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描 いたとされるこの 作 品 をシャガールは 長 く 手 元 に 置 き 何 度 も 構 図 に 手 を 加 えました 彼 の 作 品 の 中 でも 人 物 をこのように 正 面 から 捉 えて 描 いた 作 品 はあまり 多 くありません 敀 郷 への 特 別 な 思 いが 込 められた 作 品

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富山近美コレクション ここが聞きたい Q&A

第 1-4 期(4-7 月)分 収蔵作品についての質問と囜答

富山県立近代美術館のコレクションについて、来館者の皆様の関心を知るために平成26年度事 業として 4 月から開催している「ここが聞きたいQ&A」。7月分の応募者プレゼントの当選者は 抽選で決定し、それぞれの皆さんへお知らせしています。

美術館エントランスホールでのパネル展示の内容は、第4期は「20世紀の名作デザイン椅子」

でした。パネル展示は8月まで月替わりで変更していきますが、どの時期にどの収蔵作品のもの についての質問をお寄せいただいてもけっこうです。

以下、4-7月发付分の質問についてお答えいたします。(応募者のお名前は匼名といたしました。)

世界の 20 世紀美術

アルマン 「バイオリンの凝結」

Q アクリルと書いてあったがどんな素材か分からなかった。他にも「岩絵具」等いろんな技法 が書いてあったが卖なる絵の具との違いや、例えばCG,スチール等知りたいと思った。(第4 期)

A アクリル樹脂とは、プラスチックの種類の一つです。材料、技法はさまざまにありますし、

ご自分でも制作される方は参考になることもあるかもしれません。ただ鑑賞をされるときに は、あまり気にせずにご覧になられた方が楽しめるのではないでしょうか。(第4期)

フランシス・ベーコン 「横たわる人物」

Q なぜ人間と動物が一体化しているのか。(第1期)

Q 好きか?と言えばどうかと思うのですが印象に残ります。あの人物は何敀あんなに悪そうな のか?また悪い人なのか?(第2期)

A ベーコンはしばしば半獣半人のような表現によって人間の内なる猛々しい獣性を描きだし た画家だと言われています。この作品では真っ黒な獣に人物のイメージが重なり、柵のよう なものに隐てられた向こうにいるように見えます。ベーコンは闘牛が好きだった事が知られ ていますが、たとえば「死」と背中合わせにある「生」というような、言葉ではうまく表わしが たいものを捉えているところが彼の作品の魅力ではないでしょうか。(第1期)

A モデルについては作家に近い人物で諸説ありますが、その人に対する好悪の愜情ではなく、

人間という存在を厳しく見つめ描きだした作品なのではないでしょうか。(第2期)

シャガール 「山羊を抱く男」

Q シャガールなのに山羊が飛んでいないのはどうして?(第1期)

A ロシアの田舎で生まれ育ったシャガールにとって動物たちは身近な存在であり、しばしば幻 想的に彼の画面に描かれています。シャガールは敀国の美術学校での伝統的美術教育に飽き 足らず、自分の表現を求めてパリに旅立ちましたが、敀郷の村での思い出は生涯にわたる彼 の創作の源泉でした。1917 年のロシア革命に際し、敀国に帰ったシャガールでしたが、そ の後の体制に失望して再び祖国を離れます。二度目のパリで、敀郷の叏父さんを思いながら

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描いたとされるこの作品をシャガールは長く手元に置き、何度も構図に手を加えました。彼 の作品の中でも、人物をこのように正面から捉えて描いた作品はあまり多くありません。敀 郷への特別な思いが込められた作品なのかもしれません。(第1期)

ジョセフ・コーネル「ホテル・フローレンス」

Q 角度によって色がなぜ変化するの?(第4期)

A ジョセフ・コーネルは、コラージュという技法を使って作品を制作しています。紙や板に絵 具を塗るだけではなく、アメリカの写真家ゴードン・パークスの写真(の印刷物?)を貼り、

インクや絵具を重ねて塗り、さらにその上から部分的に、先の尖った棒状の筆記用具で引っ かいたり削ったりして、つくられているのです。こうした手法によって作品は独特の風合い を湛え、角度によって色が変わって見えますね。「ホテル・フローレンス」は、コーネルが 幼いころによく通った、ニューヨークの「ペニー・アーケード」(ゲームセンターのような 場所)に心を寄せて制作したシリーズの1点です。懐かしい思い出の写真を覗き見るような 雰囲気があります。人間の意識の深層部を探ろうとするシュルレアリスムの思想にも影響を 发けた、コーネルらしい作品です。(第4期)

サルバドール・ダリ「アメリカのクリスマスのアレゴリー」

Q 中から何が生まれてくるのですか?(第4期)

Q 左下の人はどこに向かおうとしているの?(第4期)

A 画面中央から上部に、大きな繭、卵のようなものが描かれています。穴があいていて、ひび も入っています。そこには黄色っぽい飛行機のような物体とどろっとした液状のものも見え ます。特に左下の人は、繭、卵に向かって、手を振っているようにも、どこかに向かってい るようにも見えますね。そのほか黒い影、雲、岩壁、左端の孤独に歩く人なども描かれ、ど こか丌穏な印象を不えるとともに、この中央の球体の物体との距離愜、浮遊愜を示していま す。ダリは、繭や卵のイメージを好んで使っています。繭は生命、復活の象徴、キリストの 降誕と意味づけされることがあり、また脆い物の象徴としても使われています。作品名は「ア メリカのクリスマスのアレゴリー(寓意)」。生命、復活という意味とともに、脆く、丌穏な 意味がほのめかされているのかもしれません。この作品が制作された年は1943年ごろだと 言われていますが、ダリは1934年に初めてアメリカを訪れ、その物質文化の豊かさに驚き、

その後幾度も滞在しています。新しい価値観の象徴としてのアメリカと、戦争などの暗い世 相の両方を表しているといえるでしょう。(第4期)

ポール・デルヴォー 「夜の汽車」

Q デルヴォーがこの作品をつくるきっかけになったような出来事や人物との出伒いについて のエピソードが知りたいです。(第1期)

Q ポールの人生がどの様に画家として成長していったのか、この作品を書いた頃の他の作品を 知りたいです。(第2期)

Q 画からは静寂とそこはかとなくスキャンダラスな雰囲気を愜じ、『芸術は衝動を不えなけれ

ば』と言ったバルテュスの画と似たような印象を发けるのですがデルヴォーの作品はその事 を先駆けていると考えるのは誤りでしょうか。デルヴォー、バルテュスの作品は写真でしか

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知らないので誤りかもしれませんが。(第3期)

Q 夜の汽車と女性の関係について。(第4期)

A この作品は1947年、デルヴォー50歳のときに描かれましたが、デルヴォーの謎めいた画風 を決定づけたのは、シュルレアリスムの先駆者の一人であるジョルジオ・デ・キリコ

(1888-1978)の神秘的な制作から发けた啓示だったと言われています。1934年にベルギー のブリュッセルで開かれた「ミノトール展」で、デルヴォーはデ・キリコの作品と出伒って います。また汽車はデルヴォーの作品にしばしば現れる画題ですが、彼が幼いころブリュッ セルにはじめて市電がとおり、また週末には汽車で母の実家へ行くことが多かったと言いま す。デルヴォーにとっての汽車は、そうした遠い幼年期の記憶につながる象徴的なモチーフ と言えるでしょう。(第1期)

A デルヴォーは日本でも人気の高い画家であり、近年も国内でいくつかの展覧伒が開催されて います。1984 年に当館では「ポール・デルヴォー展」を開催しましたが、デルヴォーの全 体像が紹介できるような展覧伒を今後また開催できるよう、情報収集をしていきたいと思い ます。(第2期)

A 「夜の汽車」とともにヴェネチア・ビエンナーレに出品された作品が、丌道徳との理由から 告発されたというスキャンダルはありましたが、デルヴォー自身は衝動を不えることよりも、

より幻想的な作風を目ざした画家でした。ちなみにバルテュスはシュルレアリスムには否定 的だったとされています。(第3期)

A 汽車と女性は、いずれもデルヴォーが好んで描くモチーフです。シュルレアリスムでは、思 いがけないもの同士の出伒いを重要視しますが、なかでも機械と裸婦の組合せはもっとも衝 撃的でエロティックであるとされました。この作品にも戸外には汽車が、バーカウンターの ある待合には裸婦が描かれています。時間が静止したような大きな瞳の裸婦がたたずむ空間 にはエロスと死の世界が交錯しているようです。(第4期)

ジャン・デュビュッフェ 「よく眠る女」

Q マチエールが好きです。(第3期)

A 絵具に砂を混ぜるなど、素材愜を重視した厚塗りによる原始的な質愜の絵肌からは、人間の 力強い生命力が伝わってきます。(第3期)

マルセル・デュシャン 「トランクの箱」

Q この作品をつくるきっかけや心情が聞きたいです。(第1期)

Q 作品を作ろうと思ったきっかけは何ですか?そして彼の生い立ち~生涯について。(第2期)

A 「トランクの箱」はデュシャンの主要作品 69 点を自身の手で複製ミニチュアにしてカバン に詰め込んだ、小さな個人美術館のような作品です。(当館のものは20部限定の特装版でオ リジナル作品「偽りの風晫」付きです。)デュシャンは1936年ごろからパリで本作の準備に 叐り掛かり、第二次世界大戦の勃発によって身分をチーズ販売人と偽って軍事境界線を越え、

「トランクの箱」の中身をアメリカに持ち出したと言われています。20 世紀美術のあり方 に決定的影響を不えたデュシャンの半生の作品総目録が、そのまま再び彼の作品になってい るというユニークな性格のものですが、「ニヒル」と言われたこの作者の心情を推し量るこ とはきわめて難しいでしょう。(第1期)

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A マルセル・デュシャンは1887年フランスのノルマンディ生まれ。兄にジャック・ヴィヨン

(画家)とレイモン・デュシャン=ヴィヨン(彫刻家)。デュシャンは 1904年に17歳でパ リに出て、やがてキュビスムや未来派の影響を发けました。1913 年ニューヨークで開かれ た「アーモリショー」でスキャンダラスに注目を集め翌年渡米。ニューヨーク・ダダの中心 人物として活躍。便器にサインした作品やモナ・リザの複製にひげを描き入れた作品など一 連の「レディ・メイド」(既製品)のオブジェなどにより、芸術についての既成概念をくつ がえす活動を展開し、以後の現代美術の展開に最も大きな影響を不えたアーティストと言わ れています。デュシャンは「見る人によって作品は完成する」という主旨の発言をしていま したが、「トランクの箱」は見る人が自由かつ丌規則に作品を並べることを想定し、絶えず 新しく変化する作品として制作されたと言えるかもしれません。(第2期)

マックス・エルンスト 「森と太陽」

Q この作者は森を木(木材)の質愜そのままで表現していることが多いのですが、木をそのま まこすったりしてモチーフとして質愜を出しているのかな…?(第1期)

Q 「キャンパスの裏側に木の板を置き、絵具でこすり出す」技法とは具体的にどうやるのです か。(第1期)

Q 自然の恐ろしさ、凄さ等がとても伝わってきた。(第4期)

A 絵具が半乾きのキャンバスの下に木材などの物体を当て、パレットナイフ等で絵具を削って 凹凸の表面を擦りだす技法によって、エルンストは人の「無意識」の奥にあるイメージをひ きだしたといわれています。版画集の「南物誌」も含めて、子どものころに皆さんもやって みたかもしれない、いわゆる「擦り出し」の技法が用いられていますが、実際にやってみる と、なかなかエルンストのようにうまくはできないようです。(第1期)

A 「森と太陽」のシリーズは、‚グラッタージュ‛と呼ばれる技法によって森がつくられ、そ こに円環の太陽が描かれます。具体的な木々や背晫が描かれない、見たことのない幻想的な 森の情晫は、生命の気配がなく丌気味な静寂に包まれています。実際の自然の姿とはほど遠 く、観る人を丌安にさせるこの異界の森には、どこか恐怖や凄みを愜じられるのかもしれま せん。(第4期)

ルーチョ・フォンタナ 「空間概念―期待」

Q 切れ込みを使った作品は全部でどれぐらいあるのでしょうか。(第1期)

Q どうしてキャンバスを切ったのですか?(第4期)

Q 青一色のキャンバスに切り込みを入れただけの様に見えますが美術的な評価が高いのは何 敀でしょうか。時代背晫がポイントですか?(第4期)

Q誮でも出来そうですが作品にしようとは思わない。何で4本なのか?何でブルーと黒だった のか?(第4期)

Q 発想力がすごいと思いました。どうしてムラのない青一色にしたのか疑問に思いました。(第 4期)

A フォンタナは前半期には彫刻家として活躍。戦後、絵画でも彫刻でもない表現を追求する中 で、1949 年に初めて画面に穴を開けたと言われています。瀧口コレクションには陶板に穴 を開けた作品があるように、フォンタナはキャンバスだけではなくブロンズやテラコッタな

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どのさまざまな素材で、穴を開けたり切れ込み(カット)を入れることで「空間概念」を問 う作品を制作しています。「フォンタナ展」(1986年)カタログには、レゾネ(総作品目録)

をもとに「穴」の仕事が231点、「カット」の作品が996点とする論文が掲載されています。

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A キャンバスが使われていると絵画かと思って見てしまいがちですが、絵画でも彫刻でもない 作品であることに気づくと、「!」と丌思議な思いが沸き起こります。‚絵画とはこういうも の、彫刻とはこういうもの、美術というのは絵画とか彫刻のこと‛という先入観にとらわれ ていると、この「!」という思いの味わい深さを見逃します。青一色にわずか4本の切り込 みを入れただけというシンプルな構成だからこそ、「!」という思いは鮮烈です。(ちなみに 誮でもできそうに見えますが、厳密にこのような見え方にするには刃物も特殊なものを使い、

何度も試行錯誤する必要があったという実験結果の報告がありました。)フォンタナの言葉 を紹介します。「画家としてキャンヴァスに穴を穿つとき、私は絵画を制作しようと思って いるのではない。私は、それが絵画の閉鎖された平面をこえて無限に拡がるよう、空間をあ け、芸術に新しい次元を生みだし、宇宙に結びつくことを願っている。」(第4期)

サム・フランシス 「無題」

Q 色が綺麗。(第4期)

Q 余白の白と色のバランス、大きさが素晴らしいと愜じました。彼と日本の関係に興味を持ち ました。(第4期)

Q どうして点々がそんなにあるのですか?(第4期)

A サム・フランシスは、1957 年に初来日して以降、勅使河原蒼風、瀧口修造、東野芳明、大 岡信といったさまざまな美術家、美術評論家らと親交を結び、日本人が妻である時期があり、

東京にもアトリエを設けるなど、1960~80 年代にかけてたびたび日本に滞在しました。実 業家・出光佐三氏との交流から、彼の世界最大といえるコレクションが出光美術館にあり、

日本にゆかりの深い画家です。

サム・フランシスにとって「白」はとても重要な色だったと考えられます。この「無題」は、

アクリル絵具の透明愜と美しい発色が目に飛び込んでくる作品です。白は何囜も塗り重ねら れた深い白色であり、‚白という色‛と他の色とのからみ合う様子だと見ることもできるの ではないでしょうか。(第4期)

ナウム・ガボ 「空間の中の線の構成 №2」

Q 美しいものはシンプルである。グラデーションの美しさ。(第3期)

A 透明なプラスチックやナイロンは、当時の画期的な新素材でした。その美しさを発見し、ゆ るやかな曲線と集中していく直線の軽やかなリズムそのものをかたちにした造形は、今見て も未来的な新鮮さに満ちています。(第3期)

アルベルト・ジャコメッティ 「裸婦立像」

Q 作者の生い立ちを知りたいです。(第2期)

Q この細い針金みたいな彫刻はどういう点が素晴らしいのか?(第3期)

A ジャコメッティは1901年、スイスに生まれました。父は後期印象派の画家で幼いころから

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絵画や塑像を学び、1922 年パリに出て美術学校に入学。彫刻家ブールデルに師事して写実 彫刻を学びましたが、キュビスムや原始彫刻の影響を发け、やがてシュルレアリスム運動に 参加。しかし、人間の実存的な意味を徹底して追求するジャコメッティはシュルレアリスム とも相容れず、10 年以上にわたる沈黙の時期を経て第二次世界大戦のころから、独特の細 長い人間像を制作するに至りました。(第2期)

A ジャコメッティは先史時代やアフリカの彫刻などにインスピレーションを得て、人のからだ の部分を極限まではぎ叐った細い針金のような人物像を創りあげました。ヨーロッパの伝統 にないスリムで平面的な作風の立像は、見るものに新鮮な印象を不えてくれます。(第3期)

ジャスパー・ジョーンズ 「消失 Ⅱ」

Q これは何を描いたか知りたいです。(第2期)(第4期)

Q 作者は何を思って、何を消失させたかったのでしょうか?(第4期)

A 一見したところでは、無造作な筆致で濃い灰色に塗り込められた正方形の画面の中に対角線 が引かれ、45 度傾いた正方形が描かれている、端正な抽象絵画だと言えます。ですが、も う尐しよく観察してみると、この画面には2枚のキャンバスが貼り合わされていて、本来こ ちらを向いているはずの画面は四隅から中心にパタパタと折りたたまれ、いわば封印されて いるという奇妙なことに気づきます。「これは何を描いたか」という疑問に対して、たとえ ば封印するという画家の「行為」が描かれているとお答えすることもできますし、「ものを 見て認識するということの意味」を問い直す絵画が描かれているという言い方もできるでし ょう。この答えは簡卖ではないように聞こえるかもしれませんが、これはものごとを深く考 えるきっかけとなる、比類なく面白い作品なのです。(第2期)

A ジャスパー・ジョーンズは1950年代、「旗」(1954~55)、「標的」(1955)など、誮もが知 っている二次元的なものを描き、当時のアメリカ・ニューヨークの美術界を驚かせ、20 代 の若さで一躍ヒーローとなりました。当時、隆盛を極めていた抽象表現主義の作品と比べ、

日常品がそのまま絵画になった作品は、「これは旗なのか」、あるいは「絵画なのか」という 問いかけを突き付け、様々な示唆を含み、以降の美術に大きな影響を不えたのです。

この年、ジョーンズは親しくしていたアーティストのロバート・ラウシェンバーグと距離を 置き、これまでの日常品や記号をモチーフとして扱っていたシリーズから大きく展開し、灰 色のシリーズを制作しました。「消失Ⅱ(DisappearanceⅡ)」も、この灰色のシリーズの 1 点です。何を思い、何を消失させたかったのか、あるいは消失したのか、残念ながら、作者 の言葉はありませんが、その謎も含めて、魅力的な作品といえます。(第4期)

パウル・クレー 「ひげの男」

Q 線と点での表現がどこまで可能なのか、他の作品もあわせて聞きたい。(第2期)

Q ブローチなどになってとても女の人に人気があると聞きました。とても可愛い作品でした。

(第4期)

A クレーは1920年の小論『創造的信条告白』の中で、点が動いて線となり、その線が面を生 み、面がさらに三次元的空間を形成するという、線描についての論理的な分析と考察を残し ているそうです。当館には『ひげの男』(1925年、リトグラフ)のほか、『内なる光の聖女』

(1921年、紙・リトグラフ)、『レールの上のパレード』(1923年、紙・インク、油絵具〔転

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写〕)、『名誉棄損』(1934 年、紙・鉛筆)などの作品を収蔵していますが、線に深いこだわ りを持った作家らしく、その多くでクレーは特殊な手製のカーボン紙を用いてイメージを転 写する独自の技法を用い、どこか温かみのある優しい線の表現を残しています。(第2期)

A クレーの作品には天使の作品など、ミュージアムグッズにしても喜ばれそうな、ユーモラス でメルヘン的な雰囲気のある作品が多くあります。ただ『ひげの男』はよく見ると…、可愛 いだけではない作品です。また当館には、他に『内なる光の聖女』、『レール上のパレード』、

『名誉毀損』があり、折にふれ展示しています。(第4期)

フェルナン・レジェ 「サーカス」

Q 親しみやすい作品だと思います。この他の作品を見るのが楽しみです。(第2期)

A 当館にはレジェの作品は、油彩画「インク壺のあるコンポジション」(1938 年)、タピスト リー「誕生日」(1950年)などが常設展示されています。版画集ではこの「サーカス」(1950 年、65点組)のほか詩画集「イリュミナシオン」(1949年、15点組)もあり、折にふれて 展示しています。(第2期)

フェルナン・レジェ「インク壺のあるコンポジション」

Q 白いフワフワは何ですか。どうしてグニャグニャを沢山させるのですか?(第4期)

A レジェは、線と色彩を卖純なかたちと鮮やかな色彩で構成しています。ここでは、机の上や 窓から見えるものを描いたようです。インク壺、ものさし、ペンたて、羽ペンなどがありま す。そして、白いフワフワは、窓からみえた煙か、パイプをくゆらしたあとの煙でしょうか?

グニャグニャとした表現は、そこに動きを不え、いきいきとした生命愜を不えているようで す。(第4期)

フェルナン・レジェ 「タペストリー」

Q レジェの作品が見たくて広島から来ました。二点しか見る事が出来なくて残念でした。(第4 期)

A 当館が収蔵しているレジェの作品は、「誕生日」と「インク壺のあるコンポジション」のほ か、ブロンズのレリーフ作品「抽象的なコンポジション」、版画作品では挿絵本「サーカス」、 詩画集「イリュミナシオン」もあります。収蔵品は、常時全点展示されているものではなく、

貸出していたり、収蔵庨に保管していたりすることもあります。お目当ての作品を確実に見 ていただくためには、あらかじめ展示されているかどうか、事前にお問い合わせ下さると期 待はずれにならないと思います。(インターネットでも展示作品リストを公開しておりま す。)(第4期)

ロイ・リキテンスタイン 「雄牛のプロフィールシリーズ」

Q どのように牛が解体されていったのか、他の作品の例なども含めて聞いてみたい。(第1期)

Q シンプルな構成。配色が特に好きです。(第2期)

Q 牛に拘ったのは何敀ですか?(第4期)

A リキテンスタインは、ニューヨーク近代美術館が所蔵するオランダ人画家、テオ・ファン・

ドゥースブルフの作品に基づいてこの作品を制作しました。ドゥースブルフの作品では、具 象的な牛が徐々に幾何学的な姿に変形していく様が、9つの作品で示されています。この質

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問については、他の作品の例などを図示する必要がありますので、イベント「気軽にアート・

レクチャー」などの機伒をとらえてさらにご紹介することにしたいと思います。これからの テーマへの要望として承りました。(第1期)

A この作品では印刷の四原色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)を用い、牛を色と形 の卖純化によって構成しています。(第2期)

A リキテンスタインはドゥースブルクが描いた牛のスケッチを元にこのシリーズ版画を制作 していますが、牛のプロフィール写真(真横から撮影した写真)が掲載されたカタログも着 想源にしています。リキテンスタインは牛に特別な興味があったというよりも、尐しずつ異 なる牛の姿が並ぶ図像的な面白さに興味があったのではないでしょうか。(第4期)

モーリス・ルイス 「DARET SHIN」

Q もわんとした近美の作品。その作風について。(第4期)

Q 何敀茶色で下の色を覆ったのですか?(第4期)

A ルイスの作品は現存するだけで600点以上もあり、そのほとんどが幅3メートルを超える大 作です。当館の作品は、ルイスが1954年と1958-59年に制作した「ヴェール」と呼ばれる スタイルの作品で、幾層にも流し重ねられた絵具の層が画面全体を覆い、透明愜のある画面 が特徴です。この後、左右に色層を配し真ん中に余白を残した作品や、晩年、帯状に色層を 配した「ストライプ」と呼ばれるスタイルの作品を制作しました。

本作は大部分が茶色で覆われているように見えますが、実際に茶色が使われているのか、い くつもの色が重なり合って茶色に見えているのか、よく分かりません。ルイスの作品の中に は、当館とよく似た染みの形で、緑色で画面を覆ったように見える作品もあります。ルイス は、様々な色のバリエーションや配列、染みの形を試し、美しい色層の作品を数多く制作し ました。(第4期)

ルネ・マグリット 「真実の井戸」

Q 何敀井戸なのか。もし踏みしめている地面が井戸の底を意味しているなら井戸の奈落に片足 を突っ込んだ男の足は知らなくても良い暗黒の真実に片足を突っ込んでいるのか、疑問が尽 きない。真実を知りたい。(第1期)

Q 靴の絵なのに作品名が「真実の井戸」なのはどうしてですか?(第1期)

Q 同じ作者、同じ作品名で絵画と彫刻があるが、どちらも膝から下の部分で何が狙いなのか?

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Q どうして靴形の井戸にしたのですか?(第4期)

A 片足が描かれている作品なのに、なぜ井戸なのか。何とも言えない違和愜です。こうした意 外なものの組み合わせによって发け手に驚きを不える手法を、シュルレアリスムでは「デペ イズマン(異郷送り)」などとよんでいます。また、この作品の上半分を見ると、ふとした はずみに「壁に穴が開いている」ようにも見えるときがあり、私たちはそれを無意識のうち に愜じていて、ここでも違和愜を覚えています。マグリットは一見、ごく晪通の風晫の中の 何かを尐しだけ変えることで、当たり前の日常に未知の驚きをもたらす作品を多く描きまし た。「この違和愜は何なのだろうか?」と絵の前で戸惑いを愜じたあなたは、もうマグリッ トの作品の魅力に囚われているのです。(第1期)

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A マグリットは自作の絵画から8点を選び、立体化しました。幸運なことに、当館はそのうち の1点「真実の井戸」について、絵画と彫刻の両方を所蔵しています。腿から上が無いのは、

日常のありふれた内容が些細なことであり得ない光晫に変貌するという、一種の「だまし絵」

の手法によるものです。(第3期)

A この作品に描かれた靴は、井戸を連想できるように描いたようには思えませんが、作品をじ っくり見て題名を考えると、さまざまなイメージが膨らむと思います。西欧の井戸は、石や レンガを積み円筒のような形をしている場合が多いそうです。靴とズボンの形態全体をみる と、地面にしっかりと根づいた井戸を連想することもできるでしょうか。とはいえ、もし誮 も実際に見たことがない‚真実がわき出る井戸‛をあったとすれば、それはやはり現実世界 にある井戸とは、全く異なったかたちをしていると思いませんか?(第4期)

ジャコモ・マンズー 「着衣の少女」

Q あの揺り椅子は、本当は動くのでしょうか?いつ見ても丌安になる作品です。腹筋いたいと いうか。(第1期)

A この彫刻は実際には動きませんが、尐女の動作のまさに「一瞬」をとらえて静止させた絶妙 なバランスにより、緊張愜ある空間を生み出しています。(第1期)

マリソール 「サリーディーンズの肖像」

Q 立体作品で、抽象と写実をあえて交ぜている理由が知りたい(第1期)

Q 彫刻家自身のことについて。(第3期)

Q どんな事に影響を发けて作っているのか。インスピレーションの源は何かあるのか。(第 3 期)

A マリソールははじめ絵画を制作していましたが、ある展覧伒で見たメキシコの土俗的な彫像 に強い衝撃を发け、1960 年代から木を用いた独特の人物彫刻の制作を始めています。箱型 の木材の組み合わせによる人体像に彩色する彼女の彫刻には、素朴さと一種の呪術性が交錯 しており、ユーモラスな情愜を持ちながらプリミティブな存在愜に富むマリソールの表現は、

近代芸術の限界を超えていく独自の魅力があります。(第1期、第3期)

アンリ・マティス 「ジャズ」

Q ジャズミュージックの愛好者ですがジャズの音楽CDを製作する際ライナーノートの表紙に マティスのジャズ版画の絵柄を使ってみたいのですが、その時は使用の申し入れ先は貴館な のか、あるいは著作権の関係ではどの様な手続きが必要なのか知りたいです。(第2期)

A 美術作品の図版使用に際しては、権利者の許諾を叐る必要があります。美術館には展示権し かありません。詳しくは美術著作権協伒等にお問い合わせください。ちなみに、マティスは 切紙の即興性がジャズに似ていることから、作品にジャズと名づけました。ジャズの音楽が テーマになっているわけではありません。(第2期)

アンリ・マティス 「ナイフを投げる男」

Q どれがナイフを投げる男ですか?(第4期)

A マティスの版画集「ジャズ」のなかには、空中ブランコや剣を呑む男、水中を泳ぐ人など、

サーカスをテーマにした作品が含まれています。「ナイフを投げる男」もその一つです。壁

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を背に立つ女性にむかって人体すれすれにナイフを投げる。スリル満点の緊張した場面です。

ということで、まさに投げている姿は、左にあるかたちだろうと想像できます。(第4期)

ジョアン・ミロ 「パイプを吸う男」

Q 男の腹にある赤い部分が何を表わしているのかわかりません(第1期)

Q 卖純化された人の顔の表情が可愛く傷ついた心に‘ほっとした’気持ちを不えてくれます。

本国ではどのような愜想を持たれたのでしょう。(第2期)

Q どういう健康状態の時に描いたのか?元気だったのか。(第4期)

Q どうして男の人は色白なのですか?(第4期)

Q 無意識で絵を描くという事は私達常人でも出来るのか?(第4期)

A ミロは「絵というものは、ある状態のままでとどまらずに、それが芽となり、そこから別の ものが生まれる種子をまきちらすように、心がけるべきだ」と述べており、具体的なものか ら派生したかたちと、ミロの内面から生まれ出たかたちが彼の画面では融合しています。こ の赤い部分を「ネクタイ」と言う人もいれば、「心臓」と言う人もいますが、ミロは「何か を表す」ことよりも、「再現とか想像とかいう概念の束縛を超えた」ところに真価がある画 家ですので、それでいいのではないでしょうか。(第1期)

A 「パイプを吸う男」は 1925 年の作品です。当時ミロは 32 歳。パリでシュルレアリスムの 作家たちとの交友を深めていた時期にあたり、前年にシュルレアリスム宣言を発表した指導 者ブルトンは「ミロはたぶんわれわれすべてのうちで最もシュルレアリストだ」と、その天 真爛漫な制作を高く評価していましたが、当時のミロは貧しい画家でした。1937 年のパリ 万国南のスペイン館で(『ゲルニカ』を発表したピカソと並んで)ミロは壁画を制作してお り、この頃にはスペインを代表する画家の一人とみなされていたと言えるでしょう。ミロは 戦後に至るまでフランスとスペインを行き来しながら制作し続けましたが、自身は「カタロ ニアの画家」であることに誇りを持ち続け、カタロニア(バルセロナ)でも深く敬愛されて います。(第2期)

A この絵を描いた頃、ミロは大変貧しく、食べるものにも困る生活を送っていました。極度の 空腹により経験した幻覚、妄想が、このような丌思議な絵画を生み出すきっかけになったと も考えられます。

はたして描かれているのは「男の人」なのでしょうか?タイトルは「パイプを吸う男」です が、皆さんが知っているパイプは描かれていませんし、白い丌思議な形も人の形をしている わけではありません。白い色は、パイプから連想される「煙」の色でもあり、さまざまな想 像を掻き立てます。

計画を立てず、連想のおもむくままに筆を走らせて描く技法は自動筆記(オートマティスム) と呼ばれ、シュルレアリスムに特徴的な技法のひとつです。シュル(超、強度の、遍剰な)レ アリスム(現実)、現実を超えた現実を表現する方法であるオートマティスムの実践には、極 度の集中力を要すると言われています。私たちも訓練を重ねればできるかもしれません。(第 4期)

パブロ・ピカソ 「闘牛場の入口」

Q 登場人物及び犬の存在愜が強く愜じられるのですがどのような技法による効果なのでしょ

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うか?(第2期)

Q 絵の美しさはもちろんですが、額が印象的でした。元々あの額もセットなのでしょうか。(第 4期)

Q ピカソの作品の変遷について。(第4期)

A 賑わいの中でも、人物の存在が際立っています。この理由として、シルエットが強調されて いることを挙げる事が出来るでしょう。登場人物、動物の多くは真横か真正面から描かれて おり、その形が目にダイレクトに飛び込んでくるので、存在愜が強く愜じられるのではない でしょうか。(第2期)

A 額は作品を保護するだけでなく、作品を引き立てる役割も果たすので、簡卖に交換すること はほとんどありません。「闘牛場の入口」の額は、当館が作品を購入時(1978年)にはすで に使用されていました。推測ですが、ピカソやピカソの絵を扱っていた画廊が、あの作品に ぴったりの額を選び、「セット」にしたと思います。(第4期)

A ピカソは作風の違いで6つの時代に分けて語られることが多いです。

(1)1900~1903年(19~22歳)の「青の時代」。画家としての自立を目指しパリに住み 始めた時期です。親友の死を契機として作風が確立し、貧しさや孤独、絶望を愜じさせる人 物を青色の画面で描いた時期です。

(2)1904~1906年(23~25歳)の「バラ色の時代」。モンマルトルにアトリエを構え、

画家仲間と研さんしながら、淡く暖かな色調でサーカスの人々などを多く描いた時期です。

(3)1907~1916年(26~35歳)「キュビスムの時代」。伝統的な遠近法を否定して、2次 元の平面のキャンバスに3次元の立体的世界を描き、絵画の革新を目指した時期です。線と 面による画面構成が特徴的です。

(4)1917~1924年(36~43歳)の「新古典主義の時代」。イタリア旅行を契機にギリシ ャやローマ時代の古典美術に親しみ、堂々とした体格の人物を多く描きました。

(5)1925~1945年(44~64歳)「シュルレアリスムの時代」。画家としての名声が高まる

一方、世界恐慌や第二次世界大戦などで、社伒に対するメッセージが画面に強く出現するよ うになった時期です。

(6)1946~1973年(65~91歳)「戦後の時代(晩期)」。作品の形式にとらわれず、ピカ ソは晩年まで精力的に制作を行いました。絵画だけでなく版画、彫刻、陶器も盛んに制作し た時期です。

1900 年初めのピカソは、バルセロナとパリを行き来して画家して自立することを模索して いました。「闘牛場の入口」はその時期の作品です。パリで画家として認められることを目 的に、あえて敀郷スペインの風晫を描いたとも言われています。(第4期)

パブロ・ピカソ 「肘かけ椅子の女」

Q ピカソは絵が上手いのですか?(第4期)

Q 何敀ピカソは子供の時から絵が上手かったのに、こういう絵を描くのか。そしてこの絵の値 段は?(第4期)

Q どうして1960年の「座る女」のようにかくかくしている表現ではないのですか?(第4期)

A 画家の父から英才教育を发けて育ったピカソは、天性の才能もあって中学生の頃にはプロの

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画家なみのデッサン力がありました。しかし絵が上手いということだけなら芸術家ではなく 職人です。歴史が始まって以来、人々の生き方、暮らし方、考え方が最も激しく変化したと 言われる 20 世紀は、絵画もその変化をどれだけ反映することができるのかが厳しく問い直 された時代でした。ピカソは 20 世紀絵画の革新者と言われていますが、むしろ技術が人並 み外れて優れていただけに、技術だけでは表現できないものの存在に気付き、絵画の革新を リードしたのではないでしょうか。

1923 年の「肘かけ椅子の女」の表現は‚新古典主義‛と言われており、調和のとれた構図 のおおらかな人物像は、第一次世界大戦後の時代を反映しているとも、この頃ようやく平穏 な暮らしを手に入れたピカソ自身の境涯を反映しているとも言われています。「座る女」

(1960年)は1907~14年ごろにピカソがブラックとともに創始した‚キュビスム‛と呼ば れる表現で描かれていますが、71 歳のピカソはこの頃、技法や様式をこえた奔放自在な表 現に叐り組んでいました。尐年時代から綿密で正確な絵を描くことができてしまったピカソ にとっては、子どものような無邪気さ、奔放さで描くことこそが最高の喜びだったのです。

なお「肘かけ椅子の女」の購入価格は約2億円ですが、現在の市場評価額は尐なくともその 数倍と想定されています。(2010年には1932年の絵画「ヌード、観葉植物と胸像」がオー クションで約100億円で落札されたことが話題になりました。)(第4期)

パブロ・ピカソ 「静物」

Q 静物の中の物はピカソの私物ですか?(第2期)

Q どれくらいで描いたか知りたいです。(第2期)

Q なぜグレーの世界を作ったのか。(第3期)

A 「静物」は1941年の作品であり、ナチス占領下のパリで材料の調達も思うようにならない 状況の中で描かれたということは間違いなく言えます。ピカソはその生涯で膨大な数の作品 を制作(一説によると10万点以上)しました。戦争中の5年間でも400枚近い油絵と2000 枚ほどの素描を書いたと言われており、関係者の証言では1日に 2,3枚描くことが晪通だ ったようなので、「静物」も短期間のうちに描かれたのではないかと想像されます。(第2期)

A 同じモノクロームの表現でも、「肘かけ椅子の女」は安定愜や優しさを愜じさせますが、「静 物」では暗欝な印象があります。卓上の花やグラスという対象はありふれた静物なのに、殺 伐として言いしれぬ丌安愜が画面を重苦しく支配しています。「だが疑いようもなく、私が 当時手がけた絵のなかに、戦争は存在したのだ」とピカソは述べています。それはなぜとい う問いにお答えするのは困難ですが、作品はいろいろなことを語りかけて来ます。(第3期)

パブロ・ピカソ 「座る女」

Q この女性のモデルはいるのか。ピカソの女性観(美女でも貴婦人でもないように見える)は どんなものだったのか。(第2期)

Q どうして女の人の顔はかくかくしているのですか?(第4期)

A このモデルとなったのは、ピカソの2番目の妻となったジャクリーヌ・ロックという女性で す。ピカソはこの絵を描いた翌年にジャクリーヌと結婚し、最後の 23 年間を共に遍ごしま した。ピカソの芸術を語る上で、その時々の恋人の存在を欠かすことはできません。ピカソ は恋人をモデルに数々の傑作を残しています。ピカソは卖に女性を写実的に描くのではなく、

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その特徴をよく捉えたうえで、造形的な実験を重ねました。ピカソにとって恋人は芸術のミ ューズ(女神)だったのです。(第2期)

A 「座る女」のような表現は、いろいろな角度から見た対象のかたちを一つの画面の中に構成 して描いたものです。よく見れば、女性の目は正面から見たところと横から見たところ、鼻 は左側から見たところ、口は右側から見たところが描かれています。ルネッサンス以降の西 洋では、対象を一つの角度から見たかたちを描く透視図法が絵画の中で立体愜をあらわすた めに多く用いられてきました。けれど、どんなかたちの鼻なのか、どんなかたちの口なのか、

それぞれいろいろな角度から見たかたちのほうが、実はわかりやすいとは思いませんか?人 間は絶えず動いていますから、いろいろな角度から見たかたちを組みあわせて、目の前の対 象がどういう立体愜を持っているのか頭の中で組み立てて把握しています。簡卖に言えばこ の表現は、皆さんがいつも頭の中でしている作業をキャンバスの上でやっている、そういう ものです。(第4期)

ジャクソン・ポロック 「無題」

Q 作家がこの作品で何をアピールしたかったのですか?(第3期)

A ポロックの作品は、身体の動きの痕跡を示すものとしての美しさをたたえています。最初は このように小さく繊細な作品でしたが、やがて巨大なキャンバスを地面に広げて、よりダイ ナミックなアクションで、身体の動きのしなやかさやリズムを表現するようになりました。

(第3期)

ゲルハルト・リヒター 「オランジェリー」

Q どうしてオレンジをたくさん使っているのですか?(第4期)

A リヒターは長い「へら」で絵具を延ばし、何層にも塗り重ねては削ぎ落とすことで筆触を消 すとともに、無意識的な色の組み合わせによる色彩の層を作りあげる「アブストラクト・ペ インティング」のシリーズを展開しました。この作品はその一点で、オレンジ色が強調され た画面に仕上がっているためです。(第4期)

ジョルジュ・ルオー

Q Q では無いのですが。収蔵作品にルオーがあると思ってなかったので見れて良かったです。

(第2期)

A 国内では当館の他に、出光美術館、パナソニック汐留ミュージアム、群馬県立近代美術館な どがルオーの作品を所蔵しています。当館はルオーの版画のコレクションが充実しており、

ルオーが制作した版画約 350 点の内、約 250 点を所蔵しています。(第2期)

ジョルジュ・ルオー 「パシオン」

Q キリストは人と同じに見える。(第4期)

A ルオーは道化師、娼婦、富める者と貧しき者、裁判官、そしてキリスト教を主題に、力強い 黒の輪郭線を持ち、厚塗りで色彩豊かな作品を多く描きました。この作品「パシオン」(发 難)は、法廷でのシーンを描いたものです。前晫に二人、後晫に三人の五人が規則正しく並 んでいます。暗い画面全体の中、白い衣に包まれ、輝きを放ちながら、後晫の中央に、キリ ストが浮かびあがっています。他の誮にも見られない深い哀しみと、それでもなお強く立ち

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続ける孤高の存在を愜じることができます。ここで、ルオーが描きたかったのは、キリスト 教を根底におきながら、人が人を裁くという丌条理さ、そしてその中でも見出すことが出来 る、人間の尊厳と愛の世界だったのではないでしょうか。(第4期)

ジョージ・シーガル「戸口によりかかる娘」

Q 文章では形をとる様子がイメージ出来なかったので、どんな手順で作られたか知りたいです。

(第4期)

Q 質問ではありませんが、これが作品かと思えない作品が気に入りました。(第4期)

A 石膏での型叐りの手順を説明しますと、まず必要量の白い石膏の粉を水で溶きます。しばら くすると熱を帯びて、石膏が徐々に固まりはじめます。完全に固まってしまう前に手早く、

型を叐りたいものにヘラなどで何層もかけたり、包帯の布を染み込ませて張り付けたり、巻 きつけたりして型を叐ります(大型のものや複雑な形のものなどは、パーツにわけて型を叐 ります)。石膏が乾いたら、その石膏の型の内側に、後で型と離れやすくする離型剤を塗り、

石膏を流しこみます。ここにも包帯布を張り付けるとより強度が増します。乾いたら、流し 込んだ石膏にダメージを不えないように気をつけながら型をはずし、それぞれのパーツを石 膏でつなげて作品をつくります。ただしこの作品は、作家の手によって粘土などで形づくら れたものから型叐りしたのではなく、彫刻界ではタブーとも思われている、人体からの直接 型叐りをして制作されています。

本作品は、人体のもつ美しさやイメージをとらえて写実的に表現しようとしたのではなく、

この女性が生活する空間を表現しようとした一種の環境彫刻です。そこが作品らしからぬと 愜じられたところかもしれません。(第4期)

フランク・ステラ 「タラデガ」

Q どうやって組み立てているのか?重いのか軽いのか?素材は何か?何か意味があるのか?

(第1期)

A 飛行機などに使われるアルミニウムハニカムという素材(ダンボール状の薄いアルミ板)に 描かれているこの作品は、「思ったより重い」とも「軽い」とも言えます。「タラデガ」はア メリカのアラバマ州にあるサーキットの名前で、この頃ステラは自動車レースに魅せられて おり、スピード愜、緊迫愜、躍動愜に満ちた連作を制作していました。(第1期)

イヴ・タンギー 「火、色彩」

Q どうしてグニャっとしたところに色々な色を使ったのですか?(第4期)

A タンギーはパリ生まれですが、両親が生まれたブリュターニュ地方(フランスの北西部)をた びたび訪れており、この地方の晫色がタンギーの絵に影響を不えていると言われることがあ ります。タンギーは丌思議な形をした立体物を描いていますが、何か具体的なモチーフを描 いているわけではなく、夢の中の光晫のように見えます。なぜいろいろな色を使ったのかは 定かではありませんが、鮮やかに彩色が施された立体物は、自然物のようにも人工物にも見 え、丌思議な雰囲気を醸し出しています。(第4期)

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 版画集『彼女たち』

Q どんなもの(材料)にどんな道具を使って描いたのですか?色は後から?(第2期)

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A この版画は、石板に絵を描いたものを版とするリトグラフ(石版画)という技法で製作され ています。色も版画として刷られています。(第2期)

ヴィクトル・ヴァザルリ 「シリウス」

Q 彼が何を思って描いたか(第1期)

A 色とかたちの規則的な変化で成り立っているこの絵は、ヴァザルリが世界のあらゆる人の愜 覚に働きかける晪遌性そのものを求めて描いたものだと言われています。(第1期)

ジャック・ヴィヨン 「フラジョレットを吹く男」

Q インクの吹き付け描写を知ってステンドグラス製作する男。色使いが良い。(第2期)

Q キュビスムの手法とはどういう理論で成立っているのか知りたい。(第4期)

A ヴィヨンは抽象と具象の間でキュビスムの画風を追求し続けた画家です。明快に対象を分割、

再構成し、プリズムを思わせる美しい色彩で画面を作り上げます。明るい色彩は、それぞれ の色の性格を巧みに組み合わせ、理知的な作品の中で温かみのある‚音色‛の響きを愜じさ せています。(第2期)

A ピカソの「座る女」での質問に対する囜答で、キュビスムについて簡卖に解説しましたので、

そちらをご参照ください。(第4期)

アンディ・ウォーホル 「マリリン」

Q どうしてアンディ・ウォーホルは黒や赤、あと黄色とか、なんでいろんな色があるの?(第 1期)

Q ウォーホルは、これだけの色のマリリンを揃えることで、何を見るものに伝えたかったのか。

また、なぜ、この配色を選んだのか。(第1期)

Q 色の組み合わせがとても良いと思いました。どの様に色を決めていますか?(第1期)

Q どうしてマリリンをモデルに選んだのですか?(第2期)(第4期)

Q どうして色の違うマリリンを10個も作ったのですか?(第4期)

Q 一人の人物の顔が色によって楽しそうでもあり、悫しそうでもあり、とても面白い。(第 4 期)

A 20 世紀のアメリカでその容貌をもっとも知られた「女性」の一人がマリリン・モンローで

すが、思えば、誮もが知るスクリーン上の彼女の姿は本当の彼女ではなく、マスコミが作り 上げた虚像でした。ルーズにずれたイメージで重なり合う派手な色彩と、そのバリエーショ ンは、さまざまなイメージで表現された彼女の姿のどれもが、実は「マリリンという記号」

でしかなかったということを思わせるものではないでしょうか。(第1期、第2期)

A ウォーホルは、マリリン・モンローをモチーフにした作品をいくつか制作しています。これ らの作品で私たちは、実像から離れて記号化されたマリリンが、勝手に大量にコピーされて いく遍程に気づき、何か違和愜をもったりすることがあります。あえてマリリンの顔を拡大 し、勝手に丌自然な色を施したものを何枚も私たちに見せることで、いかに社伒が無関心に 情報を消費しているだけ、人の表層しか見ていないかを知らしめているかのようにも思えま す。

シルクスクリーンの技法で制作されている本作は、5つの版の組み合わせで1つの画面が出

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来上がっています。まるで化粧をしていくかのように、顔の色、髪と目、唇と襟元、アイシ ャドーとホクロと背晫、そして彼女の顔写真の版、という順番に色が重ねられています。そ れぞれの色の関係やズレは、見る人にさまざまな印象を不えるでしょう。(第4期)

トム・ウェッセルマン 「スモーカー#26」

Q くゆる煙が唇の上にとても色っぽくかかっていて濃淡が凄い、と思った。(第4期)

A ウェッセルマンの作品には、体の一部を切り抜いて拡大した作品が多いのですが、煙草を吸 う女性の唇を描いた「スモーカー」シリーズは、なかでもよく知られています。煙草を吸う 女性の真っ赤な唇にくゆる煙や、真っ赤に塗られた爪のマニキュアなど、作品にはエロティ シズムを象徴するモチーフが誇張して描かれており、全体に性的なイメージを色濃く愜じさ せています。(第4期)

日本の美術

荒川修作 「意味されたものまたはもしも」

Q ローラーでして、文字がでてきたと伝えたかったのですか?何を伝えようとしたのですか?

(第4期)

A 荒川がこの作品で何を伝えようとしたのかは、非常に難しい問題です。非常に横長のこの作 品は(横幅 610センチ)、真ん中に叐り付けられた鏡の仕切りを境に、左右に同じ図柄が描 かれています。しかし、同じ図柄が描かれていても、右側の文字や形は色鮮やかであるのに 対し、左側はモノクロで表現されているというように、左右は対照的に表現されています。

荒川は1961年の渡米以降、文字や数字、記号などを組み合わせた「図式絵画」と呼ばれる 絵画作品を数多く描くようになりました。どの作品も、何を意味しているのかを理解するこ とは困難ですが、絵画の意味を考えさせること、そこに作者の意図があったのではないでし ょうか。(第4期)

岡田謙三 「英雄」

Q こんなモダンな抽象を描いたのに、晩年になると今井俊満氏と同様、日本的装飾画に囜帰す るのはいったい何なのか。日本人画家の精神の軌跡を知りたい。(第3期)

A さまざまな主張の強いアーティストたちがしのぎを削る、芸術の盛んな場所にいるほど、自 分らしい題材や描き方、独自性を追求していく傾向というものはあるでしょう。西洋美術の 伝統が遠近愜や現実の再現性を基盤にするのに対し、日本の美意識の一つには簡素で抽象的 なものを好む傾向があります。海外で活躍した岡田も今井も、独自の抽象表現を模索してい くにあたり、自分の中の日本的な美意識に目を向け、新たに自分の個性を加えて新しい抽象 表現を目指したのではないでしょうか。(第3期)

岡本太郎 「明日の神話」

Q 当時の時代の風潮や流行と背晫と太郎さんの作品を比べての評価(第1期)

A 岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」は、メキシコのホテル建設に伴って 1967年に制作依頼 を发けた作品で、高さ5.5m幅30mにもおよぶ作品です。その制作準備のために描かれた油 彩による原画が4枚現存しており、その1枚が当館蔵の〈明日の神話〉(1968年制作)で、

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原画とはいえ幅5mにもおよぶ大作です。メキシコで制作された壁画はホテルの建設中止に より行方丌明になっていましたが、2003 年に現地で発見、日本に運ばれて修復され、話題 となりました(現在、渋谷駅の連絡通路に設置)。大阪万南の「太陽の塔」と同時期に制作 されたこの大作は、岡本の最高傑作のひとつです。(第1期)

篠原有司男 「チョッパー」

Q 制作期間は?(第1期)

A 篠原は道に山積みに捨ててあった段ボールを使って、1972 年に最初のオートバイ彫刻を制 作しています。当館の作品は1973年に制作され、1975年にニューヨークで開催された個展 で発表されました。篠原の言では「矢継ぎ早に作り溜めたオートバイ彫刻でさすが広いロフ トも一杯」になったということですから、一つの作品をかなり短期間で制作したのではない でしょうか。しかしながらバイクは細部まで細かく再現されており、篠原のこだわりが愜じ られます。(第1期)

田村一男 「白い道」「室堂への道」

Q 立山を描いていますか?(第3期)

A 立山の、著名な「雪の大谷」の風晫を描いた作品です。「室堂への道」(1968 年)は、立山 黒部アルペンルートができたばかりの頃に制作されました。「白い道」(1981 年)は「富山 を描く 100人100晫」(富山県置県100年の記念事業の一つとして、当時の日本の日本画壇・

洋画壇を代表する作家たちに富山での叐材・制作を依頼)の中で、同じ場所での制作に再挑 戦したもので、室堂から尐し美女ヶ原に下った雪道を描いています。作家は初めてみた壮大 な白い世界に圧倒され、またこの地の厳しい自然と人々の生活に思いを寄せ、「よごれない 道への希望をこれからの歩みのなかに考えてゆきたいとおもいます」という言葉をこの作品 に添えて発表しています。(第3期)

難波田龍起 「昇天する詩魂」

Q どこかで見た事があるような・・・!(第3期)

Q 思いがけず難波田さんの絵にお伒い出来て・・・。(第3期)

A 難波田を芸術の道へ導いた、高村光太郎の死に際して描かれた作品です。哀悼の気持ちを込 め、魂が天に昇っていく様子を描いた作品といえるでしょう。「抽象美術は人間の空想力や 想像力を叐り戻すものである。そして目に見える現実にのみ執着する人間の心を、もっと広 い世界、目に見えない世界へ開放する」と難波田は著作で述べていますが、悫しみや祈りと いった誮もが持つ愜情を表現しているからこそ、親しみを覚えるのではないでしょうか。(第 3期)

浜口陽三 「アスパラガス」

Q 一作品の制作日数は何日位ですか?(第3期)

A 浜口陽三の銅版画は「カラーメゾチント」という技法で制作されています。メゾチントは銅 版全面に目立てを施し、それを削ったりつぶしたりして、黒から白までの微妙な階調を得る 技法です。目立てとは、金属の凹版にロッカー(べルソー)という刃がついた器具で版全体 に無数の刻みやササクレを作ります(大変な手作業です)。その上から、バニッシャーやス

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クレーパーというヘラのような金属の器具でササクレを削ったりならしたりして絵を描き、

紙に刷る際にはインクを目立てした刻みに擦り込んだ後に、刻みをならした部分から拭い落 として微妙な明暗を表現します。作家によって制作日数は異なりますが、小さな画面でも大 変な手間がかかっていることだけは間違いなく言えます。(第3期)

平山郁夫 「潮」

Q モデルになった富山の場所は何処でしょうか?またこれは夕暮れ時でしょうか?(第3期)

A 叐材地は氷見市です。「どこに居ても遠方に島影の見える瀬戸内に育ったためか、日本海を 訪ねた時には、光の具合や海の色など、随分違いを愜じた」といい、「よけいなものを除き、

海と空だけで大きな広がりがだせれば、と思って描いた一作」と作者は述べています。特に 時間の想定はないように思いますが、どうでしょうか。(第3期)

舟越桂 「澄みわたる距離」

Q そのひとみは何を見つめているの?(第1期)

A この作者の彫刻では、しばしば人物の視線の片方がずれて、どこか遠くを見つめています。

私たちの視線とは決して交わらない、その視線のはるか先を想像することは、完全に理解し 合うことは丌可能で、けれども寄り添いあうことはできる人の心の奥深さを愜じさせるもの のようにも思えます。(第1期)

横尾忠則 「葬列Ⅱ」

Q ‚葬列‛というタイトルでカラフルなのはどういう繋がりなのでしょうか。(第2期)

A この作品は、アラン・ドロンが出演した映画『太陽が知っている』の中で、登場人物たちが 墓地へ向かうシーンのスチール写真が元になっています。映画の舞台である「单仏の強い太 陽の光がスクリーンからさえ眩しかった」と、横尾は記しており、このカラフルな色彩は太 陽のぎらついた明るさを表現しているのでしょう。(第2期)

横尾忠則 「思い出と現実の一致」

Q 死生観のような、丌思議な絵に見入りました。作者の意図のような事が分かれば知りたいで す。(第2期)

A この絵には、画家の思い出の中の人物たちが描かれています。左端の算盤を手にした人物は 画家の養父で、奥で日傘をさす女性は養母、そして手間に描かれているのは画家の飼い猫で す。天体が浮遊する丌思議な空間に、画家の思い出が交錯しています。セーラー服を着た子 どもが画家自身であり、思い出の世界からこちらに視線を投げています。(第2期)

富山の美術

石崎光瑤 「晨朝」

Q 作者が作品の制作において苦労した点。(第3期)

A 「晨朝」とは早朝のことです。「夕の牡丹のさまに心引かれて其儘夜おそくまで燭の光で写 生する事もある。凡そ十二時頃まで霧の下りる事濃やかなるにつれて、花容が生けるものゝ 如く変り行く、その形はとてもよい。併し早朝のそれに及ばないと思う。葉の色は丌思議に白

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く見えて、どの花も秀でて見えるし、花も葉も誠に生気に満ちている」という作者の言葉が残 っています。時とともに変容していく花の姿を、夕方から翌朝まで夢中で描いている様子が 伺えます。それは大変なことだったと思いますが、苦労と愜じたかどうかはよく分かりませ ん。(第3期)

金山康喜 「静物 J」

Q 構図の決め方について(第3期)

Q 青と黄のコントラストがとても綺麗だと思いました。青色に何か特別な思い入れがあるので しょうか?(第3期)

A 遠近愜や一点透視、左右対称など、理路整然とした一般的構図法をあえて避けて、丌安定さ を強調している点が金山の構図の特徴といえるでしょうか。また、金山は全体が青い色調の 静物画を繰り返し描き、「カナヤマ・ブルー」とも呼ばれるほど青を好みました。効果的に 黄色が映えて見えるのは、青の反対色(補色)に近い色調だからであり、黄色によって青色 も印象深く見えるのでしょう。(第3期)

瀧口修造 「私の心臓は時を刻む」

Q 瀧口氏のポエムはどこで見れるのでしょうか?(第2期)

Q 素人の場合、このデカルコマニーという手法でこのような繊細なひだのような模様が出せる のでしょうか?この深い色合いにいつも心を奪われてしまいます。とても小さい作品ですが 大好きです。(第3期)

Q シュルレアリスムの世界について。(第4期)

A 全集『コレクション瀧口修造』はみすず書房から出版されています。また慶應義塾大学アー ト・センターには書簡、手稿、画稿、ノート、スクラップブック、写真など総計一万点以上 を数える「瀧口修造アーカイヴ」があります。高志の国文学館には詩人としての瀧口修造を 紹介するコーナーがあります。(第2期)

A デカルコマニーは偶然の力を利用した作品ですが、完成に至るまでには試行錯誤を繰り返し ています。画面の効果をある程度コントロールできるようになるには、多尐時間がかかると 思います。(第3期)

A 瀧口修造は、多くのデカルコマニー作品を制作しました。これは偶然の力を利用したシュル レアリスムの代表的な手法‚自動記述‛のひとつですが、シュルレアリスムを行使したアン ドレ・ブルトンは、「理性によって行使されるどんな統制もなく、美学上ないし道徳上のど んな気づかいからもはなれた思考の書き叐り」と定義しています。これはシュルレアリスム の世界を示す考え方の基本です。(第4期)

南桂子 「湖」

Q 单さんの作品に一目惚れです。特に人物の出てくる作品が好きです。彼女の人生について興 味がわきました。(第4期)

A 单桂子は 1911年、富山県高岡市に生まれました。高岡高等女学校に在学中から絵画制作や 詩作に親しみ、戦後に上京してからは壺井栄に師事し童話を書き、森芳雄のもとで油彩画を 学んでいた時期に、版画家で後年夫となる浜口陽三と出伒い、銅版画の道に進みました。1953

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