 小児の場合、ステロイド外用薬の短期使用に より炎症が落ち着いてくる症例がかなりあります。タクロリムス 軟膏は体幹や四肢では薬効の強さに限界がありますので、 小児でも成人でも、ある程度の強さのステロイド外用薬で 炎症を抑えることがまず第一だと考えます。そして、多毛や 局所皮膚萎縮などの副作用があらわれてくる前の段階で タクロリムス軟膏に切り替えるという使い方がよいのではない でしょうか。
3
2
1
0
透過比
大谷道輝 薬局 53:77, 2002 ネリゾナ
ユニバーサル クリーム 単独 ネリゾナ ユニバーサル クリーム 単独
+ パスタロン ソフト+ パスタロン
ソフト軟膏 + ヒルドイド ソフト+ ヒルドイド ソフト軟膏 油脂性
水溶性
o/w型 w/o型 ゲル
油脂性 水溶性 o/w型 w/o型 ゲル
江藤隆史 医学のあゆみ 228:80, 2009 :可能 :組み合わせによっては可能 :不可
ひとさし指 第1関節まで チューブから 押し出した 外用薬の量
手2枚分の 範囲に外用 0.5g
体表面積2%
り 心地 のよさはコンプライアンス 向上 に つながる 大切 な 要素
〜 w/o 型乳剤性基剤 は 良好 な 使用感〜
塗
切 な 量 を 塗布 することも 重要 な 鍵
適
でも乳剤性基剤かが有用治療成績であるということですのを使用感左右するは良好重要。患者なで鍵、保湿効果さんがいかにになりますのでがあるという塗、使用感ってくれる点を考慮した薬剤選択もステロイド外用薬選択の重要なポイント と言えるでしょう。
テロイド 外用薬 とタクロリムス 軟膏 を どう 使 い 分 けるか
ス
他剤 との 使 い 分 け ・組 み 合 わせ
浅井先生 実際にステロイド外用薬を塗るのは患者さん ですから、患者さんがいかに適切な塗り方を理解している かが重要になります。患者さんへの説明、塗り方の指導は どのようにされていますか。
江畑先生 初診の方には15 〜 20 分程度時間をかけて 疾患や治療の考え方をお話します。それだけでも患者さん の治療意欲や外用薬を塗ることに対するモチベーション は上がります。さらに診察室の引き出しに処方する薬剤をす べてそろえており、必要に応じて実際に塗って見せて量の感 覚をつかんでもらうようにしています。用量の目安は、先ほど のFinger Tip Unitです。
江藤先生 初診時には、実際にチューブからFinger Tip Unitの量を出して、「このようにべとべとになるくらい塗り ます」と実演しています。教育入院をさせることもあり、入院
中のアトピー教室で薬剤の適切な使い方についてきめ細 かな指導を行います。また、外来患者を対象に、週1 回、
浅井先生 ステロイド外用薬のコンプライアンスが必ずしも 十分ではない背景には、適切な用量や塗り方を理解できて いなかったこと以外に、副作用への懸念からどうしても控え がちになっていることがあるのではないでしょうか。つまり、ステ ロイドの副作用に対して誤った認識があるということです。この
点についてはいかがでしょうか。
江畑先生 ステロイドの外用をためらう方が来た場合には、 よく言われているように皮膚の炎症を家が燃えている火事に
例えて、「消すためには消火が必要でしょう。そういう作用を 持った薬がステロイドやタクロリムスです。ここでステロイドを 使いたくないと言われると、家が燃え尽きてしまいます。火事で 消防車を呼んだんだけど、消火活動をされると家が水浸しに なって困ると言っているのと同じですよ」という話をします。 浅井先生 副作用についてはどの程度までお話されますか。 江畑先生 ステロイド外用薬を出しましょうと言うと、「ステ ロイドだけは使いたくないのですが・・・」という患者さんも
少なくありません。理由をたずねると大半が副作用が怖いと いう答えが返ってくるのですが、実際に副作用を正しく理解 している方はほとんどいません。ですから、ステロイド外用薬の 副作用を心配されている方には、約10 分かけて副作用の 実例を画像で示して説明を行っています。ほとんどの副 作用は元に戻るものでそれほど恐れることはないし、こういうこと 江畑先生 眼の周囲、頸部、肘や膝の関節部位、陰部は
ステロイド外用薬が吸収されやすく局所性の副作用が発現 しやすいので、これらの部位のコントロールにはタクロリムス 軟膏が良い適応になると思います。特に幼稚園児から学童 の男子は陰茎基部や陰嚢の湿疹が悪化して苔癬化したり、 ストロングクラスのステロイド外用薬で何とかコントロール できたとしても使用を中止するとすぐに再燃したりします。 ステロイド外用薬による治療が長引いているような患者さん はタクロリムス軟膏に移行するというのも一つの手段です。 一方、体幹の皮疹に対しては、ステロイド外用薬をある程度 長期間塗って炎症を抑える方法が妥当だと考えます。 江藤先生 タクロリムス軟膏の使い方として、最近 proactive treatmentという方法が提唱されています。寛解維持を 目的に、週2〜3 回外用し、症状の再燃を予防するというもの です。決して新しい考え方ではなく従来から実践していた 方法なんですが、それがヨーロッパでproactive treatment という名前をつけてエビデンスをもったデータとして発表された わけです。日本でも色々な報告がされてくるでしょうが、今後は この方法をもっと取り入れていくべきと思います。
浅井先生 アトピー性皮膚炎の治療のゴールは寛解維持 ですから、最終的にはやはり保湿剤に移行することを考え ますか。
江藤先生 はい。アトピー性皮膚炎が軽快してくると患者 さんは塗るのが面倒ですから何の対処もしなくなりがちで、
皮膚が乾燥状態になります。アトピー性皮膚炎にとって乾燥 は大敵ですし、水イボやトビヒにもなりやすくなるので、保湿を 続けることは極めて重要なポイントです。アトピー性皮膚炎が 軽快した後も、きちんと保湿剤を塗ってスキンケアを行うことが 炎症の再燃予防につながります。乾燥が強い場合はプロペトを 塗りますが、患者さんにとっては面倒なので、最近ではロー ションタイプの塗りやすいものを処方することも増えました。
浅井先生 ステロイド外用薬を使用した後は皮膚のバリアー 機能が低下しているという指摘もありますが、これについては いかがでしょう。
江畑先生 臨床ではあまり実感がありません。ただステロイ ド外用薬にしてもタクロリムス軟膏にしても軽快後に再燃す ることはしばしば認められますので、保湿剤などによりスキンケ アを十分に行う必要があると思います。
浅井先生 治療のゴールは治すことではなく、みんなと同じ 生活を多少の治療を加えながら維持できることです。まさに スキンケアの継続が大切だということです。
約 1 時間の説明会を開催しており、必要に応じて参加を 促しています。そして「この治療で1 週間後によくなってなけ れば入院です」と、執行猶予期間を与えると、入院しないで 済むならがんばってみようと患者さんのコンプライアンスが急 激に上がり、最近では入院患者が減ってきてうれしい悲鳴 です。患者さんに対する指導は、以上のような状況ですが、 もう一つの問題は、Finger Tip Unitという用量の目安を
理解しているにもかかわらず、医師がそれに見合う量を処方して いないケースがあるという現状です。医師に対しても、適切な 用量と塗り方について徹底的な啓発が必要だと思います。
切 な 量 と 塗 り 方 を 実演 し 、 理解 してもらう
適
テロイドの 副作用 に 対 する 誤 った 認識 を 解 く
ス
状軽快後 も 保湿剤 などで スキンケアを 継続 すべき
症
患者指導 のポイント
浅井先生 実際にステロイド外用薬を塗るのは患者さん ですから、患者さんがいかに適切な塗り方を理解している かが重要になります。患者さんへの説明、塗り方の指導は どのようにされていますか。
江畑先生 初診の方には15 〜 20 分程度時間をかけて 疾患や治療の考え方をお話します。それだけでも患者さん の治療意欲や外用薬を塗ることに対するモチベーション は上がります。さらに診察室の引き出しに処方する薬剤をす べてそろえており、必要に応じて実際に塗って見せて量の感 覚をつかんでもらうようにしています。用量の目安は、先ほど のFinger Tip Unitです。
江藤先生 初診時には、実際にチューブからFinger Tip Unitの量を出して、「このようにべとべとになるくらい塗り ます」と実演しています。教育入院をさせることもあり、入院
中のアトピー教室で薬剤の適切な使い方についてきめ細 かな指導を行います。また、外来患者を対象に、週1 回、
浅井先生 ステロイド外用薬のコンプライアンスが必ずしも 十分ではない背景には、適切な用量や塗り方を理解できて いなかったこと以外に、副作用への懸念からどうしても控え がちになっていることがあるのではないでしょうか。つまり、ステ ロイドの副作用に対して誤った認識があるということです。この
点についてはいかがでしょうか。
江畑先生 ステロイドの外用をためらう方が来た場合には、 よく言われているように皮膚の炎症を家が燃えている火事に
例えて、「消すためには消火が必要でしょう。そういう作用を 持った薬がステロイドやタクロリムスです。ここでステロイドを 使いたくないと言われると、家が燃え尽きてしまいます。火事で 消防車を呼んだんだけど、消火活動をされると家が水浸しに なって困ると言っているのと同じですよ」という話をします。 浅井先生 副作用についてはどの程度までお話されますか。 江畑先生 ステロイド外用薬を出しましょうと言うと、「ステ ロイドだけは使いたくないのですが・・・」という患者さんも
少なくありません。理由をたずねると大半が副作用が怖いと いう答えが返ってくるのですが、実際に副作用を正しく理解 している方はほとんどいません。ですから、ステロイド外用薬の 副作用を心配されている方には、約10 分かけて副作用の 実例を画像で示して説明を行っています。ほとんどの副 作用は元に戻るものでそれほど恐れることはないし、こういうこと 江畑先生 眼の周囲、頸部、肘や膝の関節部位、陰部は
ステロイド外用薬が吸収されやすく局所性の副作用が発現 しやすいので、これらの部位のコントロールにはタクロリムス 軟膏が良い適応になると思います。特に幼稚園児から学童 の男子は陰茎基部や陰嚢の湿疹が悪化して苔癬化したり、 ストロングクラスのステロイド外用薬で何とかコントロール できたとしても使用を中止するとすぐに再燃したりします。 ステロイド外用薬による治療が長引いているような患者さん はタクロリムス軟膏に移行するというのも一つの手段です。 一方、体幹の皮疹に対しては、ステロイド外用薬をある程度 長期間塗って炎症を抑える方法が妥当だと考えます。 江藤先生 タクロリムス軟膏の使い方として、最近 proactive treatmentという方法が提唱されています。寛解維持を 目的に、週2〜3 回外用し、症状の再燃を予防するというもの です。決して新しい考え方ではなく従来から実践していた 方法なんですが、それがヨーロッパでproactive treatment という名前をつけてエビデンスをもったデータとして発表された わけです。日本でも色々な報告がされてくるでしょうが、今後は この方法をもっと取り入れていくべきと思います。
浅井先生 アトピー性皮膚炎の治療のゴールは寛解維持 ですから、最終的にはやはり保湿剤に移行することを考え ますか。
江藤先生 はい。アトピー性皮膚炎が軽快してくると患者 さんは塗るのが面倒ですから何の対処もしなくなりがちで、
皮膚が乾燥状態になります。アトピー性皮膚炎にとって乾燥 は大敵ですし、水イボやトビヒにもなりやすくなるので、保湿を 続けることは極めて重要なポイントです。アトピー性皮膚炎が 軽快した後も、きちんと保湿剤を塗ってスキンケアを行うことが 炎症の再燃予防につながります。乾燥が強い場合はプロペトを 塗りますが、患者さんにとっては面倒なので、最近ではロー ションタイプの塗りやすいものを処方することも増えました。
浅井先生 ステロイド外用薬を使用した後は皮膚のバリアー 機能が低下しているという指摘もありますが、これについては いかがでしょう。
江畑先生 臨床ではあまり実感がありません。ただステロイ ド外用薬にしてもタクロリムス軟膏にしても軽快後に再燃す ることはしばしば認められますので、保湿剤などによりスキンケ アを十分に行う必要があると思います。
浅井先生 治療のゴールは治すことではなく、みんなと同じ 生活を多少の治療を加えながら維持できることです。まさに スキンケアの継続が大切だということです。
約 1 時間の説明会を開催しており、必要に応じて参加を 促しています。そして「この治療で1 週間後によくなってなけ れば入院です」と、執行猶予期間を与えると、入院しないで 済むならがんばってみようと患者さんのコンプライアンスが急 激に上がり、最近では入院患者が減ってきてうれしい悲鳴 です。患者さんに対する指導は、以上のような状況ですが、 もう一つの問題は、Finger Tip Unitという用量の目安を
理解しているにもかかわらず、医師がそれに見合う量を処方して いないケースがあるという現状です。医師に対しても、適切な 用量と塗り方について徹底的な啓発が必要だと思います。