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南アジア研究 第20号 003南出 和余「「ブジナイ」にみる「子ども域」」

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「ブジナイ」にみ る 「子 ど も域 」

― バ ングラデシュ農村 社会 にお ける 「子 ども」 の日常―

南出和余

1  序論

本 論 文 は、バ ング ラデ シュ農 付社 会 で暮 らす 「子 ど も」 を対 象 に、彼 ら が 成長 と と もに社 会 で の立 場 や関係 、 行動 を変化 させ てい くプ ロセ ス を、 人類 学 的手法 に基 づ いて 、お とな と子 ども双 方 の視点 か ら捉 え る。そ の こ とに よって 、「子 ど も」1と い う概 念 を、社 会 的文 脈 に即 した 日常実 践 の な か で問 い直す こ とを 目的 とす る。社 会 的 な 「子 ども」 とい う立 場 は、 お と なが 「子 ども」 とい う存在 を ど う理 解 してい るか と、「子 ど も」 と され る 彼 ら自身が 日常生 活 を ど う生 きて いるか とい う両側 面 に よっ て成 り立 って い る もの と考 え る。筆 者 は これ を捉 える ため に、 「子 ども域 」 とい う新 た な概念 を導 入 した 。子 どもは成 長す る につ れ て徐 々 に行 動パ ター ンを変化 させ 、いず れ 「子 ども」で は な くなる。 これ に対 して 「子 ども」 に対 す る お となの理解 は ど う変化 す るの だ ろ うか。 こ うした子 ども とお とな双 方 の 視 点が 重 な る ところ に 「子 ども」 を捉 え るのが 本論 文 のね らい であ る。 行 為 者 としての子 ど もの実 践 と、お となの 「子 ども」 認識 とい う二 つ の 視 点 につ いて は、人類 学 だ けで な く社会 学 や発 達心理 学 に よる先行 研 究 を、 そ れ ぞ れ参 照 す る こ とが で きる。 まず、 行為 者 の実 践 に 関 して は、 ブ ル デ ュー に よるハ ビ トゥス の議論 が 「子 ども」 とい う対 象 に ど こまで適応 可 能か を検 討す る必 要が あ る。 ブル デュ ーは、個 人 の相 互行為 を捉 え る場 合 、 そ の背 景 にあ る社 会 関係 や 構造 の重 要 性 を指摘 した[ブ ル デ ュー1988: 93].ハ ビ トゥス とは 「社 会 の な か に構 造化 され た 関係 を個 人 の なか に内 執筆者紹介 み な み で か ず よ ● 日 本 学 術 振 興 会 特 別 研 究 員 文 化 人 類 学 ・2003 、 「開 発 過 程 に お け る 教 育 の 受 容― バ ン グ ラ デ シ ュ 農 村 社 会 を 事 例 に し て― 」、 「 ど も 社 会 研 究 』、9、73-88頁 。

・2005 ,"Children Going to Schools: School-Choice in a Bangladeshi Vllage",

Journal of the Japanese Association for South Asian Studies(「 南 ア ジ ァ 研 究 』),17, pp.174-200.

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面化 、構造 化 しなが ら、 また他 方、 そ の制約 の なか で無 限 に、 かつ 自由 に 実践 をつ ぎつ ぎと生 み だす」 もの とされ る[田 辺2003:86-87]。 ハ ビ トゥ ス獲 得の議論 に 関連 して、 レイヴ とウ ェ ンガー[1993]は 「正 統的周 辺参 加 」 の議論 を発 展 させ、 実践 知 の習得 や技術 の獲 得は行為 者 の相 互行為 と コ ミュニ テ ィ参加 に よって実 現 され る とし、それ までの 「状 況 的学習 」を 「参 加 」の概念 で捉 えなお して、学 習者(新 参者)が 実践 共 同体 の一 部 に関 わっ てい くプロセ ス を捉 え よう とした」[田 辺2003:20-21]。 こう した議 論 は、 子 どもが社 会 の なか で徐 々に他 者 との 関係 を築 きなが ら社会 の成員 となる 過程 を捉 え るには有効 で あ る。 しか し、これに加 えて留 意すべ きは「子 ども」 とい う対象 性 の 問題 にあ る.そ れ は ブル デ ュー の い う 「制約 」 を超 えて 、 子 ども とお となの 問 にある不連 続 性の問題 で あ る。 お となた ちは 「子 ども」 に対 して、 と きに特 別 な対 応 をす る。 その対 応 は、 同一 の個 人で あ って も 子 ど もがお となに なる とまった く異 なる もの に取 り替 え られ る。 また子 ど もの側 も、 「子 ど も」い う立場 での み展 開 され うる相 互行為 を経 験す る。 「子 ども」 の特殊 性 とい う課題 を克服 す るに は、後 者 の 「お とな に よる子 ども観 」とい う視 点 を考 慮 す る必 要 があ る。 ア リエス[1960]に よる 「『子 ども』 の誕 生 」の議 論 以来 、「子 ども」 をお とな社会 か ら一線 を画 した 「異 文化 」の存 在 と して、 その 内実 を捉 え る 「異文 化 としての子 ど も」 の議論 が発展 した 。 山口 昌男[1984:22]は 、 「子 どもはお とな とは異 質 の世界 で あ る」 と し、 「子 どもの世 界 は、 それ 自体 が 自己充足 的で 、決 してお と なへ の予 備段 階 で も何 で もない」と述べ る。 本 田和 子 もまた、子 ど もを 「異 文化 」 と してお となか ら切 り離 し、子 どもの内面 世界 か ら子 ども 自身 の も つ 文化 の解 読 を試 み た[本 田1982な ど]。 また、社 会 教 育学 者 の藤 本 浩 之 輔[1996]は 、 そ れ まで の 「子 ど ものた め にお となが つ くっ て与 え る 文化 」 と して の 「児 童文化 」 とは区別 して、子 ど も自身の文化 創造 とい う 視 点 を重視 し、 遊 び を中心 とした子 ども主体 の 「子 ど も文化 」 を提 唱 した. しか し 「異 文化 と して の子 ども」の議 論 は、子 ど も期が 「お となの予 備段 階で は ない」 として、子 ど もの独 自世 界 を重視 す るあ ま り、子 ども世 界 が お とな社会 といか に繋 が るか、 なぜ 断絶 して い るのか を考察 す る まで には 至 らない 。 以 上 の先行研 究 か ら本研 究 に残 され る課題 は、行 為 者 としての子 ど もの 日常 実践 を捉 え る にあ た って、 「子 ども」 であ る とい う特 殊性 を ど う考慮 す るか とい うこ とにあ る。 この特 殊性 には、 当該社 会 の お となた ちが 「子

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「ブジナイ」にみる 「子ども域」―バングラデシュ農村社会における 「子 ども」の日常― ど も」 を どの よ うに認識 して い るか とい う子 ど も観 が深 く関 わ ってお り、 子 ど もの行為 を捉 える と同時 に、 それ が どの よ うな環 境 で展 開 されて い る か を捉 え なけれ ば な らない.本 研 究 で は、 この 「子 ども」 をめ ぐる認識 と 実践 の呼 応 か ら、 「子 ども」 とい う存 在 の ダイ ナ ミズ ム を見 出 した い。 本 論文 で扱 うデー タは、 文化 人類 学 の手法 に基 づ き、バ ング ラデ シュ中 央 北 部 の ジ ャマ ル プー ル県 の 一農 村(N集 落)で2002年 か ら2004年 の 間 の約11ヶ 月 間 の フ ィー ル ドワー ク調査 に よっ て収 集 した。 主 な イ ン フ ォーマ ン トは、N集 落 に住 む子 ど もた ち と集 落 内 に あ るNGO運 営 の 小 学校 に通 う子 ど もた ちで あ る。N集 落 で は、 この小 学校 が で きた1992 年前 後 で教 育経験 に大 きな差 があ り、現 在学 校 に通 って い る子 ど もた ちの 親 の多 くは学 校 に通 った経 験 を もた ない。 なお 、筆者 は子 ど もの視 点 か ら 社 会 を捉 える こ とを重 視す るため に、農村 の一家庭 に疑似 家族 と して滞在 させ て もらい なが ら、 例 えば学校 の調査 で は、観 察者 や教 師 の立場 で はな く、 毎 日子 どもたち と席 を並 べ て勉 強す るス タイル を採 用 した. 本 論文 の構 成 は、 目的 と方法 を示 した本節 に続 き、 第2節 で まず 当該社 会 の子 ど も観 か ら確 認 す る.そ の方法 は、人 び との発話 の なか か ら 「子 ど も」 を示す 複数 の語 彙(名 称 と呼 称)に 着 目す る.使 われ る語彙 の段 階 的 な変化 や 、 さ らに彼 らが子 ど もに対 して頻 繁 に用 い る 「ブ ジナ イ(bbuji-nai)」 とい う言葉 か ら、 お とな たち の もつ 「子 ど も」 認識 を検 討す る。続 く第3節 で は、 実際 に子 ど もた ちが 日常生 活 を どの よ うに過 ご してい るか を、時 間 と空 間か ら具体 的 に記 述 す る。調査 方法 は、調査 者 に よる イメー ジ化 を で きる だ け避 け るた め に、 数人 の子 ど もの 、 あ る1日24時 間 を観 察記 録 した。 そ の なかで、彼 らが どこで、誰 と、 どの ような行動 を とって い るか を年齢 層や性 別 か ら比 較 し、 その緩 や か な変 化 と要 因 を捉 える。 第 4節 で は、子 ども とお となの対 人 関係 に注 目 し、彼 らの 日常生 活 の基 盤 を 築 い てい る社会 関係 を明 らか にす る.こ れ らを も とに、結論 でバ ング ラデ シ ュ農村 社 会 に見 られ る 「子 ど も域 」 につ い て考察 す る.

2「 子 ども」の総称にみる子 ども観

まず は、 当該社 会 の人 び とが 「子 ど も」 とい う存在 を どの よ うに認識 し て い るのか を捉 え るため に、調査 地 周辺 で 「子 ども」 を示 す と きに用 い ら れ る語彙 に着 目す る。 元来 「子 ど も」 には、 エ イジ ングの 一段 階 にあ る一

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過 性の 「子 ども」 と、 親子 関係 に基 づ く 「子 」の 両方 の意 味が あ る。後 者 の場 合 は、 その個 人が 成人 して も親 と子 の 関係 は一般 に保 た れ る。本論 文 が対 象 とす るの は前者 の一 過性 の 「子 ども」で あ る.当 該社 会 の言 語 はベ ンガ ル語 で あ るが、 地域 特有 の 方言 が 数多 く存 在 す る。 「子 ど も」 を示 す 言 葉 に も、 方言 が しば しば用 い られ る。先述 の ように筆者 は子 ど も と共 に 行 動す る なか で、子 ど もた ちが他者 か ら呼 ばれ る呼称(terms of address)、 あ るい は お となた ちが 会 話 の 中で用 い る名称(terms of reference)を 捉 えた 。そ のた め、収 集 した語 彙 に は調 査者 の位 置取 りや調査 時 の状 況が大 い に反映 され てい る と思 われ るが、 その こと を断 った うえで、筆 者 が捉 え た 限 り、 「子 ど も」 を意 味 す る言 葉 には 表1に 示 す12種 が 確 認 され た2。 これ ら各 語彙 の使 い分 け には 、子 どものふ る まいや お とな と子 ど もの 関係 の緩 や か な変 化 を捉 え るこ とがで きた. 表1「 子 ども」 を意味する言葉 調査に基づき筆者作成

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「ブジナイ」にみる 「子 ども域」一バングラデシュ農村社会における 「子ども」の日常− まず 、母 親や 母親 に準 じる保 護者 と常 に密 な関係 に ある乳児 期 の子 ど も に は、 「ギ ャ ンダ」 とい う言 葉 が よ く使 われ る。 生後 す ぐか ら母 乳 を離 れ る2歳 半 頃 まで の子 ど もが対 象 と なる。赤 ん坊 に対 して 直接 「ギ ャ ン ダ」 と呼 ぶ こ とは な く、人 び とは会 話 のな かで 「ギ ャ ンダ」 とい う名称 を用 い る。 「ギ ャ ンダ」 は当 該地 域 の方 言 であ るが 、 それ と まった く同 じ年 齢 幅 に使 わ れ る標準 語 はな い.標 準 語 で は乳 児 には 「シ シュ」 や 「バ ッチ ャ」 を用 い るが、 いず れ も 「ギ ャ ンダ」 よ り対 象年 齢幅 が広 い 。 次 に、常 に母 親 に密着 してい た時期 を脱 し、子 ども同士 の接触 を もつ よ うになる子 ど もた ちに対 しては 「ブ ナイ」 と呼 ぶ よ うにな る.ギ ャ ンダは 子 ど も同士 で活動 す る こ とはな いが、 ブ ナイ は子 ど も同士 の接 触 を もつ よ うに な り、 集 団4、5人 で 一緒 にい る ところ を見 か け る。 こ う した4、5人 の子 ど も集 団 に対 して 「ブナ イ」 と呼称 す る。例 えば、彼 ら彼 女 らが遊 び ふ ざけて い る と ころ に、身 近 なお となが 「こ ら、 ブナ イ1」 とか 、「ブ ナ イは邪魔 、 あ っち に行 きな さい1」 な どと答 め る様子 を 目にす る。お とな だ けで な く、 年上 の子 どもた ちか ら も 「ブナ イ」 と呼 ばれ る こ とが あ る。 お とな たち は仕事 中 はブ ナイ たち には構 わ ないが 、母 親 は常 に 目の届 く範 囲 にい て、 ブナ イた ち は5、6歳 にな って も時 ど き甘 えて母 乳 に親 しむ こ ともあ る. さ らに成 長す る につ れて、 子 どもたち は意識 的 な集 団 を形 成す るよ うに なる3。 そ う した子 ど もた ち を表 現 す る名 称 は、「ブナ イ」か ら「チ ェ レメ ェ」 へ と変 化 す る。 「チ ェ レ」 は男 子 を意 味 し、 「メェ」 は女 子 を意 味 す るが 、 総 じて示 す場 合 に 「チ ェ レメェ」 とい う。 と くに、小 学校 に通 う ように な る と、 学校 で子 どもた ちの こ とを 「チ ェ レメ ェ」 と表 現 す る こ とが多 い。 彼 らに は次第 に男女 の行 動 差が 表れ 、集 団遊 び におい て も女 子 と男 子が 別 集 団 を形成 す る よ うにな る.そ のた め、女 子 だけ でい る時 には 「メ ェ」「メェ ラ(複 数 形)」、 男子 だけ を指 す時 には 「チ ェ レ」 「チ ェ レ ラ」 とい う。 つ ま り、 この時期 か ら 「子 ど も」 に対 す る男 女 の識別 が は っ き りと示 され る よ うにな る。そ の こ とは また、子 ど もた ちの行動 範 囲の差 に も表 れ る。女 子 の行動 範 囲 は集落 内 に留 まるが 、男子 の行 動範 囲 は集 落外 や村外 に も広 が る.家 で の手伝 い も徐 々 に課 され るよ うに なる.し か し、 まだ それ ほ ど 家事 や仕 事 を期待 されて はい ない ため、 子 ども同士 で集 団 を形 成 して遊 ぶ 時 間は十 分 に確 保 され 、総 じて 「チ ェ レメ ェ」あ るい は 「チ ェ レラ」 「メ ェ ラ」 と言 われ る こ とも多 い 。

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中学 校 に行 く頃 に なる と子 ど も同士 で 自発 的 に群 が るこ とが な くな り、 子 ど もた ち は家庭 での家 事役 割 を求 め られ るよ うに なる。 この 時期 の子 ど もた ちに は集 団 を形 成す る姿 が ほ とん ど見 られな くなるた め、必 然 的 に総 じて呼 ば れ るこ と もな くな り、個 別 に 「チ ェ レ」 「メ ェ」 と呼 ばれ る。 「若 者 」 に相 当す る言葉 もない.そ の 背景 に は、そ もそ も青 年期 に あた る時期 は きわめ て短 いか無 い に等 しい状 況 が あ る。14、15歳 にな れ ば、女 子 の 場合 は結婚 す る者 も多 く、男 子 も経済 的役 割が 課 され た り、 将 来 を見 据 え る よ うに な る。 す なわ ち、個 々 の子 どもはそ れぞ れ異 な った状況 に組 み込 まれ、 そ れ までの よ うに共通 の単位 では捉 え る こ とが で きな くな る。 結婚 して生 家 を離 れ、婚 家集 団 に参 入 す る よ うに なる女 子 は、 その最 た る例 で あ る。 したが って、彼 らを総 じて捉 える名称 もな くな るので あ る。 こう した 「子 ども」表 現 の変 化 か らは、「子 ど も」 が た えず 変化 す る存 在 と して認 識 され てい る こ とが分 か る。そ れ は普遍 的 な時 間軸 を基準 と し た年 齢 に規 定 され る もので はな く、各 々の 立場 や行 動、 規範 の習 熟 か ら判 断 され る4。 で は、段 階 的 な認 識 の も とで、 「子 ども」へ の 認識 は 自然 とな くなっ て い くの だ ろ うか.「 お とな」と 「子 ども」を隔て る境界 は、単 にグ ラデ ー シ ョ ン的 な変化 の なかで のみ捉 え られ る もの なのか 。そ うでは ない。段 階的 な 「子 ど も」 認 識 とは別 に、 「子 ども」 を特 別視 す る要 素 と して 「ブ ジナ イ」 や 「プ ラパ ン」とい う言 葉 が用 い られ る.こ の 「ブ ジナ イ」や 「プ ラパ ン」 こそが 、 当該社会 の 「子 ど も」へ の特 別視 、つ ま り子 ども観 を示 してい る もの と筆 者 は考 え る5・そ もそ も 「ブ ジナイ」 とい う言 葉 は、「ブ ジ(bbuji: 理 解す る、分 か る)」 と 「ナ イ(nai:否 定)」 か ら成 る。 お とな たち は 「子 ど もはブ ジナ イ(分 か らない)か ら仕 方が ない 」 とい って、 子 ど もに対 し て お とな の社 会 規範 や 役 割期 待 か らの猶 予 を与 える。 また 、「プ ラパ ン」 とは息子 を示 す 「プ ラ」 の派生 語 で 「子 ども」 一般 を意 味す るが 、 と くに 「未熟 で あ る」 とい う意味合 い を含 ん で使 われ る こ とが多 く、「分 か って い ない」 とい う意 味の 「ブ ジナイ」 と同義的 に使 わ れる。例 えば、 子 どもが お となの意 にそ ぐわな い行 為 を して も 「プ ラパ ンだか ら許 して あげ て」 な ど とい う。 これ は比較 的年 上 の子 どもに も使 わ れ る。子 ど もた ちはそ こに 限定 付 きの あ る種 の 自由を得 る。そ して、子 どもの段 階的 な成 長過程 は、「ブ ジナ イ」 の状 態 か ら次 第 に 「ブ ジ」 を得 て、役 割 期待 が 課 され 「一人 前 」 にな ってい く過程 で もあ る。 ギ ャ ンダ、 ブナ イ、チ ェ レメ ェで は、そ れぞ

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「ブ ジナ イ」 に み る 「子 ども 域」 ― バ ング ラデ シ ュ農 村 社会 に お ける 「子 ども」 の 日常― れ要 求 され る 「ブ ジ」 の レベ ル は異 な り、子 ど もた ちは段 階 的 に 「ブ ジ」 を得 て い く。そ して 「ブ ジ」 を得 るにつ れ て、彼 らは 同時 に 「ブ ジナ イ」 として許 され てい た 自由 を失 うので ある.つ ま り 「ブ ジナ イ」 として猶予 され る 自由は一 過性 の もので 、そ の領域 は決 して一様 の もの では な く、徐 々 に減少 してい く。 これ ら解 釈 を図式 化 す る と、 図1の よ うに な る。 「子 ど も」 に与 え られ た 過 性 の猶 予 と、 その なか の段 階的 な認識 の もと、子 どもた ちは生活世 界 を築 き、徐 々に関係 や行 為 を規定 してい く。次 節 で は、子 どもた ちの 日 常生 活世 界 を具体 的 に記述 し、彼 らの時 空が こ うした子 ども観 と呼 応 して い るか を示す 。 3  行 為 者 と し て の 子 ど も 本節 で は、彼 らの生活 の 時空 を捉 え、行 為者 と して の 「子 ども」 の生 活 実践 を明 らか にす る.子 ど もの 日常生 活全 般 を捉 え、子 ど もの生 活世 界 が どの ように形成 されて い るか につい て詳細 に記 述 した研 究 は、筆 者 の知 る 限 り、バ ングラデ シ ュは も とよ り、 それ以 外 で もほ とん ど見 られ ない。 エ ス ノメ ソ ドロジー の研 究 で は、家 庭 や教 室 な ど生活 の 一場 面 を切 り取 り、 そ こで繰 り広 げ られ る相 互行 為 を観察 す る手法 が しば しば用 い られ る[清 図1 段 階的 に使 い分 け られ る 「子 ども」表 現 調査 に基づき筆者作成

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矢1994な ど]。 この 手法 は、 親子 や き ょうだ い、 友 人 関係 な ど、 あ る特 定 の関係 を理 解す るに は有 効 であ るが 、そ れぞ れの 関係 や行為 、場 が どの よ うに影響 し合 って い るか、 あ るい は、全体 の なか での各 行為 の 意味 につ い て は、調査 者 の イメー ジや解 釈 が先行 して しま う懸 念 が残 る。 そ こで筆 者 は、 子 どもの 生活 世 界 を包 括 的 に捉 え る ため に、数 人 の 子 ど もの1日 24時 間 の行 為 を、排 便 に要 す る時 間 か ら 「ポ ー ッ とす る」 時 間 まで 詳細 に記録 す るこ と を試 み た.対 象 と した子 どもは、N集 落 の一 つ のバ リ6に 住 む6歳 の女 子 、9歳 の男 子 、10歳 の女 子、16歳 の男 子 、18歳 の女子 で あ る.彼 らは同 じバ リ内で生 活す る父系 親 族 なの で、年 齢や 性別 間での行 動 範 囲や対 人 関係 の相異 を比 較す るの に有 効 であ る。 さらに比較 の ため に、 隣村(R村)の 家 に住 み込 みで働 く9歳 の女子 につ いて も同様 の調査 をお こなっ た。調 査 日はい ず れ も2004年8月 か ら9月 の間 の あ る1日 であ る。 6歳 女 子 に限 り2004年2月 にお こな った が、 結 果 的 に、 時期 の違 い に よ る差異 はそれ ほ ど見 られ なか った。 この調査 に は、 ケース の もつ特殊 性 の 課題 が残 る こ とは避 け られな い。 同年齢複 数 の子 ど もを対象 に、 よ り多 く の ケー ス を集 め る こ とで そ の問 題 をい くらか 回避 で きるの か も しれ ない. しか し、 そ れ には調査 の 限界が あ る こ と、 また筆 者 は、普 遍性 を追求 す る よ りむ しろ、そ こに示 され る特 殊性 とその意 味 を解 明す る こ との 方が 、彼 らの生活世 界 を よ り鮮 明 に捉 え得 る もの と考 える. 3-1 イ ンフ ォーマ ン トの子 ども たち の背景 対 象 と した子 どもの背 景 を簡 単 に述べ て お きたい 。 まず、住 み 込み で働 く9歳 女 子 を除 く5人 は、 同 じバ リ内 に住 んで い る。 このバ リの各 世 帯 は N集 落 で は平均 よ り若 干多 い土 地(1.5エ ー カー前 後)を もつ7専 業 農家 であ る。稲作 を専業 と し、野 菜 な ど も作 って い る。 米や 野菜 の余 剰分 を市 場 で売 る こ と も頻 繁 に あ る。6歳 女 子 と10歳 女 子 が 姉妹 で、9歳 男 子 と 16歳 男 子、18歳 女子 が 同世帯 に属 して い る。16歳 男 子 と18歳 女 子 は姉 弟 で 、9歳 男子 は彼 らの 甥(姉 の息 子)で あ る。 つ ま り9歳 男 子 は 、母 方 バ リで母 方 祖 父母 と叔母 叔 父 と一 緒 に生 活 して い る.両 親 と4歳 の妹 は、 N集 落 か ら南東 方 向 に約4km離 れ た村 に住 んで お り、 父親 は家 か ら近 い 市 場 で小規 模 な生活 雑貨 店 を営 んで い る。彼 が母 方バ リで 生活 す る理 由 は、 実家 の近 くに学校 が な く、母 方バ リで は歩 い て1分 の ところ に学 校 が あ る か らで ある。 バ ングラデ シュ のムス リム社 会 は父系 社 会 であ るが、 この よ

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「ブジナイ」にみる 「子ども域」―バ ンクラデシュ農村社会における 「子ども」の日常― うに子 どもが 両親 の もとを離 れて母 方バ リで生活 す るケ ース は珍 し くない。 6歳 女子 の場 合 も、北 へ2km離 れ た母方 バ リに、祖 父 母や叔 父 に連 れ られ て頻 繁 に出か け てい た。 子 ど もた ち の大 ま か な1日 の 流 れ を示 す 。 まず 、6歳 女 子 、9歳 男 子、 10歳 女 子 は、家 の 近 くのモ ス クで 開か れ る早 朝 コー ラ ン学校 か ら1日 が 始 ま る。 コー ラ ン学校 は朝6時 半 か ら7時 半 頃 まで の約1時 間お こな われ る.モ ス クは家 か ら見 える距離 にあ るので 、他 の子 どもたちが 集 ま ってい るの を確 認 して か ら行 くこ とが多 い。寝 坊 した り気 が 向 か ない時 に は休 む こ ともあ るが 、休 ん だか らとい って両親 や コー ラ ン学 校 の教 師が答 め るわ け で はな い.コ ー ラ ン学校 か ら戻 る と、朝 食 を摂 り、6歳 の女子 は学校 に 行 く。 調 査 当 時、6歳 女 子 はN集 落 内 のNGO学 校 の 幼 児 科(Feeder class)、9歳 男子 と10歳 女子 は同学 校 の小 学4年 生 に通 って い た。 学校 は 2交 代 制 で、 午前 中 に幼 児 科 と小 学1、2年 生 、 午 後 か ら3、4、5年 生 の ク ラス が行 われ る。幼 児科 の ク ラス は1時 間半(午 前8時 半 か ら10時)で 、 4年 生 の ク ラスは約3時 間半(午 後12時20分 か ら4時)で あ る。 次 に、16歳 男 子 と18歳 女 子 は、1992年 に 始 ま ったNGO学 校 の 第1 期 生 であ る。調 査 当時 、16歳 男子 は前年 にR村 の政 府系 中学 校 で10年 生 を卒業 しSSC試 験8を 受験 したが失 敗、 翌年 再度 受験 す るた め に 「コーチ ングセ ン ター9」 に通 っ てい る。学 校 は午 前9時 か ら1時 間 ほ どで あ る. 18歳 女 子 は、小 学校 卒 業後 、 中学校10年 生 まで修 了 したが 、SSC試 験 に 2度 失敗 し、明 言 は してい ない が教 育 を続 け る こ とは諦 め、調査 当時 は家 事 手伝 い を してい た。彼 女 の両親 は、教 育 を続 け る限 り結婚 させ るの を留 まっ てい たが、 調査 当 時 は彼 女 の結婚 相手 を探 してい て、 この1ヶ 月後 に はR村 の男 性 と結婚 した。N集 落 のNGO学 校1期 生 の女 子15人 の な か で彼女 の結 婚が 最後 だ った こ とか ら も、 この 頃 まで に大 半 の女子 が結 婚 を 迎 えてい る こ とが分 か る。 最後 に、R村 の家 で住 み込 み の使用 人 と して働 く9歳 女 子 は、調 査 の約 1ヶ 月 前 か らこの 家 で働 い てい る。 彼 女 はR村 か ら南 へ 約3km離 れ た村 の出 身で 、両親 が 離婚 した の ち母 と一 緒 に 母方 バ リへ移 り住 ん だが 、母 は 再 婚 して婚 出 し、彼 女 は母 方 バ リに残 され祖 父 母 と一 緒 に暮 ら してい た。 母 方バ リか ら小 学 校4年 生 まで通 った.母 が ダ ッカに働 きに出 そ う とした が、祖 母 が反対 し、 この家 に連 れ て きた 。彼女 の仕 事 に対す る報 酬 は、最 初 に祖 母 に渡 され 、そ の後 も定期 的 に祖母 が取 りに来 る。 その額 を筆 者 は

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把 握 して い ない。彼 女 が働 き出 して1週 間後 に母 が連 れ戻 しに来 たが 、翌 日には戻 って きた。 しか し本調査 の約3か 月後 には再 度母 親が 連 れ戻 しに 来た とい う。彼 女 が働 く家 は、 夫婦 と子 ど も7人 、夫 の姉 夫婦 で家 族 をな して いた 。7人 の子 ど もの うち、長 男 は海外 に出稼 ぎに行 っ てい て、 次男 は本調 査 の数 週 間後 に結婚 して妻 を迎 えて い る。娘2人 はす で に婚 出 して お り、 三男 と四男 、 末子 の三女 が この家 に残 ってい る。皆 彼女 よ り年 上 な ので、 そ れぞ れが手伝 い を命 じる。R村 内 に婚 出 した次女 が子 ど もを連 れ て頻繁 に実 家 を訪れ て は宿 泊 す るため 、彼女 はその子 ど もの世 話 をす る こ とが多 い。彼 女 の こ こで の生活 は、仕事 が多 い こと以外 は家族 とほ ぼ同様 の生活 を して いる。 6人 の子 ど もたち の1日 の行 動 を大 まか に分類 す る と、食 事 や睡 眠 、排 泄 な どの 「生理活 動 」、「学 校 」で過 ごす 時 間、遊 びな ど 自らの 「自由行 動 」、 そ して仕事 や手 伝 い な どの 「仕 事 時 間」 に分 け られ る10。これ らの行為 分 類 とそ の拘 束時 間が 、年齢 層 や性別 、立 場 に よって どの ように異 な ってい るか を比 較 し、 それ ぞれ の行動 か ら見 え る子 ど もの位 置づ け につ いて検 討 したい. 3-2  行 動の 変化 図2は 、子 ど もた ちの各 行為 を 「生 理活 動」 「自由行 動 」「学校 」「勉 強 」 「仕 事11」 に分 類 し、 それ ぞ れ の拘 束 時 間 を示 して い る。 紙 幅 の 制 約 上 、 各行 為 の詳細 を記 述す るこ とはで きな いが、 適宜 説 明 を加 える。 図2行 為 分 類 別 拘 束 時 間 の 比 較 1日 を60分 ×24時 間=1440分 として、行為別 の拘束 時間 を分 で示 した(グ ラフ内の 数字 は分) 調査 に基づき筆者作 成 62

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「ブジナイ」にみる 「子ども域」―バンクラデシュ農村社会における 「子 ども」の 日常― 生理 活動 は、6歳 女子 の睡 眠 時 間が他 の子 ど もよ り多 い ため に多 少長 い が 、 どの子 ども も1日 の4割 か ら5割 を 占め る。筆 者 が観 察 す る 限 り、 彼 らの生理 活動 におい て は、排泄 は当然 なが ら、水 浴 びや食 事 の時 間 も厳 し く管理 され て いる様子 は見 られ ない。朝 食 や昼食 は各 子 ども とも、 ほぼ同 じ時 間帯 に食 べ て はい るが、家 族 が揃 って食 べ るわ けで もな く、 また学校 の 時 間 も関係 す るた め、各 々が 自 らの都 合 に合 わせ て食べ る.夕 食 は家 族 揃 って食 べ る こ とが多 く、親 や家族 か ら指示 されて席 につ く。 当該社 会 で は、た いて いの家 庭 は夕食 は就 寝前 に摂 るのが習 慣 なの で、食 事が 済 む と 間 もな く就寝 す る。 つ ま り夕食 と就 寝 は 自然 と 一連 の生理 活動 をな し、 親 が子 ど もに 「も う寝 な さい」 な ど と指示 す る こ とは少 ない.こ の よ うに子 ど もの生 理活 動 の時 間 は、必須 の 時間 で はあ るが 厳 し く管 理 され てい るわ けで はない 。 子 ど も問 で違 いが もっ とも顕 著 に見 られ るの は、仕 事や 手伝 い に従事 す る時 間 で あ る.6歳 女 子 は22分 間 に過 ぎず 、母 の 傍 で半 ば遊 び で農 作 業 を一緒 にや った だ けで あ る。 それ に対 して10歳 の姉 には、2時 間20分 の 仕事 時 間が捉 え られ た。料 理 や水汲 み な ど母 親 の手伝 いが で きる ように な る と、女 子 はそ れ らを命 じ られ る ことが多 い。 さらに彼女 の場 合 、妹 の面 倒 を見 る こ と も役割 と して 課 され る.そ の点 、 同学年 の9歳 男 子 の仕事 時 間はそ の半 分 に も満 た ない。妹 が 一緒 に住 んで い ない こ とや 、前述 の通 り N集 落 のバ リは彼 に とって母 方バ リで あ り、祖 父 母 や叔母 叔父 か らあ ま り 仕事 が 課 され ない ため であ る.そ れ に対 して16歳 男 子 と18歳 女子 は、生 理 活動 を除 い た生 活 時 間の うち、仕 事 時 間が 大 半 を 占め る。18歳 女 子 の 場合 は家 事 手伝 い が彼 女 の 生活 の 中心 で あ り、16歳 男 子 も、勉 強 は む し ろ仕 事 の ない夜 の時 間 にす るな ど、仕事 中心 の生 活 であ る.こ の 頃 にな る と、家庭 の なかで 明確 な役 割 が示 され る。 参考 まで に、10歳 女子 と18歳 女 子 の 問 に位 置 す る 中学7年 生(13歳)の 女子(隣 のバ リ)に よる 自己 申告 での生 活 時 間調査12に よる と、仕 事 時 間は6時 間 に渡 っ た。 それ に対 して 同年 齢 男子 の場合 は2時 間45分 であ っ た。女 子 の 方 が男 子 よ り も家 事 手伝 い に費や す時 間 は多 く、比較 的早 くか ら役 割 が課 され る こ とが分 か る13。しか し、 子 どもた ちは こ う した役 割 を、 常 に親 か ら命 じられて い る わけで は ない。 む しろ彼 らは家 庭 にお け る 自らの役割 を徐 々に認識 し、 自 発 的 にお こな う ように なる。 次 に、仕事 の対 極 にあ る 「自由行 動 」 と して分 類 した 時間 に注 目したい 。

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役 割 が増 す につ れて 自由時 間 が減 少 す るの は必 然 で あ り、16歳 男 子 の場 合 に見 られ る ように、教 育 と労働 の両 立場 を もってい る と、 自由時 間 は激 減 す る。 さ らに、 自由行 動 の もち方 も、 各子 ど もに よっ て大 き く異 な る。 6歳 女子 には積 極 的遊 び行 動 が多 く見 られ、9歳 男 子や10歳 女子 の場 合 も 遊 び の時 間 は有 意 に確 保 されて い る。 仕事 時 間 と比 べ て も、彼 らの 自由行 動 の 時 間 は その2倍 以上 は確 保 されて い る。 そ れ に対 して、16歳 男 子 や 18歳 女子 の場 合 は、 自由行動 よ りも手伝 いが 占め る時 間の方 が 長 くな り、 自由行 動 の内容 も、積 極 的 な時 間 とい う よ りはむ しろ休 憩 の要素 が 強 くな る。 そ の こ とは、子 ど もた ちの 「ブ ラ ブ ラす る」 「ポ ー ッ とす る」 とい う 行 動 の意 味の相 異 に顕著 に表 れ てい る。 どの子 ど もた ちの行 為 に も 「ブ ラ ブ ラす る」「ポ ー ッ とす る」時 間が 頻繁 に見 られ た。彼 らは なん のた め に「ブ ラ ブラ」 「ポ ー ッ と」 して い るのだ ろ うか。筆 者が 観察 してい た限 りで は、 9歳 男子 や10歳 女子 が 「ブラブ ラす る」 の は、今 その ときにや りた い こ と、 や らな ければ な らない こ とが 見 当た らず、 バ リ周辺 や池 の ほ と りを衛 回し、 何 か お もしろ い もの はな いか 、お も しろい 出来 事 に遭 遇 しない だ ろ うか、 誰 か遊 ぶ相 手 はい ないか 、 と何 気 な く探 し回 って い る様 子 であ った.そ こ で何 か を見 つ け る と、 ブ ラ ブ ラす る行 為 は突 如 と して他 の行動 に変 わ る。 そ の ほ か10歳 女子 の 「ブ ラブ ラす る 」行為 は、 た とえば友 人 と一 緒 に話 を しなが ら集落 を 「ブ ラブ ラす る」 な ど、 そ れ 自体 が 一種 の遊 び を形 成 し てい る場合 が あ り、比 較 的長 く続 く。そ れ に対 して 、16歳 男子 や18歳 女 子 の 「ブ ラブ ラす る」 「ポ ー ッとす る」行 為 は、 仕事 の問 の休 憩 的要 素 が 強い.そ れ 自体 が 目的や 目的探索 行為 で はな く、仕 事や 勉 強の合 間 に断続 的 に確 保 され る。 この 「ブラブ ラす る」行 為 に象徴 され るよ うに、 自由行 動 と して捉 え られ た時 間の過 ご し方 は、子 ど も問 の段 階的 な相異 を顕 著 に 示 してい る。 で は、 「仕事 」 と 「自由行 動 」 の狭 間 で、学 校 や勉 強 の 時 間は どの よ う に解釈 す る こ とが で きるだ ろ うか14.例 え ば、 日本 で は学 校 に通 うこ とは 子 ど もの 「義務 」 であ り、 自由 度の少 ない時 間 とい う感 覚 があ る。 しか し、 当該社 会 の子 どもた ちを見 てい る と、 こ とに年 齢層 が下 が る ほ ど、通 学 は 自由行動 に近 い。 その根 拠 は、 「行 く気 が しな い」 とい う理 由で学 校 を休 んで も厳 し く答 め られ ない こ とや、反対 に、家 事手伝 いの ため に学校 を休 む こ とが 、 と くに農 繁 期 な どに は頻 繁 に見 られ る こ とにあ る.す なわ ち、 学 校 に行 くこ とは、「自由行 動 」 と同価 値 にあ る生 活 の一 部 に過 ぎず 、学 64

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「ブジナイ」 にみる 「子ども域」―バングラデシュ農村社会における 「子ども」の日常― 校 よ り必 要 とされ る仕 事が あ る状 況 で は簡単 に否 定 され る。 この ように、子 ど もた ち に とって 「遊 び 」 と 「仕事 」、 あ るい は 「自由」 と 「役 割(義 務)」 の境 界 は非常 にあ い まい であ る。 そ のあ い まい さの な か で 、「子 ども」 に許 され 得 る 自由 な時 間 は成 長 に つ れ て次 第 に減 少 し、 そ の意 味 も 「遊 び」 か ら 「休憩 」へ と変 化 し、彼 らに課 され る役割 期待 が 生 活 の中心 を占め る ように なっ てい く。 この年齢 層 に よる 自由時 間の 長 さ と内実 の相 異 が 、「子 ども」 の段 階的変 化 を表 して い る もの と考 え る。そ して、彼 らの時 間 とその 過 ご し方 が どの よ うに規定 され るか とい うこ とに、 子 ども と社会 の 関係 の動態 が示 され る.お となか ら直接教 え込 まれ るの で はな く、子 ど もた ち 自身 の選択 や 意思 が作用 す る余地 が あ り、そ の余地 こ そ が、 本論 文が 捉 える 「子 ども域 」で あ る.そ れが 「子 どもは 『ブ ジナ イ (分か らない)』 か ら仕方 が な い」 とい う認識 に よる こ とはす で に述べ た 。 そ れ は上記 で捉 え た 自由時 間だ けで な く、生 理活 動 や仕事 で あ って も、親 や お となが直 接 指示 す るわ けで な く子 ども 自らが選択 し行 動 す る点 に、「子 ど も域 」 を捉 える こ とが で きる。 この 日常 生活 の 時 間に示 され る 「子 ども域 」 は、使 用 人 として働 く9歳 女 子 の例 と照 らしあわせ る とさ らに明確 で あ る。彼女 の 生活 時 間は、 誰か に よっ て指示 され る仕 事 時 間が24時 間の 半分 以 上 を 占め、 自由行 動 の時 間は休 憩 のみで あ る。 ポー ッと した りブ ラブ ラ した りとい う時 間 もほ とん どな く、常 に役 割 に拘 束 され 、放 っ た らか しに され得 る余地 を もち あわせ てい な い。 同 じよ うに家事 が 生活 の 中心 で あ る18歳 女 子 と比べ て も、 そ の違 い は明 らかで あ る15。 3-3  生 活 空間 の相異 行為 内容 につ い て は、年齢 をお うご とに顕著 な違 いが 見 られ る こ とが分 か ったが 、次 にそ の行動 範 囲 につ い て検討 したい。 まず は、彼 らの うち使 用 人 と して働 く9歳 女子 を除 く5人 が暮 らすバ リ周 辺 の見 取 図 を図3に 示 す 。各 家族 には家屋 と台所が あ り、 同 じバ リ内で も家計 は それ ぞれ独 立 し てい て調 理 も別 で あ る.一 般 に、 典型 的 なバ リ は、「中庭 を 囲む ように し て各 家屋 と台所 が 配置 され 、人 び との相互 作用 、 ことに女性 た ちの や りと りが 中庭 で展 開 され る」が 、 このバ リの場 合 、 中庭 にあた る場 が家屋 群 の 東 側 に位 置 してい る。 この ように家屋 群 と庭 が向 かい合 って位置 す るバ リ は珍 し くない 。 この庭先 が 、洗濯 物 を干 した り、籾 や藁 を干 した り、人 び

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とが休 憩 した り井戸端 会 議 を した りす る場 となる。池 の ほ と りにあ る木の 下 に腰 をか け て、農作 業 や家事 の合 間に女性 や男 性 た ちが世 間話 をす る様 子 は頻 繁 に見 られた 。 ブナ イた ちが遊 ぶの も大 半 は この場 で あ る。子 ど も たち が 「ブ ラ ブ ラす る」「ポー ッ とす る」 場所 も、主 に この庭先 か ら池 の 周 辺で あ る. 各 活 動が お こな われ た場 所 を、狭 い順 か ら、各 子 どもの家屋 、 台所 、 同 バ リ内、バ リの近 辺(近 所)、N集 落 内、村 外(隣 村)、 学校 に分 け、 そ の 拘 束 時 間 を図4で 比 較 した16。まず、 睡 眠 を含 めた生 理 活動 の 時 間 に よっ て、家 屋 内 で過 ごす 時 間が 各子 どもの1日 の5割 か ら6割 を 占め る こ とか ら、彼 らの生活 の基 盤 をなす場 はや は り各家 屋 にあ る こ とが確 認 で きる。 また、9歳 男子 や10歳 女子 の場 合 は1日 の2割 強 の時 間 を学校 で過 ごす 。 家 屋 内 と学校 を差 し引 い たその他 の 時 間は、各 行動 に よってそ の場所 の 違 い は顕著 で あ る.台 所 で過 ごす時 間 は、6歳 女子 や9歳 男 子、16歳 男 子 図3バ リ周 辺 の見 取 り図

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「ブジナイ」にみる 「子ども域」―バングラデシュ農村社会における 「子ども」の日常― はほ ぼ同 じで、食 事 を摂 る時 がそ の時 間 とな り、彼 らに とって は生 理活 動 の場 で しか ない。 そ れ に対 して、10歳 女 子 や18歳 女子 は生 理活 動 だ けで な く、 台所 で料 理の 手伝 い をす る。そ の こ とに よって台所 で過 ごす 時 間が 増 し、18歳 女子 の場 合 は合 計 約4時 間半 もの 問、 台所 が 彼 女 の生 活 空 間 を占 める。女 子 の手伝 い の場 が台所 に集 中す るの に対 して、男 子 の場合 は、 畑 や市 場 な ど、手 伝 い を きっ かけ に集 落 外や村 外 へ と行 動範 囲 を広 げ る。 つ ま り、性別 に よって課 され る仕事 や役 割 は異 な り、 そ れ によっ て生活 空 間 や行動 範 囲 に も違 いが見 られ る ようにな る。 彼 らの行動 範 囲や生 活空 間 にお け る年 齢層 や男 女 間の相 異 は、彼 らの意 思 に よる 自由行動 よ りむ しろ 、年齢 が上 が る につ れ て次第 に課 され る役 割 や仕 事 内容 の相異 によっ て導か れ てい る。そ して、既 に明 らか に なっ た よ うに、子 ど もた ち に とっ て遊 び と仕事 の境 界 はあ い まいで あ り、遊 び と仕 事 は と きに混在 す る。 それ ゆ え仕 事 によっ て形成 される生 活範 囲 は、彼 ら が 自由時 間 を過 ごす場所 に も強 く影響 を及 ぼ してい る.自 由行動 が 積極 的 な遊 び か ら休 憩 的要素 が強 くな るこ とか ら、 その 時空 は役割 期待 に大 きく 左 右 され、結 果 として、年 齢層 や男女 間の違 いが もた らされて い る もの と 考 え られる。 図4行 動 範 囲 の 比 較 1日 を60分 ×24時 間=1440分 として、行為 別 の拘 束時 間を分で示 した(グ ラ フ内の数字 は分) 調査に基づき筆者作成

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4  広がる社会関係

第2節 で はお となに よる子 ど も観 に着 目し、そ こに段 階 的 な子 ども認 識 と、 「ブ ジナ イ」 とい う子 どもに特権 的 に与 え られ る猶予 の認識 が あ る こ と を確 認 した.そ して 第3節 で は、子 ど もた ちの 自由な時 空 が役割 期待 に よっ て徐 々に規 定 され てい く様 子 と、 そ こに残 される隙 間的 な領域 とあ い まい な 自由 に、 「子 ども域 」の 時空 を捉 え た。 で は、お となの 認識 と子 ど もの行 為 は、具体 的 に どの よ うな関係 の うち に展 開 されて い るのだ ろ うか。 本 節 では子 ど もの社 会 関係 を捉 える こ とに よって 、子 どもたちが 誰 との相 互 行為 を基 盤 として規範 を獲 得 して い るか を具 体 的 に示 す。 誰 と一緒 に過 ごす か は、前 節 の 「どこで過 ごす か」 とい う場 に大 き く関 係 す る こ とはい うまで もな く、大 まか にい えば、家 族 、バ リ、父 系親 族集 団、集 落 コ ミュニ テ ィへ と広 が る.さ らにそ の中 に、母系 親 族 との 関係 や 学 校 を通 じて知 り合 う他 村 の子 どもや教 師 との関係 が入 って くる。バ ング ラデ シ ュ農村 ムス リム社会 にお ける親 族名 称 につ いて は、 原忠 彦[1969] に詳 し く述 べ られ てい る。 その なか で原 は、親 族名 称 を捉 え る際 には集 落 形 態 の影響 を考慮す る必 要 があ る こ とを述 べ てい る。本 稿 は、子 ど もか ら 見 た 親 族関係 に焦点 をあて 、 また十分 で は ないが 原の指 摘 に従 っ て、子 ど もたちが 日常生 活 を送 る空 間 との兼 ね合 いか ら関係 を捉 え よう とす る. まず、 年齢 ごとに関係 を捉 える と、ギ ャンダや ブ ナイが最 も多 くの時 間 接 す る相 手 は母 親 で あ る。3節 で 対象 と した6歳 女 子 の場 合 、 最低 で も1 時 間 に一 度 は必 ず母 親 の傍 に行 くか、母 親 と行 動 を共 に して い る。9歳 男 子 の場 合 は母 方バ リで 生活 してい るた め、母 方祖 父母 が両 親 の役 割 をつ と め る。10歳 女 子 は、両 親 か らの擁 護 だけ で な く、母 親 の手 伝 い や妹 の 面 倒 をみ る とい う役 割 で も家 族 の なかで の位 置 を しめ る.18歳 女子 や16歳 男子 の場 合 、役 割 期待 が さ らに増す 。 ただ単 に 「誰 と過 ごす か」 とい う事 実 か らい えば、6歳 女 子 と同様 に18歳 女 子 も母 親 と場 を共有 す る時 間が1 日の多 くを占め る。 しか し彼女 の場 合 は、母 親 の手伝 い をす る こ とが 主 な の で、 ただ母 親 の擁護 を受 け るの とは明 らか に異 なる。 この母 親 との 関 わ りに象徴 され る ように、 子 ど もた ち は家族 の な かで 、 「擁 護 され る」存 在 か ら、次 第 に役割 を もつ存 在へ と関係 をず らしてい く。 この変 化 を、 お と なか らの関 わ りに当 ては めて み る と、密 に世 話 を しなけ れば な らない ギ ャ ンダか ら、少 し手 が離 れ る ブナイ、 さ らに男 女 に よって養 育 のあ り方 が異 68

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「ブ ジナ イ」 にみ る 「子 ども 域」― バ ング ラデ シ ュ農 村 社会 に お ける 「子 ども」 の 日 常― な り、相応 の役 割 を命 じ得 るチ ェ レメ ェ と、 関 わ り方 の変化 に即 して認 識 も変化 して いる。 両 親 と子 どもか らなる家族 の 次 に関係 が広 が るのがバ リであ る。バ リは 父 系 親 族集 団 に よって形 成 され てい るた め、子 ど もた ちが 日常生 活 の なか で接す る他 者 は父方 親族 が 中心 となる。子 ど もた ち はかな り早 い時期 か ら そ れ ぞれ の親戚 と自分 の 関係 を、 呼称 に よって理 解 して い る17。興 味 深 い のは、 そ れぞ れの呼 称 は子 どもか ら各 親族 へ の一方 向 では な く、 関係 に対 して双 方か ら使 わ れ るこ とであ る。例 え ば、子 ど もは母 親 の こ とを 「ア ン マ(amma)/マ(ma)」 と呼 ぶ が、 母 親 もま た我 が子 に対 して、 女児 に は 「マ 」、男 児 に は 「ババ(baba)」 と愛 情 を込 めて呼 ぶ.と くに子 ど もが 幼 い時 に は双方 か らの 呼称 が用 い られ、 関係 を教 え る18。さ らに、子 ど も に対 して第 三者 につ い て話す と きには 「トマ ル(tomar:あ なた の)誰 々」 と、あ えて子 ど もか ら見 た関係 名称 を用 い る。子 ど もた ち は徐 々に他者 と の 関係 を理解 し、 親族 におけ る 自 らの位 置 を身 につ けて い く.さ らに、バ リでの 関係 は、子 ど もの成 長 に と もな ってバ リを越 えた父系 親 族集 団 、 さ らには集 落へ と広 が る。子 ど もた ちは 自 ら と各人 の 関係 を呼称 に よっ て正 確 に呼 び分 けて い る。父 親 の直系 の兄弟(オ ジ19)で な くて も父 親 と同 じ 世 代 の父 方親族 には父 方 オジ に対 す る呼称(名 称 も同 じ)「 ジェ タ(jbeta: 伯 父)」 や 「カ カ(kaka:叔 父)」 と呼 ぶ。 さ らに、 血縁 関係 が な くて も、 父 や母 と友 人 関係 を結 んで いた り、親 と同世代 の近 隣住 民 に対 して は、 父 や母 の兄 弟姉 妹 と仮 定 し、そ れ ぞれ 親族 名 で呼 称 す る。 こ う した 関係 は、 当該社 会 で は きわめ て頻 繁 に見 られ る20。 しか し関係 の詳 細 を突 きつ め て 尋 ね る と、 子 どもたち はそ れが 直系 のオ ジオバ な のか、 集落社 会 関係 に基 づ い た擬 似 関係 なの か を正確 に理解 して いる21。 で は、子 ども同士 の対 人関係 につい て は どうだ ろ うか 。子 どもた ちが 自 由行 動 を共 にす る相 手 に注 目す る と、6歳 女 子 の場 合、 バ リ内 か近 辺 のバ リに住 む同年 齢層 の子 ど もた ちが大 半 で、男 女 の区別 は見 られ ない。 それ に対 して9歳 男 子 や10歳 女子 で は遊 び相 手 に顕 著 な違 いが見 られた。9歳 男子 は集 落 内 に住 む 同学年 同年齢 層 の 男子 と遊 ぶ こ とが多 いが 、10歳 女 子 の場 合 はバ リ内 やバ リ近辺 の女 子 と遊 ぶ こ とが多 く、年齢 層 に はば らつ きが あ る。バ リ内 で彼 らが年 下 の子 どもた ち と一緒 に男 女入 り混 じって遊 ぶ こ とは あ るが 、 同年齢 層 だけ で遊 ぶ場合 や年 上 の者 と一緒 に遊 ぶ場 合 は、 男 女が 別集 団 で行動 す る。バ リ近 辺 での遊 び相 手 を見 る限 りで は、彼 らが

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接す る同世代 の他 者 は、上 記 に記 した親 族 内や あ るい はそれ を発展 させ た 集 落内 の関係 の うちで捉 え得 る。 しか し、バ リ内で兄 弟姉 妹 同然 に 日常 の 関係 を もってい て も、 きょうだい とイ トコで、 い ざ とい うと きには子 ど も た ち の 問 に もはっ き りと した線 引 きがあ る。 た とえば子 どもた ちの 問で 、 イ トコに対 して 「それ は うちのサ トウキ ビだ」 な どと指摘 しあ う様 子も見 られ た22。 彼 らが 唯一 日常生 活 の なかで家 族 や親族 以外 の他 者 と交 わ り、親 族の 網 の 目か ら脱 す る のが学 校 で あ る。 あ るい は16歳 男子 の よ うに、市 場 で 親 族 以外 の他 者 と出会 う ことがあ る.そ こで は生得 的 な親族 関係 とは別 に 自 ら関係 を築 く。 しか し、 同集 落 の学校 で は親族 関係 にあ る者 同士 も多 く、 と きに子 ど もた ちは 、学校 で築 か れ る友 人 関係 を集落 内 での社 会 関係 に当 て はめ て解釈 し、 友人 が擬似 的イ トコ となる こ とも珍 し くない. また 、当該 社会 の子 ど もに とって、 日常生 活 の場 を超 えて 、母方 親 族 は 重要 で あ り、子 どもの頃 は と くに母 方親 族 との接 触 は多 い.と くに母 方 オ ジ(MB)は 、 子 どもの成 長 にお け る特 別 な存 在 とされ る23。子 どもた ち は母 方 バ リ を母 方 オジのバ リ 「マ マ ルバ リ(mamar bari)」とい って親 しみ 、 訪 問す る の を非常 に楽 しみ に して い る.母 方 オジ の存 在 は、 ベ ンガル地方 に伝 わ る子 ども向け の詩 な どに も頻繁 に登 場 す る24。こ うして子 ど もた ち は、 日常接 す る以外 の親 族 とも早 い 時期 か ら関係 を結 ぶ。

5  結論

以 上、 本稿 で は子 どもの 日常 生活世 界 を、 お とな に よる子 ども観 と行 為 者 としての子 ど もの実践 の双方 か ら捉 え るこ とを試 みた 。そ こ には、合 い 重 な る段 階 的 な変 化 と、 お となの規 範 と子 どもの行為 のず れ を吸収 し うる ク ッシ ョンの よ うな、「ブ ジナイ」 とい う猶 予域 を捉 え る こ とが で きた. 子 どもの 日常実 践 を詳 細 に捉 える こ とで、 同 じ空 間 を共 有 しなが ら も、 そ の 占有 時 間や 空 間は年 齢層 や性 別 に よって徐 々 に変化 してい る こ とが示 され た。 その段 階 的変化 を促 す基 盤 は、バ リを中心 と した親 族 関係 にあ る。 そ して子 どもたち の位置 を段 階 的 に変 化 させ る主要 因 の一つ は、家庭 で の 手伝 い な ど役割 期待 にあ り、家庭 におけ る役割 が 課 され るにつ れて 、男女 の役割 の違 い や、仕 事 内容 に と もな う行動 範 囲の違 い が現 れて くる.そ れ が第2節 で捉 えた お とな の段 階 的 な子 ども認 識 と矛 盾す る ことな く捉 え ら

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「ブジナイ」 にみる 「子ども域」―バングラデシュ農村社会 における 「子 ども」の日常― れ るの は、 む しろ 自然 な こ と とい える だろ う。 しか しそ れは、 決 してお となに よる意 識的 な働 きか けが 強 く作 用 して い る わけ で はな い.お となか らの働 きか け を捉 え る とす れ ば、 「子 ど も」 に 対 して用 い られ る段 階 的呼称 や、 親 族 を基 準 とした関係 の理 解 を共有 す る 双 方 向か らの親 族呼 称 に捉 え られる くらいで ある。 そ う した緩 や か な働 き か けが 子 どもの生活 世界 に反 映 され得 るの は、 お とな と子 ど もの生 活 空 間 の 「近 しさ」で あ り、お とな と子 どもの頻繁 な相 互行 為が そ れ を促 してい る.そ の なかで子 ど もた ち 自 ら 「ブ ジ」 を得 て 、役 割 や行 動規 範 を実践 し、 関係 の なか に 自 らを位 置づ け る.し か し当然 の こ となが ら、常 に子 ど もが 当該社 会 のお となが描 くとお りに役 割や規 範 を獲 得 し、全 て を正 し く理解 して い るわ けで はない 。お となの側 も、 それ を強 く期待 して はお らず 、 む しろ 「ブ ジナ イ(分 か らない)」 とい う子 ども認 識 に示 され る よ うに、 お となは子 ど もに対 して放 っ た らか しの猶 予 領域 を残 す.こ の 「ブ ジナ イ」 とい う猶予 が あ るか ら こそ 、子 どもたち は能動 的 に行動 し、反 って 「ブ ジ」 を得 よ う とす る。 言 い換 える な らば、 「子 ど もは ブ ジナ イ(分 か らない) か ら仕 方が な い」 とい う認識 は、 お とな たち に とって未熟 な者 を受 け入 れ る装置 とな り、 一方子 どもたち に とって は 「ブジナ イ」 とされ る ことが失 敗 を恐 れず行 為思 考 で きる、 あ るい は 「子 ども」 と して の 自由 を獲 得す る 装置 なので あ る。そ して 、 この ク ッシ ョンの機能 を果 た しなが ら両 者 を繋 い でい る領域 は 、お となか ら課 される役 割期待 と子 ども自 らの 「ブ ジ」 の 自覚 に よっ て、そ の柔軟 性 を徐 々 に減 少 させ てい く。 こう した お とな と子 ど もの交 渉空 間、双 方 か らの働 きか け とせ め ぎあ いの 過 程 に現 れ るク ッ シ ョンこそが 「子 ども」 とい う存 在 を特徴 づ け る もの であ り、本 論文 が捉 え よ うと した 「子 ども域 」 であ る。本 論文 で は紙幅 の 関係 で、お とな と子 どもの交渉 の詳細 や 、子 ど も問 での 「ブ ジ」獲得 の詳細 につ い ては論 じる こ とが で きな かっ たが、 「子 ども域 」が そ の舞台 とな るこ とは確 かで ある。 これ を確 た る 「子 ども観 」 で はな く 「子 ども域 」 と呼 ぶの は、 それが 意 識 して積 極 的 に保 た れ る もの で はな く、残余 で あ り、かつ 常 に可変 的 だか らであ る。 ゆ えに、 どの子 ど もに も同様 の 「子 ども域 」が用 意 され てい る わ けで はな い。子 ど もに対 す る 「ブジナ イ」とい う認識 は、バ ング ラデ シュ のか な り広 い範 囲 で共 有 され て い るの で はな いか と筆者 は見 てお り、「子 ども域 」 が 「ブ ジナ イ」 を基盤 と してい る とい う主 張 に は揺 る ぎが ない 。 しか し、 その猶予(ク ッシ ョン)が 機 能す るあ り方 は、子 どもの 置か れて

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いる状況 に よって異 な るので あ る。本稿 で は、N集 落の 一つ のバ リとい う か な り限定 したなか で、 年齢 段階 別 に よって変化 す る 「子 ども域 」 を捉 え たが 、別 の軸25を用 い れ ば、異 な る 「子 ど も域 」 の様 相 を捉 え る こ とが で きるだ ろ う。そ れ を今後 の課題 として、 「子 ど も域 」 の概 念 を よ り確 立 し てい きた い。 註 1 本 論 文 で は、概念的に 「子ども」を述べ るときに括弧つ きで 「子ども」と記述 し、個々の行為主 体 を意 味 する ときは括 弧 を付 けず に記 述 する。 2 バ ング ラデ シュ ・ムス リム社 会 のベ ンガル 語 の語 彙へ の注 目か らライフサイクル を捉 えた研 究 に、高 田[1998]が ある。高 田の研 究 で は、M.H.Rahamn[1993]の 文献 に基 づい て、人 生 に おける年 齢 区分 を示 す 言 葉 と、そ れ ら語 彙 の もつ ニ ュア ンスか ら、人び との人 生 観 や、さら にそ の男 女 の相 違 を捉 え ようとして い る。そ こで紹 介 されて い る語 彙 と筆 者 が 調 査 の な かで 捉 え た語 彙 は、重 なる もの もあれ ば、ず れ るもの もあ る。そ の理 由は 、地 域 差 が 大 きい ことに 加 えて、本 論 文 におい ては ライフサイクル(加 齢)の 一 部 であ る 「子 ど も」に限 定 し、そ の内 側 に注 目したこ と、また、どちらか と言 えば 呼称(terms of address)に 重 きを置 いて、関係 性 の な か で用い られ る語 彙 を重 視 したか らと思 わ れ る。 3 ブナイも集 団遊 び をす るが 、構成員は意識的に選別されるわけではない。 4 当該 社 会で は誕 生 日や 年齢 を記 憶 す る習慣 が な い。ゆえに時 間軸 に沿 った 年 齢 を正 確 に言 え る者 は農 村 で は限 られてい る。子 ど もの 年齢 につい て も 「誰 々より先 に生 まれ た」な ど相 対 的 に確 認 され るくらいであ る。本 論 文 中 で用 いる子 どもの年 齢 は、そ うした相 対 的 な年 齢 か ら筆 者 が割 り出 した 年 齢 で ある。年 齢 把 握 の不 明確 さにつ いて は高 田[1998]で も述 べ られて い る。 5 そ もそ も当該 社 会 における 「ブ ジ」の概 念 に は、各立場に基づいた程 よい度合いが存在するも の と筆 者 は捉 えて いる。それ ゆ え、立場 以 上 に理 解 してい た り、あ るいはそ れ を言 葉 に発 した り、主 張 した りす れ ば、 「ベ シブ ジ(besbi-bbuji:分か り過 ぎる)」といって批 判 の対 象 となる。 つ まり 「ブジ」と 「ブジナイ」は相 関関係 を成 しなが ら、実 質 的 な 「分 か らない」とい う意 味 とは 別 に、そ の 度合 い が 社 会 にお けるポ ジ シ ョンを示 して いる。 「ブジナ イ」と 「ブ ジ」をめ ぐる社 会 的 位 置 は、子 ど もや年 齢 に限 らず、ジェ ンダー 関係 や、時 には社 会 的 階層 などに も用 い られ る。そ の意 味 で は 「ブ ジナイ」こそ 当該 社 会 の 子 ど も観 を示 して いる とい う筆 者 の主 張 は矛 盾 して いる ように も見 える。しか し、 「子 ども」とい うの が 一過 性 の 未 成熟 期 で ある とい う前 提 に 立 ち 、そ うした未 成 熟 な人 間 に対 して どの ように接 す るか とい う点 か らは、 「ブ ジナイ」が 「子 ども」に象 徴 的 に使 わ れ ると捉 えることが で きる。 6 バ リとは屋 敷 地 が単 数 な いし複 数 集 まって構 成 されてお り、構成世帯は父系親族集団の最少 血 縁 関 係 に ある場 合 が 多 い。居 住 単 位 としてのバ リは、家 屋 をさす 場 合 もあれ ば、そ れ を構 成す る世 帯 集合 を意 味 することもあ る。 7 所有 地 と 「ボ ンド(bandbak)」 と呼 ばれ る担 保 地 の組 み合 わせ 。ボンドとは、現金 を貸 す代わ

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「ブジ ナイ 」 に みる 「子 ども域 」 一バ ング ラデ シ ュ農 村社 会 にお け る 「子 ど も」 の 日常一

りに土 地 を担 保 として預 か り、そ の間 自 らの土 地 と同様 に使 用 で きるシステム。借 金 が 返 され る と同時 に土地 は返 却 する。近年 で は海 外 に出稼 ぎに出 る者 が、支 度 金 のた めに借 金 す ると 同時 に不在 中の土 地 を貸 す理 由 か ら、ボ ンドを利用 す るケース も多 い。

8 Secondary School Certificate(中等 教 育修了資格)の 略。全 国 一斉 の試 験 で、毎 年3月 に実 施 され る。これ に合格 しなけ れ ば後期 中等 教 育(カ レッジ)に 進 学 で きない。 9中 学 校 の 隣 で、中学校 の元教 師や大学卒業者 が開いている私塾。現役の中学生や卒業生で SSC未 合 格 者 が 通 う。月謝 は、6-8年 生 は200タ カ(=約400円 、2004年 現在)、9.10年 生 と 卒 業 生 は300タ カ(=約600円)で あ る。 10 この 分 類 の根 拠 は、一つには意志(決 定)の 所在 にあるが、それが極めてあいまいであること も後 述 す る。 11 ここで は 「仕 事」の分 類 に、使用人としての労働 も、家事お手伝いも含める。 12 試 み として、小学5年 生や中学生数人に対 して、自らの生活時間を記録することを頼んでみた が 、排 泄 な ど生 理 活 動 や 、消 極 的 な 自由行 動 につ い ての 意識 的 な記 録 が見 られ なか ったの で、資 料 としては採 用 しなか った. 13 女子 の方 が 早 くか ら家事 手伝 いに仕 込 まれ るとい う状 況 は、原の調査でも捉えられている。さ らに原 は 「女 の子 が 自由 な時 間 をす ごせ るの は、まず5歳 くらい まで と思 って いい」とまで言 及 してい る[原1986:348]。 14 「学 校 」と 「労 働」の関係 について は、主 に開発の議論 のなかで、「学校に通 う(Schooling) 時 間 が 子 ど もを労 働 か ら回 避 させ る」とい う文 脈 が しば しば 用 い られ る。Ravallionと Wodon[2000]は 、バ ング ラデ シュ の小 学 校 で 政 府 が 実 施 す る食 糧 供 給 プ ログラム(Food For Education)を め ぐって、とくに貧 困層 の保 護 者 た ちは、子 どもを学 校 に通 わせ ることで得 られ る具体 的利 益 と労 働 させ ることで 得 られ る収 入 を天 秤 にか け、学 校 の金 銭 的価 値 を見 出 して い ることを指摘 した 。しか し実 際 には子 ど もが通 学 に費 やす 時 間 は、労 働 時 問で はな く、 もともとの 自由 時間 か らシフトされてい るとして、子 どもの 通学 と 「楽 しみ(leisure)」の 相互 関 係 を数 値 的 に論 じて い る。 15 筆 者 は、使用人の女 の子の 日常が明確 な役割に拘束されているか らと言って、「子 ども」とし て 認 め られて い ない と言 って い るわけ で は ない。彼 女 にお とな と同 等 の仕 事 が 課 されて い る わけ で は ない し、彼 女 が 失 敗 を犯 した際 にはや は り 「ブジ ナイ」 「プラパ ン」として 許 され 得 る。この場 合 も、やは り彼 女 は 「ブ ジナイ」とい う余 地 の もとに 自らの段 階的 な成 長 を築 いてい くの だ が、そ の場 合 の 「子 ども域 」は 日常 の 時 間の 過 ご し方云 々に よって測 られ るもの で はな く、む しろ 「仕 事 能力」とい った 側面 か ら捉 えるべ きだろう。役 割 が す で に明確 な子 どもの 「子 ども域 」について は、別 の機 会 に論 じることとしたい。 16 9歳 男 子 は母方 バ リで生 活 してい るた め、本統計 に示される生活空間は、本人のバ リではな く、母 方バ リを基 準 とした 空 間を示 す。9歳女 子 も自らの 家屋 やバ リで はな く、住 み込 みで の働 き先 を指 す。 17 原[1969]の 例 で も指摘 されてい るように、本稿の調査 地においても、terms of reference(名 称)とterms of address(呼 称)の 区 分 は十分 では ない。原 はとくにそ れが 「近 しさ」の もとで頻 繁 に変 わる ことを述 べ てい る。筆 者 が ここで扱 うの は、特 記 が ない 場 合 はす べ て呼 称 に基 づ いてい る。そ れ は、子 どもの 日常 の言 語 行為 に注 目したなかで捉 えた もの だか らであ る。 18 Termsofreference(名 称)に お いては、母親にとって息子 は 「チェレ/プラ」であり、娘は 「メ

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エ/プ リ」とされ 、「バ バ」 「マ」で はない。 19 本論 文 中で は、伯父/叔 父、伯母/叔 母の区別が明確な場合はそれぞれ漢字で表記し、両方 を 含 むか特 定 で きない場 合 は、カタカナで オジオバ と表 記する。イトコの場 合 も同様 に記 述 する。 20 原[1969:123]で も同様 の状 況 が述 べ られて いる。 21 「アポ ン(aPan:自 分の)」と 「パラバシ/シ ョマジ(Parabasbi/samajik:社会的)」に識 別 され る。 22 原 も、子 どもたちが早く(7、8歳頃)か ら遊びなどを通じて個々の所有権を意識 し、バリ内であっ て もそ の区別 をはっきりさせる現 象 を捉 え、「独 立 した個 人」を論 じて いる[原1986:342]。 23 ベ ンガル にお ける母 方 オジの重 要性 につ いては[金2000:74]な どで も述 べ られてい る。 24 詩 や お話 に登場 す る母 方 オジにつ いては[南 出(近 刊)]の なかで 述べ て いる。 25 たとえば先 述 の、使用人の子 どもの 「子 ども域 」な ど。 参 照 文 献 ア リエ ス ・フ ィリップ 、杉 山 光 信 ・杉 山 恵 美 子(訳)、1960(1980)、 『「子 供 」の 誕 生― ア ン シ ァ ン ・レ ジー ム期 の 子 供 と家 族 生 活― 』、み す ず 書 房 。 金 基 淑 、2000、 『ア ザ ー ン とほ ら貝― イ ン ド・ベ ン ガ ル 地 方 の 絵 語 り師 の 宗 教 と 生 活 戦 略― 』、 明 石 書 店 。 清 矢 良 崇 、1994、 『人 間 形 成 の エ ス ノメ ソ ドロ ジ ー― 社 会 化 過 程 の 理 論 と実 証― 』、東 洋 館 出 版 社 。 高 田 峰 夫 、1998、 「バ ング ラ デ シュ ・ム ス リム に お け る 年 齢 区 分 と性― 素 描 の 試 み として―」、清 水 浩 昭 他(編)『 性 と年 齢 の 人 類 学 』、岩 田 書 院 、267-287頁 。 田 辺 繁 治 、2003、 『生 き方 の 人 類 学― 実 践 と は何 か― 』、講 談 社 。 原 忠 彦 、1969、 「東 パ キス タン ・チ ッタ ゴ ン地 区 モ ス レム村 落 の 親 族 名 称 」、 『ア ジ ア ・ア フ リカ 言 語 文 化 研 究 』2、100-126頁 。 ― 、1986、 イス ラー ム教 徒 社 会 の 子 ど も」、小 林 登 他(編)『 新 しい 子 ど も学 』、海 鳴 社 、311-368頁 。 藤 本 浩 之 輔(編)、1996、 『子 ど もの コス モ ロ ジー― 教 育 人 類 学 と子 ど も文 化― 』、人 文 書 院 。 ブ ル デ ュ ー ・ピエ ー ル 、今 村 仁 司 ・港 道 隆(訳)、1988、 『実 践 感 覚1』 、み す ず 書 房 。 本 田 和 子 、1982、 『異 文 化 と しての 子 ど も』、紀 伊 國 屋 書 店 。 南 出 和 余 、近 刊 、 「バ ング ラ デ シュ の 昔 話 と家 族― 『お は な し』 を通 して 子 ど もた ち に伝 え られ る 家 族 の 姿― 」、江 ロ ー・久(編 著)『 昔 話 と家 族 』、ナ カニ シ ヤ 出 版 。 レ イヴ ・ジ ー ン、 ウェ ン ガ ー ・エ テ ィエ ンヌ 、佐 伯 胖(訳)、1991(1993)、 『状 況 に 埋 め 込 まれ た 学 習― 正 統 的 周 辺 参 加― 』、産 業 図 書 。

Ravallion, Martin and Wodon, Quentin, 2000, "Does Child Labour Displace Schooling?: Evidence of Behavioural Responses to An Enrollment Subsidy", The Economic Journal , 110, C158-C175.

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「ブジナイ」 にみる 「子ども域」―バングラデシュ農村社会における 「子 ども」の日常― 要旨 キ ー ワ ー ド 子 ども観、 社会 化 、子 ども域 、バ ン グラ デシ ュ、 ブジ ナイ 本研 究 は、バ ング ラデ シュ農 付社 会 で暮 らす 子 どもを対 象 に、彼 らが成 長 と共 に コ ミュニ テ ィーで の立場 や 関係、 行動 パ ター ンを変化 させ てい くプ ロセス を捉 え る こ とで、 「子 ど も」 とい う概 念 を 日常実 践 の なか で問 い直 す こ とを 目的 と した 。 そ の 際、 当該社 会 の子 ど も観 と子 どもたち 自 らの生 活 実践 がい か に呼応 してい るか に 着 目 し、そ の領域 を 「子 ども域 」 とい う新 た な概 念 で捉 えた 。 当該社 会 に は 「子 ども」 を さす言 葉 が複数 存在 し、そ れ らが 年齢 段 階的 に使 われ る。 さ らに、 「子 どもは ブ ジナ イ(分 か らない)か ら仕 方 な い」 と して、 お とな社 会 の規範 か ら猶予 される。 一方 、子 ど もが 日常生 活 を過 ごす時 間 と空 間に着 目す る と、彼 らの行 動 には、 お とな の認識 と大 き くずれ る こ との ない 年齢 段階 的 な変化 が 見 られ、 「ブ ジナ イ」 と して放 った らか しに され る 自由が、 役割 期待 の増加 と共 に 減 少 して い くことが明 らか となった 。 つ ま り 「子 ど も域 」 は、 「ブジ ナイ 」 と して猶予 され る 自由の なか で子 ど もたち が徐 々 に行 動パ ター ンを確 立 し、社 会 の規範 を習得 してい くにつれ て減少 す る もの であ り、 それ が 「子 ど も期 」の終 焉 を意 味 してい る。 Summary

The "Child-sphere" in Bangladesh Rural Society Kazuyo Minamide

Keywords: childhood, socialization, child-sphere, Bangladesh, bhuji-nai

This study aims to clarify the concept of "child" in Bangladesh rural society by focusing on the process by which the children gradually change their behavior, relationship ties and social standing within their community as they grow. Within this, the undeniable connection between the society's image of 'the child' and the children's own daily practices caught my attention, leading me to the new concept of the "child-sphere".

In Jamalpur, where I had conducted my fieldwork, the people have multiple words that mean "child" and diffirentate them according to the stages of a child's growth. Moreover,

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children are often assumed to bhuji-nai ("simply not understand") and are consequently ex-cused or forgiven for not observing social manners and rules. On the other hand when we focus on the children's practices, their behavior or levels of understanding can be described to separate into stages that roughly correlate to the adults' expectations. Their freedom to bhuji-nai decreases in accordance with an increase in the number of expected roles they must fulfill for their families.

Thus, the children establish behavioral patterns within their freedom from social rules allowed by their bhuji-nai, and as they learn social regulations through their interactions with people in their community, their sphere" gradually contracts. Eventually the "child-sphere" disappears for the child, which is effectively the end of their "days of child."

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